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今年聴いた落語十選

2011年は、落語のエンターテインメント性を触れに触れた一年だった。本業(?)であるお笑いDVDそっちのけに落語のCDを買いあさり、現役の落語家の音源から、今は亡き落語家の音源まで、実に様々な落語を聴きまくった。実際に落語会へと足を運び、今の時代の落語も直に触れたつもりだ。もし、僕の人生の年表を作ったとしたら、2011年は間違いなく“落語元年”と呼べる年だっただろう。

そんな落語初心者の僕だが、生意気にも、今年一年で聴いた落語から十席をセレクションしようと思う。

どうしてそんなことをするのかというと、もうちょっと落語の面白さが知られてもいいと思うからだ。もうちょっと詳しくいうと、古き時代の古き演芸というイメージが根深く残っている落語は、決して過去の遺物ではなく、現在も確固として通用しうるエンターテインメントであるということが、もっと知られてもいいと思うからだ。それを、お笑いDVDレビューばっかりやってきた自分がやるというのも妙な話だが、このブログを読んでいるお笑いフリークの方々が、この記事をきっかけに落語を聴いてもらえるようなことに少しでもなってくれれば、割と嬉しい。

あと、余談ですが、毎年やってる「このお笑いDVDがスゴかった!」は、もうちょっとお待ちください……。

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2012年1月のリリース予定

01「ジャルジャルのいじゃら
11「ナイツ独演会 其の二
18「キングコング×NON STYLE なぜか離島へ…presented by いつも!ガリゲル
18「磁石 単独ライブ 「プレミア」
25「恐怖学園」(鬼ヶ島)
25「2012年度版 漫才 爆笑問題のツーショット~2011年総決算~

ゼロ年代に巻き起こった空前のお笑いブームがだんだんと下火になっていく中、その小さな火種を絶やすことなく、様々な方法で芸人の面白さを引き出そうとそれぞれが懸命に試行錯誤を重ねていた、2011年。このお笑いブームの中でさえも台頭することなく、くすぶっていた芸人たちの存在を引っ張り上げるというサルベージ作業があちらこちらで行われていたが、果たして2012年の芸人たちはどうなっていくのであろうか。動乱の時代が幕を開ける……のかしら。そんな2012年をイの一番に切り開くのは、ネクストコントジェネレーションことジャルジャル。その後を、THE MANZAIで活躍を見せたナイツに磁石、キングオブコント2011を悪夢のドン底に陥れた鬼ヶ島が続く。そして、どんじりでは、爆笑問題が2011年の総決算!

この他のリリースについてはこちらをご参考

お笑いDVDリリース予定表2012

まあ、良かったら、買ってみて。

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「THE MANZAI 2011」批評

■概要
“1980年代に漫才ブームを巻き起こしたバラエティ番組「THE MANZAI」を復活する”というテーマの元に開催される。当初は「M-1グランプリ(2001~2010)」を企画した島田紳助(当時の「THE MANZAI」に“紳助・竜介”として出演)が審査委員長を務める予定だったが、自身の不祥事による引退のため、計画は白紙化。その後、大会最高顧問の座にビートたけし(当時の「THE MANZAI」に“ツービート”として出演)が就任し、予定通りの日程で開催されるに至った。

■予選内容
2011年5月30日~7月2日まで、全国六地区(東京・札幌・大阪・名古屋・広島・福岡)にて一回戦を行い、7月5日~12日まで大阪・東京にて二回戦が行われた。二回戦の予選参加者から、10月2日~11月27日までに行われる全五回の本戦サーキットに出場できる50組の“認定漫才師”を選抜する。本戦サーキットは五人の審査員による採点方式で審査され、そこでつけられた順位がポイントに反映される。認定漫才師はこの本戦サーキットに二度出場し、審査を受ける。その結果、選ばれた上位15組が決勝戦に進出する。また、16位以下の10組によるワイルドカード決定戦で、残る16番目の枠を決める。

■開催期間
2011年5月30日(予選1回戦)~2011年12月17日(決勝戦)

■司会
ナインティナイン
高島彩(フリーアナウンサー)
佐野瑞樹(フジテレビアナウンサー)

■審査員
西川きよし
秋元康
テリー伊藤
関根勤
大竹一樹(さまぁ~ず)
渡辺正行(コント赤信号)
木村祐一
天野ひろゆき(キャイ~ン)
高須光聖
+ワラテン(視聴者投票)

■ゲスト
爆笑問題(ビートたけしの代行として)

■ワラテンテストプレイヤー
ダイノジ(本戦サーキット30位)

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『12月生まれの少年』最終巻に寄せて

12月生まれの少年 1 (1) (バンブー・コミックス)12月生まれの少年 1 (1) (バンブー・コミックス)
(2008/10/08)
施川 ユウキ

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12月生まれの少年(2) (バンブー・コミックス)12月生まれの少年(2) (バンブー・コミックス)
(2010/04/17)
施川 ユウキ

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時折、遠い町の商店街を散策する。

その町に興味を持ったわけではない。歴史を知りたいとも思わないし、現状を知りたいとも思わない。ただ、その商店街の中を、ふらふらと歩いて回る。そこで日常を過ごしている人たちにしてみれば、僕の姿は純然たる部外者のそれそのものだろう。中には、不審者として捉え、訝しげに見ていた人もいたかもしれない。僕が商店街を立ち去った後で、不審人物の目撃情報が出回った可能性もある……というのは、些か大袈裟な推測だが。

さて、どうして僕がかような奇妙な行動に出るのかというと、その場しのぎの知識欲を満たしたいからだ。もっと具体的にいうならば、ここにはこうこう、こういう街があって、そこにはこういう商店街があって、どのくらいの人たちがそこで暮らしていて、どういう施設があって……ということを、完全ではないにしても、多少は知ってみたいという衝動に駆られて、そういう行動に出るのである。人間の欲望とは、かくも無意味で残念なものであったか……という程のことではないが、なんとも無駄な時間の使い方をしていると、我ながら思う。だが、そういう無意味な知識欲の解消によって、童話の様な空想が生じているのであるからして、歴史的見地からいうと決して無駄な行動ではない、ともいえるかもしれない。

施川ユウキ『12月生まれの少年』は、読書好きな小学四年生の少年“柊”の日常を描いた四コマ漫画だ。日常を描いた四コマ漫画……というと、2011年に映画化されて話題となった、軽音楽部に所属する女子高生の日常を描いた『けいおん!』の類いと思わせられるが、『12月生まれの少年』のそれは、むしろ『ぼのぼの』に近い。日常の中でふっと湧いたテーマを中心に、キャラクターたちが様々な事を思い、考えてみるという点も共通している。『ぼのぼの』作者のいがらしみきおが、本作二巻に「いつか少年で「ぼのぼの」を描きたいと思ってたけど、施川くんに描かれてしまった」とコメントを寄せているくらいだから、かなり似ているのだろう。

『12月生まれの少年』と『ぼのぼの』の最大の違い、それは本能を掘り下げているか、事物を掘り下げているかの違いだ。『ぼのぼの』の舞台は動物たちが共存する世界なので、その思考の対象となっているのは、例えばモノを食べるということ、嬉しいということ、そういった生き物の本能的な部分を掘り下げることが多い。一方の『12月生まれの少年』は、やっていることはぼのぼのと同質であっても、その対象となっているのは、人間が作ったもの。それら既存の事物に対して、柊はその妄想じみた思考をはりめぐらせる。

例えば、楽器店のショーウィンドーの中にあるホルンを見て、こんな空想を広げていく。

「腸みたいにグネグネしてる…アレは宇宙生物の内臓かもしれない」
「ホルンは金色に光る大腸と小腸だ」
「そしてフルートは骨で、クラリネットは重要な部分の骨だ」
「サックスは尻尾の骨」
「その宇宙生物は宇宙一美しい雄たけびを上げながら」
「地球を侵略する」
「そして人類は」
「宇宙一美しい雄たけびに聴きほれながら滅亡するんだ…」


少年ならではの無知と美しい空想が、その四コマ漫画に込められている(これは八コマだけど)。

そんな『12月生まれの少年』の最終巻が発売された。

12月生まれの少年 3 (バンブーコミックス )12月生まれの少年 3 (バンブーコミックス )
(2011/12/17)
施川ユウキ

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口にするのも憚られる程にベタな言い回しだが、「始まりがあれば終わりがある」とはいうものの、なんとも寂しい。それにしても、少年の空想が美しく膨らんでいく様を描いている本作、果たしてどのようなエンディングを迎えるのだろうか。恐らく、さほど意外性のない、ありきたりな最終回になっていることだろう……と思いながら、この最終巻を読み始めたのだが……。

完全にナメていた。

『12月生まれの少年』の最終回は、『12月生まれの少年』にしか有り得ないエンディングを迎えている。こんな最終回は、他の四コマ漫画では絶対に表現することが出来ない。恐らくは、先に挙げた『ぼのぼの』ですら、こんな結末を迎えることは出来ないだろう。それは、ごく当たり前な日常の中に訪れた、ちょっとだけ非日常的な出来事。その他愛のない出来事で、柊の中で何かが終わり、そして何かが始まっている。

作者の施川ユウキは、最終巻のあとがきで本作の最後について次の様に書いている。

「本作の最終回は、特に最終回っぽい事もせず、普通に終わらせるつもりでネームを切っていた。ところがラスト2ページで、急に僕はあの感覚に陥ってしまった。(略)この漫画は、そこに辿り着く為のひとつの物語だったのではないだろうか。そう思ってしまった。当然「最終回だから」というのが、先にあったのだろうけど、「日常の中で、何かが終わる重要な瞬間が突然フッと現れる」という終わり方に、どうしてもしたくなってしまった」


その美しく儚い成長の次に、彼がどんな青年へ、そして大人へとなっていったのか。それを見届けられないことを残念に、そして有難く思う。

安田ユーシ・犬飼若博『LIVE双六 緑』

安田ユーシ・犬飼若博 LIVE 双六『録』 [DVD]安田ユーシ・犬飼若博 LIVE 双六『録』 [DVD]
(2011/12/21)
犬飼若博 安田ユーシ

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安田ユーシと犬飼若博の二人によって演じられる六本のオムニバスコント舞台「LIVE双六」。本作にはその第六回公演の模様が収録されている。作・演出には、小林賢太郎・福原允則・奥原アイザックら三人の作家を迎えており、演者の二人を通して、その個性を発揮している。

恐らく、本公演がこうしてDVD化されたのは、自身の舞台公演を数多く商品化している小林賢太郎の存在が大きい。パッケージにも、小林の名前とともに本作への推薦文が掲載されている。そのことが、そのまま彼のネームバリューの大きさを表している、といっても過言ではないだろう。もはや、小林賢太郎は、コントユニット“ラーメンズ”の一員ではなく、“小林賢太郎”個人でも、堂々と売り出せる存在になってしまった。

ところで、今の小林の肩書は、“芸人”ではなく“劇作家・パフォーマー”らしい。確かに、今の小林賢太郎を芸人と呼ぶことには、少なからず抵抗がある。それは、彼がテレビやラジオなどのメディア媒体に出演していないから、というわけではなく、今の彼が表現しようとしているものがお笑いに留まらなくなってきたから、という意味合いによるところが大きい。無論、彼が演じている物、表現しようとしている事の根底には、今も変わらず笑いがあるのだが、その軸となる部分が、コントに限られなくなってしまった。ラーメンズとしての彼に衝撃を受けた身としては、些か寂しい。

本作の出演者である安田ユーシと犬飼若博は、小林賢太郎プロデュースの舞台に出演しているため、ラーメンズファンには馴染み深い名前だが、実質上はまだまだ無名の役者である。厳密にいうと、安田は役者ではなくお笑いタレントらしいのだが、現在は芝居を中心に活動しているようだ。一方の犬飼はプロの役者だが、近年は自由奔放な嫁を題材としたブログで人気を集め、2011年12月に書籍化された(ちなみに、この本の帯にも、小林賢太郎はコメントを寄せている)。

年相応の顔つきでありながらどこかあどけなさの残る安田と、冷静な大人の男という印象を与える犬飼の二人によって演じられるコントは、どれもこれも個性的で面白い。五寸釘を大量受注してしまった会社がその処分に苦悩する『KUGI 2011』、家電用品店の店員が家電クイズに挑戦する『クイズ』、バラエティ番組のプロデューサーが報道に移動してニュース番組を自己流にアレンジする『ニュースシャッフル』、修学旅行で東京にやってきた学生がふと立ち寄った服屋の店員に巻き込まれる『熊野灘から来た男』……不可思議なシチュエーションの中で行われる二人のやり取りは、たった二人であるにもかかわらず、実に奥行きのある世界を生み出していた。

それにしても、役者が演じているコントというのは、なんだか芸人によるそれとは少し違って見える気がする。「第三者が仕上げた台本を演じる」という行程の中で生じる作品との距離が、ちょっとした違和感となって舞台に反映されているのかもしれない。この不思議な魅力、侮れない。


・本編(98分)
「KUGI 2011」「クイズ」「ゲンちゃんとハチ」「ニュースシャッフル」「熊野灘から来た男」「喫煙室2011」

・特典映像(15分)
「SHINKON ~LIVE 双六「参」より~」(ゲスト:森谷ふみ)

『ジューシーズ パウダー、吸盤、モッツァレラ!』

パウダー、吸盤、モッツァレラ! [DVD]パウダー、吸盤、モッツァレラ! [DVD]
(2011/09/14)
ジューシーズ

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ジューシーズは2006年に結成されたお笑いトリオである。幼稚園からの友人である赤羽と児玉、そして東京NSCで知り合った松橋の三人によって結成された。お笑いブームの波に押されて、「エンタの神様」「あらびき団」「爆笑レッドカーペット」などの番組に出演するも、ブームの波には乗れなかった。その後、「板尾ロマン」のレギュラーとなるが、2011年9月に番組が終了。現在はジャングルポケット・パンサーとともに深夜バラエティ番組「333 トリオさん」にレギュラー出演中である。

ジューシーズが演じているのは主にコントだ。ジューシーズのコントというと、どうしても思い出さずにはいられないのが『ネタ合わせ』である。漫才師のツッコミが相方とは別のボケに浮気してコンビ活動を始めようとする様子を、男女の修羅場に置き換えて演じてみせるという、なんともバカバカしいコントであった。ただ、当時、ホリプロコム所属のお笑いトリオ“ななめ45°”が、既にこれとまったく同じフォーマットのコントを持ち芸としており、彼らのそれは単なる二番煎じにも見えた。きっと、両者が共通したフォーマットとなってしまったことは、単なる偶然なのだろう。

事実、それから後に目にした彼らのコントは、決してフォーマットに捉われない自由奔放な世界観に満ちていた。牛丼屋のバイトとバイトリーダーが「無料サービス期間が終了しているのに、牛丼に生卵をつけるべきか否か」を激しく言い争う『牛丼屋』。新しくやってくるという担任を前の担任と同様に追い返してやろうと企む二人の不良の前に、あまりにも想定外の教師が姿を表す『新任教師』、真面目な話をしている社員と社長の間で、社長の息子が暴れ回る『社長室』など、それぞれまったく違った持ち味のコントばかりである。それでもジューシーズらしさが失われないのは、体重100キロを優に超えるという赤羽の存在感が大きい。見た目のインパクトもさることながら、時折こぼす可愛らしい口調が強烈な個性となって、ただただ達者なコントを明確にジューシーズのコントとして昇華している。

しかし、ジューシーズの個性となっているのは、なにも赤羽の存在ばかりではない。彼らのコントの根底には、“ふざける”の精神がある。その分かりやすい例となるのが、『休み時間』というコントだ。このコントでは、中学二年生に扮した三人が、休み時間を使って徹底的に「演技ごっこ」を繰り広げている。「演技ごっこ」とは、さりげない会話から突然に演技を始める、というもの。ちょっとした演技をして、その度に「楽しぃ~!」とはしゃぎ回る三人の姿……これこそ、ジューシーズというトリオの根幹なのだ。きちんと作られたコントでも、その根底にはふざける精神がきちんと残っている。

最後に、個人的に好きなコントを紹介しよう。そのコントのタイトルは『同窓会』。久しぶりに集まった、かつての高校の同級生たち。あまりの懐かしさから、当時のあだ名が思わず口からこぼれていく。「じゃがいもマン!変わらねえなあ!」「そういう地球防衛軍こそ!」「おー!オカマの大群!」。やがて会話の中身はかつてのクラスメートたちの話へ。「おじさまコール、今度結婚するらしい」「誰と?」「お尻プリンセスと……」。どこまでも意味のない言葉遊び、でも、それがなんだか愛おしい。


・本編(57分)
「牛丼屋」「ネタ合わせ」「同窓会」「新任教師」「社長室」「クイズ」「休み時間」「言い間違い」「研究所」

・特典映像(60分)
「ジューシーズのわくわくのんびりツアーズ」(出演:ライス、しずる池田、かたつむり林)
「JouTube」

「オンバト+」十二月十七日放送感想文

鬼ヶ島【369kb/1,233票】※視聴者投票3位
五戦三勝、今期二勝目。人力舎の秘密兵器、鬼ヶ島が今期二勝目を記録。ただ、前回よりもぐっとキロバトルが下がっているので、チャンピオン大会は厳しそうだ。ネタは、キングオブコントでも披露していた操り人形のコント。既に知られているネタだから低いのではないかという見方もあったが、ただ単にオンバトの客が戸惑っただけじゃないかという気もする。しかし、ミュージカルの音楽が始まると、ついつい笑ってしまうなあ……これも呪いか。

ヒカリゴケ【449kb/1,470票】※視聴者投票2位
六戦五勝、今期初オンエア。昨年度、年間四勝を達成するも、初戦の低キロバトルが響いてチャンピオン大会への出場が果たせなかったヒカリゴケ。そういう意味では、まずまずの結果になったといえるのでは。今回のネタは、結婚式で花嫁をさらいに行くという、映画『卒業』のワンシーンをやってみたい!という漫才。……もう元ネタの映画を知らない人も多いんだろうな。既にシチュエーションが固まっていることもあってか、これまでのヒカリゴケの漫才にしては、なかなか安定感があって面白い。中でも、濃いキャラクターの花婿が登場するくだりは、かなりハマった。五感を失った殺戮マシーンってなんだよ(笑)

ジンカーズ【433kb/850票】
五戦三勝、今期初オンエア。「爆笑オンエアバトル」時代には一度もオンエアを経験したことが無かったジンカーズだが、「オンバト+」になってからはそれなりにオンエアを重ねている。ただ、キロバトルが安定せず、勝ったり負けたりを何度も繰り返しているというのが現状。パンチ力に欠けるのだろうか。今回のネタは、防犯グッズの説明を受けるコント。販売員の中身のない説明がじんわりと面白くて、だんだんとハマっていく。自分が説明した商品を無かったことにするくだりに、「空き巣に入られたと思って……」という殺し文句の流れが最高。ただ、まだ頭で作られた感が残っている気も。

ジグザグジギー【381kb/1,141票】
四戦二勝、今期初オンエア。昨年度、『オークション』のコントで初オンエアを果たしたコンビ。当時、なかなか面白いと思ったので、このリベンジは嬉しい。今回のネタは、ジャムトースト。ジャムトーストの蓋が開かないだけで、最後の最後まで引っ張る。前回のオンエアもそうだったが、割とこういうタイプのコントばっかりやってるコンビなんだろうか。だとしたら、実にクレイジーである。いつもの注文を頼まない常連、いきなり呼び込みを始める店長、そして空前のジャムブーム……いちいち面白かったけれど、ちょっと後半に会場の広さに合わないこじんまりとしたボケを並べすぎたか。

ヒデヨシ【457kb/1,724票】※会場審査1位・視聴者投票1位
二戦一勝、今期初オンエア。「爆笑オンエアバトル」時代に一度だけ勝ち星をあげるも、その後は結果を残すことが出来なかったヒデヨシが、およそ三年半ぶりのオンエア。しかも、初のトップ通過というのだから、嬉しいだろうな。ネタは、眠れない子どもに読み聞かせる本が家電の説明書、というコント。途中から説明書と童話をごちゃ混ぜにしたり、子どもへの注意を説明書風にしてしまったり、色々と工夫はしているが、ネタとしてはあまりにも手堅くて、笑いは弱いけれど満足感は残るという不思議な印象を残した。同じ事務所に所属するななめ45°と同じで、ちょっとカタルシスに欠けるというか……鬼ヶ島と混ぜたらいいかもしれない(やめとけ)

・今回のオフエア
329kb:カブトムシ
289kb:サイクロンZ
197kb:天狗
185kb:ハチクミ
169kb:ばいそん

昨年度はチャンピオン大会に出場したカブトムシ、ここで連勝がストップ。当たり外れの大きい芸風ではあるが、これが今後の展開に影響する可能性もあるが、果たして。今期三勝目を狙った天狗は、ここにきて厳しい結果に。来年、既に出場が予定されているが、リベンジなるか。

・次回
エレファントジョン
コマンダンテ
THE GEESE
スギタヒロシ
チョコレートプラネット
テンゲン

【初】ブリッジマウンテン
【初】村瀬雄一
モエヤン

2012年初の放送回。響が今期三勝目、エレファントジョン・コマンダンテ・THE GEESE・スギタヒロシ・チョコレートプラネットが今期二勝目を狙う。どの芸人が来てもおかしくない豪華な回だが、果たして誰が勝ち上がってくるのか。注目は、前回初オンエアとなったコマンダンテ。あの不思議な世界を、再びオンバト+のステージで見せつけることが出来るか。

『JUNGLE BEST POCKET』

JUNGLE BEST POCKET [DVD]JUNGLE BEST POCKET [DVD]
(2011/09/07)
ジャングルポケット

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熱帯雨林の様な情熱的パッション。

ジャングルポケットのコントといえば『コンビニ』、という印象が強い。ごく当たり前なコンビニの日常風景に飛び込んできて、並んでいる客を押しのけて「助けて下さい!」と絶叫する一人の男。何が起こったのかと尋ねてみると、「トイレ、貸して頂きたいんですが!」。しかし、このコンビニではトイレを貸すことが出来ない。「ルールですから!」。そこから、二人のやり取りはより激しさを増していく。「いつまでルールに縛られてるんだ!」「オレは貴方の様に強い人間じゃない!」……。

その根底にあるのは、ただコンビニにトイレを借りに来た男と、それを断ろうとするコンビニ店員による日常茶飯事のやりとりなのだが、二人の感情の激しさが、その日常を非日常的なコント世界へと変えてしまう。こういうコントは台詞回しも大事だが、なによりも状況を演じている二人の演技力が重要だ。中でも、身体全体から妙なオーラを発散している、斉藤の存在は大きい。『コンビニ』が面白いのは確かだが、もし斉藤がいなければ、ジャングルポケットは記憶に残るトリオにはならなかったかもしれない。

ジャングルポケットのコントは往々にして、斉藤の存在感を中心に展開する。修学旅行最後の夜に女子部屋へと入り込もうとする斉藤が、教師の前で本気を見せる『修学旅行』も、成績が落ちた優等生の前にライバル然とした斉藤が現れ、自身の成績の伸び率を自慢する『放課後』も、完全犯罪を成し遂げてきた斉藤が、名探偵のあまりに的外れの推理に翻弄される『名探偵』も、斉藤の存在感がいなければ成立していないだろう。だが、それは逆にいえば、彼らが斉藤の存在感を正しく認識し、受け入れているということを意味している。芸人を志した以上、自分が目立ちたいという気持ちは誰もが持っている筈なのに、それを抑えて、斉藤をアピールする。まさに、「楽な仕事じゃないよ!」。

ただ、本作を見てみると、斉藤ばかりが独特の存在感を放っているわけではないようだ。特典映像に収録されている「今さら聞けない誰でも出来る一本の取り方~初級編~」を見て、僕は初めて太田の存在感に気付かされた。ジャングルポケットのコントにおいて、太田は斉藤の相手をする立場にあることが多い。それ故に、太田がどんなにボケたとしても、斉藤のキャラクターを引き出す導入になってしまいがちだ。しかし、この特典映像において、様々な人物を相手に次々と柔道技をかけていく太田の姿は、なんか変だ。本来の面白さ以上の何か、変な存在感を主張している。それを言葉にするならば、ダチョウ倶楽部におけるネイチャージモンの様な、そんな野性味を醸し出している。もしかしたら、斉藤よりも末恐ろしい何かを隠し持っているのかもしれない。今後、彼が斉藤の陰で何を見せていくのか、注目していきたいところである。(聞いたところによると、以前に彼らがレギュラーを務めていた番組「コンバット」では、彼のそういった側面が披露されていたらしいが……) こうなると、もしかしたらツッコミの武山にも、何か隠された面白さがあるのではないかという気もしてくるのだが……どうだろう。

湿度の高い情熱を放ちながら、無意味な笑いを全力で放ち続けているジャングルポケット。現在、彼らは同じ事務所に属するパンサー・ジューシーズとともに、深夜バラエティ番組『333 トリオさん』にレギュラー出演中だ。その番組で、果たして斉藤は、太田は、武山は、どんな存在感を発散しているのだろうか。彼らほどの実力と了見があるならば、いずれゴールデンタイムでお目にかかる日も来るだろう。今はとりあえず、その日が楽しみだ。


・本編(76分)
「漫才 BBQ」「修学旅行」「試合の後」「花子」「オフィス」「コンビニ」「放課後」「名探偵」「初めてのゲーム」「告白」「狩り」「スナック」

・特典映像(71分)
「先輩襲撃シリーズ 下剋上!ジャングルポケット天下統一への道 ~ジャマな先輩を襲撃せよ~」(出演:トータルテンボス、ライセンス、NON STYLE、しずる+?)
「今さら聞けない誰でも出来る一本の取り方 ~初級編~」
「ジャンポケ斉藤の絶対負けられない戦い ~斉藤慎二vs富士急ハイランド~」

死んだ目さんの浅草演芸診断

浅草芸人 ~エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史~ (マイナビ新書)浅草芸人 ~エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史~ (マイナビ新書)
(2011/12/23)
中山 涙

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はてなダイアリー“死んだ目でダブルピース”を運営している中山涙さんが、この名義では初めての著書を出版するという(※以前は違う名前で小説を書かれていたらしい)。文字通り、浅草の芸能150年史を一冊にまとめた本で、昔を知る人物への取材や資料を元に書かれたとのこと。正直、【浅草芸人】というカテゴリーの狭さがネックになっている気もするけれど、当人曰く「再読しても面白い内容になっている」らしいので、お年玉で買ってみるのもいいかもしれない。新書だから安いし。僕も買う予定だけれど、読むかどうかはまだ分からない(笑) とりあえず、我が家の新書本ばかり置いている本棚の一角にある立川談志と高田文夫と矢野誠一の並びに置いてプレッシャーを与えるという、何の意味もない遊びに興じる予定である。……本当に何の意味もないな!

『パンサーDVD PANTHER Vol.1』

パンサーDVD PANTHER Vol.1パンサーDVD PANTHER Vol.1
(2011/08/31)
パンサー

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蝶のように舞い、蜂のように笑わせる。

よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いトリオ、パンサー。彼らは、東京NSC8期生の尾形貴弘、東京NSC9期生の菅良太郎、東京NSC11期生の向井慧の三人によって、2008年に結成された。

披露しているネタは主にコント。そのクオリティには定評があり、「キングオブコント2011」では準決勝戦に進出している。現在は、彼らと同様によしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属するお笑いトリオ、ジャングルポケット・ジューシーズとともに、深夜バラエティ番組「333 トリオさん」にレギュラー出演中だ。本作は、そんな三人にとって初めての単独作品である。

その定評通り、パンサーのコントは確かに面白い。“UNOを知らないバカ”と“UNOを知ってるけどバカ”を交えた三人でゲームを繰り広げる『UNO』、あまりの多忙さに色々な仕事を一度にこなしながらインタビューにも答える芸能人を描いた『忙しい人』、インターハイで獲得したメダルの違いがちょっとした差別を生み出す『メダル』など、あまりお目にかかったことのないシチュエーションのコントを、実に上手く転がしている。

ただ、その一方で、オチを粗雑に扱う傾向も。それでも笑える流れを作れているなら問題は無いが、時にそのせいで全てが台無しになってしまうこともあり、あまり良い傾向とはいえない。早急に対応する必要があるだろう。流石に【数年後、TV界を席巻する大期待の超新人トリオ】(※パッケージ裏より)とまでは思えなかったが、これからの進化が楽しみなコント集ではあった。

それから、少しだけ心配になったのは、彼らの芸風にそこはかとなくニブンノゴ!と同じ空気を感じたこと。ニブンノゴ!は、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属するお笑いトリオで、パンサーは彼らの後輩に当たる。軽快なテンポとバカバカしいノリが魅力のニブンノゴ!のコントは、まさにパンサーが演じているコントのそれと同じだ。しかも、活動期間が長い分、ニブンノゴ!の方がクオリティは高い。将来、両者が比較される可能性は否めない。パンサーには、ニブンノゴ!とは違う方向性が必要になるかもしれない。

その新たな方向性を、僕は本作の『Beautiful MANZAI』に見た。胸元に一本の薔薇を差したホスト風のスーツに身を包んだ三人が、セクシーかつ大胆に繰り広げていく美しき漫才。これは、メンバー全員がそれぞれに違った顔立ちのイケメンだからこそ為せるネタだ。本作に収録されているのはあくまでも冗談、悪フザケの域を出ていないが、このスタイルを更に開拓していくのも面白いのではないだろうか。……完全に余計なお世話の様な気もする。でも、メンバー三人が全員イケメンって、なかなか珍しいと思うのだが。これが武器になれば、ひょっとしたら……。

よしもとの若手トリオを青田買い。このイケメン三人、どうすか。


・本編(51分)
「UNO」「幽霊」「忙しい人」「Beautiful MANZAI」「誕生日」「葬式」「大人じゃない?」「銀行強盗」「学食にて」

・特典映像(128分)
「クイズ!尾形貴弘」
「まさかの!向井のご両親がライブ乱入ドッキリ!」
「未確認生物「菅」は存在するのか!?」
「パンサー「男3人旅」」

「オンバト+」十二月十日放送感想文

や団【469kb/1,185票】
初挑戦初オンエア。「爆笑オンエアバトル」時代にオンエアされた経験があるトリオが、およそ三年ぶりの挑戦で見事に「オンバト+」での初オンエアを果たした。ネタは、銀行の防犯訓練に参加している二人に演劇経験があり、訓練の演技に熱が入るあまりに……というコント。演技でグイグイと引きつける力量は凄いが、その暑苦しい演技が途中から本気で不快になり始める。うーん……相性の問題かなあ。あと、ラグビー部のくだりは、構成上完全に蛇足。あれなら普通に、銀行強盗のくだりをもうひとつ足した方が良かったのでは。

span!【481kb/1,619票】※会場審査1位・視聴者投票1位
二戦二勝、今期二勝目。前回のオンエアに引き続き、会場審査・視聴者投票ともに1位と絶好調の彼ら。キングコングのフォロワーとして完全に開き直ったことが、少なからずプラスに働いているのだろうか。今回のネタは、カラオケボックスで起こりうるトラブルをモチーフとした漫才。はっきりと若い層をターゲットとした内容は、その対象にしっかりと突き刺さったようだ。構成も上手い。が、それ故に、ところどころの粗さが目立った。それを味と見るかどうかで、ちょっと印象が変わるかも。

ツィンテル【421kb/971票】
三戦二勝、今期二勝目。元役者であるからこその演技力と、それをきちんと活用したナンセンスな台本に定評のある彼ら。それ故に当たり外れも大きいが、このところはコンスタントにヒットを飛ばしている。このまま常連となるか。今回のネタは、コント『パパは大泥棒』。留守の家に忍び込んだ泥棒がこっそり出ようとすると、その家の娘の結婚相手だという男に父親だと勘違いされてしまう。シチュエーションだけを見るとアンジャッシュを彷彿とさせるが、内容はずっとストレート。それでも少し捻りが感じられるのは、娘の名前のせいかもしれない。個人的には、目を見れば分かる……のくだりが好き。

グランジ【425kb/1,336票】※視聴者投票2位
三戦三勝、今期三勝目。前回オンエアされたソーセージに続く、今期三勝目を記録。合計キロバトルは決して芳しくはないが、だんだんと番組に馴染んできているような気もする。今期は厳しいかもしれないが、来期の活躍には期待できるかも。今回のネタはコント『ザ・モンスター』。謎のモンスターと小学生二人の交流を描いた、ハートフルコメディ……って、そんなわきゃない。とにかくモンスターの存在感が凄過ぎて、コントの内容が頭に残らない(笑) ただ、最後の最後で、旅行カバンを持ってきたのは記憶に強く刷り込まれたが。あんまり真面目に考えずに、ゲラゲラ笑いたいコントだったな。……ところで、ザ・モンスターの衣装が、ちょっとモンスターエンジンの神々とちょっと被っていたような……。

ゆってぃ【365kb/1,252票】
初挑戦初オンエア。「爆笑レッドカーペット」で一躍人気者になるも、お笑いブームの終焉とともにテレビへの露出が激減してしまったゆってぃ。行き場を無くした彼は、かつてコンビだった頃に上がったこともあるオンエアバトルのステージへと、再び舞い戻ってきた。……要するに出戻りってことだ。今回のネタは、これまでやってきたスタイルを「強めな出来事」として昇華する漫談。「ちっちゃい事は気にするな♪」という高い完成度のブリッジを捨てて、なんだか粗雑なスタイルになってしまったことがとにかく残念。ただ、ネタの内容やさりげない一言の上手さは相変わらずで、なかなか楽しめた。……普通にやってくんないかなー……。

・今回のオフエア
353kb:アルコ&ピース
329kb:たいよう
245kb:西村
153kb:トライアングル
121kb:ミラクルパワーズ

「オンバト+」になってからは負けなしだったアルコ&ピースが、まさかまさかのオフエアに。しかも、聞いたところによると、漫才を披露したらしい。「THE MANZAI 2011」決勝に残った彼ら、思わぬ躓きとなってしまったが、果たして。トライアングルは「爆笑オンエアバトル」時代からおよそ四年ぶりの挑戦だったが、無念のオフエアに。

・次回
鬼ヶ島
カブトムシ
サイクロンZ
ジグザグジギー
ジンカーズ
天狗
【初】ばいそん
【初】ハチクミ
ヒカリゴケ
ヒデヨシ

天狗が今期三勝目、鬼ヶ島・カブトムシ・サイクロンZが今期二勝目狙い。当たり外れの大きい芸風の鬼ヶ島は、現在二回連続トップ通過中。三度目はどうなるか。注目はヒカリゴケ。昨年度、あと一歩というところでチャンピオン大会進出を逃した彼ら、今度こそ松竹芸能の若手漫才師としての意地を見せたい。

エレキコミック第20回発表会『NaNoNi』

エレキコミック第20回発表会『NaNoNi』 [DVD]エレキコミック第20回発表会『NaNoNi』 [DVD]
(2011/09/21)
エレキコミック

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8位なのに、20回目の単独発表会。

数々の媒体で活躍できるほどのポテンシャルを持っていながら、なかなか売れる機会に恵まれなかったお笑いコンビ、エレキコミック。96年の結成当時から現在に至るまで“バカ”の精神を貫き通している彼らのコントは、ただただ無意味で下らない笑いを瞬間的に巻き起こし、そして後には何も残さない。そんな彼らの笑いは一部から高い指示を得ており、05年以降の単独発表会(※いわゆる“単独ライブ”のこと)は全てDVD化されている。でも、一般的には、あんまり知られていない。

しかし2010年、そんなエレキコミックにチャンスが訪れた。年に一度、コントの王者を決定する「キングオブコント2010」の決勝戦に進出したのである。他の決勝進出メンバーを見ると、ジャルジャル、ロッチ、しずるなどの若手人気コント師ばかり。それは、テレビバラエティへの露出が少ない分、コントライブに力を入れているエレキコミックに有利な状況といえなくもなかった(過去の優勝者もバッファロー吾郎・東京03と、ライブを中心に活動しているユニットが続いていた)。しかし、蓋を開いてみると、これがなんとダントツの最下位。あまりにも強烈な自虐ネタを手に入れて、彼らは再びメジャーの舞台から遠ざかっていったのであった。

それからおよそ一年後、「キングオブコント2011」の予選が開催される直前に、エレキコミックは通算20回目となる単独発表会を行った。ライブタイトルは『NaNoNi』。20回目の記念すべき公演のタイトルにしては、何処となく否定的でネガティブな印象を与える言葉である。せっかくの20回目なのに……って、まさかそれを言わせるためなのか?

ところで、ここで一つ謝罪させていただきたい。ここ数年、当ブログではエレキコミックに対して、些か厳しい感想を書き続けてきた。それは、かつて「爆笑オンエアバトル」に出演していた頃の彼らが持っていた、フルスロットルに振り切れたバカバカしさを取り戻してもらいたいと考えていたからだ。しかし、今にして思えば、それは当時のエレキコミックの幻影を今のエレキコミックに押し付けていただけだった。いうなれば、冷静さを失っていたのである。そのことを踏まえ、本作を鑑賞する際に気持ちをゼロにして臨んだのだが……以前よりは、今の彼らの笑いが理解できたような気がする。

かつてのエレキコミックは、とにかく破壊的な笑顔で攻め入るやついいちろうのボケと、それに困惑しながらも絶妙な言葉のチョイスで捌いていく今立進のツッコミによって成立していた。しかし、今のエレキコミックは、そこへ感情の起伏を取り入れるようになったのである。例えば、単なるバカにしか見えない学生がふとした瞬間にマジな表情を浮かべてみたり、本気で叱られたことで改心した子供が一瞬だけ冷たい目をしてみたり、そういった負の感情が表現されるようになった。その結果、コントの中にメリハリが生まれ、バカな笑いの表現方法も広がった。

そのことを意識してみると、本作のコントも実に味わい深く感じられる。修学旅行ではしゃいでいる最中に財布が無くなったことに気付いた瞬間、冷酷な目で友人を疑い始める『前略、原宿にて』。息子が学芸会で演る「桃太郎」の内容に疑問を抱いた母親が、教師にあらぬ感情を抱き始める『NaNDe』。某名作ドラマを改めて作り直すにあたり、役者を一新してまったく別の作品にする筈が……『入っちゃってる』。どのコントも、感情の起伏がバカバカしい笑いへと見事に繋がっている。また、キャラクターに深みが生じて、“単なるバカ”が“得体の知れないバカ”になっている点も興味深い。

しかし、なんといっても面白かったのは、特典映像に収録されている「やついのコンポ」である。やついの家にあるコンポは壊れていて、電源を入れた途端に切れるという厄介な代物だ。ただ、何度も何度も電源を入れていくと、そのうちCDが再生されるようになる。そこで、このコンポを使って、二人でロシアンルーレットをやってみることに……。壊れたCDコンポを使ってゲームをするという発想もさることながら、こんな下らないことを本気で楽しんでいる二人の姿が実に微笑ましい。こういった二人の側面が、もっと世間に知られる何かがあればいいのだが……勿体無い。実に、勿体無い。

ただ、本当に面白かったのは、このロシアンルーレットの罰ゲーム。その罰ゲームとは……ここでのネタバレは控えるが、彼らがダントツの最下位となった「キングオブコント2010」に関わる罰ゲームである。転んでも、タダでは起きないバカ二人。取り戻せそのラフネス、見せつけろそのタフネス。これからも彼らは、バカの最果てへと歩き続けることだろう。


・本編(82分)
「NaNoNi」「オープニング」「前略、原宿にて」「NaNDe」「クリーニング屋」「イマダチ!」「入っちゃってる」「友情ガール」「エンディング」「特典映像:やついのコンポ」

お笑い芸人DVD発売予定表2011

2011年リリース予定のお笑いDVDをまとめております。
よかったら、是非。

(2011年12月13日更新)

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『清水ミチコのお楽しみ会 バッタもん』

Live! 清水ミチコのお楽しみ会 ”バッタもん” [DVD]Live! 清水ミチコのお楽しみ会 ”バッタもん” [DVD]
(2011/12/07)
清水ミチコ

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座右の銘は「隣人は芸の肥やし」。

1983年のデビュー以後、絶えることなく様々なバラエティ番組で活躍し続けるモノマネ芸人、清水ミチコ。そのクオリティの高さとバリエーションの広さから、“モノマネの女王”という呼び声も高い。しかし、その一方で、誰をターゲットとしているのか分からない危険度の高い笑いを追い求める傾向もあり、火傷することも少なくない。それでも、ツボにハマった時の当たりは大きいのだから、困りものである。まさにハイリスク・ハイリターン

そんな清水ミチコの魅力を詰め込んだDVDが、『清水ミチコのお楽しみ会 バッタもん』である。清水が自身のライブを収めたDVDをリリースするのはこれが二度目になるが、前作は正直言って物足りなかった。とにかく値段が高い割に収録時間は短く、副音声は中途半端にしか収録されておらず、尚且つ編集されている場面も非常に多い。鑑賞後には思わず、「果たしてこれを商品化する必然性はあったのか?」と疑問を覚えたほどである。……というのは、些か言い過ぎかもしれないが、これはそれだけ内容に期待を寄せていたということなんだと理解して頂きたい。そのような経緯があったため、本作もまた中途半端に宜しくない出来なのではないかと、鑑賞前には些かの不安に駆られもした。

ところが、そんなことはまったくの杞憂であった。まさに再生した瞬間、全ての不安は吹っ飛んでしまったのである。なにせ、本編を再生した直後、清水扮する北朝鮮のニュースキャスターがライブの諸注意を力強く語り上げ、続けて某有名青色ロボットを模したバッタもん兄弟(※モザイク)が勢揃いのオープニング映像が流れ、そしてすぐさまステージ上に某万博のテーマソングを歌いながら清水が登場するのだから、たまらない。初っ端からここまでブッ飛ばしているのに、この後の内容が中途半端な編集で片付けられるわけがないのだ。

そして事実、この後も清水の暴走は止まらない。観客のリクエストから某女優の歌唱力をテーマにした『MY BLACK EYES』を歌ったかと思うと、今度は某フォークシンガーの超名曲を替え歌で「声自慢~♪」とニヤニヤしながら歌ってみせる。かと思えば、某有名尼僧になりきってお布施をせがんでみたり、某有名外国人タレントになりきって外タレ講演会を行ったり、某イマジンアーティストになりきって「ケンカを売っているのではありません、むしろケンカを止めているのです」と言ってのけたり……これがまた、いちいち似ているからたまらない。それでいて、やはり根底には悪意が垣間見える。

モノマネ芸人がそのモノマネの中で見せる悪意は、あくまで表面のみを対象としていることが殆どだ。何故ならば、その程度の悪意であれば、観客が無邪気に笑うことが出来るからである。コロッケのモノマネを見れば、そのことがよく理解る。ロボットと化した五木ひろし、牛になった瀬川瑛子、ハエを追いかける堀内孝雄などなど……。どんなに不愉快に見えても、それらはモノマネ芸人の単なる悪ふざけとして捉えることが出来る。ところが、清水ミチコのモノマネは違う。清水は対象となっている芸能人の表面の部分を見据え、その裏側に秘めた悪意を妄想し、モノマネへと昇華するのである。それは時に、芸能人への鋭い批評となることもある。だから、清水のモノマネには、他のモノマネ芸人には見えないドス黒い悪意が感じられるのだろう。

本編は、一旦の終了の後に、松任谷由実っぽいオリジナルソング『青春のメディスン』を経て、矢野顕子のカバーソング『達者でナ』をカバーして終息を迎える。“達者でナ”“また逢おナ”という歌詞は、だだっ広い会場で行われた悪意にまみれた密室芸を最後まで共に体感した仲間たちに向けられているようだった。清水の悪意よ、永遠なれ。誰かに本気で怒られる、その日まで。……いや、その日が来たとしても。


・本編(約122分)
「開演前の諸注意」「オープニング」「登場曲」「リクエスト」「私のフォーク・メドレー」「機内にて」「目マン」「絵本朗読」「シャンソン子守唄」「BATTAMON講演会」「シャンソン子守唄」「ミチコの部屋(ゲスト:黒柳徹子)」「台湾へいらっしゃい」「ブス5段活用」「ほぼ半世紀メドレー」「Lover,Come Back To Me」「アンコール:YOKO OH,NO! INTERVIEW」「アンコール:青春のメディスン」「アンコール:達者でナ」

・特典映像(約28分)
「青春のメディスン(ヴィデオ・クリップ)」「青春のメディスン(カラオケ・ヴァージョン)」「ミチコの部屋未公開映像」「WOWOW放送番宣スポット」「機内にて追加映像(日本青年館)」
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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