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ブルーなレイにしておくれ

KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [DVD]KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [DVD]
(2011/12/21)
小林賢太郎

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KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [Blu-ray]KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [Blu-ray]
(2011/12/21)
小林賢太郎

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お笑いDVDを集めるようになってから、間も無く八年が経とうとしている。当初はなんとなく集め始めたものだが、塵も積もれば山になるとの言葉通り、気が付けば部屋には何百枚ものDVDが積み重なっているのが現状だ。そのおかげで……というのも妙な話だが……こういうブログを運営して、それなりに支持される程度の説得力を得られるようになった様に思う。本当に大切なのは内容なんだけどね。

ところで近年、DVD界隈では新しい動きがあった。ブルーレイの登場である。DVDよりも高画質・高音質だというこのソフトは、まだそれほど一般的には扱われていないものの、それを利用できるハード機も少しずつ増え始めているというのが、現在の状況であるようだ。個人的には、画質や音質が上がったからといって、そこまで気にするものではない。いいにこしたことはないのだろうけど、だからといって所詮は自宅で楽しめる程度のモノじゃないか。どんなにこだわったところで、上限は見えているよ。……なんて、気取ったことをいっているけれど、実は僕も最近ブルーレイのソフトに手を出し始めている。別段、画質・音質にこだわっているわけではなく、自室のハード機をDVD機からブルーレイ機に替えたのがきっかけになって、という話なのだが。そういう時代になりつつある、ということなのかもしれない。

そんなブルーレイ化の波に唯一、お笑い界から参戦しているのが小林賢太郎である。彼が所属しているお笑いユニット“ラーメンズ”による第16回公演『TEXT』以後、彼は自身の作品をソフト化するたびに、その規格をDVDとブルーレイの二種類に分けてリリースし続けている。考えてみれば、場の空気と流れがクオリティに大きく反映するお笑いライブをソフト化するにあたり、DVDよりも高品質なブルーレイを選択するのは、正しい判断だ。現在、自身のライブをブルーレイ化しているお笑い芸人はラーメンズだけだが、今後も少しずつその傾向は強まっていくことだろう。

12月にソフト化される小林賢太郎ソロ公演『THE SPOT』も、またDVDとブルーレイの二種類に分けてリリースされる予定だ。聞いたところによると、先の公演『DROP』よりもぐっとハードな仕上がりになっているらしい。笑えるのか、泣けるのか、それともゾッとするのか。様々な感情を揺り動かす小林の独り舞台、間も無く皆さんのご自宅で開演の予定。

なお、同日に小林が作演出に関わったという、“五択の安田”のイメージが今でも強い安田ユーシと小林賢太郎プロデュース公演でお馴染み犬飼若博の二人舞台『安田ユーシ・犬飼若博 LIVE 双六『録』』もソフト化される予定だ。……こっちはブルーレイにならない模様。

・その他のリリース予定
1214『bananaman live emerald music
1214『POWER×POWER DVD(仮)』(しずる)
0101『ジャルジャルのいじゃら
0127『アントニオ小猪木DVD ~小闘魂11番勝負~
0215『カナリアLIVE『金糸雀』
0307『NON STYLE TALK 2011 Vol.2
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「春風亭小朝 独演会」(10月29日)

「春風亭小朝 独演会」鑑賞のために、高速道路を経由して松山を訪れる。

僕が松山市を訪れるのは、今年八月に行われた「小枝のらくご」を観に行ったとき以来である。ただ、今回の会場となっているのは、「小枝のらくご」が行われたビビットホールではなく、ひめぎんホールというところだ。ビビットホールは松山市駅(松山駅ではない)から程ない街中にあったが、ひめぎんホールはどちらかというと道後温泉に近い場所にある。

松山には「小枝のらくご」以前にも何度か訪れているが、道後方面にはあまり足を運んだことが無かったので、到着までに随分と迷ってしまった。また、休日ということもあってか、やたらと車が混雑していたのにも、ほとほと参った。ただ迷うだけならば良いのだが、その上で渋滞に巻き込まれるというのは、段違いに精神的苦痛を伴うからだ。出来ることなら、車より電車で訪れた方が何かと便利なのだろうが、香川から松山へと向かう場合、ぐるりと今治まで回り道をしなくてはならない。百鬼園のように電車への乗車を目的とするならともかく、目的地のある身でそれを実行するのはなかなか容易ではない。

今回の会場であるひめぎんホールは、比較するのもなんだが、ビビットホールとは比べ物にならない程に大きな会場だった。表からだと、一目では全貌が確認できない程に大きい。後で調べてみたところ、ビビットホールの客席数が250~300席(パイプイスを使うために変動可能なのである)なのに対し、ひめぎんホールの客席数は628席とおよそ倍の人数が入るという。……ちなみに、これはサブホールの一階席のみに限った人数だ。二階席を含めると1,000人の収容が可能だそうだ。……そしてメインホールには、3,000人を収容できるらしい。3,000人もの客が、一体何を観るというのだろう。

ひめぎんホールには専用の駐車場がある。地下にもあるし、地上にもある。僕は地下駐車場を利用したが、どちらも料金は変わらないようだ。最初の1時間は200円で、後は30分ごとに100円の加算。……これは完全に僕の私見なのだが、どうしてその会場を利用する客に駐車場の代金を払わせようとするのか、些か理解に苦しむ。そりゃあ、大した金額ではないので、払わないということはない。ただ、なんだか釈然としない。せめて、施設利用者には割引を設定するなどの、なにかしらかの配慮が欲しい。身勝手な意見なのかもしれないが。

午後1時半開場。物販は無し。買い物好きとしては、ちょっと寂しい。席は前から4番目。チケットを手に入れたときには意識していなかったが、高座からかなり近い位置だった。最後列には幾らか空席があったようだが、ほぼ全ての席が埋まっている。近年の落語界に多大なる影響を及ぼした天才との呼び声は伊達ではないらしい。

午後2時、開演。

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「いま本当におもしろい落語家7人」の「本当におもしろいCD」

全方位型お笑いマガジン コメ旬 COMEDY-JUNPO Vol.2 (キネマ旬報ムック)全方位型お笑いマガジン コメ旬 COMEDY-JUNPO Vol.2 (キネマ旬報ムック)
(2011/09/30)
ラリー遠田、ナインティナイン 他

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現在、書店などの販売店で発売中のお笑い批評ムック『コメ旬 vol.2』では、落語の特集が組まれている。その名も「落語なう!」。たった16ページ程の短い特集だが、“初心者向けに最低限の情報だけを凝縮した”と書いてあるように、それなりに満足できる内容にはなっている。落語界をリードし続ける春風亭小朝、数々の落語家を目にしてきた高田文夫へのインタビューに加え、昨今の落語ブームを牽引してきた一人である広瀬和生によるコラムという構成は、まさに安心のラインナップと言っても良いだろう。

ところで、こういった落語初心者向けの企画では、落語のCDについて殆ど触れていないことが多い印象がある。この特集においても、広瀬氏は落語会の鑑賞をオススメしている。無論、それは正しい。CDやDVDなどの媒体を通して落語を鑑賞するよりも、実際に生の高座で生の落語家を目にした方が、その場の空気を感じられるからだ。これは落語家に限らず、全ての芸人に言えることだが、彼らが醸し出す空気の持つ引力は恐ろしいモノがある。その恐ろしさは、音や映像では感じることが出来ない。生じゃなければ、いや、生だからこそ、感じられるものなのだ。

しかし、その上で僕は申し上げたい。落語の特集を銘打っておきながら、どうしてCD・DVDなどの二次媒体を無視するのか、と。先にも書いた様に、落語会に限らずお笑いライブは生で鑑賞するのがベストだ。だが、それを東京や大阪の様な都市部ではなく、寂れた地方在住者が実行するのはなかなか難しい。勿論、地方では落語会がまったく行われていない、というわけではない。それなりに有名な落語家が来ることだって、あるにはある。だが、彼らが地方にやってくるのは、一年に一度あるかないか。一度見逃してしまえば、また来年まで待たなくてはならない。こういう状況下の人たちに「落語に触れるなら、まずは落語会に行ってみよう!」というのは、酷な話ではないか?

というわけで、誰かに頼まれたわけでもなく、ただ個人的にそういうのがあった方が良かったのではないかと思ったので、勝手に『コメ旬 vol.2』に掲載されている広瀬和生がオススメする「いま本当におもしろい落語家7人」の「おもしろいCD」を紹介することにした。どうしてDVDじゃなくてCDなのかというと、DVDよりもCDの方がレンタルショップなどで手にしやすいからだ。……あと、僕が落語のDVDに詳しくないというのもある。なにせ、これだけのお笑いDVDに手をつけて、更に落語のDVDまで手当たり次第に買いまくっていたら、本当に破産しかねない。まあ、落語に触れるのならば、DVDよりもCDの方が想像しやすいという声もある。その辺りはどうぞ、ご了承いただきたい。

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2011年11月のリリース予定

16『佐久間一行単独ライブDVD~15周年全国ツアー くるっと平和解決~
16『第12回東京03単独ライブ「燥ぐ、驕る、暴く。」
23『ドキュメンタリー オブ ヒロシ~空白の1500日~
23『ハイキングウォーキング 単独ライブ 根斗百烈拳3
23『千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶDVD
23『ウッチャンナンチャン トークライブ2010~立ち話~
23『インパルス単独ライブ「地下室」
25『ねづっち なぞかけ教習所
25『さまぁ~ずライブ8 特別版
25『さまぁ~ずライブ8
30『陣内智則ワールドツアーin韓国 NETAJIN
30『柳家喬太郎 寄席根多独演会 寿限無/綿医者/孫、帰る
30『柳家喬太郎 寄席根多独演会 バイオレンスチワワ/反対俥/紙入れ

こちらのフトコロの隙をついているとしか思えない、とてつもないラインナップに思わずクラクラしてしまう。佐久間一行・東京03・ハイキングウォーキング・インパルス・さまぁ~ずなどの単独ライブに、ヒロシ・千鳥などの映像作品まで、バリエーションも充実。ここへ更に『SWAのCD 2011』『白鳥の古典-冬-』などの落語CDもリリースされる予定なので、もう財布はカラッポを通り越してえぐれてしまうこと間違いなし。貯金崩して乗り越えろ。

オリエンタルラジオ漫才ツアー『VS』

VS [DVD]VS [DVD]
(2011/07/06)
オリエンタルラジオ

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中田敦彦と藤森慎吾によって結成されたお笑いコンビ、オリエンタルラジオ。彼らがオリジナルネタ「武勇伝」をきっかけに注目を集めるようになったことは、多くの人が知っている事実である。だが、この「武勇伝」が、M-1グランプリ敗者復活戦の舞台で披露されたことは、あまり知られていない。

当時、オリエンタルラジオはまだプロの芸人ではなく、一介のNSCの受講生に過ぎなかった。そんなまったく無名のコンビが、漫才ではなくオリジナルのネタでM-1グランプリ敗者復活戦の舞台に立つ。それがどれほどに凄いことなのか、ここで説明する必要もないだろう。オリエンタルラジオというコンビは、そこから始まったのだ。だからなのか、彼らは漫才に対して並々ならない思いを抱いている印象がある。

2008年8月20日。オリエンタルラジオにとって初めての漫才ライブDVD『才』がリリースされた。そこに収録されているのは、およそ80分間をノンストップの喋りだけで展開していく若き漫才師二人の姿だ。それも、ただの漫才ではない。オーソドックスなシチュエーションに頼らず、ひたすらオリジナリティに満ちたネタだけで構成された漫才である。若さ故の挑戦か、はたまた愚行か。そこには「武勇伝」ではなく、真正面から漫才と向き合おうとするお笑いコンビの生きざまが映し出されていた。

それからおよそ二年後の、2010年6月23日。オリエンタルラジオは二枚目の漫才ライブDVD『我』をリリースする。ここでも彼らは発想を武器にしたノンストップ漫才ライブを敢行しているが、その時間は『才』のおよそ半分と実に短くなっている。二年という月日が彼らを大人にしたということなのだろう。だが、その情熱は特典映像に反映されている。そこに収録されているのは、M-1グランプリ2005王者であるブラックマヨネーズとの、ガチ漫才対談だ。ただただ模索するのではなく、より明確に目標を定めて漫才師として向上する。以前の様ながむしゃらさは失われたかもしれないが、彼らの漫才に対する思いは相変わらず熱気に満ちていた。

そして2011年7月6日。本作『VS』がリリースされた。

『VS』はこれまでのオリエンタルラジオによる漫才ライブDVDとは、明らかに趣向の違った作品だ。まず、ノンストップ漫才ライブではない。幾つかの漫才と幕間映像で構成された、ごく当たり前な漫才ライブの様相を呈している。次に、すぐさま漫才ライブが始まらない。オープニングアクトとして、『VS』というライブタイトルにあやかり宮本武蔵と佐々木小次郎に扮した二人が、ちょっとしたコントを披露している。こういう遊びを取り入れたのは、今回が初めての筈だ。更に、ネタの内容までも、大きく変わっている。

先にも書いた様に、オリエンタルラジオの漫才は自らの発想を武器にしたオリジナリティに溢れるものだった。それ故に、彼らの漫才は他の誰にも似ていない世界観を見出していた。だが、それは一方で、彼らの漫才を閉鎖的にしていた。漫才は他のどの演芸よりも、観客の笑いを重視している。笑いが無い漫才は、イコール存在価値が無いと言ってしまっていい。どんなに才能があったとしても、それで観客を笑わせることが出来なければ、漫才師としては何の意味も無いのである。以前の彼らには、そういうところがあった。自らのスタイルを模索するあまりに、観客を置いてけぼりにしてしまっていることも少なくなかった。

ところが、彼らが本作で披露している漫才はというと、中田が格好ばかりを意識している藤森の発言を次々に先読みしたり、頭が良いイメージのある中田が藤森に“クイズの答えを聞かれたときの賢く見られる対応”を教えたり、オーソドックスな漫才コントを始めようとするも中田の使う難しい言葉に藤森が引っ掛かって集中できなかったり……などなど。イチからの発想で笑わせるのではなく、二人の等身大のキャラクターを反映した分かりやすい漫才になっている。幕間映像も、二人が様々な企画で対戦する【中田 VS 藤森 ガチンコ五番勝負】という、ファンに嬉しい内容だ。

どうして彼らは、ここまで変わったのか。本作の副音声には、今回のライブに至るまでの背景が当人たちによって語られている。そこで繰り広げられているトークからは、彼ら(もとい漫才の台本を書いているだろう中田)の心境の変化が垣間見られる。その詳細については実際に観て確認してもらうとして、興味深いのは彼らが今回のライブに満足していないということだ。その言葉からは、ライブが行われた当時に対する冷静な悔しさと、次のライブに対する熱い思いが伝わってくる。

あの、M-1グランプリ敗者復活戦の日から、間も無く七年が経とうとしている。お笑いコンビは結成十年を節目に、大きく変革する……と、誰かが口にしていたことを思い出す。オリエンタルラジオが結成十年目を迎えるまで、あと三年。果たして、それまでの間に、彼らが漫才師として完成されるのだろうか。オリエンタルラジオの漫才ライブDVDは、まるで一つのドキュメンタリー映画の様に彼らの変化を記録し続ける。


・本編(97分)
・特典:オリエンタルラジオによるオーディオコメンタリー

『昭和の藝人 千夜一夜』(矢野誠一)

昭和の藝人 千夜一夜 (文春新書)昭和の藝人 千夜一夜 (文春新書)
(2011/05)
矢野 誠一

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演芸評論家として名高い矢野誠一氏による、昭和の芸人たちについて見聞きしたエピソードをまとめた一冊。一人一人の濃密なエピソードがコンパクトにまとめられているのだが、その多くが酒と女とヒロポンにまつわる話で、読後はどの話がどの人のエピソードだったのかが殆ど分からなくなってしまった。落語のマクラで「男の道楽といえば飲む、打つ、買うと言いまして……」というのがあるが、それぞれ道楽が過ぎるというものだ。まあ、芸人にそういう生き方が許されていた時代だった、ということなのだろう。

とはいえ、印象的なエピソードもある。例えば、三遊亭円歌師匠。……勿論、『中沢家の人々』を演っている当代のことではなく、先代の円歌師匠である。ちなみに、この方も新作落語が得意だったらしい。新作好きとしては気になるところだ。そんな円歌師匠が間も無く息を引き取るという時分、こんなことがあったらしい。

 世を去る数日前、病床で昏昏と眠りつづけていた円歌が、突然目を覚まし、
「録音だ、時間をはかれ」
と叫んだ。つきそっていた弟子の歌奴時代の現圓歌が、あわてて枕許の懐中時計を手にして「どうぞ」と言うと、口をひらいた円歌が語りはじめた。
「どうだった」
「十五分ぴったりでした」
「そうか」
 と言ったままふたたび眠りについたのだが、現圓歌のはなしでは、落語もなにもただぶつぶつと譫言をくりかえしていただけだったそうだ。
(本文より)


プロの芸人の凄味を感じさせられるエピソードだが、実は僕はこれと同じ話を古谷三敏『寄席芸人伝』で読んだ。落語家たちの悲喜こもごもを描いた『寄席芸人伝』はフィクションだが、こういう実話から引用したネタもあるんだなあと、なにやらシミジミとして、記憶に残った次第である。

この他では、芸人さんならではの毒が見えるエピソードが印象に残っている。それらの中でも強烈だったのが、春風亭梅橋の話。シャレのキツい人物だったそうで、彼が結婚式でやった謎かけが紹介されている。「今晩の花嫁さんと掛けて、パチンコ屋の閉店と解く。そのこころは、出血大サービス」……今の時代だと通用しないのがツラいところだ。そんな梅橋の芸人らしい一面を語っている文がある。まだ、名前が柳亭小痴樂だった頃の話。

 結局それが命をちぢめる原因となるのだが、大酒のみでそれもビール一本槍だった。一晩で大壜だったら二ダース、小壜で五十本はのんでいた。ものの順序で大きくせり出したお腹を「ボディビール」と称して、「ビールは身体にいい。少し位具合が悪くてもビールさえのめば治っちゃう。健康保険で売ってくれ」が口ぐせだった。
 当然のようにアルコール依存症になり、心配した家族が大学病院に入院させたのだが、そう簡単に治るものじゃない。アルコールゆえのしくじりがつづくので、師匠の柳亭痴樂が「名前を取りあげる」と怒った。小痴樂すかさず「取りあげるなら、小の字だけにしてください」。
(本文より)


昭和という時代だったからこそ成立した芸人たちの世界。彼らの生きざまを見ていると、芸人という稼業の業の深さを改めて認識させられる。酒に溺れ、博打に溺れ、女に溺れ、ヒロポンに毒され……そういう生き方しかできなかったのか、そういう生き方が芸人なんだと自らを追い込んだのか。たまに、安易に「昔の芸人は凄かった」などと口にする人を目にすることがあるが、この本を読めばそんなことは言えなくなるぞ。

カンニング竹山単独ライブ『放送禁止 vol.3』※簡易版

カンニング竹山単独ライブ「放送禁止 Vol.3」 [DVD]カンニング竹山単独ライブ「放送禁止 Vol.3」 [DVD]
(2011/04/27)
カンニング竹山、鳥居みゆき 他

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2004年に相方が病死して以後、ピン芸人としての活動を続けているカンニング竹山による単独ライブ『放送禁止』第三弾。過去二回と同様、人気放送作家の鈴木おさむが演出を担当している。

テレビでは放送できないだろう危なげなトークを本分としてきた『放送禁止』だが、本作においてもその方針は変わらない。今回のテーマは「竹山にキレてもらう」。キレキャラ芸人として注目されるようになった竹山だが、ここ数年はテレビ業界にどっぷりと浸かってしまったのかキレる機会が少なくなってしまった。だから今回、久しぶりにキレまくってもらおうというのである。とはいえ、その辺の無難なモノにキレられても、面白くない。ここは一つ、テレビでは絶対に口に出来ないようなモノに対して、ちょっとキレてもらおう……と、まあ、そういう内容になっている。

放送コードとは無縁のライブで“放送禁止”を掲げるコンセプトはともかくとして、やっていること自体はそれなりに面白い。竹山が出演した番組、映画、共演した芸能人などに対してキレてみたり、芸能界に蔓延する薬物の恐ろしさについてキレてみたり、テレビでもたまに触れられる某姉さんの件をイジられてキレてみたりと、実に様々なキレっぷりを披露している。ただ、残念なことに、竹山の喋りがその面白さを打ち消している。

竹山の喋りは、いわゆる漫談の人の様な“笑い”を生み出す喋りではない。かといって、ニュース番組で事件を解説している人の様な、重みのある喋りでもない。はっきり言ってしまうと、何も残らない喋りである。記憶した台本をただただ口にしているだけの様な、そういう喋りだ。だから、どんなに面白そうなトークを展開しても笑いにくいし、真剣な話をしていても心に響かない。以前は、この“伝わらない”原因を、鈴木おさむのわざとらしい演出にあると考えていたのだが、むしろ鈴木は頑張っていたのだと認識を改めるべきなのかもしれない。今回は同じ事務所から“天才”鳥居みゆきまで召喚していたが、七味唐辛子程度の効果しか残さず。色々と勿体無い公演だったように思う。

そんな視聴者の溜飲を下げてくれるのが、特典として収録されている有田哲平・山崎弘也・矢作兼による副音声解説である。竹山イジりに定評のある三人は、その芸人らしからぬライブでの演技に対して冗談半分にトークを繰り広げている。しかし、その内容は単なる陰口には留まらない。そこでは、本編を観ただけでは分からない、竹山の本当の面白さが語られている。「サンミュージックよりも俺たちの方が竹山のことを考えている」と自称するだけあって、その語り口はとてもリアルだ。いつか、彼らが語るような竹山の面白さを表現した『放送禁止』が観られる日も来るのだろうか。……鈴木おさむ、頑張れ。

ところで、この副音声トークによると、ザキヤマは「今日、竹山が来るかもしれないと思って」収録に参加したのだという。テレビでも竹山イジりに定評があるザキヤマ。そうすることによって、竹山の面白さをどんどん引き出したいという気持ちがあるのかもしれない。そこにあるのは、きっと芸人としての竹山に対する愛なのだろう。素敵やん。


・本編(129分)
「Act.1:100人キレ手」「Act.2:麻薬と覚せい剤を調べてキレ手」「Act.3:人生の一番のキレ手」

・副音声
有田哲平(くりぃむしちゅー)、山崎弘也(アンタッチャブル)、矢作兼(おぎやはぎ)による全編コメンタリー

「オンバト+」十月十五日放送感想文

ラブレターズ【433kb/2,017票】※視聴者投票3位
四戦二勝。「キングオブコント2011」の決勝戦へと進出したことで、その知名度を一気に上げた彼ら。きっと、これまでとは違った目で見られるようになると思うが、果たして。ネタは「キングオブコント2011」でも披露していた、西岡中学校校歌。放送直後の収録とあってか、客のリアクションが薄い。それでも最後まで空気で持っていけたからこそのオンエア、なのだろう。同じ理由で、個人的にもそんなに笑えなかったが、「シコッたサマー!」が「お疲れサマー!」とNHK仕様に改変されていたのが、ちょっと面白かった。小さい配慮!

タイムマシーン3号【525kb/3,116票】※会場審査1位・視聴者投票1位
五戦全勝。昨年度は四勝中三勝がオーバー500という圧倒的な実力を見せていた彼らが、今回も見事にオーバー500を記録した。通常回においてはもはや敵無しといったところだが、それがなんだか切なく感じられるのは何故だろう。ネタは、芝居のオーディションに参加する友人の相手役を無理強いされるというコント。「オンバト+」になってから、彼らが積極的にコントを披露するようになったのは地味に嬉しい。キングオブコントを意識しているのだろうか。今回のコントは、彼らにしては珍しく小ネタでなくネタの本質で笑わせるタイプで、ちょっとコント師としての向上が感じられた。新たな一面を開けるか。

えんにち【429kb/1,431票】
五戦全勝。昨年度はかなりの好成績でチャンピオン大会に出場するも、肝心の予選で十二組中十二位という残念な結果に終わってしまった彼ら。今年度でリベンジしようということなのだろうが、彼らの芸風で果たしてどこまで食い込めるのか。今回のネタは、「俺らには普通の話は合わない」といって、漫才ではベタとされがちなシチュエーションを次から次に演じて検証していくという、ある意味で挑戦的な内容になっていた。以前、ますだおかだが同じようなネタをやってたっけなあ。ただ、ますおかと違い、こちらには批判的な意味が含まれていないので、単にシチュエーションを使い捨てているだけに見えた。内容は相変わらずといったところで、安心感はあったんだけどね。

さらば青春の光【445kb/1,562票】
三戦二勝。前期はファミリーレストランの不条理な客に巻き込まれる店員のコントでオンエアされていた。うしろシティと彼らのおかげで、最近の松竹芸能のコント師は凄いことになっているという印象が強い。……が、考えてみれば、この二組以外はそんなに盛り上がっていないという。他の松竹コント師も頑張れ。今回は取調室を舞台とした、なんとも奇妙なシチュエーションコント。こういう話を取り入れたネタは幾つもあるけれど、こういう取り入れ方をしているコントは初めて。ただ、後半は同じオチの話ばかりが続いて、ちょっと展開の面白味に欠けたような気も。まあ、おかげでネタ後のトークが面白かったけど。

キャプテン渡辺【357kb/2,233票】※視聴者投票2位
七戦六勝、今期二勝目。定評のある「クズ人間あるある漫談」を披露し続けてきたキャプテン渡辺だが、今回はバイト仲間の「バイトの鬼」に注目した、これまでと少し違う質のネタで挑戦。片やバイトすら怠けているクズ人間、片やバイトに命をかけている鬼。なんだか「丁度良いヤツいねぇのか!(CV:飯塚悟志)」と言いたくなる。と、途中までは非常に面白かったのだが、ネタを忘れてしまったことを口にした時点でどっちらけに。いっそ、いつだったかのはなわの様に、オンエアを辞退してしまった方が良かったのではないかと思うが、流してしまったものは仕方がない。しかし、後半の展開も面白かっただけに、この失敗は残念……。

・今回のオフエア
349kb:わらふぢなるお
341kb:ジグザグジギー
297kb:学天即
265kb:笑撃戦隊
241kb:ザギンデシースルー

M-1で準決勝に進出した経験もある学天即・笑撃戦隊の名前が印象的だが、こっそり前回高キロバトルでオンエアされたジグザグジギーも敗退している(五月にコント『オークション』でオンエアされたコンビ)。あの顔芸にもう一度会いたい! 笑撃戦隊はナベプロの漫才師として期待されているようだが、「オンバト+」にはなかなかハマらない。何かが足りないのだろうか。

・次回

オテンキ
カブトムシ
コンパス
span!
ニレンジャー
牧野ステテコ
マシンガンズ
ムートン
ゆったり感

「オンバト+」第一回チャンピオン大会に出場したカブトムシとゆったり感が、今期初登場。また、先日オンエアされたばかりのムートンが、今期二度目の挑戦。チャンピオン大会出場を目指す。それから、マシンガンズがおよそ一年半ぶりの挑戦。ダブルツッコミ漫才炸裂なるか。……ところで、牧野ステテコって、あの牧野ステテコのことだろうか? ……NHKでパンチラ芸が……?

『探偵はBARにいる』の感想

【映画パンフレット】 『探偵はBARにいる』 出演:大泉洋.松田龍平.小雪.西田敏行【映画パンフレット】 『探偵はBARにいる』 出演:大泉洋.松田龍平.小雪.西田敏行
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映画『探偵はBARにいる』を観る。どうしても観なくちゃならない、という類いの映画ではない。どちらかというと、「退屈しのぎに観てみたら面白かった!」と言いたい類いの映画である。だから、積極的に楽しもうと思って観に行くことは、あまりオススメしない。何も考えずに、口からヨダレでも垂らして「あーあーあーあー」とか言いながら観に行けば、きっと楽しめることだろう。……なんだか悪口にしか聞こえないな。

要するに、肩肘張らずに楽しめる映画である。一応、ミステリー物として楽しむことも出来るけれど、基本的には大泉洋のドタバタっぷりを楽しむ映画だ。例えば、『ルパン三世』を観ている時のテンションに近い。テレビシリーズのルパンは、毎回毎回何かしらかの謎解き要素をストーリーに含ませていたけれど、基本的にはルパン三世というキャラクターの行動を楽しむ内容であった。それと同じ事だ。この作品は、大泉洋演じる“探偵”が、自らのおかれている状況に対して如何に足掻いてみせるかを楽しむ映画なのである。いわゆるエンターテインメント映画として捉えていい。ただ、エログロ要素が少なくないので、こういう類いの映画ならではの「休日にテレビでやってたのをなんとなく見たら面白かった!」というパターンには期待できない。もし、テレビで放送されたとしても、かなりの自主規制がなされることだろう。

ただ、悪役を演じている高嶋政伸がとにかく素晴らしいので、これだけでも観に行く価値はあるんじゃないだろうか。高嶋政伸といえば、僕の世代でいうとどうしてもドラマ「HOTEL」の赤川一平のイメージが強かったのだが、それも本作で完全に払拭されてしまった。僕が知らないだけで、実は近年、何処かでああいうバイオレンスな役も演じていたのだろうか。そう思ってしまう程の適役ぶりだった。人のイイ社長を演じる西田敏行や怪しく陰のある女を演じる小雪なんてどうでもいい、高嶋政伸だけを見よ!(いや、この二人も適材適所で良かったけどね)

あと、脇役も素晴らしかった。物語にはそれほど関わってこないんだけれど、ところどころでイイ存在感を主張していた彼らがいたからこそ、本作は安直な北野映画モドキにならずに済んだのだ……っていうのは極端だけど。でも、本当にそう思うのよ。中でも印象的だったのが、探偵を色気で誘惑するウェイトレスを演じた安藤玉恵と、「則天道場」副長を演じた波岡一喜。決してブサイクではないのに何か間違った色気を放出する安藤、強そうな雰囲気を醸し出しているのに最後はとてつもなく情けなかった波岡、それぞれ実に良いキャラクターを演じ切っていた。安藤は第二弾にも出てくるだろうから、今から期待だ。……余談だけど、最初見たときはイモトアヤコかなーっと思ったのよね。なんか似てる気がしたから。

最後に。冬の北海道が舞台だったことが、なんだか良かったように思う。それは単に、雪景色が美しかったから、なんて野暮ったい理由によるものではない。この映画の背景はいつも肌寒かった。屋外は勿論のこと、屋内も外の寒さを感じさせる熱気を帯びていて、間接的に肌寒さを感じさせられた。そして、その北海道の寒さがあったからこそ、その中で生きている人たちのエネルギーがより強くたくましく見えてきたような、そんな気がするのである。……まあ、単なる気のせいかもしれないが。こちとら南国生まれ南国育ち、うどんさえあれば生きていける能天気県民だから、余計にそういうところが目についちゃったのかもしれないからね。

しかし、そう考えると、冬を目の前にして公開を終了するというのは、なにやら勿体無い(少なくとも香川では今週末で上映を終了する予定)。本来、この映画は冬にこそ観るべきで、こんな中途半端に熱気の残った時期に観る作品ではない筈だ。好評で第二弾も制作決定だっていうなら、年末まで上映期間を延ばしなさいよ。映画館にけっこう客も入ってたし、大丈夫だってー。

「オンバト+」十月八日放送感想文

THE GEESE【449kb/1,491票】※視聴者投票1位
五戦全勝。昨年度は見事チャンピオン大会への進出を果たすも、あまり芳しくない成績で予選敗退となった彼ら。今期も諦めずにチャンピオン大会を目指す。今回のネタは、一億円がペット扱いされている世界における親子のやり取りを描いたコント。こういう設定はラーメンズの十八番だが、一つのアイテムを中心に展開していく辺りにシティボーイズの路線を感じる。ファンとしては嬉しいね。一つ一つのボケでドカンと当てるコントではないけれど、全体を包み込むナンセンスな雰囲気がたまらない。

GAG少年楽団【441kb/1,077票】
五戦全勝。昨年度は年間四勝を記録するも、ボール一個差でチャンピオン大会に出場できなかった彼ら。今度こそ高キロバトルを連発して、初のチャンピオン大会に進出したいところ。今回のネタは、コンビニにやってくる謎の人物“アカンボーイ”を追い払う方法を、店長がバイトに指南するというもの。彼らのDVD作品『スクランブル交差点』に収録されているコント。大阪でいうところのアホに対してアホで返すという、ただそれだけの内容だが、妙に引き込まれてしまうところに技術を感じなくもない。ただ、序盤のアレは無くても良かったような。

鬼ヶ島【453kb/1,290票】※会場審査1位・視聴者投票2位
四戦二勝。先日、「キングオブコント2011」決勝へと進出を果たし、コント師としての評価を確実なものにした彼ら。「爆笑オンエアバトル」時代はオフエアが続いていたが、ここでいよいよ花が開くか? 今回のネタでは、目を見ると石になってしまうというメドゥーサの様な先生と、彼が受け持つ生徒の緊張感溢れるやり取りを描いている。このネタは「人志松本の○○な話」でも披露されていたのを目にしたが、その時と変わらず面白い。先生の言動の意味が結局分からないんだけど、それが気にならないムチャクチャさがたまらない。ただ、オチが惜しい。もっとテンポ良くスパスパッと決まれば、もっと気持ち良く終わったんじゃないかしらん。

ぽ~くちょっぷ【433kb/886票】
初出場初オンエア。喋りが上手い印象があったので、てっきり吉本関係の芸人だと思っていたのだが、サンミュージック所属らしい。飛石連休、三拍子に続くサンミュージック漫才師の顔となるか。ネタは、どちらの方が喧嘩が強いか、という妙に男気溢れるテーマの漫才。ボケ役の篠木がとにかく面白い。顔も声も滲み出るオーラも、とにかく面白い。コンビ名である「ぽ~くちょっぷ」も、恐らく彼のキャラクターから来ているのだろう。終盤の、ツッコまれるたびに「喋ってんだろうがッ!!!」と口にする展開なんか、たまらないものがあった。次回のオンエアにも期待。

ツィンテル【437kb/1,248票】※視聴者投票3位
二戦一勝。「爆笑オンエアバトル」時代から、彼らはなんとなく負けが込んでいるイメージが強かったのだが、記録を調べてみると、どうやら単に出場回数が少ないだけらしい。今回も、およそ一年と四ヶ月ぶりの挑戦。ネタをじっくりと温めて、しっかりと見せる方針なのだろうか。今回のネタは、友人が彼女を紹介してくれるというので行ってみると、なんと彼女は幽霊だった……というシチュエーション重視のコント。コントとしての整合性はあやふやだが、勢登のキャラクターと“doppio”という謎の言葉の存在感でぐいぐいと惹きつけた。なかなか面白かったけれど、やっぱり細かいところを演技力でカバーしているせいか、例えばTHE GEESEなどのコントに比べて、印象に残りにくい点は否めない。面白いんだけど、もう一つ何かが欲しいところ。

・今回のオフエア
429kb:やさしい雨
277kb:がっつきたいか
265kb:ボーイフレンド
257kb:スパローズ
241kb:ジンカーズ

とにもかくにも残念なのはやさしい雨、五位のぽ~くちょっぷとボール一個差でまさかのオフエア。とはいえ、「オンバト+」になってから三度目の400kb超えということで、確実に彼らの芸風が浸透してきている……ということにしておく。「爆笑オンエアバトル」時代はオフエアの常連だったスパローズ、こちらでも負けが続く。……コントに戻った方が良いような気がするけどな。

・次回
えんにち
学天即
キャプテン渡辺
ザギンデシースルー
さらば青春の光
ジグザグジギー
笑撃戦隊
タイムマシーン3号
ラブレターズ
わらふぢなるお

第1回チャンピオン大会に出場したえんにちとタイムマシーン3号が登場。今期もチャンピオン大会出場を狙っているようだ。それを阻もうとするのは、今期二勝目を狙っているキャプテン渡辺。ダメ人間視点の漫談で笑いの帝王を目指す。初登場の学天即(よしもと所属)、ザギンデシースルー(三木プロダクション所属)の動向も気になるところ。また、「キングオブコント2011」ファイナリスト、ラブレターズの名前も。校歌がオンバトのステージに響き渡るのだろうか?

キートン非常勤講師、帰還す。

MASTER キートン  オリジナル・サウンドトラックMASTER キートン  オリジナル・サウンドトラック
(1999/01/27)
TVサントラ、Blue 他

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漫画版『MASTERキートン』が復刊されると聞いて、なんとなくアニメ版のサントラを購入した。浦沢直樹・勝鹿北星による原作ほどには知られていないだろうアニメ版だが、実のところ、これもなかなかの名作である。原作の空気を壊すことなく、丁寧かつ真摯にキートンの世界を映像化している。このアニメ版が放送された当時、僕は既に原作本を全て入手していたが(当時はまだ原作が絶版になっていなかったので、割と容易に手にすることが出来た。ちなみに愛蔵版である)、深夜という学生には厳しい時間帯の放送だったにも関わらず、毎週欠かさず録画して、翌日にはビデオを再生していた。それほどに、アニメ作品としても素晴らしかったのである。

アニメ版『MASTERキートン』の完成度を高く導いた要因として、島邦明による音楽は決して無視することが出来ない。『世にも奇妙な物語』を始めとして、数々のテレビ番組・映画・ゲーム作品の音楽を担当している島は、ここでもその才能を如何なく発揮している。民俗音楽を思わせるその音色は、世界中を駆け巡るキートンの世界観をより一層際立たせた。それはまさに、漫画の白黒な世界がカラフルに彩られた、と言っても過言ではない(まあ、アニメだから、当然カラーなわけだけれども)。

どの音楽も素晴らしかったが、中でもオープニングテーマ『キートン』の衝撃は今でも忘れられない。民俗楽器の音色に合わせて“MASTER KEATON”の文字が浮かび上がる演出が最高に素晴らしくて、気付けば、そこばかり巻き戻しては再生していた記憶がある。終盤で登場人物や動物たち全員が同じところをじっと見つめている場面なんか、思わず鳥肌が立つ。

漫画版の復刊に合わせたのか、このアニメ版『MASTERキートン』もブルーレイで再リリースされることになった様だ。正直、ブルーレイの高画質で堪能したい作品ではないのだが、これを機会に観てみようという人も多くなるのではないかと思う。それは実に嬉しいことだ。原作を読む前でも、原作を読み終わった後でも、きっと楽しめる一品だから。

『びしょ濡れレポーターおかもとまり~噛んだら濡れる、笑いと涙の凱旋帰郷~』

びしょ濡れレポーターおかもとまり~噛んだら濡れる、笑いと涙の凱旋帰郷~ [DVD]びしょ濡れレポーターおかもとまり~噛んだら濡れる、笑いと涙の凱旋帰郷~ [DVD]
(2011/04/27)
おかもとまり

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僕はあまり社交的な人間ではないので、知らない人に対しても積極的に対話を試みる人を見かけると、尊敬の念に駆られてしまう。例えば、居酒屋で飲み会をしている最中に、他の席のまったく知らない人と当たり前に合流している人の姿などを見ると、もう思わず表彰したい気持ちになる。ああいった人たちは、どうしてあんなに簡単に人と人の間にあるハードルを乗り越えられるんだろう。生まれ持った才能なのか、育ってきた環境なのか。何にせよ、そんな彼らの姿を見て、僕は感心せずにはいられない。

同じような理由で、レポーターという仕事をこなしている人たちにも、少なからず敬愛の念を抱いている。恐らくは、テレビに映し出されるまでに何度か打ち合わせも重ねているのだろうけれど、それでも殆ど初対面の人たちと陽気に会話を繰り広げている彼らの姿には、憧れのような感情を抱かずにはいられない。なんとなく、スタジオでトークを繰り広げている人たちに対して、レポーターは下に見られているような気がするんだけれど(なんだか本部と支部の関係に見えるからだろうか)、実はとても大変な仕事だと思う。こういう書き方は小学生の作文みたいだけれど、僕にはとても出来そうにない。

本作は、ものまね芸人として活動しているおかもとまりが、“噛んだら水をぶっかけられる”という罰ゲーム付のレポーターを強要される企画DVDだ。聞いたところによると、本作がおかもとにとって初めてのバラエティDVDだという。過去、おかもとは単独名義によるDVDを二枚ほどリリースしているが、それはいずれもグラビアを中心としたプロモーション作品だった。芸人であることを公言しているおかもとにしてみれば、本作は待ちに待った企画だといえるのかもしれない。だが、 “噛んだら水をかけられる”という本作のコンセプトを見れば分かるように、この作品の本質は、はっきり言って古き良き時代に放送されていた深夜のお色気バラエティのそれである。おかもとのグラビアアイドルとしての一面が無ければ、間違いなく成立していない。

いざ本編を見ると、レポーターの仕事を引き受けるおかもと、レポート中に噛んで水をぶっかけられて呆然とするおかもと、セクシー衣装に着替えさせられて困惑するおかもと……と、予想していた通りの展開が。しかし、これが意外と面白い。変な仕事をやらされていることに違和感を覚えているとはいえ、スタッフの言うことにいちいち口答えするおかもとの姿は些か大人げなく、水をかけられても仕方がないような気分になってくるのだ。そのうち、どんどん水をかけていけばいいという気持ちになり、気付けば「ここは水をかけるところじゃないの?」と気持ちが先行してしまう始末。女性の若手芸人という立場が故か、テレビではあまり指摘されることがないおかもとのダメな部分が次々に批判されていく様は、申し訳ないが実に面白かった。

ところが、スタッフのおかもとイジりは、少しずつエスカレート化していく。最初はそれでもまだ笑えたのだが、だんだんとそのイジりの内容が悪質になるにつれて、こちらもだんだんと笑えなくなっていく。中盤からスタッフが声を荒げ始めたのには、ちょっと驚いた。イジる側がイジられる側を怒鳴りつけているところを見て、何処を笑えというのだろうか。なにやら若手タレントに対するスタッフのセクハラを見せつけられているかのようで、気付けばすっかり憂鬱な気持ちになっていた。

それでも、エンディングではそれなりのオチを見せてくれるのだろうと、どうにか踏ん張って最後まで見続けたのだが……そこにあったのは、こちらが予想していたレベルの最悪のオチだった。もはや人に薦めたくないレベルの作品なのでネタバレしてしまうが、この作品のオチは「スタッフがおかもとに冷たく当たっていたのは、彼女の母親からの手紙が理由だった」というモノ。つまり、おかもとに対するセクハラも恫喝も批判も全て、母親から届いた手紙にほだされたスタッフたちの彼女のことを考えての言動だった、ということだ。

……馬鹿じゃなかろうか?

僕は、フィクションだからと言って、こんなオチを堂々と見せられる作り手が理解できない。本編におけるおかもとイジリは、もはや限度を超えているとしか言いようがない場面が少なくない。着替えのためのロケバスに隠しカメラを仕込む、対抗役として別のレポーターを呼ぶ、温泉のレポートで胸を出せと声を荒げる……その光景はもはやイジリじゃなくてイジメの領域だ。その全ての責任を、母親からの手紙なんぞに押し付けてしまうなんて、言語道断である。「たかがフィクションじゃないか」と言う人もいるかもしれないが、むしろ「フィクションだから許されると思ってんの?」と言わせていただきたい。それはフィクションに対する侮辱以外の何物でもない。

それでも、それでもまだマシンガンズ参加の副音声に期待していたのだが、まさかの彼らまでスタッフ側に立ってしまう展開で、思わず唖然としてしまった。この作品に必要なのは、第三者による作品の姿勢自体に対する批判だったと思うのだが……流石にそこまでの技術を彼らに期待するのは間違いだったか。だが正直、この作品には『カンニング竹山単独ライブ 放送禁止3』の副音声ばりのフォローが必要だったと思う。

フラストレーションを溜めさせるだけ溜めさせておいて、それを昇華させるチャンスを堂々と無視し、不快極まりない世界観を完成させることだけに集中している本作。これまで、ただただつまらない作品は幾つも目にしてきたが、ここまで不快感を覚える作品は無かった。僕は以前、とある作品を人生史上ワースト作と評したことがあったが、本作でその記録は更新されてしまったと言っていいだろう。とっとと廃盤になってしまえ。


・本編(81分)
「本編レポート」「グルメレポート」「体験レポート」「温泉レポート」
・特典映像(10分)
本編メイキング
・副音声
おかもとまり・マシンガンズによる全編副音声コメンタリー

「笑神降臨2011」最終回:ダチョウ倶楽部

そんなこんなでとうとう今シーズンの最終回を迎えたネタ番組「笑神降臨」。その大トリを飾るのは、リアクション芸で知られるトリオ・ダチョウ倶楽部。正直、ネタ芸人としてのイメージは薄く、はっきり言ってしまうと、そんなに面白くない疑惑もある彼らだが、果たして「笑神降臨」のステージでどんなネタを見せてくれるのか?

■コント「ゲームセンターみたいな靴屋さん」
■コント「プロレス」
■コント「天ぷら 肥後屋」
■コント「楽しい日本語 JAPON」
 ◆反省会


番組開始早々にスベッてしまう醜態を晒してしまうも、なんだかんだで安定したコントを披露していたダチョウ倶楽部。彼らの代表作ともいえる「ゲームセンターみたいな靴屋さん」は寺門と肥後のコンビネーションが光る楽しいネタだったし(寺門のリアルな馬演技に大笑い!)、下らなさをテンポでぐいぐい見せていく「プロレス」も秀作。「天ぷら 肥後屋」はちょっとネタが下品だったけれど、それでも思っていたより満足できる内容だった。やっぱり芸歴の長さは伊達じゃない。

中でも個人的に面白かったのが、最後のコント「楽しい日本語 JAPON」。NHKの語学番組を思わせる映像に始まり、日本語の色んな「何」について考えてみるコントだ。お馴染みのギャグと下らないボケで埋め尽くされてきたイメージの強いダチョウ倶楽部だが、このネタは妙にナンセンスでシティボーイズを彷彿とした。また演出が実にそれっぽい。なのに最後は、上島にただただ「何?」を言わせ続けるという体力勝負な展開に。シャレたナンセンスとベタな力技によって生まれた、なんとも奇妙なコントであった。ところで、最後の「主役は、テレビの前のあなただーっ!」って、「オンバト+」のパロディだろうか。急に出てきたからビックリしたんだけれど。

というわけで、これにて今シーズンの「笑神降臨」は終了。次の放送がいつになるのかは分からないが、きっと次も色んな芸人さんのネタを堪能できる素晴らしい番組になっていることだろう。……問題は、誰が出てくれるか。そういえば陣内智則、まだ出てないよな……。

理由、そこに山があるから

千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶDVD千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶDVD
(2011/11/23)
千鳥

商品詳細を見る

M-1ファイナリストとして知られている千鳥が、遂に初めてのオリジナル単独DVDをリリース!その内容はベスト漫才を収録……ではなく、白いピアノを山の頂上に運ぶ、というもの。どうして白いピアノなのか。そして、どうしてそれを山の頂上に運ばなくてはならないのか。その理由はまったく分からないが、とにかくそういうDVDらしいぞ。聞いたところによると、千鳥は関西ではロケ芸人として抜群の才能を発揮しているらしい。彼らは白いピアノを山の頂上に運ぶ様を、どのようにロケーションして見せるのか。御期待。

・その他のリリース予定
1123『ウッチャンナンチャン トークライブ2010~立ち話~
1123『ハイキングウォーキング 単独ライブ 根斗百烈拳3
1214『いっこく堂 世界で1つのショータイム
1221『イチマル』(ハライチ)
1221『バカリズムライブ番外編「バカリズム案4」
1221『こんぺいとう』(ニッチェ)
0111『ナイツ独演会 其の二
0203『サンドウィッチマン ライブ 2011

「オンバト+」十月一日放送感想文

ソーセージ【509kb/1,369票】※視聴者投票2位
今期二勝目。初のオーバー500を記録し、絶好調といったところ。前回のオンエアも465kbと高記録だったので、少しずつチャンピオン大会が見えてきた感も。今回のネタは、コンビニのバイトに反抗期が訪れるというナンセンスなシチュエーションコント。反抗期ならではの理屈っぽい鬱陶しさがリアルで、面白いんだけれどちょっとイラッと(笑) 途中、明らかにカットが入っていたのは残念だったけれど、切れ味の良いオチで実に良かった。店長がお小遣いを渡そうとするくだりなんか、もう……。

【421kb/1,146票】※視聴者投票3位
こちらも今期二勝目。前期はオーバー500を記録するも二勝目を上げられなかった彼らだが、今期は低キロバトルながらコンスタントに勝数を稼いでいけそうな感。なんとなくネタにも安定感が出てきて、ノリや勢いで笑いを取ろうということが無くなってきた気がする。そんな彼らの今回のネタは、バーを舞台とした漫才コント。序盤は低調だったが、マスターに相談するくだりから一気にハジけた感が。個人的にシンセサイザーが出てくるくだりには笑った。

ラバーガール【525kb/2,765票】※会場審査1位・視聴者投票1位
「オンバト+」が始まってから六連勝、また「爆笑オンエアバトル」時代から見ても自己最高の525kbを叩き出すなど、やたらと嬉しい結果となったラバーガール。どちらかというと彼らは地方収録に弱いイメージがあったのだが……それだけ安心感が出てきたということなのだろう。今回のネタは、入社面接のシチュエーションを用いたコント。こういう流れがおおよそ決まっているコントは、観客も安心して観ることが出来る。また、こういうシチュエーションだと、飛永が映える。ただ今回は大水がハネた。「就職大学から来た面接太郎です!」で早々に観客の心を掴み、その後も「(企業理念を聞かれて)はい、「バカみたいに頑張る」です!」「絶対このチャンスをモノにするぞーっ!」「お値段なんと十円でございます!」など、強烈なボケが飛び出す飛び出す。更に全てを投げ出すオチ、を一言でまとめた飛永の言葉のチョイスも飛び出した。高キロバトルも納得の物凄いコントだったな。

かもめんたる【381kb/994票】
低キロバトルが続いているにも関わらず、何故かオフエアにならずに連勝街道を走っているコンビ、かもめんたる。単に勝負運があるということなのか、それとも一定のファンが存在するということなのか。なんにせよ、今回も無事にオンエアされた次第である。ネタは、面会時間を過ぎているのに母親のお見舞いに来た息子を、医者が狂言芝居で通してあげようとするのに、まるで察してもらえない……という、妙な設定のコント。そのうち息子が母親に会う気を完全に無くしてしまう展開が、実に彼ららしい。個人的にはもうちょっとボールが入っても良かったような気がする。

ウエストランド【413kb/641票】
岡山県出身のコンビ、ウエストランド。かつてはフリーで活動していたが、今は爆笑問題率いるタイタンの所属しているとのこと。現在、「オンバト+」での戦績は二戦二勝。このまま連勝街道に入ることは出来るか。そんな彼らの今回のネタは、先輩の不良に絡まれた時の対処法を伝授する漫才コント。以前に彼らのネタを見たときはアマチュア臭さを感じたものだが、今回のネタはなんだか古臭さを感じた。ちょうどボキャ天ブームの時代の漫才を観ているかのような……。ネタ自体は悪くないが、ここから更にハネることがあるのかが気になるところ。しかし「タイ米」はなんだか懐かしかったなあ。

・今回のオフエア
305kb:冷蔵庫マン
301kb:ミルククラウン
241kb:花香芳秋
169kb:アイデンティティ
169kb:あきげん

冷蔵庫に扮した謎のピン芸人、冷蔵庫マンが惜しくもオンエアを逃す。次回の挑戦に期待だ。貴重なモノマネ枠の花香芳秋、ジャッジーペーパーに「モノマネはまあまあだけどネタが……」と書かれていたが、まさにそれが敗因ではないかと。モノマネ芸で爆笑を取るのは難しい! 前回は高キロバトルでオンエアされたアイデンティティ、今回は最下位タイに。相変わらず上がり下がりが激しいコンビだ。

・次回
鬼ヶ島
がっつきたいか
THE GEESE
GAG少年楽団
ジンカーズ
スパローズ
ツィンテル
ボーイフレンド
ぽ~くちょっぷ
やさしい雨

第1回チャンピオン大会に出場したTHE GEESEが登場。ナンセンスコントで今年度も出場なるか。対するは、ボール一個差でチャンピオン大会出場を逃したGAG少年楽団。今年度こそは出場したい。その他では、やはり気になるのがキングオブコント2011ファイナリストの鬼ヶ島。「オンバト+」での勝率は三戦一勝と低いが、ここから勝ち上がっていけるか?
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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