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『プレミアステージ2009』

プレミアステージ2009 [DVD]プレミアステージ2009 [DVD]
(2010/04/07)
笑い飯ノンスタイル

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2009年末に関西テレビで放送されたバラエティ番組「プレミアステージ2009」をDVD化した作品だ。この番組、最初からDVD化を意識していたようで、放送前の時点で既に今作のネット予約が可能だったらしい。そりゃまあ、東西の人気若手芸人を揃えたんだから、DVD化した方がいいに決まっているのだが、なんともせっかちな話である。

この番組は、2009年のお笑い情勢をVTRとトークで確認するスタジオパートと、2009年に活躍した若手芸人たちが出演するネタパートに分かれている。その両方の視点から2009年のお笑いを振り返ってみよう、ということなのだろう。スタジオには、真面目過ぎて天然扱いされることも多い西川きよし、関西ではお馴染みの女性芸人なるみ、「やりすぎコージー」「あらびき団」などの番組でそのコメント力を遺憾なく発揮している東野幸治ら三名が出演する。実に関西らしい布陣。また、ゲストとして、庄司智春と小藪千豊も参加している。ミキティー!

トークの内容は、あまり覚えていない。確かに2009年の話題をテーマに話を進めてはいたのだが、なんとも当たり障りのない、これといって見所のないトークが展開していたような気がする。まあ、西川きよしが出演している段階で、あまり期待してはいなかったのだが。ちなみに、それらトークの中で最も印象に残っているのは、その西川きよしの息子が買い食いしたときの話である。どんなにつまらないものでも、突き抜ければ狂気になることを示した、いい事例だと思う。

一方のネタパートはというと、こちらもあまり見所がなかった。出演者だけを見ると、やれM-1ファイナリストだ、やれKOCファイナリストだ、やれ時代を先取るニューカマー(byとんねるず)だ、かなり豪華ではあるのだが。これは恐らく、彼らの多くが「爆笑レッドカーペット」や「あらびき団」のような番組で、比較的容易にネタを観ることが出来るためだろう。まあ、これは2009年を代表する芸人を集めている以上、仕方がないことではある。それよりも問題だったのは、スタジオの面々とネタ芸人が絡む場面が、まったくの皆無だったことである。せっかく若手を集めているのだから、スタジオのなるみや東野と絡ませたトークを収めればよかったのに。実に、実にもったいない。あと、オードリーいないし(※番組には出演していたが、DVDには収録されなかった模様。何故?)。

……というわけで、今作の本編には、見所といえるような場面は、殆ど全く収められていなかった。恐らく、テレビで放送されていた内容と今作の本編は、殆どまったく同じものなのだろう。これほど魅力を感じさせない番組のDVDが、果たして売れるのだろうか。実売枚数が気になるところである。……とはいえ、今作に見るべきものは全くなかったのかというと、そうではなかった。確かに本編は、毒にも薬にもならないような内容だった。が、今作には、DVDの醍醐味である特典映像が収録されている。この特典映像が、なかなかに興味深い内容だった。

DVD特典として収められている映像、それはネタパートに出演した若手芸人たちによるユニットトークだ。全国区のテレビではなかなか見ることができないだろう若手芸人たちだけで繰り広げられるトークの数々は、彼らがそれぞれに抱いている感情をストレートに表現していた。特に、東京03のことを飄々とイジってみせるバカリズムの姿は、かなり珍しかった。恐らく、信用できる相手に対しては、胸を借りるつもりでグイグイとイケるタイプなのだろう。バラエティ番組への出演が増えていくようになれば、こういう姿のバカリズムをもっとテレビで見られるようになるのだろうか。

ここまでそこそこ否定的に書いてきたが、特に宣伝文句となるような要素はないものの、2009年のお笑いを振り返るという意味では、今作はそれなりに有用と言えるのかもしれない。R-1ぐらんぷりにキングオブコントにM-1グランプリと、若手芸人が評価されるための大舞台が以前にも増して注目されるようになった近年。こうして総まとめの役割を果たしてくれる作品は、あまり否定的に捉えるべきではないのかもしれない。R-1チャンプの中山功太が出てないけどなっ!(←割と功太が好きな人)


・本編(66分)
トーク「OPENING」「芸人×アイドル」「吉本新喜劇50周年」「お笑いグッズの真実」「おまけ:西川きよし伝説」
ネタ「NON STYLE」「U字工事」「はんにゃ」「ジャルジャル」「ナイツ」「バカリズム」「天竺鼠」「天津」「ガリガリガリクソン」「東京03」「モンスターエンジン」「笑い飯」

・特典映像(78分)
「他では見られない斬新なユニットトーク」
【笑い飯×NON STYLE×天津】【東京03×バカリズム】
【ガリガリガリクソンの部屋×U字工事・ナイツ・モンスターエンジン・ジャルジャル・天竺鼠・はんにゃ】

カンニング竹山単独ライブ『放送禁止 Vol.2』

カンニング竹山単独ライブ「放送禁止 Vol.2」 [DVD]カンニング竹山単独ライブ「放送禁止 Vol.2」 [DVD]
(2010/03/25)
カンニング竹山

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まさかまさかの、第二弾である。前作がそれほど良い出来ではなかったので、一回コッキリで終了するものだと思っていたのだが。こちらが思っていた以上にDVDが売れていた、ということなのだろうか。ジャケット裏に書かれた“ストレスのたまった大人たちに贈る”という言葉の通り、ストレスのたまった大人たちが買ったのだと。……もう少し有効的なお金の使い道について、考えるべきではないかと思う。前作も今作も自腹で買っている人間が言うことではないか。まあ、僕はそんなにストレスがたまっていないので、別のいいのである。ストレスがたまっていない大人にも贈られるぞ。うん。

前回のライブでは「金融会社から多額の金を受け取る方法」「TENGA制作ドキュメンタリー」「どう考えてもカタギじゃなかった父親の話」など、まさに“放送禁止”な漫談を披露していた竹山さん。これらのネタ、確かに面白かった。面白かったのだが、どうも竹山さんらしさが出ていなかったような気もした。金融会社の話も、TENGAの話も、父親の話も、間違いなく竹山さん絡みの話ではあるのだけれども、どうも自身による話ならではの生々しさ、リアリティが無かったというか。これは竹山さんの話術が足りないとか、そういうことではないように思う。おそらく、構成・演出の鈴木おさむが出しゃばり過ぎて、竹山さんの味を殺したせいだろう。まったく、これだから売れっ子は困る。

それから一年を経て、再び行われた単独ライブ『放送禁止』。前回と同様、やはりテレビでは放送できないようなアウトローなネタが披露されるのだろうと思っていたが、これが随分と様子が違っていた。そもそも、今回のライブの発端となっているのは、ライブから六ヶ月前に起こったという“カンニング竹山の浮気発覚”事件だったという。……そんな事件があったことすら知らなかった僕は、この時点で完全に置いてきぼりだ。まあ、特に問題はないのだが。今回のライブは、その“カンニング竹山の浮気発覚”における全ての出来事を再現した、いわばドキュメンタリー的な内容になっていた。要するに「浮気しちゃったけれど、それにはちゃんと理由があったんですよ」ライブである。言い訳だけで二時間もやってしまうんだから、スゴいね。

今回のライブは三部構成になっている。第一部は「真実」。どうして浮気をしてしまったのか、その真実について一時間近く説明するというものである。……そう。一時間ずっと、竹山さんが一人で喋る。これははっきり言って、辛い。竹山さんの喋りは漫談家の喋りではないから、こういう長丁場のトークにはあまり適していないのに、どうしてこういうことをするのか。しかも、途中にチャプターもついてないから、一度停止してしまったら、話の初めからその場面までひたすら早送りしなくてはならない。ああ、面倒臭い。面倒臭いが、話の内容はなかなか興味深い。芸能界と週刊誌業界の間に蠢く有象無象の世界が、ほんの少しだけ垣間見えたような、そういう話だった。そっち方面の話が好きな人は、観るべきなのかもしれない。まあ、それほど深い話ではないのかもしれないが。

続く第二部は「俺と薄毛のブルース」。これは現在、竹山さんがイメージキャラクターを務めている育毛剤“リアルラゾン”に関するエピソードを、何故かブルース調で歌いあげるというものだ。先にも書いた様に、今回のライブはあくまでも“カンニング竹山の浮気発覚”を中心に作られているため、このネタはいわば閑話休題の様なもの。しかし、今回のライブで、最も“放送禁止”な内容だったのは、このネタだった。正直、浮気の話とか聞いている場合じゃない。一言で説明するならば、このネタ、鮮烈なスポンサー批判である。衝撃。

最後の第三部は「裁判」。第一部の「真実」を受けた竹山さんの奥さんが、竹山さんにどういうリアクションを取ったのかを完全に再現した、ちょっとしたコントの様なものを披露している。はっきり言ってしまうと、とりたてて面白い展開はここにはない。ここで演じられているのは、ダメ芸人の夫とそれを温かく見守る妻という、古典落語に出てくる夫婦の姿そのものでしかない。いや、探したら多分、こういう噺あるんじゃないだろうか、本当に。

なお、今作には、そんな美談で終わらせたくない人に配慮したのだろうか、特典として有吉弘行とすぎ(インスタントジョンソン)による副音声コメンタリーを収録している。悪口に定評のある有吉さんと、プライベートでもよく竹山さんと飲んでいるというすぎさんによるコメンタリーは、非常に客観的に芸人・カンニング竹山のダメな部分を指摘しており、実に合点がいった。感動してる場合じゃないよ、まったく。


・本編(122分)
「act.1 真実」「act.2 俺と薄毛のブルース」「act.3 裁判」

・特典
有吉弘行・すぎ(インスタントジョンソン)による副音声コメンタリー

ええ声がアイデンティティ

麒麟川島単独ライブ 雨降る夜~the Best~ [DVD]麒麟川島単独ライブ 雨降る夜~the Best~ [DVD]
(2010/07/21)
川島 明(麒麟)

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麒麟のボケ担当、川島明が2009年に三度行った単独ライブ「雨降る夜」から、厳選したネタを披露したライブ「雨降る夜 ~the Best~」がDVDになるそうです。R-1ぐらんぷり2009でも披露された『ええ声で言おう』を始めとした、様々なネタが収録されているとのこと。聞いた話によると、落語なども披露されたとか。特典として、麒麟川島とインパルス板倉による副音声も収録される予定。あまり共通点の無さそうな二人は、そこでどのようなトークを展開するのだろう。楽しみだ。

・その他のリリース
0721『M-1 グランプリ the BEST 2007~2009
0721『M-1 グランプリ the BEST 2007~2009 初回完全限定生産
0721『チハラトーク100回突破記念SP
0721『漫才ライブ アフロの森のおふざけモンキー
0728『ウーマンラッシュアワー 単独DVD(仮)
0728『見たら必ず行きたくなる 笑い飯哲夫のお寺案内DVD~修学旅行でなかなか行けないお寺・奈良編~

『爆笑レッドカーペット~花も嵐も高橋克実~』『爆笑レッドカーペット~克実より愛をこめて~』

爆笑レッドカーペット ~花も嵐も高橋克実~ [DVD]爆笑レッドカーペット ~花も嵐も高橋克実~ [DVD]
(2010/03/30)
今田耕司高橋克実

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爆笑レッドカーペット~克実より愛をこめて~ [DVD]爆笑レッドカーペット~克実より愛をこめて~ [DVD]
(2010/03/30)
今田耕司高橋克実

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バラエティ番組のDVDを購入するということは、是即ち、その番組が放送されていた時代の空気を買うことと同義である、と考えている。これは、ウケのいいフォーマットに時代の要素を散りばめるだけであることの多いテレビドラマに対し、その瞬間の視聴率を意識しているバラエティ番組は、結果的にその時代の空気を取り込んでしまっているのではないか、という考えによるものだ。勿論、全てのバラエティ番組がそうだというではない。中には、ソフト化することを前提とし、普遍的な面白さを狙っているバラエティ番組も、少なからず存在している。が、バラエティ番組の姿勢としては、前者の方が正しいように思う。テレビ番組は、あくまでもテレビの中でリアルタイムに評価されるべきだからだ。

「爆笑レッドカーペット」がまだ特別番組として放送されていた頃のネタを収録している今作にも、同様の期待をしていた。要するに、特番時代の「爆笑レッドカーペット」が放送されていた頃の、時代の空気を感じることが出来るのではないか、という期待である。ただ、この特番が放送されていたのは、今からたった三年前のことなので、時代の空気もへったくれもないのではないか、という意見もあるかもしれない。しかし、三年という月日の経過は、決して短いものではない。それが例え一年前であったとしても、そこには確実に時代の変化が生じている筈である。その時代の変化を、どれだけソフトの中に収めることが出来ているか、それが今作に対する評価の決め手になっているといっても過言ではない。

今回リリースされた「爆笑レッドカーペット」のDVDは、二つの作品に分かれている。収録されている映像は、どちらも過去の特別番組で放送されたものだが、発売元の違いにより、その傾向は少なからず異なっている。そのため、今回はそれぞれを違った作品として、取り上げた。

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『オンバト+』五月七日放送感想文

ゆったり感『漫才:あいうえお作文で取り調べ』(521kb)
あいうえお作文でモノの特徴を伝える話から、あいうえお作文で警察の取り調べを演じる。五十音あいうえお作文という前提が、ネタ全体の統一感を見事に演出している。ネタの内容も、行ことにきちんとオチをつけている点が、非常に上手い。ただ、先のボケを応用して上手く繋ぐくだりが多いためか、ややこじんまりとしてしまっていた気もする。どういうカタチで自らのスタイルを見せていけるかで、今後の展開が大きく変化するのでは。

トップリード『コント:コンパのトイレ前』(509kb)
合コンのトイレタイムを利用して、合コンを企画した男友達に文句をつける女。メインである合コン部分をメトロノームの音で省略する演出が、地味に素晴らしい。ただ、短い。設定のことを考えると、これはもっと長い時間をかけて披露されるべきコントであり、オチに至るまでの展開があまりにもアッサリとし過ぎてしまっていた点は否めない。ひょっとしたらカットが入ったのかもしれないが、実に勿体ない。近日、彼らは単独ライブ(DVD収録)を行うらしいが、そこで是非披露してもらいたいと思う。もちろん、長いバージョンで。

コア『漫才:特技・ケンカ』(401kb)
コンビの特技を合わせて、新しいものを生み出していこう。喋りの達者さは流石十年選手といったところだが、あまりにも立て板に水過ぎて、ボケを聞き逃してしまいそうに。何を聞いてもカレー関連の言葉に聞こえてしまうというボケは、なんとなく既視感が。ほら、あの青いスーツの漫才師……名前なんて言ったっけ……。中盤からは、お馴染みの売れない二人の痴話ゲンカ漫才へ。正直、漫才が真っ二つにされているみたいで、あまり良い印象を受けない。“売れない二人”の部分を捨てても、十二分に面白いネタを生み出すことが出来れば良いのだが。

朝倉小松崎『コント:新任の教師』(381kb)
音曲漫才師、今回はコントのスタイルで。とはいえ、やっていることは、漫才とさして変わらない。あえて芸人の持ちネタを取り入れるなりふり構わないところは、逆に好印象。曲のバリエーションも、以前に比べて明らかに増えているのもいい。トイレのくだりがカットされていたけれど、なんだったんだろうか。最後にエリック・クラプトンを流す展開に、思わず苦笑い。そこでそれを持ってくるか。

上々軍団『漫才:ついてない』(385kb)
ついてない話をする鈴木に、「全然いいじゃん!」と更についてない話をする岡見。ネタのフォーマットは、2010年1月にオンエアされたネタとほぼ同じ。ただ、内容が前回よりも格段にナンセンスになっていて、面白かった。「いつもお尻に挟んでいるお札」ってなんなんだ。方向性は決して悪くないと思うのだが、このスタイルだけでは厳しいだろう。更なるスタイルの開発が必要か。

・オフエア組
あきげん(357kb/599票)
クロスバー直撃(349kb/582票)
ヒデヨシ(297kb/281票)
クロンモロン(289kb/555票)
カノン(249kb/922票)

2009年度の「爆笑オンエアバトル」で初のオンエアを果たしたあきげん、2008年以降オンエアに恵まれないヒデヨシ、「爆笑トライアウト」ではオーバー500を記録したこともあるクロンモロンなどがオフエア。10秒間のネタ見せでは、どのコンビも面白そうだったので投票に些か迷うも、とりあえず設定が気になったクロスバー直撃に投票する。視聴者投票の結果、カノンが次回の「+1」に。

・オンバト+:どぶろっく『漫才』(185kb)
冒頭の“血が止まっている”くだりで完全にツカミを失敗。こういう生々しいボケはウケにくい。そこから果たし合いのくだりに入るが、これもボケがとかく分かりにくい。特に、介錯の時に使っている刀が、さっき使ってた持つところのない刀……のくだりは、もうあまりにも分かりにくくて逆に衝撃的だった。薔薇の花束で戦おうとしたり、メッセージカードを落としたりして、思わず「伊達男かよ!」と言われてしまうくだりは好き。浅井企画らしいマイウェイな芸風がたまらなく好きだが、オンバト向けではない。というか、一般向けでもない。歌ネタのスタイルを開発していなかったら、もうあと十年くらい売れていなかったかもしれない。

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体調不良

広島から帰郷して以来、どうも具合が悪い。ただ調子が良くないというのであれば、それは単なる連休明け特有の気だるさとして処理できるのだが、それに留まらず、咳も出るし鼻水も垂れている。どうやら、風邪を引いたらしい。まだ確定ではない。病は気から、という言葉もある。ひょっとしたら、そういう気分になっているだけなのかもしれない。これを病気だと思っているから、こういう症状が出ているだけなのかもしれない。或いは、実際に少し体調は崩しているのかもしれないが、風邪を引いているといえるほどのことではないのかもしれない。……と、あれやこれやと“かもしれない”を並べてみたが、実のところは分からない。

体温を計ってみればいいじゃないか、と考える人がいるかもしれない。確かに、ごく当たり前の人間ならば、そういう行動に出て然るべきだろう。ただ何分、僕は風邪を引いてもあまり熱を出さない体質なので、どうも意味が無いのである。過去に何度か、明らかに体調を崩しているという状態で体温計を使用したことがあったのだが、そのいずれの結果も平熱ないし平熱以下という結果であった。そんな僕に訪れるのは、過酷な家族の視線である。本当に体調が良くないのに、熱が無いという理由だけで蔑まれる気持ちを、皆さんは理解できるだろうか。……蔑まれる、は大袈裟かもしれない。しかし、せっかく体調を崩しているのだから、家族からは同情の目で見てもらいたいというのが、風邪っ引きの心情というものである。岡っ引きみたいだな。

というわけで、現時点で僕はまだ体温を計っていない。そう簡単に計るわけにはいかない。もうしばらく時間を置いて、もうちょっと体調が悪くなってから、それから計らなくてはならない。そうすれば、体温の方も少しばかり上がってくれるかもしれない。ただ、時間を置いたことで、体調が回復する可能性も否めない。そんな状態で体温を計ったところで、体温計は平熱ないし平熱以下という結果を導き出し、結局僕は家族から冷たい視線と口汚い暴言を浴びせられることになってしまう。実に辛い現実だ。どうも、如何に足掻いたところで、どうなるものでもないようである。

よって、これから僕は、特に何をするということもなく、ただひたすらに眠ることにする。風邪は寝れば治ると誰かも言っていた(森鴎外だっただろうか)。ここは先人の意見に逆らわず、テッテ的に眠るべきだろう。もしかしたら、そうすることで「こんなに早い時間から横になって」などと家族からやはり冷たい視線を浴びせられることになるかもしれないが、こちらは眠っているのだから問題はない。うん。

『爆笑オンエアバトル パンクブーブー』で回顧する

爆笑オンエアバトル パンクブーブー [DVD]爆笑オンエアバトル パンクブーブー [DVD]
(2010/03/24)
パンクブーブー

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「爆笑オンエアバトル」においてオーバー500を記録するということは、会場の審査に参加している100人の観客のうち90人の支持を受けているということを意味します。一見すると、それは簡単なことのように感じられますが、これがなかなかに難しい。というのも、このオーバー500は、ただ面白いネタをすれば出せる数字ではないからです。「爆笑オンエアバトル」で評価されるためには、そのネタのクオリティの高さに加えて、その日の観客の気質とネタが上手く合致しているかどうかという運の強さが必要となります。どんなに面白いネタを作っても、運が無ければ容赦なくオフエアとなってしまう番組、それが「爆笑オンエアバトル」なのです。しかし、そんな困難な状況に晒されながらも、オーバー500を記録する芸人が後を絶つことはありません。そのことは、より困難である“初出場でオーバー500”においても、変わりません。

第一回放送で512kbを記録したラーメンズ以降、様々な芸人たちが“初出場でオーバー500”という記録を残しています。それらの結果は、即ち彼らの芸が“知名度”などといった副産物的な要因を含まず、ただ純粋に評価されたということを意味していると言っても過言ではないでしょう。そして、それらの結果は、大きなデメリットとなって彼らの前に立ち塞がります。初出場でオーバー500を記録するということは、当然の如く“面白いネタが出来る芸人である”ことを意味します。つまり、他の芸人たちに比べて、そのハードルが非常に高くなってしまうということです。事実、初出場でオーバー500を記録した芸人たちの中には、その後良い結果が残せなくなってしまった者も、少なくありませんでした。

それでも、決して怯むことなく、番組に高記録を残した芸人たちも、決して少なくありませんでした。前述のラーメンズは、その後も独自の世界観によって切り開かれたコントを見せ続け、安定した評価を得ていました。501kbで初オンエアを果たしたマギー審司は、それから無傷の十連勝を記録、数少ない手品師の出場者として記憶に残る活躍をしました。この他にも、陣内智則、$10、ハイキングウォーキング、NON STYLEなどといった芸人たちが、初出場オーバー500という記録に負けない結果を残しています。

2003年5月、夏の始まりを感じさせられるこの季節、「爆笑オンエアバトル」では長崎大会が行われていました。長崎で収録が行われたのはこれが史上初めてのことでしたが、九州で収録が行われるのは福岡・佐賀に続いて三回目となりました。その日の収録に参加していたのは、陣内智則、ダイノジ、いつもここから、はなわ、スピードワゴン、アメデオといった、当時の番組常連組ばかり。そんな彼らを押しのけるように、九州出身という立場から上手く地の利を活かした漫才を披露し、初出場でオーバー500を記録したコンビが、パンクブーブーでした。その数値、なんと537kb。1999年に陣内智則が初出場で記録した当時の番組最高数値に並ぶ数字を、彼らはいとも簡単に叩き出してしまったのです。

鮮烈にオンバトデビューを果たしたパンクブーブーは、その年、史上初となる「年間四勝全てオーバー500」を記録します。当然、彼らに対する期待のハードルは、どんどん高くなっていく……筈でしたが、不思議と当時はそういう雰囲気を感じることがありませんでした。おそらくその原因は、彼らが時々見せる悪ふざけの様な姿にあったのではないか、と思われます。「爆笑オンエアバトル」に出場し始めた頃のパンクブーブーは、あからさまにふざけているように見られても仕方がない様なネタを、幾つか披露していました。例えば、2004年6月にオンエアされたカップルのコント、同年11月にオンエアされた途中でネタを断絶してしまう漫才などなど……その中でも強烈な印象を残したネタを紹介します。

そのネタは、第7回チャンピオン大会ファイナルで披露されました。当時、パンクブーブーはセミファイナルを1010kbで一位通過。同じくセミファイナルでオーバー1000を記録していたタカアンドトシと並んだ、チャンピオン候補でした。そんな時に、彼らが披露したネタは『車掌』。佐藤さんが黒瀬さんに車掌の技術を伝授するというネタだったのですが、その内容はとにかく自由奔放。佐藤さんが徹底的に暴走するスタイルに、多くの観客はついていくことが出来ませんでした。その結果、彼らが獲得した数値は362kb。聞いた話によると、二人はこのネタの後でマネージャーに大目玉を食らったとのこと。……まあ、仕方がない様な気もします。

これらの経緯からも分かるように、彼らは「爆笑オンエアバトル」において正統派の漫才師というよりもかなり捻くれたスタイルの漫才師としてのイメージが強かったのです。それ故に、番組でのハードルが他の漫才師に比べて上がることはなく、純粋にネタを受け入れられていたのではないかと思われます。もちろん、彼ら自身が非常に卓越された漫才師だったということは、大前提ですが。2003年6月から2010年2月まで、番組に出場し続けてきたパンクブーブー。その番組出場総数は21回。うちオンエア回数は19回。更にオーバー500を記録した回数は、うち11回。何処に出しても恥ずかしくない、圧倒的な数字です。

彼らは現在、M-1グランプリ2009の覇者として、様々な番組に出演しています。しかし、それはあくまでも一過性のことに過ぎません。今後、彼らは漫才師としてではなく、タレントとしての能力が問われるようになることでしょう。先の見えないお笑い界で、この上無く高いハードルを突き付けられているパンクブーブー。とはいえ、そのハードルは決して越えられないものではありません。かつて、初出場でオーバー500というハードルを飛び越えた彼ら。いつの日か、『車掌』ばりに強烈な印象を残すことの出来るタレントに進化を遂げることでしょう。……まあ、分かりませんけどね。とりあえず、気長に待ってみましょう。


・本編(111分)
過去に「爆笑オンエアバトル」通常回で披露した18本+チャンピオン大会で披露した6本を合わせた全24本のネタを収録
(※2004年2月放送『ドラえもん』と2010年2月放送『クレーム』は未収録)

・特典映像(17分)
爆笑オンエアバトル座談会とキーワードトークを収録

超能力と五人の中年

エルダーソルジャーズ [DVD]エルダーソルジャーズ [DVD]
(2010/07/07)
内村光良さまぁ~ず (大竹一樹・三村マサカズ)

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内村光良、さまぁ~ず、キャイ~ンの五人が出演する舞台が遂にDVD化! 何の共通点も持たないように見える五人の男たちが、とある部屋に集められた。実は彼らは、ある隠された秘密の能力を持った、超能力者だったのだ! ストーリーを内村宏幸、演出を工藤浩之が担当。面白そうですよ。

またも広島旅行(最終日)

現在、僕は広島旅行を終えて、実家に帰ってきているのだが、どうも具合が悪い。自分としては、いつも出かける場所へ行くのだから気苦労することはないだろうと思っていたのだが、どうやら無意識のうちに緊張していたらしく、帰宅した途端、頭のあたりが緩んでしまったらしい。よって、これから書く文章も、やはり緩んでしまっている部分があることを、ここに陳謝する。

9時過ぎのネットカフェに入店直後、しばらくまたぼんやりとした後、『BECK』を読むことにする。昔、ちょっとだけ集めていたが、途中で止めてしまっていたので、読み返してみようと思った次第である。過去に呼んでいた部分から、最終巻まで一気に読み尽す。うむ、面白い。こ の漫画、単行本をちょこちょこ集めながら読むことに、あまり適していないのではないかと思うのだが、どうだろうか。一度に、一気に読み切ってこそ面白い漫画なのではないか、と。続けて『イッパツ危機娘』を読もうと思ったが、時計を見ると午前3時を回っていることに気付き、これはまた遅くなりそうだと不安になり、眠ることにした。

そして、目覚める。漠然と、よく眠ったような気分になっていることに気付く。しかし、僕はネットカフェで寝過した経験がないので、まあ大丈夫だろうと、高を括りながら時計を確認する。午前8時50分。うん。いや。ちょっと待って。昨日の夜、店に入ったのは午後9時ジャストで、12時間のナイトパックで契約したのだから……これは非常にマズい。時間が無いぞ。急げ。まずドリンクバーのコップを片付けろ。それから『イッパツ 危機娘』を片付けろ。服は睡眠用に準備してきたTシャツだから、このままでも無問題。よし、出るぞ。あ、伝票を忘れていた。これ忘れてしまっては意味が無い。よし、今度こそ。……と、とてもドタバタとした状況で、店を出る。午前9時ギリギリ、まだ覚醒しきっていない不安定な身体で。

先日も書いた通り、広 島駅近郊の食事処は午前11時を過ぎないと開店しない。仕方が無いので、またも午前9時から開店している書店で、淡々と時間を潰すことになった。あ、『なおか つ、お厚いのがお好き?』が文庫になっている。『お厚いのがお好き?』も欲しいんだけど、まだ買っていないのだが。おっと、伊丹十三の『女たちよ!』発見。ちょっと気にはなっているのだが、なんとなく買わずにいる本である。ほうほう、穂村弘の『にょっ記』の解説って長嶋有(ブルボン小林)なのか。なんとなく雰囲気が似ているとは思っていたけれどもな。おおっ、相変わらず京極夏彦の文庫は分厚いな。分けろよ。上下巻で分けろよ。……などということを考えているうち に、午前10時を過ぎる。流石にちょっと飽きてきたので、別の店に移動することに。

と、ここで店を出た途端、急に寒気を感じる。睡眠用に準備した半袖のTシャツでは、ちょっと朝の涼しさが寒々しすぎるようだ。仕方が無いので、テキトーなトイレ(大)に飛び込んで着替えることにした。いくら 物事に対する鈍感さに定評がある僕でも、流石に路上で服を着替える程にデリカシーのない行動は出来ない。が、なかなかトイレ(大)が見つからない。テキトーに飛び込んだ駅ビルの中、開いているトイレ(大)が見つからない。何処のトイレにも、人が入っている。なあ君たち、家を出る前にトイレに行ってこい。計画性ゼロか。そんなことを思ってもみるが、きっと僕に言う資格はない。どうにかこうにか発見したトイレ(大)に入り込み、服を着替え、ついでに用も足す。一安心である。それから駅近くの郵便局 内にあるコンビニで、高速バスのチケットを購入。そう、今日、帰郷するのである。

発車時刻の午後1時まで自由なので、とりあえず駅からしばらく歩いたところにある中古屋へと出向く。探しているCDがほぼ確実に見つかる店で、期待も高まる。そして案の定、野猿のベストアルバム『撤収』を見つける。1,000円、新品特価であった。リリースから結構な年月が過ぎていると思うのだが、その間、誰にも買われることがなかったのかと思うと、なんだか切ない。切ないが、買う。僕が引導を渡してやる、という感情だ。それからデパート(昨日、冷麺を食った場所)の本屋に立ち寄るが、特に何も買わず、ただただ店内を放浪する。長嶋有の『電化製品列伝』と『ザ・シネマハスラー』が少し気になったが。あ、あと『桜木さゆみのイケナ イとこイッちゃった』。漠然と引っかかるタイトルである。

デパートの書店を出たら、今度は駅の地下にある古本屋へ。かなりの大移動だが、高速バスの停留所はその近くにある。無問題だ。なんとなく立ち読みした『バングラデシュで玉の輿』(文庫版)が面白かったので、購入。全三巻らしいが、二巻までしか置いていなかった。三巻は新刊で買わなくてはならない。お土産物屋で家族へのお土産(もみじまんじゅう)も購入し、無事にバスに乗り込む。バスの中はたくさんの人で詰まっていた。ゴー ルデンウィークの帰宅ラッシュを感じさせた。僕の隣の席には、メガネをかけた若者が座っていた。行きがけのバスでも、隣には若者が座っていた。なにやら若者に縁がある。

午後1時、広島を発つ。強い日差しに暑苦しさを覚えつつ、帰郷となった。バスの中と同様、高速道路も混み合っているが、その中をバスがずんずん突き進む。ある種の慎重さと大胆さが必要な仕事といえるのかもしれない。僕にはとても出来ない仕事だ。バスでの移動中、僕はその大半の時間を寝て過ごした。思えば、広島にいる間、その大半の時間を眠って過ごしている気がする。なんとも無駄な話だ。

かくしてバスは、午後5時前に終点の高松に到着した。そこの本屋で博多大吉『年齢学序説』を購入し、旅行も終わりである。終わり。

またも広島旅行(二日目)

ネットカフェでボンヤリとしているうちに、24時が過ぎた。何かをしていると時間はあっという間に過ぎてしまうというが、何もしてなくても時間はあっという間に過ぎてしまうようだ。まあ、何もしていないといいつつも、とりあえず、インターネットで広島の行ってみたい場所を探してみてはいたのだが、これといって得られる情報はなかった。

このまま起きていても仕方がないようなので、寝ることにした。が、ここでひとつ、ちょっとした選択を迫られることになる。このネットカフェにはシャワールームがあり、僕も宿泊の際にはこれを必ず利用しているのだが、今回それをどのタイミングで利用したものか、考え込んでしまったのである。

シャワールームを使用する場合、僕は髭を剃ることにしている。誰か知り合いに会うことがあろうとなかろうと、髭を剃るのは社会人として当然の礼儀である。が、これをするのであれば、シャワールームを利用するのは就寝前よりも起床後の方が芳しい。寝る前に髭を剃っていても、睡眠中に髭が伸びてしまっては本末転倒だからだ。しかし、高速バスの長旅で疲れた身体は、少なからず汗で濡れている。これをそのままにしておくのは、あまり気持ちのいいものではない。だから、やはり起床後よりも就寝前に、シャワールームを利用したほうがいいのではないか。

二つの考えを計り合った結果、今夜はシャワールームを利用せずに、翌朝利用することにしよう、という結論に至った。そこで、僕は持参した膝掛け(無印良品で購入した、非常に大きいサイズのもの)を掛け布団の代わりにして、眠ることにしたのである……が、ここで問題が生じてしまった。というのも、暑いのである。それも尋常じゃなく暑い。最初は膝掛けのせいだと思っていたのだが、それをどけてもまだ暑い。どうやら、長旅で疲労した身体が、エネルギー消費のためか熱を発しているようだった。これを抑えるためには、やはりシャワーを浴びる必要があるのではないか、と思い、シャワールームを利用することにした。

そのネットカフェのシャワールーム利用時間は、三十分と決められている。その間に、僕は頭を洗って身体を洗って全身を乾かした後に髭を剃らなくてはならない。まさに時間との戦いである。店員にシャワールームへと案内してもらい、いざ勝負。急ぎ早に髪を洗い、続けざまに身体を洗う。洗い終わった直後、時計を確認したら十五分を過ぎていた。あとは髭を剃れば、とりあえずどうにでもなる。シェービングクリームがないので、ボディソープを顔に塗ったくって髭を剃る。鏡の位置が微妙に低かったために、ちょっと腰が痛くなる。しかもシャワーを浴びた直後だったため、鏡がくもってしまい、よく見えない。結果、ところどころ切ってしまったが、なんとか剃ることができた。無事、三十分以内である。

そうして床に就いたのは、午前4時を回った頃だった。気づけば随分と遅い時間だ。契約上、午前9時には店を出なくてはならないというのに。急いで寝ようとするが、急ごうとすればするほど寝付けない。しかし、身体の位置をしばらくゴロゴロと動かしているうちに、気づけば眠ってしまった。目が覚めたら、午前8時を回っていた。危ない危ない。危うく寝過ごしてしまうところだった……と、きちんと時計を確認してみると、まだ午前6時だった。二時間しか寝ていないことになるが、ここで無理に眠ってしまったら、逆に危険である。仕方がないので、店を出る時間まで起きていることにした。

午前9時、店を出る。正直、かなりの空腹だったため、一刻も早く近隣の飲食店に飛び込みたかったのだが、それらの店のほぼ全てが午前11時からの営業となっており、この時点で開いている店はファーストフード店か立ち食い蕎麦屋しかない。わざわざ広島までやってきて、そんなものを食ったところで意味はない。仕方がないので、開店していた近くの本屋に飛び込み、立ち読みを敢行する。幸い、以前から興味はあったが読んだことのなかった本が何冊かあったので、幾らか時間を潰すことは出来たが、寝不足と空腹のせいもあって、読書に集中できず。結局、一時間ばかりで店を出てしまった。しかし、10時になって、近所のデパートのフードコートが開店したため、そこで広島名物という“呉冷麺”なるものを食す。なかなかに美味いが、普通の冷麺と大して変わらない気がした。

午前11時ごろ、いつまでも広島駅近郊をうろうろしていても仕方がないと思い、宮島に行ってみようと考えた。広島にいた頃、一度も訪れたことのなかった宮島。今、観光目的で広島に来た今こそ、宮島を訪れるに相応しい状況ではないか! ……と、考えたまでは良かったのだが、宮島口へと向かう市電の駅に物凄い数の人が押し寄せているのを見て、頭が痛くなる。大阪ほどは混まないだろうと考えてやってきた広島ではあるが、それでも観光目的にやってくる人は少なくなかったようだ。ま、当然の話である。こちらの算段が甘かったのだ。しかし、一度決めたことを、ここで止めるのも男が廃る。人ごみの中に単身、飛び込んだ。

と、ここでケータイが揺れる(バイブ機能)。コッソリ出てみると、後輩のJ君からだった。J君は既に大学を卒業し、今は他県で仕事をしているのだが、僕と同様にゴールデンウィークを広島で過ごすと口にしていたので、実は朝食の場を探していた最中、彼に何度か電話を掛けていたのである。今、彼は別の後輩たちと一緒にいるらしかった。「何処に向かっているんですか?」と聞かれたので、「宮島だよ」と答えると、すぐに「どうして?」という返事を食らい、困る。確かに、僕は一度も宮島には行ったことがないのだが、そもそもどうして一度も行ったことがないのかというと、そこに大して魅力を感じていなかったからに他ならない。そんな場所にどうして今更、しかも他に観光客がひしめき合っているなか行かなくてはならないのか。考えてみれば、確かになんだか腑に落ちない。そして僕は、J君との電話を終えて、気づけば原爆ドーム前で降車していた。宮島は今度でいいか、と諦めたのである。意志薄弱。

原爆ドーム付近は、日本人の観光客と外国人の観光客で賑わっていた。連休中にわざわざ原爆ドームを見に来るというのも、なんだか変わっている。まあ、そんなことは別に人の勝手だから、どうでもいいのだけれど。ちなみに、原爆ドームから少し離れたところに、原爆の爆心地が存在しているのだが、そちらには殆ど人の姿がなかった。こういう時、やっぱり人の目を集めるのは、それを象徴する存在なのだということがよく分かる。

原爆ドームの近くにあるアーケードを歩いていくと、横断歩道に突き当たる。ここを右に曲がり、しばらく進むと、学生時代から馴染みのブックオフがある。お笑いDVDの品揃えがなかなかで、広島に来たときは必ず立ち寄るようにしている。今回も何か収穫があればと思って来たのだが、ここで以前から気になっていた『タイムスクープトラベラー』のDVDを発見する。無論、即座に購入。まさか手に入るとは思ってもいなかったので、思わず気持ちは有頂天。と、そこへ、再び後輩J君から電話が。他の後輩たちと昼食を食べるというので、無理を言って参加することに。移動などでしばらくゴタゴタしつつも、無事にファミレスで合流する。

その後、僕たちは広島在住の後輩M君の家に向かい、ひたすらクダを巻き続けた。なんだかんだで四時間ばかりいたのではないかと思う。随分といた。それから夕飯にラーメンを食べに行き、午後8時半ごろに別れた。過ごしているうちは長く感じていたのに、過ぎてしまうととてもあっさりとしている。時間が過ぎてしまう恐ろしさを感じながら、再び僕はネットカフェに来店した。もちろん、午後9時ジャストである。

『爆笑オンエアバトル キングオブコメディ』で回顧する

爆笑オンエアバトル キングオブコメディ [DVD]爆笑オンエアバトル キングオブコメディ [DVD]
(2010/03/24)
今野 浩喜(キングオブコメディ)高橋 健一(キングオブコメディ)

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「爆笑オンエアバトル」公式DVDシリーズは、その時代に注目され始めている芸人さんを中心に取り上げていくことが殆どでした。特に『爆笑オンエアバトル テツandトモ』のリリース以後は、その傾向が顕著に表れています。なので、「爆笑オンエアバトル」公式DVDシリーズから、キングオブコメディがリリースするということを知ったときは、本当に驚きました。まさか、彼らが時代に注目される日が来ようとは。

僕が「爆笑オンエアバトル」で彼らのネタを初めて観たのは、2002年11月のことでした。その時、彼らが披露していたのは、高橋さん演じる不登校の少年の家に、今野さん演じる同級生の少年が学校に来るよう説得するというコント。“説得している筈が説得になっていない”というオーソドックスな流れの中に、時折含まれる不条理さが生み出す妙な後味が深く印象に残りました。特に「もう、ドアも開けないか!」という高橋さんのツッコミは、とてつもない衝撃を受けたものです。

次にキングオブコメディのネタを観たのは、翌年の2003年4月のことです。高橋さん演じる報道レポーターが、今野さん演じる不良っぽい少年にインタビューをするというコントでした。“イマドキの若い人が使っている言葉”という名目で繰り出される、その状況にそぐわない単語の数々は、先のコントよりも明らかに不条理な笑いを生み出していました。確か、彼らはこのネタで、「エンタの神様」などのネタ番組に出演していた記憶があります。アンジャッシュやドランクドラゴンといった同じ事務所のコント師たちが注目されていた頃だったので、その後に続くコンビとして注目されていたのかもしれません。

そんな彼らの「爆笑オンエアバトル」におけるひとつの大きな傾向として、安定してオンエアの波に乗ることができなかった、というものがあります。スペシャルにも参加して、すっかり番組の常連になっていた感のあるキングオブコメディですが、その連勝記録を見てみると、なんと最高で三連勝しかしていません。そのことは、彼らが「爆笑オンエアバトル」に向けてネタを作っているのではなく、あくまでも自分たちが面白いことをするのだという、職人気質な内面を表しているのかもしれません。

職人気質といえば、今回のDVDには過去にオンエアされた『パントマイマーに弟子入り志願』のオフエアバージョンが収録されていました。オンエアされたバージョンが収録されているのですから、別に収録する必要はなかったのではないかという気もしますが、そこに彼らならではのこだわりがあったのではないかという気もします。ちょこちょこ違う部分もありましたしね。

コント職人として、着実にその認知度を高めていたキングオブコメディ。ですが、2007年にとある事件が彼らを襲います。ツッコミ役の高橋さんが、痴漢の容疑で逮捕されてしまったのです。年度初のオンエアでオーバー500を記録し、今年度こそは初めてのチャンピオン大会出場を果たすのだと意気込んでいた、そんな時期のことでした。その後、高橋さんの容疑は晴れて、2008年1月にコンビとしての活動を復帰しましたが、彼らが再びオンエアバトルの舞台に立つことはありませんでした(2010年1月の「オンバトプレミアム」には出演していましたが、それはそれ)。

現在、キングオブコメディは、ショートネタブームの中心的番組「爆笑レッドカーペット」に定期的に出演し、人気を博しています。2006年5月に「爆笑オンエアバトル」で披露した、今野さんの女子高生キャラが注目されるようになったためです。どこに鉱脈が眠っているか、分からないものですね。このテレビ露出をきっかけに、彼らのコントの“真髄”に興味を持ってくれるようなファンが増えてくれればいいのですが。


・本編(83分)
過去に「爆笑オンエアバトル」でオンエアされた14本とオフエアになった4本を合わせた全18本のネタを収録

・特典映像(20 分)
爆笑オンエアバトル座談会と「キングオブコメディ UP&DOWN」を収録

またも広島旅行(一日目)

こういうことを書くと、読まれている方々に「またか」と思われてしまうことが容易に想像できるのだが、またも“広島”に来ている。ただ、分かってもらいたいのだが、今回の旅行はこれまでの広島旅行とは些か事情が違っているのだ。

このゴールデンウィークを、僕は当初“大阪”で過ごす予定だった。やはりお笑い馬鹿を自称している身としては、お笑いと商人の町と言われている大阪の空気を、一度は体感しておく必要があるという考えによるものである。だから、ゴールデンウィークの数週間前に、僕は大阪に行ったことのある(ないし住んでいる)知人に対して、「大阪ってどういう感じ?」という非常に漠然とした質問を投げかけてみて、行ってみたい場所を選別しようとしていた。やはり初めて訪れる場所、油断は禁物という判断によるものだ。

ところが、その返答があまり芳しいものではなかった。てっきり、大阪の治安の問題によるものだろう、と考えていたのだが、話を聞いてみるとどうも違う。ゴールデンウィークという、たくさんの観光客が訪れることが予想されるだろう時期に、どうしてわざわざ大阪に、特に目的があるわけでもなく行こうとするのかと、誰もが言うのである。確かに、この時期に大阪に行くということは、即ち人ごみを更に山積みしたような場所に飛び込むようなものであり、これはあまり心地のいいものではないかもしれない。元来、旅行というのは、怠惰な日常生活から脱出することで、心と身体をリフレッシュすることを目的としたものなのに、これでは本末転倒である。

その結果として、広島なのだ。広島には何度も訪れているし、友人知人も少なくない。もし財布を落としてしまったとしても、頼れる人間がいる。宿が取れなかったとしても、泊めてくれそうな人間がいる。だから、広島なのである。勿論、他県でもとりたてて問題はなかったのだが、大阪と決めていたものを直前になって取り止めたのである。急に代案が必要となったことを考慮すれば、無理に冒険する必要はないという結論に至るのは至極当然のことといえるのではないか。大阪や他県は、また別の機会で宜しい。今回はとりあえず、広島で茶を濁そうではないか、と。

そうして僕はコンビニで高速バスのチケットを獲得(諸般の事情により18:10発)し、当日を待った。だが、チケットを手に入れるのは非常に簡単なので、どうも実感が湧かない。旅行に行くときというのは、通常はもっと当日が近づいてくるたびに胸躍るものだと思うのだが、そういうことはひとつもなく、あまりにも普段通り、日常通りに当日を迎えた。まあ、まったくの未開の地ではなく、過去に何十回と訪れている広島なので、仕方がないのかもしれない。

で、当日。前日、地元の若い人たちとの飲み会だったため、午前三時という時刻に床についたのだが、どういうわけか酒が入ると早起きしてしまう性分らしく、この日は午前九時に目を覚ました。通常の休日なら午後起きが当たり前だということを考えると、これはかなり早い。が、早く起きたところで、特にすることはなかったので、とりあえずブログの更新をしておくことにする。この時、先日の「笑神降臨」におけるエレキコミックの演技について、思ったことを書き留めた。ネタの選択は悪くなかったと思うのだが、どうもところどころの台本を変更したことが、あまり良くない方向に進んでしまっていた気がする。

ブログの更新を終えると、早くも昼前である。何かに夢中になっていると、時間はあっという間に過ぎていく。腹も減ってきたので、適当に口に入れるものを探そうと自室からリビングに向かうと、家族が映画のDVDを観ていた。その映画は『南極料理人』といった。
南極料理人 [DVD]南極料理人 [DVD]
(2010/02/23)
堺雅人生瀬勝久

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以前からちょっとばかり気になっていた映画だったのだが、それよりも腹が減っていたので、気にせずに台所へと向かう。インスタント麺があったので、これを作ることにした。そのラーメンにはスープの素が粉末状の物とペースト状の物の二種類があり、どちらも器に入れておくものである、と袋の説明文には書かれていた。ここでひとつ、アレンジでも加えてみようかと思い、空の器に卵を入れ、掻き混ぜ、そこにスープの素を入れ、溶いてみた。スープの赤色と卵の黄色が混ざり合って、あまり美味そうには見えない。しかし、案外美味そうに見えないものが、意外と美味いというのも世の常である。納豆だって雲丹だってイクラだって、最初に見た人はそれらをグロテスクに感じていた筈だ。実際、美味かった。

食後、幾らか余裕があったので、家族の映画鑑賞に付き合うことにした。『南極料理人』は、その名の通り南極の観測隊に参加している料理人の目を通して、彼らの日常を描いた作品だ。基地の周りには何もないという場所で、家族からも断絶され(電話は一分700円あたり!)ている彼らの日々は、その厳しい状況に反して非常にコミカルで、のほほんとしたものだった。後半では、そののほほんさにも陰りが生じ、隊員のうちの何人かはノイローゼ状態になってしまうのだが、それでもコミカルさを決して失わない演出にしていたのは、見事だった。下手に感動路線に走ろうとすることの多い近年の邦画において、こういう映画は貴重である。ちょっと雰囲気が『刑務所の中』に似ていたかもしれない。あちらは最後までテッテ的にのほほんとしていたが。

午後五時が過ぎたあたりで、自宅を出発。バス乗り場まで、車で三十分ばかりだったのだが、ゴールデンウィークの渋滞を危惧して、少し早めに出た。国道の車の流れを見た印象だと、下手すれば間に合わないのではないかとさえ思っていたのだが、実際は出発の三十分前に到着してしまった。三十分前に到着したということは、三十分間を無駄に過ごさなくてはならないということである。仕方がないので、トイレに行ってみたり、ケータイをイジッてみたり、バスの中で読もうと思っていた本を眺めてみたりもしたが、どうも落ち着かない。結局、最後まで落ち着かないまま、バスの出発時刻を迎えることとなった。

バスに入ると、やたらと人が乗っている。ゴールデンウィークだから、なのだろうか。普段は人がまばらなところを、まるで鮨詰めの様にキチッと埋まっている。僕の座る席の隣にも、僕と同世代と思われる青年が座っていた。外には青年を見送りにやってきただろう家族が、一様に手を振っている。戦地に出向するのだろうか、などとよく分からないことを考えてしまう。いや、しかしなにやら大袈裟だった。余程の事情でもあったのだろうか。バスが出発してからも、彼の家族は手を振り続けていた。きっと、バスが見えなくなるまで、手を振っていたのだろう。

バスが動き始めて一時間ばかり経ったころ、運転手によるアナウンスが車中に流れた。なんでも、ゴールデンウィークの影響で高速道路が渋滞しており、予定よりも二十五分は遅れているとのことだった。やはり、ゴールデンウィークというのは、混むものらしい。結果、広島には十五分遅れで到着した。ひょっとしたら、二十五分の“に”を、聞き違えていたのかもしれない。僕の耳は、ちょっと雑に出来ているのである。

そうして、僕はいつものネットカフェに到着し、無事に席を獲得することが出来た。午後九時に入店し、十二時間パックの契約をしたので、明日は午前九時にここを立たなくてはならない。何処へ行く当てもないが、そういうことになっている。さて、どうしたものだろうか。

2010年5月「エレキコミック」

『やっつんだっつんReady』
第18回発表会「R」より。単独発表会の定番コントとなっているやっつんだっつんシリーズだが、このバージョンはやたらと攻撃的で、これまでのやっつんのキャラクターに比べてちょっと危険な雰囲気が漂っているところが印象的。だっつんが地味なタレントだというくだりは単独発表会なら面白いけど、テレビでやると「どっちも知らないよ」というツッコミが飛んできそうな気がして、個人的にちょっとハラハラしてしまう。トイレのくだりは記憶にない。忘れてしまってるだけなのか、番組のためのオリジナル書き下ろしなのか。おむすびをポケットから出すくだりは、安定して引かれるなあ(笑)

フリートーク1
やっつんのお父さんの話。マーガリン御飯、確かに美味そうだけど!

『親権法律相談』
第13回発表会「デタラメオンザビーチ」より。相談にやってきたやっつんが妙にキャラクターを演じようとしているため、台本だけでも十分に面白いコントの軸がブレてしまっている。舞台が屋外になっているのも、なんだか緊張感が無くて良くない。バカキャラコントの印象が強い彼らが、きちんと台本で魅せることの出来るコント師なんだということを世間に知ってもらういい機会だったと思うのだが。週刊少年ジャンプを買うために親の財布から現金を抜くという場面が、ゲスすぎて笑える。いい感じにダメな人だ。相談者のノリが最終的にザキヤマと化していることに気付き、苦笑い。それはダメだーっ。

フリートーク2
電車で遭遇した女子高生。「アイツだーっ!なんかアイツだーっ!」のノリ(笑)

『A・DA・CHI』
第16回発表会「Garlic」より。実は青春をテーマにしたコントが好きなエレキコミックの、隠された真骨頂が今回の放送のトリを務めることになるとは。あだち充の漫画というか、あだち充に代表される青春漫画でよくあるような気がする展開が詰め込まれており、終始ニヤニヤ。だっつんが「やつみ!?」と急変するシーンは、何度観ても笑える。あの強弱のイントネーション、バツグンだなあ。そして、オチで流れ始めるYUIに大爆笑。ああ、くだらない。くだらなすぎて笑える。そのままエンドロールに入り、笑神のいかつい顔が表示されて、再び爆笑。意図的に狙ったわけではないんだろうけど、なんか面白かった!

次回は「トータルテンボス」。

『爆笑オンエアバトル 東京03』で回顧する

爆笑オンエアバトル 東京03 [DVD]爆笑オンエアバトル 東京03 [DVD]
(2010/03/24)
東京03(豊本 明長/飯塚 悟志/角田 晃広)

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キングオブコント2009覇者、東京03。彼らは元々、まったく違ったユニットとして活動していました。色黒のツッコミ飯塚悟志と若い頃の志村けん似の豊本明長は、アルファルファというコンビで活動。「爆笑オンエアバトル」では、22戦17勝を記録する常連中の常連でした。一方、禿げかけた頭と無駄な歌唱力を誇る角田晃広は、プラスドライバーというトリオの一員として活動。こちらも「爆笑オンエアバトル」では、16戦14勝を記録する常連でした。しかし、アルファルファは芸の道に行き詰ってしまったのか、2003年に活動休止を宣言。プラスドライバーも2002年に活動を休止し、そのまま解散してしまいます。

三人がユニットを結成したのは2003年9月30日のこと。アルファルファが復活ライブと銘打って行ったライブ「プラスアルファ」(9月19日~20日)の客演として角田さんが参加し、東京03が結成されます。その四日後の10月4日、三人は「爆笑オンエアバトル」に参戦し、見事初オンエアを勝ち取りました。ちなみに、結成四日目での初オンエアは、現在も破られてはいない最速記録です。まあ、そりゃそうだろっという気もしますが。

東京03が初オンエアを果たしたのは、史上初の香川での地方収録でした。当時の参加者は、ハマカーン、フットボールアワー、エレキコミック、千鳥、ザブングル、ニブンノゴ!など、今の時代を席巻する若手芸人たちばかり。そこで東京03は、ミュージシャンの二人がお見舞いにやってくるコントを披露し、405kbを記録。五位でオンエアされます。六位でオフエアとなったニブンノゴ!とは、僅かボール三個差でのギリギリオンエアでした。

その後も東京03は勝ち星を着々と増やしていきます。路上で見つけた中年の男に劇団のオーディションを受けさせたり、温泉旅行にやってきた男女三人を喧嘩させてみたり、万引きをした息子を引き取りに来た父親のさばさばした感じに苛立ってみたり、彼らはそこで様々なコントを披露していきました。ただ、それらのコントには、ちょっとした問題がありました。この頃、東京03のコントは、飯塚さんと角田さんのやりとりに重きを置いたものが多く、残された三人目のメンバーである豊本さんの存在感が、些か薄くなりがちだったのです。

この問題を解決して作られたネタが、2005年6月にオンエアされたコンビニ強盗のコントでした。このコントは、角田さん演じるやたらと怖がりの店長と、豊本さん演じるイマドキの無関心な若者らしいアルバイトが務めるコンビニに、飯塚さん演じる強盗がやってくるというもの。店長とアルバイトの性格の違いに、本来は堂々とすべき強盗がてんやわんやの状況に陥っていく様が面白く、このコントで彼らは当時の自己最高得点を記録しました。ちなみに、このコントはキングオブコント2009決勝の舞台でも披露され、高く評価されました。実はもう、四年も前のネタだったんですね。その翌年、豊本さんと角田さんが熱血教師を演じて、飯塚さん扮する不良生徒を奪い合うコントで、彼らは初のオーバー500を記録。コント師として、一つの絶頂期を迎えました。

この時期にオンエアされたネタで、個人的にとても好きなコントが一本あります。そのコントとは、2007年8月にオンエアされた『バンドマン』(第五回単独ライブ「傘買って雨上がる」収録)です。バンドを結成している三人の男たちが、今後の方向性について話し合うというコントなのですが、飯塚さんと角田さん演じる二人のメンバーが熱く語っているのに対して、豊本さんが物凄くクールなんですね。そのあまりにもクールな姿が、とにかく面白い。それまで東京03のコントは誰かが絶叫するタイプのコントが多かったんですが、このコントはボケ役である豊本さんが淡々としていて、これまでに培われてきた彼らのコントに対するイメージを覆したものでした。

そうして様々なコントを生み出してきた東京03ですが、彼らにも弱点がありました。それは、チャンピオン大会でいい成績を残せない、というもの。東京03は過去に四度のチャンピオン大会進出を果たしていますが、そのうちファイナルに進出したのは一度だけで、残りの三回はいずれもセミファイナル止まりでした。年間ランキング一位になって勢いづいていた2007年度大会でさえ、セミファイナルでは六位という結果。第4回お笑いホープ大賞優勝、キングオブコント2009優勝という称号を手にした彼らですが、チャンピオン大会ではどうしても勝てませんでした。

2009年3月に行われた第11回チャンピオン大会セミファイナルでの敗退以後、東京03は「爆笑オンエアバトル」に出場していません。最終成績は24戦20勝。かつて組んでいたユニットよりも高い成績を残し、彼らは番組を卒業していきました。そして、この半年後、キングオブコントの称号を手にすることとなるのです。

現在、東京03はライブを中心とした活動を行っていますが、その一方で、じわじわとバラエティ番組への露出も増えているようです。キングオブコント優勝直前は、ショートネタブームの余波を受けて仕事が激減していたという彼ら。どうにかバラエティ番組への露出を増やし、その知名度を上げて、ライブ活動とテレビ出演を並行することの出来る芸人になれればいいのですが。今後の頑張りに期待したいところですね。


・本編(119分)
過去に「爆笑オンエアバトル」通常回で披露した20本+チャンピオン大会で披露した5本を合わせた全25本のネタを収録

・特典映像(20分)
爆笑オンエアバトル座談会と「東京03カードトーク」を収録
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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