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『髭男爵 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発』復習編

髭男爵 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 [DVD]髭男爵 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 [DVD]
(2008/10/29)
髭男爵

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『エンタの味方!』第二期生が発表された当時、僕はマシンガンズの存在に違和感を覚えていた。というのも、当時のマシンガンズというと、女性をターゲットとしたボヤキネタばかりを披露していて、『エンタの味方!』みたいな特定のテーマに沿った漫才を披露しなくてはならない番組に、彼らはそぐわないのではないかと思っていたからだ。まあ、実際に蓋を開けてみたら、想像以上に彼らの芸の幅は広かったんだけど。

でも、今になって思うと、僕はむしろ髭男爵の存在に違和感を覚えるべきだった。何故なら、第一期生(ハマカーン・流れ星・キャン×キャン)の顔ぶれを見たら分かると思うけど、『エンタの味方!』のレギュラーになる若手芸人って、「ネタは面白いけど地味」なコンビばかりだったからだ。事実、髭男爵を除いた二組は、その流れに則っている。でも、当時の僕は、髭男爵の存在にまったく違和感を覚えることなく、それを受け入れてしまっていた。たぶん、彼らの芸が好きだったからだろう。愛着は理屈を越えるのだ。ラブ・イブ・オーバー!(意味が違う)

さてさて。髭男爵といえば、とにかく「貴族の衣装を身に纏い、貴族のフリをして、貴族の御漫才を披露する貴族のコンビ」というイメージが強いのではないかと思う。実際、そうなんだけど。ただ、彼らが売れた理由は、決して「貴族のキャラクターを演じたから」などという表面的な理由ではない。まあ、それも要因の一つではあるのだけれど。

彼らが有名になった今となっては、知っている人も多いのではないかと思うけれど、髭男爵は最初から貴族を演じていたわけではない。コンビ結成当初は、フツーの漫才師だった。が、そのうち、山田が男爵を名乗るようになり、貴族と平民のギャップをネタにするようになった。なんでも、くりぃむしちゅーの上田が「髭男爵ってコンビ名なのに、髭でも男爵でもねーじゃねえか!」とツッコミを入れたのが、キャラ変更のキッカケだったらしい。そんな「貴族始めました」の頃の彼らが、オンエアバトルでネタを披露している姿を、二度ほど観たことがある。貴族キャラに転身する前のネタを、貴族スタイルに改変したものだった。この後、平民の側からツッコミを入れていたひぐち君が、召使キャラに転身して、現在のスタイルになったのだ。うん。

ただ、コンビとしての髭男爵が完成されてから、現在の漫才スタイルへと移行するまでには、少しだけ時間がかかる。というのも、貴族と召使のスタイルが完成された当初、彼らが演じていたのは“貴族のお漫才”ではなく、“貴族がお送りするショートコンツェルン”だったからだ。ショートコンツェルンとは、貴族と召使に扮した二人が、「貴族の間ではバカウケだけど、その面白さが平民に伝わるかどうかは分からない」というショートコントのことだ。そして実際のネタは、オチが見え見えなショートコントを披露し、その後で山田がフォローを入れるというもの。要するに、スベリ芸である。

この時、髭男爵はある手法をネタに取り入れる。その手法とは、ショートコントのオチになった瞬間、二人が手にしているワイングラスを互いに打ち鳴らす、というものだった。このワイングラスこそ、髭男爵が売れた最大の要因だったのではないかと、僕は考える。ワイングラスを使うことによって、髭男爵が生み出したもの。それは、聴覚的な刺激だ。髭男爵といえば、まず思い出されるのが二人の貴族らしさ溢れる衣装。この衣装は視覚的な刺激を生み出している。ここへ更に、ワイングラスを打ち鳴らして発生する音の聴覚的刺激を加えることで、彼らの印象をより強固なものへと進化させたのだ。

勿論、ワイングラスは芸自体にも影響を与えている。先にも書いたように、髭男爵のショートコンツェルンは「ショートコント→フォロー」というすべり芸の形式の上で成り立っている。ここにワイングラスの音を加えることで、ショートコンツェルンは「ショートコント→ワイングラスの音→フォロー」という形式になる。この形式において、ワイングラスの音はショートコントの終わりを告げると同時に、山田のフォローの始まりを物語っている。つまり、ワイングラスの音は、観客がより髭男爵の笑いを理解しやすいフォーマットとしての役割を担っていたのである。

このフォーマットを利用して作られたのが、“貴族のお漫才”だ。形式としてはショートコンツェルンとほぼ同じで、一見すると、ただショートコントとして独立していたネタ群を、一つのシチュエーションにまとめただけの様に見える。ただ、山田がツッコミ役として、ひぐち君がボケ役として、それぞれポジションを明確にしている点が、ショートコンツェルンとは大きく違っている。また、これまで、スベっているのは「上流階級の笑いと庶民の笑いの違い」を言い訳にすべり芸を展開していたショートコンツェルンに対し、この貴族のお漫才は、すべり芸だけではなく、ちゃんと漫才のネタとして成立するボケを生産するようになった点も、忘れてはならない。

以上のことから、髭男爵のネタとワイングラスは、切っても切れない関係性であることが分かっていただけたのではないかと思う。が、今作において、髭男爵はワイングラスとの離別を図っている。例えば、古書を持ち出して読み物漫才を展開したり、貴族のあるあると称した妄想ネタを繰り出したり、セクシーオリンピックなる奇怪なフェスティバルを催したりしている。恐らく、ワイングラスを持ち続けることで、自らのイメージが定着し、そのまま一発屋として埋没してしまうことに対する危機感からの工夫なのだろうが、いずれもワイングラスの聴覚的刺激を上回るほどの印象を与えていない。

間も無く『髭男爵 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 ファイナル』をリリースする予定の髭男爵。そこでも恐らく、ワイングラスからの離別を図っているのではないかと思われるが、果たして、その実験は成功しているのだろうか。それとも、それらの目論見は全て失敗し、彼らは再びワイングラスと向き合うことになるのだろうか。楽しみである。
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『爆笑トライアウト』五月二十九日放送 感想文

あきげん(マセキ芸能社)
ボケの秋山がツッコミの石井を持ち上げ続ける漫才。トップバッターということもあり、元気のある彼らは適役だったという感。「泥酔していた」以後の畳み掛けは、個人的にちょっとツボだった。

麦芽(太田プロ)
漫才『旅行』。ボケの小出は『細かすぎて伝わらない……』にピンで出演できるほどの芸達者で、今回のネタでも優香のモノマネで観客の心を地味に掴む。が、とにかく漫才の構成がヘタクソ。丁寧にすべきところをすっとばし、どんどん突き進んでいった結果、観客を大いに置いていくことに。ボケ自体はなかなか面白かったので、何か一皮剥ければ、一気に面白くなりそうな予感。

ザクマシンガン(プライム)
漫才『美容院』。序盤、漫才コントというスタイルを利用したボケが、とにかく畳み掛けられる。中盤からは、節々にさりげないボケを組み込むスタイルの漫才コントにシフトチェンジ。なかなか面白い。ツッコミの人は、少しくりぃむ上田の影響を受けてるのかな。ネタの作りが丁寧で、なかなか好印象。

フィフティーカーニバル(サンミュージック)
コント『出待ち』。安川の女装が妙にリアルで、微妙にイヤらしい目で見てしまった。……そっちに興味は無いからね。出待ちしている女性が当の芸人を嫌っているという典型的な不条理コント。あ、でも途中から芸人の精神が崩壊していく展開は、ちょっと新しかったかも。サンミュージックは変な芸人が多いなあ。

S×L(人力舎)
コント『東南アジアの友だち』。ボケの酒井が、ちょっとキングコング梶原っぽい。ツッコミの加藤は、山陽ピッツァのビーストっぽい。独自の遊びを開発するスタイルのコント。加藤の戸惑いツッコミが面白くて、そこそこ楽しめたけど、もうちょっと掘り下げたボケが欲しかった気がする。

ジンカーズ(ニュースタッフエージェンシー)
ショートコント『ドッキリ』『タッチ』『道案内』『天国』。ダブルブッキングとか、ロッチとか、そっち系のコント。じわじわと迫ってくる笑いのウェーブがたまらなかった。ただ、『道案内』でのネタが、他の芸人のネタをパクったみたいな空気になってしまったのが、ちょっと気になった。そこは気にせずに笑ろとけー。

インポッシブル(東京吉本)
コント『必殺仕事人2009』。社会的に見て、どちらかというと弱者の様な扱いを受けている人たちが、実は必殺仕事人だという、ギャップを笑いにしたコント。とてつもなくベタなことをやっているんだけれど、エネルギッシュな演技力で上手くカバーしていた感。ちょっと平成ノブシコブシを彷彿とさせた。

キンデルダイク(baseよしもと)
コント『野球部』。「河川敷だぞ!」というツッコミが、とにかくツボに入った。その後の展開も、細かいボケとそれを細かく拾い続けるツッコミが、いちいち面白かった。面白かったけれど、SPEEDのくだりでちょっとぐだったか。

シーランド(ホリプロコム)
漫才『夢』。最初は典型的な若手芸人の漫才かと思ったが、途中からボケが「虫になりたい」と言い始めてから、一気に空間がカオスに。とはいえ、きっちり笑いとして昇華していたのは、立派だった。

(ワタナベ)
コント『マル休さん』。バラエティ番組に出ているときもそうだけど、この人の徹底したチャラ男キャラにはいつも感心させられる。主人公の「マル休さん」という名前が、もう素晴らしいもの。「土日ガッツリ修行だも~ん!」には吹いた。オチが微妙に反社会的な感じなのが気になった。

以下、結果。
 

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2009年6月の購入予定

03『髭男爵 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 ファイナル
03『三拍子 in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 ファイナル
03『マシンガンズ in エンタの味方! 爆笑ネタ10連発 ファイナル
03『ラーメンズ第7回公演「news」
17『クワバタオハラ単独ライブ 愛・恋・LOVE
17『関根勤の妄想力 北へ
17『エレキコミック第17回発表会『了解。今むかってる。』
24笑魂『サイクロンZ ハイパーソウル ~スーパーヒーロー参上~
24笑魂『ゆってぃ ちっちゃい事は気にするな ~ワカチコTOUR2009~
24笑魂『フォーリンラブ 嫌いになれない!!
24笑魂『ヒカリゴケ ケツエン
24笑魂『Wエンジンの惚れてまうやろーっ!! ~モテない男の心の叫び~
24『ザブングル 単独ライブ ~呆~
24『バカリズム ライブ 「勇者の冒険」
24『板の上』(矢野兵動)
24『ウルグアイから来た男~ネタツアー~』(ザ・プラン9)
26『マキタスポーツの上京物語

クソッ! 銭がいくらあっても足りないぜ! ……という感じの六月。とりあえず、見どころとしては『エンタの味方!』最後の公式DVD、笑魂シリーズ第五弾、ラーメンズ・エレキコミック・バカリズムの単独ライブかな。あ、あと矢野兵動の漫才ライブDVDも気になるし、マキタスポーツのコミックソングも気になる。切るところが無いよなあ、まったく。……いや、いざという時の切り捨てはあるけど。どれが切り捨て要員なのかは、秘密。

追加情報。今回でラストとなる『エンタの味方!』公式DVDに、どうも未放送漫才として「M-1」をテーマにした漫才が収録される模様。以前、某土踏まずさんが「もしもナイツがM-1をテーマに漫才を披露したら」みたいな文字ネタをやっていたけど、こちらはリアルにM-1ネタ。昨年、ラストチャンスだったマシンガンズの咆哮が気になるところ。そのマシンガンズの特典映像、なんと「マシンガンズ キングオブコントへの道」というものらしい。うーん、気になる。全力で気になる。

『僕秩プレミアム!』(ヨシナガ)

僕秩プレミアム! (アフタヌーン新書 004)僕秩プレミアム! (アフタヌーン新書 004)
(2009/04/09)
ヨシナガ

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前回、『オタク成金』を読了した僕には、もはやアフタヌーン新書に対する嫌悪感はゼロに等しかった。面白ければ、どのような媒体であっても面白い。そんな当たり前のことを、再認識したのである。

と、いうわけで、続けざまにアフタヌーン新書に手を出してみることにした。タイトルは『僕秩プレミアム!』。僕は当初、この本のタイトルを「僕“鉄”プレミアム!」と勘違いしていた。うーん。つまり、鉄オタの本だと思っていたのである。そこそこ興味はあるのだけれど、鉄道には詳しくないからなあ。『阿房列車』は読んでるけど、何処そこの路線がどうこうとかいうのは、ちょっと分からないなあ……とか、思っていたのである。ああ、勘違い。

『僕秩プレミアム!』とは、人気WEBサイト「僕の見た秩序。」を運営しているヨシナガ氏が、会員限定サイトなどで特別公開してきたエッセイを厳選し、収録した本……だ、そうだ。うーん。知らん。我が家にネットが開通して、早九年。そこそこにインターネットを放浪したつもりだったが、このサイトのことはまったく知らなかった。まったく、ネットは広大ですたい(意味無く訛り)。

肝心の内容に目を通して見ると、なかなかこれが面白い。日常の中で、なんとなく見逃してしまいがちな事象が、色々と書かれている。こういうのって、なんだか良いよなあ。当たり前の日常が、ちょっとだけ楽しくなっていくって感じ。中でもキョーレツだったのが、以下のくだり。

口に指を入れ、左右に開き「学級文庫」と発言すると「学級うんこ」に聞こえるという遊びもあった。

あれもこう言えば、口に手を入れる必要はなかっただろう。

ヨシナガ:
「学級うんこって言いなよ」

なんというか、笑いのイベントだったはずが、すでに狂気を帯びていると言ってもいい。もはや怖いだけだ。


キョーレツはキョーレツでも、爆笑という意味でキョーレツだったくだり。いやー、もうね。なんかツボに入っちゃった。なんだよ、「学級うんこって言いなよ」って。どんだけストレートに相手を貶めようとしてるんだよ。というか、自分で言ったら意味ねーだろ!

ちなみに、このくだりの後にオチがあるんだけれど、このオチがまた凄い。

ということで、

効率のみを追求すると人間性を失い、結果的に破滅に向かっていく

という現代型資本主義社会への警鐘でした。

(まさかの結論)



なんというオチ! なんという視点!

と、お笑いバカな僕は、どうしてもこういうネタ的(?)なエッセイに目が行ってしまいがちなのだけれど、ちゃんとマジメな話も入っていたりする。どういう話が入っているのかを書くのは、面倒臭いので書かないけれど。個人的には、「携帯盗み見防御策」「歴史に残るために」「僕と虹」に、深い感心を覚えた。こういう視点を持てる人って、正直言って羨ましい。どういう人生を送っていたら、こういう視界を持てるんだろうなあ。ああ、ヨシナガ氏の頭の中に入ってみたい……って、『マルコヴィッチの穴』かよ!

サイトに上げられたエッセイを書籍化しているということもあり、一つ一つのテキストがとても短く、改行もやたらと多いため、読みやすさという意味では、非常に良作だったと思う。ただ、本を読んだ後にやってくる読後感というか、文章を読み終えた後の満足感が足りないのが、少し残念。読み込むという意味では、これと同じ傾向の『毎月新聞』(佐藤雅彦)の方が面白かったかもしんない。でも、退屈しのぎにはバッチリ適していると思うので、お金に余裕がある人は買ってみても良いかもネ。

……続刊は出ないのかな(何気に期待)。

バカリズムの夜明け

笑ビ! バカリズム~フルーツ~ [DVD]笑ビ! バカリズム~フルーツ~ [DVD]
(2004/07/22)
バカリズム

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「バカリズムは面白い」。以前なら、この後に「見る人を選ぶ芸だけどね」と、言葉を付け加えていた。でも、今では、最初の一文だけでも成立する。「バカリズムは面白い」。笑いの嗜好は人それぞれに違うのだから、バカリズムの笑いがハマらない人なんて、今でも沢山いる筈なのに。それなのに、この言葉には、以前には無かった説得力がある。2009年の今年、バカリズムには確かな追い風が吹いている。かつて、バカリズムがコンビだった時代を思い返すと、信じられない状況だ。

1995年。日本映画学校俳優科に所属している二人が、漫才の授業でコンビを結成した。一人は福岡県出身で、もう一人は静岡県出身だった。福岡県出身の男は、升野英知。静岡県出身の男は、松下敏宏。後に、コントユニット“バカリズム”を結成する二人である。

コンビ時代のバカリズムに関するエピソードは、とても少ない。『爆笑オンエアバトル』第一回チャンピオン大会に彼らが出場していたことや、『エンタの神様』『笑いの金メダル』などのネタ番組に出演していたことは、多くのお笑い好きに知られているものの、その実生活がどのようなものだったのかは、殆ど語られなかった。コンビとしての関係性すら、謎に包まれていた。

そんなバカリズムのコントは、とてもシュールなネタが多かった。自殺しようとしている男を巡って、繰り広げられる言葉の崩壊を描いた『屋上』。現実には存在しない仕事を創作し、観客に紹介する『影の仕事』。激怒するたびにワンピースを着るという奇妙なクセを持った男の一幕『ワンピース』。とにかく奇妙で、ヘンテコな笑い。唯一無二のコント観が、バカリズムの武器だった。

ただ、その武器には絶対的な欠点があった。バカリズムのコントは、シュールでお笑い愛好家たちにも好評だった。その理由は、彼らが繰り広げるシュールな笑いには、小細工が一切無かったからだ。最初に提示した笑いの質を決して崩さず、徹底してバカリズムワールドを形成する様は、まさに職人技だった。しかし……その完成度の高さは、一方で高い敷居を作り出していた。バカリズムのコントは、笑える人には笑えるけれど、笑えない人にはとことん笑えない。とにかく、観る人間を選んだ。

その結果なのだろうか。お笑いブームの礎を培ってきた『爆笑オンエアバトル』『エンタの神様』『笑いの金メダル』などのネタ番組に出演するも空しく、バカリズムは売れなかった。そして、結成から10年後となる、2005年11月。二人はコンビ関係を解消した。ピン芸人となったバカリズムが、R-1ぐらんぷり決勝の舞台で『トツギーノ』を披露する、僅か4ヶ月前のことだ。

ピン芸人となったバカリズムが、どうしてコンビ時代には成し得なかった名声を手にすることが出来たのか。その理由は、彼の芸に対するスタンスの変化にある。先にも書いたように、コンビ時代のバカリズムのコントは敷居が高かった。しかし、ピン芸人として一から活動を開始するためには、相方が存在していたときよりも、間口が広げた器用な笑いを構築しなくてはならなかった。以前よりも敷居は低く、多くの観客に理解されるネタを作る必要があったのである。

そうして、バカリズムが生み出したネタこそが、『トツギーノ』だった。『トツギーノ』における笑いの核は、そこで提示される全ての出来事が強引に同じオチで終結するという、投げやりなナンセンスさにあった。が、そのことが理解できない人にも伝わるように、バカリズムはそこにイラストによるビジュアルの笑いを付け加えた。シュールでハイセンスな笑いと、シンプルでバカバカしい笑い。皮肉なことに、バカリズムはコンビを解散してピン芸人になることで、その両方を手に入れたのだ。

十年という長い夜を終え、ようやくバカリズムの世界に朝日が差し込み始めている。彼らがずっと待ち望んでいただろう、夜明け。でも、その日差しに照らされているのは、ピン芸人となった升野だけだ。そこに、升野とともに夜明けを望んでいただろう、松下の姿は無い。きっと、これから先、ずっと。だからこそ、僕らは忘れてはならない。今、日光の下に照らされているバカリズムが、かつて闇の中で静かに蠢いていた時間を。

第八回「ドランクドラゴン」雑感

・コント『迷子』
ドランクドラゴンらしく、性格が極端なキャラクターが引っ張っていくコント。なんとなく、昔やってた『17歳』のコントに出てくる高校生のキャラを彷彿とさせたが、それよりもより丁寧に、かつ感情的に爆発したキャラクターに進化していて、面白かった。基本、鈴木が迷子センターの人として徹し続けるのも良かったなあ。

・コント『登校拒否』
登校拒否をしている先生を、生徒が迎えに来る……というコント。ドランクドラゴンのコントとしては珍しく、鈴木のツッコミが笑いを生み出すキッカケとなっている。その形式の為か、ちょっとキングオブコメディっぽさが立ち込めている。まあ、同じ事務所だし。気にしない。シチュエーション自体はベタなんだけど、ヘタなアレンジを加えず、正々堂々とコントに昇華しているのが素晴らしい。ただ、ドランクドラゴンらしくないという……うん(笑)

・コント『キャビンアテンダント』
JCA航空(笑) キャラクターコントと同様にドランクドラゴンが得意としている、塚地が一方的にボケを乱打して、それを鈴木が第三者的にツッコミを入れていくコント。若い頃のネタに比べると、幾らか勢いが失われてしまっている感は否めないが、クオリティはまるで落ちていない。流石。鈴木が毛布を要求するくだりは、たぶん今回のために付け足した部分だな。「お前のかけるモン聞いてねえよ!」(笑) 今回の三作品は、いずれも鈴木のツッコミが妙に印象に残ってる。何気に鈴木もツッコミとして進化しているのかな。

そして最後は、鈴木の下半身

さて、リクエストしてくるか……。

最後の最後

ショートネタ全盛の今、あえて長時間のネタを放送するという反骨精神を見せていたネタ番組『笑・神・降・臨』。その最終回のラストシーンが、ドランクドラゴン鈴木拓の下半身だったことを、我々が忘れることはないだろう。さようなら、『笑・神・降・臨』! ありがとう、『笑・神・降・臨』!

『阿房列車 1号』(作:内田百/画:一條裕子)

阿房列車 1号 (IKKI COMIX)阿房列車 1号 (IKKI COMIX)
(2009/02/24)
内田 百間一條 裕子

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面白いマンガというのは、人それぞれに違うのではないかと思うのだが、それでも各人、それぞれに面白いと思えるマンガは、必ず存在していると確信している僕である。否、世の中には、マンガを全く好まないという人もいるらしいのだが、そういった人というのは、ただ単に、自らが楽しめるマンガに出会えていないだけのことであり、つまり、食わず嫌いに他ならないと考えている。とはいえ、マンガを読まないという人に対して、「このマンガは面白いから、是非読むべきだ」と押し付けるような無粋な行為を、僕は認めない。その人がマンガ読みとして開花する日が訪れるまで、その人の非マンガ読みの意思は尊重すべきである。

それはそうとして、最近、面白いマンガに出会った。面白いマンガというのは、得てして書店で出会うものだが、今回のマンガも例によって例の如くだった。書店で見かけ、電流の様なショックを覚え、擬似感電状態のままレジへと向かい、店員へとマンガを差し出し、金を支払い、それを袋に入れてもらい、おつりを受け取り、店を出たのである……というのは、嘘である。実際は、そのマンガの値の高さに驚き、しばらく様子見という形で放置するも、後に売れてしまい、急いで他店で購入するというドジを踏んでいた。マンガとの出会いは、一期一会と言う。その好機を逃せば、次の好機が訪れる可能性はゼロかもしれないのである。以後、肝に銘じる。

そうして手に入れたのは、『阿房列車』なるマンガ。原作者は内田百。詳しくは知らないが、確か黒澤明の映画『まあだだよ』で題材にされていた人物だったように記憶している。マンガは一條裕子が担当している。マンガ家としての活動歴は詳しくないが、既に数多くの作品を描き残しているということだ。……まあ、作者の情報はどうでもよい。問題は作品である。

『阿房列車』は、内田本人が目的も無く列車に乗って移動する(内田曰く、この行為を“阿房列車”というのだそう)姿を描いた紀行文を、一條がコミック化した作品だ。そこには、誰かが大きな失敗をするような惨めな笑いも、何処かの見知らぬ女性が殺害されるような凄惨なサスペンスも、ご当地を巡って景色を観光することも、何もない。ただ、内田とお供の男(ヒマラヤ山系という男)の二人が、列車に乗って進んでいく姿を描いているだけである。ただただ、淡々と。

それだけの内容なのに、果たしてそれが本当に面白いのか、と思われるかもしれない。確かに、大昔の他人が、列車に乗って進んでいく姿をコミック化しただけの本を、面白いから読みなさいなどと言われても困る。どう考えても、面白そうには思えない。しかし、これが面白いのである。元々の紀行文が面白いというのもあるが、一條によるシンプルで最低限にしか描かないマンガも面白い。コマ割りのテンポも良いし、なにより写実的なイラストも上手い。それらの要素が作品の中で活き活きとしているのが、実に宜しいのである。あまりに宜しいので、僕は未だに本書を読み終えていない。読み終えてしまうことに、勿体無さを感じているためだ。

本書の掲載誌であるIKKIでは、現在も同作品の連載が続いているらしい。要するに『阿房列車 2号』のことであるが、単行本化までにはもうしばらく時間が掛かりそうで、なにやら無性に歯がゆい気持ちになっている。急げとは言わない。急げとは言わないが、出来るかぎり早くに出版してもらいたい。そうでなくては、この『阿房列車 1号』が安心して読み終われない……。

次回の『爆笑トライアウト』

あきげん(マセキ芸能社)
インポッシブル(東京吉本)
S×L(人力舎)
キンデルダイク(baseよしもと)
慶(ワタナベ)
ザクマシンガン(プライム)
シーランド(ホリプロコム)
ジンカーズ(ニュースタッフエージェンシー)
麦芽(太田プロ)
フィフティーカーニバル(サンミュージック)


今回も東京の芸人が多い感。やっぱり収録場所が東京だからかなあ。一時期、肥大化した昆虫と戦うショートコントをイチオシしていたインポッシブル、チャラ男系芸人としてそこそこ知名度がある、『細かすぎて伝わらないモノマネ』で活躍している小出が所属する麦芽がちょっと目立ってるかな。個人的には、『お笑い登竜門』にちょくちょく顔を出していたジンカーズの活躍に期待。結構、面白かった気がするんだけどなあ。

『爆笑オンエアバトル』五月二十二日放送 感想文

・四位:『漫才:友だち』(425kb)
単なるデブキャラが中心に展開するコント漫才から、一皮剥けたように思う。受験に失敗した小林に対して、慰めるように見せておきながら、どんどん追い込んでいく長友のボケが妙に面白かった。ただ、いつものギャグを披露するくだりが粗雑だったためか、途中でネタの勢いが弱まってしまったような。シチュエーションがアンタッチャブルを髣髴とさせたのも、ちょっと点数に影響していたのかもしれない。

・八位:THE GEESE『コント:工場』(385kb)
工場内で使用されている機械装置の名前が、偶然にも実在するミュージシャンの名前と同じ……というコント。前半の邦楽ミュージシャンの名前ばかりが出てくるくだりは面白かったけれど、後半の洋楽ミュージシャンの名前のくだりはシュールを狙いすぎているように感じたためか、イマイチ笑えず。なんとなく、前半の笑いと後半の笑いが切り離されている感も。

・七位:ブロードキャスト『漫才:子ども』(393kb)
軽快でテンポの良い漫才。全体的に安定して面白く、エリツィン大統領のくだりには爆笑した。ただ、今回は同傾向のネタをアイデンティティ(二位)もやっていて、そっちがとても面白かったため、番組終了後、あまり記憶に残っていなかった。ソツ無く笑えるのは良いんだけれど、そこにどういう味つけをするか。それが難しい。

・五位:朝倉小松崎『漫才:刑事ドラマ』(417kb)
いつものギター演奏漫才。ただ今回は、「ミュージシャンの相方」として紹介された小松崎が、マニアックなギタリスト物真似をちょこちょこと挟み込むことで、漫才師として微妙に個性を見出せていたような気も。「エディ・ヴァン・ヘイレンのギターソロ」は、元ネタ分からないけど面白かった。ただ、各駅のメロディネタは分からなかった。こういうネタは地方の視聴者に伝わりにくいから、あんまりやらないほうが良い。

・二位:アイデンティティ『漫才:幼稚園の先生』(445kb)
「やなわらばー」のツカミで一気に冷めたが、その後のブラックかつ現代っ子的冷ややかな視点によるボケがツボに入りまくり。「子供って、単純だよね」「土下座して済む問題じゃないでしょ」「そこまでする必要は無かった」「君が実の兄……?」など、繰り出されるボケがどんどんツボに入る。

・五位:ヒカリゴケ『漫才:ボケをやりたい』(417kb)
途中までは、いつものヒカリゴケの漫才。片山のボヤキは哀愁があって、いつもそこそこ面白いけれど、今回は悲哀の部分が強すぎるなあ……と思っていたら、途中で二人がボケとツッコミを入れ替えた漫才にチェンジ。さっきの片山のボケがフリとなって、国沢が的外れなボケばかりを繰り出す漫才に。まあまあ面白かったけれど、こういう漫才って、もうちょっと自分たちのスタイルが認知されてから始めた方が……。

・三位:ツィンテル『コント:旅立つ君へ』(429kb)
旅立つ彼女の後を思う倉沢の背中を、その友人である勢登が押すコント。基本的にダジャレだけで進展するコントなのだが、ちょっとシュールな風味で演じているためか、単なるダジャレコントとは違うように見せている。上手いことやるなあ。そこそこ面白かったけれど、もうちょっと奥行きのあるシチュエーションだったらなあ……という気もする。

・一位:ノンスモーキン『漫才:告白』(505kb)
中尾のテンションはもうちょっと抑えられないのか。このところノンスモーキンがイチオシしている、指を使った漫才。スタイル自体の斬新さが認めざるを得ないが、斬新過ぎるためなのか、どうもこのスタイルにしっくりこない。話術をどうにかすれば表現できそうなことを、手軽に指で演じているだけのように見えるというか。ネタ自体はそこそこ面白かった。最後のカーテンコールで一気に引き込んだ構成の妙。

・オフエア組
弾丸ジャッキー(349kb)
プリンセス金魚(345kb)
プラスマイナス(321kb)
クロンモロン(285kb)
名刀長塚(237kb)
山陽ピッツァ(225kb)
オキシジェン(201kb)

「爆笑トライアウト」を勝ち上がってきたプリンセス金魚・クロンモロン・山陽ピッツァがいずれもオフエア。プリンセス金魚はイケると思ったんだけどなあ……残念。チャンピオン大会ファイナル経験組、プラスマイナスは不安定が続く。キロバトルの数値に上がり下がりがある名刀長塚、今回は低調。

・オンバトプレミアム:U字工事
前回のオンエアバトルで、見事にチャンピオン大会に進出することが決定したU字工事が漫才を披露。そうなると、次回のオンバトプレミアムはノンスモーキン? 披露したネタは『ヤンキー』。恐らく三年前に本戦で披露したネタと同じものだが、田舎の泥臭さが滲み出た秀作で、とてつもなく面白かった。「農薬の空中散布の日か?」「今年の土は柔らかいねぇ!」。ああ、あぜ道が目に浮かぶ……。

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孤独のエロス

先日の『侍チュート!』の「国会答弁」にて。南海キャンディーズ・しずちゃんが相方の山ちゃんに「出会い系サイトに自分の胸の谷間を投稿した」という話を暴露されていた。正直、過去に耳にした女性芸人の色っぽい話の中で、一番コーフンした。なんという生々しさ。そして、そんなことを一人でやっている姿を想像し、なんともいえない心寂しい気持ちになった。更に山ちゃんが暴露したことによると、最近のしずちゃんは若手俳優を連れ回しているらしい。いよいよ、心寂しい気持ちになってきた。ちなみに山ちゃんは、その情報をインターネット検索して発見したとのこと。……コンビ共に、心寂しい……。

『オタク成金』(あかほりさとる・天野由貴)

オタク成金 (アフタヌーン新書)オタク成金 (アフタヌーン新書)
(2009/05)
あかほり さとる天野 由貴

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書店で彼の名前を見かけた瞬間、僕が最初に感じたのは「懐かしいな」という実にストレートな感傷だった。九十年代の角川アニメ全盛の時代を体感しているなら、彼の名前を知らない人は恐らく皆無であろう。なにせ当時、彼の名はライトノベルや青年コミックの棚で、かなり目立っていた。どちらかといえば神坂一を愛読していた僕でも、彼の名前はしっかりと記憶に残っている。

そんな彼……もといあかほりさとるが今回発表したのは、なんと新書本。タイトルは『オタク成金』。数ページほど立ち読みしてみると、なかなかに面白そう。流石は九十年代、ライトノベル界を席巻していただけのことはある。難しい単語なんか殆ど登場しないし、言葉のテンポもバツグンに良い。本を買う時は、書かれている情報の興味深さよりも、そこに書かれている言葉のリズムを重要視している僕である。これを買わない理由はない。……ないのだが、その時は購入を躊躇ってしまった。

というのも、この『オタク成金』を発売した新書というのが、あのアフタヌーン新書だったからだ。アフタヌーン新書といえば、如何にもサブカル好きっぽい人を惹き付けようとしているようなオーラ漂う新書。そんなイメージが僕にはあった。そして、そういう「狙ってる感」を漂わせることを、僕は非常に好かなかったのである。しかし。だがしかし。その後も、あの軽妙な文体を読んでみたいという僕の欲望は、頭の中を駆け巡り続けていた。

で、買ってしまったわけだ。そりゃー、あんた。面白そうな本を、たかが出版レーベルに対する嫌悪感だけで買わないだなんて、そんなバカな話があってたまりますかいってんだ。極論、その本が面白いのならば、○日○聞社出版の本だろうが、○文社出版の本だろうが、買って読めば良いのである。フハハハハ! ……と、非常に当たり前の結論に至ったところで、本書の感想を書こうと思う。しかし長い前置きだ。

本書『オタク成金』は、あかほり氏がこの世界に入るまでの経緯について語った「第一章」、エンタメ作品を生み出して大儲けするが、読者に飽きられ始め、どん底へと落ちていった様子を語った「第二章」、エンタメ作品を作るためにあかほり氏が行ってきた作品作りのプロセスを明け透けにした「第三章」、衰退の道を辿っているラノベをどうすれば良いのかについて考える「第四章」の四部構成になっている。「第一章」と「第二章」が思い出話で、「第三章」と「第四章」が自論の展開だと考えて良いと思う

ネット上では、主に「第四章」において語られている「ライトノベルのSF化」という部分について、取り上げられている様だ。それも、とても反発的な意味で。すっかりライトノベルを読まなくなり、最近の青年向けアニメーションに対する興味も無くなってしまった僕には、非常に納得の行く話だったのだが……。ラノベ読者には、ラノベ読者なりの意見というのがあるのかもしれない。ただ、本当に反論したいという気持ちがあるのなら、実際に読んでみないといけないとは思う。実際問題、ネット上で見かけた本書に対する反論の幾つかは、あかほり氏がフォローしている部分を明らかに無視していた。ネットの伝聞だけで読んだ気になっている人が、結構な数いるようだ。ラノベとケータイ小説の類似性については、本書でも触れられてるっての!

そんなこんなで、良くも悪くも話題として取り上げられていることの多い「第四章」だが、個人的には「第三章」に強く感心を覚えた。先にも書いたが、この「第三章」では、あかほりさとるが行ってきた作品作りのプロセスについて語られているのだが、これがまた、かなり詳細に書かれているのである。例えば、読者サービスについて。

「ただ、意識したうえでご機嫌をうかがうってことかって言うと、そうじゃないんだな。例えば、俺、君(注:本書であかほり氏の聞き手役をしているライター・天野由貴)にいつも言うよな。“俺に惚れろ、俺に惚れろ!”って。そのために俺は、いろんな言い方で、俺の魅力を君に伝えるわけだよ! 俺って優しいだろうとか、うまいもの知ってるだろ、とかさ。

 ただ、“俺がこんなに頑張ってるのは、君に魅力を感じてるからなんだぞ”っていう。これが読者サービスなんだな。読んでくれるお前が一番好きだよ、読んでくれるお前のためにこの物語を作ってるよっていう。読者サービスっていうのは、読者を愛することであり、その読者にわかりやすく愛を伝えること。だから、媚じゃないんだよ。いうなればジゴロの心意気だな!」


こういうことを、いともあっけらかんと語ってしまう。こんなことを言ってしまったら、今後のあかほり作品の売り上げに響きそうな気がしないでもないが、当人は今後「いくつかペンネームを使ってやろう」と思っているみたいなので、大した支障は無いだろう。……にしても、ぶっちゃけすぎではないだろうか。この後も、「腐女子は男の友情に燃える」「設定よりも魅力的なキャラを構築しろ!」「デビュー前は人に見せない方が良い」など、自らの経験によって見出した売れるラノベ作りに必要なポイントを、次から次へと語りつくす。

その中でも圧巻だったのが、発想手順の公開だ。なんと本書では、彼がどのようにしてエンタメ系のラノベ作品を生み出してきたのか、その手順まで公開しているのである。これにはかなり驚かされた。どういうことを書いていたのかは、ここでは引用しない。金払って、自分で確認してね。

彼の全盛期に思春期を迎えていた人間としては、色々と興味深い記述が多く、非常に楽しく読むことが出来た。天野女史の存在意義があったのかどうかは、些か考えてしまうところがあったが。『スレイヤーズ』とか、『セイバーマリオネットJ』とか、その辺の作品を楽しく観賞していた人なら、何か感じるところがあるんじゃないかと思う。いやー、面白かった。まんまと釣られたなー。

最後に、個人的にグッときた記述を。

売れなかったけどいい作品なんて、それを言っていいのは、ファンや評論家だけ。“すごくいい作品なのに、なんで売れないんだ”そういうこと言ってる段階で、もうそれはエンタメ業界の人間じゃない。」
(略)
「いい作品なのに、売れない……っていうのは、免罪符になるんだよ。作った人間たちの自己満足、言い訳でしかありえない。じゃあ、売れればすべからくいいのかと言うと、これはすべからくいいんだよ。この業界はまず、売れるか売れないか。売れたら、売れた作品の中で、いい作品か悪い作品かが決められる。売れない作品は、論評の俎上にすら載せられない

これがプロの仕事。

0722『よ~いドン!presents 矢野・兵動の懐かしいモノ見学1
0722『よ~いドン!presents 矢野・兵動の懐かしいモノ見学2
0724『アンガールズ 単独ライブ 「UNGIRLS PRO」
0726『チハラトーク#4
0726『チハラトーク#-4
0805『ハローバイバイ・関 暁夫の都市伝説DVD(仮)

関西テレビで放送されているローカル番組『よ~いドン!』のコーナー「矢野・兵動の懐かしいモノ見学」がDVD化。今年になって矢野・兵動がメインとなるDVDがリリースされるのは、今作を加えて三枚になる模様。矢野・兵動ブーム、今頃になって到来か。

また、毎回映像化されているアンガールズの単独ライブが、今回も律儀にDVD化。アンガールズ史上、初めてライブタイトルに広島とは無関係な言葉を冠した、今回のライブ。どういった内容になっているのか、楽しみだ。関のDVDは……ちょっと遅くないか?

お笑いマシーンと七人の芸人

先日の『しゃべくり007』にて、ゲストの今田耕司が“お笑いマシーン”と称されていた。恐らく、明石家さんまが“お笑い怪獣”ないし“お笑いモンスター”と呼ばれていることを考慮し、そういう呼称を付けただけなのだろうが、なかなかどうして、実にしっくりをくる呼び名である。思えば、どんなに雑多とした状況においても、面白く且つ的確なコメントを残す今田の職人技の如きトーク術は、精密な機械作業のそれに似ている。大きな声を張り上げながら、場の空気を一点に集中させるさんま師のトーク術と対比していると言えるのかもしれない。

そんな“お笑いマシーン”こと今田耕司が同番組内で、一番面白い芸人としてバカリズムの名前を挙げていたことが、一部で話題になっている。そんなに話題にすることでもない気もするが、話題になって当然ような気もする。単なる差し替え番組から今をときめくお化け番組へと変貌を遂げたショートネタ番組『爆笑レッドカーペット』で司会を務めている今田耕司が、「一番面白いと思う芸人は?」という質問に対し、数ある芸人たちの中から、あえて自らが所属する吉本興業ではないバカリズムを選んだのである。話題になるかならないかでいうと、なってもおかしくはない。うむ。

ただ、捻くれた思考回路を持ったお笑いウォッチャーな自分としては、ひょっとしたら今田は世間に「面白い芸人」として提示しても問題の無い芸人の名前を挙げたのではないか、などという被サブカルオタクな視点を持ってしまう。なにせ、あの島田紳助に憧れて吉本の養成学校に入校した男である。有り得ない話ではない。とはいえ、わざわざトーク番組でそんな気の回し方をする理由を考えてみると、特に思い浮かばない。なので、恐らく「一番面白い芸人はバカリズム」というのは、今田の本心なのだろう。それに最低でも、今田がバカリズムという名前に説得力を感じていることだけは、確かだ。それだけでも、意味はある。

ちなみに、本日放送予定の『爆笑レッドシアター』に、そのバカリズムが出演するとのこと。今勢いのある若手芸人たちが、特定のシチュエーションの中で各々の世界観を提示する『爆笑レッドシアター』で、バカリズムはどんな笑いの世界を繰り広げるのか。……『しゃべくり007』での今田プッシュに始まり、『笑神降臨』『爆笑レッドシアター』と立て続けてのネタ披露。バカリズム集中週間なのか?

第七回「バカリズム」感想

コント『このあいだばなし』
昔話「浦島太郎」のエピソードを、当人が先日の出来事として説明するというコント。昔話を今に置き換えているだけではなく、先日の出来事ということもあってか、オリジナルの物語では語られなかった詳細も語られ、やたら生々しいのが面白い。「携帯電話はダメになった」「パッと見は築地の市場」「普通に刺身があるのね」など、リアルとフィクションの微妙な隙間を突いたフレーズが出てくる辺りは流石。オチのどんでん返しは、かなり意表を突かれた。なるほど、そうくるのか。

映像『野球官能小説』
野球のイメージ映像を流しながら、バカリズムが『野球官能小説』を朗読するというバカ映像。これをNHKで放送したという状態が、まず面白い。「こんなにランナーがたまっているよ」に爆笑。

コント『WARUYONO!』
単独ライブ『科学の進歩』収録作。最初のネタと最後のネタを中継するネタとしては、最高とも言えるチョイスではないだろうか。特定の単語が掘り下げられ、だんだんとゲシュタルト崩壊している様子は、なにやらコンビ時代のコント『屋上』を髣髴とさせた。「なんだ、猫よのうか!」は、もうちょっとウケても良かったと思う。

映像『歴史的官能小説』
基本的な形式は『野球官能小説』と同様。ただ、ネタの対象が「歴史」と幅広いため、『野球官能小説』のそれよりも不条理感が強い。上に挙げた『野球官能小説』と同じ場面の「美佐子のフビライ・ハンは勢力を増していた」が大いにツボに入る。そして、最後にまさかの「悪よのう」復活。下らないなー。

コント『ホイッスるべきもの』
ボールを触りに行く選手ばかりで、まったくサッカーの試合にならずに困り果てる審判のコント。審判が必死になって選手を説得する姿も面白ければ、それでもボールを手で触りに行く選手の姿も面白い。触りに行く姿が想像できるのが凄い。シンプルなシチュエーションを、これでもかと引っ張りまくる姿は実にストイックだけれど、ちょっと終盤飽きたかも。ただ「それでも手で触るか!」には爆笑。

次回、最終回はドランクドラゴン
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
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https://twitter.com/Sugaya03

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