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『爆笑オンエアバトル 超新塾』で回顧する

爆笑オンエアバトル 超新塾 [DVD]爆笑オンエアバトル 超新塾 [DVD]
(2010/03/24)
超新塾

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60年代にアメリカでヒットした名曲『Born to be wild』を口ずさみながら登場する、謎の五人組ロックンロールコント集団“超新塾”。彼らが「爆笑オンエアバトル」のステージへとセンセーショナルに登場したのは、2002年5月のことでした。その回では、いわゆる「未勝利戦」が行われていました。これは、過去にオンエア経験のない芸人だけが出場するという、ちょっと変わった趣旨のものでした。

ここで当時、オンエアされたメンバーを見てみましょう。

まず、トップ通過となったのは、今は解散してしまった読み物漫才師のチャイルドマシーン。現在、ボケの樅野さんは放送作家、ツッコミの山本さんはピン芸人として活動中です。続いて、無名のコンビながら、M-1グランプリの決勝戦に進出したことで話題となっていた麒麟。その後、ボケの川島さんが眞鍋かをりさんと噂になったり、ツッコミの田村さんが自伝本を大ヒットさせたりしていましたが、この頃はまだまだ一介の若手漫才師に過ぎませんでした。それから、爆笑問題の弟子にあたる 5番6番。このオンエア以降、危なっかしくも少しずつキロバトルを増やしていき、最終的にはオーバー500を記録できるほどの漫才師に成長しました。そして、チャップメン。この二人は、5番6番とは違って、その後再び連敗トンネルに入ってしまい、そのままコンビを解散。加藤さんは元アメデオの森枝さんとエレファントジョンを結成し、野田さんは元アメデオの大川原さんとどこからかやってきた浅沼さんと鬼ヶ島を結成しました(後に浅沼さんは脱退し、元CUBE の和田さんが加入することになります)。

ちなみに、この「未勝利戦」でオンエアとなった五組のうち四組が、後にチャンピオン大会へと出場することになります。そう考えると、この回は非常に高いレベルの回だったといえるのかもしれません。

この時、超新塾が披露したネタは『ロックンロール大喜利』というコントでした。大喜利の公開録画にやってきたブー藤原(当時は新塾マンモス)が、そこで「ロックンロール大喜利」なる奇妙なライブを目撃する、という趣旨のネタです。これがまあ、今見るとあまり面白くありません。……いえ、それは嘘ですね。当時から既に、面白くないと感じていました。ネタのクオリティも然ることながら、当時の彼らはまだキャラクターとしてのロックンローラーになりきれていない感じがあり、それがなんだか普通の不良が粋がっているように見えてしまったことで、あんまり笑えなかった記憶があります。実際、当時の彼らが獲得したキロバトルは、361kb(三位)と決して高くはありませんでした。

超新塾が二度目の挑戦を果たしたのは、それから二年四ヶ月という月日が流れた、2004年9月に入ってからのことです。その間、芸を磨いていたのだと思われていましたが、なんでも、ただ単純に番組に呼ばれていなかっただけだとか。まあ、初オンエアのネタがネタだけに、仕方がなかったのかもしれません。(ちなみに、この次の回では、超新塾と同じく「未勝利戦」で初オンエアを果たした麒麟が、十一度目のオンエアを賭けて出場しています。超新塾がどれだけの期間、オンバトに出場していなかったのかがよく分かりますね)

当時の出場者は、主任キャラで人気を博していたハレルヤ、若手の漫才師として注目され始めていた三拍子、この翌年に行われたM-1グランプリで決勝戦に進出したタイムマシーン3号など、なかなかに錚々たる顔ぶれ。しかし、そんな彼らを抑え、超新塾はオーバー500を記録し、トップ合格を果たします。この頃、既に彼らの芸風は現在のロックンロールコントスタイルに移行しており、以後、超新塾はほぼ全ての挑戦をこのスタイルで戦い続けています(一度だけ違うスタイルで挑戦し、オフエアになっていますが……)。それだけ完成されたフォーマットだった、ということですね。

とはいえ、彼らも常に同じスタイルで挑戦していたわけではありません。メンバーがそれぞれ一人ずつボケるだけのスタイルから、メンバー一人のボケに他のメンバーが参加するスタイルや、全メンバーがボケに参加して流れをクッチャクチャにするスタイル、イーグル溝神があえてツッコまないスタイルなど、フォーマットに様々な変化を加えて、決して観客を飽きさせることのない笑いを生み出していました。

2009年3月、超新塾は年間ランキング一位という称号を片手に、四度目のチャンピオン大会に進出します。宮崎県で行われたセミファイナルも、1042kb(/1090kb)を獲得して堂々の一位通過。前大会のセミファイナルで叩き出した最高記録1046kbには僅かに及びませんでしたが、かなりの高記録でした。当時の彼らは、三人以上の多人数ユニットとしては、史上最もチャンピオンに近い存在だったといえるでしょう。しかしファイナルでは、トータルテンボス・タイムマシーン3号に次ぐ三位という結果に甘んじてしまいます。ちなみに、このファイナルで彼らが披露したネタは、傑作と名高い『点呼』でした。

このチャンピオン大会をきっかけに、番組から去った超新塾。現在は、M-1グランプリやキングオブコントに出場していますが、あまり芳しい結果は残せていないようです。確かに、彼らの持ち芸であるロックンロールコントは、漫才ともコントともいえないような、独自のスタイルとしての趣が強く、漫才やコントという縛りでは評価が難しいといえるのかもしれません。しかし、彼らの専売特許ともいえるロックンロールコントスタイルが間違いなく面白いフォーマットであるということは、彼らが番組に残した21戦20勝という結果が物語っています。

今日も何処かで響いている『Born to be wild』のメロディ。自然に生きようというメッセージのままに、これからも超新塾は彼らならではの笑いを生み出し続けていくことでしょう。たまにフツーのコントをやってもみたり、しながら。


・本編(112分)
過去に「爆笑オンエアバトル」通常回で披露した21本+チャンピオン大会で披露した7本を合わせた全28本のネタを収録

・特典映像(33分)
爆笑オンエアバトル座談会と「超新塾プライベートクイズ」を収録
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『チュートリアリズムIII』

チュートリアリズムIII [DVD]チュートリアリズムIII [DVD]
(2010/03/24)
チュートリアル

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歴代のM-1チャンプたちが、優勝後にバラエティ番組での身の置き方に苦心している中、チュートリアルはいとも簡単に現在のポジションを獲得していた印象がある。そして実際に振り返ってみると、M-1優勝後の彼らは安定してバラエティ番組に出演し続けている。その状況は、現在も変わっていない。

彼らが全国的に有名なコンビとなる大きなきっかけとなったのは、間違いなくM-1グランプリ2005で披露した『バーベキュー』の漫才だ。このネタにおける、ただただバーベキューの串の並びを真剣に語るという偏執的なボケは、当時の視聴者の記憶にガツンと突き刺さった。その翌年、彼らは同様のスタイルを更に進化させたネタで優勝。漫才師として、確固たる地位を獲得した。

あれから四年。先にも書いた通り、チュートリアルは漫才師からタレントへと華麗に転身を遂げ、ごく当たり前にテレビに出演するようになった。が、彼らがそこできちんと結果を残してきたかと思い返してみると、これがどうも思い当たらない。考えてもみれば、彼らが出演するという理由で何かの番組を見た覚えもない。チュートリアルのネタは決して嫌いではないのだが(「爆笑オンエアバトル」で披露していたおっさんの漫才が印象的)、どうも彼らにはタレントとしての魅力が感じられないのである。

2009年、チュートリアルが二年ぶりに行った単独ライブ『チュートリアリズムⅢ』には、そんな彼らが舞台で二人だけでネタを披露する姿が収められている。タレントに転身した漫才師が久方ぶりにネタを披露すると、どうしても違和感の様なものが生じてしまうものだが、二人からはそういった類いのものを感じることはなかった。むしろ、以前よりも肩の力が抜けて、ゆったりとネタを演じていたように見えた。タレントとしてはあまり結果が残せていないように思えていた彼らだが、その活動の中で、彼らは彼らなりに何かを見つけていたのかもしれない。

今回のライブで披露されたネタは、全部で六本。過去に「爆笑オンエアバトル」でも披露された『南の島のメイ』や、一部で話題となっていたブラック系コント『面会』など、ちょっと懐かしいネタが見られたのは嬉しかった。ちなみに、個人的に一番面白いと思ったのは、美容院に妊婦がやってくる『Run Baby Run』。シチュエーションのナンセンスさも然ることながら、オチのなんともいえない切れ味が実に良かった。新ネタなのだろうか。

本編終了後、特典映像に収録されているエンドトークを見ていると、今回のライブについて徳井が「今回の単独のネタは人の生き死にが関わるネタが多かった」と語っている姿が映し出された。確かに。振り返ってみると、そういった類いのネタがやたらと収められている。これは、もしかしたら、チュートリアルがタレントとしてくすぶっている現状から抜け出し、コンビとして新たなる方向性を見出したいという感情が無意識のうちに表れている……のかどうかは、知らない。


・本編(129分)
「オープニング」「漫才」「QUIZ鼻キング!!」「南の島のメイ」「福ちゃんのはじめてのおつかい」「Run Baby Run」「QUIZ鼻キング!!パートⅡ」「面会」「ややこしい男」「漫才」「おまえと出会えてよかった」「水月」

・特典映像(35分)
「沖縄」「北海道」「大阪公演エンディングトーク」

『バカリズム案①』

バカリズム案 [DVD]バカリズム案 [DVD]
(2010/03/24)
バカリズム

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真っ暗な舞台に、明かりが灯る。そこには教壇があって、それから、何かを映し出すための大きなモニターがある。舞台には、一人の男が立っている。白いワイシャツに紺色のネクタイを締めた男は、まるで大学の講師か何かのように見えるが、彼の職業はそういった勉学に関係したものではない。男の名は、升野英知。またの名を、バカリズムといった。

バカリズムはそもそも、一人ではなかった。相方となる男とともに活動する名前として、バカリズムは存在していた。しかし、結成十年目を迎えた2005年、相方として連れ添っていた男は、升野にバカリズムからの脱退を申し出る。そうして、バカリズムは一人になった。

一人になってからも、升野はバカリズムを名乗り続けていた。その理由について、彼はとあるバラエティ番組で、次の様に語っている。「コンビがピンになる場合、それまでの活動がリセットされてしまうことが多い。それを避けるために、コンビ時代の名前をそのまま芸名として使うことにした」。しかし、この苦肉の策は、結果として無意味なものとなってしまう。何故ならば、ピン芸人としての活動を開始した翌年、バカリズムは“R-1ぐらんぷり”の決勝戦に進出を果たし、その舞台で披露した『トツギーノ』で、その名を全国に轟かせることになったからだ。それ以後も、バカリズムはあらゆる舞台で独創的なコントを展開し、その完成度の高さを見せつけている。

話を戻そう。舞台に立っているバカリズムは、何かを演じることもなく、素の状態で観客に話し掛けた。「今回はですね、どういう内容なのかといいますと、まあ要するに僕がここ最近、まあ一ヶ月ぐらいですかね、の間で思いついた案を、ただひたすら発表していくという、ただそれだけのライブです。それ以上でも、それ以下でもありません。“ジャストそれ”ですよね」。その語り口には、説明するのも面倒だというような、ちょっと投げっぱなしな印象を与えられた。まるで、“そんなこと分かっていて来ているんだろう?”とでも言いたげに。

ところが、そんな印象を否定するかのように、バカリズムは早々と、ライブの説明から自己の紹介へと話を移行する。わざわざライブを観に来るような人の多くは、バカリズムのことを知った上で来ているのだから、そんなことをいちいちやらなくてもいいではないか……と、そう思った次の瞬間、彼は「自分で自己紹介をするのは気恥ずかしいので、他人に対して自分に関するアンケートを取ってみた」という前フリから、とんでもない話を始める。「それではこちら。所属事務所の社員10人に聞いた、升野英知を“電化製品”に例えると何?」。不意打ち。それはまさに、不意打ちだった。ごく当たり前な自己紹介が始まるのだろうと高を括っていた、こちらの予想を遥かに上回った自己紹介を、バカリズムは提示してきたのだ。しかも、なんなんだ、この雰囲気だけのアンケートは。ハードルが高いにも程がある。

バカリズムに関するアンケート結果は、その後も続いた。「所属事務所の後輩5人に聞いた、升野英知を“怪我”に例えると全治何カ月?」「他事務所の芸人さん5人に聞いた、升野英知を“熱量”に例えると何kcal?」「アイドルグループの女の子15人(!)に聞いた、升野英知を“都道府県”に例えるとどこ?」などなど。徹底的に雰囲気だけの結果が生み出されるだけのアンケートは、しかしながら妙に共感させられる妙なものだった。

この自己紹介のくだりは、要するに升野が提示した今回のライブにおけるハードルの高さなのだろう。これを飛び越えられる人間でなければ、今回のライブを楽しむことは出来ないかもしれないよ、というような。ただ、今回のライブにおいて、このアンケート結果が最も高いハードルだったようにも思えるため、これはむしろ、本編のネタを受け入れやすくするためのハードルだったのではないか、という気もする。恐らく、バカリズムが意図していたのは、後者なのだろう。

この自己紹介が終われば、いよいよ“案”の発表である。バカリズムは観客に、様々な案を発表し始めた。例えば、物の用途を円グラフで表示してみる(つまようじの用途は“食べ物にさして食べる(50%)”と“食べカスをとる(50%)”)。例えば、人生に転がっている様々なチャンスのタイミングを教授してみる(歩行者信号が青になったら“横断チャンス!”)。例えば、投げたら戻ってきそうなひらがなベスト5を発表してみる(1位は“く”、2位は“へ”、3位は“ひ”…)。日常の中からバカリズムによって発掘されたそれらの“案“を観ていて、僕はふと一本の映画のことを思い出していた。

『TAKESHI’S』という映画がある。2005年に公開されたこの映画は、芸人であり映画監督でもある北野武が、自身の“発想”の経緯を映像化した作品だ。そして僕は『バカリズム案』が、この『TAKESHI’S』に似ているように感じたのである。その理由は、どちらもその発想が剥き出しになった、いわば“すっぴん”の状態で公開していたからなのだろう。余計な演出を含まないある種の潔さを、僕は両者の作品に感じていたのである。

ありとあらゆる案が発表され、こちらの口角が痛くなってきたところで、ライブは終了。結果として、どの案もまったく役に立たないものばかりだったが、それらの案は“日常の常識を弄ぶことの楽しさ”を提唱しているようでもあり、その感覚はひょっとしたら生きていく上で大切なことなのかもしれないな、などと思ったりなんかもしてみたりなんかした。が、そんな偽善的なライブではなかったと思い返し、やはり意味はなかったと思い直すのであった。意味無いじゃん、と笑っておこう。

ちなみに今作、販売サイトなどでは表示されていない様だが、実はナンバリングされている。ひょっとしたら今後、『バカリズム案』は第二弾・第三弾・第四弾とリリースされていくのだろうか。それほどに案のストックが溜まっているのだろうか。案ストックが溜まっているのだろうか。案ックが……もういいか。とにかく、これからの展開が楽しみである。


・本編(77分)
「オープニング」「生活に関する案」「名前に関する案」「道具に関する案」「記憶に関する案」「順位に関する案」「証明に関する案」

・特典映像(20分)
「没案」「雑案」

エレキコミック第18回発表会『R』

エレキコミック第18回発表会「R」 [DVD]エレキコミック第18回発表会「R」 [DVD]
(2010/03/17)
エレキコミック

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先日、なんとなしにケータイで「お笑いナタリー」を覗いていたら、エレキコミックの二人がインタビューを受けている記事を見つけたので、これまたなんとなしに目を通してみた。そしたらこれが、なかなか興味深い記事だった。その興味の深さときたら、思わず「うーん、なるほど、そうだったのか」なんて言葉が口からこぼれるほど。まあ、実際には何も言わずに読んでいたんだけれど。それでも、興味を持ったことは本当だ。そもそも興味を持っていなかったら、この記事の話から書き始めるわけがないじゃないか、という話。

今現在、エレキコミックはきちんとコントの台本を書いて、それから舞台に臨んでいるとのこと。……なんてことは、とてつもなく当たり前のことじゃないかという風に感じられるけれど、彼らにとってそれは当たり前じゃなかった。その記事によると、「爆笑オンエアバトル」に出場していた頃のエレキコミックは、殆ど台本無しの状態、シチュエーションだけを決めて舞台に立っていたのだという。確かに、当時の彼らのネタはシチュエーションコントが殆どだったけれど、まさかそれらが台本無しで行われていたとは。スゴいと思える反面、バカなんじゃないかという気もする。若手芸人の登竜門で台本無しのコントって、どんだけ挑戦的なんだっ!

そんな彼らが、どうして台本を準備したきちんとしたコントを作るようになっていったのか。ネタ書きを担当しているやついによると、片桐仁(ラーメンズ)とのユニット“エレ片”を始めたときに「やっぱりなあなあではいかんなと思って、一字一句全部台本に書いたんですよ。そしたら、すごくうまくいくようになって。「あっ、こうやって進めるとうまくいくぞ」みたいなことを自分らで発見した」(記事より引用)ことがきっかけだったとのこと。徹底して完成されたコントを生み出し続けているラーメンズに属している片桐が、これまで自由奔放にコントを演じてきたエレキコミックに多大なる影響を与えたと考えると、なんとも面白い話ではないだろうか。そして、このところエレキコミックのコントに感じていた、ある種の違和感の様なものの正体が、このインタビューを通じてようやく理解できたような気がしたのである。

僕のエレキコミックに対するイメージは、基本的に「爆笑オンエアバトル」や「笑いの金メダル」などで培われたものだ。つまり、とにかくバカで意味のない笑いを生み出すコンビ、というイメージだ。しかし、ここ数年の単独発表会において、彼らが披露してきたコントは、なんとなく窮屈でキッチリと収まった印象残るものだったのである。つまり、その印象の変化の理由こそ、彼らがアドリブ重視の笑いから台本重視の笑いになったことにあるのではないか、と考えるわけだ。そりゃ、作り方が変われば、作品も変わるわなという話。2009年11月に六本木俳優座劇場で行われた単独発表会の様子を収録した今作「エレキコミック第18回発表会『R』」もまた、同じような印象の残る作品だった。やつい演じる怪しい男に契約を迫られる田舎者を描いた『Racketeer』、何の前触れもなく家に座敷童子がやってくる『Raider』、ブサイクな女の僻みがオソロシイ『Reason』など、なんとなーくキチッと収まったコントの数々。悪くはないんだけれど、かつてのアドリブ重視だった頃のコントに比べると、物足りなさを感じずにはいられなかった。

とはいえ、エレキコミックがアドリブ主義から台本主義に変わったということは、これからの彼らが表面的な笑いよりも作家的な笑いを生み出すようになろうとしているということで、これはこれで興味のあるところではある。現時点では、まだまだ爆発的な面白さは生み出せていないが、これから慣れていくにつれて、作家的に面白い笑いを生み出していけるようになるのではないか、という期待があるからだ。まあ、ひょっとしたら無理かもしれないけれど。今後、エレキコミックがどうなっていくのかはまだ分からないが、もうしばらく見守っていきたい。……偉そうだなっ。


・本編(78分)
「Racketeer(ぺてん師)」「Re:Opening」「Ready(準備)」「Raider(侵略者)」「Radio(ラジオ)」「Ragtag(ごみごみした)」「Reason(根拠)」「Returns(復帰する)」「Re:Ending」

『オンバト+』四月二十三日放送感想文

平成ノブシコブシ『漫才:干支』(445kb)
吉村が破天荒さをアピールするために、人類で初めて干支にこっそり加わろうとする。破天荒さをアピールしている割に、物凄くきちんとしたネタ運びなのが妙におかしい。途中から、それまでツッコミ役だった徳井が急にボケ役になる展開に、なんともいえない強引さを覚えた。そこはある意味破天荒だけど。干支に加わろうという設定は面白かったので、そこをもうちょっと活かしてもらいたかった気もする。

アルコ&ピース『コント:アジア系の二人』(441kb)
アジア系二人組の雑談。何を言っているのか分からないやりとりの中に、ちょくちょく日本語っぽい言葉が挟み込まれる不条理さが、たまらなく面白い。こっそり肩を叩かれて焦っている時に出てきたフレーズが“トントンオバケ”だったのには笑ったなあ。オチがファミコンのバグりっていうのも、凄く意味がなくて面白かった。こういう中身の無いタイプの笑いは、ちょっと贔屓目で見てしまうな。

藤崎マーケット『細かいモノマネ』(517kb)※今回の1位
ショートコント形式で、細かいモノマネを披露していく。似ている・似ていないというよりも、その場面を切り取って引用するセンスが重視されるネタ。そういう意味では、やや評論じみたスタイルといえるのかもしれない。いわゆる“あるある”の要素が強いネタなので、もうちょっときちんとしたフォーマットを作ることが出来れば、よりネタに重みが増すのではないかと思う。ちょっと今回のネタは軽かった。

夙川アトム『コント:弟の葬式』(345kb)
バイク事故で亡くなってしまった弟のかけた催眠術のおかげで、葬式でバタバタしてしまう兄の姿を描いた一人コント。葬式ネタはコントのシチュエーションとしては鉄板だが、今回のネタは全体的にボケの統一感が無く、面白さとしてはイマイチ。雰囲気を重視しているネタというわけでもなく、ちょっと中途半端な印象を受けた。まだ伸びしろのある人だと思うので、今後の進化に期待。

やさしい雨『コント:サナエさん』(469kb)
「サザエさん」を目指しているサナエさん夫婦の夕飯風景。コントにアニメネタを取り入れるスタイルは、割と色んなコンビがやっていることだが、あからさまにサザエさんを取り入れたコントをやってるコンビは初めて観た気がする。ボケらしいボケもなく、ただサザエさんならではのあるあるネタを引用しているだけなのはある意味潔いが、もうちょっとチャレンジ精神が欲しい。

・オフエア組
ヴィレッジ(341kb/306票)
プリンセス金魚(333kb/675票)
鬼ヶ島(329kb/583票)
キスキスバンバン(237kb/282票)
どぶろっく(185kb/856票)

しばらくオンエアから遠退いている鬼ヶ島、今回も安定してオフエア。以前に比べて、評価は上がっているみたいなのだが……。初出場かと思いきや、過去に二度の出場を果たしていたどぶろっくは、無念の三回連続最下位。勝てない。切り取った一場面が気になった鬼ヶ島に投票。視聴者投票の結果、どぶろっくが次回の「+1」に。

・オンバト+:アロハ『朝ドラ風女子』(277kb)
NHK朝のテレビ小説に登場するヒロインの様な女性“海空花子”が、ファミリーレストランにやってきて騒動を起こす。以前に「爆笑レッドカーペット」で観たときは、海空花子がファミレスのバイト面接に行くというパターンだったと思うが、今回は純粋に客として登場。設定としては、前者の方が流れが明確で良いと思うのだが。「ウチはグリコや!」のところも、前に観た「ウチはダルマや!」の方が、分かりやすくて良かった。ちょこちょこと改悪してしまってる様な。基本的な演技は出来上がっていると思うので、後は台本の精度次第。次こそオンエアとなってほしいところ。

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2010年5月の購入予定

19『兵動大樹のおしゃべり大好き。4
19『夙川アトム 第1回単独ライブ ‘FANTASIA’
26『This is かまいたち
28『江頭2:50のピーピーピーするぞ!5 またもや懲りずに逆修正バージョン

リリース数の少ない四月が終わるかと思いきや、五月もまだまだ少ない模様。夙川アトムにかまいたちとDVDのお初が並んでいるけれど、個人的にはやっぱり兵動大樹のトークライブが気になるところ。なんでも特典映像には、あの夢の国の話が入っているとかなんとか。そして江頭2:50の人気ネット番組、とうとう第五弾!

シティボーイズミックス『そこで黄金のキッス』

シティボーイズミックス PRESENTS そこで黄金のキッス [DVD]シティボーイズミックス PRESENTS そこで黄金のキッス [DVD]
(2010/03/24)
シティボーイズ

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ラーメンズ、バナナマン、バカリズム……関東を代表する中堅コント師たちが人気を集めている昨今において、どうしてシティボーイズがもっと注目されないのか、不思議で仕方がない。方向性は先の三組と同様、というよりも先駆者であるにも関わらず、若い人にそれほど注目されていないと現状は、なんとも不可解だ。……とはいえ、その状況がまったく納得のいかないものであるかというと、そうでもない。その出自が明確ではないものに興味を抱くというのは、あまり簡単なことではないから。と、いうわけで、簡単にシティボーイズについて説明する。

シティボーイズは1979年、劇団に所属していた大竹まこと・きたろう・斉木しげるの三人によって結成された。イッセー尾形やキッチュ(松尾貴史)、とんねるずにウッチャンナンチャンなども出演していたバラエティ番組「お笑いスター誕生!!」で人気を博す。それ以後、現在に至るまで、コント師としての活動を続けている。そんな彼らのコントを一言で説明するならば、“ナンセンス”である。「後には何も残らない、何も残さない」を信念としたその舞台は、常に意味の持たない笑いに満ち溢れている。

そんなシティボーイズが現在行っているライブが、“シティボーイズミックス”だ。このライブは、シティボーイズの三人に複数名のゲストを混ぜる(ミックスする)というコンセプトの元に、2001年から行われている。過去には、中村有志、いとうせいこう、犬山犬子、YOU、チョップリン、ピエール瀧など、シティボーイズと親交のある面々がゲストとして出演している。中でも中村有志は、過去のシティボーイズミックス全てにゲスト出演しており、ライブには欠かせない存在だ。その存在感は、ファンの間で“第四のシティボーイズ”と囁かれるほど。

今作『そこで黄金のキッス』は、シティボーイズミックスとしては九回目の公演に当たる。また、シティボーイズが結成されて、三十年目という節目に行われたライブでもある。今回の公演には、毎度お馴染みの中村有志に加え、数多くのシティボーイズミックスを演出してきた細川徹(大人計画)、今回のライブでは作家としても参加しているふじきみつ彦、そんなふじきが作家として参加しているコントユニット「Nの方向」に役者として参加している春山優がゲストとして出演。過去の公演と比べてとても地味で内向的なゲスト達だが、逆に言うと、ゲストに頼らずに面白いものを作り出そうという意欲の表れだったと言えるのかもしれない。

そんな意欲的な姿勢が功を奏したのか、『そこで黄金のキッス』はここ数年で最も攻撃的で最もナンセンスに満ちたライブに仕上がっていたように思う。ここ数年、シティボーイズミックスは少しその方向性が混迷としており、面白いといえば面白いのだが物足りないという感想を抱いてしまうような、そんなライブが続いていたのである。しかし、今作はそんな継続が力なりと言わんがばかりの状況を、見事に打ち砕いていた。

まず、「貿易船を襲う海賊集団の前に、マトリョーシカに扮した三人組の男が奇襲を仕掛ける」というオープニングコントが、たまらない。海賊はいい。奇襲を仕掛けるのもいい。で、どうしてマトリョーシカなのか。返り討ちにされる三人を尻目に、オープニング映像が始まる。映し出されるのは、ボンド映画『ゴールドフィンガー』を彷彿とさせるメロディに合わせて、黄金色に染まった出演者たちの異様なダンス。60を過ぎた人間がやることじゃない。既にこの時点でお腹いっぱいだが、ライブはまだ始まったばかりだ。その後も意味の無いコントが続く。ある日突然、共産主義になってしまった会社。田舎に引っ越してきたら、そこで行われている奇祭「じじい投げ」に巻き込まれてしまった高齢者。覚醒剤をやっていると疑われている総理大臣……。そこにあったのは、まさしく過激で無意味で後に何も残らない笑いだった。

既に還暦を迎えているにも関わらず、今でも先鋭的にナンセンスな笑いを生み出し続けているシティボーイズ。そんな彼らの姿は、現在活動中のコント師たちにとっての一つの可能性だ。ラーメンズが、バナナマンが、バカリズムが還暦を迎える時、シティボーイズの様な笑いを生み出せるのだろうか。ひょっとしたら無理かもしれない。しかし、可能性はゼロではない。その可能性を、今まさにシティボーイズは示唆しているのである。彼らが「コントよ、あれがシティボーイズの灯だ!」と叫ぶ日は、いつか訪れるのだろうか。

……いやー、しかしバカだったなあ……。


・本編(約110分)
「ソマリアの海賊たち」「オープニング」「今日から我が社は共産主義~共産主義の問題点~資本主義から来た男」「じじい投げ」「息子の友人たち」「性転換の女」「覚醒剤疑惑の総理大臣」「命の使い方ショー」※コントのタイトルは勝手につけたものです

『U字工事 5ミニッツ・パフォーマンス ごめんねごめんね~』全評

U字工事 5ミニッツ・パフォーマンス ごめんねごめんね~ [DVD]U字工事 5ミニッツ・パフォーマンス ごめんねごめんね~ [DVD]
(2010/03/03)
U字工事

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5ミニッツ・パフォーマンスとは、BSフジとポニーキャニオンが共同で制作しているバラエティ番組シリーズのことだ。特定の芸人が中心となって、五分の間に漫才・コント・ドラマなどの様々なパフォーマンスを披露するシリーズで、過去に関根勤(二回)や劇団ひとりが出演している。そんな5ミニッツ・パフォーマンスの最新作に選ばれたのは、史上初のコンビ芸人U字工事である。過去二人の芸歴を考えると、かなりの抜擢だと言えるのかもしれない。

このシリーズの後継にU字工事が選ばれたと聞いたときは、正直言って驚いた。というのも、過去のシリーズに選ばれた関根勤と劇団ひとりはそれぞれ芸風に幅のあるオールラウンドプレイヤーとしての才能に満ち溢れていたが、U字工事はその芸人としてのアイデンティティが「栃木県」及び「田舎の泥臭さ」に限定されているため、このシリーズの様に様々なパフォーマンスを披露するスタイルの番組には向いていないのではないか、という危惧があったからだ。しかし、これがまったくの的外れで、ちゃんと彼らはその限定されたアイデンティティの中から、彼らが求められているだろうポイントをきっちりと抑えた笑いの数々を、この作品において提示していたのである。というか、そもそも「爆笑オンエアバトル」で十七連勝という記録を残している彼らのネタのバリエーションを心配すること自体が、そもそもの間違いだったのだ。反省、反省。

今回は、その収録されている全十本のパフォーマンスについて、解説というか感想の様なものを挟んでみることにした。なんとなく、漠然と「五分間のパフォーマンスって爆笑オンエアバトルっぽいな」と思い立ち、オンバトの感想文と同じ形式にしてみようと思ったからだ。もちろん、爆笑オンエアバトルにおけるパフォーマンスと、この番組におけるパフォーマンスとでは、大きく勝手が違っているように思う。何も勝負事の絡まない現場で、U字工事は果たしてその与えられた五分間を如何に使い切るのか? 刮目せよ。

なおネタ中は、バラエティ仕様で効果音が多用されている。そういう演出が苦手な人は御注意。

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『オンバト+』四月十六日放送感想文

カナリア『漫才:懐かしい曲』(429kb)
安達がテレビで見た「恋人と聞きたいラブソングベスト100」で紹介されていた曲を紹介する。実際に存在しないものを、まるで存在しているものであるかのように説明するという、創作スタイルの漫才。『土下座のマリオネット』『101回目の確定申告』などの妙にセンスを匂わせるワードが印象的だが、ネタとしてはやや脆弱。ラストを天丼でちょっと盛り上げる構成は上手いが、もうちょっと満足感がほしいところ。

ザ・ゴールデンゴールデン『コント:ジャージがない』(457kb)※今回の1位
ひとみのジャージが紛失したことをきっかけに、女子高生トリオの友情が怪しくなり始める。往年のネプチューンを彷彿とさせる軽快なノリの会話が、突出しない程度の笑いを淡々と生み出す。各メンバーがホリケン・タイゾーほどに個性的ではないのが、突出しない原因か。たまに何を言っているのか聞き取りづらいときがあったのが引っかかったものの、ネタの流れはシンプルで、笑いどころも分かりやすくて楽しかった。

ラバーガール『コント:誕生日』(385kb)
まったく知らない男が勝手に家に上がり込んできて、その家の住人である飛永の誕生日を祝う。以前のラバーガールはネタのフォーマットが完成されていたため、大きく外すことがなければ確実にオンエアされるほどの安定感を見せていたが、ここ最近はそのフォーマット自体に飽きてしまったのか、色々なスタイルのコントで遊んでいる印象がある。とはいえ、決して手抜きすることはなく、今回も大水は大水らしいボケを、飛永は飛永らしいツッコミを展開していた。個人的なツボは、「正月にしかジャンプしないって決めてるんですよ」。

天竺鼠『コント:ダンス指導』(385kb)
ダンスを指導する川原のいうとおりに動いてみせるが、何故か必ずその動きが否定されてしまう。その一連の構成が、妙に爽快に感じられるから不思議だ。ただ、基本的に、同じやりとりを何度も繰り返しているだけなので、ちょっと飽きてしまう部分もある。まあ、その辺りのことを分かった上で、こういうネタをやっているのだろうけど。もう一捻りあれば、より面白いネタになっていたような気もする。

ゴールドラッシュ『漫才:モテない理由』(413kb)
昨年、「爆笑トライアウト」七月放送で勝ち上がったコンビ。ラーメンズ、エレキコミックが属するトゥインクル・コーポレーション所属とのこと。漫画のバトルシーンっぽいやりとりから、どうして自分がモテないのかという話へ。メール中に空気の読めない行動を取るあたりが、妙に生々しい。最後の決めポーズも含めて、ちょっと全体的に気恥ずかしい感じがしてしまったのは何故だろうか(笑)

勝又『コント:遊戯』(405kb)
超至近距離で遊ぶ。10回クイズ、モノマネ当てゲーム、右か左かなど、日常的に行われている遊びをやるのだが、その全てをグダグダに失敗してしまう。グダグダな失敗を笑いにするという手法は、数年前にアンガールズがショートコントのスタイルで広めていたが、それとはまったく違った手法で見せるコンビが出てきたことは、ちょっと興味深い。ただ、以前にリリースされたDVDを観た感じだと、これ以外の彼らのネタが果たしてオンバト+に通用するのかどうか、些か不安が残る。とりあえず、今後のオンエアに期待。

・オフエア組
エルシャラカーニ(361kb/496票)
アイデンティティ(349kb/758票)
アロハ(277kb/838票)
ジェニーゴーゴー(177kb/716票)

過去にオンエアされた経験のある芸人たちの名前が揃う中、初登場のアロハが次週オンエア決定。

・次回
アルコ&ピース
ヴィレッジ
鬼ヶ島
キスキスバンバン
夙川アトム
どぶろっく
藤崎マーケット
プリンセス金魚
平成ノブシコブシ
やさしい雨

何気にオンエア経験者ばかりが出揃った、地味に豪華な回に。キロバトルは安定していないがチャンピオン大会の一歩手前まで辿り着いたアルコ&ピース、「爆笑トライアウト」での評価は高いが本戦となると結果が出せない夙川アトム、下ネタの美しいハーモニーが人気の初出場どぶろっくあたりが注目か。しばらくオンエアから遠退いている芸人も多いので、“○年ぶりのオンエア!”にも期待できるかもしれない。

『キャン×キャン 単独ライブ“琉Tube”』

キャン×キャン 単独ライブ“琉Tube” [DVD]キャン×キャン 単独ライブ“琉Tube” [DVD]
(2010/03/03)
キャン×キャン

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別に何かしらかの思い入れがあるわけではないんだけれど、一度でいいから沖縄に行ってみたいと思っている。目的はない。別に思い入れがあるわけでもない。ただ、行ってみたいのである。行って、それなりの観光をしてきて、帰宅したときに「沖縄に旅行に行ってきたよ」と友人知人に触れ回りたいのである。でも、そこには何の理由も、意味もない。まあ、旅行というのは、往々にしてそういうものだが。

しかし冷静になって考えてみると、別に沖縄じゃなくてもいいじゃないか、という気もする。高校を卒業するまでは地元である香川で過ごし、大学の四年間を広島で怠惰を貪り、社会人になってからは再び香川にトンボ帰りした僕には、まだまだ足を踏み入れていない場所が嫌というほど存在している。それら数多ある未開の地の中から、どうして沖縄が一先ずの選択肢として浮かんでくるのか。

その理由は、沖縄には「非日常的な光景」が期待できるからではないか、と思う。僕らは日頃、日本的に築かれてきた様々な文化を肌で体感していて、それはそれで別に悪いというわけではないんだけれど、でもそればっかりだと飽きてしまう。どんなに美味しい食べ物だって、そればっかり食べさせられていたら食傷してしまうのと同じだ。そんな時、非日常的な時間を求めて旅行をしようというときに、自然と非日本的な空間へと足を向けてしまうのは、是当然の摂理だといえるだろう。

と、いうわけで、一度でいいから沖縄に行ってみたいと思うのだが、そう簡単に行くことは出来ない。もし行くとなると、フトコロと時間に結構な余裕がある時じゃないといけないし、それなりの準備もしなくてはならない。滞在時の宿泊施設の予約も必要だし、時間が限られているから出発前にきちんとスケジュールを立てなくてはならない……と、アレコレ大変だ。だからまあ、そういう面倒をきちんとこなせるような気持ちになるまで、僕はとりあえずキャン×キャンの漫才を観て沖縄を感じることにしている。これなら手軽だし、なにより面白いのがいい。

キャン×キャンの漫才には、沖縄の風が吹いている。もちろん、直に吹いているわけではない。本当に吹いていたとしたら、漫才中ずっと玉城の頭がパカパカ状態になってしまって集中できない。あくまで感覚的な話である。感覚的な話なので、理解できない人も少なくないのではないかと思う。でも、それは確かに吹いている。長浜が沖縄の土壌で育んできた感性より生み出されたギャグが爆発するたびに、玉城が沖縄弁混じりのツッコミを返すたびに、そこには沖縄の風が吹く。

「琉Tube」という、沖縄出身であることを全面的に押し出したタイトルの今作は、そんなキャン×キャンの沖縄愛に満ちた作品だ。本編では、お馴染みの漫才に加え、普段はあまり披露されることのないコントや長浜のピン芸、玉城のパカパカヘアーを徹底的にイジくり倒した幕間映像に身内ネタなどが披露されている。また、特典映像には、同じく沖縄出身のコンビしゃもじを加えた四人による「沖縄人にはすべらない話」を収録。沖縄なんくるないさー精神によって生み出される笑いからは、相変わらず南方の風がざわざわと吹き込んでくる。

ただ、この風は、純粋な沖縄の風ではないような気もする。ひょっとしたらキャン×キャンというコンビは、独自の文化が築かれた沖縄出身であるということを隠れ蓑にした、単なるイカれた二人組なのかもしれない。……ということを、長浜の「剣の舞」を使ったギャグを観たときに、ふと思った。やはり沖縄の風を感じるためには、現地に行かなくてはならないのかもしれない。うん。


・本編(70分)
「オープニング」「漫才~ひとつめ~(沖縄風番組/沖縄料理屋)」「パカジェクトX」「ペット番組」「親子クイズ~父~」「漫才~ふたつめ~(ゴキブリ)」「親子クイズ~母~」「ショートショート」「パカCHANGE」「親子漫才」「長浜之人」「漫才~みっつめ~(沖縄のヤンキー/検問/嫁)」「琉球ゲイバー」

・特典映像(40分)
「沖縄の人にはすべらない話」「玉城親子の楽屋」

『キュートンDVD』

キュートンDVDキュートンDVD
(2010/03/03)
増谷キートンくまだまさし

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先鋭的コント集団、キュートンによる自身初の単独作品。キュートンとは、ピン芸人として活動している増谷キートン、椿鬼奴、くまだまさし、しんじの四人と、コンビとして活動しているアホマイルドの計六名から構成されており、昨今のお笑いブームにおける中心番組の一つ「あらびき団」で披露した“ポージング”ネタ(既存曲に合わせてカッコいいポーズをキメるパフォーマンス)が人気を博し、その知名度を急速に上昇させた。既に第二弾DVDを七月にリリースすることも決定しており、その人気は中途半端なものではない。

今作には、2009年12月5日にルミネtheよしもとで行われたキュートンライブ、その名も「ルミネtheキュートン」公演の様子が収録されている。お笑いナタリーに掲載されたレポートによると、当日は漫才も披露されたらしいのだが、それは収録されず。但し、それ以外のネタは、全て収録された模様(一部のネタは危なっかしすぎたのかカットされているけれど)。ジャケットの裏を見ると、収録されているネタは六本のみであるように見えるが、実際は“ポージング”を含めた様々なネタが収録されている。ネタの本数が少ないのではないかと危惧して、購入を躊躇している人は安心していいだろう。

正直言って、今作にはそれほど期待していなかった。「あらびき団」で観るたびに爆笑していた“ポージング”のネタは大好きだったけれど、彼らからほのかに漂うアンダーグラウンドな空気が、閉鎖的な笑いを生み出していることを予感させていたからだ。勿論、そういった笑いが嫌いなわけではないのだが……“ポージング”の様に、純粋に楽しさを追求した笑いを演じてみせた彼らには、そういう笑いが似合わないような気もしていたのだ。ああ、フクザツに揺れる乙女心。誰が乙女だ。

しかし、蓋を開けてみると、今作は“ポージング”と同じベクトルの楽しさを追求した笑いに満ち溢れていた。タイトルにまったく偽りのない『三文芝居・政権交代』に始まり、くまだまさしの大道芸を堪能できる『ボリショボイ大サーカス!』、椿鬼奴の歌声とアホマイルド高橋台本によるコントが余すことなく披露された『鬼奴&クニに乾杯!』、若手の芸人たちが自身のゲロネタを次々に披露していくコーナー『キュートンゲロネタSHOW!』と、とにかく一本一本のネタが総じて楽しい。一部音声がカットされてしまった『悪魔の黒ミサ』と、ライブパフォーマンスとしての色合いが強い最後のコント『海苔キュートン』は、やや消化不良ではあったが、演者や客席が心の底から楽しんでいるということが、よく伝わってきた。満足、満足。

それにしても、これまで単なるオツマでしかないと思っていたアホマイルド(“ポージング”でいうところの、腕に某コブラっぽいものを仕込んでいるレオタードの高橋と、まわしを締めているくまだまさしじゃない方の坂本によるコンビ)が、今作ではかなりの活躍を見せていたのには驚いた。まず坂本だが、こちらは弁が立ちぶりに驚いた。坂本は『キュートンゲロネタSHOW!』でMCを担当していたのだが、非常に声が良くて聞き取りやすく、安定した進行を見せていた。普通にバラエティタレントとして活躍できる技量があるのでは。一方の高橋は、とにかくネタを書く才能に長けている。『鬼奴&クニに乾杯!』で見せた彼の笑いは、シンプルでかつ下らなく、もう「面白い!」の一言だった。なんでも、あの“ポージング”ネタを開発したのも、彼だとか。うーん、凄い。

キュートンとしての活躍とは別に、アホマイルドのコンビとしての活躍にも期待したいところ。いや、本当に。


・本編(87分)
「三文芝居・政権交代」「ボリショボイ大サーカス!」「鬼奴&クニに乾杯!」「キュートンゲロネタSHOW!」「悪魔の黒ミサ」「海苔キュートン」

・特典映像(12分)
「しんじ単独ライブ ~喰うばあああああああい~」「おまけゲロ その1、その2」

・副音声
キュートンメンバーによる本編オーディオコメンタリー

『NETA JIN3 ~堕ちたら這い上がれ~』

NETAJIN 3~Live Tour 2009 墜ちたら這い上がれ~ [DVD]NETAJIN 3~Live Tour 2009 墜ちたら這い上がれ~ [DVD]
(2010/03/03)
陣内智則

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現在、リアルな意味で孤独なピン芸人、陣内智則による単独作品集第三弾。陣内がネタDVDをリリースするのは、2007年2月にリリースした『NETA JIN2』以来およそ三年ぶり。ちなみに、第一弾は結婚前、第二弾は結婚後、第三弾である今作は離婚後にリリースされていることになる。ああ、紆余曲折。

前作『NETA JIN2』では、自身のコントにエキストラを出演させるという、なんだかピン芸人としてのアイデンティティを逸脱したかのようなネタを披露していた陣内だが、今作では、きちんとピン芸人らしく大半のコントを一人でこなしている。「爆笑オンエアバトル」に出演していた頃に比べるとやや演技がぎこちないが、それでもピン芸人としての陣内のネタが今でも観られるのは、正直嬉しい。今後も定期的に続けていってほしいなあ。

今作に収録されているコントは、全部で九本。これまでに陣内が生み出してきたネタの延長線上にあるようなコントから、これまで陣内があまり見せたことのないスタイルのコントまで、多種多様のネタが披露されている。

個人的に面白いと感じたネタは、やっぱり映像がメインになっているコント。某番組をパロッた『ランク天国』(S-1グランプリで披露されたネタ)とか、ゾンビが襲いかかってくるゲームをプレイするお馴染みゲームセンターコント『ゾンビ』、ライブでやり過ぎて本人が飽き始めているという(笑)コント『テレビショッピング』あたりは、腹を抱えて笑った。特に『ランク王国』は、テレビ的なキャラを演じる陣内が、もうやたらと面白くて……って、映像ネタで笑ってんじゃないのかよ。マイセルフ。

逆にイマイチに感じたのは、音声を使ったコント。具体的にタイトルを上げると、真夜中に美術館の絵画が喋り出す『ナイトミュージアム』、自殺しようとする陣内を蝉が止めるハートフル(?)コント『いのち』、陣内が出演するドラマの台本を読み上げていく『~君となら~』あたり。これは構成が悪かったのかな。前半に目で見て笑える映像ネタを持っていき過ぎて、後半の耳で聴いて笑える音声ネタが地味に感じられてしまったんじゃないかと思う。やっぱり映像ネタと比べると、ちょっと地味だからなあ……。

ただ、今作の最大の見どころは、披露されているコントではなく幕間映像「走馬灯」にあり。車に轢かれた陣内が、まるで走馬灯を見ているかのように記憶を巡っていくこの映像は、もちろんアレの瞬間の彼とソレの瞬間の彼の姿も追っている。ぜひ、苦笑いを浮かべながら、見ていただきたい。ふふふふふ。


・本編(84分)
「オープニング」「バッティングセンター」「ランク天国」「ゾンビ」「テレビショッピング」「ナイトミュージアム」「いのち」「~君となら~」「走馬灯」「猫とおっさん」「絵日記」

・特典
陣内智則、原田専門家(映像)、くらなり(構成)、諸岡立身(構成)による副音声解説

『NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~』

NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~ [DVD]NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~ [DVD]
(2010/02/24)
NON STYLE

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NON STYLEによる単独作品第四弾(単独ライブを収録したものとしては三枚目)。前作は全国6大都市を巡るツアーだったが、今作では更にその範囲を広げ、全国14都市を巡るツアーとなっている。2008年にリリースされた『NON STYLEにて』以後、年に一度のペースで新作DVDをリリースしている彼ら。もはや新作リリースの常連であると言ってもいいのかもしれない。

それにしても、相変わらず安定感のある面白さである。彼らの本分といえば漫才だが、今回はコントの完成度が高かったように思う。中でも、石田が自分勝手なアルバイト候補を演じる『竹林十五郎』と、井上が通常の数倍ほどにイキっている定番キャラクターコント『刑事』が、深く印象に残っている。実は漫才師としての才能よりも、キャラクターを活かしたスタジオコント師としての才能に秀でているのかもしれない。「爆笑レッドシアター」あたりに出てくれないものだろうか。(ちなみに、石田は志村けんと同じ誕生日らしい。なんたる偶然)

もちろん、漫才の完成度も高い。M-1グランプリ2009決勝の舞台で披露されていた「みねうち」と「不良漫画」のネタも収録されている充実ぶりだ。特に「みねうち」は、M-1決勝で披露されたバージョンよりも長く、非常に楽しめる内容に仕上がっていた。……つまり、M-1決勝の舞台で披露されたバージョンは、今作に収録されているバージョンのショートカット版だったということなのだろうか。……なにやらM-1グランプリ2006のフットボールアワーに感じた違和感を彷彿とさせられるが、あまり考えないことにする。うむ。……そういえば、あの年も優勝コンビはパーフェクト達成していたなあ……うむ。今作には、この「みねうち」と「不良漫画」以外にも三本の漫才が収録されているが、この二本に比べると少し劣る感。本当に良いネタをM-1に仕込んできたんだと、改めて納得。

そんな本編よりも、更に面白かったのが特典映像の『催眠術』。この特典では、普段は井上をイジる立場にある石田が、催眠術をかけられることによって、徹底的に井上からイジられまくるという映像が、延々と一時間以上も収録されている。まあ、これが面白い。口にする言葉が全て「ドラゴンフルーツ」になってしまう石田、ワサビを抹茶アイスだと言われてバクバク食べ始める石田、トイレットペーパーを万札だと思わせられる石田、そして特典映像のためだけに呼ばれた大物ゲストに対してブチ切れてしまう石田……テレビ的にアウトな気がしないでもない衝撃映像の数々は、僕のちょっと人間として機能してはならない感情をズキズキと揺れ動かしたような気がした。この映像を観るためだけでも、この作品には手に入れる価値がある!


・本編(88分)
「漫才1(無人島)」「コント:チェリー」「漫才2(ヤンキーを更生する先生)」「コント:竹林十五郎」「漫才3(みねうち)」「コント:一千万円」「漫才4(デートで寝坊)」「コント:指」「コント:刑事」「漫才5(不良漫画)」

・特典映像(118分)
「ツアーオフショット映像」「催眠術」

2010年4月「キングコング」

今月からレギュラー放送が開始されることとなった「笑神降臨」。前期放送は途中で感想が途切れてしまい、そのまま放置しっぱなしにしてしまったけれど、今期放送はしっかりと感想文を残していきたいと思う。今回の放送で取り上げられているのは、ネットお笑い界隈ではあまりよく言われていない漫才師「キングコング」。M-1グランプリでは三度の決勝進出を果たし、他の若手芸人よりも一足早くバラエティ番組に進出していた彼らは今回、五本連続立て続けに漫才を披露する。

一本目
お馴染みの「しゃかりき頑張ります!」でスタート。漫才のアタマに勢いをつけた方がいい、という理由から、仲の良い友だち同士がよくやっている動き(腕をガシッガシッとぶつけ合う動き)をしてみようという話へ。若々しいテーマに勢いとテンポを重視した一本目に相応しいしゃべくり漫才だが、冷静に見ると「一つ一つの動きを梶原がきちんと出来ない」というボケしかないため、意外性に欠ける。先が読め過ぎてしまう展開は否定しないが、それを上手くフォローするということが出来ていない。

二本目
『心霊スポットへ肝試しに』。近所の心霊スポットに行くことになった西野が、廃校となった小学校に肝試しにやってくるしゃべくり漫才。心霊現象の一つ一つを説明する西野と、その説明をいちいちジャマしようとする梶原の掛け合いがコミカルでいい。ボケのバリエーションも増えて、一本目よりも面白く仕上がっている。ただ、ネタのスタイルがちょっと、一昔前の中川家みたいになってしまった気も。

三本目
『運動会』。西野の説明する運動会の競技を、二人で演じてみせる。ネタのテーマも内容も、なにやら昭和の漫才師を彷彿とさせる。昔の漫才を二人がカバーしているかのような、そんな感覚だ。今の二人がこのネタを演じても、そんなに面白くない。おそらく、このネタは彼らが五十くらいになって、漫才師として熟した時期に改めて披露したら、メチャクチャ面白いんじゃないかと思う。今の彼らでは、ちょっと若さが邪魔になってしまっているか。

四本目
『新しいスタイルの漫才』。もっと新しいカタチの漫才を始めたほうが良いんじゃないか、という梶原の話から「ボケとツッコミを逆にした漫才」「ラップ漫才」「サンバ漫才」などの新しいを披露する。前三本のネタとは違い、動きよりも言葉のボケを重視した漫才。以前、何処かで観た覚えのある漫才なのだけど、何処で観たんだったっけか……。「リンゴ姉さんが過ぎるわ!」というツッコミが個人的にツボ。今回、最も純粋に面白いと感じたネタだったかな。

五本目
『住民票の貰いかた』。引越しを考えている梶原が、西野に住民票の貰いかたを教わる。家が目黒にある梶原、目黒区役所に行かなくてはならないのだが、区役所の場所が分からない。それを説明するために鴻神社を目印に説明しようとするが、鴻神社も分からない。では、目黒駅からの道筋を説明しようとするが、目黒駅の場所も分からない。区役所を説明しようとする西野と、それをまったく理解できない梶原のやりとりは熱量が凄まじくて面白いのだが、どうしてもブラックマヨネーズを彷彿としてしまう。でも、精神的にアレな吉田の説得力が滲んだブラマヨの漫才に比べて、このネタはいまいち梶原の説得力が感じられないんだよなあ。というか、今回の五本のネタ全部から、梶原ならではの何かが感じられなかった気がする。西野ワンマン経営の会社、みたいな。精神的に弱い梶原をフォローしているのかもしれないが、ちょっと一人で背負い込みすぎじゃないのか。「目黒太郎さんになってまうからやーっ!」はメチャクチャ面白かったけどね。

次回は「エレキコミック」。

一人ぼっちの“キング”コング

西野亮廣独演会 [DVD]西野亮廣独演会 [DVD]
(2010/07/14)
西野亮廣(キングコング)

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キングコングのツッコミ担当、西野亮廣が月に一度のペースで行っているソロトークライブ『西野亮廣独演会』がDVD化されることになった。収録されているライブは、京橋花月で行われた第40回公演のものらしいとのこと。キングコング名義によるDVDすらリリースしたことのない西野は、果たして相方である梶原不在の舞台でどのような笑いを構築しているのか。期待したい。

・その他のリリース
0623『チーモンチョーチュウ 単独ライブDVD(仮)
0623『「我」(仮)』(オリエンタルラジオ)
0625『やりすぎコージーDVD BOX 13
0625『やりすぎコージーDVD 25 やりすぎ都市伝説外伝!!世界の七不思議大捜査スペシャル(仮)
0625『やりすぎコージーDVD 26 芸人プライベート(仮)
0630『モンスターエンジンDVD2(仮)
0714『キュートンDVD2(仮)
0714『グレートダイナマイトフロムヘル(仮)
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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