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「落語 昭和の名人 決定版 古今亭志ん朝・壱」

CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(1) 古今亭志ん朝(壱)CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(1) 古今亭志ん朝(壱)
(2009/01/06)
不明

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先日、Twitterで驚くべき話を耳にした……もとい、目にした。なんでも、2009年1月から2010年1月にかけて出版されていたCD付マガジンシリーズ“落語 昭和の名人 決定版”の在庫が、なんと2012年現在も残っているのだという。「四~五年前の本がもう手に入らない!」などといわれている時代に、本当にそのようなことがあるのだろうか。すぐさま出版社の公式サイトを覗いてみると……事実であった。それも、幾つかの不人気な巻だけが残っているのではなく、全巻の在庫が残っている。発売当時は各書店に出回っている印象のあった同シリーズだが、そのイメージとは裏腹に、さほど売れていなかったということだろうか。

さて。世間的にはどうでもいいことかもしれないが、“落語 昭和の名人 決定版”出版当時はまだ落語に興味が無かったが故に、同シリーズを無視していた私にとって、これは朗報である。はっきりいって“落語 昭和の名人 決定版”は、その値段が極めて安い。現在、昭和の名人の音源を収録した落語CDの中で最も安いのはビクター落語シリーズであると考えられるが、それでも1,575円はする。しかし、このシリーズの値段は、解説ブックレットもついて(むしろこちらが主役なのか?)、なんと1,190円。ほんの400円程度の違いだが、「三枚買ったら、もう一枚ついてくる!」くらいの値段であると考えれば……かなり安く感じられるのではないだろうか。これに手をつけない手はないのである。

……と、ここまで書いてみたものの。賢明な読者の中には覚えておられる人もいるだろう、私がこのシリーズに対して批判的であったことを。今現在、落語は大衆芸能としての魅力を、大衆に向かって訴えかけている段階にある。「落語なんて古臭い」「落語は難しい」「落語はお年寄りが聴くもの」という固定概念を払拭するために、奮闘している。その流れに対して、この“落語 昭和の名人”シリーズは、「落語は昭和の芸能である」という間違った概念を世間に印象付けてしまうのではないかと、当時の私は考えていたのである。そして、その考えは今もさほど変わっていない。変わっていない……が、それはそれ、これはこれ、である。落語全体のことを考えると考慮されるべき点は見受けられるかもしれないが、私個人としては遠慮無く楽しませてもらおうと、そういう……なんだか、店に来て風俗嬢に説教するオヤジみたいになってきたな。まあいいや。とにかく在庫があるのだから、集めるのである。このまま捨てられるのは勿体無い。

その記念すべき第一弾は、古今亭志ん朝である。五代目古今亭志ん生の次男、十代目金原亭馬生の弟として知られている志ん朝師匠の落語は、とにかく素晴らしいの一言。癖が無く、口当たりがいいため、さほど落語に詳しくなくてもするりと喉を通ってくれる嬉しさ。なのに、味に深みがあり、ほんの少し咀嚼しただけで、落語本来のなんともいえない旨味が舌の中へ溶け込んでくる。初心者から通まで唸る名人芸とは、まさしく志ん朝師匠の様な落語家のことを指すのだろう……って、なんだか褒めすぎな気がしてきたが。しかし、実際にそれだけの深みがあるのだから、仕方がない。

本作に収録されているのは、『夢金』『品川心中』。『夢金』は、貪欲な船頭の熊蔵が請け負った客に人殺しの加担を頼まれる話で、いわゆる古典落語に対する概念を払拭させるに十分なサスペンス(?)だ。そのストーリー展開もさることながら、情景描写の美しさにも耳を傾けてもらいたい。一方の『品川心中』は、品川のある店で一番の売れっ子だった遊女のお染が、寄る年波には勝てず景気が悪くなって周りからバカにされるようになり、これといって見どころのない本屋の金蔵を誘って心中しようと試みる……という話。男女の悲恋として描かれがちな“心中”をテーマにしているにもかかわらず、この話は徹底的にドライだ。金蔵を「見どころがないから」と心中の相手に選んだお染もさることながら、この金蔵も、死ぬということに対してリアリティを持てないためか、どこかスッとぼけている。死を描いているにも関わらず、決して湿っぽくならない。だからこそ、『品川心中』は時代を超えて名作として語り継がれているのだろう。『夢金』と『品川心中』、どちらも冬を舞台とした落語だ。これからの時期に聴くにはそぐわないかもしれないが、あえて夏に聴くことで、冬の情景を思い描くのも悪くないのではないだろうか。


・収録音源
『夢金』(昭和52年12月3日・三百人劇場/33分52秒)
『品川心中』(昭和54年11月12日・毎日ホール/31分8秒)
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『噺家のはなし』(広瀬和生)

噺家のはなし噺家のはなし
(2012/05/16)
広瀬和生

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落語は大衆芸能である、と言われている。

実際に落語を日常的に聴いている人間ならば、「うんうん、そうだよね」と思うことの出来るこの意見だが、落語にさほど興味の無い人間にしてみれば「は? 何言ってんの?」といったところだろう。確かに、落語には大衆芸能としての魅力がある。落語といえばコメディとしてのイメージが強いが、それは単なる決め付けで、時にラブロマンス、時にホラーとしての側面を見せる芸能なのである。それはいわば、映画に似ている。でも、落語にそれだけの魅力があることを、肝心の大衆が知らない。だから、どんなに「落語は大衆芸能である」と公言しても、大衆には伝わらない。それは所詮「中の意見」として処理されてしまうからだ。今、落語界に求められているのは、恐らく“大衆と落語を繋ぐパイプ役”なのだろう。

本書は、大衆と落語を繋ぎ合せるパイプとして注目を集めている音楽評論家、広瀬和生による落語家のガイド本である。広瀬氏は近年、落語系ライターとしても活動しており、現在に至るまで本書を含む六冊の関連書籍を出版している。その傾向には些かの偏りが見られるものの、エンタメという側面からは少なからず信用出来る内容にはなっているように見受けられる。少なくとも、基本は抑えている。文章も、落語家の魅力を端的に分かりやすく解説しており、「落語なんて同じネタを使い回してるだけでしょ?」などと吐き捨てようものなら、一刀両断されること間違いなし。ただ、あくまでも落語についてあまり詳しくない人を対象としたガイド本だからなのか、かなりキャッチーな落語家が中心に取り上げられている印象が強い(それでも、昔昔亭桃太郎や桂平治など、メディアで取り上げられがちな落語家が抜けているのは気になったが)。これを踏み台に、更なるディープな世界へ……ということなんだろう。多分。

個人的にグッときたのは、立川談笑師匠についての記述。談笑師匠は、古典落語を現代風にアレンジする“改作落語”で知られている落語家だ。広瀬氏は、談笑師匠がどうして改作落語を生み出し続けるのか、その理由について次の様に思考する。

 もともと落語は「古典」などではなかった。そこに描かれる日常はかつての観客の日常であり、吉原も現実に存在した。落語は同時代人が共感する「身近なネタ」満載の大衆芸能として発展してきた。
 時代が変われば観客も変わる。生活様式も価値観も変化した現代において、設定自体に観客が共感できなくなった古典も少なくない。
「ならば設定を変えればいい」と談笑は考える。談笑にとって古典改作とは、現代人相手に落語を演る上での「論理的帰結」なのである。

第二十二席【「大胆な改作」立川談笑】より


ちなみに、本書のイラストは南伸坊が担当。読みやすい文章に親しみやすいイラスト、退屈凌ぎにのほほんと楽しめる一冊でもある。これを片手に寄席やホール、或いは落語のCDを買いに行くのはどうだろか。

『マキタスポーツ単独ライブ オトネタ』

マキタスポーツ単独ライブ オトネタ [DVD]マキタスポーツ単独ライブ オトネタ [DVD]
(2012/05/23)
マキタスポーツ

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ピン芸人には、おおまかに見て二つのタイプが存在する。ボケ型、そしてツッコミ型だ。ボケ型とは、自身がボケを演じて、それを観客に処理させるタイプを示す。例えば、ダンディ坂野や鳥居みゆき、バカリズムなどは典型的なボケ型である。一方、ツッコミ型とは、なにかしらかの事物に対してツッコミを入れることにより、観客にそのものの可笑しさを認識させるタイプを示す。このタイプには漫談芸が多く、例えば、スマイリーキクチやユリオカ超特Q、長井秀和などが当てはまる。そして、マキタスポーツもまた、ツッコミ型のピン芸人といえるだろう。

マキタスポーツの芸風は、既存の音楽に対してツッコミを入れるものだ。……といっても、人生幸朗・生恵幸子よろしく、歌詞の内容を「責任者出てこい!」とボヤくわけではない。マキタは既存の有名曲を徹底的に咀嚼し、その特徴を栄養として消化、オリジナルの新曲として排出する。その新曲こそ、有名曲に対するツッコミとなるのだ。何故ならば、それらの新曲は、有名ミュージシャンの音楽が持つ特徴を大いに反映しているため、リスナーが漠然としか感じていない傾向を可視化するためである。いわば、人生幸朗・生恵幸子はある側面が持つ違和感にのみツッコミを入れていたのに対し、マキタスポーツはその表面だけではなく内面までもえぐっているのだ。本作『マキタスポーツ単独ライブ「オトネタ」』は、そんなマキタの濃密なツッコミ芸が堪能できる作品だ。

ビジュアル系ミュージシャン風の楽曲を創作した『お母さん』を始めとして、某有名女性ミュージシャンの世界を再構築した『オノマトペ』、まったく心に響かない歌詞とメロディの薄っぺらさが衝撃的な『オーシャンブルーの風のコバルトブルー』など、既存の音楽に対するツッコミの目白押し。一部で高い反響を呼んだという『十年目のプロポーズ』も収録されており、まさにマキタスポーツの世界が詰め込まれた一品といえるだろう。

ただ、純粋なお笑いとしては、些かの物足りなさも覚えた。マキタの既存楽曲に対するツッコミは実に的を射ているのだが、的を射ているが故に、笑うよりも先に感心してしまうためだ。マキタと類似した芸風の芸人に清水ミチコがいる。彼女もまた、既存楽曲を解体し、その傾向を可視化することで、笑いへと繋げている。ただ、清水はそこに遊びの要素を挿入することで、ネタに隙を作っている。マキタには、それが無い。放送作家として知られる高田文夫は、マキタのことを「上手過ぎて売れない」と評したというが、恐らくはそういうことなのだろう。だが現在、マキタは“音楽コラムニスト”として、少なからず注目を集め始めている。長く売れない時代を過ごしてきたマキタにとっては、有難さと同時に不本意な思いもあるだろう。マキタが“音楽コラムニスト”ではなく“芸人”として売れる日は、いつか訪れるのだろうか……?


・本編(67分)
「オープニング」「ヒット曲の法則 その1」「作詞作曲ものまね講座」「お母さん」「オノマトペ」「スパッツ」「若大将のハミングソング」「ヒット曲の法則 その2」「オトネタベストヒットショー」「フロバの純真」「みそ汁(独唱)」「オーシャンブルーの風のコバルトブルー」「ヒット曲の法則 その3」「ヒット曲の法則 その4」「十年目のプロポーズ」「歌うまい歌」「エンディング」

・特典映像(5分)
「十年目のプロポーズ(PV)」

※あわせてネタCD『オトネタ』もヨロシク。

KOSC(キングオブショートコント)殿堂入り、江戸むらさき

爆笑オンエアバトル 江戸むらさき [DVD]爆笑オンエアバトル 江戸むらさき [DVD]
(2005/02/16)
江戸むらさき

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江戸むらさきのショートコントにハマっていた時期があった。「どうして?」と聞かれても、答えようがない。とにかく、江戸むらさきのことが、妙に愛しくてたまらない時期があったのである。江戸むらさきはショートコントを得意とするコンビだ。“ショートコントの帝王”と呼ばれていた。実際、それだけの実力はあったと思う。小道具は殆ど使わずに、己の肉体のみを使って、次から次へと四コマ的なコントを披露していく姿は、まさに笑いの千本ノック。でも、早口で演っていた記憶はない。むしろ、一本一本のネタを、とても丁寧に演じていた。たまに、極端に短いネタを放り込むことがあったので、ズバズバッと立て続けに披露されている印象が残っただけなのかもしれない。例えば、『取り調べ』というタイトルの後に、ポケットから鳥の模型を取り出して観察して終わり……とか(小道具使ってんじゃん、というツッコミはスルー)。また、短いツッコミでスパッと終わらせられる切れ味の良さも、素晴らしいものがあった。

江戸むらさきのショートコントは、彼らの先輩にあたる底ぬけAIR-LINEと坂道コロンブスのショートコントを参考にしている、と聞いたことがある。どちらも当時、ショートコント職人として人気を博したコンビである(坂道コロンブスとは「爆笑オンエアバトル」スペシャル放送にて共演)。その後、底ぬけも坂コロも解散してしまい、ショートコントというジャンルはすっかり江戸むらさきの独占状態になってしまった。ただ、ショートコント自体が潰えたわけではない。既存のショートコントとは一線を画したオチが衝撃的だったアンガールズや、リズミカルにシチュエーションを演じて最後にオチを口にする構成が面白い『おかしな話』で人気を博したイシバシハザマ、じっくりと狂気的世界を構築した静のモジモジハンター・動のさくらんぼブービーなど、個性的なショートコント師はきちんと存在していた。しかし、江戸むらさきの様に、四コマ的にオーソドックスな面白さを持ったショートコントを演じるようなコンビが現れることはなかったように思う。

あれから十年近く。ショートコントを演じるコンビは随分と少なくなった。状況も大きく変化した。アンガールズはタレントとしての地位を確立、田中はキモ芸人として多くの人たちにイジり倒されている。イシバシハザマは相変わらずショートコントを作り続けているようだが、あまり注目されていない。モジモジハンターとさくらんぼブービーはどちらも解散。そして、江戸むらさきは……漫才をやっていた。あれは忘れもしない、ショートネタブームの火付け役「爆笑レッドカーペット」でのことだ。江戸むらさきが出演すると聞いた私は、わくわくしながらテレビの前で彼らの登場を待ち続けていた。時は、お笑いブームが二周目に突入した、ショートネタブーム全盛期。以前からショートコントを演じ続けてきた彼らにしてみれば、オレたちの時代が到来っといったところだろう。しかし、そこに映し出されたのは、センターマイクを挟んで、そんじょそこらの漫才師がやりそうな漫才を演じている江戸むらさきの惨憺たる姿であった。私は泣いた。心の中で泣いた。「おいおい、俺が愛したショートコントの帝王が、なんでこんなことをやってるんだ!」と、私は叫んだ。心の中で叫んだ。

あの日、どうして江戸むらさきが漫才を演っていたのか、その理由は今も分かっていない。ただ、ショートコントの帝王を自負していた彼らである。そう簡単に、自らのスタイルを捨てようという結論に至るわけがない。ショートコント師としての限界を感じたのか、それともオーディションで合格しなかったのか。いずれにせよ、その日の彼らはショートコントを捨てたのである。そして以後、番組で彼らの姿を見ることはほぼなかった。もしもあの日、彼らが漫才ではなくショートコントを披露していたら、まったく違った結果になっていたかもしれない。そう思うと、悔やまれる。今、江戸むらさきの姿を、テレビで見ることは殆どない。だから、今の彼らがどういう芸を演じ、笑いを取っているのかを私は知らない。ただ、ショートコントを演じていてくれたら、ちょっと嬉しい。そう思いながら、私は今日も床にスーパーボールを叩きつけるのである。

2012年6月のリリース予定

01『横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN
06『宮川大輔×ケンドーコバヤシ あんぎゃー ~大分で勝手気まま旅~
20『たい平落語 青菜/船徳
20『第13回東京03単独公演「図星中の図星」
20『キングコング西野亮廣・NON STYLE石田明 「ナイスなやつら ~未来はイイトコロ~」
27『バカリズム案5

※30日リリース予定だった『THE GEESE Poetry Vacation』は7月13日に変更になりました。

梅雨のジメジメに負けないようにと願いを込めて……いたのかどうかは分からないが、4月・5月の少なさが嘘のようなリリースラッシュを迎える6月。高濃度下ネタで人気を博す横須賀歌麻呂に始まり、いよいよ成熟の域に達しつつある東京03の2011年ライブ、天才型漫才師の二人によるユニットライブ、孤高のピン芸人による発想の大発表会、そしてポスト・シティボーイズによる最新単独ライブ……密度が高すぎて、もう何がなんだか分からない。これらに加えて、『人志松本のすべらない話 聖夜スペシャル』が23日、『きらきらアフロ 完全版 2001-2011』(10年分の総決算!)・『パワー☆プリン DVD vol.1』(2700、ジャングルポケット、パンサーらが出演する若手コント番組)が27日にリリースされる予定。テレビ系も密度が高い!

この他のリリースについてはこちらをご参考

「オンバト+」五月十九日放送感想文

あきげん(481kb/1,461票)※会場審査1位
四戦一勝、今期初オンエア。「爆笑オンエアバトル」時代はオフエアの常連で、それは番組名が変わってからも同様だった彼ら。しかし、ここにきて、まさかのトップ通過。しかも、これは単なるラッキーパンチではない。それまでとは違った新しいスタイルによる、意図的に放ったストレートだ。その新しいスタイルとは、漫才中にボケ役の秋山が相方・石井のツッコミを絶賛する、というもの。彼らは、この新しいスタイルを、『カーナビ』というありきたりなシチュエーションに乗っけることで、より印象的な漫才を作り上げた。ここにきて、あきげん大爆発の予感。ただ、このインパクトを次にも継続させられるのかが、些か心配ではある。

スパイク(405kb/1,476票)※視聴者投票3位
二戦全勝、今期初オンエア。「オンバト+」史上、初めてオンエアされた女性コンビである。しかも、その時のキロバトルは、485kb(1位)と高記録。これでは、どうしたって期待が高まるというものだが……今回の結果はちょぼちょぼ。期待が高まり過ぎたのか、それとも客との相性が悪かったのか。今回のネタは、『上京』に関する二つのシチュエーションを演じる、というもの。ネタの内容は歪で洗練されていないが、それをキャラクターで補填したような印象。どことなくクドいツッコミは、古き良き時代の北陽を彷彿とさせる。まあ、なににしても、これからのコンビである。

パップコーン(461kb/2,700票)※視聴者投票1位
初出場初オンエア。「オンバト+」には初出場だが、「爆笑オンエアバトル」ではチャンピオン大会にも出場している彼ら。しかし、当時からメンバーが一人減ってしまったため、色々と不具合が生じているのではないかと思ったが、今回のネタを観て、それは杞憂であることが分かった。まあ、とにかく、面白い。その内容は、課長宛の荷物を受け取るために、課長のハンコを巡って課長補佐・副課長・課長代理による醜い争いが勃発するコント……って、書きながら意味が分からないよ! ナンセンスなシチュエーションに緻密な構成、そこにコマメで的確なツッコミが気持ち良くハマる! 視聴者投票1位も納得のクオリティであった。

スタンバイ(361kb/1,380票)
初出場初オンエア。パップコーンは「爆笑オンエアバトル」時代からメンバーが一人減ってしまったが、こちらはメンバーを一人増やして初オンエアを獲得。紆余曲折があるね。まだまだ珍しいトリオ漫才というスタイルに期待を寄せていたが、その内容はなんと『刑事』シチュエーションに早口言葉を混ぜるだけ。これはインパクトを狙って、あえてそういうネタを選んだのかな……と思いながら、コンビ時代に披露してオフエアだったという二本のネタの詳細を見てみると、なんと、どちらも早口言葉ネタだったらしい。まっ、まったく進歩していない……!

かもめんたる(473kb/1,782票)※視聴者投票2位
九戦七勝、今期初オンエア。一風変わったシチュエーションのコントを得意としている彼ら。それ故かネタの当たり外れも大きい様で、調子の良いときと悪いときとでは随分と結果に差があるようだ。今回は当たりの方。コンクールに応募するために生徒に書かせた作文の粗を、担任の教師が追求していくコント。生徒を意地悪く追及する岩崎、そしてあまりに追求されて豹変する生徒の槇尾、それぞれの演技力が圧倒的だ。が、やはり台本の素晴らしさには触れておかなくてはならないだろう。「お疲れ」というコント的なフレーズを、緊張感の漂う終盤のシチュエーションで復活させ、緩和剤に用いたのには驚いた。もし、「お疲れ」が無かったら、かなりしんどい空気で終わっていたのではないだろうか。

・今回のオフエア組
349kb:アルコ&ピース
313kb:寅人
309kb:シンクロック
257kb:うしろシティ
201kb:巨匠

今回はなんといってもアルコ&ピースとうしろシティのオフエアが強烈。特にうしろシティは、無傷の連勝が続いていただけに悔しい結果となった。なお、アルコ&ピースのオフエアは、いずれも漫才ネタだったそうな。……番組との相性が良くないのだろうか。仮にも「THE MANZAI 2011」ファイナリストなのになあ……。格闘系女性ピン芸人の寅人はおよそ半年ぶりの挑戦だったが、勝てず。もうちょっとでオンエア圏内に入りそうな雰囲気はあるのだが。

・次回
アームストロング
アインシュタイン
あばれる君
カオポイント
【初】湘南デストラーデ
世界少年
【初】そんぐば~ど
たいよう
メンソールライト
ラバーガール

なんとなくメンバーが豪華な気がする回。実際、チャンピオン大会出場者もいるし、R-1ぐらんぷりファイナリストもいるし、番組史上初の高座を持ちこんだピン芸人もいる。豪華というよりは、クセが強いというべきなのかもしれない。注目は、二年ぶりの挑戦となるカオポイント。現在は漫才協会に加入し、コントではなく漫才に力を入れているという。その判断が吉と出るか凶と出るか。

『トータルテンボス漫才ライブ 漫遊記』

トータルテンボス 漫才ライブ「漫遊記」 [DVD]トータルテンボス 漫才ライブ「漫遊記」 [DVD]
(2012/04/25)
トータルテンボス

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それまであまり評価が高くなかった芸人が、何の前触れもなくいきなり人気を集めるという劇的なドラマが最近の流行であるらしい。まあ、考えてみると、その傾向は以前からあったように思う。例えば、長く不遇の時代を過ごしたサンドウィッチマン。彼らのM-1優勝後のメディアでの取り上げられぶりは、物凄いモノがあった。サンドと同様、長く売れない時代を過ごしたオードリーも、大会終了後には数多くのバラエティ番組に出演していた。とどのつまり、日本人という人種は、とにかく苦労してきた人間が報われる姿に共感を覚えるのである。特に、芸人というジャンルにおいては、その美学が顕著に表れる。その魅力を否定するつもりはない。ただ、ドラマに目を奪われて、その芸に対する評価を甘んじている人をたまに見かける。いつか掌を返す日が来るのではないかと、他人事ながら不安に思う。

とはいえ、私もあまり人のことはいえない性質である。というのも、私もまた別のドラマを愛でているからだ。そのドラマとは、実力派と呼ばれた芸人がドン底にまで落ちるものの、どうにかして再び表舞台に這い上がってくる、いわばリベンジの物語である。M-1グランプリ2007において、サンドウィッチマンに優勝をもぎ取られてしまった漫才師、トータルテンボスもまた、そのリベンジの物語の最中にいるコンビだ。彼らの漫才は一度、ドン底まで落っこちた……と、私は捉えている。練り上げられているのに笑いに繋がらないシチュエーションと、相方イジリへの逃避行を繰り返すボケ……あれは、まさしくドン底であった。ただ、今にして考えてみると、あれはただただ暗中模索していただけなのかもしれない。それまでとは違うスタイルで浮上してみせようという、意志の表れだったのかもしれない。まあ、これらが純然たる的外れである可能性は否定できないが、ともかく今の彼らは浮上しつつある。

本作『漫遊記』において、トータルテンボスは再び言葉選びの才能を解禁する。決して新しくはないが、妙に印象に残る言葉の数々。これだ。これこそが、トータルテンボスの漫才だ。それに加えて、模索していた頃に培われたシチュエーションの独創性も、その面白さに拍車をかける。大村がオーソドックスなおっさんに憧れる『正統派のおっさん』と、大村が「腹が立った」というエピソードを話すも、それらの全ての怒りのポイントがズレ続ける『ズレた怒りポイント』は、本作のベストアクトといっても過言ではない。これらの柱がしっかりとしているので、以前はうすら寒さすら覚えた相方イジりも活き活きとしている。絶頂期ほどの勢いはないが、ここには確かにトータルテンボスの進化した漫才が在る。

なお、特典映像には、ギャグ村トモヒロなる人物のライブと、ギャグ村のライブを見守る笑い屋のオーディション風景を収録している。まさか、21世紀の真っ只中に、あの番組のパロディを見ることになろうとは……。


・本編(123分)
漫才「怒り方」「ズレた怒りポイント」「交渉人」「正統派のおっさん」「金の斧、銀の斧」「サトラレ」「毛ミングアウト」「部活の親友」
今日のいたずら「壊れ自転車」「火綿灰皿」「シャワートイレ」「誕生日ケーキ」「コロコロパンティー」「おっぱい携帯」「タコさんウィンナー」

・特典映像(23分)
「ギャグ村トモヒロ 一発ギャグライブ」
「壮絶!「ギャグ村トモヒロ 笑い屋オーディション」」

「第九回玉藻寄席 昇太・花緑 二人会」(高松)

五月十八日、午後五時。

いつもなら会社で仕事の後片付けをしている時間に、私は高松市の菊地寛通りを闊歩していた。このところ、全国的に恵まれない天気が続いていたが、この日ははつらつとした晴天であった。……とはいえ、時刻は夕暮れ。太陽はゆっくりと西へ沈んでいき、辺りは橙色の光から闇へと包まれていく行程をゆっくりと進行させていた。

居酒屋や飲食店の間を縫う様に歩いていた私は、その空腹を満たすべく、以前から訪れてみたいという願望を抱いていたつけ麺屋へと足を運んでいた。インターネットサイトによると、開店時刻は午後五時。ぴったりのタイミングである。ところが、店の前まで来てみると、明らかにまだ開店していない。表の看板を確認すると、“午後六時半から開店”とある。……どうやら、チェックしていたサイトの情報が間違っていたらしい。残念だが、諦めなければならないだろう。気を取り直して、別の店へと向かう。そちらの店には、過去に何度か訪れたことがある。確証はないが、夕暮れ時に店を閉めているということはないだろう。店の前に行くと、“開店中”という看板が目に入った。ほっと胸を撫で下ろし、私はその扉をゆっくりと開いた。

この日、私は仕事を早退して、アルファあなぶきホールで行われる「第九回玉藻寄席 昇太・花緑 二人会」を鑑賞するために高松市を訪れていた。香川県の西ブロックにある小さな町で暮らしている私にとって、高松は決して遠い場所ではないが近い場所でもなかった。連休中でなければ行ってみようなどとは思えないほど遠くはないが、その日になんとなく訪れるほど近くはない。そういう場所である。まして一週間のド真ん中、純然たる平日に訪れるということなどは実に稀であった。開演時刻は午後六時半。私にとってはもはや馴染みの店といっても過言ではないラーメン屋“ドカ壱”において、私が650円のつけ麺を勢いよく啜っていたのは、午後五時半を回った頃。開演時刻まで一時間という絶妙なタイムスケジュールが、私の心を静かに締め付けていた。が、実際に私が愛車とともにアルファあなぶきホールのすぐ傍にある玉藻町駐車場へと到着したのは、それから僅か30分後のことであった。

今回の会場となっているのは、アルファあなぶきホールの小ホール。私が到着して、すぐさま開場となった。なんとなしに客層を確認してみるだけで、中年・老年層が圧倒的に多いことに気付かされる。「落語とは大衆芸能である」と多くの人間が口にしているが、地方ではまだまだお年を召された方の文化としての域を超えていないようだ。小ホール入り口の脇では、グッズ販売が行われていた。見ると、昇太・花緑の両師匠が過去にリリースしたCD・DVDの数々に加えて、昇太師匠が出版した『城歩きのススメ(サイン入り)』が販売されていた。サイン入り書籍は魅力的だが、如何せん書籍の内容に興味を覚えない。しばらく考え込んだ挙句、何も買わないという結論に至った。開演までに時間があったので、空いている椅子に座って入場時に受け取ったアンケートを記入する。「今後、玉藻寄席に呼んでもらいたい落語家さんを書いてください」という項目があったので、柳家喬太郎、春風亭一之輔、瀧川鯉昇、三遊亭圓丈、三遊亭白鳥、林家彦いちなどの名前を記入した。説明が遅れたが、「玉藻寄席」とはアルファあなぶきホールが主催する落語会の名称で、過去には、桂歌丸、春風亭小朝、立川志の輔、三遊亭小遊三、林家たい平などが出演していたことがある……らしい。ちなみに、私は昨年6月に、「第七回玉藻寄席 小遊三・たい平 二人会」を鑑賞している。たい平師匠は『紙屑屋』で、小遊三師匠は『替り目』を披露していた。

午後六時半、開演。

開口一番に登場したのは、もちろん前座さん。名前は瀧川鯉ちゃ。瀧川鯉昇師匠のお弟子さんである。ちょっとしたマクラを振ってから、ネタは『桃太郎』。我が子に「桃太郎」を聞かせて寝かしつけようとする父親に、当の息子がその意義について説明するという、両者の本来の立場が逆転するスタイルの落語である。前座さんにしてはなかなか上手で、違和感無く聴くことが出来たのだが、仕事を抜け出してきたことも手伝ってか、だんだんと夢見心地に。気が付くと、口演はすっかり終わってしまっていた。申し訳ないと思いながらも、でも前座さんだし……と言い訳している自分もいる。ひとまず反省。

続いての登場は、今回の主役の一人である柳家花緑師匠だ。マクラでは、丁度この落語会の前日が先代小さん師匠の命日だったことから、それに関するエピソードを幾つか。また、「開運!なんでも鑑定団」出張コーナーでレギュラー出演することになった経緯や、新幹線で美輪明宏と遭遇した話など、実に盛り沢山な内容。それらの話を受けて、「先代小さんが十八番としていたネタ」である『笠碁』を披露した。碁が下手だけども打つのは好きだという二人の老人が、ふとしたことから喧嘩を始めてしまい、そのまま仲違いしてしまう。しかし、なにせ下手なので、お互いにお互い以外の人間と碁を打つことが出来ない。とうとう我慢できなくなり、ある雨の日、片方がもう片方の家へと様子を見に行く……。殆ど老人二人しか登場しないネタなので、昨年40歳になられたばかりの花緑師匠に果たして上手く演じられるのだろうかと思っていたのだが、これが実に面白かった。『笠碁』に登場する二人の老人は、どちらも我儘で意固地で素直になれない性格だ。本当は碁が打ちたくて仕方がないのに、どちらもなかなか謝りに行こうとしない。その姿は、まるで小学生の男のコだ。花緑師匠は、そんな二人の子どもっぽい部分を強調して、彼らの無邪気で可愛らしい一面を楽しく表現していた。ただ、少し残念だったのは、オチを改変していたところ。決して悪くはないオチだったのだが、二人の無邪気さを最後まで保つという意味で、従来のオチで観てみたかった。ただ、二人の友情……という意味では、正しいオチだったのかもしれない。

柳家花緑1「朝日名人会」ライヴシリーズ53「七段目」「笠碁」柳家花緑1「朝日名人会」ライヴシリーズ53「七段目」「笠碁」
(2008/09/24)
柳家花緑

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仲入りを挟んで、後半戦に突入。出囃とともに登場したのは、美しい和服姿の女性。名は、桧山うめ吉というらしい。美しい三味線の音色に合わせて小唄や都々逸などを披露し、最後には踊りも見せてくれた。後で調べてみたところ、彼女は「うめ吉」名義で何枚もCDをリリースしている俗曲師とのこと。華のある人だとは思っていたが、ここまでガッツリと活躍なさっている方だとは知らなかった。ネットに幾つか音源が落ちていたので聴いてみたら、これがなかなか良い。ベスト盤もリリースされているらしいので、いつか手を出すこともあるかもしれない。

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(2010/07/21)
うめ吉

美しい歌声に心が洗われたところで、今回のもう一人の主役である春風亭昇太師匠の登場だ。高座に上がり、すぐさま口を開いたかと思うと、先のうめ吉さんが年齢不詳であるということをイジり倒し、プロゴルファーの石川遼が結婚したことについてイジり倒し、自身の独身に関するエピソードをイジり倒し……観客の洗われた心をすぐさま爆笑色に染めてしまう。流石の手腕だ。その一方で、“さぬきうどん”のことを“さぬきそば”といってしまう大失言もブッ放したり。流石だ! 流石は柳昇門下だ! ネタは十八番の『権助魚』。妾宅へと遊びに出掛けた旦那のアリバイ作りに、家へ帰る前に魚屋で魚を買っていくようにいわれた権助。ところが、権助は山育ちの田舎者なので、魚について完全に無知だ。そこで、とにかく「網打ち魚」を買いあさって、奥様に事情を説明するのだが……。『笠碁』の老人二人と同様、このネタの権助もまた子どもらしい魅力を放っているキャラクターだ。お金には貪欲だが、さほど執着はしない。楽しいことを、ただただ楽しいままに生きている。そんな権助が陽気にカンチガイを繰り広げていく様が、とにかく楽しい。それでいて、笑わせどころは決してキャラクターに頼らず、的確にビシバシときめていく。実に爽快だ。気が付くと、客席は会場全体をうねらせるかのような爆笑に沸き立っていた。なるほど、これが爆笑の渦か……。

春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」-「朝日名人会」ライヴシリーズ29春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」-「朝日名人会」ライヴシリーズ29
(2005/05/18)
春風亭昇太

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午後八時四十八分、終演。物販で『じゅげむ』のCDを購入する。

じゅげむじゅげむ
(2003/10/22)
柳家花緑

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今回の落語会と同様に、素晴らしいアルバムだと嬉しいな。

「オンバト+」五月十二日放送感想文(長野)

オテンキ【489kb/1,745票】※視聴者投票3位
五戦三勝、今期初オンエア。「爆笑レッドカーペット」で多少の人気を得るも、上手くバラエティ番組に引っ掛かることが出来ず、再びオンバトのステージに帰ってきた彼ら。「爆笑オンエアバトル」時代には連敗が続いていたが、現在は三連勝と順調。波に乗り始めてきたか。コント『旅館』。“小ボケ担当”のりの軽いボケは決して悪くはないが、些か食傷気味。ザキヤマほどの破壊力がないのが難点か。……まあ、それ故の“小ボケ”なのだが。ネタの構成も、のりが一旦舞台から消えて、その間に別の話が進行するという以前に何度か目にしたもので、新鮮味に欠ける。そろそろ別のパターンも見てみたい。

リンシャンカイホウ【485kb/1,302票】
二戦一勝、今期初オンエア。ワタナベコメディスクールの卒業生で、現在はワタナベエンターテインメントに所属している。主な芸は漫才。ナベプロの漫才師といえば、すぐさま18KINのことを思い出してしまうのは、私の脳味噌が古いからなのだろうか。今ならハライチか? 漫才『腹の立つこと』。腹の立つシチュエーションを次々に提示していく。かなりオーソドックスな展開をハイテンポに演じていて、技術は感じるがオリジナリティに欠けていたような。まだまだこれからということなんだろうけれども、変にこなれている感じが少し引っかかる。それはそうとして、ホントに凄いなで肩だ……!

Gたかし【461kb/1,950票】※視聴者投票1位
四戦三勝、今期初オンエア。ものまね芸と紙芝居を融合するという唯一無二の芸風を持っているにも関わらず、なんだかんだでアントニオ猪木の印象しか残らない不憫な人……いや、意図的なものか。しかし今回は、バイキンマンと化したボビー・オロゴン、東京都知事のジャムおじさん、顔だけ出演のサンドウィッチマン富澤と、モノマネのバリエーションが豊富に。やはり、彼のような芸風だと、ネタ数の多さが重要か。個人的には、アントニオ猪木と貴乃花親方による『タイタニック』という、カオスな組み合わせがなんともいえず面白かった。正直、つい最近まで彼のことをちょっと低く評価していたのだが、ちょっと上がり調子になってきたように思う。とはいえ、まだまだこれからだ。

ヒカリゴケ【461kb/1,648票】
八戦六勝、今期初オンエア。いわずと知れた、叔父さんと甥っ子の漫才コンビだが、今回はそれをアピールせずにとっとと漫才へ突入。まあ、無理してアピールすることでもない。漫才『コンビニの店員に恋をする』。近所のコンビニ店員の女性に恋をしたという片山に国沢が告白を促すのだが、それをひたすらに拒否し続ける。国沢の提案を片山が細かく否定していく様はブラックマヨネーズの漫才を彷彿とさせたが、よく見ると、国沢の提案がそもそもズレているため、ボケとツッコミが逆転現象を起こしているかのようにも。意図的にやっているのか、それとも偶然そうなってしまったのか。Gたかしとはまたちょっと違った意味でカオスが生じている。次のオンエアで、真意を確かめたい。

クレオパトラ513kb/1,897票】※会場審査1位・視聴者投票2位
二戦全勝、今期初オンエア。初めて目にするコンビだと思っていたら、なんと二度目のオンエアだという。まったく記憶に残っていない。前回のオンエア評を見たところ、なかなか好意的に捉えていたらしい。それなのに、まったく覚えていない。うーむ、いかんな。漫才『恋愛マンガで憧れているシチュエーション』。恋愛マンガならではのシチュエーションをじっくりと演じてみせる様は、先のリンシャンカイホウとは対照的。それでいて、オチで的確に笑いを回収しているので、決して非効率的ではない。ただ、シチュエーションとシチュエーションの間にちょっとしたやり取りを挟み込んでいるために、ネタの焦点があやふやになってしまっている。まあ、それも魅力ではあるのだが、おかげで印象に残りにくい……ああ、だから記憶に残っていないのか。ただ、これを止めると、彼ら自身の味が薄まる危険性がある。今はひとまず、深化に期待。おつかまきりっ!

・今回のオフエア
425kb:風藤松原
369kb:阿佐ヶ谷姉妹
365kb:ピテカントロプス
273kb:あかつ
201kb:ニューヨーク

「オンバト+」では無傷の八連勝中だった風藤松原が、ここで遂に土付かずが消える。400kbオーバーでのオフエアは手痛い。阿佐ヶ谷姉妹は今回が初出場だったが、結果は369kbとまずまずの健闘を見せた。東京収録ではどのような結果になるのか、気になるところである。相撲芸でお馴染みのあかつは今回で三度目の出場だが、キロバトルは右肩下がりと厳しい状況に。こちらは早く白星を獲りたい。

・次回
あきげん
アルコ&ピース
うしろシティ
かもめんたる
巨匠
【初】シンクロック
【初】スタンバイ
スパイク
寅人
【初】パップコーン

アルコ&ピース、うしろシティ、かもめんたると、コントの実力派たちが名を連ねている。迫力があるネ。この三組に、まだまだ経験の浅い七組がどう食らいつくのかが見所となるだろう。……まあ、経験が浅いといっても、一組だけ「爆笑オンエアバトル」チャンピオン大会出場経験者がいるのだが。そう、メンバーが一人脱退して、四人組になったパップコーンである。五人組時代には9連勝を記録していたが、「オンバト+」でも連勝の波に乗ることが出来るか?

「虚構新聞」の一件を見て。

 漫才師の私たちが世の中に対抗できる唯一の手段は、バカを言って人を笑わせることです。
 でも、もし、世の中が、私たち以上のバカを言ってしまったら、私たちはどうすればいいのでしょう?
 それ以上のバカを言うよりしかたありません。
 ここ数年、世の中は、上質な漫才を作り続けています。
 漫才師が必要ないほどに……。
 この本は、私たち爆笑問題が、世の中という漫才師に勝てるかどうかの挑戦です。
 世の中が作った“事実”という漫才と、爆笑問題が作った事実とは違う漫才。
 この本には、その二つの漫才がおさめられています。
 どちらの漫才師がより優秀かは、どうぞ、これを読んで、ご自分の目でお確かめください。

爆笑問題の日本原論』(1997)“ごあいさつ”より抜粋  


最初に思い出したのが、これでした。時事ネタを取り扱う人間、全員が肝に銘じることだと思います。

少年よ、君のサンパチは燃えているか?

中川家の特大寄席(仮) [DVD]中川家の特大寄席(仮) [DVD]
(2012/08/22)
中川家

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2012年8月、M-1グランプリ初代チャンピオンとしても知られる実力派漫才師、中川家がコンビ名義としては実に9年ぶりとなるライブDVDをリリースすることが決定した。その内容は、2011年に行われた単独ライブを収録したものであり、新しい漫才と新しいコント、そして得意のモノマネが披露されたという。また、ゲストには、過去に合同ライブを子なったこともある間寛平と、その特徴的な声から様々なバラエティ番組でナレーションもこなしている村田秀亮(とろサーモン)が出演しているとのこと。お笑いブーム黎明期より、その確かな実力が高く評価されてきた彼らの芸歴20年を記念する、素晴らしい作品になっている……かも、しれない。

・その他のリリース予定
0606『宮川大輔×ケンドーコバヤシ あんぎゃー ~大分で勝手気まま旅~(仮)
0620『たい平落語 青菜/船徳
0623『人志松本のすべらない話 聖夜スペシャル
0627『未定』(スギちゃん)
0725『ブスをもってブスを制す』(チキチキジョニー)
0725『ウレセン!!』(さるひげさん、スギちゃん、チキチキジョニー、ニッチェ)
0725『世界鳥居奇(紀)行【番外編】 IN サイパン
0725『内村さまぁ~ず vol.38
0725『内村さまぁ~ず vol.39
0725『内村さまぁ~ず vol.40
0804『LICENSE Vol.8
0822『COWCOW CONTE LIVE 5

オフ会に持参した三枚のDVD・紹介文

■壱枚目
小堺一機 &柳沢慎吾LIVE ライブマン★コミック君!! テレビくん登場の巻 [DVD]小堺一機 &柳沢慎吾LIVE ライブマン★コミック君!! テレビくん登場の巻 [DVD]
(2004/08/18)
小堺一機、柳沢慎吾 他

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今回、こういう集まりが企画されたということで、私の中ではとてつもないプレッシャーがあったわけですね。というのは、やはりお笑いDVDを紹介するブログを運営している以上、それなりに期待されていると自負していたからです。そこで一枚目は、これはまず外さないだろうと考えられる作品を持参しました。小堺一機と柳沢慎吾のライブを収録したDVDです。今回は、その中から『箱根駅伝』というパフォーマンスをご覧いただきたいと思います。一人で箱根駅伝を再現してみせる柳沢慎吾のパフォーマンス能力の高さに加えて、それを存分に活かしてみせる小堺一機の場回しの上手さを観てください。そして、興味を持たれましたら、ご購入を。全編、この調子です。私はこれを、もっと売れるべき作品だと思っております。


■弐枚目
ジャルジャルのいじゃら [DVD]ジャルジャルのいじゃら [DVD]
(2012/01/01)
ジャルジャル

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二枚目は皆さんご存じであろうジャルジャルです。ジャルジャルといえば、なんといっても独創的な発想によって生み出されるコントというイメージが強いですが、今回は二人の……もとい、後藤さんの演技力を見ていただきたいと思います。ビジュアル的にいえば福徳さんの方が印象に残りやすいと思いますが、実は後藤さんの方がだいぶヘンテコです。ある意味、狂っちゃってるといってもいいかもしれません。ネジがズレているというか、ハズレているというか。そうとしか思えない演技を、実にさりげなくやってのけてしまうんですね。その辺りを注目して、ご覧いただきたいと思います。ジャルジャルで『めっちゃふざける奴』です。


■参枚目
千原兄弟コントライブ「15弱」 [DVD]千原兄弟コントライブ「15弱」 [DVD]
(2007/01/17)
千原兄弟

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皆さんは千原ジュニアに対して、どのようなイメージを抱いていますか? 恐らく、大喜利の名手であり、すべらない話のプレーヤーとしての印象が強いのではないでしょうか。しかし、彼が本当に恵まれているのはコント師としての才能であると、私は考えています。その人を食った様な世界観のコントは、ある種の芸術品といっても過言ではありません。今回、皆さんにご覧になっていただくのは、千原兄弟のコント『マスカ!?』です。短めのコントが立て続けに披露されているライブ『15弱』からの一本で、本作に収録されているコントの中でジュニアが最も気に入っているというネタでもあります。その、綱渡りともいえるギリギリの演出と、後に何も残さない衝撃的な世界観。これを焼け野原といわずして、何を焼け野原というのでしょうか。是非とも、ご賞味ください。

東京レポート【三日目/ジブリ美術館編】

五月五日午前十時半ごろ、起床。いきなりの余談だが、二日間ともイシダ氏の方が早く起きているため、私が目を覚ますと常に一人である。なんだか寂しい。リビングを覗くと、先生の愛犬トイプーを撫でているイシダ氏の姿が。すっかり仲良しだ。今日の朝食はご飯に納豆、お味噌汁という日本的な様相。奥さんの料理のレパートリー、恐るべし。ちなみに、イシダ氏は納豆が食べられないとのこと。典型的な関西人だ!

食後、中山邸のHDDを幾つか消費し、本来なら昨夜観る予定だった『マキタスポーツの上京物語』を鑑賞する。これは、以前にイシダ氏が「中山邸で間が持たなくなったときのためのDVDを持って行こう……」という姑息(?)な考えをTwitterでこぼしていたので、ならば私も何か持って行こうかしらと考えて持参した作品である。作品としてのクオリティは高いのだが、どう評価すべきか困ったため、未だに当ブログで取り上げていないという奇妙な作品でもある。フェイクドキュメンタリーとしての形式を取っているのだが、少しずつマキタ自身の人生と重なっていく不可思議な構成は、なんともいえない不思議な後味を残してくれる。そういえば、お二人にちゃんと感想を伺っていないな。うん。先生が所持している『ピエール靖子 爆笑編 企画担当有吉弘行』(※ローソン限定販売)『ブラっと嫉妬 ~オー・マイ・嫉妬~』『タケちゃんの思わず笑ってしまいました DVD-BOX』、イシダ氏が持参した『笑う犬2010寿』のコント『10円』なども観させてもらう。どれも刺激的で、とても面白かった。レンタルで借りようと思う。……そういえば、先生もイシダ氏もラーメンズを殆ど観たことがないという話には、些か驚かされた。次はそっち方面で攻めるべきか?

正午を過ぎたあたりで、中山邸を出る。寂しい。車に二人の荷物を詰め込むと、先生が乗るスペースが無くなってしまったので(車は奥さんが運転)、先生とはそこでお別れすることに。寂しい。最寄りの駅で、奥さんと別れる。とてつもなく、寂しい。イシダ氏と電車に乗り、新宿駅へ。隣の席に座ることが出来ず、移動中はずっと黙ったままに。この上なく、寂しい。あまりの寂しさから、自然に涙が……とまではいかないにしても、とても寂しい時間が過ぎていく。ああ、どうして別れるために、行かなくてはならないのか。サヨナラ電車よ、どうか来ないでくれないか……って、ゆずの曲じゃないんだから。新宿駅で荷物の多い二人、どっかにコインロッカーは無いものかと探し回る。ロッカーはあるが、埋まっている。数十分探した結果、何処にも空いているロッカーが無いことが分かり、愕然。しょうがないので荷物を抱えて、中央線経由で最後の目的地である三鷹へと向かう。

そもそも今回、私が東京へやってきた最大の理由は、「三鷹の森 ジブリ美術館」を訪れることである。Twitterで知り合った人とオフ会とか、中山邸での宿泊とか、そんなことは付加価値に過ぎないのである。ジブリこそ正義! トトロこそ神! 人類はラピュタの威力にひれ伏すのだーっ! ……とまではいかないにしても、やはり東京へと来たからには、宮崎駿チルドレンとしてはジブリ美術館へ行かなくてはなるまい、と思った次第である。それなのに、西荻窪駅に着いた時点で、遅刻が確定するという大誤算。しまった、新宿駅でコインロッカーを探し過ぎた! その後は、鈴本演芸場と同じ悲劇を繰り返す羽目に。慌てて飛び出し、道を間違え、荷物を抱えて北へ南へ東へ西へ。到着した頃には、開園から20分が経過した頃であった。ンモー(by植田まさし)。

しかし、辿り着いてからというもの、それまでの苦労はすっかり過去の出来事に。まるでジブリの世界に迷い込んでしまったかのような、不思議で幻想的な空間。アニメ映画の仕組みを紹介する部屋に、ジブリ映画の舞台を再現した部屋、図書室に喫茶室まで、とにもかくにも「ステキ!」の一言。ところが、お土産コーナーに入った途端、現実に引き戻される。あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいもっともっと欲しいの連続。そこにあるのは幻想なんかじゃねえ、欲望の渦だ! 男も、女も、おじいちゃんも、おばあちゃんも、ガキも、オヤジも、オフクロも、お土産獲得にエッサホッサだ! お土産獲得後は、ここでしか見られない短編映画を鑑賞する。この日、上映されていたのは『めいとこねこバス』。『となりのトトロ』に登場する少女“めい”が、ねこバスの子ども“こねこバス”と出会う物語で……ジブリ好きには実にたまらなかった。次は別の作品も観たい。

閉館後、中央線で三鷹から新宿へ戻り、噂に聞いた肉の万世へ。『孤独のグルメ』で取り上げられていたカツサンドを買うためだったのだが、お腹が空いていたので、ついでにパーコー麺を食べる。ラーメンにトンカツを投入した様な料理で、それぞれの味はちゃんと美味しいんだけれど、一緒にする必要性は……というような印象。まあ、そもそも食べ慣れていない料理なので、そう感じただけかもしれない。次はハンバーグを食べてみたい。食後、荷物を抱えて、バスの集合場所へ。近くのローソンで用を足し、乗り込む。

海老名→浜名湖→草津→淡路島南とサービスエリアを移動して、午前八時に高松駅へ到着。疲労困憊。しかし、せっかくなのでと、高松の商店街をぶらぶらして帰る。お疲れさまでした。

東京レポート【二日目/末廣亭・若人対面編】

五月四日午前九時ごろ、起床。普段はベッドで眠っているので、布団だと本当に他所の家に来たのだということをしみじみと感じさせてくれて、なんだか面白い。朝食はフレンチトーストと冷製スープ。なんとなく、中山先生に対するイメージとズレが生じる。それもまた、面白い。十時半ごろに家を出発。奥さんに駅まで送ってもらう。実に有難い。先生宅から秋葉原へ向かい、個人的なナニを済ませ、新宿駅へ。「無農薬有機お笑いブログ」氏と落ち合う。

無農薬氏はいつもブログで理論的なお笑い論を展開しているため、インテリな人物というイメージを抱いていたのだが、意外と今風の文化系男子という風体だったので驚た。やはり人間、きちんと会わないと分からないことが多い。新宿駅から歩いてすぐの場所にある喫茶店に入り、お笑いについての話をする。一時間も持たないのではないかと思ったが、R-1ぐらんぷりのことや、最近気になるお笑い芸人のこと、無農薬氏が普段やっていること、落語のこと(まさか無農薬氏が落語を殆ど聴いたことがなかったとは!)などを話しているうち、この後鑑賞に行こうと思っていた新宿末広亭へと出発しなくてはならない時刻に。せっかくなので、二人で末広亭に向かう。そこでイシダドウロ氏と落ち合い、初対面の二人が挨拶を交わしたところで、無農薬氏と別れる。直後、末広亭の夜席が開始。満席だったので、立ち見する。以下、出演者とネタ。メクリが見えない位置だったので、もしかしたら間違いがあるかもしれない。

Wモアモア『漫才』
春風亭柳之助『桃太郎』
桂平治『源平盛衰記』
北見マキ『奇術』
柳亭楽輔『素人鰻』
春風亭柳好『目薬』
東京ボーイズ『漫謡』
笑福亭学光『西行鼓ヶ滝』
三遊亭小遊三『掘の内』
新真打口上【昇太・学光・柳好・鶴光・小遊三】
春風亭柳城『持参金』
春風亭昇太『壷算』
笑福亭鶴光『試し酒』
ボンボンブラザース『曲芸』
笑福亭里光『寝床』


噂に聞いた桂平治師匠の落語を遂に拝見。他の演者に比べて圧倒的に声が大きく、迫力もある。でも、それだけじゃない。注目を集めているだけはあった。当代柳好師匠は、上手くはないけれどフラがある典型。ひょろひょろとしていて、風が吹けば飛んでいきそうな雰囲気がたまらなく面白い。学光師匠は生真面目な感じ。面白いんだけれど、もうちょっと面白味が欲しい。小遊三師匠は通常運行。ただ、このネタは志ん朝師匠の口演が印象に強く、小遊三師匠ならではの雑味が今回は良くない方向へ働いた気も。昇太師匠の『つぼ算』、鶴光師匠の『試し酒』、どちらも結構な出来。新真打については、どちらも未熟。柳城師匠はヘリウムガスでも吸ったかの様な個性的過ぎる声が少し聴きとりづらいが、特有のフラもある。それに比べて里光師匠は幾らかこなれているが、フラが感じられなかった。時間が経てば成熟するところも見えてくるのだろうが……って、落語歴二年で偉そうですね、流石に。

公演後、Twitterでは人力舎フリークとして名高かった(※最近お辞めになられた)夏鶴氏と落ち合い、近くの居酒屋で芸談を繰り広げる。人力舎を中心に的を絞っているだけあって、とにかく詳しい。敬愛の意味を込めて、ジンチキと呼ばせて頂きたい。現在の人力舎に起こっている厳しい状況について、実にディープなところまで知っていらっしゃった。その上で、「いつかJCAの校長になるんじゃないか、この人は」というくらい、情熱的。小さくて可愛らしい身体から発せられるトンデモナイ熱量に、二人の中年男がすっかりたじろいでしまった(ひょっとしたら私だけだったのかもしれない)。居酒屋を出てからは、夏鶴氏の案内の元、新宿駅へと移動。その後、紆余曲折があったものの、無事に中山邸近辺の駅まで戻る。そうか、電車には終電という概念があったのか……! 駅まで夫妻に迎えに来ていただき、一日目と同様に四人で帰還する。

中山邸に戻ると、すぐさま就寝……となるかと思いきや、まさかの酒宴が開かれることに。イシダ氏がお土産に持参したワインを開けて、三人でお笑いトークを展開する(先生の奥様も参加されていたが、基本的に聞き役)。色々なことを情熱的に話し合った記憶はあるが、どういう話をしていたのか、その内容については殆ど覚えていない。こういう場での話し合いは、往々にしてそういう結末を迎えるものだ。ただ、先生が録音していらしたようなので、いずれなんらかの形で発表される可能性もあるが……少なくとも配信は出来ないだろう。内容的に。奥様がツマミを作り、酒瓶が三本ばかり転がったところで、中山先生がまたもノックダウン。解散と成った。布団に入り、イシダさんと何かしらかの話をちょこちょこと交わしながら、午前四時に就寝。明日、東京を離れることが悲しくて、泣き寝入り。嘘。

東京レポート【初日/鈴本・オフ会編】

五月二日午後十一時、高松駅にてバスに乗車。更に徳島駅で客を拾って、一路東京を目指す。走行中は携帯電話でもイジっていようと思っていたのだが、すぐさま飽きる。携帯ゲームの類いを準備すべきだったか。事前に購入していた空気マクラは役に立たず。眠れないときのためのドリエルは、効果があったのかどうかさっぱり分からない。荷物を詰め込んだカバンに前のめりになるカタチで、強引に眠る。

淡路島→土山→浜松の順番にパーキングエリアを通過。せっかくの休憩場所でも、お店が開いていなければ何の意味もない。浜松パーキングエリアの時点で、時刻は8時半を回っていた。あと2時間で新宿駅か……とTwitterに感慨深きツイートを流してみたら、「え?浜松から新宿まで、そんなすぐに着きますかね?」と、同じく地方から東京へと向かっているイシダドウロ氏が反応。心臓に悪いことをいう……と思ったら、事故による渋滞に巻き込まれてなんと2時間40分の遅れが生じているとのアナウンスが。つまり、10時半に到着する予定だったところを、このままだと13時以降に到着するという……。これは実にマズイ事態である。というのもこの日、僕は12時開演の鈴本演芸場昼席の前売り券を購入していたからだ。新宿駅から御徒町へと移動している間に、大半のネタが終了してしまう! 反射的に、思わず「事故のバカぁ!もう知らない!」と、サツキ風のツイートを流す。……が、海老名サービスエリアの大きさに圧倒されて、一瞬だけ鈴本のことを忘れる。

どうしたもんだろうかと地図を確認すると、新宿駅よりも先に到着する東京駅からの方が御徒町に早く辿り着けることが発覚。ならば、添乗員に頼んで、途中下車させてもらえばいい。断られたらどうしたもんかしらと思いながらも頼んでみると、「あ、はい、大丈夫ですよ!」と爽やかな返事を頂く。その時は「ありがとう!」と心の中で叫んだが、考えてもみれば事故のせいとはいえこれだけの遅刻になっているのだから、この対応はむしろ当然というべきなのかもしれない。荷物を抱えて東京駅に滑り込み、山手線経由で御徒町へ移動する。これで勝ったも同然!と思うも、到着するとどしゃ降り。折りたたみ傘を入れたバッグをコインロッカーに入れてしまった私を嘲笑うかのように、どしゃ降り。「ええい、ままよ!」とばかりに外へ飛び出し、鈴本演芸場を探し回る。「あそこかしら?それともこちらかしら?ええい、そこの若者どもよ、傘を差しているからってチンタラ歩くんじゃない!」と理不尽な怒りを噴き出しながら、びしょびしょの体で周辺を捜索する。結果、道を一本間違えていたと知り、脱力。慌てて入ると、柳家喜多八師匠がマクラを振っていた。やった! 喜多八には間に合った!

柳家喜多八『短命』
昭和のいる・こいる『漫才』
春風亭一之輔『出来心』
入船亭扇遊『初天神』
三増紋之助『曲独楽+となりのトトロ』
林家正蔵『一文笛』


文左衛門・さん喬・白酒が観られなかったのは残念だったが、一之輔師匠の脂が乗った爆笑落語が聴けたので、大満足である。公演後、Twitterで相互フォローしている落語クラスタ、わたやん氏と接触。意外と爽やかさんで驚く。二人で大江戸線を経由して、新宿へ移動。この時、わたやん氏にタスポを奢ってもらう。有難い。有難いが、この後、一度も使っていない。なんだか悪い。駅に到着すると、わたやん氏の好意でミュージックテイトへ行くことに。小さい店舗にみっちりと詰め込まれた大量の落語のCDに、ただただ感動。ああ、ここに住みたい……! どうにかして、後継ぎにしてもらえないものか。『立川談慶【らくだ】 浅草大黒屋独演会』『立川談慶【抜け雀】 浅草大黒屋独演会2』『古今亭右朝1』『第14回新宿亭砥寄席 快楽亭ブラック独演会』『シカゴスティーニ1』など、ここでしか購入できない落語のCDをレジに並べる。おかげで、店の人に驚かれた。次に来たときも覚えてくれているだろうか。店を出た時点でまだ時間があったので、「麺屋武蔵」にてつけ麺を食べる。美味いっ。ここで、わたやん氏に柳家喬太郎師匠と立川藤志楼師匠のCDをプレゼントされる。……もしかして惚れられてるのだろうか?

食後、まだ時間があったのだが、他に行かなくてはならない場所も無かったので、とりあえず会場へ行ってみると、既にオフ会は始まっていた。あれっ? どうやら開始時間を間違えていたらしい。が、それでも15分ほど遅れた程度だったので、良しとする。会場はこじんまりとしたバーで、そこに28人(と伺っているが実際は何人いたのか分からない)がギュッと詰め込まれていた。狭い。狭いし、誰が誰だか分からない。気付けば一緒に来たわたやん氏と離れ離れになり、目の前にはハンチングを被った怪しげな男が。どこの放送作家かと思ったら、その人がイシダドウロ氏であった。「おおーっ!」。その後も、様々な人と挨拶を交わすたびに、「おおーっ!」を繰り返す。……が、それも終わると、ひたすら芸談、芸談、芸談。あのお笑いはどうだ、このお笑いはどうだ、それはあれでこれはそれでそこはあそこで……という話をガンガンぶつけ合う。すっかり脳味噌がお笑い色に染まったところで、主催者の中山先生からDVDを流してくれと要求される。

そもそも今回のオフ会は、「自分が面白いと思う映像を披露する」というコンセプトのもので、会場も映像を流せる場所だからということで、ここが選ばれた……らしい。まがりなりにも、お笑いDVDを取り扱っているブログを運営している人間としては、ここで失敗するわけにはいかない。そこで私が準備してきたDVDは、『小堺一機&柳沢慎吾LIVE ライブマン★コミック君!! テレビくん登場の巻』である。今回は、その中でも、小堺一機の場回しの上手さと柳沢慎吾のパフォーマンス能力の高さ、その両方がバランス良く活かされている『箱根駅伝』を披露した。予想通り、それまでで一番の大爆笑。実に気持ちいい。その後、少し間が空いたので、「何も流れてないのでもう一本流しても大丈夫ですか?」と中山先生(ベロンベロンver.)に尋ねると「大丈夫ですよ?」といわれたので、『ジャルジャルのいじゃら』より『めっちゃふざける奴』を流すと、“日本一とんがったお笑いブログを運営している(by中山涙)”はなこば氏に「二本も流すのはズルいと思う!」とツッコまれ、たじろぐ。僕は悪くない!全ては中山先生の仕業だ! 午後八時、オフ会終了。会場の外でたむろしていると、吹越満のVTRを流していた人がインディーズでピン芸人をやっているフェルマー槍沢氏だと判明し、思わず握手する。その方面に憧れているらしいけれど、その道は険しいですぞ。二次会に行きたい気持ちもあったが、今夜お世話になる先生がベロンベロンのベロンベロンに酔っ払ってしまったので、ここで解散。ギリギリで到着した古本屋の佐藤晋氏を置き去りにしつつ、中山邸へ。あ、セクシーJだっ!

中山邸に訪問すると、早々に先生の愛犬であるトイプーの洗礼を受ける。「キャンキャンキャンキャンキャンキャン!!!」「うおっ!」「キャンキャンキャンキャンキャンキャン!!!」「おお……」「キャンキャンキャンキャンキャンキャン!!!」「……」「キャンキャンキャンキャンキャンキャン!!!」といった具合。落ち着いたところで、先生のHDDにある貴重な映像(エノケン映画など)やイシダさんが持参した映像(関西ローカル番組)、そして僕が持参した映像などを、先生の奥さんを含めた四人で鑑賞する。僕が会場で流したかった最後の映像は、千原兄弟『千原兄弟コントライブ「15弱」』より『マスカ!?』。事前に「焼け野原になるかもしれない」と宣言していたネタだ。どういう反応が貰えるかと楽しみにしていたら、鑑賞後、先生から「え!?これで終わり!?」という驚きのコメントを頂く。「計 画 通 り !」

先生がどうしようもなくなったところで解散。翌朝へ続く。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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