スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「R-1ぐらんぷり2011」決勝進出者発表!

本日正午、R-1ぐらんぷり2011の決勝メンバーが発表された。

AMEMIYA(SMA/初)
佐久間一行(東京吉本/八)
スリムクラブ真栄田(東京吉本/五)
バッファロー吾郎 木村(東京吉本/三)
COWCOW山田興志(東京吉本/六)
キャプテン渡辺(SMA/二)
ナオユキ(松竹芸能/三)
ヒューマン中村(大阪吉本/二)
※漢数字は大会出場回数


今大会最大の注目点は「あべこうじ」「なだぎ武」「バカリズム」「友近」など、過去の大会決勝常連者が軒並み出場を辞退したことだろう。これにより、これまで準決勝敗退に甘んじていた芸人たちが繰り上がり当選することとなり、誰が決勝に進出するのか、誰が優勝候補となるのか、まったくもって予想不可能な状況を生み出していた。とはいえ、昨年大会において涙の準優勝となった「エハラマサヒロ」や、2009年大会チャンピオン「中山功太」、大会中期の猛者「土肥ポン太」など、過去大会の決勝常連者が名前を連ねた無難な結果になるのではないか、と少なからず意識していた。

しかし、いざ蓋を開けてみたら、これがまったく予想外な結果となった。なんと、決勝進出経験者は、今年で四年連続決勝進出となった「COWCOW山田興志」のみで、残りは全て決勝進出未経験者。そのうち「ナオユキ」に関しては、二年連続でサバイバルステージ(敗者復活戦)に進出していたため、それほど驚きはない。準決勝戦の常連である「佐久間一行」や前大会で話題となった「キャプテン渡辺」などの名前も、決して予想できないこともない。以前、チュートリアル徳井が決勝進出を果たしていることを考慮すると、「スリムクラブ真栄田」もそれほど……と、理屈をこねくり回すと、幾らでも理由をつけられる。だが、それらの面々が揃って決勝進出となると、これが“予想外”になってしまうから不思議だ。恐らく、それぞれのメンツが持っているちょっとした“意外性”が積み重なって、“予想外”になってしまったのだろう。

その意味では、今大会の審査は非常に挑戦的だったといえる。なにせ、ここには「エハラマサヒロ」も「中山功太」も「土肥ポン太」もいない。過去大会で結果を残した芸人は、「COWCOW山田興志」だけだ。このメンバーで、果たしてゴールデンタイムをどのように過ごすことになるのだろうか。今から想像するだけで、楽しいことこの上ない。

ところで、今大会の決勝審査は、トーナメント方式になるのだという。第一回戦は「キャプテン渡辺」VS「COWCOW山田興志」、「AMEMIYA」VS「バッファロー吾郎 木村」、「ナオユキ」VS「スリムクラブ真栄田」、「佐久間一行」VS「ヒューマン中村」という組み合わせになっており、最高で三本のネタを披露することになるとのこと。生え抜きの若手芸人や普段はコンビで活動している芸人には厳しい形式だが、果たして戦いにどのような影響をもたらすのか。今後の大会の方針を決める一戦としても、要注目だ。

最後に。「田上よしえ」「ユリオカ超特Q」「大輪教授」「星野卓也」らの敗退、無念!
スポンサーサイト

ナンセンスの帝王、今年は二枚同時降臨

シティボーイズミックス presents 10月突然大豆のごとく [DVD]シティボーイズミックス presents 10月突然大豆のごとく [DVD]
(2011/03/23)
シティボーイズ、中村有志 他

商品詳細を見る

シティボーイズのFilm noir [DVD]シティボーイズのFilm noir [DVD]
(2011/03/23)
大竹まこと、シティボーイズ 他

商品詳細を見る

大竹まこと、きたろう、斉木しげるの三人から成るコントユニット、シティボーイズが2010年10月に行ったコントライブ『10月突然大豆のごとく』がDVD化される。同ユニットはこれまで、年に一度のコントライブを行ってきた。それらのライブはいずれもナンセンスな笑いに満ちており、数多くのコント師たちが彼らに影響を受けたと言われている。そんなシティボーイズの最新公演には、彼らの直系にあたる後輩と言っても過言ではないTHE GEESEとラバーガールが客演として参加。シティボーイズのコント世界に新しい風を送り込んでいる。

なお、同日には、2010年5月に公開されたシティボーイズ出演の短編映画を収録した『シティボーイズのFilm noir』もDVD化される。『南極料理人』の沖田修一、『The 3名様』の福田雄一、そして大竹まこと・きたろうが監督となって、シティボーイズを自己流に調理している。沖田監督の作品では、夙川アトムが主演を務めているらしい。お笑い好きとしては、決して見逃すことの出来ない二本だといえるだろう。

『オンバト+』一月二十一日放送感想文

ななめ45°『コント』(473kb)
新年会のメニューが寿司から焼肉に代わって困惑する社員が、気分屋な部長の気持ちを巧みに誘導する。ななめ45°のコントは言葉の掛け合わせを用いたネタが少なくないが、今回のネタもそういった類いのもの。日常会話に食べ物を混ぜ込んで、気分屋の部長の心境を変えよう……という発想は面白いものがある。ただ、彼らは同じフォーマットを何度も何度も使い回す癖があるので、今回のネタもそのつもりなのかなあ……と、妙にネガティブな気持ちになって鑑賞してしまった。ネタ自体は面白かったけれども。

ハライチ『漫才』(441kb)
「○○のエース」。様々な部活のエースを挙げていくが、話の内容はどんどん関係無い方向へ……。お馴染みの“ノリボケ漫才”だが、序盤は「○○のエース」にこだわったフリが続くため、これまでとはまた一味違ったスタイルの漫才になっているといえる。ただ、「○○のエース」のくだりが終わってからは、なんとなく見覚えのあるフリとノリボケが続いた。この年末年始、テレビにひたすら出演しまくっていた彼ら。芸人として大いに消費されてしまった感があるが、今後どうなっていくのか。

キャプテン渡辺『漫談』(453kb)
モグラ芸人あるある。世に出ていかない“モグラ芸人”ならではのあるあるネタを披露する。要するに売れない芸人……もとい、売れ無さ過ぎてどうにもならなくなってしまっている芸人のあるあるネタなのだが、その薄暗過ぎる内容が逆に面白いという不思議な現象を巻き起こしている。恐らく、会場の観客には、モグラ芸人たちの生態にリアリティを感じることが出来ず、それ故に彼らの人間らしくも情けない言動を素直に笑うことが出来るのだろう。あと、キャプテン渡辺が、薄暗さをまったく感じさせないハキハキとした口調で話をする点も、大きく影響しているような。面白かったので、次のオンエアにも期待したいのだが、果たして……。

かまいたち『漫才』(449kb)
給食費が無くなった時、ヤンキーの生徒を最後まで信じてくれる先生のコント。「ヤンキーのことを信じ続ける先生のコントをする」という前提に対し、ひたすら疑惑の目でヤンキーを見続ける先生を演じるというスカシが延々と続く漫才。「信じてマスー(↑)」という言い回しなど、彼らならではの個性が垣間見えつつも、以前に比べて随分とオーソドックスなスタイルになったなあ、という印象。面白くないわけではないのだけれど、なんだか薄味なコンビになりつつあるなあ、という危機感が少し。とはいえ、以前の彼らはそのセンスの活かし方に苦心していた感もあったので、こういうカタチで落ち着いて良かったのかもしれないが。

勝又『コント』(417kb)
野球部の練習。独特の感性を持つ新入部員と、それに振り回される監督の図。何故か監督をバットで殴ろうとし続ける新入部員の狂気ぶりが、ただひたすらにたまらない。初めてアンガールズのネタを観たときに感じた、独特のふわついた空気を彼らにも感じた。見た目にインパクトがあるので、ふとしたきっかけで売れそうな感じがあるのだけれど、どうだろう。

・オフエア組
エレファントジョン(393kb/440票)
アイデンティティ(393kb/709票)
少年少女(321kb/1,493票)
スマイル(293kb/1,152票)
ぼれろ(221kb/515票)

・+1:夙川アトム『コント』
『自宅クイズ』。第一回単独ライブ「FANTASIA」で披露されたネタ。部屋でくつろいでいる男が、突然に「自宅クイズ」なるものを強要させられる。正解すれば部屋が豪華になり、不正解になれば部屋の状況がどんどん悪化していく展開が、シンプルながら面白い。オチに至るまで特に引っ掛かる点もなく、安定して面白かったのだが……どうやら大きくカットされたシーンがあった模様。DVDを観れば確認できるのだろうか(覚えてない)。

・次回『オンバト+プレミアム』
エレキコミック、キングオブコメディ、三拍子、ハマカーン、ペナルティ、ますだおかだ

・次回『オンバト+』
エリートヤンキー
我人祥太
かもめんたる
GAG少年楽団
上々軍団
トップリード
バイきんぐ
ものいい
ラブレターズ
ランチランチ

GAG少年楽団、上々軍団、トップリード、ものいいが三勝目狙い。我人祥太、かもめんたる、バイきんぐ、ラブレターズ、ランチランチが二勝目狙い。唯一、今期一勝もしていないエリートヤンキーも、前回「+1」に輝いた人気芸人。というわけで、今回もどうなるか分からない戦いが繰り広げられる模様。注目は、トリオコント師として実力を上げてきているGAG少年楽団、綿密に練り上げられたコントに定評があるトップリード、妙な覆面コントで会場中に強い衝撃を与えたラブレターズ。そして、チャンピオン大会の行方や、如何に。

『流れ星単独ライブDVD~飛騨二人花火~』

流れ星 単独ライブDVD 飛騨二人花火流れ星 単独ライブDVD 飛騨二人花火
(2011/01/07)
流れ星

商品詳細を見る

“史上最もシビアなバラエティ番組”を謳っていた芸人ネタバトル番組「爆笑オンエアバトル」において、20戦中20勝という前人未到の記録を残した漫才師が一組だけ存在する。それは、ますだおかだではなく、ハリガネロックでもなく、タカアンドトシでもなければ、NON STYLEでもトータルテンボスでもない。その漫才師の名は、流れ星。卓越した技術を持っているわけでもなく、オーソドックスな芸風だったわけでもない彼らは、その漫才師としての才能だけで「爆笑オンエアバトル」での戦いを勝ち抜いてきた。その歴史にラッキーパンチなどという生温い言葉が入る隙はない。彼らは常に、自らが信じる笑いの力をぶつけ、確実に結果を残してきた。

流れ星の漫才は、いわゆる“漫才コント”と分類されるスタイルだ。漫才コントとは、最初はしゃべくり漫才として始まるが、途中でどちらかが「○○をやってみたい」と言い始め、それをテーマとしたコントを開始する……というスタイルの漫才を示す。アンタッチャブルやサンドウィッチマン、トータルテンボスなどの漫才師が得意としており、一時期、若手漫才師の大半がこのスタイルで漫才を演じていた。但し、M-1グランプリにおいて、ブラックマヨネーズが地の喋りにこだわった漫才を披露して以後は、付け焼刃的にしゃべくり漫才を演じる漫才師たちが少なからず増えてはいた。それでも漫才コントは、今でも多くの漫才師たちに広く演じられているスタイルの一つだ。

漫才コントが広く演じられている理由の一つに、日常的なやりとりを再現できる点が挙げられる。日常の風景にボケとツッコミを盛り込むことで、観客に広く理解されやすい世界観を構築することが出来るからだ。それは何も、現実の日常風景に留まらない。テレビでよく見かける風景を取り入れることも多い。これは、テレビ番組の中の日常を、漫才に取り入れていると考えていいだろう。そう考えると、漫才コントの根底にあるのは、“あるあるネタ”の精神といえるのかもしれない。日常風景を再認識させるあるあるネタを薄めたシチュエーションを、漫才コントは下地に取り入れているのだ。

ところが、流れ星の漫才コントは、そういった典型的な漫才コントとは完全に逸脱している。彼らの漫才コントの殆どは、決して日常ではお目にかかることが無いだろう、あまりにも特殊な状況を下地としている。そこには彼らなりのポリシーが含まれているようだ。とある漫才において、流れ星のボケ役であるちゅうえいは次の様に訴えている。

ちゅうえい「じゃあいいよ、それじゃ『山賊』やらずに『万引きGメン』とかやるか? むちゃくちゃ芸人やってるわ! あーあ、やってる。ああ、やってる。ああ、やってる。三組くらい浮かんだわ、とりあえず。『万引きGメン』、全然広がらんわ! お前、その点『山賊』は、「ああ、こんな展開もあった」「ああ、こんな展開もあった」「わあ、ここ裏切るんや!」、(満面の笑顔で)フーッ!。『山賊』をお前、俺らだけのもんにしようぜ!」


ネタ中のことなので、何処までが本気の発言なのかは分からない。ただ、流れ星の漫才コントにおいて、「他人がやらないことをネタにする」というテーマが掲げられていることだけは、間違いなく事実だ。なお、ちゅうえいの発言にある通り、この時の漫才のネタとなっているのは『山賊』。かなり突拍子もないネタである。だが、流れ星は、この突拍子もないネタを、ただ単に奇をてらったものとしては終わらせない。きちんと彼らなりに調理して、漫才コントとして成立したネタに仕上げてしまう。ここが彼らの凄いところだ。試しに、ネタの導入部分を見てもらいたい。

ちゅうえい「やっぱりねえ、今ねえ、一番問題になっているのがねえ、山賊の人手不足ね」
瀧上「……一回も聞いたことない、俺……」
ちゅうえい「なんで?今お前、だって海賊ブームやん?」
瀧上「海賊ブーム?」
ちゅうえい「なんかもう、(ねちっこく)『ワンピース』とかさ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか」
瀧上「なんでイヤそうに言うんだお前。『ワンピース』大好きじゃねえか、お前さあ」
ちゅうえい「みんな海賊になってまう」
瀧上「いや、海賊になってまうっていうか……まあまあ、海賊ブームっていうか、海賊人気あるかもね」
ちゅうえい「でしょ?だから山賊が人手不足やから、俺ちょっと山賊になろうかな思て」


きちんと『山賊』をネタにする理由が、ここで提示されている点に注目してもらいたい。ちゅうえいが『山賊』でコントをしようと言い始めるのは、まったく出鱈目な思いつきによるものではなく、きちんと理に適った理由があるのだ。そう、流れ星の漫才は、突拍子もないように見えて、実は理に適っている。その後の漫才コントもまた、『山賊』というシチュエーションの理に適った展開を見せる。独自の発想を見せている様に見えて、観客のことを第一に考えている構成。そこには、彼らがストリートで培ってきた漫才師としての思い、感情が垣間見える。

『流れ星単独ライブDVD~飛騨二人花火~』は、そんな流れ星が結成10年目を迎えた年に行った単独ライブの様子が収録されている。収録されているネタは五本と、近年のお笑いライブとしては非常に少ない。だが、その内容は、先に取り上げた『山賊』を始めとして、ちゅうえいがAKB48の様なアイドルグループを夢想する『アイドル』、動物園を楽しんでいた筈が謎の地下組織へと送られてしまう大スペクタクル巨編『動物園』、謎の漫才ヒーローが悪を討つコント『ヒーロー』など、彼らの魅力を堪能するには十二分。一方で、幕間映像には、二人のキャラクターを堪能できる楽しい企画が盛り沢山。中でも、昨年の単独ライブ『力作』でも行われた、ちゅうえいによる「瀧上さんおもてなしショー」は非常に不条理かつグズグズな内容で、なんとも面白かった。流れ星の漫才が手直しされる前の状態は、ひょっとしたらああいう感じなのかもしれない。

我が道を突き進みながらも、客のことを第一に考えている彼らの漫才師としてのスタンスは素晴らしい。だが、彼らの漫才に対する評価は、今一つ向上していないように思う。コンビ結成10年目、漫才師として一つの成熟期を迎えつつある彼らの漫才は、もうちょっと評価されてもいい。いずれ、売れる日が来てもらいたいところなのだが……。


・本編(81分)
「オープニング」「ライブ:山賊」「ちゅうえいさん実家(ちゅうえいクイズ)」「ライブ:アイドル」「リーダー決め対決」「ライブ:動物園」「心霊現象」「ライブ:ヒーロー」「瀧上さんおもてなしショー」「ライブ:お盆」「ライブ:リーダー決め対決の罰ゲーム」「エンディング」

・特典映像(31分)
「単独ライブ反省会」「お客さんの期待になるべくこたえよう!」

『春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」』

春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」-「朝日名人会」ライヴシリーズ29春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」-「朝日名人会」ライヴシリーズ29
(2005/05/18)
春風亭昇太

商品詳細を見る

「笑点」では唯一のメガネ一点、五十を過ぎて未だ独身の春風亭昇太による単独落語CD第一弾。創作落語家として知られている昇太師だが、今作に収録されている落語二本はいずれも古典。ただ、それらの噺は、どちらも昇太師が愛して止まないネタで、創作落語を作る上で大いに参考にさせてもらったとのこと。いわば、春風亭昇太という落語家を語る上で欠かすことの出来ない、最重要な二本であると言えるのかもしれない。

『権助魚』(2004年12月録音)
最近、お金の使い方がおかしい旦那に女の影を見た本妻が、使用人の権助に「旦那様の後をつけて、女の居場所を探ってきなさい。駄賃として一円あげるから」と言いつける。そこへ旦那が帰ってくる。再び小用で出掛けようとする旦那に、権助は本妻の言いつけ通りにくっついていく。ところが、旦那は権助が本妻に何かを言いつけられたことを察し、二円を与えて懐柔する。そして、妾に会っている間のアリバイ工作として、権助に網取り魚を買って帰るようにと言いつけるのだが……。

落語で言うところの“権助”とは、田舎者を差すのだという。そして、この噺に登場する権助も、また田舎者である。田舎の口調で話すし、行動も何処となく間が抜けている。だが、お金に関しては貪欲。このあたりもまた、田舎者っぽい。昇太が演じる権助は、本能のままに生きているようなタイプだ。いつもニヤニヤしていて、挫折というものなど経験したことのない印象を与えられる。旦那に本心を見破られても、「見てたかネ~!?」と、なにやら楽しげな反応をする。底が抜けているとでもいうような。昇太はこの噺における、本妻が権助の嘘を見破るシーンがたまらなく好きだということだが、個人的にはストーリーよりも権助のキャラクターが頭に残った。愛すべきキャラクターとは、こういうことなんだろうな。

『御神酒徳利』(2004年5月録音)
とある大店に野菜を売りにやってきた八百屋。中に入ろうとするが、女中にいらないから帰ってくれと邪険にされる。そのあまりな態度に腹を立てた八百屋はどうにか仕返ししてやろうと思い、そこに代々受け継がれてきている御神酒徳利を隠して困らせることに。案の定、さっきまで御神酒徳利を洗っていた女中はそれが無くなっていることに困惑し、旦那はそのことで叱りつける。そこへ八百屋がこっそりと現れて「私が易で見つけましょう」と提案し、そろばん占いで御神酒徳利が水ガメの中にあることを見事に的中させる。自分で隠したのだから、当然のこと。しかし、勿論そのことを知らない旦那は八百屋のその能力に感激し、東海道三島にいる百姓の弟が無くした預かり物の観音様の場所を探してほしいと申し出る。果たして、八百屋の運命や如何に。

『御神酒徳利』には二つのバージョンが存在するのだという。一つは、大店の番頭さんが御神酒徳利を水ガメに沈めたことを忘れていたというもの。もう一つが、この昇太の『御神酒徳利』。前者は三遊亭の型で、後者は柳家の型なのだそう。一門ごとにそういう細かな違いがあるなんて知らなかったなあ。先に、立川志の輔師匠による非常に達者な『御神酒徳利』を聴いた後で聴いたためか、あまり印象に残っていない。同じ噺って、どうしても比較するというか、最初の印象が強く残ってしまうものだから(まあ、志の輔師の『御神酒徳利』は三遊亭の型なんだけれど)。『権助魚』の様に、個性的なキャラクターが存在しないのもちょっと弱く感じられる原因か。十二分に面白いんだけどね。うん。

『彦いちばなし ~林家彦いち落語集・創作編~「全身日曜日」「さいとう」』

彦いちばなし~林家彦いち落語集・創作編~ 全身日曜日/さいとう/彦いち短か噺彦いちばなし~林家彦いち落語集・創作編~ 全身日曜日/さいとう/彦いち短か噺
(2010/12/01)
林家彦いち

商品詳細を見る

「笑点」のラーメンキングでお馴染み林家木久扇師匠の弟子、林家彦いち師による創作落語CD第二弾。第二弾とはいえ、第一弾と同日発売である。その第一弾『彦いちばなし創作編「睨み合い・完全版」「友情」』が個人的に今一つの出来だったので、その期待をこちらに移してみたのだが……こちらがまた、第一弾よりも期待外れな内容だった。

まず、“身体に感謝しなくてはならない”という夫の屁理屈に影響を受けてしまう主婦の体験を描いた『全身日曜日』だが、これは詰めが甘い。この噺、「夫の屁理屈を聞く妻」「道中で自殺志願者に遭遇する妻」「息子の試合を観に来る妻」の三場面で構成されているのだが、その区切りの影響で全体のまとまりが悪くなっている。三つの短い噺をくっつけたような印象が残るのだ。噺に登場する“屁理屈な夫”と“自殺志願者”という強烈なキャラクターが、その登場シーンだけで切り捨てられていることも大きく関係しているように思う。最後、野球場の場面で、二人が登場するという展開でもあれば、もう少し印象が良くなったのではないかと。マクラで話されている三遊亭円丈との思い出話や、神無月に出雲大社を訪れた話が面白かっただけに、残念。2010年6月録音。

続く『さいとう』は、市議会議員に立候補しようとしている男の家の前に何故か正体不明の死体が落ちているという、ちょっとホラー色のある作品。男の死体を巡って、狂気と混乱が渦巻いていく展開が非常に面白かったのだが、それ故に微細な部分の粗雑さが目立ってしまった。例えば、この噺は“当たり障りのない人生を送ろうとしている男”の行動を中心に描いているのだが、その性格にリアリティがない。本当に当たり障りのない人生を送ろうとしているのだろうか、という疑問が残る。おかげで、だんだんと狂気に染まっていく様に説得力が無くなってしまった。噺の冒頭に登場した娘が、途中からまったく登場しなくなってしまったのも引っ掛かる。寝てしまったのだとしても、もうちょっと噺に絡めても良かったのではないだろうか。要するに、こちらも詰めが甘い。2009年12月録音。

第一弾の『友情』に今回の二本、いずれも詰めの甘さが印象的な作品だったのだが、どうしてこれらのネタがチョイスされたのか、不思議で仕方がない。僕は普段、彦いち師がどういうネタを演じているのか知らないので、これらのネタがひょっとしたら彼のベストチョイスなのかもしれないが、それにしても納得のいかない出来だった。個人的に相性が悪いとか、そういう問題ではないと思うのだが。他の人の感想を読みたい。

おまけとして収録されている“短か噺”は、林家木久扇一門のきく姫・ひろ木と飲んでいた最中に起こった事件を描く『救急車』と、大阪の天満天神繁昌亭の楽屋で女装した男に遭遇する『繁昌亭』を収録。彦いち師の創作落語家としての才能は分からないが、少なくとも実体験を面白おかしく語る才能はある。第一弾と同様、こちらも面白かった。

『彦いちばなし ~林家彦いち落語集・創作編~「睨み合い・完全版」「友情」』

彦いちばなし~林家彦いち落語集・創作編~ 睨み合い・完全版/友情/彦いち短か噺彦いちばなし~林家彦いち落語集・創作編~ 睨み合い・完全版/友情/彦いち短か噺
(2010/12/01)
林家彦いち

商品詳細を見る

「笑点」のラーメンキングでお馴染み林家木久扇師匠の弟子、林家彦いち師による創作落語CD第一弾。『SWAのCD』で聴いた落語がいずれも面白かった(『掛け声指南』と『臼親父』)ので、期待に胸を膨らませて聴いてみたのだが、やや期待外れ。

“実体験をベースにした大ヒット噺”として紹介されている『睨み合い・完全版』は、面白いけれども創作落語といった雰囲気ではなく、どちらかといえばエッセイを朗読しているような内容で些か拍子抜け。とはいえ、電車内でこれまでの『睨み合い』を回想するという演出は、なかなかいい味を出していて良かった。緊急停車した電車の中でキレた若者と遭遇する緊張感がたまらない。2007年9月2日録音。

もう一本の噺『友情』は、「友だち、いないんでしょ?」と妻に冷やかされた男が、数少ない友だちと呼べる男の家に行って一悶着起こすというもの。「友だちとは何なのか?」という、ある意味現代的なテーマを取り上げているにも関わらず、その掘り下げが甘い。中盤、かなり面白いところまで掘り下げていただけに、その点が惜しく感じた。あと、これは当人の問題ではないのだが、この噺は“おバカな冒険落語”(帯の紹介文より)ではないと思う。このタイトルでこの紹介だと、事前に間違った印象を与えてしまうので良くないのではないかと。後味も微妙の宜しくない。まあ、そこは御愛嬌か。2009年3月6日録音。

おまけとして収録されている“短か噺”は、林家たい平・柳家喬太郎と三人で呑みをしているところで他人のケンカに遭遇する『七夕の思い出』と、敬老会で『初天神』を披露したときの観客の反応を語る『敬老会』を収録。柳家小三治のトークショーを彷彿とするような、ニヤッと笑えるエピソードが語られている。安心して楽しめるが、如何せん“短か噺”なので、ちょっと物足りないところも。『敬老会』はもうちょっと欲しかった。

「オンバト+」一月十四日放送感想文

とろサーモン『漫才』(509kb)
久保田が就職したいという日立の面接を受ける。「面接ではコミュニケーションが評価される」という前フリから、コミュ能力が足りないように見える久保田の危うい動向への流れは、なかなか綺麗。「この会社を希望した理由は?」「わっ、若気の至り!」のやりとりは笑った。シチュエーションコントのネタとしては、それなりに安心して観られる内容ではあったけれど、オチが急すぎた気も。彼らは以前から“やる気が感じられない”と言われていたけれど、今回、最後の最後でそれが出てしまったか。

アルコ&ピース『漫才』(465kb)
馴染みのあるBGMについている歌詞を熱唱する。普段はコントを披露している彼ら。漫才でオンエアされるのは今回が初めてである(過去に挑戦してオフエアになったこともあるようだが)。その内容は、“誰もが知っている曲に意外な歌詞をつける”ボケを引っ張り続けるというもの。このボケ自体は割と色んな芸人がやっているのだが、それを堂々と引っ張り続けてしまう気概がたまらない。歌詞の内容も、また妙に大人の雰囲気を醸し出していて良い。「香るシャネルの五番」……なんという大人の世界。スーツじゃなくて、ラフな格好で歌っているのも印象的だなあ。面白かった。

えんにち『漫才』(521kb)
アイパー滝沢が非行に走りつつある息子を叱る。このコンビは常に“アイパー滝沢が登場するシチュエーションコント”を演じている印象があるのだが、不思議と飽きない。以前はもうちょっと物足りなさを感じさせられていたのだが、一体何が違うというのだろうか。今回は一発目のボケ「わっつたいむいずいっとなう!?」で不意を突かれ、そのまま世界観に飲み込まれてしまったという印象。後は、家にいない母を上手く天丼に用いていたことが、構成面で評価されたのだろうか……といったところ。数字がやたらと高いのは、お馴染みのキャラクターに弱い地方収録ならではのことと捉える。

カブトムシ『コント』(497kb)
ミュージシャン志望者が自殺しようとしているところに、アルバイトの清掃員が遭遇してしまう。バイトの清掃員が徹底的に掃除にこだわったボケを演じつつ、ところどころでナンセンスなボケをかますという見せ方がきちんとしている。それでいて中盤、ある出来事をきっかけに二人の立場が逆転し、最初のやり取りとリンクしたやり取りを始めるくだりには、些か感動を覚えた。……いや、こういう構成はアンジャッシュやラーメンズ辺りのオンバト卒業生が散々やってきたことではあるのだが、その構成を明確に見せようとせず、あくまで二人のやりとりの一環として見せた、そのさりげなさが良かったと思うのだ。……偶然なのかもしれないけれど。とにかく良かった。今後の活躍にも期待したい。

しんのすけとシャン『漫才』(477kb)
ラーメン屋でクレームをつけてくる客を上手く対処する。前回、『爆笑オンエアバトル』の頃から続いていた連勝記録が止まってしまった彼ら。そのためか、今回はかなり気合を入れてきた模様。「頼んだのと違うんですけどー!?」というクレームの言葉を、本来の意味とは少し違った状況で言うことによって、それがボケになるという流れを徹底的に積み重ねていく漫才で、なかなか面白かった。しんのすけへの無茶ブリ、シャンの坊主頭ネタなど、二人の個性も上手く絡めていた。

・オフエア組
花香芳秋(453kb/477票)
天狗(393kb/487票)
朝倉小松崎(321kb/434票)
ラヴドライブ(305kb/377票)
夙川アトム(273kb/1,504票)

・+1:和牛『漫才』
ボーリング場で働いているお姉さんの注目を集めるために、ボーリングが上手な人を装う。“女性の気を惹く”という設定はよく見かけるけれど、その場所をボーリング場に限定している点、また女性の気を惹くためにボーリングが上手な人を装う点は、なかなか独特で興味深く思った。ウソを隠蔽しようとするくだりが非常に面白く、そこが強く印象に残ったが、全体を通してみると、ボケの方向性が右往左往していたような気も。今回の場合なら、「ボーリングが上手な人を装う」という設定だけで、最後まで乗り切ることも出来たのではないだろうか。

・次回
アイデンティティ
エレファントジョン
勝又
かまいたち
キャプテン渡辺
少年少女
スマイル
ななめ45°
ハライチ
ぼれろ

アイデンティティ、エレファントジョン、勝又、スマイル、ななめ45°、ハライチら六組が3勝目狙い、かまいたち、ぼれろの二組が2勝目狙い。また、チャンピオン大会とは無縁の芸人も、R-1ぐらんぷり2010準決勝を沸かせたキャプテン渡辺と、独特の風味のコントが一部で高く評価されている少年少女という、非常に結果の読めない回になっている。誰がオンエアになってもおかしくないし、誰がオフエアになってもおかしくない。ただ、M-1グランプリ決勝に進出しバラエティでも活躍中のハライチと、2007年の初オンエア以後は一度も土がついていないスマイルは、確実にオンエアされそうな感。

『SWAのCD 2006-夏休み-』『SWAのCD 2007-明日の朝焼け-』

SWAのCD 2006 -夏休み-SWAのCD 2006 -夏休み-
(2010/09/22)
SWA(林家彦いち 三遊亭白鳥 春風亭昇太 柳家喬太郎)、三遊亭白鳥 他

商品詳細を見る

SWAのCD 2007 -明日の朝焼け-SWAのCD 2007 -明日の朝焼け-
(2010/09/22)
SWA(林家彦いち 三遊亭白鳥 春風亭昇太 柳家喬太郎)

商品詳細を見る

落語といえば、江戸時代が舞台の古めかしい話というイメージがあるが、何もそういった話ばかりではない。中には、現代の日本を舞台とした、今を感じさせられる落語も存在する。創作落語というヤツだ。古い時代から存在している古典落語とは違い、創作落語は現代を生きる落語家によって作られている。だから、古くない。常に、新しい。自然な言葉で綴られる創作落語は、落語に対する固定概念を覆す程の刺激と新鮮味に満ちている。

そんな「創作落語」というジャンルにこだわり続けている集団が、SWA(創作話芸アソシエーション)である。林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎の四人によって構成されているこのユニットは、常に落語の新しい楽しさ・面白さを追求し続けている。その活動は時折、形として残っている。2006年1月には、小説家・夢枕漠を席亭として迎えた創作落語本「楽語・すばる寄席」を出版(2010年3月に文庫化)。また、2009年4月には、SWAによる落語会の様子を収録したDVD「SWAのDVD」をリリース。彼らの活動はとてもゆっくりと、しかし確実に評価されていった。

そして2010年9月、彼らの活動が遂にCDとなった。DVDではなくCDとしてリリースされたことに不満を覚える人もいるかもしれないが、客の想像力を多分に要求される落語においては、どちらがより優れているということはない。今回CD化されたのは、2006年8月に行われた落語会と、2008年9月に行われた落語会の模様。なんと、二作同時リリースである。前者では全員が「夏休み」をテーマにそれぞれ創作落語を持ち寄り、後者では一人の男性の半生が四本の創作落語で演じられている。後者の様に、演者全員の噺が一つのストーリーを紡いでいる構成を、彼らは“ブレンドストーリー”と呼んでいる。こういう構成の落語会を行うところも、また新しい。

まずは前者「SWAのCD 2006-夏休み-」から。夏休みを堪能しそびれた中学生の苦悶を演じた昇太『罪な夏』。国際的に活動している怪盗が古典落語の世界観に迷い込む白鳥『明日に向かって開け』。タイ人のムアンチャイがボクシングのトレーナーを目指す彦いち『掛け声指南』。おじいちゃんの家を訪れる少年が大人の世界に触れる喬太郎『八月下旬』。全員が同じ「夏休み」というテーマを提示されていながら、それぞれまったく違った世界観の噺を展開している。中でも白鳥『明日に向かって開け』は、殆どテーマを無視したような内容で色々とブッ飛んでいた。正直、「SWAのDVD」で初めて白鳥師匠の落語を観たときはそれほど上手くないと感じていたのだが、今回のCDの中では最も印象に残る噺を演じていた様に思う。この後、白鳥師の落語は何本か聴いてみたが、どれも似たような世界観だった。実に好み。

続いて後者「SWAのCD 2007-明日の朝焼け-」。たかし少年が社会人となり、リストラ候補となり、還暦を迎えるまでの行程が落語で演じられている。少年時代のたかしを演じたのは白鳥。ヘビ女と呼ばれる親戚のおばさんに恋の相談をする『恋するヘビ女』で、懐かしさ漂う田舎臭さとバカバカしさが混在する噺を展開した。社会人のたかしを演じたのは昇太。新商品のお酒につけるキャッチコピーを考えるために、冷え切った夫婦の関係をあえて築いてみることに挑戦する愚直なたかしを描いた。それで演目が『夫婦に乾杯』というのも、なにやら皮肉が利いている。リストラ候補に挙がったたかしを演じたのは彦いち。我を押し通すことの出来ないひ弱な中年が、奇妙な世界へと吸い込まれてしまうファンタジー落語『臼親父』を味わい深く見せた。そしてトリ、還暦のたかしを演じたのは喬太郎。家を飛び出して友人と会社酒場で盛り上がる姿を、哀愁を匂わせつつ演じ切った。『明日に架ける橋』という名の通り、希望を感じさせるエンディングだ。

「SWAのCD」二作を通して鑑賞して思ったのは、柳家喬太郎師匠が異常に大人しいということ。大人しいというより、無茶していないというべきだろうか。面白いのだけれど、なんだか物足りない。喬太郎師といえば、女に翻弄される男の哀愁を描いた噺から、徹底的にバカバカしくて下らない噺まで、実に多種多様な噺を生み出せる技巧派。落語家としての能力も高く、その技術は恐らくSWAで一番……だが、それ故に、彼ならではの面白さが技術に隠れてしまった様な気もする。自分の言葉で笑わせる昇太師匠や、技術力はそんなでもないけれど自己の世界を構築している白鳥師匠は、面白かったしね。彦いち師匠は……まだちょっと、分からない。硬派な感覚は掴めているんだけれど、もうちょっと時間が必要か。『臼親父』、好きだけどね。

そして、来たる2011年3月9日。「SWAのDVD2」のリリースが決定した。前作は「明日の朝焼け」と同様にブレンドストーリーの構成を取っていたが、今度は“古典アフター”と称し、有名な古典落語のその後のストーリーを演じるのだという。彼らの落語に対する挑戦は、まだまだ終わらない。

こばやしのてれび

小林賢太郎テレビ 1・2 DVD-BOX小林賢太郎テレビ 1・2 DVD-BOX
(2011/03/16)
小林賢太郎、竹井亮介 他

商品詳細を見る

ラーメンズの小林賢太郎による初めての冠番組「小林賢太郎テレビ」がDVD化される。同番組は、小林によるソロライブ「POTSUNEN」をテレビ向けに改変したコント・映像作品を中心に編集したもので、2009年2月に第一弾が、2010年8月に第二弾が放送された。なお、第一弾は第26回ATP賞テレビグランプリ2009情報バラエティ部門最優秀賞を受賞している。テレビでは放送されなかったコントも収録されるとのこと。ライブとはまた一味違った小林賢太郎の魅力を、皆で体感しよう。……なんかアイドルのPVみたいな文面だな。

なんばR-1しぐれ

先日、R-1ぐらんぷりに出場した。

続きを読む

2011年1月「桂かい枝」

『ハル子とカズ子』
朝の公園に集まっているお年寄りの会話。特に事件が起こるわけでもなく、ただ淡々と漫才の様なやり取りが続く。……漫才でも問題無いのでは。徹底してギャグを追求した噺で、時折飛び込んでくるブラックなネタに引きそうになるが、しかし面白い。ただ、客席がやたらと騒がしく、笑える場面で笑うのは良いが、笑わせようという場面で「エーッ?」と大きな声で引くのだけは勘弁してもらいたい。

『恋するオ・ト・メ』
恋愛の話で盛り上がる女子高生たち。同じクラスの男子とデートに行った話を……。若い女性の声色になった途端、客席から笑いが起こる。違和感あるよなあ、確かに。デートの相手となる男子がそれぞれ個性的で、そこが核となっている噺。面白いといえば面白いのだろうけど、個人的に世界観に入りきれなかった。ただ、「奇形や!DNAの突然変異による奇形種や!」は、本来の意味とは違ったところで大笑いした。客も同じモノを想像した様で、その瞬間だけ笑いがゼロに。

『丑三つタクシー』
偶然留めたタクシーに乗り込むと、気色悪い運転手が。しかし気にせず乗っかるが、その運転手は次々に恐ろしい話を……。ブラックユーモアの濃度が強いネタ。それ故に、観客のリアクションの鬱陶しさも、前二作とは段違い。とにかく「えー!」、とにかく「うわーっ!」、とにかく「うええええ!」。五月蠅いのなんの。家でテレビ観てるんじゃねーんだぞ! オチは自宅に到着した時点で容易に想像できた。それほど重要ではないけれど、観客のリアクションが激しかっただけに、ちょっと物足りなさを。舞台は芸人だけで作りに非ず。

次回はナイツ

2010年12月「パックンマックン」

『漫才「119番」』
119番通報がもしも自動音声案内だったら。パックンマックンの現状を報告する話から、お互いの子どもの頃になりたかった職業の話を通過し、本題の119番のくだりへと。じっくりと時間をかけた前フリに、シンプルな設定の置き換えネタをきちんと掘り下げる姿勢に好感触。安定して面白く、オープニングのネタとしては非常に満足のいく漫才だった。

『コント「おまわりさん」』
落し物の財布を拾った男性とおまわりさんのシチュエーションを、四種のショートコントで構成。「普通のおまわりさん」を基盤に、「当てたがるおまわりさん」「めんどくさがるおまわりさん」「笑いたがるおまわりさん」と変化。ドリフの“もしもシリーズ”を彷彿とさせられる。それぞれ違った面白さのあるコントだったけれど、ちょっと長ったらしい印象を受けた。

『漫才「アメリカにて」』
コンビを合併させてみるネタから、マックンの英語力を試すコントへ。合併ネタは以前、ますだおかだが同じ様な漫才をやっていた記憶がある。単なるネタ被りなんだろうけれど。ネタの本題に入ると同時に英会話が展開するのだが、観客に最低限伝わる英語でボケているところが何気にスゴい。勿論、動きを加えて、分かりやすく見せてはいるんだけれど。寿司屋に入ってからのやりとりは、ただただ上手い。日本語と英語の偶然の重なりを、見事に笑いへと昇華。パックンマックンならではだよな、こういうネタは。

次回は桂かい枝

「オンバト+」十二月二十四日放送感想文

GAG少年楽団『就職面接』(465kb)
本気で受かろうと思っている男と、さして受かりたいと思っていない男と、二人を受け持つ面接官の心情を描いたコント。言葉をマネされたくないあまりに自分の短所を喋り倒してしまう展開が、非常に自然で心地良い。結果、先程と矛盾した発言をしてしまう流れも良い。ただ、オチがちょっと中途半端。実際はもっと長めのネタなのかもしれない。

風藤松原『漫才』(429kb)
態度が悪い生徒に注意する先生。風藤松原の漫才としては珍しく、きちんと漫才コントの体裁が整ったネタ。漠然と面白さは伝わるんだけれど、うっかり聞き流してしまいそうなほど自然に繰り出されるボケが、今一つ印象に残らなかった。ややスカシ気味なボケは、割と好きな方なんだけれどなあ。

ラバーガール『バスケ』(421kb)
他校の生徒と対面する二人のやりとりをだらだらと描いたコント。普段はきちんとボケとツッコミが確立しているコントを演じている彼らだが、今回のネタはひたすら脱力系。どちらがボケでどちらがツッコミなのか、非常にあやふやなコントだった。実はこのコント、過去の単独ライブで既に披露されているネタなのだが、どうしてこのタイミングでこのネタなのか、どうにもよく分からない。好きなネタなので、別に問題は無いのだが。

ブロードキャスト『漫才』(433kb)
遊園地にある海賊船のアトラクションを体験する。コミカルかつダイナミックな動きが印象的なドタバタ漫才。面白くなかったと言えば嘘になるが、満足できない漫才ではあった。特に終盤は、勢いだけでどうにか乗り切ってしまったという印象。もうちょっときちんとネタを作っているコンビというイメージがあったのだが、調子が落ちてきているのかもしれない。

ザ・ゴールデンゴールデン『宇宙人』(445kb)
これまで仲良くしていた友だちが、実は宇宙人だった。でも、なんだかしっくりこない。試しに人間の友だちに言わせてみると、これが不思議としっくりくる……コント。彼らのコントは常に北川の顔をネタとして取り入れているが、見せかたを工夫しているために、まったく飽きない。後半からオチへと向かう展開も、ベタベタながら素晴らしい。オーソドックスな武器と手法を上手く使いこなした良作だ。

・オフエア組
Gたかし(409kb/505票)
和牛(377kb/909票)
オテンキ(321kb/325票)
ジンカーズ(229kb/360票)
プリンセス金魚(197kb/405票)

・オンバト+:ソーセージ『トイレ』
空気の読めない同級生と一緒に入ったトイレでてんやわんや。空気の読めない同級生役の人が、ちょっとフルーツポンチの村上っぽいキャラ。空気が読めない同級生と、その言動に慌てる二人という構図だが、その割に空気が読めてない発言が少なかったように思う。もうちょっと天然っぽく二人を翻弄すれば良かったような。それでもなかなか面白かったが、オチが尻切れトンボで残念。ここもGAGと同様、時間の問題があったのかもしれない。

・次回
朝倉小松崎
アルコ&ピース
えんにち
カブトムシ
夙川アトム
しんのすけとシャン
天狗
とろサーモン
花香芳秋
ラヴドライブ

今期三勝目狙いが四組(朝倉小松崎、アルコ&ピース、えんにち、天狗)、二勝目狙いが五組(カブトムシ、夙川アトム、しんのすけとシャン、とろサーモン、花香芳秋)という、年度末ならではのハイレベルな回。独自性のあるネタを演じるアルピー、夙川の活躍に期待したいところだが、果たして。

牛と蛙の果てしなき遊戯

パペットマペットライブact.2 井の中の蛙の胃の中の牛 [DVD]パペットマペットライブact.2 井の中の蛙の胃の中の牛 [DVD]
(2011/03/16)
パペットマペット

商品詳細を見る

2010年12月29日から31日にかけて行われたパペットマペットの単独ライブ、「パペットマペットライブact.2『井の中の蛙の胃の中の牛』」がDVD化される。パペットマペットのライブがDVD化されるのは、活動10周年記念ライブを収めた『牛蛙祭り』がリリースされた2009年3月以来、およそ二年ぶり。テレビで披露しているようなショートコントとはまた違った、パペットマペットならではの魅力を堪能できる作品になっていることだろう。なお、今作には、12月30日の様子を収録する予定である。

・その他のリリース
0309『SWAのDVD2
0323『バカリズムライブ番外編「バカリズム案3」
0323『バカリズムライブ「ピンチ!」
0323『バカリズムライブ「サスペンス」
0323『グレイテストホーム~我が家ベスト~
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。