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「三遊亭圓楽独演会」(2月12日・川之江)+α

愛媛県四国中央市に三遊亭圓楽が来るというので、行ってきた。

四国中央市は僕の住んでいる街から、車でほんの三十分ばかりのところにあり、例えば新居浜などを訪れる際には必ず通過している。ただ、ここに長く滞在するということは、これまで一度たりともやったことはなかった。何故ならば、はっきりいってしまうと、この辺りにはこれといって心惹かれる要素が無いからである。かろうじて、国道沿いにレンタルビデオ店があるが、わざわざここでCDやDVDを借りる必要性は皆無に等しい。それ故に、僕はこの四国中央市という場所に幾らかの馴染みはあるものの、まるで詳しくはない。そんな所に、どうしてわざわざ圓楽ともあろう人がやってくるのか。……いや、勿論、仕事だから来るのだろうが。

これまで、落語会といえば、やれ岡山だ、やれ松山だ、やれ高知だと、やたらめったら遠い場所で行われることが多かったのだが、今回は四国中央市である。先にも書いたが、車でほんの三十分ばかり走れば、着くような場所である。だから、早起きをする必要もない。開演時刻は昼過ぎの14時なので、一時間前に起床しても十分に間に合う。しかし、せっかく出掛けるのだから、それなりに余裕を持って行きたいという気持ちもあったので、少し早めに出かけて、近辺をぐるぐる散策してみることにした。

当日、午前11時に家を出た僕は、真っ直ぐと進めばいいだけの国道を離れ、脇道から山道を抜ける道を通ってみた。時間はたっぷりとある。普段は通らないような道を走って、いつもとは違う風景を楽しもうという心の豊かな試みである。そして事実、木々に囲まれた道を進んでいくのは実に爽快だったが、そのうち景色に飽きてしまった。カーステレオから流れてくるのは、ホットなナンバーではなく、三遊亭竜楽師匠の『堪忍袋』。先日、東京03の単独ライブを見るために訪れた、岡山で購入したヤツである。すぐにケンカを始めてしまう夫婦が、苛立ちを収めるための“堪忍袋”を作ってそこにストレスを溜めていくのだが、だんだんとそれが大きく膨らんでいき……という、なんだかファンタジー性の強い落語である。ネタが進むと同時に、僕のフラストレーションもじわじわと膨らんでいく。自業自得ではあるが、堪忍袋が欲しくなる。

1時間20分後、四国中央市に到着する。時刻は12時半ごろ。馴染みの天下一品が近くにあったので、立ち寄って昼食を取る。こってりラーメンを頼もうと思ったのだが、期間限定で“かまあげラーメン”なるものをやっていると書かれていたので、試しにそれを注文した。しばらく待っていると、ゆで上げただけのラーメンが。かまあげなのに、つけ汁はないのか。備え付けのラーメンつゆ(原液みたいなの)をかけて食えと店員がいうので、その通りにする。天下の天下一品が出すラーメン、もちろん悪くはない。悪くはないが……こってりとしたスープが飲みたかったなあ、と少し後悔する。

その後、レンタルビデオで時間を潰してから、13時半を過ぎた頃に会場へと足を踏み入れる(あんまり散策してないなっ)。今回の独演会が行われるのは、四国中央市民会館川之江会館である。やたらと長い名前だが、要するに四国中央市の川之江という場所にある会館、ということだ。ちなみに、四国中央市民会館三島会館というところもあるらしい。いつか、そっちにも落語家さんが来てくれないものか。会館の入り口でチケットをもぎってもらい、中へ。通路には物販コーナーが設けられており、圓楽師匠の手ぬぐいやハンカチに混じって、笑点グッズや歌丸・たい平・小遊三のグッズなども販売されていた。……仲介業者ということかしら。何か買いたいところだったが、懐が寒かったので諦める。

客席を見ると、みっちりと詰め込まれた中年・老年たちの姿が。流石の笑点パワーというべきだろう、ほぼ満員といった様子であった。今回は指定席ではなく自由席だったので、後ろの方の空いている席にテキトーに座る。しばらく待っていると、市長という人の挨拶が始まった。別に聞きたくはないが、他に観るもの聞くものもないので、ぼんやりと眺めている。……なんとなく、ウケている。落語家がこれからネタをしようって時に、どうして市長がちょっとウケようとしているのか。対抗意識か、はたまた羨望の感情が溢れ出てしまったのか。いずれにせよ、分不相応である。少しもウケずにつまらないまま引っ込みなさいよ、と思ったのだが、なんだかんだでけっこうなウケをとって引っ込んでいった。

そして、ようやく落語家の登場である。

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女子力よ、大いに香れ。

見るたびに笑ってしまうCMがある。「ソフラン アロマリッチ」のCMである。



長谷川京子が空港の金属探知ゲートをくぐると、外国人スタッフに「ストップ!」と止められる。彼女は身に覚えが無いので、「えっ?」と驚きを隠せない。途端に、服から溢れ出す、なんともいえない甘美な香り。それを嗅いだスタッフが微笑みを浮かべながら、思わずつぶやく。「なんて女子力の高い香り……」

もう、笑うしかない。笑う以外の処置が分からない。とにもかくにも、「なんて女子力の高い香り……」である。これ以外のやりとりなんて、どうでもいい。重要なのは、なんでその言葉が出たんだ、という一点のみだ。特に“女子力”……このところ、やたらと耳にする言葉ではある。これ以外にも、例えば「ダイハツ ココアミラ」のCMでも使われている。だが、ココアミラにおける女子力と、アロマリッチにおける女子力とでは、まったく意味が違う。ココアミラのCMにおける女子力は、様々な習い事を通じて鍛えられていく技術的・精神的なものとして描かれている。だが、アロマリッチのCMにおける女子力は、ただただ“香り”のみで判断される。甘美な香りを漂わせている、ただそれだけで「なんて女子力の高い香り……」と恍惚の表情を浮かべてもらえるのだ。まるで、「習い事なんぞやらなくっても、アロマリッチさえ使えば女子力は上がるんじゃゴルァ!」といわんがばかりだ。この強引さが、なんともたまらない。

また、それを外国人女性にいわせるのだから、これまたたまらない。それはつまり、彼女は何かしらかの理由により“女子力”なる言葉を学習、記憶したということを意味している。他にも勉強すべき日本語はあっただろうに、どうして女子力なんて言葉を覚えたんだ。いや、覚えるなとはいわないけれど。その直後、自慢げにカバンを開いてみせるハセキョンの表情も、ポイントが高い。何のポイントかは分からないが、とにかくポイントが高いのである。

ところで、このCMはシリーズ化され、現在は新しいバージョンを放送中だ。



「なんて女子力の高い香り……」の様なキラーワードは存在しないが、スカートがめくり上がった時のハセキョンの不敵な表情がやはり高ポイントである。その瞬間、スカートの香りが二階の女性のところまで上っていき、そこにいた外国人女性が「いい香り……」。ああ、やっぱり笑うしかない!

『2700 BEST ALBUM「SINGLES」』

2700 BEST ALBUM 「SINGLES」 [DVD]2700 BEST ALBUM 「SINGLES」 [DVD]
(2012/02/07)
2700

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音楽を取り入れた独特の芸風が注目を集めているコンビ、2700のネタを集結したベストライブDVD『2700 BEST ALBUM「SINGLES」』が先日リリースされた。彼らがこれまでにテレビやライブなどで発表してきたネタが収録されているから、「SINGLES」。なかなかシャレたタイトルである。パッケージも、明らかに某ロックバンドを意識したデザインで、これまたシャレている。自らのネタを楽曲として捉えている彼らならではのこだわりが、こういうところにもきちんと反映されているわけだ。徹底しているなあ。

収録されているネタ……もとい、楽曲は全24曲。彼らの代表作である『つまさきのアイドル』『右ひじ左ひじ交互に見て』『僕はこのダンスをする』は勿論のこと、爆笑レッドカーペットで披露された『ショートコント』、“ロックの祭典”キングオブコント2008で厳しい評価を受けた『ジョニーマーキュリー』、三年後のキングオブコント2011で賛否両論となった『キリンスマッシュorレシーブ』などの楽曲も、しっかりと抑えられている。これが全てなのかどうかは分からないが、少なくとも、僕が知っている2700の楽曲は全て収録されていた。なかなかにとんでもないボリュームである。これ以上詰め込むとアンコが出るね。

それらの中には、かなりディープな楽曲も見受けられる。特に、八十島が思わず「ついてきてる?」「これからどんどん難解になっていくから……宜しく」と客席に呼びかけてからは、まるでアルバム収録曲の様にアーティスティックな楽曲が続いている。それらの中でも強烈なのが、深夜の時間帯にテレビで放送されてしまったというエロティシズムソング『エクスタシー』。その驚くべき内容は、ツネがしゃべる○○○に扮して女性の悩みに答えていくというもの。一見すると、単なる下ネタにしか見えないが、これを実際にやってのけたというところに彼らの天才性が表れている。ただ、この曲のせいで、本作は家族一緒に観ることをオススメできない作品になってしまっている。しかし、それでもこの曲を収録したかったという、彼らの頑なな意思は尊重されるべきだろう。……うん。

ところで、2700のステージを見ていると、なんとなくテツandトモのことを思い出す。一見すると、両者には“音楽を扱っている”という共通点しかないように見えるが、どちらもボーカルとパフォーマンスのユニットで、またリズム重視で歌詞の内容に深みがない(瞬間的に“言葉の意味”を理解できる)点も似ている。「めちゃ×2イケてるッ!」の1コーナー「笑わず嫌い王決定戦」にテツandトモが出演してからおよそ10年、見た目は違えども共通点の少なくないコンビが再び注目を集めているという事実は、なかなか興味深い。歴史は繰り返す……とはよくいったものである。

こういったパフォーマンスに加え、本編には今回のライブに至るまでのドキュメンタリーも収録されている。そこで映し出されているのは、これまでの二人の歴史、ライブに向けて行われたレコーディングやリハーサルなどの風景、そしてテレビやライブでは目にすることの出来ない二人の素顔だ。外国人スタッフとのすれ違いに怒りを隠せない八十島、「本当は漫才をやりたかった……」と想いを告白するツネの姿は、彼らと彼らのサウンドを愛して止まないファンには些かショックが強いかもしれない。しかし、カメラを意識しようとはせずに、ただありのままの姿を見せている二人の姿は、自らのファンに対する確かな信頼を思わせた。……いや、多くのファンは恐らく、「なんだこれ?」って思うだろうけど。中でも、八十島の音楽愛が故の壊れぶりは、なかなかにアレである。

そんな本編だけでも十分に満足できる(なにせ収録時間が146分もある!)のだが、そこへ更に特典映像として2700とBose(スチャダラパー)のスペシャルコラボが収録されている。先のドキュメンタリーとは違い、こちらは完全にガチだ。インタビューでも、Boseは「生半可なカタチでは上手く噛み合わないと思う」「ちょっと挑戦というか、トライだな」とかなり真剣なコメントを残していたが、実際にコラボしている楽曲を聴くと、本当にガチンコで思わず驚いてしまった。緊張のあまり喉がカラカラに乾いてしまっている八十島の姿も含めて、是非とも観てもらいたい映像である。

ちなみに、特典映像にはもう一つ、ツネがやりたかったことを映像化した「ツネのこれがやりたかってん」が収録されている。ここでは、ツネがやりたかったこととして、世にも珍しい2700のしゃべくり漫才が披露されている。しかも、ネタを書いているのは、八十島ではなくツネ当人。楽しそうにツッコミを入れるツネに対し、気恥ずかしそうにボケる八十島の姿は、Boseとのコラボとは違った意味で必見。願いが叶って良かったネ、ツネ。

・関連記事:『右ひじ左ひじ交互に見て』解体新書


・本編(146分)
2700による全24曲パフォーマンス
【曲間VTR】DOCUMENT OF BEST ALBUM “SINGLES”#01~#10
・特典映像(38分)
「~2700×Bose(スチャダラパー)特別対談&スペシャルセッション~『右ひじ左ひじ交互に見て/2700 featuring Bose』」
ツネが追い求めた笑いの形「ツネのこれがやりたかってん」

「オンバト+」二月十一日放送感想文

ななめ45°【429kb/1,877票】※視聴者投票1位
六戦全勝、今期二勝目。コント『CDショップにパンを置く』。……タイトルだけだと意味が分からないな。CDショップの棚を片付けて、実家で売っているパンを勝手に置いた息子と店長と父親のコント……って、いよいよもって意味が分からないな。ななめ45°としては珍しく、特定のフォーマットに則っていない。言動の節々にパンの名称を取り入れたネタで言葉遊びとしての意味合いが強いが、そこにこだわっている様子もなく全体的にまとまりがない。とりあえず人情話として終息するというオチも強引で、これなら普段のコントの様が良かったんじゃないかという気が。

span!【493kb/1,228票】※会場審査1位・視聴者投票3位
三戦全勝、今期三勝目。三戦連続トップ合格と、勢いに乗る。漫才『青春時代にやりたかったこと』。雨の降る中で親友同士が好きな子をかけて決闘する漫才コントから、高校野球の優勝が決まる瞬間を描く漫才コントへ。……二本のネタを一本にする漫才師って、いるよね! 前半はシチュエーションをきちんと応用したボケ、後半はシチュエーションに水を差すスカシボケ、という構成。安定感は素晴らしいが、どうしても頭を過ぎるのはキングコングのことばかり。面白いからいいじゃないかとも思っていたが、流石に不安も少々。

ニッケルバック【417kb/849票】
三戦全勝、今期二勝目。総キロバトル数が低いので今期のチャンピオン大会には手が届かないだろうが、ひとまず安定して結果を残しているということは誇るべきである。……と思っていたのだが、本日まさかのコンビ解散を発表。続報が待たれる。番組で披露する最後のネタは、コント『お医者さんごっこ』。公園で子どもたちがお医者さんごっこをしている姿を見たサラリーマンが、お医者さんごっこをやってみる。ごっこ遊びならではの奔放さがたまらない。その奔放が故の唐突な展開が笑いに繋がっているが、そこに観客を引き込むまでのプロセスが甘い。見せかた次第では、もっと面白くなっていた可能性は否定できないだろう。……勿体無いなあ、ホント。

和牛【421kb/1,074票】
六戦三勝、今期二勝目。漫才『北風と太陽』。子どもの頃に読んでもらった絵本『北風と太陽』をやってみる。有名な童話をモチーフとしているので、そこから如何に脱却するかが笑いのカギになってくる……のだが、全体的にパンチが弱い。つまらないわけではないし、何か面白そうな雰囲気も持っているのだが、あまり印象に残らない。短い時間で見せる漫才に向いていないのかもしれない。ただ、北風が仲間を呼ぶくだりで「湘南乃風」が出てきたのには笑った。和牛だけに、ゆっくりじっくり火が通るのを待つばかり。

Gたかし【365kb/1,313票】※視聴者投票2位
三戦二勝、今期初オンエア。R-1ぐらんぷりファイナリストのモノマネ芸人、Gたかし。その当時から何年か経過しているが、芸風は相変わらずの「モノマネ紙芝居」。猪木を中心に、ムチャクチャな紙芝居を展開する。全てのネタが猪木の打撃オチというバカさ加減がたまらないが、だからこそ低キロバトルなのだろう。以前よりもモノマネのレパートリーが増えていて、なかなか楽しかった。

・今回のオフエア
341kb:ニッチェ
329kb:こぶし
329kb:アイデンティティ
317kb:さらば青春の光
309kb:ラブレターズ

ニッチェ、さらば青春の光、ラブレターズと、賞レースで注目を集めているコンビが軒並みオフエアという結果に。これだから地方収録は恐ろしい。特にニッチェは前回オーバー500を記録、かなり予想外な結果になったといえるだろう。当たれば大きいアイデンティティは、これで二連敗。安定感が欲しい……!

・次回
エレファントジョン
かもめんたる
コンパス
【初】ざしきわらし
【初】シオマリアッチ
タイムマシーン3号
【初】ネルソンズ
ヒデヨシ
ムートン
や団

エレファントジョン・かもめんたる・ムートンが今期三勝目、コンパス・タイムマシーン3号・ヒデヨシ・や団が今期二勝目を狙う。二勝目組は全員、既に次の挑戦が決まっているので、もしかしたら……? 注目は、うしろシティ・さらば青春の光に続くコント師、ムートン。トントン拍子にチャンピオン大会出場、なるか。

『新宿末広亭のネタ帳』(長井好弘)

新宿末広亭のネタ帳新宿末広亭のネタ帳
(2008/07)
長井 好弘

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長井好弘『新宿末広亭のネタ帳』、読了。

著者の長井好弘氏は、読売新聞社に勤めている記者である。プロフィールによると、都民寄席実行委員ならびに浅草芸能大賞専門審査員なども務めているという。2008年に出版された本なので、これらを現在も続けているかどうかは分からない。が、いずれにしても、落語家との距離が近しい人物であることは確かなようだ。羨ましいネ。

本書は、そんな著者が寄席“新宿末広亭”で2001年~2008年の間に演じられた落語を集計し、データとしてまとめあげ、持論を展開したり、それを下地にインタビューしたりしている本である。ちなみに、数ある寄席の中から新宿末広亭が選ばれたのは、「落語協会と落語芸術協会が順番に出演している」「前座のネタからトリの大ネタまでバラエティに富んでいる」「特別興業が少なく通常の寄席興業のスタイルを守っている」という理由による、とのこと。……こういうことを書かれると、他の寄席がどういうスタイルなのかが少し気になるところだが、誰か調べてくれないものか。面倒ですか、そうですか。

落語の評論文は数多く存在しているが、確固たるデータを用いているテキストは非常に少ない。その多くは、筆者の審美眼によって見定められている。だからこそ、こうして確固たるデータを提示している本は貴重……なのだが、肝心の評論がどうも物足りない。そこにあるのは、このネタはこういうネタだから多くの落語家が演じている、このネタはこういうネタだから現在は演じられることが少ない、という著者の自己分析のみである。それがダメとはいわないが、それでは結局、これまでの落語評論とさほど変わらない(『寿限無』を演じる落語家が増えているという話は、なかなか興味深かったが。テレビの影響、恐るべし)。そういう意味では、些か拍子抜けした。

ただ、それらのデータを用いて行った落語家インタビューは、なかなか読みごたえがあった。「どういうネタを多く演じている」「十八番ネタは意外と演じられていない」という話から始まるエピソードの数々は、それを覚えるに至った経緯や工夫の歴史を感じさせてくれた。こういう側面は、落語を聴いているだけではなかなか理解できないからね。

その中でも、印象に残っているのが春風亭一朝師匠の話。

新潮落語倶楽部その5 春風亭一朝新潮落語倶楽部その5 春風亭一朝
(2011/10/19)
春風亭一朝

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一朝の師匠は、かつてあの立川談志をイジメていたという乱暴者で、落語四天王の一人として数えられていた五代目春風亭柳朝。しかし、そんな性格に反して、芸においては遊び心を発揮することもあったという。

 そういえば、ネタ帳にも書けないような、不思議なネタもあったと聞いています。
一朝「そうそう。うちの師匠はね、お客さんがよくて、他の噺家がすでに十分にウケさせているときは、遊ぶんですよ。「潜水艦船徳」なんてやってたなあ」
 なんですか、それ?
一朝「「船徳」の若旦那が、潜水艦で大川を渡るんです。「おい、潜望鏡上げろ」なんて言ってね。あとは「地中海あくび指南」とか、「蔵前トラック」。「オカマの野ざらし」なんてのも、ありましたね。サゲは「お前はどこの侍だ」「水戸藩で」「だからコウモンが懐かしいのか」っていうの」


俄然、興味が湧いてきた。

「なごやか寄席」シリーズ 五代目 春風亭柳朝 粗忽の釘/道具屋「なごやか寄席」シリーズ 五代目 春風亭柳朝 粗忽の釘/道具屋
(2010/02/17)
春風亭柳朝(五代目)

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『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』

モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン [Blu-ray]モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン [Blu-ray]
(2010/05/26)
テリー・ジョーンズ、グレアム・チャップマン 他

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ストーリー:西暦33年のエルサレム。イエス・キリストと同じ日に生まれたユダヤ人の青年ブライアンは、ひょんなことから民衆に救世主だと勘違いされてしまう。必死で否定するブライアンだったが、どんどん信者は増える一方。おまけにローマ帝国にも危険人物のレッテルを貼られ、悲劇と喜劇の入り混じる驚愕のラストにもつれこむ!


キリストを冒涜してるってんで、世界各国で上映禁止となった名作コメディ映画……って話なんだけどね。そんなこといわれたって、宗教関連の話題にはとことん疎い八百万の神を許した我が国日本では、あんまりピンとこないってな感じ。ちょんちょんっての。ンだからさ、コメディ映画として純粋に観ちゃったんだけどさ、全体的に映画って感じじゃないの、これが。テレビでやってるコントみたいな、軽ーいノリでやっちゃって、のっちゃって、楽しんじゃったのよね、ちょんちょん。でも、別にセットが作り物っぽいとか、そういうしょぼちーんな理由で軽いんじゃなくって、やってることがコントっぽいのよね。皆のノリが軽くってさー、なんか本当に「映画やってます!」ってノリじゃないわけ。「面白くって楽しいよー」っていわれてるみたいで、映画として観ようって気持ちが無くなっちゃうってー話なのさ。どうしてこれがキリストの冒涜になっちゃうのか、まったく理解できないのよね、ちょんちょんっての!

……こっからはマジメに書こう。ストーリーは先に書いた通り。これ以上でも、以下でもない。どこにでもいるような青年が、なんやかやがあって救世主だと勘違いされて、最終的にはりつけの刑に処されてしまう。でも、実をいうと、これらのストーリーはさほど意味を持たない。何故ならば、そのストーリーを凌駕してしまうほど、随所にギャグが散りばめられているからだ。むしろ、これらのギャグの使い道を考えた結果、このストーリーが完成したんじゃないかと疑ってしまうくらいギャグが多い。それ故に、ストーリーの重厚感は皆無に等しく、映画としては物凄く軽い。本当に、テレビのコント番組を見ているかのように、気軽に楽しめる。退屈な日曜日の昼間とか、なんとなく寝付けない夜なんかに丁度良いんじゃないだろうか……と、個人的には思う。無論、僕の感性がズレているだけなのかもしれないけれど。

ただ、テレビのコントに比べて、本作で披露されているギャグはかなり辛口だ。例えば、女性になりたいという男の、生物学上は子どもを産むことが出来ないけれども“子どもを産む権利”のために闘うことを宣言するくだりなどは、かなり強烈だ。現実的には有り得ないことの権利を守る……って、どっかで聞いた様な話だな。また、ユダヤ解放戦線の仲間たちが、「ローマ人から奪われたものを取り返すぞ!」と話すくだりでは、「水道もか?」「下水設備もそうだ」「道路の舗装は?」「教育は?」「ワインもあるね」と、どんどんローマ人の功績が話の中に出てきたりする。極端な意見は微細を無視しがちであることを、上手く皮肉っている。こういう人間の裏をかくギャグは、今のテレビコントじゃ出来ないぞ。……やればいいのに。勿論、安直なギャグも存在。塔の上に追い詰められたブライアンが、思わぬ方法で脱出するくだりは大失笑もの!

さて、本編もさることながら、本作は特典映像も凄い。この映画が生まれるまでの行程と、完成後の大反響ぶりを描いたドキュメンタリーが収録されているのだが、これだけで一本の映画が出来るのではないかというくらいに面白い。宗教関連の揉め事といえば、日本でも定期的に話題に上がるけれども、やっぱり本場には敵わない。それらの出来事は、宗教自体ではなく、宗教に対する価値観を笑い飛ばした本作の正しさを証明してしまったといえるだろう。

ちなみに、本作は後にオペラ化された。

モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア [Blu-ray]モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア [Blu-ray]
(2012/01/11)
エリックアイドル、マイケルペイリン 他

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『ノット・ザ・メシア』には、パイソンズの結成40周年を記念して行われたオペラが収録されている。プロのオペラ歌手四人とパイソンズのメンバーであるエリック・アイドルによるステージは、とにかく大迫力の一言。バックには140人のコーラス隊を従えているのだから、当然といえば当然だ。ひょっとしたら、迫力という意味では『ライフ・オブ・ブライアン』よりも凄いかもしれない。そんなとんでもないステージで展開しているのは、先に書いたようなギャグの羅列……そりゃ、笑うしかない。オペラ歌手がその声量で男女の一夜を演じるところなんか、もうサイコーに品が無くていい! ラストにパイソンファンにお馴染みのアレが登場するので、初見での鑑賞はオススメできないけれども……いや、それくらいなら見逃そう! 映画ともども、オススメです。

「落語 昭和の名人 完結編」で気になった落語家さんたち

先日、小学館から発売されている、マガジン「落語 昭和の名人 完結編」の最終号が発売された。実をいうと、僕はこういうCD付マガジンの類いは、あまり信用していなかった。「所詮は付録なんじゃないか……?」という先入観があったからだ。ところが、いざ手を出してみると、これが純粋に面白い。考えてもみれば、いくら昭和に活躍していたとはいえ、かつては名人と呼ばれていた面々の音源である。選者にセンスさえあれば、面白くなるのも当たり前というものだ。

もう一つ、僕がこういうシリーズに対して、少なからず否定的なイメージを抱いていた理由に、“落語という演芸が古典芸能だと勘違いさせるのではないか”という疑念があった。これについては、今もあまり認識を変えていない。書店で大きく「落語 昭和の名人」などと書かれているのを見ると、どうしても「落語=昭和の演芸」というイメージが残ってしまうからだ。ただでさえ、着物姿っていうだけで古臭い演芸だと思われているのに、そこに拍車をかけるようではいけない。ただ、このシリーズを買い続けたことで、自分の視野には収まっていなかった落語家の存在を知ることが出来たのも、また事実。正しいか正しくないか、そう簡単に決められるものではないだろう。良いところもあれば、悪いところもある。それだけだ。

話を戻す。何はともあれ、僕はシリーズ全巻を購入し、その全ての音源を聴くことが出来たわけだが、いくら全員が全員とも昭和の名人だからといって、皆の口演を平等に好きになるということはない。どうしても、そこには僕の好みが反映されてしまう。そこで今回は、僕が個人的にグッときた落語家さんのことを、ここに書き留めておこうと思う。要するに、個人的な覚書である。ただ、現在の演芸をリアルタイムで追っ駆けている僕がグッときたということは、結果として、今のお笑いが好きな人たちにも通用する落語家さんが取り上げられていることになるんじゃないかなあ……と断言するのは、やっぱりおこがましいか。まあ、興味があるなら、見ていって。

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『サンドウィッチマンライブ2011 新宿与太郎完結篇』

サンドウィッチマン ライブ2011~新宿与太郎完結篇~ [DVD]サンドウィッチマン ライブ2011~新宿与太郎完結篇~ [DVD]
(2012/02/03)
サンドウィッチマン

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サンドウィッチマンが2011年に行った単独ライブ『サンドウィッチマンライブ2011 新宿与太郎完結篇』を収録したDVDが、先日リリースされた。

サンドウィッチマンの単独ライブがDVD化されるのは、これで五回目。M-1優勝後から、年に一度のペースでリリースされ続けている。しかし、今回のタイトルには、“完結篇”の三文字が。これは恐らく、単独ライブを止めるわけではなく、これまでライブタイトルに冠し続けてきた“新宿与太郎”の文字を外してしまうことを意味しているのだろう。今回の単独ライブは、東京、札幌、和歌山、大阪、名古屋の五都市で行われており、本作には東京公演の模様が収録されている。

「M-1グランプリ2007優勝」「キングオブコント2009準優勝」などの功績を見ても分かるように、サンドウィッチマンは芸人として高く評価されている。オーソドックスなシチュエーションに真正面から切り込む骨太さを持っていながら、ところどころでマニアックなボケを放り込んでしまう芸人としての欲望を決して抑えようとしない彼らのネタは、まるで遊び心を失っていない素敵な大人の魅力を放っている。だからこそ、こうして長い年月をかけて、彼らのネタは愛され続けているのだろう。こういう大人になりたいもんですな、ホント。ただ、芸人にとっての独壇場といっても過言ではない単独ライブとなると、彼らの芸人としての欲望は通常の何倍にも膨れ上がり、最終的には単なる悪フザケとして終わってしまうことも少なくなかった。また、そういうネタに限って、妙に長いんだ。

そういう意味では、本作のバランスは絶妙。安定感のある漫才でオープニングを飾り、伊達(ツッコミ)が客に回る『結婚相談所』、富澤(ボケ)が客に回る『占い師』、シチュエーション自体がボケになっている『トイレ』、伊達がボケを演じる単独ならではのコント『癒す男』、オーソドックスなシチュエーションコント『紳士服店』、そして最後にまた安定感のある漫才で締め。ライブ全体の構成として、申し分のないバランスである。なにせ、サンドウィッチマンのネタの形式が、全て高いクオリティをもって収められているのだから、文句のつけようがない。近年、彼らの単独ライブは、少しずつ完成形へと近付いている様に思ってはいたが、ここにきて、一つの頂点に辿り着いてしまったといってもいいかもしれない。流石、完結篇。個人的には、『トイレ』が印象に残っている。トイレットペーパーを探して、股間を抑えながら徘徊する二人の姿は、とてつもなくドイヒーで面白かった。

ただ、大声を出してしまうほどに笑ってしまったのは、特典映像として収録されている『サンドウィッチマンのラーメン道』。これは、「芸人なんかやっててもいつか食えなくなるわけですから」という理由で、サンドウィッチマンの二人がラーメン作りに挑戦するVTRなのだが、そうして完成した“ザ・メン(富澤:女性客が増えるといいですね)”を、彼らはこともあろうに佐野実のところへ持って行くのである。佐野実といえば、ラーメン店“支那そばや”の創業者であり、ラーメンの鬼という異名を持つ人物。そんな佐野の元を訪れ、「のれん分けしてもらおうかと……」と冗談半分で迫る二人の姿は、まさに悪フザケの極致。対する佐野はというと、二人の言動に対して激しいゲキ(という名のツッコミ)を飛ばすのだが、その結果、新しいドイヒーな言動を引き出してしまうことに。そこへ更にゲキを飛ばし、更に更にドイヒーな言動を引き出し……絵に描いたような悪循環がそこに繰り広げられていく。あまりのドイヒーぶりにちょっと笑いそうになっている佐野の表情も含めて、是非とも見てもらいたい。ホント、笑えるぞ。

最後に。恐らく、サンドウィッチマンの二人が、最も笑いに変えたかった、笑いに変えざるを得なかっただろうネタを取り上げて、今回のレコメンドを終了したい。はっきりいって、ここで例の一件について触れるのは些か無粋かとも思ったのだが、彼らがこの件をネタにしていたという事実だけは、ここに書き留めておきたかったのである。僕もまた、欲望を止められない人間らしい。サンドウィッチマンの様な骨太さは無いけれどね。

以下のくだりは、最後の漫才『タイムカプセル』で披露された。小学生の頃の富澤が、大人の富澤に送った手紙の内容とは……。

富澤「「毎日、学校では楽しく過ごしていますが、担任の先生はあまり好きではありません」」
伊達「ああ、そうだったの」
富澤「「この間、クラスのお楽しみ会の出し物について話している時、だらだらと聞いていた僕に先生はこういいました」」
伊達「うん」
富澤「「知恵を出さないヤツは助けないぞ」
伊達「おお、何? えっ? えっ? 最近聞いたぞ、お前それ」
富澤「「あと、これはオフレコな」
伊達「最近聞いたわ、俺それ! スゲー聞いた俺!」


花も嵐も、踏み越えろ。


・本編(68分)
「漫才~グルメリポーター~」「結婚相談所」「占い師」「トイレ」「癒す男」「紳士服店」「漫才~タイムカプセル~」

・特典映像(79分)
「サンドウィッチマンのラーメン道 ~前篇~」「サンドウィッチマンのラーメン道 ~後篇~」「ちょう散歩 ~哀川ちょう 板橋・大山へゆく~」「ちょう散歩 ~哀川ちょう 原宿へゆく~」「ラジオ」「伊達どっきり」「ライブツアーSPECIALメイキング」

「オンバト+」二月四日放送感想文

GAG少年楽団【521kb/1,424票】※会場審査1位・視聴者投票1位
六戦全勝。コント『修学旅行の夜』。同じ部屋で寝ることになった三人が、それぞれのクセのキツさでまったく眠れない……。寝ている時の自分が何をしているのかは分からない、という共感の持てるシチュエーションがとにかく上手い。巨大なイビキ、過剰な寝返りときて、内容を膨らませることの出来る寝言で落とす構成も絶妙。それよりなにより、スッキリとしたオチが秀逸。ボリュームという意味ではやや控えめな内容だったが、非常に面白かった。もっと膨らませそうだなあ。

井下好井【513kb/1,237票】※視聴者投票2位
三戦全勝。初挑戦から高いキロバトルを叩き出し続けている彼ら。今期のチャンピオン候補筆頭か。今回も漫才で『お葬式をプロデュース』。ちょっと緊張感のあるシチュエーションを、ブラックジョークで染めていく一本。比較的オーソドックスなテーマだが、坊主が葬式のフォーメーションを決めていく流れは斬新で面白かった。前半のベタで客の心を浮かんでいたこともあって、ここでグイッと一気に引きこんだ印象。ここに絶対の自信があったんだろうな。

アルコ&ピース【369kb/1,069票】※視聴者投票3位
七戦六勝。コント『桃太郎の練習』。前回、漫才で挑むも、まさかのオフエアとなってしまったアルコ&ピース。今回はそのリベンジ戦だったのだが……まさか、こんなにもギリギリの結果になろうとは。今回のネタは、平子のデンジャラスな演技が、実は小学生の劇の練習というギャップを発端としたコント。熱量の高い平子に対し、冷静で的確な酒井のツッコミがなかなかのバランス感で良い。大きく外したところもなく、面白かったのだが……この結果。会場の広さに対して、動きが少なくこじんまりとしていたことが、マイナスに働いたのかもしれない。

フリータイム【425kb/887票】
初出場初オンエア。恐らく、広島吉本に所属している芸人では、初めてのオンエアなんじゃないかと。ネタは、寝坊の話から始まる『目覚まし時計』の漫才。吉本所属とは思えない雑な入りがたまらなかったが、ネタに入ってからは、ベタなりに面白かった。……なので、構わないといえば構わないのだが。それにしても、センスが古かった。どうして今、「トリビアの泉」なのか。どうして今、「学園天国」なのか。笑えたけれども、気になった。あと、どうしてあのタイミングで、広島カープのネタを……。ただ、地元以外で初オンエアを獲得したという結果は、誇るべきだろう。今後の活躍に期待がかかる。

うしろシティ【341kb/1,023票】
四戦全勝。コント『居酒屋の注文』。居酒屋での待ち合わせに遅れてきた金子が謝らなかったので、待たされた阿諏訪が金子を放置して注文を始める……。ネタ自体はなかなか面白かったのだが、阿諏訪が幾つもの料理を注文していくことによって生じる微妙な空気を浸透させるには、会場がちょっと広すぎたのではないかと。それから、阿諏訪が倒れたところで、本当に心配してしまった人が多かったんじゃないかなあ、とも(ウケが少なかったので)。一度、観客を世界観に誘いこめないと取り返しのつかないネタなので、それが少し悪い方向に転がってしまったか。

・今回のオフエア
329kb:鬼ヶ島
317kb:あばれる君
269kb:知念
261kb:ぽ~くちょっぷ
169kb:勝又

キングオブコントファイナリスト、鬼ヶ島の連勝がここでストップ。とはいえ、キロバトルは極端に落ちていないので、次回取り返す可能性も。前回初オンエアのぽ~くちょっぷ、連勝ならず。サンミュージックを背負って、立てるか。既に五度のオンエア経験のある勝又、今期はなかなか波に乗れず。これで二度目の100kb台……。次だ、次。

・次回
アイデンティティ
こぶし
さらば青春の光
Gたかし
span!
ななめ45°
ニッケルバック
ニッチェ
ラブレターズ
和牛

span!が今期三勝目狙い、アイデンティティ・さらば青春の光・ななめ45°・ニッケルバック・ニッチェ・ラブレターズ・和牛が今期二勝目狙い。なんだか妙に二勝目狙いが固まっている回。恐らく、チャンピオン大会を目指しているのだろうが、なにやら立て続けに来たな。注目は前回オーバー500を記録した女性コンビ、ニッチェ。「オンバト+」史上初となる女性芸人の決勝進出となるか。

東京03第十三回単独公演「図星中の図星」(岡山公演)

東京03第十三回単独公演「図星中の図星」を観に行ってきた。

第十回単独公演『自分、自分、自分。』以降、東京03のコントは高い水準を維持し続けている。日常の中に生じた認識のズレを掘り下げて笑いへと昇華するシステムは、もはや事務所の先輩でもあるアンジャッシュのコントと引けを取らない程に完成されている。それにも関わらず、常に新鮮な笑いを提供してくれるのだから、実に恐ろしい。とはいえ、今回は『自分、自分、自分。』から四度目となる単独公演。流石に勢いも落ちてきたのではないか、という不安もあった。

しかし、いざ本番が始まると、これがもう面白いのなんの! まだまだ地方公演は続く予定なので、細かいことは書けないが、とにかく笑った! もう、これでもかというほどに、大笑いした! コントはいうまでもなく、幕間映像も物凄く面白かった! アドリブも多くて、飯塚さんが豊本さんに攻撃を加えるくだりでは、本当に負傷しそうに。あまりのアドリブぶりに、エンディングトークでは「やり過ぎた」と反省していたほど。それらのドタバタぶりがDVDではどのようになっているのか、なんとも気になる。オークラが手掛けている最後のロングコントも面白くて(※オークラは、03の公演なのに、ちょくちょく台本で第三のバナナマンをアピールするので)、本当に“大”を三つばかりつけたいくらいに満足のいく公演だった。

帰宅後、会場で販売されていたパンフレット(1,800円とお高いが、ライブのためだけに作られていることを考えると妥当かも)を確認すると、今回の公演で披露されたコントの多くは、実体験に基づいているとのこと。そもそも、彼らのコントにはそういう傾向が強く見られたが、あえて飯塚さんが「ドキュメンタリーなネタが多いです」と口にしているくらいだから、余程のことなんだろう。だからこそ、リアルで共感の得られるシチュエーションのコントが演じられるのだろうが……並々ならぬ苦労を感じずにはいられない。

ただ、今回の公演で最も印象に残っているのは、最後に流れたエンディングテーマだった。東京03の単独公演では、角田さんの歌うオープニングテーマとエンディングテーマを流すことがお馴染みとなっているのだが(※今回のオープニングテーマは、ゲストに某女性歌手が!)、今回のエンディングテーマはやたらと沁みた。これもやはり公演中なので、歌詞を書き起こすことは出来ないが、人間なら誰もが持っている虚栄心を情けなくも無様に肯定している様が、むしろ実直で力強く感じられた。開き直り、恐るべし。

公演終了後は、ロビーにてグッズ購入者との握手会。パンフレットと公演CDを購入した僕も、その列に並んだ。しばらく待っていると、ライブ終了後で疲れきっているだろう東京03の三人がやってくる。豊本さん、飯塚さん、角田さんの順番に握手を交わす。飯塚さんと握手をした際に、「ウレロ(☆未確認少女)のDVD-BOX、予約しました!」というと、笑顔で「あー、マジですか!」「ともども、宜しくお願いします」といわれた。今、まさにコントの最前線にいる東京03、そしてバカリズム、あと劇団ひとりが出演している『ウレロ☆未確認少女 DVD-BOX』、親を質に入れても買うべきである!(って、最終的にウレロの宣伝かいな!)

追記。せっかく地方公演をしているのだから、DVDには地方ならではのバックステージショットも特典映像として収録してもらいたいなあ、ということを『サンドウィッチマン単独ライブ2011』DVDを観て、少し思った。そういう、ネタ以外の側面も見られるような映像を残してくれたら、ファンとしてはけっこう嬉しいんだけれども。パンフによると、前回のツアーはめちゃくちゃ楽しかったらしい。その、楽しんでいる様を、ファンは求めているんだよ! コントとは別に!

『爆笑問題のツーショット ~2011年総決算~』

2012年度版 漫才 爆笑問題のツーショット~2011年総決算~ [DVD]2012年度版 漫才 爆笑問題のツーショット~2011年総決算~ [DVD]
(2012/01/25)
爆笑問題

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爆笑問題の漫才を収めたDVDシリーズ“爆笑問題のツーショット”最新作が、今年も発売された。2006年から発売を開始した同シリーズも、今回でとうとう8枚目。恐らく、太田と田中のどちらかが亡くなるとか、或いは、サザンと佐野元春の取り合いでケンカしてコンビ解散でもしない限り、延々と発売され続けることだろう。ロボット工学が発達していれば、未来世紀でも二人の漫才が観られたりしてね。いや、僕は死んでるけど。……一番可能性が高いのは、レーベルの解散なんだけどね。コンテンツリーグには、どうにか頑張ってもらいたいよ、ホント。

2011年の話題を総括している、今回の“爆笑問題のツーショット”。パッケージには、同年話題となった芦田愛菜と鈴木福の“マルモリコンビ”に扮した、爆笑問題の姿が掲載されている。40半ばでなんつー格好だよ、まったく。芦田愛菜の格好をしているのが田中で、鈴木福の格好をしているのが太田だ。初めてコレを見たときは、ただただ女装をしている田中の姿にニヤついたが、今では、満面の笑顔でこちらを見ている太田の姿がたまらなく面白い。撮影現場では「もっと福くんみたいに、笑って!」と指示されたんだろーなー、とか考えると更に面白くなってくる。毎回、このシリーズでは、二人がその一年の話題になった人たちに扮装した姿をパッケージにすることが定番となっている。確か、2010年版のパッケージでは、二人はチリの鉱山落盤事故の生還者に扮していた。そういえば、その時も田中は女装をしていたような……嫌な予感がしてきたね、どうも。

パッケージはそんなフザケたことになっているけれども、収録されている漫才は極めてマジメ。2011年の色んな時事ネタを、太田のナンセンスな発想で、次から次へとバカバカしくて下らない笑いへと昇華している。誹謗中傷に逃げやしない、たまに暴言吐くけれど。聞いたところによると、爆笑問題は多数のレギュラー番組を抱えている現在でも、自社ライブ“タイタンライブ”に欠かさず出演、必ず新ネタを下ろしているという。漫才師としての了見を見失っていない二人のネタは、特別でもなんでもない、現役バリバリの空気を発散し続けている。カッコイイね。

ところで、本作を観るにあたって、ちょっと気になっていたことがあった。それは、太田光が敬愛していた立川談志の死を、漫才でどのように扱うのかということ。時事ネタを得意とする彼らにとって、談志の死は決して避けることの出来ない重大事件。それを果たして、彼らはどのタイミングで、またどのようにして、ネタに昇華するのか。そんなことを意識しながら本編を再生してみると、なんと開始二分と経たないうちにブッ込んできた。

太田「今年はもう、激動ですよ」
田中「本当そうですよ」
太田「ラディンで、カダフィで、金正日で、談志でしょ?」
田中「そこに並べんな!なんでその並びに入れちゃったんだよ、あの人をよ!」


ネットでも散々言われていたことだけれど、太田がいうと味わい深いネ。考えてみたら、冒頭からいきなり談志の死について触れたのは、観客が少なからずそのことを意識していると配慮したからなのかもしれない。それほどまでに、談志と太田の距離は近かった。なにせ、談志は太田のことを“隠し子”と呼ぶ程に認めていたし、一方の太田も、談志の凄さを知らしめるために師匠の落語を収めたオリジナルDVDを手掛けたほど、彼を敬愛していた。全員ではないだろうが、何人かの観客たちは、太田が談志の死についてどう触れるのか、緊張の面持ちで見つめていたのだろうか。その意味で、こうして冒頭から、談志の死をネタにしてくれたことは、観ている側としては非常に有難かったことだろう。少なくとも、僕はなんだか安心した。

その後も漫才は、時事ネタを絡めたギャグを連発させながら進行していく。金正成はマックユーザーだったらしい、だからジョブズを神と崇めていた……ラディンを最近見なかった、この前「あの人は今」に出ていた……AKB48が世界に進出、モンゴル800とか……。数々の時事を、毒や皮肉で安直に批判することなく、自らのセンスだけで昇華していく様が、とっても心地いい。二人もリラックスしているようで、ちょっと珍しいアドリブを見せたり。

(清武の乱について)
田中「(略)直前で、ナベツネさんが引っ繰り返しちゃった」
太田「ハゲの一声っつってね」
田中「鶴の一声! ハゲの一声って、お前やめろよ、俺らは微妙な立場でハゲの一声とか怒られんだから!」
太田「(笑)微妙な立場って……ちゃんと説明してくれる? 別のことを想像する人がいるから。CMやってるからだよね」
田中「そう、CMやってるからだね。お医者さんに相談してください」
太田「お医者さんに♪」
二人「「(振り付きで)相談だ♪」」
太田「……古い漫才みたいになっちゃった(笑) これは別にやる予定じゃ無かった!」


微笑ましいね、どうも。

マルモリ、AKB48、家政婦のミタ、なでしこJAPAN、島田紳助引退、自転車事故……こうして振り返ってみると、2011年も色々なことがあったなあ。来年は、もっと平和で穏やかな一年になればいいなあ……って、その来年はもう既に今年で、しかも一ヶ月過ぎちゃってるんだけどね。なんだかマヌケだなあ。まあ、来年……じゃねえや、今年もどうなるか分からないけれどね。どんなに辛い一年だったとしてもさ、爆笑問題がちゃーんと漫才にしてくれるって考えたら、どうにか乗り切ってみようって気持ちになるんじゃないかな、うん。

ちなみに、本作の特典映像には、爆笑問題と映画監督の犬童一心による対談が収録されている。お察しの通り、「爆問学問」みたいな雰囲気になってるぞ。でも、話の内容は、多くの爆笑問題ファンが気にかけている「太田は本当に映画を撮影するつもりなのか?」という疑問(疑惑?)についてのもので、かなーり興味深い。他の映画監督の話なんかも飛び出して……北野武・竹中直人・三谷幸喜はともかく、松本人志の話も出してくるとはね。こういう話に盛り上がっちゃう、三流週刊誌の様な私。最後の最後に反省。猿っ。


・本編(68分)
・特典映像(47分)
「爆笑問題×犬童一心 対談」「山中秀樹のニュースコーナー」
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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