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『ジャルジャルのせじゃら』(2015年12月23日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第十二弾。

ミュージシャンのオーディションにやってきた、ただならぬ雰囲気の男が披露する楽曲とは……『オーディション~人格変な奴~』。周りの皆の忠告を無視してカンニングペーパーを準備していた学生が、試験中にあっさりとカンニング行為がバレてしまい……『最低人間』。これといった芸を持たない新入社員が宴会芸をするように強要される『新入社員のしぼり出した宴会芸』。勇者の前に現れた怪しげな老人は、何か助言をしてくれようとしているらしいのだが、雰囲気が凄すぎて何を言っているのかがさっぱり分からない『冒険者に告ぐ』。放課後、隣のクラスからやってきた今谷が、正西に “まさに思春期”と“未だに年頃”の二人で文化祭の出し物をしようと持ち掛ける『正西俊樹と今谷敏吾朗』。以上、五本のコントを収録。

『オーディション~人格変な奴~』は、キャラクターと作品の方向性がズレているヤツをテーマにしたコント。それはそれで天性のアーティスト的なモノを感じなくもないけれど、でも確かに違和感は覚える。終盤のやりとりはちょっとほっこり、そしてびっくり。しかし、続く『最低人間』で、気持ちは完全にどん底へ。もう、本当にタイトルのまま。普段なら、ここまで極端に描かれているサイテーなヤツなんて、むしろ大笑いしてしまうところなのだが、あまりのサイテーぶりに、コントが終わった後もしばらく引きずってしまった。で、そんな状態で観賞した『新入社員のしぼり出した宴会芸』、これが……面白かった。投げやりに宴会芸を強要した結果、巻き起こってしまった大惨劇。無計画に相手の望まない行為を強要すると、ここまで極端ではないにしても、大事故に繋がってしまう可能性があることを上手く表現している。最後の新入社員の素っ頓狂な台詞も良い。『冒険者に告ぐ』はジャルジャルにしては珍しく、なかなかベーシックなつくりのコント。ファンタジー色の強い設定で上手く底上げされている印象。シリーズ最後を飾るコント『正西俊樹と今谷敏吾朗』は、ただただ悲惨、ただただ悲劇。しょーもない思い付きが、その発案者すらも幸せにしない恐怖の展開を迎える様に、苦笑いが止まらない。

これらのコントに加えて、特典映像として「南を知りませんか?~失踪した友達を探して~」を収録。突如、姿を消してしまった南を探すために、クラスメートの根岸がこれまで撮影されたドキュメンタリー映像に偶然映り込んでいた南を確認し、現在の居場所を推理する。正直、とりたてて驚くような内容ではないのだが、これまでの11作品に登場したキャラクターたちが次々に登場する大団円のような展開に、うっすら感動を覚えてしまった。

さあ、これで12週連続リリースも終了。これでしばらくはジャルジャルとがっぷり四つを組まなくて済む……え? 『ジャルジャルのそじゃら』があるって!?


■本編【34分】
「オーディション~人格変な奴~」「最低人間」「新入社員のしぼり出した宴会芸」「冒険者に告ぐ」「正西俊樹と今谷敏吾朗」

■特典映像【16分】
「南を知りませんか?~失踪した友達を探して~」
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『ジャルジャルのすじゃら』(2015年12月16日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第十一弾。

うっかり肩をぶつけてしまった相手はタチの悪そうなヤンキーだったが、その脅し文句の言い回しがちょっと変わっていて……『言い回しが珍しいヤンキー』。キャラクターが濃すぎる高校生の南が、今回は生徒会長に立候補した友人のために応援演説をすることに『南~応援演説~』。とても厳しい漫才師の元に弟子入りしている男は、どれほど師匠が止めさせようとしても、決してぶりっ子を止めない!『師匠とぶりっ子弟子』。友人の話を笑いながら聞いていた男の様子が、だんだんとおかしくなっていく『笑ってんの?』。財布を落とした高校生を見かけた男は、彼のことを過剰に子ども扱いしてくる鬱陶しいヤツだった『高校生を子供扱いする大学生』。ピアニストの演奏に合わせてモデルがウォーキングに次ぐウォーキング『ピアニストとモデルのコラボ』。リビングでくつろいでいる男の家に、奇妙なファッションの男がうっかり入り込んでしまう『変なやつが入室』。以上、七本のコントが収録されている。

『言い回しが珍しいヤンキー』は彼らの言語センスが大いに反映されているコント。脅し文句が芸人の一発ギャグみたいな扱いになっていく展開が下らなくて面白かった。『南~応援演説~』では『ジャルジャルのうじゃら』に登場した彼が再登場。シチュエーションは違うけれど、やっていることは大して変わらない。その軸のブレなさがなんだかちょっと嬉しい。『師匠とぶりっ子弟子』は最後の師匠の一言に全てが集約されている。そんなに彼を独占したいのか……! 『笑ってんの?』は短めのネタなので割愛。『高校生を子供扱いする大学生』はそのウラに漂う悪意が充満しているコント。とても不条理で、理不尽で、だからこそ面白い。『ピアニストとモデルのコラボ』は、実際にありそうなパフォーマンスのノリを再現している。ノリに乗っている人って、どうしてちょっと滑稽に見えてしまうのだろう。『変なやつが入室』は個人的に本作のベスト。福徳演じる“変なやつ”のビジュアルもさることながら、その変なやつをだんだんと渇望するようになっていく展開が実に楽しかった。そして、あのとてつもないオチ……!

これらのコントに加えて、特典映像として『師匠とぶりっ子弟子』に登場したぶりっ子弟子が初舞台を踏むまでを追ったドキュメンタリー「いつかの晴れ舞台へ~師弟の絆~」を収録。ぶりっ子弟子のクセの強さは引っ掛かるものの、師弟制度に身を置いている漫才師のドラマとしてはベーシックな展開を迎えている。それより驚いたのは、これまでの特典映像にさりげなく登場していたあの男が思わぬカタチで登場したということだ。なるほど、しかし、そうなると、どうして彼は色んな場所に……?


■本編【30分】
「言い回しが珍しいヤンキー」「南~応援演説~」「師匠とぶりっ子弟子」「笑ってんの?」「高校生を子供扱いする大学生」「ピアニストとモデルのコラボ」「変なやつが入室」

■特典映像【14分】
「いつかの晴れ舞台へ~師弟の絆~」

『ジャルジャルのしじゃら』(2015年12月9日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第十弾。

遅刻を繰り返している新入社員に説教していた先輩が怒鳴り声をあげると、何故か即座に怒鳴り返されてしまって戸惑う『怒鳴ったらバン!』。部長にケータイを貸す素振りを見せておきながら手元のネギを渡すというボケに打って出ると、そのボケに部長がノリ始めて……『ネギ』。フィリピンの山奥から来てもらった数学の先生は喋りにクセがあるので、その説明がフィリピン語を理解している教授でもよく聞き取れない『フィリピンの数学者』。とある若手人気俳優のデビューシングルを手掛ける凄い作曲家の先生が説明する曲が、「酒」だの「盛り塩」だの、イメージとそぐわないものばかり『盛り塩』。家に帰ってきた息子を待ち構えていた父親からは揺るぎない緊張感がみなぎっていた……!『父の圧』。眠たそうに運転しているドライバーに「運転を替わろうか?」と持ち掛けてきた助手席の友人は、なんと運転席のハンドルを引っこ抜いて助手席に引っ付けてしまい……『夢であってくれ』。以上、六本のコントが収録されている。

『怒鳴ったらバン!』は不条理色の強いコント。説教から逃れるための行為……と捉えることも出来るが、ちょっと独特の後味が奇妙な違和感を残している。対して『ネギ』は、ボケにノリ続けることで、そのボケが日常化してしまう行程を丁寧に描いたシンプルなコントだ。いつ、どのタイミングで、ツッコミが解放されるのか、そのタイミングを期待しながら観ていた。『フィリピンの数学者』はよりシンプルで分かりやすい。全てが手探りの状態で繰り返される理解と裏切りのバカバカしさ。それは漫才のグルーヴに似ている。『盛り塩』は徹底して人の話を聞かない年配と、なかなか話に割り込めない若者の、ジェネレーションギャップ的なモノを取り入れたコント……に見えなくもない。年齢関係無く、盲目的に自分の意見を押し通してしまう人はいるけどね。『父の圧』はタイトル通りのコント。タイトルを確認した後でコントを観ると「なるほど……!」と納得できるほどに、そのままの内容となっている。個人的には本作で一番好きかも。『夢であってくれ』はシンプルなバカコント。どんどんムチャクチャになっていくにつれて、ほのかに高まっていく緊張感の果てにあるオチのユルさがたまらない。

これらのコントに加えて、特典映像として『フィリピンの数学者』に登場した大学教授とフィリピンの数学者の日々を追ったドキュメンタリー「教育革命 ~本場の数学を求めて~」を収録。これまでのフェイクドキュメンタリー映像に比べて、やや地味な味付けの一品となっている。福徳扮するフィリピンの数学者の裸が映し出されるところをサービスショットとして捉えられるのであれば、幾らか楽しめるかもしれないが。しかし今回、あの男がついにはっきりとカメラの前に姿を……! 一体、彼は何処へ向かったのか。


■本編【32分】
「怒鳴ったらバン!」「ネギ」「フィリピンの数学者」「盛り塩」「父の圧」「夢であってくれ」

■特典映像【12分】
「教育革命 ~本場の数学を求めて~」

『ジャルジャルのさじゃら』(2015年12月2日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第九弾。

ハゲ頭を活かしたショートコントを得意とする若手芸人“若ハゲサンキュー”、しかし彼にはそれ以上に大きな特徴が……『若ハゲサンキュー』。新しくやってきた教師の服がデカい!『服でっか…』。「おならブーのうた」という曲を歌っている路上ミュージシャンに遭遇した酔っ払いが、そのバカバカしい内容にガヤを飛ばしていたら……『おならブーのうた』。変な喋り方で変なテンションの友人を昼休みの食堂に呼び出し、ある大事な話をしようとするのだが、とある理由からなかなか落ち着いて話が出来ない『変わりもん』。自治体のゆるキャラを決める会議で、その場にいない人のことをゆるキャラの候補としてイジッていたら、急に当人が姿を見せて……『落ち武者』。落とし物を拾ってくれた人の服が小さい!『服小さっ…』。薄い壁の向こうから微かに聞こえてきたのは、隣人が見ていると思われるアニメ番組の音声だった『激烈少年ばびーぶべぼー』。舞台「江戸っ子探偵」の主役・江戸っ子探偵を演じる役者に演出家の檄が飛ぶ!『江戸っ子探偵』。以上、八本のコントが収録されている。

『若ハゲサンキュー』はコンプレックスをテーマにしたコント。ややテーマが『ハゲてもうてる』(『ジャルジャルのくじゃら』収録)と被っているが、そっちはセーフだけどこっちは……という矛先の向きの違いを描いているという点に違いが。個人的には『ハゲてもうてる』の方がシンプルで好きだ。『服でっか…』と『服小さっ…』はショートコント。ビジュアルの可笑しみとスピード感を楽しんでもらいたい。コミカルに見える曲が実は……というギャップを描いた『おならブーのうた』は、ある種のコミュニティ内でのみ通じている常識が外部では通用しないということを如実に表現したコントだったように思う。まあ、ライブハウスの様な閉じた空間ならともかく、屋外でやっていたら、そりゃあ……ねえ……。『変わりもん』は後藤のナイスなキャラクターが炸裂しているコント。メリハリのある演技を見よ。陰でイジっていたことがバレてしまう『落ち武者』は、その後のフォローの全てがグズグズになっているところを楽しむコント。観客という無責任な立場だからこそ楽しめるんだろうな、この状態は。思わぬオチの放り込まれ方にも注目して頂きたい。『激烈少年ばびーぶべぼー』は、漠然とした情報から勝手に膨らましてしまった妄想の楽しさと現実のギャップを描いている。実際に旅行に出かけるよりも、旅先のことを考えながら計画を立てている方が楽しい、という感覚に似ているのかも。『江戸っ子探偵』はこれまでのジャルジャルのコントにも見られた、どうでもいいようなことをひたすら厳しく稽古させられているナンセンスな情景を描いたコントである。そこには何かしらかの信念・理念があるのかもしれないが、傍から見れば……。

これらのコントに加えて、特典映像として「定点観察 ~都会のコインランドリー24時~」を収録。某公共放送の某ドキュメンタリーをモチーフとした映像となっており、本編に登場するコントキャラクターが次々に登場する。どのキャラクターたちもクセがあるが、とりわけ、あの若手芸人とあの落ち武者がかち合う姿は必見。そして、案の定、こちらの映像にもあの人物が……。


■本編【31分】
「若ハゲサンキュー」「服でっか…」「おならブーのうた」「変わりもん」「落ち武者」「服小さっ…」「激烈少年ばびーぶべぼー」「江戸っ子探偵」

■特典映像【14分】
「定点観察 ~都会のコインランドリー24時~」

『ジャルジャルのこじゃら』(2015年11月25日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第八弾。

一緒に居酒屋で飲んでいた会社の先輩が、何の前触れもなく奇声を発し始める『くしゃみとゲップとあくび』。新しいマネージャーがやってきたが、事前に説明を受けていなかったので、「本当に新しいマネージャー?」と何回も何回も確認する俳優の疑りが止まらない『何回も確認する奴』。間もなく天寿を全うしようとしている老人の元へ、彼が幼いころから一緒に遊んでいた座敷わらしがやってきて……『座敷わらしとおじいちゃん』。友人ではない別の知り合いが待ち合わせ場所にやってきて困惑する『ちゃう奴呼んでもた』。様々なミュージシャンたちの楽曲を感謝の気持ちを込めてカバーする男たちのライブ風景を描いた『うろ覚えバンド』。以上、五本のコントを収録している。

『くしゃみとゲップとあくび』はキングオブコントの決勝戦で披露されたコント。時間に余裕があるためか、当時よりもかなりやりたい放題にやっている印象を受けた。そして、そういう状態にしている方が、このネタは笑える。最初は生理現象の過剰な表現で笑わせられるのだが、一度それらが理由付けされることで、一見するとムチャクチャなのに演者からは放置される(=ツッコミが入らない)という奔放な状況がたまらない。『何回も確認する奴』はジャルジャルのコントに対する固定概念を逆手に取ったネタ。あまり詳細を書くとネタバレになってしまうので避けるが、後半の展開はスリリングでとても面白かった。「人の死」をテーマにした『座敷わらしとおじいちゃん』は、その生と死をシステム的に表現しているコント。座敷わらしの都合で無理矢理生き返らされるおじいちゃんの姿は笑えるが、二人のやりとりを、心肺停止と蘇生の繰り返しを描いていると考えてみると……なかなか重たいテーマを背負っているようにも思う。『ちゃう奴呼んでもた』はタイトルのまま。絶望的である。『うろ覚えバンド』もタイトルのまま。同じようなコントをTKOがやっていたが、TKOの場合は木本がちゃんとツッコミとして機能していたのに対し、こちらは二人がともにしれっとした顔でやってのけている。低レベルのクオリティでライブやイベントを開催してしまう、ある種のエンターテイナーの軽率で愚鈍な態度に対する批判的な思いが……って、流石にそれは深読みが過ぎるか。ところで、彼らがうろ覚えな楽曲が、本当にメジャーな版権曲を使用していることに驚いた。ちゃんと許可を得たのだろう。……あのよしもとが?

これらのコントに加え、『座敷わらしとおじいちゃん』に登場する老人・嶺井一男氏の死に関する謎に迫るドキュメンタリー『奇跡の老人 ~私は何度も生き返る~』を特典映像として収録。心肺停止を確認された後、カメラが部屋からいなくなるたびに復活してしまうベタベタなやりとりが印象に残っている。ところで、今回“彼”の姿は見当たらなかったが、一体何が……?

追記。いた(コメント参照)。しかし、何故あんな場所に……?


■本編【28分】
「くしゃみとゲップとあくび」「何回も確認する奴」「座敷わらしとおじいちゃん」「ちゃう奴呼んでもた」「うろ覚えバンド」

■特典映像【14分】
「奇跡の老人~私は何度も生き返る~」

『ジャルジャルのけじゃら』(2015年11月18日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第七弾。

タイムカードを押すために事務室へと入ってくるバイトが、いつも押して開けなくてはならないドアを引こうとしてしまうので、その度にガタガタとやかましい音を立てている『ドア』。夏休み中で何もやることのない二人の大学生が、「夏季」「柿」「牡蠣」のイントネーションの違いで戦い始める『暇な大学生~横チンと辻村~』。ロックミュージシャンのライブ中、テンションの上がった客がその勢いに任せて……『熱狂的ファン!』。テーブルを駆使したパフォーマーとイスを駆使したパフォーマーによる夢のコラボレーションが遂に実現!『テーブル職人とイス職人のショー』。雑誌の記者が落語の魅力を若い世代に伝える記事を書くために、とある大御所の落語家へのインタビューを始めると、彼は「落語の魅力は説明して伝わるものではない」と言って、記者に自作の落語を聴かせ始める『創作落語「おでこ合わせ」』。以上、五本のコントを収録している。

自身が生み出している騒音に全く気付いていない無神経なバイトに悩まされる神経質な店長を描いた『ドア』は、日常に起こり得る状況を極端に表現することで、その苦悩を笑いへと昇華しているコントだ。とはいえ、きちんと不快感を説明していない時点で、この店長にも問題があるような気がしないでもないが。『暇な大学生~横チンと辻村~』は設定が秀逸。この無駄で無意味な攻防戦は、人生において最も時間が有り余っている大学生という設定だからこそ起こり得る。その適度なリアリティが、コントをよりバカバカしく広げてくれる。『熱狂的ファン!』はネタバレすると面白くないタイプのコント。彼らのネタにしてはオーソドックスな内容で、それが逆に違和感を残すかも。オリジナルのパフォーマンスを実在しているかのように繰り広げる『テーブル職人とイス職人のショー』は、ディティールの細かさから生まれる妙な説得力と、後に何も残らない無意味さが味わい深いコントだ。2012年7月に松山で鑑賞したライブ『ジャルっ10じゃねぇよ!』でも披露されていたらしいのだが、あまりの意味の無さが故か、まったく記憶に残っていなかった。『創作落語「おでこ合わせ」』は落語の問題点(?)の一つである「長さ」を皮肉ったかのようなコントで、落語好きとしてはちょっと心をザワつかせるものだった。漫才、コント、落語、あらゆる芸能に身を置く半端者たちを皮肉る彼らの行きつく先は何処なのか……?

これらのコントに加え、『テーブル職人とイス職人のショー』に登場する二人の職人たちの作業風景を追ったドキュメンタリー『日本で唯一の職人~知られざる二人の過去~』を特典映像として収録。かつて袂を分かった師弟がコラボレーションに踏み切るまでの道程が描かれており、本編のコントのディティールをより深く掘り下げた内容になっている。そして、この映像にも、やはりあの男が……。


■本編【31分】
「ドア」「暇な大学生~横チンと辻村~」「熱狂的ファン!」「テーブル職人とイス職人のショー」「創作落語「おでこ合わせ」」

■特典映像【14分】
「日本で唯一の職人~知られざる二人の過去~」

『シティボーイズ ファイナル Part.1「燃えるゴミ」』



2015年6月19日から29日にかけて東京グローブ座で開催されたシティボーイズライより、27日の模様を収録。


1979年の結成以降、時代の流行に流されることなく、普遍的でナンセンスな笑いを生み出し続けてきた彼ら。客演に若手を採用したり、舞台の責任者である演出家を入れ替えたりして、常に古くない舞台を作り上げるように心掛けてきた。しかし、メンバー全員が還暦を迎え、肉体的な衰えを感じ始めたからなのか、今回の公演で遂に“ファイナル”とライブの終了を示唆するタイトルを掲げた。作・演出には五反田を中心に活動している劇団“五反田団”の主宰・前田司郎、音楽監督には大竹まことの実子でミュージシャンとしても活動している大竹涼太を迎えている。

物語の舞台はとある団地の一角にあるゴミ収集所。不法投棄されたゴミが溜まりに溜まって、とうとう業者にも見放されてしまった場所に、三人の男たちは毎日のように集まっていた。その日も彼らはゴミ収集所にやってきた。ふと、一人の男(きたろう)が、一枚の紙切れを二人に見せびらかし始める。その紙には電話番号が書かれていた。男はその紙を、道ですれ違った凄い美人の女性が、自分に拾わせるように落としたものだという。二人に促され、男はその番号に電話をかけてみるのだが……。

本作では、このゴミ収集所の三人を中心に、彼らを取り巻く様々なシチュエーションがコントとして描かれている。基本的に、それぞれ独立したコントが演じられていた過去のシティボーイズライブと比べて、かなり大胆な構成になっているといえるだろう(三木聡が演出を務めていた『愚者の代弁者、うっかり東へ』『丈夫な足場』はその趣があったが)。個人的には、『キングオブコント2013』王者・かもめんたるの単独公演を彷彿とさせられた。舞台という表現方法に固執する人の趣向は、どうしても似てきてしまうものなのかもしれない。

とはいえ、演じられているコントは、それぞれまったく違った笑いを生み出している。事実、先のゴミ収集所のシーンが終わると、続いて始まるのは忍者コントである。現代を舞台とした台詞回しの面白さが滲み出たコントから、黒装束の忍者(きたろう)とピンク装束の忍者(大竹まこと)が某高橋英樹を彷彿とさせる派手な衣装のお侍(斉木しげる)とぐっずぐずに立ち回る古き良き時代の喜劇へと変わるギャップの激しさが、彼らの表現の幅広さを物語っている。その後も、某美術館の警備員が某モナリザの絵と愛を語り合うなど、奔放な表現が繰り広げられている。

しかし、物語が進むにつれて、それらの出来事は彼らにとっての走馬灯であると気付かされる。もう仕事に行かなくても良い身分となった彼らは、まるで自らがいずれ火葬場で燃やされる運命にある“燃えるゴミ”であるかのように、またゴミ収集所へと足を運ぶ。でも、それは決して、絶望的なことではない。三人の燃えるゴミたちには、それまでに過ごしてきた人生の道程がある。燃えて尽きるまでは、何が起こるか分からない。それはそのまま、シティボーイズ自身の現状を意味している。最後の最後に大竹まことが「じゃあ、また!」と言ってのけたように、彼らはまだ燃えるゴミのまま。これから先、何が起こるかなんて、分からないじゃないか……。

特典映像には、斉木しげるが完全にネタを飛ばしてしまったハプニング映像と、三人に対して様々な質問をぶつけるスペシャルインタビューを収録。「今回、何故“ファイナル”なのか?」「今、気になる俳優・コメディアンは誰ですか?」「コントの舞台で一番大切なことはなんですか?」「今回の舞台で一番困ったシーンは?」などの、ちょっと気になる質問に対して真摯に応えている。大竹まことが『極北ラプソディ』の瑛太と高橋昌也を称賛していたのは、ちょっと興味深かった。


■本編【約99分】

■特典映像【約23分】
「舞台特別映像「家族コント ~斉木しげる大失態~」」
「スペシャルインタビュー(大竹まこと・きたろう・斉木しげる)」

『オードリーのまんざいたのしい』(2014年2月11日)

『オードリーのまんざいたのしい』

2013年8月15日から18日にかけて、紀伊國屋ホールで開催された漫才ライブ「オードリーのまんざいたのしい2013」の模様を収録。こちらで購入可能。

今やテレビタレントとして不動の地位を築き上げているお笑いコンビ・オードリー。その評価を著しく向上させたのは、『M-1グランプリ2008』での活躍が大きなきっかけだった。敗者復活戦を勝ち上がり、NON STYLE、ナイツ、笑い飯、U字工事といった実力者たちを抑え、一回戦をトップで通過して最終決戦へと駒を進める姿に、昨年大会の優勝者・サンドウィッチマンを彷彿とした人も少なくなかっただろう。結果、優勝トロフィーはNON STYLEの元へ渡ったが、彼らの存在は多くの人々の記憶に残るものとなった。しかし、オードリーは資格があるにも関わらず、翌年のM-1への出場を辞退。お笑いタレントとしての道を全速力で駆け抜けていった。

そんな彼らが2013年に開催した漫才ライブには、漫才師・オードリーの魅力が凝縮されている。若林の話に春日が的外れなツッコミを入れるベーシックなスタイルから、春日が特定の単語しか言わなくなってしまうポンコツ漫才へと転換する『ハワイ』。春日が様々な媒体の記者を演じて、結婚記者会見を開いた若林を翻弄する『記者会見』。雪山で遭難してしまった若林の前に現れた春日が、持参していたパンを三万円で売りつけようとする『遭難』。若林が富士登山の最中に出会った人たちを春日が次々に演じてみせる『富士山』。自身を芸人に誘った若林のことを激しく責め立てる春日の口調が何故かオネエ言葉な『本性』。同窓会にもしもオードリーが出席したら、どういうことになるのかを漫才コントでやってみた『同窓会』。世間に知られているオードリーから、ラジオリスナーだけが知っているインモラルなオードリーまで、実に様々な側面から切り取られている。

私的には『遭難』がお気に入りだ。雪山で遭難している若林に春日がパンを高額で売りつけようとする様は、春日のケチで打算的な側面を上手く煮詰めている。米倉涼子のくだりのサイテーぶりなどは、腹を抱えて笑った。最初は春日のケチさに焦点が当てられているが、徐々に春日の要求する金額を値下げする流れになっていく、この構成も絶妙だ。だが、このネタの最も注目すべき点は、極限状態に陥っているという設定を利用して、存分にブッ壊れていく若林である。なかなかパンを渡そうとしない春日に対して「パンくれよ!」「パンくれよ!」「パンくれよ!」と壊れたオモチャのように連呼する姿はなかなかのものだった。ただ、若林は他の漫才でもちょこちょこ、普段のバラエティでは決して出さない側面を見せていた。漫才の導入部分でさらりと吐き出される強めの毒……たまらないものがあった。

このライブ本編に加えて、本作には幕間映像として「パジェロvs春日(四本勝負)」「大家×春日 対談」、特典映像として「春日語怪談」「グッズ紹介&お花紹介」が収録されている。若林が運転するパジェロと春日が相撲で勝負するシーンなどはなかなかに狂気的でオススメなのだが、オードリーの二人がそれぞれグッズやお花を紹介しているところにちょいちょい見切れようとするゴン(ビックスモールン)を注意する距離感の良さもなかなか味わい深い。頑張れ吉留明宏。


■本編【97分】
「ハワイ」「オープニング」「記者会見」「パジェロvs春日 ~100m走~」「遭難」「パジェロvs春日 ~綱引き&相撲~」「富士山」「大家×春日 対談」「本性」「パジェロvs春日 ~騎馬戦~」「同窓会」

■特典映像【19分】
「春日語怪談」「グッズ紹介&お花紹介」

『ジャルジャルのくじゃら』(2015年11月11日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第六弾。本作でこのシリーズもようやく折り返しとなる。これで合計三十七本のコントを観たことになるわけだが、そのおかげか、彼らのネタの方向性がなんとなく見えてきたような気がする。いや、気のせいかもしれないが……。

クラスの新しい担任としてやってきたのは、明るく陽気で爽やかな“当たりの先生”だと思われたが、その矢先……『ハズレの先生』。若手お笑いコンビ“パラドックス”のコントは、待ち合わせに遅刻した男が何故かその場で脱いだ靴下を顔にぶつけてくるというシュールなもので……『あんまりウケへんから後ろに下がってしまう若手芸人』。動物を優先しようとする園長と客足を優先しようとする飼育員、どちらも動物園を愛しているが故に議論は熱を帯びていくのだが……『カバ』。学祭で披露するための曲を放課後の教室で作曲していたクラスメートが、そのオリジナル曲を聴かせてくれると言い……『タンバリンキッス』。運動会の綱引きに向けて、専門の先生に来てもらう『綱引き』。一人で客演する芝居の稽古をしていると、そこに頭がハゲた男がやってきて、ねぎらいの言葉をかけてくれるのだが……『ハゲてもうてる』。ふざけていてお尻にケガをしてしまった中学生が、恥ずかしがって、なかなか医者にお尻を見せようとしない『お尻ケガした奴』。以上、七本のコントを収録している。

一見すると優しい雰囲気の先生が実はとんでもない人間だったという『ハズレの先生』は、学生時代の理不尽な教師たちのことを思い出さずにはいられないコントだ。極端に描かれているからこそ笑えるが、これを観て、トラウマを発動してしまう人も少なくないのではないだろうか。『あんまりウケへんから後ろに下がってしまう若手芸人』は、そのタイトルが分かっていないと笑いにならないほど、リアルに状況を描写しているコント。ジャルジャルのコントというと、世間では他に類を見ない先鋭的な設定のイメージが強いように思うが、彼らの本当に恐ろしいのは、この再現能力の高さであるように思う。園内の動物たちを愛して止まない飼育員が、何故か特定の動物だけにはまったく違う感情をむき出しにしてしまう『カバ』は、その感情の理不尽さが笑いに昇華されている。理由を明確にせずに、観客に想像させる余白を生み出すことで、妙に奥深さを感じさせられるところが、なんとも味わい深い。『タンバリンキッス』は作り手と演じ手の住み分けが如何に大切かを表したコント。いや、或いは演じ手の向こう側にいる作り手の実像を匂わせることで、その関係性を皮肉っているといえるのかもしれない。『綱引き』はオチありきのコント。丁寧なフリが想定内のオチを大きな笑いに変えている。ハゲを自虐ネタにしている人を描いた『ハゲてもうてる』は、自身のコンプレックスを笑いに変えている人ならではの複雑な感情を上手くコントにしている。他人に突かれるのが嫌だから、先に自分で自分のことをイジっているのだろうか……少し切ない。『お尻ケガした奴』は、いわば『キングオブコント2015』でロッチが披露したコントに思春期を混ぜ込んだコント。特に後半の動きはそのままなので、機会があれば確認してもらいたい。まさか、そこが被るとは……。

これらのコントに加えて、『カバ』に登場した動物園の飼育員の仕事に迫ったドキュメンタリー『動物たちの声が聞こえる~動物の声が聞こえるようになった飼育員~』を特典映像として収録。実際の動物園でロケを敢行、様々な動物たちに耳を傾ける姿は一見すると本当のドキュメンタリーのようだが、やはりあの動物に対しては……。


■本編【33分】
「ハズレの先生」「あんまりウケへんから後ろに下がってしまう若手芸人」「カバ」「タンバリンキッス」「綱引き」「ハゲてもうてる」「お尻ケガした奴」

■特典映像【10分】
「動物たちの声が聞こえる~動物の声が聞こえるようになった飼育員~」

『ジャルジャルのきじゃら』(2015年11月4日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第五弾。

新人ミュージシャンがデビュー曲のプロモーションのために出演したラジオ番組のDJは、とにかく滑舌が悪くて何を言っているのか分からない『滑舌DJ』。銀行強盗が人質に取ったのは、一見すると平凡でこれといって個性のない男……だったのだが『人質チョイスミス』。白と黒のメリハリの利いた衣装に身を包んだユーモラスな二人が、「なんでなんかな♪」のリズムに合わせてあるあるネタを披露する『なんでなんかな♪~日本一面白くない芸人~』。試合を前日に控えた女子バレー部のメンバーに欠員が出てしまったため、顧問の教師が何故か男子生徒にその代役を依頼する『女子バレー部』。一般人も参加できるマラソン大会に、ピエロの格好をして参加している男がいて……『おふざけランナー』。とあるバラエティ番組のオーディションで落とされたピン芸人「チャラ男番長」が、どうしても採用されたい一心から審査員にムチャクチャな要望を叩きつける『チャラ男番長』。以上、六本のコントを収録している。

最初から最後まで滑舌の悪さで押し切っている『滑舌DJ』は、普段は普通に喋れるのに、番組が始まると滑舌が悪くなってしまうところがポイント。思うに、ラジオ番組の時だけ、声のトーンを変えているDJに対する皮肉なのではないだろうか。『人質チョイスミス』は設定から想像できないだろうが、後藤のギャグ(?)を中心としたコントである。ああいう無機質な状態になったときの後藤の面白さは、もうちょっと世間に知られてもいい。『なんでなんかな♪~日本一面白くない芸人~』は一見すると『なんでだろう』で知られるテツandトモを皮肉ったコントに見えるが、むしろ比較対象を明確にすることで、コントに登場するお笑いコンビのダメさを浮き彫りにしているのではないか……と考えているのだが、実際のところはどうなんだろう。『女子バレー部』は後半の展開がとにかくスリリング。あまりに不条理な展開に、ちょっとしたサイコホラーのようにも感じられた。『おふざけランナー』は一発勝負のコント。その想像できるオチを全力でやり切る姿がたまらなく面白かった。『チャラ男番長』もまたサイコホラーじみたコント。むしろサイコパスか。芸風はシンプルなのに人間性が完全にイカれている芸人を生々しく演じていて、だからこそオチにちょっと安心させられてしまう不思議さ。

これらのコントに加えて、都会の公園に24時間密着したドキュメンタリー『定点観察~都会の公園24時~』を特典映像として収録。過去の四作品での特典映像は特定のコントのキャラクターに着目したつくりになっていたが、本作は場所がテーマとなっていることもあってか、本作のコントに登場したキャラクターたちが次々に登場している。日本一面白くない芸人のネタ合わせ、銀行強盗の人質になった男、女子バレー部に引っ張り出された男子生徒、チャラ男番長、そして……。あの男は何故、この公園にいたのか。なにやらストーリーらしきものが見えてきたが、まだまだ流れは見えてこない。


■本編【34分】
「滑舌DJ」「人質チョイスミス」「なんでなんかな♪~日本一面白くない芸人~」「女子バレー部」「おふざけランナー」「チャラ男番長」

■特典映像【11分】
「定点観察~都会の公園24時~」

『ジャルジャルのかじゃら』(2015年10月28日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第四弾。……彼らが天才的なコント職人であることは間違いないが、それでも流石に食傷してきた。第四弾の時点でこんなことになっているようではいけない。現時点でシリーズの三分の一、まだまだこれからだ。

マジックが成功したときに激しいリアクションを取ってしまうマジシャンに興醒めさせられる『ガッツポーズマジシャン』。とあるオーディションにやってきた演歌歌手のしんぺいが披露するオリジナルソングにははっきりとした欠点があって……『オーディション~演歌歌手しんぺい~』。焼き肉店にかかってきた予約の電話の主はあの俳優!?『阿部寛来店』。大学の友人が自分の名前をどうしても妙な発音で呼ぶので、イチからしっかりと間違いについて説明するのだが……『TAKAGI』。高校の卒業式にやってきたOBだという中年男性の挨拶はとても退屈でつまらなかったが、とある言い回しにちょっと引っ掛かるものが……『知らんOBの挨拶』。銀座の高級フランス料理店にやってきた珍奇な身なりの男の正体とは?『違いますよ』。以上、全六本のコントが収録されている。

ちゃんと実力を見せつけているにも関わらず、ついつい成功に喜んでしまって、結果としてマジシャンとしての評価を落としてしまう『ガッツポーズマジシャン』は、きちんと喋らせれば面白いトークも出来るのに、変なところで噛んでしまったり、妙な言い回しになってしまったりして、話し手としてはなかなか評価されない出川哲朗氏のことを彷彿とさせた。『オーディション~演歌歌手しんぺい~』は演歌にありがちな観客のアレを意識した楽曲に対して一石を投じているコント。言われてみれば、確かに演歌だけアレが許されている雰囲気があるのは何故なのだろう……。『阿部寛来店』は、何を言ってもネタバレになるので何も言わない。ただ、後藤の口調、完全に阿部寛のそれになっていた。上手い。親しい友人の妙な言い回しを徹底的に糾弾する『TAKAGI』は、クドさを売りにしたジャルジャルのコントのある意味では真骨頂。ただ、ストイックな作りになっているので、ちょっと飽きやすいかもしれない。事実、2012年7月に松山で鑑賞したライブ『ジャルっ10じゃねぇよ!』でも披露されたらしいのだが、まったく覚えていない(が、手元の記録には、ちゃんとこのコントの名前が載っている……)。『知らんOBの挨拶』も、何を言ってもネタバレになってしまうコントなので何も言わない。ただ、福徳の口調は、あんまり似てなかった(笑) 『違いますよ』はドッキリをモチーフとしたコント。ちょっと絶望的なオチで後味はあまり宜しくないが、まあ、たまにはこういうのも良い。

これらのコントに加え、『オーディション~演歌歌手しんぺい~』に登場するしんぺいが新曲『しんぺい音頭』をプロモーションしている様子に密着したドキュメンタリー『いつか花開くとき~ある演歌歌手の苦節25年物語~』を特典映像として収録。過去シリーズでも見られた、夢を追いかけている人間に迫ったドキュメンタリーとなっているが、主人公が若者から中年男性に替わったからなのか、妙にクサい人間ドラマの様相を呈している。……もしかすると、これが彼らの演歌観なのか? 本作の見どころは、なんといってもしんぺいの恋人として山﨑ケイ(相席スタート)がゲスト出演しているところ……ではなく、過去シリーズに出演していたコントキャラクターががっつりと再登場している点である。やはり彼がキーマンなのだろうか……?


■本編【31分】
「ガッツポーズマジシャン」「オーディション~演歌歌手しんぺい~」「阿部寛来店」「TAKAGI」「知らんOBの挨拶」「違いますよ」

■特典映像【14分】
「いつか花開くときに~ある演歌歌手の苦節25年物語~」

『ジャルジャルのおじゃら』(2015年10月21日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第三弾。

学園祭実行委員に選ばれてしまった二人の男子が、テキトーな案を出し合ってテキトーに話をまとめていく『学園祭実行委員 土森』。オーディションにやってきた四人組のロックバンドが、そのスタイルといい、そのオリジナル曲といい、明らかに某有名ロックバンドを意識していたので、思わずそのことについて触れてみたところ……『オーディション ~ウルフルズに影響されてる奴~』。仕事帰りに道端で「まいど~!」と気安く話しかけてきた知り合いらしき男のことが全く思い出せない『まいど~!』。定食屋に行こうとしている男の前に銀行強盗が現れて……『銀行強盗』。カツアゲしていた少年がうっかりぶつかってしまったおばはん、最初はただ自分に謝るように言い続けていたのだが……『カツアゲおばはん』。生徒がテニス部の引退試合での出来事を報告をしようとするたびに先生が鬱陶しい相槌が始まってしまう『なんか変な先生』。以上、全六本のコントが収録されている。

『学園祭実行委員 土森』は、テキトーな案が物凄い勢いで適切に固まっていく行程を描いたコント。この行程が段々と過剰になっていくにつれて笑いも大きくなっていくが、個人的には美しく組み立てられていく様にこそ魅力を感じる。『オーディション ~ウルフルズに影響されてる奴~』はタイトル以上でも以下でもない内容のコント。それでも笑わせてくれるところにジャルジャルというコンビの地力の強さを感じさせられる。『まいど~!』はオチありき。そういうコントなのかと思わせておいて、終盤でまさかのどんでん返しを迎えるところがたまらない。『銀行強盗』は設定ありき。とても短いネタなので、これは直に確認して頂きたい。個人的には傑作だと思った。『カツアゲおばはん』は、なんでもかんでも無理矢理自論に持って行ってしまうおばはんの強引さにカツアゲ行為が加わるという、とんでもないコントである。その傍若無人ぶりを噛み締めてもらいたい。『なんか変な先生』は相手の話を聞かずに自分の意見を長々と語ろうとする全てのクソみたいな大人たちに捧げたいコント。過剰に表現されているからこそ笑えるが、こういう人って何処にでもいるんだよな……。

これらのコントに加え、『カツアゲおばはん』に登場するおばはんに迫ったドキュメンタリー『実録 カツアゲをやめられない女』を特典映像として収録。これまでの特典映像が夢を抱いた若者たちを取り上げたドキュメンタリーになっていたのに対し、今回は“カツアゲ”という犯罪行為をテーマに取り上げているためか、社会派ドキュメンタリーの様相を呈している。終盤はまさかの展開だが、これまでの作品に比べると意外性は低い。まあ、キャラクターの強烈さを思うと、このくらいが丁度良いのかもしれない。


■本編【29分】
「学園祭実行委員 土森」「オーディション ~ウルフルズに影響されてる奴~」「まいど~!」「銀行強盗」「カツアゲおばはん」「なんか変な先生」

■特典映像【10分】
「実録 カツアゲをやめられない女」

『ジャルジャルのえじゃら』(2015年10月14日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第二弾。

声がやたらと細い家庭教師が、声がやたらと太い生徒とともに大学合格を目指す『声細い家庭教師と声太い生徒』。カットを終えたばかりの客が何故か美容師の腹を執拗に殴り始め……『腹』。屋外で営業活動をしている着物を着た男性を見かけたのだが、その正体が演歌歌手なのか落語家なのか分からない『手持ち無沙汰で夢掴む』。ルームシェアの相手が留守なのをいいことに、こっそりと尻にペットボトルを入れ始めた男の顛末とは!『尻にペットボトル入れる奴』。若手お笑いコンビ“タッチワゴン”が明日のテレビオーディションに向けてネタを異常に練習し続けている様子を描いた『練習の鬼』。オペラの主役の座を奪われた男が、本番当日、主役を演じる男をホテルの一室に呼び出して、首にスタンガンを当てる……!『オペラ歌手』。以上、全六本のコントが収録されている。

まったく逆の性質を持ったキャラクター同士が会話を重ねていく『声細い家庭教師と声太い生徒』は、古典落語『長短(気の長い男と気の短い男のやりとりを描いた演目)』を彷彿とさせる。ネタそのものも面白かったが、声の細さ・声の太さを演じるジャルジャルの程々の誇張を見てもらいたい。『腹』は不条理極まりないコント。その暴力性が故に観客も少し引いていたが、延々と腹だけを様々なバリエーションで殴られ続ける姿には笑わざるを得なかった。『手持ち無沙汰で夢掴む』は、どちらも着物を着ているからという理由で作られたとしか思えない強引さがバカバカしいコント。よくよく聞いてみると、とてつもなく気持ちの悪い話をしている落語パートがまたバカバカしい。『尻にペットボトル入れる奴』はオチありきのコント。衝撃的な結末に戦慄を走らせてもらいたい。『練習の鬼』はまったく同じ内容のショートコントが何度も何度も繰り返されるコント。ただ、ここで注目すべきは、そのクドさではなく練習に付き合わされる相方の変化だ。じわりじわりと苛立ちが募る様子がとてもリアルで、たまらない。『オペラ歌手』は個人的に本作で一番好きなコント。『古畑任三郎』を彷彿とさせる大人のミステリーな雰囲気が、急転直下の勢いでコメディになってしまう爽快感がサイコーだった。「いちちちちちちー」の語感の良さ!

これらのコントに加え、『練習の鬼』に登場するお笑いコンビ、タッチワゴンに密着したドキュメンタリー『売れたいんや! ~あるお笑い芸人の挑戦~』を特典映像として収録。コントで描かれている状況の前後が映像化されているので、その世界観をよりリアルに感じることが出来る。……結末の生々しさよ……。そして今回も、別のコントに登場したキャラクターたちがさらっと登場。前作『ジャルジャルのうじゃら』に登場したキャラクターの姿もあったようだが……彼がまさかキーマンなのだろうか。気になるなあ。10月21日リリースの第三弾『ジャルジャルのおじゃら』にも出ていたら……何かあるのかもしれないなあ。


■本編【30分】
「声細い家庭教師と声太い生徒」「腹」「手持ち無沙汰で夢掴む」「尻にペットボトル入れる奴」「練習の鬼」「オペラ歌手」

■特典映像【10分】
「売れたいんや! ~あるお笑い芸人の挑戦~」

『ジャルジャルのうじゃら』(2015年10月7日)



2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第一弾。

営業部に配属された新入社員の凡尻は、そこで出会った自分と同様に珍しい名字の大尻という男に誘われ、お互いの個性的な名前を武器にした大胆な営業活動に打って出ることになる『大尻・凡尻』。高校を卒業したら大学へ進学せずに東京でミュージシャンになろうと考えている友人が、「これさえあればミュージシャンとして売れる」と確信したオリジナルソングを聴かせてくれようとするのだが、恥ずかしがってなかなか始めてくれない『ハズい』。大阪タワーという漫才師が「学生時代によくやっていたかくれんぼ」をやってみようと言い始め、いわゆる漫才コントを始めようとするのだが……『リアル漫才コント』。審判にレッドカードを出されたサッカー選手がひたすらにダダをこね続ける!『ダダこねサッカー選手』。人の家の壁で立小便をしている男に注意をしたところ、そいつの言動が明らかに度を超えていて……『頭おかしい奴』。喋り方も様子もオカしいクラスメートの南を描写した『南』。以上、全六本のコントが収録されている。

『大尻・凡尻』は2012年7月に松山で鑑賞したライブ『ジャルっ10じゃねぇよ!』で披露されていたコントだ。大尻と凡尻がリズミカルに動き回る様子がたまらなく可笑しくて、当時からお気に入りの一本だった。だから、このネタが12週連続リリースの幕開けとして選ばれたことは、個人的にちょっと嬉しい。『ハズい』はジャルジャルコントの特徴の一つであるしつこさが取り入れられている。同じ展開を飽きさせることなく見せ続ける職人技が光る。『リアル漫才コント』は漫才師にケンカを売っているパターンのコント。一見すると、単なるナンセンスコントのようだが、福徳が後藤の言動を注意するくだりに皮肉めいたものを感じさせられた。……気のせいかな。『ダダこねサッカー選手』も『ハズい』と同様にしつこさを取り入れたコントだが、やりとりのきっかけがやや不条理なため、『ハズい』とは少し違った味わいを見せている。投げやりなオチも良い。『頭おかしい奴』は純粋に頭おかしい奴の対処法を描いたコント。ただ、終盤の展開を思うと、『徒然草』にある【狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり】を彼らなりに表現してみせようとしていたのかもしれない。頭おかしい奴を演じる福徳、それを乗り越えていく後藤、それぞれの高い演技力も素晴らしい。『南』は地上波のコント番組に出演していた頃のウッチャンを彷彿と。あからさまなコントメイクととてつもなくクセの強いキャラクターが、サイコーに面白い。一部で「ジャルジャルはウッチャンナンチャンに似ている」という仮説がささやかれているが、このコントを演じている後藤の振り切れぶりを思うと、納得せざるを得ない。完全に憑依している。

これらのコントに加え、とあるコントに登場したキャラクターに密着したドキュメンタリーを特典映像として収録。基本的な流れはライブ映像のそれと同じなのだが、映像になっている分、キャラクターに説得力が増しているように感じられた。別のコントに登場したキャラクターたちがさらっと登場する遊び心も丁度良い。12週連続リリースという連続企画モノだからといって、決して手は抜かないという姿勢が感じられた。10月14日リリースの第二弾『ジャルジャルのえじゃら』にも期待が持てる。楽しみだなあ。


■本編【32分】
「大尻・凡尻」「ハズい」「リアル漫才コント」「ダダこねサッカー選手」「頭おかしい奴」「南」

■特典映像【10分】
「上京物語~ミュージシャンを目指して~」

『うしろシティ第6回単独ライブ「すごいじゃん」』(2015年9月16日)



松竹芸能所属のお笑いコンビ、うしろシティが2015年6月から7月にかけて東京・大阪・名古屋・福岡の四都市で開催した単独ライブより、6月28日・東京公演の模様を収録。回を増すごとに開催地の範囲を拡大させ、着実にライブ芸人としての道を歩んでいる彼ら。その表現力もしっかりと鍛え上げられているようで、今年開催された『キングオブコント2015』ファイナリスト十組の中にも選出された。もしかしたら、ライブタイトルの「すごいじゃん」というのは、そんな自らの進化を客観的に捉えて付けられたのかもしれない。ちなみに、うしろシティはこれまでコンテンツリーグからDVDを発売していたが、本作の発売元はTBSラジオ&コミュニケーションズに替わっている。彼らがレギュラー出演しているTBSラジオの番組『デブッタンテ』からの繋がりなのだろうか。

以前にも書いたが、うしろシティのコントは丁度良い。オーソドックスではないがマニアックでもなく、難しすぎることはないが簡単すぎることもなく、アバンギャルドではないがコンサバティブでもない、観る者のコント欲に適度に応えてくれる塩梅が実に丁度良い。設定も普遍的で共感を覚えやすく、良い意味でテレビ的な笑いを作ることの出来るコンビだと思うのだが……多少の揺り戻しが起きているとはいえ、まだまだネタ番組が少ない昨今のテレビバラエティから浮き上がってくるのは、なかなか難しそうだ。『キングオブコント2015』で頑張って結果を残してもらいたい。

そんな彼らの丁度良い塩梅のコントが、本作でも多く演じられている。高校時代の友人が開催した個展を訪れてみると、まったく理解できない不思議な絵ばかりが展示されていて、それなのに感想をしつこく求められてしまう『個展』、古道具屋で時間を止めることが出来るという不思議な時計を見つけ、試しに使ってみたのだが、店主の老人が時計の力で止まっているのか素で止まっているのかが分からない『アンティークショップ』、注文した日替わり定食を食べようとするたびに大事な電話がかかってきて、なかなかお昼ご飯にありつけない刑事の苦悶を描いた『日替わり定食』、奥で誕生日会が催されているという家にやってきた宅配ピザだったが、あるやりとりをきっかけにプツリと賑わっていた声が途絶え……『宅配ピザ』などなど、シンプルなのに捻りが利いていて、どのネタも非常に面白い。

とりわけ印象に残っているのは『ファーストフードにて』と『悪魔』。

『ファーストフードにて』は、別々の高校に進学して会う機会がなくなってしまった金子とファーストフードで再会すると、中学を卒業してから2ヶ月しか経っていないのにモヒカン刈りになっていたというコント。ただ金子がモヒカン刈りになっているというだけなのに、どうしてこんなに面白いのか。金子が童顔だからというのもあるのだろうが、それにしても違和感が物凄い。その違和感をしばらく泳がせておくから、またたまらない。ツッコミを入れず、ごくごく当たり前にお互いの現状について会話を重ねていく日常のリアリティが、金子のモヒカンの存在感を更に色濃くしていく。そして、唐突に繰り出される指摘の一発! このタイミングが実に上手い。丁寧に並べられたドミノを一気に倒してしまうような爽快感のある瞬間だ。無論、ここで終わるわけではない。ここから更に、どうして金子がモヒカン刈りになったのか、その理由までしっかりと語られるのだが……詳細は本編で確認してもらいたい。

一方の『悪魔』は、儀式によって呼び出された悪魔が寿命を代償になんでも願いを叶えてやろうと語りかけてくるコントで……聞いたところによると、『キングオブコント2015』準決勝でこのネタが披露されたらしいので、これ以上の詳細は書かないことにする。果たして『キングオブコント2015』決勝で、このネタはどんな風に編集されているのだろうか……。

ちなみに、特典映像には、ライブの幕間映像を収録。マネージャーの提案をきっかけに、ちょっとシュールに身体を張っている二人の姿が映し出されている。面白いといえば面白いのだが、正直なところ、コントは熟練されて面白くなってきているのに、こういう幕間映像では変なとがり方をしているなあ……とも。まあ、それもまた味か。


■本編【73分】
「授業中」「個展」「私の席」「アンティークショップ」「職員室」「タイムスリップ」「日替わり定食」「宅配ピザ」「ファーストフードにて」「悪魔」「出会い」

■特典映像【12分】
「エピソードトーク1」「エピソードトーク2」「エピソードトーク3」

■音声特典
うしろシティの副音声解説
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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