『放禁王』(快楽亭ブラック)

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(2009/03/19)
快楽亭ブラック

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快楽亭ブラックの落語を観た。このブログでも何度か取り上げてきたので、もはや彼の落語について説明する必要は無いような気がしないでもないが、一応書いておく。快楽亭ブラックの落語は、基本的に差別ネタ・下ネタを多用したフリーダムなスタイルを取っている。それが彼の落語の最大の特徴であり、万人ウケしない所以だ。……ということを改めて説明するのも面倒臭いので、以下、演目を観ての感想を単純に書き連ねていくことにする。

『全女番』
勘当された若旦那が、どれ仕事でもしてやろうかと、やましい気持ちで女子プロレス団体へと奉公に出かけるという噺。女子プロレスラーの水着に欲情するという気持ちは分からないでもないが、レフェリーになって凶器チェックをする時にオ○コを触りまくってやろうという発想は、ちょっと思いつかなかったな(笑) そもそもプロレスというパフォーマンスにそれほど興味を持っていなかったからかもしれない。今時分はテレビで触れられる機会が限りなく少ない“ミゼット・プロレス”(小人プロレス)を演目に取り入れているだけでも凄いのに、更に「だまれ身体○害者!」などというセリフを吐き捨てている姿には、ひたすら失笑。プロレスに詳しい人なら、もっと笑えるんだろうなあ。吉田豪あたり。

『紀州飛脚』
巨大なイチモツの持ち主が飛脚として雇われ、紀州街道を駆け抜けている最中に子キツネの反感を買う。そこで、その親キツネが女に化け、子キツネは女のオ○コに化け、男のイチモツを食いちぎってやろうとする……という噺。如何にも快楽亭ブラックらしい噺だが、これが純粋な古典落語だってんだから、なにやらたまらない。落語というジャンルのキャパシティの広さに感心させられるね、ホント。ブラック師の噺としては珍しく、余計な小咄がそれほど加えられていない(ように思われる)。純粋にエロ噺として成立しているってことだな。うん。

『文七ぶっとい』
落語好きなら知っているだろう、非常に有名な人情噺『文七元結』を元ネタにした噺。簡単に噺を説明する。仕事もせずに博打に狂って借金地獄、挙句の果てに身包み剥がれてどうしようもない男、長兵衛。その借金を返すために、普段から世話になっている吉原へ働きに出ようとする娘、お久。しかし女将が粋な人で「このお久を担保に五十両貸してやる。その間、お久は店に出さない。しかし、次の大晦日までに返さなければ、お久は女郎として店に出す」と長兵衛に告げる。改心した長兵衛は、必ず返すと約束してその金を持って店を出る。ところが、そこで思わぬ状況に遭遇し……。

先にも書いたように、『文七元結』は人情噺。人と人との粋なやりとり・思いやりがしんみりと身に沁みてくる噺である。ブラック師の『文七ぶっとい』もまた、ちゃんと人情噺として展開していく。ただ、やっぱりブラック師はブラック師なので、一筋縄では終わらない。元ネタの『文七元結』に余計な要素を加え、単なる人情噺ではなく、非常にバカバカしい噺としても昇華している。で、普通なら、人情噺としての感動を強調するための、笑いの要素になる筈なんだけれど、ブラック師の場合、感動の要素よりも笑いの要素が強いという……タイトルの通り、良い噺に面白おかしい水を差した噺だったなあ。笑った。

今作で六枚目の単独DVD作品リリースとなったブラック師。そろそろマンネリが来るかと思っていたけれど、まったく飽きることがない。そりゃ、何十年も語り継がれてきた古典落語というバックボーンに、これだけタカが外れた下ネタ・放送禁止ネタをブチ込んでいるんだから、そう簡単には飽きないだろうとは思うけれど。でも、ここまで飽きないっていうのは、ちょっと凄い。なんだろうなあ。味なのかなあ。


・本編(103分)
『全女番』『紀州飛脚』『文七ぶっとい』

・特典映像(19分)
スペシャル対談「浅野靖典「競馬談義」後篇」
FC2 Management

『しゃべくり007』を見た。

『しゃべくり007』を見る。

放送開始当初はそれほど気にしなかった番組だったんだけれど、回を増すごとにメンバーの役割が明確になっていき、今や見逃せない番組のひとつとなってしまった。今日は同時間帯に『やりすぎコージー』のスペシャルと『世にも奇妙な物語』が放送されていたが、色々と考慮した結果『しゃべくり007』を見ることにした。いや、ホントは何も考えていなかったんだけどね。『やりすぎ~』が初っ端からグルメ企画っぽかったので、切り捨てたまで。

今回のゲストは「城田優」「東方神起」「有吉弘行」の三組。どうでも良いけれど、この三組が同じ楽屋にいることを想像して、なんとなく笑ってしまった。当然、楽屋は分けられているんだろうけど。

とりあえず有吉来襲に期待していたのだけれど、発言の多くにピー音が使われていたため、正直物足りず。むしろ、まったく期待していなかった東方神起とのトークが異常に面白かった。有田と東方神起のマネージャーがそっくりだったり、しゃべくりメンバーがアカペラやダンスに挑戦したり、ホリケンとタイゾウが戦ったり。ゲストが芸人系の時よりも、タレント・アイドル系の人の方がやりやすいのかな。

しかし、有吉が言っていた「やりにくい司会者」というのが、気になって仕方が無い。誰だろ。カンペ通りに進行する人で、有吉に一切興味を持っていないような人。うーん……さっぱりだ。

『笑・神・降・臨』延期。

本日、放送予定だった『笑・神・降・臨』の第一回放送が延期。来週になるそうです。せっかく専用カテゴリまで作ったのに、まさかの延期。なにやら肩透かしを食らったような感じですが、楽しみが伸びたということにしますかね。とりあえず。ほんの一週間、呑気に待ちますか。

『カンニング竹山単独ライブ「放送禁止」』

カンニング竹山単独ライブ 「放送禁止」 [DVD]カンニング竹山単独ライブ 「放送禁止」 [DVD]
(2009/03/25)
カンニング竹山村上大樹(拙者ムニエル)

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困った。何が困ったって、『カンニング竹山単独ライブ「放送禁止」』が困った。もっと詳細を書くとすれば、『カンニング竹山単独ライブ「放送禁止」』の内容が困った。もうちょっと詳しく書くと、『カンニング竹山単独ライブ「放送禁止」』が面白くて困った。もうちょっと細かく書くと……あ、いいかげんクドいですか。

はっきり書こう。『カンニング竹山単独ライブ「放送禁止」』の本編よりも、副音声の方が面白くて困っているのだ。いや、だってそうでしょ。普通、副音声というのは本編の単なる付き添いであって、本編を超えて良いわけがないのである。カレーライスを頼んでおいて、カレー自体よりも、添え付けの福神漬けの方が美味いって言うようなもんだ。もしも、それが事実だったとしても、そうそう言えることではない。少なくとも、カレー屋には褒め言葉にはならんだろう。「オヤジ、この福神漬けはカレーより美味いね!」なんて言ってみたら、途端にオヤジは顔を真っ赤にして、「ぬわんだとー!」とか言いながら、厨房の鍋を投げつけてくることが容易に想像できるってなもんだ。昭和の漫画みたいだな。

しかしこれは、はっきり言って副音声のゲストを選んだ人が悪い。だってさ、アンタッチャブル山崎とおぎやはぎ矢作だよ? 人力舎どころか、関東のお笑い界においても唯一無二の実力を持った二人を副音声に招いたら、そりゃ食っちゃうよ。もちろん、竹山さんがつまらないとは言わないよ。でもさ、テキトーでイーカゲンなトークを繰り広げれば天下一品な山崎さんと、そのテキトーなトークを押さえ込むどころか増長させて、更にテキトーな空気を爆発させる技術に長けている矢作さんが、ノンストップで副音声トークを繰り広げたら……そりゃ適わないって。負けちゃうって。

しかもさ、そのトークの内容が殆ど本編と絡んでないっていうのが、恐ろしい。それどころか「竹山さんの下の名前なんだっけ?」とか言っちゃってるし。本編を食っちゃう気マンマンじゃん。副音声としては完全に失格なんだけど、でも面白いんだよなあ。困ったよなあ。お笑いの世界って、面白ければラフ・イズ・オーケイだもんなあ。

と、ここで一周回った考え方をしてみる。今回の竹山さんの単独ライブは、タイトルの通り「放送禁止」がテーマになっている。だから、ライブの内容も<金融会社から四百万引っこ抜く方法>だの、<TENGAを作ったクリエイターのドキュメント>だの、<前田健との同性愛ロマンスショートドラマ>だの、地上波で放送するのはハッキリ言って無理だと言わざるを得ないようなものばかりだ。そんな、異常なほどに濃密なライブを観賞した後は、まるで濃厚な中華料理をこれでもかと口に押し込められたかのような、ギトギトとした疲労感に溺れてしまうことは避けられない。

その疲労感を回復するために、この山崎&矢作による無責任副音声トークという爽快デザートが収録されていたのではないか、と。この副音声に、竹山さんの視聴者に対する気遣いがあったのではないか、と。実は本編を心から楽しんだからこそ、この副音声を心から楽しむことが出来たのではないか、と。……いやー、無理あるかな(笑)

個人的な考えとしては、あまり竹山さんの良さを引き出せたライブにはなっていなかったような気がするなあ。いや、確かに面白いよ。金融会社の話も、TENGAの話も面白かった。でも、今のバラエティでの竹山さんに慣れてしまっているからなのか、どうも違和感を覚えるんだよね。昔の、まだ売り出し始めた頃の竹山さんだったら、まだ必死さにリアリティがあったと思う。でも、今の竹山さんがこういうギリギリな感じのライブをするのって、ちょっと似合わないというか、遅すぎるというか。少なくとも、金融会社で金を借りる方法を「今」のテンションで語られてもなあ……という気持ちはあった。ただ、アングラな笑いが好きな人なら、必見。これはもう、間違いない。ギリギリの笑いが好きな人、テレビでは出来ないような話が好きな人は、純粋に楽しむことが出来ると思う。

余談。マエケン脚本のショートドラマ、普通に良作でした。む。


・本編(98分)
『act.1 ためになる漫談』『act.2 リサーチ漫談』『act.3 ショートドラマ「最後の夏」』『act.4 オヤジの話』

・特典
山崎弘也と矢作兼による全編副音声コメンタリー

高田節


生きていることに疲れているのかしら。高田渡の音楽を、何故だか無性に欲しくなっている今日この頃。僕にとってのフォークソングというと、泉谷しげるとか吉田拓郎あたりのイメージが強いのだけれど、どうもこのところは高田さん。文夫じゃなくて、渡なのである。なんだろうなあ。やっぱりちょっと疲れているのかなあ。先が見えない不景気の最中。それぞれがそれぞれの意見を持った、今の時代の空気はよもや、六十年代フォークソング期の様。時代の繰り返し中?

『パペットマペット 牛蛙祭り』

パペットマペット活動10周年記念ライブ「牛蛙祭り」 [DVD]パペットマペット活動10周年記念ライブ「牛蛙祭り」 [DVD]
(2009/03/18)
パペットマペット

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そういえば、彼らの存在を僕はとても当たり前に受け入れていたような気がする。考えてもみれば、かなり独特の存在感である筈なんだけどね。黒い覆面を被った謎の男を背景に、ショートコントを繰り広げるウシくんとカエルくんの名コンビ。どうしてウシ? どうしてカエル? そんな疑問を感じることなく、ただ笑える存在として捉えられた当時の自分の鈍感さに、ちょっとだけ苦笑い。いや、見た目の強烈な印象よりも、芸の達者さが目立っていたということなのかもしれない。実際、彼らは当時から面白かった。そして、今でもしっかりと面白い。

そんなパペットマペットが、活動十周年を記念した単独ライブを行ったという。あのスタイルで十年も続けてきたということにも驚いたが、それ以上に、活動十周年を記念した公演を行ったということに驚いた。見た目通り、アンダーグラウンドな土壌を中心に活動してきたパペットマペットは、今回の様な活動○周年記念ライブというタイプの催し物をしないだろうというイメージがあったからだ。考えてもみれば、パペット人形を扱ったピン芸人としてではなく、あくまでもウシくんとカエルくんのコンビであるという設定を貫き続けているパペットマペット。実はかなり、真面目な性格なのかもしれない。

パペットマペットというと、やはりショートコントというイメージが強い。事実、『爆笑オンエアバトル』で披露したネタの多くはショートコントだったし、R-1ぐらんぷりの決勝戦で披露したネタもやはりショートコントだった。しかし、今回のライブでは、ショートコントを一切封印(※特典映像のみに収録)。長めのコントを六本、本編で披露している。例えば、カエルくんがアルバムで自分の人生(蛙生?)を振り返る『カエルのアルバム』だとか、カエルくんが落語に挑戦する『落語』だとか。しっかりとパペットマペットらしさを滲ませた、独特の世界観のコントを展開させていた。ちょっとモニターネタ多め?

中でも印象に残ったのが、『かくれんぼ』というコント。ウシくんとカエルくんがかくれんぼをするだけのコントなのだが、二匹がパペット人形であるということを最大限に利用しているのである。ウシくんとカエルくんのコンビという設定にこだわりつつも、時たま、実はパペット人形であるという事実にさりげなく触れているのだ。パペットマペットが十年も活動を継続することが出来たのは、そんな真面目だけれど凝り固まらない柔軟な発想があったからなのかもしれない。何気にパペットマペット、単独DVD何枚も出してるし。人気もあるようだ。

活動十周年を迎えるも、まだまだネタの精度を落とすことなく、自らのスタイルをじっくりと掘り下げ続けているパペットマペット。もはや単なるアンダーグラウンド芸人の輪から抜け出して、芸の味で観客を魅了する演芸場系統の芸人らしさが滲み出てきた(別にウシくんとカエルくんが汚れてきたわけではない)。これから更に、その笑いのスタイルに味わい深さが生じてくるだろう彼の活躍に、今後も期待していきたい。……前の単独(『擬態』)スルーしていたけど、ちょっと気になってきたな……。

特典映像には、ライブで披露された幕間映像やホームページで集められた質問企画、特別ゲストを招いたスペシャルトークなどが収録されている。あくまで個人的な意見だけど、こういうのは本編に収録しておいた方が、ライブの様子をより再現できるので良いのではないかと思うのだが……うーん。ちなみに、スペシャルトークのゲストは全八公演それぞれ違うゲストが招かれた模様。今作には空手家の小林由佳映画監督の河崎実とのトークが収録されている。『いかレスラー』『かにゴールキーパー』などの着ぐるみ作品を監督している河崎監督と、人形的な意味で盛り上がるパペットマペットの姿は、なかなかに奇ッ怪だった。ちなみに、河崎監督による新作『猫ラーメン大将』は、パペット人形を駆使した作品だという。次回作にはパペマペが採用か!?


・本編(約48分)
『記者会見』「オープニング」『カエルのアルバム』『落語』『かくれんぼ』『サトリウシ』「エンディング」

・特典映像(約82分)
「4コマ漫画」「うしの寝起きドッキリ」「パペットファイター」『緑神様』『スペシャルトークゲスト「空手家:小林由佳」』『スペシャルトークゲスト「映画監督:河崎実」』『ショートコント その1』『ショートコント その2』

※ちなみに、この七日間のトークゲストは「尾辻舞(tvkアナウンサー)」「エレキコミック今立」「小林由佳」「河崎実」「林家彦いち」「江戸むらさき」「鉄拳」「ライセンス藤原」の八組(全八公演)。ライセンス藤原? ……あ、『爆笑問題のバク天!』繋がりか。

中学生とはなんぞや

半田市の中学生が「女教師を流産させる会」結成 まとめwiki

悪ふざけで付けられただろう会のネーミングが一人歩きしているけれど、それさえ除けばどうってことない話と言えなくもない。言えなくもないってだけで、妊婦だと分かっている女性に対してそういう悪戯をしたという点では、やはり許されるべきではないだろうけど。それに、こういう行為を受けたという事実が発覚したことで、この先生は相当な精神的苦痛を感じただろうから、そのストレスで流産する可能性は否めないだろうし。そうなってしまった時の責任は、やっぱり「女教師を流産させる会」に背負ってもらえば良いのだろうか。こういう具体的な名称があると、なんとなく訴訟を起こしやすそうだ。

それにしても興味深いのは、一連の“教師イジメ”を行った集団が自ら、「女教師を流産させる会」というれっきとした名称の存在する会として名乗りを上げていたという点。僕はあまりイジメ問題に対して詳しくないのだけれど、個人的にイジメというと自然発生的に始まっていくものだという認識があった。でも本件における教師イジメは、明確な目標を提示した会が中心となって始められたものだと言われている。その場その場で突発的に相手へ不快感を与えるイジメと、特定の目的の元に相手へ不快感を与えるイジメ。何をやるのか分からないという意味では前者の方が怖いけど、“流産”という極めて悪質かつ明確な目的が存在しているという意味では後者の方が怖い。

とりあえず、この会に参加していた面々は皆、両親に引っ叩かれるべき。それでどうなるかは分からないけれど、そのくらいの罰は与えられて然るべき。別に体罰至上主義者ではないし、それで目が覚めるかどうかは分からないけれど、世の中にはやっていいことと悪いことがあるいうことは分からせなくてはならんだろうなあ。バチコーンっと。

シティボーイズミックスPRESENTS『オペレッタ ロータスとピエーレ』

シティボーイズミックス PRESENTS オペレッタ ロータスとピエーレ [DVD]シティボーイズミックス PRESENTS オペレッタ ロータスとピエーレ [DVD]
(2009/03/25)
TUCKER

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大竹まこと、きたろう、斉木しげる。劇団員だった三人によって結成されたコントユニット“シティボーイズ”によるライブ公演が、今年も無事に開催されるようだ。年に一度だけ行われるのが恒例となっているライブではあるが、そろそろ年齢的に厳しくなってきているのではないかと、どうも不安になってしまう。なにせ、メンバーで最も若い斉木しげるでさえ、今年で六十歳を迎えるのだ。不安にもなるというものである。

不安を感じるのは、なにも体力的な部分だけではない。ここ数年、シティボーイズのライブ公演は、少しずつ大人しくなっている。それは単に、メンバーによるドタバタコントが減ってきたという話ではないし、大人としての渋味が増してきたという話でもない。ただ、大人しくなっている。特に先の公演『モーゴの人々』は例年に無いほどに大人しい内容で、今後はこの傾向が強くなっていくのではないかと、少しばかり不安を覚えた。

しかしその不安は、オープニングコントを観て、スッキリと吹き飛んでしまった。オペレッタ用の衣装を身に纏い、一人で舞台に立つきたろう。後の背景から登場する、斉木しげると中村有志。三人でピエーレさんをオペレッタ風に呼ぶ。そこに大竹まことも現れる。四人で歌い始める。するとそこへ、ピエール瀧演じるピエーレさんがボブスレーに乗って登場。そして一言「オペレッタ、終わり!」。意味が無い。ひたすらに無意味で、妙にエネルギッシュな空間。これこそが真骨頂。僕がかつて心底愛した、シティボーイズの無意味さだった。

その後も無意味に、ただひたすらに無意味に、時間は過ぎていく。前衛音楽を披露して批判し合う会。恩人の妻も息子も飼っている猫さえもが初老の親父に見えてしまう男。抑圧から解放された人々による仮面トークショー。“後には何も残さない、何も残らない”というシティボーイズのコント観は、今も変わらず生きていた。

とはいえ、終わりが見えてくるにつれ、少しずつ大人しくなっていったようにも感じた。言うなれば、スタミナ切れ。これもまた、最近のシティボーイズライブにおける傾向の一つだ。昔なら、ライブの終わりまで持続させていたテンションが、途中で明らかに途切れている。最後に披露されたキャラクターショートコントには、ちょっと笑ってしまったが。なんとなく、尻すぼみな展開になってしまった感は否めない。

この2009年で、結成三十周年を迎えることとなるシティボーイズ。特別な年には、何か特別なことを起こすのではないかと勘繰っているのだが、果たしてどうなるか。この際、大人しくなるのは仕方ないと納得するから、どうにかして全体の流れを整えてもらいたいところだが……。この辺りは、演出の細川徹に頑張ってもらうしかないだろう。そういえば、十年ごとに演出家が替わっているシティボーイズのライブ公演。順番で言うと、来年で細川徹は交替ということになるわけだが……こちらもどうなるか。


・本編(約110分)
『ピエーレさん、来る』「オープニング」『軍服の男たち』『前衛音楽の会』『初老の人々』『訓練』「斉木しげるの泣く演技」『騙される男』『仮面トークショー』『オレだっ!!!』

※コントタイトルは存在しないため勝手につけたものです

カンニング竹山は良い人。

なんとなく、久しぶりに「探偵ナイトスクープ」を観る。探偵役としてカンニング竹山が登場。東京から岡山まで五時間かけて来たという。仕事とはいえ大変だ。それで、その依頼というのが、なんと「無くしたオモチャを探してほしい」というもの。依頼人の子供の家に行く竹山。しかし不在。街中を探して発見。会ってみると、携帯電話を持っている。なんだ、このとんでもないグダグダさは。

再び依頼人の家へ。そのオモチャを無くしたという部屋。無くしたのは、プラスチックで出来たスライムベスのオモチャ。驚くべきことに、スライムベス(というかスライム)を知らない竹山。ぷよぷよは知ってるのに。なんだか意外だ。何故かは知らないけれど、僕は竹山さんのことをゲーマーだと思っていた。なんでだろう。売れなかった時代に、ファミコンのコントローラーをパチパチやっていた印象がある。……エレファントカシマシの宮本浩次とシンクロしてるな、なんか。

捜索開始。そのオモチャを寝転びながら天井に向かって投げて遊んでいたら、うっかり落としてしまったという依頼人。落としたと思われるあたりに、やたらとゴミが詰め込まれたゴミ箱が置いてある。依頼人曰く、オモチャを無くしたときからゴミを捨てていないらしい。大量のティッシュを見て、竹山「小学生だよね!?」

結局、ゴミ箱とは反対側に置いてあった手提げ袋の中から、スライムベス発見。しめやかに説教を始める竹山。探す努力をしよう、とかそういうことを言っていた。それまでの経緯がグダグダで面白かったので、その辺りのことは完全に忘れてしまった。全てが終わり、撤収を始めようというときに竹山「せっかくだから、何か頼みたいことある?」。すると依頼人「ない」。ここでVTRは終了した。なんじゃそりゃ!?

VTR後の竹山によると、部屋に入ってからスライムベスを発見するまでに経過した時間は、なんと三十分だったそうだ。短い。移動時間が五時間なのに。更にこの後、撤収しようとしている竹山に依頼人が「頼みたいことあった!」と言い、部屋のテレビのチャンネル設定をさせられたという裏話を。こちらにかかった時間、なんと二時間。本来の依頼よりも時間がかかってる!

竹山って、良い人だなぁー……という感想が強く残った回だった。

普通だよ!! タモリさん

先日、偶然にもタモリが出演している金融会社のコマーシャルを目撃、鑑賞した。タモリがどういうコマーシャルに出演しようが知ったことではないが、そのコマーシャルにおけるタモリの役割が別にタモリではなくても成立するものだったのは、どうかと思った。しかもこれといってユーモアがあるわけでもなく。なんというか、普通の退屈なコマーシャルだった。

そりゃ、金融会社はその存在だけで胡散臭い匂いを醸し出してしまっているのだから、コマーシャルでは出来るかぎり胡散臭いイメージを払拭すべく、清潔を通り越して潔癖とも言えるような清涼感溢れる雰囲気を作り出したいという意図があることは理解できる。しかし、それならどうしてタモリを採用したのか、と。昼夜問わずグラサンかけて、たびたび奇声を上げて、イグアナのモノマネを得意とするお盛んなハッスル爺さんを採用したのか、と。胡散臭い会社が清涼感溢れるコマーシャルを作るために、胡散臭い芸人を選択するというのは、矛盾なのではないか、と。

かつて、高田渡の『自衛隊に入ろう』を聞いて、自衛隊に入った人がいたらしいが、今回のコマーシャルはどうもそういう“ズレ”を感じさせられた。かつての密室芸時代のタモリを知らない人でも、これには違和感を覚えたんじゃないかネ。とりあえず、僕は苦笑いを浮かべてみた。



この“間”は、ボケる間だよねえ……。

こぼれた言葉

「すげぇ……ベッキーだった……」

『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』にて、麦芽の小出真保が披露した「スタッフにダメ出しをするベッキー」のモノマネを見て、関根勤が珍しく真顔で漏らしたコメント。この時、小出が披露したベッキーのモノマネとは、テレビの前では見せない毒っぽさを持った、いわば裏の顔を模倣したものだった。それを、日頃ベッキーのことをベタ褒めしている関根が、思わず称賛の言葉をこぼしたことに、僕は思いのほか衝撃を受けてしまったので、ここに残しておくことにする。

追記。決勝に小出の姿は無かった。何故だーっ!

陣内智則の孤独な世界

陣内智則 NETA JIN [DVD]陣内智則 NETA JIN [DVD]
(2004/08/11)
陣内智則

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陣内智則が離婚したそうだ。以前より、不釣合いな夫婦だなんだと言われていた二人ではあったが、こうもアッサリ離婚することになるとは思わなかった。振り返ってみれば、あの盛大な結婚披露宴から二年しか経っていない。あれだけ盛り上げておきながら、とんだスカシっぷりである。せめて……という言い方はおかしいかもしれないが、せめて井戸田潤・安達祐美夫婦の三年半という記録くらいは抜いてもらいたかったものだ。抜いたところで何がどうなるわけでもないが。

報道によると、離婚の原因となったのは陣内の浮気なのだそうだ。当初は“ドメスティックバイオレンス”があったという話も持ち上がっていたが、最終的に“浮気”という形で落ち着いたようだ。なんとなく、嫁の側が押し付けてきた二者択一の選択から、幾らかマシな印象を与える方の原因を拾い上げたような印象が残るが、当人がそのように認めているということは、そういうことなのだろう。なにはともかく、これから独身貴族として再び花を咲かすことになるだろう陣内智則に、お笑いフリークとして温かいエールを送りたい。

陣内智則といえば、アンジャッシュ・ドランクドラゴン・インパルスらと共に、『エンタの神様』にて21世紀初頭のお笑いブームを支えてきた功労者である。映像や音声を駆使した一人コントという、これまでにあまり類を見ないスタイルで、多くの笑いを獲得した。

とはいえ、彼のコントは決して独創的だったわけではない。そこで巻き起こる展開や繰り出されるボケは、どちらかというとベタでオーソドックスなものが多かった。だからもしも、陣内のコントにおけるボケの部分を一般の漫才師が演じていたとしたら、それほど笑いを得ることはなかっただろう。そう考えると、陣内は「ネタの独創性=笑い」という某松本人志的思想が必ずしも正しいわけではないということを、改めて我々に提示した存在だったと言えるのかもしれない。オーゲサ?

そんな陣内のコントは、いつも孤独だった。通常、一人コントというのは、会話の相手が存在するという前提の元に進められるものだ。イッセー尾形、小柳トム、友近、劇団ひとり、バカリズムなど、過去の例を列挙すればキリが無い。勿論、それには理由がある。たった一人で舞台に立つ場合、空想の対話相手が存在している方が、コントを進めやすいからだ。しかし、陣内のコントには、必ず音声や映像が付いてくるため、そういった対話が必要無い。故に、テレビと対話している老人の様な孤独感が、彼のコントには付き纏う。

以上のことをまとめると、陣内智則は「ハイテクな装置」を利用したコントで「孤独な世界」を作り出す、「女たらし」な芸人だということになる。つまり、陣内智則とは、和製ジェームズ・ボンドだったのである。なるほど。ボンドガールを希望していた元嫁と不釣合いな結婚をした理由も、それならば合点が行くというもの。ならば、メッセンジャー黒田はフィリックス・ライターで、ケンドーコバヤシとたむらけんじは悪の組織スペクターの一員といったところか。関係ないけど、くまだまさしはブロフェルドっぽい顔をしている。髪型だけ。ハゲ。

話を戻す。

今では関西タレントとして、それなりに求められる立場にあるという陣内智則。今回の離婚騒動において、その立場に変化が生じるかどうか。なんとなく、周囲の芸人たちがフォローして、関西での活動を続けていくような状況になりそうな気がしないでもないが、どうだろう。あまり関西ローカルに詳しくない僕としては、ただひたすらに心配するだけである。無責任。

2009年4月の購入予定

01『ラーメンズ第16回公演『TEXT』』◎
15『関根勤の妄想力 南へ』◎
22『ロザンの08ベスト+』△
22『SWAのDVD』○
24『江頭2:50のピーピーピーするぞ!3 引くに引けない逆修正バージョン』○
29『漫才ゴールデンエイジ1 PASSION!』▲


注目は、なんといってもラーメンズ。結成十年目という節目の年に行われた、第16回公演『TEXT』ですよ! BS放送・NHK総合で放送されたのをどちらも観賞しましたが、過去の公演の中でもバツグンの出来映え。その時の映像は録画して残してあるので、別にDVDを購入する必要も無いんですけどね。でも、こういうところでケチケチしちゃいけないわけですよ! 宵越しの銭は持たないわけですよ! いや、貯金はそこそこあるけどね! どっちだよ!

それから、安定性という意味では確実なのは『関根勤の妄想力』シリーズですね。過去の二作品はいずれも鑑賞していますが、非常に良い出来です。わざわざ作られた映像もなかなかですが、なにより関根氏の妄想トークが良い。味があります。話の中身はバカだけど(笑)

個人的に注目しているのは、やはりSWAですかね。創作話芸協会。創作落語好きとしては、どうにもこうにも気になります。メンバーも豪華ですよね。林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎。面白いかどうかは知らないけどね! でも気になるよ! 同じ日に『春風亭昇太2 26周年記念落語会-オレまつり』とかいうCDも出るらしいから、そっちも宜しくね!(もはや宣伝係)

……四月はあんまり出ないから助かるわい(本音)

『一杯いきますか!!ある意味、不器用です。』

一杯いきますか!!ある意味、不器用です。 [DVD]一杯いきますか!!ある意味、不器用です。 [DVD]
(2008/08/08)
平泉成板尾創路

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三人のサラリーマンが、居酒屋を舞台に繰り広げる他愛の無い日常を描いたドラマ。原作が石原まこちんの漫画であること、舞台が飲食店であること、主要人物が三人であることなど、『The 3名様』との類似点は少なくない。メインキャストは平泉成、板尾創路、矢作兼(おぎやはぎ)。監督はマッコイ斉藤、脚本はオークラ。『劇場版 ピューと吹く!ジャガー』のコンビが担当している。

フリーター三人による果てしなく無軌道な会話が魅力的な『The 3名様』だとしたら、今作はサラリーマン三人による所帯染みた会話が醸し出す哀愁が大きな魅力となっている。方向性としては、なんとなく『男の生活』(中嶋タツヤ原作のドラマDVD。奇しくも、今作に出演している板尾創路が主演を務めている)に似ている。それ故に、『The 3名様』に見られる無意味さ・下らなさを期待して観賞すると、肩透かしを食らった様な気持ちになることだろう。……まあ、その辺は福田雄一とマッコイ斉藤の笑いの構築方法の違いも、大きく関係しているのだろうが。比較的、ベタな笑いが好きな人向けかもしれない。

特典映像には「石原まこちん×マッコイ斉藤×矢作兼 対談」を収録。個人的には本編よりも、こちらの方が印象に強く残っている。「石原まこちんという名前の由来」「マッコイ斉藤は子供びいき」「平泉成の役者魂」「石原まこちんはダメ人間」「福田雄一による面白くない企画『早朝様子見』の話」などの話をしていた。マッコイ斉藤って、今更ながら面白い人なんだなあ。エピソード持ちすぎ。

『放課後プレイ』(黒咲練導)

放課後プレイ (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション)放課後プレイ (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション)
(2009/01)
黒咲 練導

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『放課後プレイ』という漫画を読んだ。なんというか、物凄く悶々とする漫画だった。まず、エロいよね。とにかくエロいよね。具体的に言うと、表紙の女の子がエロいよね。異常に長髪だし、黒髪だし、黒タイツだし。背が高いし、靴はヒールだし、いつも制服だし。そんな彼女が、彼氏相手に長ァーい足を繰り出す。時に踏み、時に蹴り、時に足を組む。ああ、エロい。エロいじゃないな、もはやストレートにエロスと言うべきか!

そんな二人がやることとは! ……彼の家で、テレビゲーム。ひたすらゲーム。これでもかとゲーム。どうしてゲームなのかというと、この漫画を連載している雑誌が「電撃プレイステーション」だからだ! なるほど。つまり“ゲームをやっているような輩でも、こういう彼女を作ることが出来るのだ”という暗示をかけているわけだな。策士! この策士め! おとっつぁんは感動のあまり涙が止まらねエやァ! ……別に感動する場面では無かったな。泣き損。

そうそう。泣くといえば、この彼女もよく泣く。見た目、如何にもサディスティックな雰囲気を醸し出している彼女だけれど、実は、彼氏に怒られたり、ちょっと期待していた態度とは違う態度を取られたりしただけで、グスグスと泣き出してしまう。普段は! 高圧的なのに! 実は! 彼氏にとってもゾッコン!(古) くぁー、たまんねェなチキショウ! おとっつぁんはかんど(以下略) で、そんな彼女の姿を見て、彼もまた赤面しちゃったりするんだよなあ。うあー。そうなんだよなあ。こういう初々しい感じに、余計悶々とさせられるんだよなあ。アー、モウ! ヤンナッチャウワ!

で、何気にこの漫画が凄いのが、全編四コマで展開しているところなんだなあ。ちょっとアダルトなシーンも、妙にしんみりするシーンも、全部が全部四コマ。でも、いわゆる四コマの形式は取っていない。四コマ目になってもオチ無いことだってある。でも、四コマ漫画という情報が限られた空間の中で描くからこそ、彼女というキャラクターのフェティシズムな部分がより強調される。だから、この漫画は四コマじゃないと成立しない。オールドタイプな四コマ漫画としての楽しみ方は出来なかったけれど、イレギュラーとして、こういう作品が存在しても良いと思った。というか、こういう描きかたをした四コマって、実は初めてなんじゃないだろうか。よく知らないけれど。

掲載誌の関係上、ややマニアックなゲームネタが散りばめられていて、よく分からないと感じる部分も少なくなかったけれど、漫画としてちゃんと面白かったなあ。しかし……最後の最後で彼女が彼の家に泊まりに来るって展開は卑怯だろ! もはや悶々ゲージはフルスロットルでハミングバードでハイなテンションは最高潮だ!(意味不明) くそっ! 思春期ボーイを惑わせやがるなあ、もう。
プロフィール

菅家志乃歩

Author:菅家志乃歩
コントが好きな人。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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https://twitter.com/Sugaya03

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