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立川志らくの落語家的了見

談志が死んだ談志が死んだ
(2003/12/19)
立川 談志、落語立川流一門 他

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芸人というのは、いわゆる一般常識から少なからず離脱している存在だというのが、僕の個人的な見解なのだが(勿論、限度はある)、現在読書中の『談志が死んだ』においての立川志らく師匠の発言には些か驚かされた。

志らくといえば、談志に弟子入りする際、母親に「この子は落語家になるより他にない」と言われ、自著において数々の落語論を展開している、根っからの立川流落語家だ。だから、てっきり理論的もしくは非常にクレバーな人物なのだろうと、勝手に決め付けていたのだが、ここまで感性的に生きている人だとは思わなかった。そのあまりに驚くべき生き様に、僕は少なからず衝撃を受けたので、今回はそれを覚書の意味も含めて、記事にまとめることにした。その驚きを全て伝えることは難しいだろうが、ちょっとばかりの驚きエッセンスを感じ取ってもらえれば、これ幸いである。

本筋に入る前に、本書について軽く触れておこう。『談志が死んだ』は、立川談志を家元とした落語の流派“立川流”の面々が、“立川流”について語ったものである。立川流家元である談志は勿論のこと、立川流真打、二つ目、前座に至るまで、様々な意見を寄せている。出版されたのが2003年のため、後に立川流から除名することになる快楽亭ブラックや、近年鬼籍に入った立川文都らの名前もある。また、改変落語で活躍中の立川談笑も、当時はまだ真打ではなく二つ目だ。

志らくは本書の第一部において、同じ時期に立川流前座として日々を過ごした立川文都(元立川関西)、立川談春らと対談している。『赤めだか』(談春著)や『雨ン中の、らくだ』(志らく著)を読んだ人ならば、なんとなく理解できるメンツではないだろうか。

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『オンバト+』十一月十九日放送感想文

ゆったり感『漫才:水戸黄門』(433kb)
水戸黄門をあいうえお作文で作ったら。既に番組で披露した「あいうえお作文」フォーマットを駆使したネタ。相変わらず安定して面白い。ただ、途中で黄門様を肛門に置き換えるという、近年稀に見るベタで下品なボケを引っ張って大スピン。その後どうにか立て直していたけれど、あれはちょっと酷かった。前二回に比べてキロバトル数が落ちたのも、肛門のせいなのだろう。桜吹雪のくだりは結構好きだったけどなあ。

ななめ45°『コント:シェフと店主』(441kb)
女性シェフと現店長と前店長の三角関係。以前から彼らが得意としていた「ある状況の三人を男女の三角関係に置き換える」スタイルのネタ。このスタイルは三人が三人とも男だから面白いのであって、一人でも女性が加わると生々しくなって笑いにくくなってしまう。つまり、笑いにくかった。あと、ボケが基本的に「男女の三角関係ならではの単語を上手く状況に置き換える」だけになってしまっていたので、ややワンパターンだったような。ネタの密度は上がっているんだけれど、その分、凝り固まってしまったような。

アームストロング『漫才:ボウリング』(489kb)
女の子とボウリングデートをする時、どういうリアクションをすればいいのか。彼らはボケの独創性ではなくネタの形式が印象に残るスタイルの漫才をするので、印象は以前のネタと大して変わらず。変わってはいないのだが、相変わらず笑える。下地がしっかりしているからなんだろうな。それはそうとして、安村さんのノリツッコミ好きだ。あれもパターン化しているのに、毎回笑える。個人的にはコントの方が好きなんだけれど、なかなか楽しめた。実は地味に精度が上がっているのかもしれない。

鬼ヶ島『コント:くまごろうとくまきち』(493kb)
くまのぬいぐるみを持ち歩いている野田のクラスへ、より大きなくまのぬいぐるみを持った転入生がやってくる。当初、ギスギスしていた二人だったが……。混沌としたシチュエーションのコントを得意とする鬼ヶ島だが、今回のネタは妙にハートフル。それ故にオンエアを獲得できた様だが、個人的にはもっと混沌としていて意味が分からない鬼ヶ島ワールドが観たかったなあ、と。いつか、番組でもそういうコントがオンエアされる程、彼らが認知されると嬉しいのだけれど、どうかなあ……。

メンソールライト『コント:立ち飲み』(433kb)
立ち飲み屋で語らい。以前から感じていたことだが、ここ最近アレコレとCDを聴いていたせいか、今回より強く感じたことがある。喋りのリズムが、完全に落語だ。初っ端から「女の子の胸を揉む方法」という、シンプルかつ大胆な下ネタを繰り広げていたが、味のある喋りで見事にカバー。そのままオチまでピシッと決まった感はあったが、あのオチは正直微妙。もうちょっと練ったオチが欲しかったな。でも、また観たい。

・今回のオフエア組
ザ・ゴリラバンド(297kb/255票)
ジグザグジギー(289kb/282票)
ロケット団(261kb/678票)
ワンツーギャンゴ(221kb/184票)
クロンモロン(197kb/401票)

見た目のインパクトだけが印象に残るザ・ゴリラバンド、なんか妙なノリのコントを展開したジグザグジギー、時事ネタの味ある笑いを見せるロケット団、妙なニュアンスが感じられるワンツーギャンゴ、ド下ネタな部分を持ってきたクロンモロン。個人的に「山下ピー」が面白かったロケット団に投票。結果、ロケット団が次回の「オンバト+」で放送決定。

・オンバト+:エリートヤンキー『漫才』
デートでホラー映画を観に行く。前評判が良かったので期待していたのだが、テンポが良いわけでもなく、特に印象に残るようなボケもなく、それなりに面白い漫才という印象。つまらないわけではないし、センスも少なからず感じられるのだが、爆発しきれていないというか。唯一、ツッコミ(橘実)のキャラクターというか喋りが、妙に印象に残った。彼を上手く活かすことが出来れば、更に面白くなりそうな気がしないでもない。次回に期待。

・次回
インスタントジョンソン
ダイノジ
髭男爵
ペナルティ
ますだおかだ
U字工事

次回は『オンバト+プレミアム』。「爆笑オンエアバトル」の常連たちが、バラエティコーナーで激突する。聞いたところによると、髭男爵はあの新キャラクターを披露するとのことらしいが、果たしてウケるのか。というか、男爵キャラ貫いた方がいいんじゃないか。あと、何気に今話題のダイノジも登場。

2010年12月の購入予定

01『トップリードのコント集』(トップリード)
01『ハッピーパンダボックス』(パンダユナイテッド)
01『言ってみてぇ~っ!!』(今泉)
01『穴を掘る人』(エルシャラカーニ)
01『PS ヒゲとメガネとシャツとネクタイ』(ピーマンズスタンダード)
01『林家たい平の『ドラ落語』』(※ドラえもんのエピソードを落語化)
15『爆笑レッドカーペット コラボカーペット
15『DIAMOND SNAP』(バナナマン)
15『エレ片コントライブ ~コントの人4~
22『バカリズム案 2
22『キングオブコント 2010
24『ゲームセンターCX DVD-BOX7
28『ギンギラ銀にシャリげなく』(銀シャリ)
29『ウラハラ』(ハライチ)
29『ナイツ独演会

年末の大量リリースラッシュは今年も到来。……ただ、例年と比べると、ちょっと大人しいか。全十五本中五本が笑魂シリーズだし。でも、バリエーションは如何にも年末といった感じの、豪華なラインナップ。爆笑レッドカーペットのコラボ集にバナナマン単独、エレ片ライブにバカリズム案。いいね。特に年末、ナイツと銀シャリが続くってところが、実にいい。正月の演芸場っぽいよね、この二組は。あ、あとゲームセンターCXがあるのもいい。これがあればクリスマスも寂しくない。多分。

『怪盗グルーと月泥棒』

怪盗グルーの月泥棒 3D [DVD]怪盗グルーの月泥棒 3D [DVD]
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不明

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先日の日曜日、映画館へとフルCGアニメーション映画『怪盗グルーの月泥棒』を観に出掛けた。てっきりドリームワークスか20世紀フォックスによる映画だと思っていたのだが、制作はユニバーサル・ピクチャーズだという。ピクサースタジオ以外の制作会社が手掛けるアニメーション映画は、どうも似たりよったりでいけない。無論、こちらが勘違いしていたことが、そもそも良くなかったのだが。

『怪盗グルーの月泥棒』のストーリーをおおまかに説明すると、こうだ。ある日、エジプトのピラミッドが何者かの手によって盗まれてしまう。世間ではこれを「世紀の大犯罪」として、大きな話題となった。それを面白くないと感じていたのが、これまでに様々なモノを盗んできた怪盗グルーである。だが、グルーには、密かに進行している壮大な作戦があった。その作戦とは、月を盗むことだ。夜空に輝く月を盗めば、世界中の人が困惑し、政府から多額の金を巻き上げることが出来るだろう。早速、グルーは計画を実行しようとするが……。

『怪盗グルーの月泥棒』というタイトルを見た人の多くは、この作品を怪盗モノと思っているのではないだろうかと思う。しかし、それは大きな間違いだ。この作品で描かれていることはおおまかに二点。一つは、グルーがとある作戦のために孤児院から連れてきた三姉妹とコミュニケーションを取ることで、少しずつ人としての心を取り戻していくヒューマンドラマ。もう一つは、とある一件がきっかけでグルーの邪魔をするようになった怪盗ベクターとの攻防戦。つまり、この作品では怪盗としてのグルーの姿は、そんなに注目されていない。一度、ベクター邸に、ある物を盗むために侵入している程度だ。ストーリーの展開だけを見るなら、別に怪盗じゃなくても良かったような気がする。……まあ、この辺りのことは、それほど重要なことではない。考えてもみれば、どんな作品だってそういう一面を持っているものだ。

それよりも問題なのは、この作品の全体的な浅さだ。いや、浅いこと自体は、それほど問題ではない。ただ残念なのは、その浅さをあえて露呈してしまうような表現が、幾つか見られた点だ。例えば、グルーが悪の銀行員バーキンス氏から突き放されて、かつて母親に突き放されていた自身の記憶を呼び覚ましてしまうシーンがある。こんなシーンを見せられたら、普通の観客ならば「あ、今後そういう母親に認めてもらえるシーンがあるんだな」と考えるだろう。確かに、そういうシーンはある。あるにはあるが、はっきり言って必要無い。というのも、そのシーンが出るより前に、グルーが母親とごく当たり前に会話しているシーンがあったからだ。別に母親と距離があるわけでもない男を、「かつて母親に突き放されていた過去が……」という風に盛り上げられても困るというものだ。また、ベクターがバーキンス氏ととある関係にあるというシーンも出てくるのだが、これに至っては回収すらされていない。その関係を描くのであれば、あのラストシーンでベクターが大変なことになっている状況を受けて、バーキンス氏が何かしらかの行動に出ていることを示すシーンが必要な筈だ。なのに、それが無い。

これらの不必要な要素を省いて、ただ「月泥棒計画実行への道」「三姉妹との打ち解け」をストレートに描いた作品にしていれば、この映画は間違いなく傑作になっていたことだろう。なのに、それが出来なかった。鑑賞中に色々と引っ掛かる要素を掛け合わせて、無理やり奥の深い映画に仕立て上げようとしたようだが、はっきり言って逆効果だ。むしろ、作品としての質を落としてしまったのではないだろうか。

ただ、それらの至らない点を除けば、それなりに面白い映画だったのではないかと思う。あえて“怪盗”という古典的なテーマを掲げている点には好感が持てるし、キャラクターたちはいずれも魅力的だ。相手を氷づけにしてしまう銃や近未来的な飛行機などの小道具も良かった。特に、砲弾を改造して、三姉妹を寝かせるためのベッドにしてしまったのは笑えた。そういう遊び心に富んだ作品だったことは間違いない。ただ、やっぱり細かいところの配慮が足りない。ピクサーだったら同じテーマでもっと……ぶつぶつ。

最後に、誰もが気にしているだろう日本語版声優について。多くのメディアで報道されていたから知っている人も多いと思うが、今作の主人公であるグルーを演じているのは、あの笑福亭鶴瓶氏だ。あの個性的な声は、果たしてアニメーションのキャラクターに合うのか……いや、合うわけがない。当人はそれなりに気を使っていたのかもしれないが、鶴瓶の声はどう足掻いたところで鶴瓶である。中年体型だがシュッとしている、一見すると紳士に見えなくもないグルーには、とてもじゃないが合わない。もっと渋くて、ちょっと色気のある声の人が良かったのではないかと、個人的には思うのだが。某ライオンキングの某スカーの声やっていた人とか。鶴瓶師匠以外の声優は特に問題無し。かつてのこども店長ばりにプッシュされている芦田愛菜も、非常に無難ないい仕事をしていた。

いわゆる子ども向けのエンターテイメント映画としてはそれなりに面白かったが、ところどころで余計な仕事をしてしまっていた点が引っ掛かる、そんな映画だった。ただ、観るのであれば、DVDになってから観るよりも、映画館で観ることをお薦めしたい。僕が座っていた席が良かったのか、3Dがとてつもなく浮き出ていて楽しかったからだ。あれは観ておいた方がいいかもしれない。

『爆笑問題カーボーイ』『バナナマンのバナナムーンGOLD』

JUNK 爆笑問題カーボーイ [DVD]JUNK 爆笑問題カーボーイ [DVD]
(2010/11/04)
爆笑問題

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JUNK バナナマンのバナナムーンGOLD DVDJUNK バナナマンのバナナムーンGOLD DVD
(2010/11/04)
バナナマン

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テレビとラジオとでは、表現規制の範囲が違うと言われている。確かに、テレビ番組で行われているトークと、ラジオ番組で行われているトークとでは、その自由度がまったく違う印象を受ける。テレビで口にしたら確実にピー音が入るだろう単語も、ラジオではごく当たり前に飛び交っている。視聴者の数の違いもあるのだろう。撮影された素材が過剰なテロップやナレーションで分かりやすく編集されているテレビ番組と比べて、ほぼ出演者の対話のみで構成されているラジオ番組は、どうしてもメディアとしてハードルが高く感じられてしまい、それ故に視聴者の数も段違いだ。だからこそ、ラジオは自由でいられる。

そんなラジオ番組の中でも、オールナイトニッポンと同様に、若者に高い人気を誇るTBSラジオ“Junk”がDVD化された。2002年に放送を開始した同枠では、過去にコサキン(小堺一機・関根勤)、雨上がり決死隊、さまぁ~ず、極楽とんぼ、アンタッチャブル等、数々の芸人たちによって喋り倒されてきた。そして現在も、伊集院光、爆笑問題、山里亮太(南海キャンディーズ)、おぎやはぎ、バナナマン、エレ片(エレキコミック・片桐仁)によって、喋り倒されている。

ラジオ番組のDVD化といえば、2010年にリリースされた『オードリーのオールナイトニッポン』が思い出される。同作はオードリーが初めて放送したオールナイトニッポンの様子を撮影した映像作品で、彼らの人気も手伝ってそれなりに良い売上を記録していた様だ。僕は、今回の“Junk”DVD化に、同作のリリースが少なからず影響していると見ている。実際はどうか分からない……まあ、そこを掘り下げたところで、何がどうなるということもないのだが。

今回、DVD化されたのは、爆笑問題による「爆笑問題カーボーイ」とバナナマンによる「バナナマンのバナナムーンGOLD」の二番組。どうしてこの二つの番組が選ばれたのかは、よく分からない。どちらも人気番組であることには違いないのだろうが、別に他の番組でも良かったような気がする。……ひょっとしたら、DVD化するのも難しいようなトークが展開しているのだろうか。個人的には、いつか他の番組もDVD化してもらいたい。その為にも、今回の二作品にはヒットしてもらわなくてはならないわけだが。

一つずつ見ていこう。まずは『爆笑問題カーボーイ』。この作品では「2010年上半期傑作トーク集」と題して、爆笑問題の二人によるトークがエピソードごとにぶつ切りになって収録されている。いわゆる番組企画などはまったく収録されていない。ただひたすらに純粋なトーク集だ。トークの中心となっているのは、主に彼らが目撃・体験した有名人たちのこと。太田の楽屋に悪戯を仕掛けるビートたけし、太田にボケを振られて困惑する小泉純一郎、太田を一目置いている渡辺謙など、様々な有名人たちの姿が、爆笑問題(というか太田光)を通して語られている。

ラジオならではのトークが繰り広げられているわけではないが、太田が時折テレビでも見せている強いコクのトークが好きな人なら、必見の一枚だろう。個人的にはなかなか楽しめた。特に、彼らが「情熱大陸」で特集されたことについて語っているトークは面白かった。田中の回(注釈:同番組では爆笑問題がそれぞれ別に特集されていた)の視聴率に嫉妬する太田……面白すぎる。特典映像には「ディレクター小塙治男インタビュー」「初公開!リスナーの顔」「田中の落書き」を収録。単なるトーク集で終わらせずに、こうしてヘビーリスナー向けの映像も収録しているのは、良い配慮だと思う。

続けて『バナナマンのバナナムーンGOLD』。この番組では、バナナマンの二人によるラジオでのトークが、おおまかにカットされて収録されている。やはり番組企画は収録されていない。有名人たちとのエピソードを中心としたぶつ切りトークで構成されている『爆笑問題カーボーイ』に対し、今作はバナナマンの天然大王こと日村勇紀に関するだらだらトークが主。如何にも一部のリスナーを相手にしているラジオらしい局地的な内容だが、些か内輪に偏りすぎている気もする。なにせ、オープニングから、盛り上がっている話題が「日村が地元の友達からバイブと呼ばれていた」エピソードだ。これは狭い。

そりゃ、ラジオ番組のDVDなんて、観る人間の殆どはリスナーだろうけれど、もうちょっと入りやすいテーマからでも良かったのではないだろうか。少なくとも、初めて『バナナマンのバナナムーンGOLD』に触れる、バナナマンならではの視点によるトークを期待していた人は、脱力することだろう。というか、した。別に、無理に視点を外に向けてほしいというわけではないが、収録されているトークの殆どが日村中心というのはちょっと……しかも、基本的に日村のダメなところを指摘するトークなのは……。それでも、日村とアンジャッシュ児嶋がダメ人間エピソードで対決するくだりは、なかなか面白かった。ただダメなところを指摘されている姿は見ていて切なくなるが、ダメな人が二人揃うとパワーアップして面白い。ダメとダメが渦を巻き、平常心を飲み込んでいく……!

有名人たちの裏エピソードを語っているという意味でラジオ的な『爆笑問題カーボーイ』と、内輪向けのトークをひたすらに展開しているという意味でラジオ的な『バナナマンのバナナムーンGOLD』。まったく違った方向性ながら、ラジオならではのものを表現しているこれら二作、それぞれの芸人のファンならば、抑えておいて損はないかもしれない。


・収録時間
『爆笑問題カーボーイ』(117分)
『バナナマンのバナナムーンGOLD』(142分)

・『爆笑問題カーボーイ』特典映像(33分)
「ディレクター・小塙治男インタビュー」「初公開!リスナーの顔」「田中の落書き」

・『バナナマンのバナナムーンGOLD』ゲスト
バカリズム(電話出演)、スピードワゴン井戸田潤、アンジャッシュ児嶋一哉

インスタントジョンソン単独ライブ『阿修羅』

インスタントジョンソン単独ライブ「阿修羅」 [DVD]インスタントジョンソン単独ライブ「阿修羅」 [DVD]
(2010/10/27)
インスタントジョンソン

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太田プロに所属するお笑いトリオ、インスタントジョンソン。キャラクターの個性、コントの完成度、そして誰もが自然に覚え自然に使用する「おつかれちゃ~ん」という持ちギャグ……いずれの面においても彼らはそれなりに秀でていた。……にも関わらず、彼らは漠然と売れ損なっている。出演していた番組が悪かったわけではない。「エンタの神様」「笑いの金メダル」「ザ・イロモネア」「爆笑レッドカーペット」等、時代の中心にあるネタ番組に彼らは出演し、きちんと結果を残していた。それなのに、彼らは売れなかった。もしかしたら、ビジュアルが地味だったからなのかもしれない。バラエティ番組でも使い勝手の良さそうなイメージがあるのだが……。

そんなインスタントジョンソンが、2010年に単独ライブを行った。彼らが単独ライブを行うのは、2005年7月に行った単独ライブ『おつかれちゃ~ん!!』以来、およそ五年ぶりのことだという。東京03、バカリズム、ラバーガール、エレキコミック等、年に一度以上の単独ライブを行う芸人が少なくない昨今、彼らレベルの芸人が2005年以来一度も単独ライブを行っていなかったという事実はなかなか衝撃的だ。太田プロという事務所があまり所属芸人の単独ライブに対して意欲的ではないという話を聞いたことがあるが、売り出し方を間違えているのではないかという気がしないでもない。まあ、事務所の方針があるのだろうが。

今作には、この2010年の単独ライブ『阿修羅』の様子が収録されている。近年、収録時間が無駄に増量される傾向の強いお笑いDVDだが、今作の収録時間はたったの49分(本編のみ)。特典映像の収録時間を加えても、一時間を切るという超コンパクトサイズ。実際のライブで披露されたネタがカットされてしまった可能性も否めないが、それにしても短すぎる。特典映像も全てライブで披露された幕間映像の様で、なにやらDVD化に対する意欲を感じさせられない。あまり芸人のネタをソフト化したくないのかもしれない。

収録されているコントは、いずれも安定感バツグンの出来栄えだ。前回の単独ライブにも登場した前説コンビのコント『レフト兄弟』を皮切りに、懸賞金のかかった犯人に似ているじゃいを警察に突き出してお金をせしめようというバカコント『懸賞金』、「爆笑レッドカーペット」などの番組で披露された野球応援団コント『応援団』、あるシンガーソングライターによるCM歌録り風景を描いた『ポーキーさん』など、どれもきちんと面白かった。特に個人的に印象に残ったネタは『上下』。先に演じられたコント『プロローグ』と同じネタを、急遽舞台の上下(かみしも)を入れ替えた状態で演じなくてはならないことになり、困惑した面持ちのまま演技を始めることに……というコントだ。普通にコントとして成立している『プロローグ』の出来の良さと、“上下が入れ替わることによって生じる混乱”を取り入れるという舞台芸人ならではの発想が、深く印象に残った。

特典映像も面白かった。じゃいが某有名バンドっぽいノリで熱唱する『ウニの箱舟』、関ヶ原の戦いを眺める民衆たちの心境を現代風に表現した『チャット』、三人のデッサン力が明らかになる『インジョン美術館』、インスタントジョンソンのあるメンバーが会社からクビを言い渡されるドキュメンタリー『戦力外通知』と、如何にも単独ライブの幕間映像といった感じの映像で、程々に楽しめた。再生するたびにいちいち響き渡るゆうぞうの声は、些か鬱陶しかったが(笑)

聞いたところによると、この単独ライブはここ数年で彼らが作り出してきたコントの総集編の様な構成になっているらしい。確かに、全てのコントが安定して面白く、逆に無茶苦茶をやっているような飛び抜けたネタは見られず、単独ライブにしては灰汁の薄い内容だとは思ったが。もっと自由に無茶苦茶な単独ライブが出来るような環境を、もう少し与えられてもいいような気はする。まあ、事務所の方針なのだろうが……なんだかなあ。


・本編(49分)
「レフト兄弟」「オープニング」「懸賞金」「応援団」「かぶる」「ポーキーさん」「プロローグ」「上下」「マナー」「エンディング」

・特典映像(10分)
「ウニの箱舟」「チャット」「インジョン美術館」「戦力外通告」

『オンバト+』十一月十二日放送感想文

トップリード『コント:先行く男』(521kb)
今期二勝目。一見するとセッカチなだけの男が、実は驚くべき才能の持ち主。とにかく展開の早さに目を見張る。ところどころできちんと笑いを回収しつつ、しかし仕掛けを増やすことはなく、真っ直ぐにエンディングへと向かっていく様がとにかく美しい。コントというよりも一つの短編、しかしコントじゃなくては表現しきれないだろう内容。素晴らしい。12月にリリースされる『トップリードのコント集』に収録されているらしいので、またそちらで要確認。

ヒカリゴケ『漫才:水泳選手』(469kb)
今期三勝目。お互いの関係性イジリから、水泳選手へのインタビューコントへ。安定感のある喋りをしながら、そのネタの出来不出来が激しい印象がある彼ら。しかし今回のネタは、アメリカザリガニ・オジンオズボーンらが演じてきた松竹芸能御用達オーソドックス漫才スタイルで勝負。ところどころに二人の特異な関係性を扱ったボケを挿入しながら、一本筋の通った見事な漫才コントを演じていた。今後の活躍に期待。

とろサーモン『漫才:放置自転車』(393kb)
放置自転車を片付けるおじさんと、そこに自転車を停めに来たヤンキー(?)のコント。久保田演じる、自転車を停めに来た変な小学生がとにかくたまらない。絶対にテレビで放送してはいけない人。また、久保田の演技が妙にリアルなのが……。全て同じキャラクターが登場するオチだったためか、あまり数字は伸びず。ネタもそこそこカットされていたような。ちなみに、今年リリースされたとろサーモンのDVDに収録済。

ラブレターズ『コント:平田』(441kb)
レスラー用マスクを被った男、平田が日本史の追試を受ける。人の言うことをまったく聞こうとしない不条理なキャラクター“平田”の存在感もさることながら、そんな平田の追試を受け持つ教師のツッコミの声がいい。ちょっとツッコミのニュアンスがCOWCOW山田興志っぽい? 最終的に教師のツッコミ独壇場となる展開も、個人的にはアリ。まだまだ荒削りだが、とんでもない素質を秘めているような気がする。次のオンエアに期待。

ランチランチ『漫才:充実した休日』(405kb)
昨日は充実した休日を過ごしたというケンジが、どんな一日を過ごしたのかを説明する。相変わらず海ちゃんのツッコミが流れを止めまくっているが、以前に比べてネタの出来は良くなっている印象。少なくとも、ネタの題材には個性が見られるようになった。矮小な御近所空間を狂気的なボケ世界に昇華していくスタイル、もっとネタが整う様になれば更なる進化を期待できる気がするのだが……果たして。

・今回のオフエア組
エリートヤンキー(389kb/1,615票)
あきげん(369kb/357票)
しんのすけとシャン(325kb/853票)
西村(277kb/377票)
ファミリーレストラン(197kb/374票)

映画館デートのコントだったらしいエリートヤンキー、今回もしつこく歌が上手いボケを挟み込んできたあきげん、いつも通りにきちんとネタを演じていたらしいしんのすけとシャン、なんとなくメンソールライトっぽい喋りが見えた西村、ノリ重視っぽいファミリーレストラン。結果、エリートヤンキーが圧倒的票数を獲得して、次回の「+1」オンエア決定! ……凄い差がついたね、しかし。

・オンバト+:天津『漫才』
男の人は強い人に憧れるという話から、ボクサーコントへ。トレーニングからシャドーボクシング、実際の試合という流れは自然でさりげなく。ボケも一つ一つがジワッと面白かった。特に失点となるようなスベリもなく、しかし大ウケするような場面もこれといって特になく、盛り上がりに欠けていたと言えるかもしれない。ただ、個人的には、これまでオンバトで披露された天津の漫才の中で、一番好きだったような。いや、面白かったと思う。

・次回
アームストロング
鬼ヶ島
クロンモロン
ザ・ゴリラバンド
ジグザグジギー
ななめ45°
メンソールライト
ゆったり感
ロケット団
ワンツーギャンゴ

アームストロング・ななめ45°・メンソールライト・ロケット団が今期二勝目、ゆったり感が今期三勝目狙い。ゆったり感は今期絶好調で、今回オンエアされれば殆どチャンピオン大会出場決定の位置。アームストロングは既に十二月の放送にも出場が決定済。これが何を意味しているのかは、まだ分からない。個人的には、そろそろM-1で話題になっている鬼ヶ島の活躍に期待したいところ。

『阿曽山大噴火のさいばんSHOW』

阿曽山大噴火のさいばんSHOW [DVD]阿曽山大噴火のさいばんSHOW [DVD]
(2010/10/27)
阿曽山大噴火

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阿曽山大噴火。知っている人は知っているけれど、知らない人はまったく知らない。そんな顔だ。僕も「エンタの神様」でネタを披露している彼の姿を見るまで、どういう風貌なのか、まったく知らなかった(そして、彼の容姿を知ったときは、そのあまりに異様な佇まいに些か困惑した。金髪ロンゲに黒ヒゲって!)。ただ、その名前だけは知っていた。何故なら、彼は本を出版していて、その本がそれなりに売れていたからだ。

本のタイトルは『裁判狂時代』。阿曽山が趣味で行っていた“裁判傍聴”で目撃した、様々な人々の言動について綴ったレポート本である。後に本書は、フリーライターの北尾トロが書いた裁判傍聴エッセイ『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』とともに、裁判傍聴ブームの火付け役となる。以後、阿曽山は裁判ウォッチャー芸人として、裁判傍聴での出来事をスケッチブック漫談という形式で披露するようになった。

今作は、そんな阿曽山大噴火の裁判ウォッチャー芸人としてのネタを収録した作品だ。観客もいない状況下、スタジオの真っ白な背景の前で、裁判傍聴ネタを披露する彼の姿が淡々と映し出されている。それ以外には何もない。特典映像もない。唯一、今作がリリースされるきっかけとなっただろう、映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』の予告が冒頭に収録されている。至ってシンプルな作りである。「とにかく、ネタだけを見てもらいたい!」という意味なのかもしれない。

その肝心のネタだが、これがなかなか面白かった。はっきり言って、阿曽山の語り口は拙く、ユリオカ超特Qやあべこうじなどの、いわゆる漫談家と呼ばれている人たちに比べて圧倒的に話術は足りない。しかし、彼の語る傍聴エピソードの数々は、作られたネタでは感じることの出来ないだろう生々しさで溢れており、いわゆる漫談とは完全に一線を画した妙なおかしみが見られた。そこで語られている人間の不条理な言動は、笑わせようという発想ではきっと生み出すことが出来ない代物だ。

……などと書くと、おそらく多くの人は、その不条理な言動を取る人というのは「被告人」のことだという風に捉えるのではないだろうか。勿論、その様な行為に出る被告人も少なくない。遅刻している弁護人に代わって謝罪する者、刑務所にどうしても入りたいと主張する者、何故だか急に証言台で歌い始める者など、実に様々な被告人が紹介されていた。だが、これは被告人に限った話ではない。阿曽山は、本来ならば冷静でなくてはならない弁護士や検察官、果ては裁判官による不条理な言動をも、ネタとして昇華しているのである。

例えば、ある窃盗容疑の男性がいる。この男は電車の中で居眠りをしていた男性からバックを奪い、後に駅員に捕まり、警察へと引き渡された。男は無職で、この一年間は仕事をしていなかった。どうして仕事をしていなかったのかというと、男は一年前に百万円馬券を的中していて、それを元に生活していたのである。ところが調べてみると、男は無職にも関わらず、まとまった金がしばしば銀行に預けられていた。その理由を尋ねてみると、「競馬で当てていた」のだという。それを受けて、裁判官が一言。「穴狙い?」。……聞くなよ。

阿曽山が切り取る裁判の風景は、一つのエンターテイメントとして非常に面白い。だが、それはあくまでも客観的に見ているからであって、これがもしも裁かれている当人だったとしたら、なにやら落ち着かない。弁護士も検察官も裁判官も人間である以上、不条理な言動を取ってしまうのは仕方がないといえば仕方がないのだが、出来れば今作に登場している人たちには裁かれたくないものである。


・本編(110分)
「100万馬券を当てた被告人」「前科5犯、毎回自転車泥棒で捕まる被告人」「“汁椀”4個を使えなくした被告人」「“牛肉3切れ”を盗んだ被告人」「69代自転車所持の被告人」「弁護士が大遅刻で謝る被告人」「留置場で起訴状が増えた被告人」「失踪宣告を受けた被告人」「全国各地の建築現場に侵入した被告人」「愛人に会いに行く途中捕まった被告人」「どうしても刑務所に入りたい被告人」「証言台で歌い出した被告人」「自分にもの凄く厳しい被告人」「電車の入場券に詳しい被告人」「将棋の腕前3段の被告人」

『天竺鼠4』

天竺鼠4 [DVD]天竺鼠4 [DVD]
(2010/10/27)
天竺鼠

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天竺鼠というコンビがいる。主にコントを演じているが、漫才をすることもある。そのネタには定評があり、キングオブコントでは二度も決勝戦に進出している。M-1グランプリにおいても、五度の準決勝進出を果たしている。大阪在住の若手コンビの中でも、かなりの実力者だといえるだろう。そんな彼らの芸風は、決してオーソドックスとはいえない。それを言葉で表現するとすれば、「不条理」だろう。彼らのコントは常に、不条理な空気に満ちている。その表現は時に暴力的で、反社会的にすら感じられることもある。しかし、それらの過激な表現は、全て不条理として処理されていく。

例えば、『授業参観』というコントがある。授業参観の日、川原演じる教師の行動に、瀬下演じる小学生の生徒らが振り回される様子を描いている。ここで川原が取る行動は、とてつもなく不条理だ。小学生たちの挨拶を「長い、長い、長い……」とひたすら愚痴る。後ろの母親が気になる生徒を立たせ、「一日中立っていろ!」と言っておきながら、説教の直後に座らせる。何も食べていない生徒の口の中に指を入れて、「笑えよ~」とボヤく。全ての行動が、一貫して不条理。

ところが終盤、思わぬ変化が起きる。あまりにも不条理な教師の行動に対し、生徒が泣き出してしまうのだ。すると、教師は慌てふためきながら、生徒をなだめようとしたり、保護者に言い訳をしたりする。それまで不条理を体現したようなキャラクターだった教師が、急に従来の教師らしい行動に出るのである。まあ、この行動も、この後の不条理への布石となっているのだが。それでも、この流れは些か興味深い。

天竺鼠の様に、不条理な笑いを得意とするコント師は、これまでにも数多く存在していた。古くはシティボーイズ、よゐこ、チョップリンなどなど。彼らはそのコントで、決して緩むことのない徹底して不条理な世界観を構築してきた。その不条理な世界観が少しでも崩れてしまうことを恐れたためである。しかし、天竺鼠はあえて、そこに緩みを含ませた。そうして、不条理なキャラクターを単なるキャラクターではなく、より不気味で得体の知れない存在へと変貌させたのである。

『天竺鼠4』は、そんな天竺鼠の不条理な発想に満ち溢れた映像作品だ。単独ライブで演じられたコントから、DVD用にロケーション撮影されたコント映像まで、非常にバリエーションに富んだ内容に仕上がっている。オープニングからエンディングまでひたすら不条理で面白いのだが、どうも彼らのコントは映像化されるよりも舞台上のライブとして収録されているネタの方が笑える。ロケーション映像として見ると、彼らの不条理さよりも過激な表現に意識が傾くからなのかもしれない。そういえば、この作品は当初、彼らの単独ライブを収めたDVDになる予定だったらしい。その予定のまま、作品化されていれば……。

キングオブコント2010では、惜しくも準決勝落ちとなってしまった彼ら。確かに、今作で披露されている不条理は、前作『天竺鼠2』で披露されている不条理から、それほど成長を見せていない様に思えた。しかし、ここで留まる彼らではないだろう。こちらが予想もしないような、また新たなる不条理な世界観に満ちたコントを生み出し、決勝の舞台へと帰ってくるに違いない。その時は是非、純粋な「単独ライブ」のDVD化をお願いしたいところ……。


・本編(120分)
「親子」「ブリッジVTR」「こだわり喫茶店」「ナスビくん1」「授業参観」「ブリッジVTR」「瀬下の根性はどんだけスゴいのかを検証するでごわす」「ラジオ体操 第二」「楽器屋」「ブリッジVTR」「公園」「ナスビくん2」「カラオケ」「ブリッジVTR」「ヒーロー戦隊VS悪の組織の最後のボス」「ブリッジVTR」「夫婦」「輝飛くんを笑かそう!」「アスリート対抗 早押しドン!!」

・特典映像(25分)
「かっこいい漫才」「ズッキーニくん」「川原50音」「川原映画」「川原NG集」

平成ノブシコブシ初・単独ライブDVD『御コント ~今宵の主役はどっちだ~』

平成ノブシコブシ 初・単独ライブDVD 御コント ~今宵の主役はどっちだ~平成ノブシコブシ 初・単独ライブDVD 御コント ~今宵の主役はどっちだ~
(2010/10/20)
平成ノブシコブシ

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“破天荒”で知られているお笑いコンビ、平成ノブシコブシ。気が付いた頃には、そんなイメージがすっかりと定着してしまっていた。どうして彼らが“破天荒”であるという認識が出来てしまったのか。答えはハッキリしている。彼ら自身が自らをそう呼んでいたからだ。いや、厳密に言うと、テレビでそのように紹介されていたから、である。少なくとも、僕が平成ノブシコブシのことをテレビで初めて見た時点で、彼らは既にナレーションで“破天荒”なコントをするコンビだと紹介されていた。

ところで、“破天荒”とはどういう意味なのだろうか。手元にある新明解国語辞典を引いてみると、【誰もしたことのないことをする様子。異例の。突拍子も無い】とある。つまり、これまでのお笑い史において、一度も見たことがないような存在のことを意味している、と捉えていいだろう(厳密に言うと間違っているが)。では、平成ノブシコブシが、それに該当するコンビなのかというと、それは違う。当時の彼らが見せていたコントはエネルギッシュで勢いがあったが、決してこれまでに見たこともないと断言できるような、そんな芸風ではなかった。

とどのつまり、彼らは決して“破天荒”ではないにも関わらず、“破天荒”であると自らをアピールし、そのイメージを定着させたわけである。これが結果的なことなのか、それとも意図的なことなのかは分からない。ただ、いずれにしても、この“破天荒”という今の時代ではあまりお目にかかることのない言葉を自らのキャッチコピーにしたことで、彼らはその存在感を今の今まで残すことに成功したのは事実だ。上手いことやったね、しかし。

そんな平成ノブシコブシも、2010年で結成十年目を迎えることとなった。今作はそんな節目の年に行った単独ライブ『御コント』の様子を収録した、彼らにとって初めての単独DVDである。その内容はなかなかSF的。ツッコミを担当している徳井健太の誕生日が一日ズレていたとしたら、彼は今とは全く違った人生を歩むことになっていたのかもしれない……という前提から、“平成ノブシコブシ”が存在しないパラレルワールドにおける徳井の半生をコントで表現している。正直、大した内容ではないだろうと高を括っていたので、この凝った設定には些か驚かされた。しかし、設定だけ凝っていても、コントの内容が伴っていないというのもよくある話。どうせ、茶を濁すようなコントが殆どで、大して面白くないんだろうなあ……と、やっぱり高を括っていた……の……だが……。

今作は傑作である。事前にハードルを低く設定していたことも影響しているのかもしれないが、完全にしてやられた。本編141分、まったく手抜きが無い。コントのシチュエーションもそれぞれに凝っていて、時に下らなく、時に無意味で、時に切ない。それぞれに違った面白さが、安定したボケとMADなツッコミで繰り広げられていく。結成十年目は決して伊達じゃないことを感じずにはいられない、キチッと笑えるコントの連打に度肝を抜かされた。本当に、こんなに面白いとは思わなかった。個人的には、事故で意識不明の友人が無理やり参加しに来る合コンコントと、沢山の芸人が出演する某アーティスト追加メンバーオーディションコントが印象的。どちらもゲスト出演のピース又吉が、彼らの世界観に上手く馴染んでいた。そういえば又吉は、平成ノブシコブシと同期でユニット「ラ★ゴリスターズ」でも共演している。馴染むのも当然か。

現在、若手芸人番組『ピカルの定理』に出演している平成ノブシコブシ。かつて、同様に若手芸人番組『コンバット』でレギュラーとして活躍していた彼らにとって、これはまたとないチャンスかもしれない。コンビ結成十年目の節目、彼らは今作と同様に、テレビでも傑作ぶりを見せることが出来るのか。活躍を望む。


・本編(141分)
「漫才」「1980年9月 徳井健太0歳」→「2031年3月 徳井健太50歳」

・特典映像(48分)
吉村崇とお馬鹿ディレクターが行く、爆笑珍道中「吉村どうでしょう」

『ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR』

ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR [DVD]ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR [DVD]
(2010/10/27)
ホンジャマカ(石塚英彦・恵俊彰)ジュンカッツ(名倉潤・渡辺勝彦)

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ホンジャマカが結成20周年を超過した記念に行ったライブ『“成人”~20周年すぎてました~』。このライブの模様を収録したDVDがリリースされたその日、ホンジャマカはまた別にDVDをリリースしていた。そのDVDのタイトルは『ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR』。今から十六年も前に行われたライブを収めたVHS作品二作を、再編集しDVD化した作品である。

今でこそ、お笑いタレントとしてテレビに出演している姿を見かけるのは当たり前になっている二人だが、当時はライブに定評のあるれっきとした芸人だった。そのことは、当時出演していた『タモリのSuperボキャブラ天国』において彼らが“ライブの帝王”というフレーズで呼ばれていたことからも、よく分かる。なお、このライブには、後にネプチューンを結成することになる名倉潤が属するコンビ“ジュンカッツ”も客演として出演。時代の流れを感じずにはいられない。

時代の流れといえば、披露されているコントを見ても、なんとなーく時代を感じさせられるネタが多かったように思う。例えば、一本目の『覚えてないよ』。バス亭でバスを待っている石塚のところに恵がやってきて、まるで知り合いであるかのように話しかけてくるのだが、石塚は恵が誰なのかをさっぱり思い出せない……というコントだ。これとまったく同じ設定のコントを、アンジャッシュが演じていた記憶がある。無論、まったく同じ内容というわけではなく、アンジャッシュの場合は更にもう一捻り加えられた内容になってはいたのだが。また『クイズ王決定戦』というコントは、よゐこの『ストーカークイズ』を彷彿とさせる。どちらも、クイズの回答者自身が問題となっているクイズ番組という設定で、回答者が知らないことまで問題になっているという点も同じ。

どちらも恐らく、意図的にシチュエーションを盗用したわけではない。アンジャッシュもよゐこも、わざわざ自分たちよりも有名な先輩芸人のネタから盗用するなどという愚行に出ることはないだろう。つまり、これは偶然にもそうなってしまった、と考えるべきなのだ。同じ様な時代を生きてきた彼らが、その時代の空気を受けて、類似したシチュエーションのネタを作ってしまったのである。……些か強引な気がしないでもないが、そう考えた方が面白いし興味深い。ホンジャマカのコントにも、アンジャッシュのコントにも、よゐこのコントにも、それぞれ通じる時代の風が吹いている。なんだかドラマチックじゃないだろうか。そうでもないか。むう。

でも、僕はそれがなんだか素敵に感じた。だって九十年代初頭といえば、僕はまだ小学生だか中学生で、いわば半人前だった頃。当時、どういう芸人が注目されていたとか、どういう若い笑いが混在していたのか、まったく知らない分からない。だから個人的に、凄く興味深かったし面白かった。ひょっとしたら『“成人”~20周年すぎてました~』よりも堪能した気がする。一部、編集が粗雑過ぎるところがあった点は否めないけれど(ネタの内容に不備があったのか、いきなりカットが入って次のネタに繋がる場面がある)、この頃のお笑いを知っている人、また逆に、当時の空気をまったく知らない人は、けっこう今作のことを楽しめるのではないかと。あと、痩せている石塚英彦が観られるという意味でも、けっこう貴重。いや、痩せていると言っても、客観的に見たらかなり太っているんだけれど。


・本編(80分)
「ブリッジ:朝」「覚えてないよ」「ブリッジ:出勤1」「バカシリーズ」「ブリッジ:出勤2」「会議室~食品メーカー」「会議室~家電メーカー」「クイズ王決定戦」「電話相談室」「ミャンマー君」「呼び出しシリーズ」「ブリトラショップ」「ブリッジ:夜」「出勤父さん」

広島経済大学 大学祭お笑いライブレポート2010

当ブログを長きに渡って読み続けてきた人ならば分かっていることと思うが、此度、僕は例年の如く、広島へと足を運んだ。我が愛すべき母校である、広島経済大学で行われる大学祭を見届けるためである。この大学祭では毎年、豪華なお笑い芸人たちによるお笑いステージが開催されることが約束されている。今年もそれは変わることなく、大学図書館の前に作られた特設ステージにおいて、テレビでよく見かける芸人たちのネタが披露されていた。

そして、これまた例年の如く、この大学祭でどのようなネタが披露されたのかを、当ブログに書き留めておこうと思っていたのだが、香川から広島への旅路で疲労困憊してしまったためか、もしくは前日に妙に寝付けずに一睡もすることなく朝を迎えてしまったためなのか、それとも単に僕の記憶力がどうしようもない段階に突入してしまったからなのか、とにかくその理由は定かではないが、今回は披露されたネタの殆どを失念してしまうという非常に厄介な状況になってしまっている。昨年も似たような状況だった気がするが、確認する気力もない。とりあえず、覚えている限りを書き留めておくことにする。……長い言い訳だなっ。

フロントライン
広島吉本所属の漫才師。この大学祭ライブでは前座として登場することが多く、その度に東京ないし大阪からやってきた実力者たちの“おつま”的なポジションに収まってしまうことが殆ど彼ら。しかし今回は、これが驚くべきことにバカウケだった。ネタは「息子が母親を説教する」……じゃないや、「母親が息子を説教する」というモノ。この母親の説教が、中盤からまったく関係のない御近所の話へと切り替わっていくところが主なボケなのだが、この御近所の話の内容が妙にリアルで面白かった。X-GUNと被るところはあるけれど、一皮剥けたんじゃないかと思う。しかし、今年のM-1は二回戦敗退となった模様。残念。

ハム
言わずと知れた、ツッコミ役の滑舌が悪過ぎて何を言っているのかが時折伝わってこない漫才のコンビ。まあ、もちろん普通に喋る分には伝わってくるんだけれど。あの塩梅も考えてみると凄い。言っていることは伝わってくるかこないかの、そのギリギリの滑舌なんだよな。……いや、別に凄くはないか。ネタは、ツッコミの人が実は副職でホストをやっていて、どういう女性の口説き方をしているかを実践して見せるんだけど、滑舌が悪くてまったく伝わらないというもの。このくだりの前に、いわゆるボケとツッコミが交差する普通の漫才もやっていたんだけど、その内容がまったく思い出せない。結構ウケていたことだけは覚えているんだけどなあ。

椿鬼奴
真っ黒なママの衣装で登場すると思いきや(大学祭のパンフにもその写真が掲載されていた)、バラエティでお馴染みのワイシャツ姿で。初っ端からボン・ジョヴィを熱唱、更に桃井かおり・上沼恵美子などのモノマネを披露。似てるか似てないかは問題じゃない、大事なのはやりきることだ! 最後には、たった一人で大好きなMAXを演じきる「鬼MAX」を披露。テレビのカメラ越しではなかなか伝わってこないだろうバカバカしいノリが大爆発! ていうか、実は鬼奴姉さんって、田上よしえと方向性が似ている……? 表現の手法はまったく違うけど、けっこう芸能ネタ多いんだよなあ。いや、楽しかった。

モンスターエンジン
トリがモンスターエンジンって、なんか凄いな。去年は笑い飯で、一昨年は矢野・兵動だったもんな。若い。ネタは漫才『推理小説』。DVDで観たことのあるネタだったけど、メチャクチャ面白かった。DVDで観たときはあまりツボに入らなかったんだけどなあ。やっぱり生は違うね。ネタが終わった後、しばらくステージに何もない状態が続く。例年通り、質問コーナーが始まるのかな……と思っていたら、なんと二人が神々のコスチュームで登場! ショートコント『神々の遊び』をいくつか披露したところで、ネタが終了。まさか観られるとは思ってもみなかったので、テンション上がったなあ。

ネタ後はやっぱり質問コーナー。ネタを披露した全ての芸人たちがステージで横一列になって質問に答えていったんだけれど、その質問のオチ担当が立ち位置の関係上川見さん(ハム)になってしまい、毎回毎回ビミョーなオチで終わってしまうという残念な展開に苦笑いが止まらず。最後、「芸人になったきっかけ」についての話をしているとき、モンスターエンジンと椿鬼奴が「誰でもお笑い芸人になることは出来るんです!」と学生たちに訴えかけていたところで、妙に泣きそうになった。別に泣く所じゃないんだけどなあ(笑) 全ての出演者がそれぞれにステキなところを見せることが出来た、いいライブだったんじゃないかと思う。

……なんで、そんなにいいライブの内容を覚えてないのか。無念である。

『ホンジャマカライブ“成人” ~20周年すぎてました~』

ホンジャマカ“成人”~20周年すぎてました~ [DVD]ホンジャマカ“成人”~20周年すぎてました~ [DVD]
(2010/10/27)
ホンジャマカにしおかすみこ

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ある時期、コンビとして活動するホンジャマカの姿を、テレビで頻繁に見かけた。ホンジャマカといえば、恵俊彰と石塚英彦から成るお笑いコンビだ。しかし、ここ数年はそれぞれのピンによる仕事が殆どで、一部レギュラー番組を除けば、彼らがコンビとしてテレビに出演することはまったく稀であった。それなのに何故、彼らは再びコンビとして自らを主張するようになったのか。その理由が、今作に収録されているライブ『成人』である。彼らはこのライブを宣伝するために、数々のバラエティ番組にコンビとして出演し、多くのかつてを知っている人たち、或いはかつてを知らない人たちに向けて、コント師としてのホンジャマカが復活したことを伝えたのだ。

『成人』は2010年3月、ホンジャマカが結成二十周年を記念して行ったライブだ。ただ彼ら曰く、このライブが行われた2010年の時点で、ホンジャマカは既に結成二十周年を超過していたらしい。その為、ライブのサブタイトルには「20周年すぎてました」とある。こういうノリが許されるところに、芸人ならではのユルさを感じずにはいられない。なお、このライブには彼らの事務所の後輩芸人である「にしおかすみこ」「山本高広」「我が家」「フォーリンラブ」も出演。これは、そもそも“ホンジャマカ”がコンビではなく、11人のお笑い芸人集団としてスタートを切ったことを意識しているのだそうだ。……少し人数が足りない気がしないでもないが、あまり気にすることでもないだろう。

本編を再生すると、大きめのステージに二人きりで繰り広げられるコントが始まった。今が旬の若手芸人が多数ゲストとして出演しているので、てっきりオープニングから大人数で騒がしいコントで始まるものだと思っていたから、些か拍子抜けだ。だが、冷静になって考えてみると、結成二十周年を記念して行うライブなのだから、二人きりでオープニングコントを行うことは、非常に利に適っている。ネタは『おさえのきかない田中君』。あっさりとしたショートコントだが、それぞれピンで見せている芸人としての姿とはまったく違った、れっきとしたコント師としての雰囲気を漂わせており、一時的とはいえ、ホンジャマカは今でもコント師として現役であることが伝わってくる演技だった。

コントは続く。なんでもかんでも決めつける男に戸惑いを隠せない『決めつける男』。デパートの館内放送が止め処無い妄想を膨らませる『お呼び出し』。単なる退屈しのぎのような“ギリギリ”を心の底から楽しむ二人のバカさが楽しい『ギリギリボーイズ』。いずれのコントも面白いのだが、その発想は些か古臭い。まあ、過去のネタを再演しているので、仕方がないと考えるべきか。それに、結成二十周年を記念して行ったライブに、発想の斬新さを求めている人もきっと少ないだろう。これはこれで、いいのである。きちんとゲスト参加の若手たちに見どころが用意されている点も、評価できる。我が家の“くるくる漫才”フォーマットが自然にコントの中で行われるくだりには、感動すら覚えた。ただ、後半の『ほめ合い倶楽部』はちょっと期待外れ。シティボーイズを彷彿とさせるタイトルに、さぞかし味のあるコントが披露されるのだと思っていたのだが、特に奥行きのない上滑り気味なネタだった。もうちょっと設定を掘り下げていたら、味わい深いコントになっていたと思うのだが……。惜しい。

メインであるホンジャマカは勿論のこと、ゲストとして出演している芸人たちの特色もきちんと引き出されていた今作。全体的にソツが無く、きちんと安定して面白かった。ただ、一方で「ゲストを迎えているからこそ起こる化学反応」がまったく見られず、単に「ホンジャマカ+若手芸人」という加算以上でも以下でもない出来だった、という見方も出来るかもしれない。それが求められているかどうかは分からないが。


・本編(115分)
「おさえのきかない田中君 パート1」「決めつける男」「お呼び出し」「ギリギリボーイズ」「神様見てますよ」「遅れツッコミの会」「先ツッコミの会」「ほめ合い倶楽部」「出張お父さん」「おさえのきかない田中君 パート2」

・特典映像(29分)
「メイキング映像」「ラジオドラマ(擬音擬態語教室/娘さんを僕にください/手紙)」
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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https://twitter.com/Sugaya03

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