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『爆笑オンエアバトル』十一月二十七日放送感想文

Wエンジン『コント:結婚を決めた娘』(377kb)
「惚れてまうやろー!」のコントを、父親と間もなく結婚する娘の関係に改変したコント。そもそも、元となっている「惚れてまうやろー!」のコントが、チャンカワイの非モテなキャラクターがあって成立しているようなネタなのに、そこに非モテ要素を抜き取ってしまったら、そりゃ面白くなくなって当然というもの。ここは自分たちが売れた理由について、もうちょっと考え直した方が良い。

アームストロング『漫才:女子の目を意識する男子』(437kb)
いつも彼らがコントでやっているようなことを、漫才でやってみたような感じのネタ。面白いといえば面白いんだけど、どっちがボケでどっちがツッコミなのかが明確ではなかったため(この辺もコントと同様)、ボケの数が非常に少なかったことが気になった。思うに、ツッコミがどんどん変化していく流れは、要らないんじゃないかなあ。まあ、それも彼らの味といえば味なんだけど。

井上マー『漫談:貧乏アパート』(449kb)
酷い場所に住んでいた頃のエピソードを漫談で。ネタ自体はそれなりに面白いんだけど、根本的に話術がないという悲劇。ユリオカ超特Qやスマイリーキクチが如何に漫談家として優れていたかが、よく分かる。前説王とか言われているらしいが、ネタを披露するときくらい、前説の様な謙った態度を取るのは止めてもらいたいなあ。それは個性というより、単なるマイナス要素だ。

ニッチェ『漫才:保育園の先生』(405kb)
子どもに人気のある保育園の先生は男の子にモテる、という話から保育園の先生になってみるコントへ。江上のキャラクターは、あんまり「男の子にモテたい!」というタイプではないような気がして、微妙に違和感。むしろ、近藤の子ども演技がちょっとリアルで、そちらの方に目が行ってしまった。「咲かない、咲かない、チューリップが咲かない~♪」

インポッシブル『R指定コント』(369kb)
オチで必ず、何かしらかの必殺技によって、誰かしらかが死んでしまうというブラック系ショートコント。途中で普通のコントを挟んでいるあたりが、実に計算高い。 さくらんぼブービーを彷彿とさせるカルトさがたまらないけど、これはNHK的にどうなんだろうか(笑)投票。

メンソールライト『コント:立ち飲み屋』(437kb)
「爆笑トライアウト」でも披露していた、立ち飲み屋に来た客のフリをした漫談。一緒にホテルに入った女の子の話のくだりに大爆笑。ただ、自己啓発本のくだりはイマイチ。こういう細々としたエピソードを積み重ねた漫談スタイルは、全体の流れが重要になってくる。この辺が難しいよね。あと、せっかくコントとしての体裁を取っているんだから、もうちょっと構成を練ってみるのも面白いかもしれない。大きな流れを作って、その合間合間に小さな漫談を挟みこむとか。投票。

マッサジル『漫才:子ども向けの歌』(361kb)
子どもの人気を集めるために、オリジナルの子ども向けの歌を作ると言っておきながら、おっさん要素を詰め込むという漫才。先日の「爆笑トライアウト」で観た、ツートンカラーのコントを思い出す。“塩辛”をイチオシする展開にニヤニヤするも、後半のユニゾン「ナイッ!」で一気に失速。でも、こういう不器用な感じも、ある意味彼らの持ち味に……は、なってないか。でも嫌いじゃない。投票。

ランチランチ『漫才:結婚式の司会』(465kb)
今週の一位。前半は殆ど盛り上がらなかったけれど、途中からケンジの「オーライッ!」を海野がイジるようになって、ちょっと取り戻した印象。ただ、やっぱり全体的には低調だった。これがトップ合格ということは、大ウケした部分がカットされたということなのか、それとも前の芸人(シャングリラ)がダダスベリしたということなのか……。いずれにしても、初のチャンピオン大会おめでとう。うん。

・オフエア組
弾丸ジャッキー(337kb)
プラスマイナス(337kb)
うしろシティ(321kb)
Hi-Hi(313kb)
ニッケルバック(309kb)
シャングリラ(237kb)
ダムダムおじさん(125kb)

弾丸ジャッキーは相変わらず安定感がある。現在のダンディ坂野状態。そんな弾丸ジャッキーと同点のプラスマイナス。M-1は準決勝に進出したらしいが、オンエアバトルでは三連敗。スランプ。Hi-Hiは間もなく二十回目の挑戦。そろそろ退学させられるかもしれない。

・オンバトプレミアム:卒業生バラエティ企画
ますだおかだ、エレキコミック、スピードワゴン、ダンディ坂野、パックンマックンの五組が「ジャッジペーパークイズ」「空気イス当てクイズ」を繰り広げる。過去二回の経験があったためなのか、珍しくバラエティコーナーとして普通に進行。普通に面白かった。ゲッツするときに立っちゃうパックン(笑)

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『ハイキングウォーキング単独ライブ「根斗百烈拳」』

ハイキングウォーキング単独ライブ 根斗百烈拳 [DVD]ハイキングウォーキング単独ライブ 根斗百烈拳 [DVD]
(2009/11/04)
ハイキングウォーキング

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先日、何気無しに「爆笑レッドカーペット」を見ていると、ハイキングウォーキングが“漫才”を披露していた。流れてきたセンターマイクと、カッチリとしたスーツを着こなせていない鈴木Q太郎の姿を見たときは、てっきり漫才という体裁のコントを披露するものだと思っていたのだが、最後まで漫才のカタチを崩すことなく、彼らはネタをやりきっていた。

コントの出来る芸人が漫才も出来るというのはよくある話だが、ハイキングウォーキングの場合は少し事情が違う。というのも、ハイキングウォーキングは根っからのコント師だからだ。実際、「爆笑オンエアバトル」の舞台でも、「爆笑レッドカーペット」の舞台でも、彼らは必ずコントを披露してきた。それなのに、その日の彼らは漫才を見せた。ひょっとしたら、これから先も漫才を披露し続けていくつもりなのかもしれない。

「爆笑レッドカーペット」において、ハイキングウォーキングはひたすら“分かりやすい笑い”のスタイルを貫き続けてきた。番組出演当初に披露し続けていた『Mr.スズキックスのスーパーイリュージョンショー』は、鈴木Q太郎扮するMr.スズキックスが、「ペットボトルのコーラを一気に飲み干して、ゲップをせずに山手線の駅名を全部言い切る」等の宴会芸に挑戦するも必ず失敗して、それを横で見ている相方の松田洋昌がツッコミを入れ続けるという分かりやすい“お約束の笑い”だったし、それ以後のシチュエーションコントのスタイルだって、ザ・ドリフターズ全盛期から日本人の心に深く根付いている、分かりやすいコントの基本中の基本だ。漫才もまた同じ。センターマイクを通して、複数の人間が笑いを語り合うという八十年来の完成されたフォーマットは、もはや説明の余地もない。

そうして、分かりやすい笑いを演じ続けてきたハイキングウォーキング。しかし、それらのネタはあくまで、彼らが自らを“分かりやすい笑い”というフィルターに通して作り出してきたネタだ。彼らが一般のステージで披露しているものは、それらのネタとはまた少し違ったものになっている。

今作『根斗百烈拳』では、ハイキングウォーキングの“分かりやすい笑い”というフィルターを通していないコントが三十本収録されている(更に特典映像には十本のコントを収録)。といっても、別に分かりにくい笑いが披露されていることはない。寿司屋をスターバックス風にしてみた『SUSHIYA』、Q太郎演じる父親がアイドルを目指す『パラダイス☆父さん』、料理の作り方の分からない二人が料理教室を行う『素人お料理教室』、二つの昔話を合体させる『ミクスチャー紙芝居』、何度も同じ部屋の中で目覚めてしまう奇妙な現象を描いた『ループ・ザ・ルーム』など、とてもシンプルな笑いが構築されている。

ただ、そのシンプルさは「爆笑レッドカーペット」で披露されているような、観客に分かりやすく伝えるためのシンプルさではない。なんとなくの思いつきで生み出された小さな発想を、コントのカタチになるまで押し広げたような、そんなシンプルさだ。ホッと生んで、ハッと育てるような(雰囲気で表現)。その為か、今作で披露されているコントには、ハイキングウォーキングならではの持ち味と言えるものが、あまり表現されていない。スタイルすら統一されておらず、Q太郎がボケを演じることもあれば、松田がボケを演じることもあるし、どちらもボケを演じることすらある。実はハイキングウォーキングは、「爆笑レッドカーペット」での印象とは違い、非常に不定形で無個性なコントを生み出すコンビだったのである。

テレビでは個性的な笑いを生み出す一方で、舞台では無個性的な笑いを生み出す。これはつまり、彼らが自らのセールスポイントを理解して戦略を練って、今の地位にあるということを意味しているのではないだろうか。自分のやりたいことをやって売れている才に満ちた芸人たちが増えている昨今の中、メジャーな手法で売り込んでいるハイキングウォーキング。こういう芸人が、意外と天下などを獲っちゃったりするものなのかもしれない。


・本編(115分)
『タイ古式マッサージ』『ニュース19』『SUSHIYA』『パラダイス☆父さん』『みにくいアヒルの子』『やたらとツッコむうっとうしい客』『12時20分頃』『マツペディア(Matsupedia)』『裁判』『余裕だなぁ!』『娘さんを僕に下さい!!』『素人お料理教室』『そこは決めろよ!』『ミクスチャー紙芝居』『機動戦士クライシンガー~うごめく星のまたたきはカオス~』『公園にて』『たいどう~~~~~!』『ループ・ザ・ルーム』『WISH~ねがい~』『103号室の出来事』『オソーメン様』『目撃情報』『しのび』『Hey!逃げろ!!』『松田』『エジプトの歩き方』『「コント○○」』『Yeah!捨てちゃおうぜ!!』『カタキ』『午前2時』

・特典映像(59分)
・撮り下ろしコント十本:『月刊 鈴木』『スズペディア(Suzupedia)』『靴がない!』『Hey!透明人間』『結婚スピーチ』『きゅうたろうお笑い塾』『患者』『出しちゃダメ!!』『絵画展』『シュール引越しセンター』
(ハイキングウォーキング自身による解説付)

2009年12月の購入予定

02『爆笑オンエアバトル トータルテンボス
09『はんにゃ単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」
16『弾丸ジャッキー単独ライブ「月面大戦争」
16『bananaman live wonder moon
16『磁石 単独ライブ「大フィーバー」
16『K2MT-0001』(勝又)
18『ゲームセンターCX DVD-BOX6
23『流れ星 単独ライブ「力作」
23『バカリズムライブ「キックオフ!」
23『単独ライブ「小島よしおのペチクリカ」
23『我が家単独ライブ「HOME PARTY2009」
23『六人の侍』(河本準一、小出水直樹、フットボールアワー、山里亮太、諸岡立身)
23『ようこそ桜の季節へ』(桜)
23『百式2009』(2丁拳銃)

多い。多すぎる。毎年、歳末はDVDのリリース量が半端じゃないということは分かっているんだけれども、こうして並べてみるとやっぱり多い。多いし、濃いし。まあ、去年のサンミュージック祭(サンミュージック所属の芸人六組が単独ライブDVDを同日発売)に比べれば、まだ大人しい方……なのか? 予算の都合上、幾つか買わない作品も出てくるかもしれないので、ご了承。……小島よしおかな?(リアル)

ちなみに、上に挙げた作品以外にも、ななめ45°『トリオ・デ・カーニバル Mr.BINGO』、フットボールアワー『ドレキグラム’09』、ライセンス『LICENSE vol.ZEPP ENJOY!!~grow up 2009~』などが発売される模様。ななめ45°って、何気にホリプロコムに推されてるなあ。

さてさて。今年最後は何のDVDで締めることになるかな? 今から楽しみィ。

『爆笑トライアウト』十月三十日放送感想文

遅ればせながら、感想です。

シャングリラ(baseよしもと)
コント。頼りない弟が気になって、あの世からやってきた兄がやってくる。男女のトリオコント師って珍しいなあ。メンバーの一人が見えないという設定が、なんとなくイヌがニャーと泣いた日を彷彿。全体の流れが綺麗なのが印象的。

うしろシティ(松竹芸能)
コント。銀行までの道を交番に教わりに来た、銀行強盗っぽい人という設定。最初のナンセンスな設定でかなりニヤっときたんだけれど、最後の最後で思わぬどんでん返しがあって、それがちょっと鼻についたかな。こういう意外性のあるオチ自体は嫌いじゃないけど、なんかこう……イヤらしい。

クロンモロン(浅井企画)
漫才。熱血新人教師が不良だらけの教室に来て、甲子園を目指すドラマ。程よい温度のやりとりが心地良い。心地良いんだけど、それ故に笑いが流れてしまっている感。程よい温度の中で、客をグイッと引き込めるような笑いを生み出すことが出来れば、一気に爆発する可能性あり。

ハニーベージュ(げんしじん事務所)
コント。肝試しをしているところで、自爆霊に会う。ダラダラした立ち話の中で、ちょくちょくベタなボケとツッコミのやりとりが入る感じ。じわっとした空気は悪くないんだけど、その空気に適したボケとツッコミじゃないんだよなあ。そういうボケとツッコミでやるのなら、こんなにだらだらした雰囲気にする必要はない筈。

スカイラブハリケーン(ホリプロコム)
漫才。出会いのシチュエーション。ツッコミ役が説明していることを、ボケ役が再現しようとするが、ツッコミ役が想定していることと違ったことをボケ役が演じてしまう……というスタイル。僕がスマイルに求めている芸風を、そのまま演じている感じ。面白いんだけど、ボケ役の見た目とネタの内容にギャップがあるような。フツーにイケメンっぽい人がアホなことやっても、説得力が無いんだよね。

ジグザグジギー(マセキ芸能社)
コント。大したことじゃないことで謝罪してくる友人が、その裏でもっと酷いことをやっていたことが明らかになっているという流れ。ツッコミは上手いんだけど、設定がグロっぽいのが引っかかって笑いにくい。もし、このネタを演じているのがバナナマンだったとしたら、もうちょっと笑えたかもしれない。今後の技術向上次第か。

メンソールライト(太田プロ)
コント。立ち飲み屋で大将と話しているていで、漫談。フツーに漫談として面白いのだけど、それ故に立ち飲み屋という設定が鬱陶しくなってくる。普通に漫談でやればいいじゃん。いや、素の自分で語るのが苦手な人って、確かにいるんだけどね。でも、このスタイルはちょっと、再考の余地あり。

ツートンカラー(ワタナベ)
コント。子役オーディションにおっさんっぽい子どもが参加。なんか石川優吾の漫画を思い出す設定だ。見た目が完全におっさんの子どもが、子どもらしからぬ趣味や嗜好を語るというベタさに安定感を覚えるけれど、こういう安定したネタはその分、真の実力が問われるからなあ。実際問題、もうちょっと何かが欲しかったな。

リトレイン(人力舎)
コント。柵と柵の間から逃げ出そうとする羊を追い戻すバイト、というコント。変な設定だなあ。「それはラムチョップです」に、なんかニヤッと。逃げ出そうとする羊を優しさで柵の中に戻す新人を見て、自信を無くした先輩が仕事から逃げ出そうとしているのを、新人がやはり優しさで引き留めようとする流れが下らなくて良かった。個人的には、好き。

レアレア(東京吉本)
漫才。亀田親子のイメージしかないコンビ。「アホっていう人の方がアホですー」という、小学生のクソ下らない屁理屈混じりのやりとりを延々と続けるという漫才。このスタイル自体は面白かったのに、終盤でちょっとくちゃくちゃになってしまったのが残念で仕方ない。ちゃんと最後まで演じ切っていたら、ガッツリ満足出来たのになあ。

以下、結果。

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『寄席爆笑王 ガーコン落語一代』(川柳川柳)

寄席爆笑王 ガーコン落語一代 (河出文庫)寄席爆笑王 ガーコン落語一代 (河出文庫)
(2009/11/05)
川柳 川柳

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川柳川柳の自伝『寄席爆笑王 ガーコン落語一代』を読了する。冒頭、幼少期のエピソードについての描写が素晴らしく、これは立川談春『赤めだか』レベルの傑作ではないかと思いながら読み始めたのだが、終盤で少し投げやりに感じられる描写が多くなり、やや尻すぼみに終わってしまった。もしも最初のテンションを最後まで維持していたら、この本はとんでもない大傑作になっていたかもしれない。いや、傑作ではあるんだけれどね。でも、そう言ってしまえるくらい、このエピソードの出来が良かったんだから仕方ない。

エピソードの出来でいうと、幼少期を終えて戦争へと突入していった頃の思い出話もまた、非常に面白かった。……っと、こういうところで「面白かった」なんてこと言うと、またケチつけてくる輩が出てきそうだな。うん。ここは正確に書いておこう。非常に、興味深いものがあった。よし。これなら文句もつけられないだろう。

昭和一桁世代(銭型のとっつぁんを思い出すネ)の川柳師匠、この時代はやんごとなき軍国少年だった。ラジオからは毎日、軍歌が延々と鳴り響いていた。マスコミは日本の勝利を高らかに伝え、その流れに便乗して映画も軍国的なものばかりが上映された。本書には、当時上映された映画のエピソードの一つが紹介されているが、なかなかになかなかな内容である。川柳師も、紹介しながら「これはあの北の国の映画ではない」なんて書いているが、確かに北朝鮮のことを笑えンな、これは。学校でも軍事教育が激しくなり、体操の時間に突撃訓練や分列行進などを練習させられたという。その当時の日本のメンタルについて、分かりやすく書いた一文がある。引用してみよう。

 それで思い出すのが緒戦勝利のころ、先生が「わが日本は世界唯一の神の国だから、敵が空から攻めてきてわが領空に入れば、原因不明の故障を起こしてみな墜落してしまう」などと能天気なことを言っていた。
 そのころの日本人は多少そんな気持ちを持っていた。


ネットで右翼だ左翼だ言っている今の時代が、いかにマトモかよく分かる。少なくとも今、「竹島を乗っ取ろうとしている韓国人は、いずれ原因不明の病にかかってみな死んでしまう」などと言っている日本人はいない。……いないよな? いるのかな?

その後、川柳師は学徒動員令の発令によって、軍需学校へと駆り出された。その工場では、かの有名なゼロ戦の方向舵を作っていたため、非常に誇らしく仕事が出来たという。が、そこで週に一度行われていた、昼休み中の軍事訓練はとても辛いものだったそうだ。元軍人で荒船という先生に指導してもらったらしいのだが、この先生がやけに厳しい。とにかくビンタが好きで、スキあらば飛んでくる。当時、この先生が言っていた言葉が本書に書かれているのだが、これがなかなかキョーレツでいい。……いや、良くはないんだが。これもちょっと引用してみよう。

 そのとき、一人のオッチョコチョイが、
「先生、米兵は最初に戦車で来るでしょう。竹槍じゃ戦車に刺さらないでしょう」
 途端にパーンと一発張り飛ばされた。
「バカモン、貴様たちはそんな余計なことは考えるな。ただ天皇陛下万歳と叫んで敵戦車に肉弾攻撃で飛び込め。貴様たちが住人、二十人、戦車の無限軌道(キャタピラ)に轢き殺されれば腹わたが搦みつき、その至誠が天に通じて戦車は擱座してしまうのだ」
 いやはやもう無茶苦茶だ。


日本人が自殺するとき、往々にして車や電車に飛び込んでいこうとしてしまうのは、戦中のこういった教えが関係しているのではないだろうか。嘘だけど。たぶん、飛び降り自殺とか、首吊り自殺とか、そういった死に方のほうが多い。……と、冗談は置いといて。本当に凄い時代だったんだなあ、としみじみさせられます。

この他にも、日本人と桜の関連性を軍部が利用していたという話や、「皆殺しのルメイ」ことカーチス・ルメイによる民間人攻撃の話など、戦争関連の話題が盛り沢山。戦時中の話が多いのは、さすが「ガーコン一筋の落語家」という異名を取る、川柳師匠といったところか。……まあ、そのおかげで、本書のバランスが随分とおかしくなってしまったのだけど。良いンだか、悪いンだか。

もちろん、戦争が終わってからの話も面白い。兄の酒屋を手伝うという名目で上京し、噺家になろうと三遊亭圓生の門を叩き、師匠を慕い続けるも、夜中に師匠の酒を盗み飲みしたり、酔っ払って帰って家の玄関に糞を垂らしたり、しくじりばかり。それでも楽しい芸人人生……といったところで、落語協会分裂騒動に見舞われ、愛する師匠と仲違いしてしまうことに……。こうして見ると、かなりドラマチックだ。特に師匠と仲違いの関係になってしまうところなど、かなり壮絶だったのではないかと思うのだが、本書ではそれほど深く触れられていない。まだ川柳師の中で、この辺りの話はまとまりきれていないのかもしれない。

以上の自伝に加え、本書には川柳師の艶噺を四本、テキスト化して収録している。その壮絶な芸人人生を綴った後で、どうして艶話なんか持ってきちゃうのか……と、頭を抱えてしまいそうにもなるが、考えてもみれば師匠も芸人、ただ真面目に人生を振り返るだけではイケナイという判断がなされたのだろう。たぶん。ページ数を埋めるためとか、そんなんじゃないだろう。きっと。

一人の落語家の人生だけではなく、その落語家が辿ってきた時代を綴っている本書。値段は税別760円と、文庫本にしてはちと高いが(河出文庫は基本的に高いのが玉に瑕)、読み応えについては保証できる。エロ艶噺の部分も含めて、非常に満足のいく内容だった。……いや、満足にイクじゃないって。満足のいく、だって。そういうつまらないことを言うから、またこのブログに苦情が……云々。

『第八回 東京03単独ライブ「機微」』

東京03 単独ライブ 機微 [DVD]東京03 単独ライブ 機微 [DVD]
(2009/11/06)
東京03

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東京03がキングオブコント2009で優勝を果たした瞬間、彼らの今後について微塵も考えることなく、ただひたすらに喜んだ。「アンジャッシュ」「アンタッチャブル」「北陽」「おぎやはぎ」「ドランクドラゴン」など、一般の視聴者からマニアにまで広く評価されている芸人が多く所属している人力舎において、東京03は完全に売れ残ったコント集団だった。その完成されたコントの世界は、多くのお笑い通の間で高く評価されていたが、なかなか一般の視聴者には評価されなかったのである。何故ならば、彼らは見た目にとても地味で、あまりバラエティ向きだと思われていなかったからだ。でも、今の彼らにはキングオブコントという、確固たる称号がある。この称号を武器に、これからの東京03は一般にも知られるトリオコント師へとなっていくだろう……と、この瞬間は思っていた。本当に。何の疑いもなく。

しかし、優勝から数カ月が経過した今、東京03はあまり喜ばしくない理由で話題になっている。あの、現在のバラエティを牛耳っていると言っても過言ではない、島田紳助と一悶着起こしてしまったのだ。以後、東京03が出演する番組では、そのことが必ず話題として取り上げられるようになった。バラエティ番組での取っ掛かりを探していた東京03にとって、この状況は決して悪くはない。悪くはないのだが、以前から彼らのことを応援していた身としては、どうもスッキリしない。恐らく、心のどこかで、彼らはこういうカタチで売れるべきではない、という頑固な感情が芽生えてしまっているからなのだろう。しかし、まあ、とりあえず話題になったのだから……という冷静な気持ちも、少なからず残っている。とにかく、フクザツだ。フクザツだとしか、言いようがない。

そんな東京03が昨年11月に行った単独ライブ『機微』が、およそ一年越しでDVD化されることとなった。前作『スモール』が公演の半年後にDVD化されたことを考えると、このスパンの差は非常に大きい。聞いたところによると、この『機微』、本来ならばDVD化される予定だったのだが、その後行われた全国ツアー『トウキョウ、ゼロサン』の動員数が芳しくなく、その影響で一時DVD化が断念されたのだそうだ。しかし、彼らがキングオブコント2009の決勝戦に進出したことで、状況は一転、ライブをDVD化するに至ったということらしい。なんともギリギリな話。前作『スモール』を最高傑作と評した身としては、なんだか切ない。まあ、結果として出すことが出来たから、良かったけれど。

そういった色々の末に、発売される運びとなった『機微』。『スモール』を評価していた人間としては、いやが上にもハードルが上がる。で、実際のところはどうだったのかというと、これが非常に難しかった。いや、内容が難解というわけではない。今までと同様に分かりやすく、それでいて出来も良い。仕事をサボってデートに行っていた角田の発言が衝撃的な『残業』、豊本の恋愛を成就させた角田の悲痛な叫びが印象に残る『美談』、豊本のぬるーいウザキャラが炸裂する『パーティー』など、コント一つ一つのクオリティは非常に高かった。

ただ、どうも今回のライブでは、これまでのライブには無かった「批判的な要素」を含んでいるように見えるコントが少なからず披露されていて、それが妙な後味の悪さを生み出していたような気もする。例えば、『ハムレット』というコント。このコントでは、ハムレットを演じようとする俳優の飯塚・豊本と、それを指導しようとする演出家の角田のやりとりが描かれている。で、この角田演じる演出家が、実は物凄いアガリ性で、役者二人にお手本を見せようとするたびに、ろくな演技が見せられない……という部分が、このコントの肝になっている。ここに妙な悪意を感じるのである(どういう悪意なのかは、あえて書かないが)。ひょっとしたら、単なる気のせいなのかもしれないが。

最後に余談だが、今回のライブはオープニングテーマと幕間映像のクオリティに関しては、過去最高と言っても良いのではないかと思うほどの出来。本編に満足が出来なかったとしても、ここだけでも十二分に満足出来るんじゃないかというくらいに素晴らしい内容となっているので、なにかしらかの方法(購入かレンタル)で観ていただきたい。損はさせない。たぶん。


・本編(86分)
「キャスト紹介」『残業』「主題歌「今考え中~ダメな男の機微の歌~」」『転ばない男』「コロコロ転ぶかな?」『ハムレット』「アンケート」『美談』「本当の愛の歌」『パーティー』「笑顔」『放課後』『タイの夜』「エンディングテーマ「Under Day~わかってもらえない男の機微の歌~」」

・特典映像(10分)
「歌い屋角ちゃん」「豊本明長が教えるなだれ式ツームストンパイルドライバー」「打合せ」

『アンジャッシュベストネタライブ「キンネンベスト」』

アンジャッシュ ベストネタライブ 「キンネンベスト」 [DVD]アンジャッシュ ベストネタライブ 「キンネンベスト」 [DVD]
(2009/10/23)
アンジャッシュ

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今更ながら、アンジャッシュは凄い。いやいや、わざわざお前に言われなくてもそんなこと知ってるよ、なんて思ってる貴方、ちょっと待って。貴方が思っているのは、アンジャッシュのコントの台本というか、構成というか、そういったクオリティのことだと思うんだけど、そうじゃない。いや、それもあるんだけれど。なんだったら、最終的にはそういう話になっていくと思うんだけど、それはとりあえず置いておこう。

僕がアンジャッシュを凄いと思うのは、そのスタイルが多くの人に知られているにも関わらず、それでも未だに面白いネタを作っている芸人として評価され続けていること。これはかなり凄いことだと思う。大抵、アンジャッシュのコントというと、まあ、“ズレ”ているコントだということは、もはや誰でも知っている事実。児嶋さんが言っていることを、渡部さんが間違って解釈して、それに児嶋さんが帳尻を合わせようとするから、どんどん会話がズレていく。全部が全部そうだというわけじゃないけど、アンジャッシュのコントってそういうイメージが強い。で、そのイメージ通りのネタを、彼らはちょくちょく演じている。それなのに、面白い。見ているこっちは、このコントもズレるんだろうなってことも、こういう感じにズレていくんだろうなってことも全部分かっているのに、きっちり面白い。

例えば、今作に収録されている『バイトの面接』というコントだけれど、これも基本的な形は、以前からアンジャッシュが見せていたネタの形とまるで同じ。どういうコントなのかというと、バイトの面接に来た児嶋さんを、店長の渡部さんが万引き犯だと勘違いして尋問していくというものだ。……ほら、物凄く既視感のあるネタじゃない? でもこのネタ、物凄く面白い。アンジャッシュの最高傑作は今の今まで『THIRD EYE ~開~』に収録されている『携帯』だと思ってたんだけど、それに匹敵するくらいに爆笑した。

だからもう、アンジャッシュにとっての“ズレ”って、もはや単なる手法じゃなくなってるんだよね。もう、あれは専売特許だよ。専売特許。もし他の芸人が同じようなことしても、「あ、これアンジャッシュじゃね?」とか思っちゃうもん。で、そういった人たちにとって、もうアンジャッシュの新作は「どんな新ネタを披露してくれるんだろう?」じゃないんだよね。「どんな新“ズレ”を披露してくれるんだろう?」なんだよね。もうアンジャッシュは、その域まで到達しちゃってる。おっそろしい話だよ、本当。

しかもアンジャッシュは、そんな客の期待にしっかりと応えちゃう。これまでと同じ形のネタにもかかわらず、ネタの流れが気づかない程度に進化してるんだよね。これがアンジャッシュの、真の恐ろしいところ。例えば、今作の『ゲストが来ない』。生放送ラジオ番組にゲスト出演する予定だったお天気お姉さんが出られなくなったので、天気予報の音声素材をどうにか工夫して、どうにか出演しているかのように見せようというコント。これのフォーマットはまんま『ピーポーくんの交通安全教室』(from『ネタベスト』)なんだけど、『ピーポーくん~』における笑いのないフリパート(渡部お兄さんが普通にピーポーくんと会話するシーン)の部分が、『ゲストが来ない』では完全にカットされている。この差は大きい。

『ピーポーくん~』の場合だと、メインのボケパートに入る前に、どうしても笑いのないフリパートが必要になってくる。何故なら、この交通安全教室で使われているピーポーくんの発言を、観客は事前に知らないから。フリパートを抜いて、いきなりボケパートを披露しても、観客はまず理解してくれない。でも、『ゲストが来ない』にはフリパートが必要ない。何故なら、観客の多くは天気予報番組などで、お天気お姉さんがどういうことを言っているのかを経験上知っているから。『ピーポーくん~』みたいに、発言を確認する必要がない。だから、以下の様にどんどんボケをハメられる。

渡部「北九州出身で、後に東京に出られたんですね?」
お天気お姉さん「九州地方から、徐々に北上してきました」

渡部「お誕生日はいつなんですか?」
お天気お姉さん「例年通りになるでしょう」

渡部「血液型はA型なんですね?」
お天気お姉さん「今後、O型(大型)になる恐れはありませんので、ご安心ください」


なんだか掛け言葉みたいだ(笑)

この他にも今作『キンネンベスト』には、カツラの上司に部下が告白を嘆願する『カツラ』、壁を一枚隔てて聞こえてくる医者の言葉にやきもきする『診察の結果』、ちょっとした間違いで生じた食い違いが不思議と噛み合ってしまう『社員旅行の写真』と、いずれもその形の元となっているネタが過去にあったけれど、どれもこれも面白い……って、なんかエコヒイキしているみたいだけど、本当に面白かったんだから仕方ない。

ただ一点、気になったところがあった。それは何かっていうと、本編の最後に収録されているコント『誕生パーティー』における、エキストラの扱い。過去、アンジャッシュのコントには、メンバーの二人以外にエキストラを使ったネタが幾つかあった。ただ、それら過去のコントは、いずれもエキストラが本当に小道具程度の役でしかなかったんだよね。でも、この『誕生パーティー』におけるエキストラは、それなりにガッツリとコント本編に絡んでくる。そこが気になった。

もはや“ズレ”の手法はアンジャッシュの専売特許だと先に書いたけれど、これはコントの領域にのみ成立することだ。これがもし、アンジャッシュというコンビの世界だけで作られたものではなくなり、他にもたくさんの出演者を要する舞台を構成するようになったら、それはもはやコントではない。演劇だ。で、彼らが演劇の領域に入ると、ちょっと作風が被ってしまう人が一名いる。下手すれば、侵犯行為とか思われちゃうかもしれない。まあ、もし実際にアンジャッシュがそういうことを始めたとしても、其の人はそんなこと言わないだろうけど、なんだか余計なことを気にしてしまう。たぶん、変に規模を大きくしてもらいたくないからなんだろうなあ。だって、二人がズレてこそのアンジャッシュだからね。

コンビ結成十六年目、欲を出し過ぎることなく活動を継続してきたアンジャッシュ。これからも、変に欲を出すことなく、淡々と結成二十周年を迎えてもらいたいところ……ああ、そうか。もうあと四年で、彼らも結成二十年目を迎えるんだなあ……。


・本編(59分)
『開幕式』『アルバイトの面接』『ゲストが来ない』『カツラ』『診察の結果』『感動エピソード(「旅立つ彼女」「映画出演」「結婚」「ファン」「賞金」「看病」)』『社長のイス』『社員旅行の写真』『誕生パーティー』

・特典映像(9分)
「あの時君は若かった」「キンネンベスト バックステージ」

・本編のコメンタリー映像&副音声

近況報告

文章は書き続けないと腕が鈍るっていうけど、あれは本当だな。まるで書けない。いやね、こっちとしてはもう、今すぐにでもブログの更新をしたいところなんだけれども、なにせDVDの感想文が上手く書けないんだな。書きたいけど書けないなんて、両手括られた中学生男子みたいなことを言ってみたりもするが、そんなことはどーでもいい。重要なのは、このままDVDの感想文が書けないからって、ずっとブログを放置するのはどうなんだろうなって、そういう話なんだよね。だってさ、悪いじゃない。このところ、ちょっと大手のブログさんに紹介してもらったおかげで、他所から人が押し寄せてきてるってのに、何のお構いもなしにいるっていうのは、流石に悪い。悪いのは分かるんだが、いかんせん筆が進まないんだから仕方ない。だからこうして、とりあえずの現状報告を書いているんだが、どうだろうなあ。読んでいる人間としては、「こんなモン更新してるヒマがあんなら、とっとと感想文を書きやがれ!」とか思っちゃうかもしれないなあ。しかし、感想文は書けないんだな。スランプになっちゃって。で、こういう駄文はスラスラ書ける。やっぱりねえ、メッセージ性の無い文章ってのは。楽でいいやねえ。こういう感じに感想文も書いていきたいもんなんだが、どうも理屈で書こうとするせいか、堅くなっちゃう。堅くなるのはナニだけでいいや、なんてバカなこと言っちゃう。無責任は楽でいいね。これが感想文となると、まあ人から指摘されないように下調べはしなくちゃならないし、もちろん読む人のことを考えて誤字・脱字がないように気を使うし、これも当然のことながら、的を射た文章になるように徹底しなくちゃならない。そんな沢山の障害を乗り越えて、今の今までやってきたってんだから、素晴らしいね。拍手喝采されてもいい。誰も叩いてくれないから、自分で叩く。パチパチパチってなもんだ。どうだ、参ったか。誰に言ってるのか分からねえな、まったく。まあ、いいや。とにかく大事なのは、文章を書くっていう感覚を忘れないことで、そのためにこういう文章を書いているんだが、こんな文章でブログを更新して良いもんなのかねえ。ま、いいか。知ったこっちゃねえな。なにせ今、時計を見ると午前一時。草木も眠る丑三つ時……ではないが、まあまあ深い時間帯だ。こんな時間に更新する文章なんて、ろくなものになるわけがないんだから。まあ、そういうわけだから。うん。あ、あと、明日から僕は旅行に行ってくるんで。まあ、旅行っつっても、近場なんだ。そういう関係で、ブログの更新が出来ない状況に……って、まあ二日程度更新出来なくても、大した問題じゃないな。とにかく、そうわけだから。ちょっとパソコンから離れて、休んでくるよ。うん。みんなもパソコンばっかりやってないで、外に出てパケットしような。意味ねーよ!

思い立ったらすぐ発言

友近率いる大阪のアホな人たちが集結して、ただひたすら「思いついたコトすぐ言いたい」トークを繰り広げていた、先日の『アメトーーク』。放送後の評価は賛否両論といったところだが、これだけ話題として盛り上がった時点で、この企画は成功していると言えるだろう。ちなみに、個人的にはこの企画は「当たり」だった。メチャクチャに笑ったというわけではないが、それなりにテンポ良く飛び出してくる下らないワードの応酬が、なんだか漫才の様で楽しかったのである。

ところで、この企画のタイトルは“思いついたコトすぐ言いたい芸人”となっているが、厳密に言うとこれは正しくない。正しくは“他人の言葉尻をきっかけに思い浮かんだ言葉を発言する芸人”である。番組冒頭でも説明があったが、例えば誰かが「今、来たの?」というフリの言葉を提示すると、それを受けて別の誰かが「いまきた加藤!」と応え、さらに「コケコッコー鹿島!」「どすこいブラザーズ!」「メロリンQ」「MCハマーの前で勝手な踊りをするメロリンQ」と、一つの言葉をきっかけに、次々と類似した(もしくは類似しているように見える)言葉が飛び出していく。これが、今回の企画の趣旨である。

この番組でのやりとりを見ていて、ふと思い出したのがシティボーイズのコント『会話の訓練』。上手く会話の出来ない人たちが集められて、会話の技術を向上させていく様子を描いたコントだが、なんとなくこのコントの空気が似ているような、そんな気がしたのである。ただ、実際に鑑賞してみると、それほど似てなかった。まあ、一方的に適当な言葉を発している面々と、それを抑えようとする雨上がり決死隊の構図は、『会話の訓練』における面々ときたろうの関係性に似ているような気がしたのだろう。たぶん。

でも、この言葉のやりとりを、僕は何処かで見たような気がした。なんだったかなあ、どうだったかなあ……と、頭を捻りながら番組を見ていたのだが、ふとした瞬間、その何処かを急速に思い出した。そうだ、これはコントではなく、漫画で見たんだった。急いで本棚を漁り、くだんの漫画を開いてみる。すると、そこには『アメトーーク』で面々が繰り広げていた言葉の応酬が、まさに漫画で表現されていたのである。厳格な口調だけど、大したこと言ってないな。

その漫画とは、唐沢なをきの『刑事くん』である。1987年に月刊少年キャプテンに掲載された作品で、後に作品集『八戒の大冒険 2002 REMIX』(エンターブレイン)に収録されたが、現在は在庫切れとなっている。どうでもいいけど、ちょっと前にNHKの某番組がどーのこーのと言われていたのが、この人である。あと、怪しい帽子を被ったトリビア男、唐沢俊一の弟さんでもある。本当、どうでもいい。すぐ忘れてもいい。

では、今回の「思いついたコトすぐ言いたい芸人」と、唐沢なをきの『刑事くん』が、どのくらい似ているのか。まずは、簡単な粗筋を紹介したいと思う。短いので、改行せずに書く。【某所にて女性の遺体が発見された。捜査一係の五人の刑事は早速、新人の山田刑事とともに捜査に乗り出す。そして犯人を突き止め、無事に逮捕し、彼らは事件解決のお祝いの宴を始めるのであった】。話の流れだけを見ると、実に平凡である。が、実際に見てみると、これが凄いことになっているのだ。以下、冒頭での死体発見のやりとりを書き起こしてみた。

「これが見つかった死体か」
 「青年よシタイをいだけ」
「凶器はなんだ?」
 「どうか私に凶器一票を」
「この石に血痕がついてます」
 「私と血痕してくださいっ」
 「血痕毛だらけ猫灰だらけ」
「おそらくこれで後頭部を…後頭部深川」
「これじゃ即死でしょう」
 「おや君と僕とはソックシですね」
 「ただしまソクシ(食事)中」
「死亡時刻はいつごろだ?」
 「学校にジコクしちゃうよう」
 「そんなこといってるとジコクにおちるぞ」
 「ジコク松山」


……とまあ、こういうやりとりが延々と続くのだが、どうだろうか。なんとなく、「思いついたコトすぐ言いたい芸人」のノリが感じられないだろうか。全編、流れを止めてしまうようなツッコミが入らないところや、一つ一つの言葉遊びが下らなさすぎるところなども、非常に似ているように思うのだが。似ていないと思う人も、いるかもしれない。それはそれで、また真理だ。でも、僕は似てると思う。うん。僕が似ていると言えば、似ているのである。我儘。

そんな「思いついたコトすぐ言いたい芸人」と『刑事くん』が、唯一似ていない点。それは、オチだ。「思いついたコトすぐ言いたい芸人」のオチは、企画を客観的に見続けてきた蛍原が「思いついたコトすぐ言いたい芸人」に呆れて立ち去り、残された「思いついたコトすぐ言いたい芸人」たちが、その「思いついたコトすぐ言いたい芸人」ぶりを発揮し続けるというものだった。一方、『刑事くん』のオチはというと、五人の刑事のノリに参加したがっている山田刑事が、最後の最後でどうにか乗っかろうとして、かなり白けた空気になってしまう……というもの。

オチに第三者的なポジションの人を持ってくるという意味では、両者のオチは似通っている。ただ、前者のオチはボケの集団に呆れて突き放し、後者のオチはボケの集団に迎合しようとしてドツボに陥いっている。この差は大きい。前者のオチは、話についていけなかった視聴者の気持ちを汲んだオチだ。今回のあまりにも挑戦的な企画を受け入れられなかった人を、決して放置しないための処置が施されている。一方、後者は「五人の中に入りたい」という意識があるということが前提になっている人物が、結局輪に入れなかったというオチになっている。この辺の違いに、テレビという媒体と漫画という媒体の違いが浮き彫りになっている……とかなんとか、そういうオチにでもしておこう。うん。何も考えずに書き始めたので、オチを考えていなかったのである。うん。まあ、そういうこともあるさ。うん。

最後に余談だけれど、今回の「思いついたコトすぐ言いたい芸人」という企画、いっそのこと雨上がり決死隊の二人ともが参加して、ツッコミ役を別に用意しておいた方が良かったんじゃないかという気もする。というのも、最後の蛍ちゃんの激昂が、なんだか普段の『アメトーーク』における蛍ちゃんとはまったく違って見えたから。ブラックマヨネーズの小杉とか、タカアンドトシのトシとか、その辺りの技量あるツッコミ師に任せていた方が面白かったのでは……って、それじゃ『アメトーーク』にならないか。うーん……難しいところだなあ。

『超新塾怪体新書 ~オモシロイの向こう側~』

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(2009/10/23)
超新塾

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バーババーバッバッバババババン! 何処からともなく聞こえてくる、「Born to be wild」のメロディ! このメロディが聞こえてきたということは、ヤツらがやって来たということさ! え? ヤツらって誰のことだって? オイオイオイ! お前ら、あんなにもロックでクールな奴らのことを、知らないって言うつもりじゃないだろうな? オイオイオイ、参ったな! じゃあ、俺が教えてやろう! この国で最もロックで、最もクールで、最もハイなステージを見せてくれる五人組のことを! そう! そいつらの名前は、ロックンロールコント集団、超新塾さ!

超新塾? そんな奴らのことは知らない、だって? ハッハッハッ、随分と粋がってやがるな! だが、それなら、お前らはこれまで退屈な人生を送ってきたってことになるぜ? まったく、可哀想なヤツらだぜ……。だが、これからは違う! お前らは超新塾を知った! 今知った! だから、これからのお前らの人生は、これまでとは打って変わって、ヤバいくらいにロックでクールなモンになっちまうんだぜ! どーだい、たまんねえなあ!

え? 超新塾のことを知るためには、どうすれば良いかって? そんなことは簡単さ! ヤツらが俺たちのために用意してくれた、ロックでクールなステージを観るだけさ! ……え? でも、ヤツらのステージを観ている時間がない? オーケイオーケイ、我儘な奴らだな! そんなお前らのために、ヤツらはちゃんとステージを映像にして残してくれているのさ! ヤツらはこれまで、『ロックンロールコント集団 超新塾』『超新塾 ロックンロール劇場』の二作品をドロップしているが、やっぱり今の時代を生きるお前たちには、奴らの最新のステージが見てみたいよな! オーケイオーケイ、分かってるぜ! 今まさに、ヤツらのホットな新作が、ここに届いたところさ! さあ、『超新塾怪体新書 ~オモシロイの向こう側~』を、皆で見ようぜ!

……と、たまにはこんな悪フザケなノリで文章を書き出してみたんだけれど、どうだろうか。当初は、このノリのまま、最後まで書き切ってしまおうと考えていたのだが、途中で飽きてしまったので、ここからは本来の書き方で感想文を書いていこうと思う。……こういうノリの方が良い、とか言われたらどうしたものだろう。まあ、そんな要求をされたところで、何の対応も出来ないんだけども。ええ。

そういうわけで、『超新塾怪体新書 ~オモシロイの向こう側~』である。この作品は、「爆笑オンエアバトル」や「爆笑レッドカーペット」といった番組で活躍している五人組のコント集団、超新塾にとって三枚目の単独作品に当たる。が、過去に彼らがリリースしてきた二枚の作品は、どちらも短めの自己紹介的な作品だったのに対し、この作品は収録時間ガッツリ二時間というハイボリュームな内容になっている。ファン大喜び。

そんな今作は、四つのブロックに分かれている。ブロックそれぞれにチャプターが独立しているので、いわゆる“全編再生”が出来ない作りになっているわけだ。ブロックはそれぞれ「超新塾のコント」「単独ライブ『四人のおばかと一人のどあほお』」「超新塾の歴史」「禅『妄想ショートコント』」というタイトルがついている。また、聞いた話によると、隠し映像も収録されているとのこと。お楽しみ盛り沢山だ。

以下、それぞれのブロックについて。

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腐りかけが一番美味、かもしれない

万年前座僕と師匠・談志の16年万年前座僕と師匠・談志の16年
(2009/11/27)
立川 キウイ

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このところ、立川流の落語家が活発的に本を出版している。元来より立川流は、家元である立川談志がそういった出版メディアに通じているためか、これまでも多くの出版物を世に送り出し続けてきた。しかし、それらの著作はあくまでも落語好き向け、落語に興味のある人たち向けという、非常に狭い世界の人たちに向けたものが大半だった。ところが、昨年出版された立川談春の『赤めだか』によって、その流れは大きく変わった。

『赤めだか』は、自らの半生を振り返ったエッセイであると同時に、師匠である立川談志の大きすぎる存在を書いた教典でもあった。そこに綴られた談志の言葉たちは、多くの読者の心を鷲掴みにし、もはや談志教と呼んでも過言ではない状況を作り出したのである。この影響を受けたのか、後に兄弟子の立川談四楼が立川流発足について書いた小説『シャレのち曇り』が文庫化される。また、弟弟子の立川志らくも、自らの半生を綴りながらも談志という天才落語家の落語について論じた落語研究書『雨ン中の、らくだ』を出版。もはや立川流は、文章クリエイター集団の団体と化してしまっていると言えるだろう。

で、続いて談志に語ろうとしているのが、この立川キウイである。立川キウイといえば、談志に何度も破門を言い渡されるも、どうにか破門にされることなく16年間前座を務めてきたという、奇異な落語家である。その落語家としての姿勢も問題視されているという。そんな男が、談志と過ごした16年間の前座人生を語るという。『赤めだか』を足蹴にし、『雨ン中の、らくだ』を踏み越えて、彼は一体どのようなことを語るのか。

売れるかどうかは知らないし、買うかどうかも分からないが、とりあえず面白そうなので紹介してみた。ただ、なにせ16年も前座を務めてきた男の本なので、面白くないかもしれない。まあ、面白くなかったら、↓で口直しすれば良いと思いますよ。こちらの内容は保証できる。読んでないけど、きっと面白い。
シネマ落語シネマ落語
(2009/11/11)
立川 志らく

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あの素晴らしいあらびき芸をもう一度

初回限定BOX あらびき団アンコール あの素晴らしい芸をもう一度 [DVD]初回限定BOX あらびき団アンコール あの素晴らしい芸をもう一度 [DVD]
(2009/12/23)
不明

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『あらびき団』のDVD-BOXがリリースされるそうです。全二巻。一応、一巻ずつリリースされるみたいですが、個人的にはBOXで買うことをオススメします。何故なら、値段が安いから! BOXと銘打っているにもかかわらず、お値段なんと4,000円! amazonで予約すると、およそ3,000円になるってんだから、これは買わなきゃ損ですね。……僕は12月、フトコロがガチでカツカツなので、見送る可能性が高いですが。代わりに皆、買ってって!(狡い商売)

『Splash!! vol.2』読了。

splash!! vol.2splash!! vol.2
(2009/10/31)
ブラックマヨネーズNON STYLE

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読み終わった。読み終わってしまった。面白い本というのは、読んでいる最中は幸せなんだけど、いつかは終わってしまうという悲しさも含んでいて、実にフクザツだ。読み終わりたくないけど、読まずにはいられない。そんなジレンマに似た感情を胸に秘めつつ、我々のような読者は面白い本を読んでいかなくてはならないのである。大変だね。

現在は「お笑いナタリー」の編集長も務めている遠藤敏文氏によるサブカルチャー系雑誌『Splash!!』は、そんな読者のフクザツなジレンマを思いっきりくすぐってくれる雑誌だ。と言っても、そのジレンマがくすぐられるのは、全ての読者というわけではない。この雑誌が主にくすぐっているのは、芸人を愛し、テレビを愛し、ラジオを愛している人たちのジレンマだ。その人たちには、当然のことながら僕も含まれている。いやー、くすぐられた。というか、くすぐりすぎだ。

そんな『Splash!!』最新号の特集は「M-1グランプリ 戦いの先の試練」である。M-1グランプリ2009が開催されている最中、この特集ではM-1グランプリの覇者・常連たちに対して、M-1優勝後におけるバラエティ番組での立ち位置についてインタビューを取っていた。思えば僕は、これまでM-1グランプリという大会のドラマ性ばかりに気を取られて、優勝したコンビのその後について、おざなりにしてきたような気がする。大会が終わった途端、来年のM-1について考えていたような気がする。しかし、これはとても当たり前のことだが、M-1を制覇した漫才師たちにも、M-1以後の日常が続いていくのだ。漫才師としてではなく、タレントとして彼らが求められてきたこと、そして応えてきたことが、このインタビューでは語られていた。これだけでも、かなり面白い。面白いんだけど、更に面白い特集がもう一つ。

第二特集は、そのM-1グランプリを制覇したコンビの一組であり、このところはバラエティ番組で引っ張りダコな「ブラックマヨネーズ」だ。ブラックマヨネーズに対するインタビューを始めとして、彼らの同期であるチュートリアル徳井に対するインタビュー、放送作家たちによるブラマヨの魅力を語る座談会、ブラマヨの足跡を辿ったコラム……と、読みどころ満載。ブラックマヨネーズが、如何にして現在のポジションまで上り詰めることが出来たのかが、しっかりと綴られている。特に吉田の芸に対するこだわりぶりは、大手お笑い系ブログ「てれびのスキマ」で取り上げられてもおかしくない……って、実はその「てれびのスキマ」氏も本書にライターとして参加しているのだ(M-1特集の方だけど)。ブログで氏がまとめている記事を彷彿とさせる、芸人たちの愛すべき言葉たちを大事にしたコラムだった。若輩の僕が言うのもなんだけど、良い仕事をしているんだなあ、またこれが……。(追記:吉田発言について、既に↑リンク先で触れられていました。見落とし御免)

この他、バナナマン×おぎやはぎによるユニット「宇田川フリーコースターズ」まとめ記事、近日出版予定の『ライセンスの9年本』について語っている「ライセンス」インタビュー、言葉遊びライブ『不毛な議論』『又吉直樹の夜』について語る「山里亮太×又吉直樹×せきしろ」対談など、見どころがずんぐりむんぐり……じゃなくて、しっかりたっぷり。音楽系の記事は趣味じゃなかったから読み飛ばしちゃったけど、それ以外は全部読み切った。ジレンマとか感じる前に、読み切ってしまった。むむ。それだけ面白かったということか。

それにしても気になるのは、続刊である。前号『Splash!! vol.1』が出版されたのは、昨年11月のこと。つまり、前号と今号の間には、一年というスパンが開いていたということになる。と、なると。期待すべき『Splash!! vol.3』が出版されるのは、来年の11月ということに……うー、なんとかならないものか。これだけ面白い雑誌を作るために、かなりの時間を要するということは分かるのだけれども、読者としてはやっぱり、もうちょっと早めに出してもらいたいんだけども。ああ、今度はそういうジレンマかよっ!

ところで遠藤編集長、来年はM-1グランプリが始まってちょうど十年目に当たる年なんですけど、ここらで一つM-1の十年本を出す気はありませんか?(こんなところで売り込むんじゃないっ)

『カフェ・ド・トリコ』を観た。

我が家がBS放送を見ることのできるステキ環境だったので、今日から放送されるという噂の磁石・ハマカーン・マシンガンズの三組によるコント番組『カフェ・ド・トリコ』を観ることにした。で、観た。おぎやはぎ×バナナマンによる『epoch TV square』ほどにしっくりとは来ないが、非常に上質なワンシチュエーションコント番組として仕上がっていたのではないかと思う。それにしても、まさか初回から、主ボケ(厳密にいうとフリか)が神田(ハマカーン)、主ツッコミが滝沢(マシンガンズ)、オチが佐々木(磁石)というトリッキーな配役になるとは。来週から、設定とか配役とか、どんどん変わっていくのかな。ちょっと楽しみ。

『フラミンゴ CONTE COLLECTION Pink』

フラミンゴ コントコレクション「Pink」 [DVD]フラミンゴ コントコレクション「Pink」 [DVD]
(2009/10/21)
フラミンゴ

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東京03の優勝によって締めくくられた、先日の「キングオブコント2009」。思えば、トリオの芸人が何かの大会で優勝している姿を見たのは、これが初めてだった様な気がする。若手芸人の登竜門的番組と言われ続けて、先日とうとう放送開始十年目に突入した「爆笑オンエアバトル」でも、日本一の漫才を決定する年末の恒例行事「M-1グランプリ」でも、トリオの芸人が優勝したことは一度たりともなかった。

どうしてトリオの芸人は、お笑いの賞レースでなかなか優勝できないのか。その理由を単純に考えると、単なるボケとツッコミのみで構成することのできるコンビに対して、トリオの場合はボケとツッコミに加えて、別の新しいポジションが必要となってしまうために、コンビよりも少し複雑で分かりにくくなってしまうからではないだろうか、と思われる。で、その分かりにくさを打ち消すために、ボケを二分する(小ボケと大ボケに分ける)という手法を取っているトリオも多いが、そうすると今度はトリオである必要性が薄れてしまう。なかなかにデメリットの多い構成だ。

それなのに、このところのお笑い界ではトリオのユニットが増えてきている。先のお笑いブームの頃からトリオとして注目されていたロバート、森三中、インスタントジョンソン、安田大サーカスあたりを除いても、ななめ45°、我が家、Bコース、ザ・ゴールデンゴールデン、ビーグル38、鬼ヶ島、三福星、GAG少年楽団など、数え上げればキリがない程のトリオたちが、注目され始めている。これは恐らく、ショートネタによるシンプルな笑いに食傷気味になった人々が、やや分かりにくい複雑なトリオのネタに注目を寄せるようになったから……だと考えてみたりもするのだが、実のところは分からない。

フラミンゴも、そんな近年のお笑いブームで注目され始めたトリオなユニットの一組だ。メンバーはかなり低身長のオレンヂ、ちょいデブの吉田ウーロン茶、ちょいイケメンの竹森千人によって構成されている。なんとなく、我が家を彷彿とさせるフォーメーションだが、彼らは別に「言わせねぇよ!」とは言わないし、下ネタも連発しない。ちなみに、メンバー全員がそれぞれにコンビを結成し、解散したという経歴の持ち主だ。そういえばトリオのユニットには、かつてコンビを結成していた芸人たちによって結成された……というものが多い気がする。調べてみたら、ちょっと面白いかもしれない。

フラミンゴの本芸はコントだ。オレンヂのことを女性ではないかと疑ってかかるコント(『女疑惑』)や、メンバー全員がお互いの母親と結婚してしまうコント(『お母さん』)、メンバー全員が目的を勘違いしたまま集合してしまうコント(『AM 10:00』)など。普通には起こり得ないだろう世界が、彼らのコントでは繰り広げられている。そこにはちょっとだけシュールの匂いが漂っているが、しかし彼らの笑いは決して分かりにくくない。独特の世界観でありながら、その内実は非常にシンプルで、ちゃんと分かりやすく出来ているのである。そんな、シュールとエンターテイメントの絶妙なバランス感覚こそ、彼らの最大の特徴であり、武器であると言えるだろう。

一方、シュールさを打ち消して、エンターテイメント性のみが前面に押し出されたネタもある。その名も「フリ○○シリーズ」だ。竹森演じる“フリ○○さん”が、オレンヂ・吉田の両名に無茶なネタをフリ続けるというだけのコントだ。今作にも、『お父さん』というタイトルで、『フリ父さん』というネタが収録されている。まあ、はっきり言ってしまうとちょっとしたモノマネ芸が連打されるだけなのだが、このフリ場面とモノマネが上手く合致していて、かなり面白い。彼らはこのスタイルで「エンタの神様」にも出演していた。だからてっきり、彼らはすぐに売れてしまうものだと思っていたのだが……まだ売れていない。原因は分かっている。彼らには、圧倒的に華が足りないのだ。華さえあれば、とっくに売れていてもおかしくないのだが……難しい世界だ。

まだまだショートネタ人気の根強い昨今のお笑い界、トリオコント師たちの多くも、ショートネタ仕様のコントを次々に発案し、どうにか波に乗ろうと試みている。そんな時代の中で、フラミンゴは独創的なコントをただひたすら淡々と生み出し続けていく。時代の波に乗る者と、その波の下を潜り続ける者。どちらの選択が正しいのか、その答えが出るのはいつの日か……? なんにせよ、もうちょっと売れてほしいトリオである。


・本編(75分)
『OPムービー』『女疑惑』『お母さん』『イスとりゲーム』『菊池』『お父さん』『恋の予感』『核恋慕(かくれんぼ)』『AM 10:00』『神様』

・特典映像(42分)
「Pinkの舞台裏」「オレンヂのものまねしりとり とうきょう編」「dream(吉田ウーロン茶)」「竹森千人の超おもしろ釣り堀」
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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