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「落語 昭和の名人 決定版 三代目・四代目春風亭柳好」

CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(12) 三代目/四代目 春風亭柳好CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(12) 三代目/四代目 春風亭柳好
(2009/06/09)
不明

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2011年12月末、ビートたけしが『野ざらし』を披露して話題となった。『野ざらし』とは古典落語の一席で、隣家に住む御隠居の元に供養した野ざらしの美しい幽霊が出た話を聞いた八五郎が、御隠居がやったように、釣り竿を持って野ざらしを探しに行く……という話である。古典落語の中でも比較的メジャーなネタで、演じ手も少なくない。その『野ざらし』を、立川談志が亡くなった直後に、ビートたけしが演じるという図。それだけでもお腹いっぱいだが、このたけしの『野ざらし』自体、なかなかの出来であった。ただ、たけしの『野ざらし』は談志の影響を受けたものではない。番組の中で、たけしはこう語った。「談志さんがさあ、柳好の『野ざらし』を知ってるか?って言うんだよ」。

三代目春風亭柳好。通称“野ざらしの柳好”。その評判は素晴らしく、高座に上がると観客から「野ざらし!」との声がかけられたという。1888年生まれ、つまりは明治の生まれだ。本作に収録されている音源も、1954年収録と非常に古い。と、ここで平成の私が登場。以前にも何度か書いてきたが、私は昭和の名人よりも現在進行形の落語家を評価している人間である。どんなに名人と呼ばれている人でも、それはあくまでもその時代の名人であって、時代を超越するほどの名人かどうかは分からない。それを盲目的に有難がるのは、落語というエンターテインメントに対して失礼に当たるのではないかしらん……とまでは思わないが、それに似た感情は抱いていた。

ところが、この三代目柳好の『野ざらし』……はっきり言って惚れてしまった。とにかく明るい、とにかく楽しい。多少の古臭さは否めないが、それでも余りあるクオリティだ。声もいい。当時66歳ということだが、とてもそうは聴こえない。実に若々しい声をしている。以前、立川志らくが「落語は音楽」というようなことを口にしていたと思うが、柳好の『野ざらし』はまさしく音楽だ。過去、色々な『野ざらし』の音源を耳にしてきたが、このネタの本質をようやく教えてもらったような気分である。最大の聞きどころは、一般的にはやはり八五郎が向島で釣りをしながら妄想する場面だろうか。ただ、個人的には、隣家の御隠居と話をするくだりも捨てがたい。鐘の音のくだりへのこだわりが、なんだかとってもたまらない……。

二席目の『青菜』は、旦那の粋なはからいに感銘を受けた植木職人の熊さんが、それを真似ようとして失敗する一抹を描いた一席。思えば、『野ざらし』と構成は似ている。が、『野ざらし』に見えるような突き抜けた明るさが無いため、やや弱い印象を受ける。が、ところどころに、現在の口演ではあまり聞けないようなくすぐりがあって、大変に興味深い。柳好のオリジナルなんだろうか。

続く四代目春風亭柳好はというと、こちらは三代目とは違って非常にとぼけた口調をしている。三代目が天高く飛び上がるトンビだとしたら、四代目はヘラヘラとウロウロ歩き回るアホウドリといったところか。……まあ、アホウドリがそういう鳥なのかどうかは知らないが、とにかくマがヌケた声をしている。冷静に聞いてみると、なかなか低くて渋い声をしているのだが……“落語のヒーロー”こと与太郎をやらせると、これがとにかくウマい。巧みに能天気なバカを演出する。しかし、そのバカさの中に、ほのかに全てを飲みこんでいるかのような余裕が見える。実に絶妙だ。

ネタは『牛ほめ』『付き馬』。牛に馬とはなにやら面白いが、内容はまったく違う。『牛ほめ』は与太郎が叔父の家と牛を褒めに行くという、非常にシンプルなネタ。与太郎の発言がいちいち面白い。中でも「佐兵衛のババアは……」のくだりは最高。意味が分からなくても、ついつい察して笑ってしまう。即座に怒鳴り返す佐兵衛の反応も含め、たまらない。一方の『付き馬』は、吉原の遊郭にやってきた男が付き馬を惑わす様子を描いた、大ネタといわれる一席。“付き馬”とは遊郭の若い衆のことで、銭を持たない客に付いていく状態を意味する。与太郎のようなぬぼーっとした面白さは無いが、味わい深い口演だと思う。


・収録音源
三代目『野ざらし』(昭和29年7月25日・TBSラジオ「落語鑑賞」にて放送/14分41秒)
三代目『青菜』(昭和30年7月19日・TBSラジオ「お好み寄席」にて放送/13分57秒)
四代目『牛ほめ』(平成元年2月19日・TBSラジオ「ラジオ寄席」にて放送/19分02秒)
四代目『付き馬』(昭和59年11月3日・TBSラジオ「ビアホール名人会」にて放送/29分10秒)
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2012年上半期の「お笑いDVD」まとめ

■一月
1日、『ジャルジャルのいじゃら』発売。「キングオブコント2010」決勝の舞台で披露されたコント『おばはん絡み』を含めた、新ネタを中心に収録している。特典映像には2011年に開催したロンドン公演、また新居で収録された副音声も。

11日、『ナイツ独演会 其の二』発売。ゲストに春風亭昇太、三四郎、カントリーズ。特典映像には、諸般の事情により収録できなかった漫才に加工と音声解説を加えて。また、ナイツ、三四郎、カントリーズの漫才をナイツが解説するという音声特典も。……これの構成はもうちょっとどうにかならなかったのか……。

18日、『磁石 単独ライブ 「プレミア」』発売。ホリプロコム移籍後、四枚目となる単独ライブDVD。「THE MANZAI 2011」決勝進出者だけあって、漫才を中心とした構成。

25日、『2012年度版 漫才 爆笑問題のツーショット~2011年総決算~』発売。爆笑問題の時事ネタ漫才DVDシリーズ。特典映像には、犬童一心監督との対談。同日、『恐怖学園』発売。「キングオブコント2011」決勝のステージで、強烈なコントを披露したトリオ“鬼ヶ島”による初単独DVD。その強烈なコント『呪われた人形』を含む、バリエーション豊富な学園コントを収録している。副音声もやたらと充実し……Go to the Hell!

■二月
3日、『サンドウィッチマン ライブ2011~新宿与太郎完結篇~』発売。安定感のある漫才・コントを堪能できる。特典映像では、自作のラーメンを佐野実に食べさせて、大立ち回り!

7日、『2700 BEST ALBUM 「SINGLES」』発売。2700のライブと制作ドキュメント(っぽい映像)を収録。特典映像では、Bose(スチャダラパー)と右ひじ左ひじセッション!

15日、『カナリアLIVE『金糸雀』』発売。漫才・コント・エピソードトークと充実した内容。特典映像では、野性爆弾・川島とライセンス・藤原によるライブ解説……?

22日、トップリード『単独ライブ 二日坊主』・インスタントジョンソン『単独ライブ「文殊の知恵」』発売。トップリードにとっては初の単独ライブDVD。全体の構成にこだわった秀作だ。一方のインスタントジョンソンは、三作目となる単独ライブDVD。特典映像は太田プロフリーク必見。二組は太田プロ所属だが、発売元はコンテンツリーグではなくバップである。同日、『タイムマシーン3号 第3回単独ライブ ひまわり畑でつかまえて』『ロッチ単独ライブ「ストロッチベリー」』発売。タイムマシーン3号は今回もR&Cよりリリース。

■三月
7日、『エレ片コントライブ ~コントの人5~』発売。シリーズコント多め。特典映像では、三人がスポーツで競い合う!

14日、『桜 稲垣早希ネタイヴェント新劇場版:9~YOU CANNOT MAKE A GOAL~』発売。ライブ本編で版権ネタを使い過ぎたのか、収録時間のおよそ半分がフェイクドキュメンタリーという不可思議な構成になっている。amazonでの評価は低いが、碇シンジのグルメレポートは一件の価値アリ。

21日、『バカリズムライブ「SPORTS」』発売。九作目となる単独ライブDVD。ちょっと出し過ぎだと思う。特典映像には、一部『バカリズムV』で使用された(と思われる)映像が。もう『バカリズムV』のDVD化は無いということかしら……。

■四月
25日、『トータルテンボス 漫才ライブ「漫遊記」』発売。漫才といたずらを交互に。

■五月
23日、『ラバーガール ソロライブ「ジェイコブ」』発売。低温のテンションで繰り広げられるコントが続く中、『ラジオ』が至極の出来。特典映像には、2005年に開催された初単独ライブの映像を。同日、『マキタスポーツ単独ライブ オトネタ』発売。短い時間にマキタの魅力をギュッと凝縮!

■六月
1日、『横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN』発売。止め処なく続く下ネタに、苦笑いが止まらない! というか、よく流通できたな! しかしネタの内容は緻密で的確。

20日、『キングコング西野亮廣・NON STYLE石田明 「ナイスなやつら ~未来はイイトコロ~」』発売。若き天才漫才師の二人によるユニットコントを収録。同日、『第13回東京03単独公演「図星中の図星」』発売。ハイクオリティなコントと映像にただただ圧倒される。特典映像には、豪華ゲストを迎えての、壮大なる悪ふざけ!

27日、『バカリズム案5』発売。バカリズムの思いつきを言語化・可視化しただけのライブDVD、第五弾。普段はシュールの皮に包まれている、バカリズムの偏屈ぶりがまたも剥き出しに。

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2012年7月のリリース予定

13『THE GEESE Poetry Vacation
25『ワイルドだろ~(スギちゃんDVD)
25『ブスをもってブスを制す』(チキチキジョニー)

※『世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン』は8月22日に発売日が変更になりました。
※『ウレセン!!』は発売未定となりました。

2012年もとうとう下半期に突入。お盆のお笑いDVD大売り出しを目前に控えた七月は、実力派ナンセンスコント職人“THE GEESE”のコントDVDからスタート。なんでもこのDVDは、amazonと公演会場でしか手に入らないらしい。コロムビアめ……。一方で、今まさに人気真っ只中の、スギちゃんとチキチキジョニーのDVDが同時発売。サンミュージックは安定して新しい勢力を輩出するなあ……。

「松本人志」「太田光」とともに立川談志が評価した芸人は誰なのか?

先日、とある事情により、赤塚不二夫対談集『これでいいのだ』に目を通した。

赤塚不二夫対談集 これでいいのだ。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)赤塚不二夫対談集 これでいいのだ。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2008/12/20)
赤塚不二夫、タモリ、北野武、松本人志、立川談志、荒木経惟、ダニエル・カール、柳美里

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“とある事情”などと書くと、なにやら意味深に受け止められるような気がするが、そこまで大した事情はない。隠す理由も無いのでズバリ書くと、この対談集に目を通したのは “テレビの話”があるのではないかと思ったからである。テレビに出る側の人間にとってテレビとは如何なる存在であり、また、どういう距離感で接しているものなのか……それについて少しでも語られているのではないかと思って、本書を手に取った次第である。もっとも、本書を手に入れたのは今よりもずっと以前のことで、その理由も古本屋で500円と安価で売られていたのでなんとなしに……なのだが(※amazonは文庫版を貼っているが、実際は単行本を購入した)。

さて、ここでまたも、疑問を抱かれる方が現れるのではないだろうか。赤塚不二夫はあくまでも漫画家であり、テレビタレントと呼ばれる代物ではなかった。そんな赤塚の対談集で、どうしてテレビの話を拾おうとしたのか……と。それについては、対談相手の名前を見てもらえれば、私の気持ちを理解していただけるのではないかと思う。本書で赤塚と対談しているのは、「タモリ」「柳美里」「立川談志」「北野武」「ダニエル・カール」「荒木経惟」「松本人志」……そう、その対談相手の多くは、テレビ界で笑いの巨人として知られている人物なのである。このメンバーが相手ならば、テレビに関する話も少しは目にすることが出来るのではないか、と踏んだ次第だ。結果、私の思惑は的中したわけだが、それよりも興味深い話があったので、少々、ブログで取り上げさせてもらうことにした。是非、読者の皆さんにも、一緒に考えてもらいたい話である。

私が興味を抱いたのは、赤塚不二夫と立川談志の対談におけるワンシーンだ。
 

談志「漫才って言えば、この間、NHKが若い漫才でバトルみたいなことをやってるんですよ。それの審査委員長を俺がやった。いいのがいますよ。例えば、二人の車をぶつけたっていうシチュエーションでね。普通、『やすし・きよし』だとそこで罵倒し合ってお仕舞いなんだけどね。彼らの場合は、そこでお互いに携帯電話を使って“待ち合わせ相手に遅れる”って喋る、お互い同じようなこと言ってるわけですよ」


ここで談志が話している“NHKが若い漫才でバトルみたいな”というのは、恐らく「爆笑オンエアバトル」のことだろう。事実、同番組の第一回チャンピオン大会および第二回チャンピオン大会の審査委員長は、談志が務めていた。となると、ここで談志が話しているのは、第一回チャンピオン大会でコントを披露したアンジャッシュに相違ない。当時、彼らは交通事故のコントを演じ、やはり談志に褒められていた。このくだりだけでも、「爆笑オンエアバトル」クラスタにはたまらないものがあるのだが、本題はこの後である。

談志「あと、名前は忘れたがいいのがいた。で、「こいつ、頭いいだろ」って訊いたら、関係者が「はい、いいです。でも偏屈です」って。『爆笑問題』の太田も同様か。あと最近、見直したのが松本人志。」


この、“名前は忘れたがいい”というのは、一体誰のことなんだろうか?

「爆笑オンエアバトル」第一回チャンピオン大会に出場していたのは、以下の十組。

DonDokoDon
テツandトモ
アンジャッシュ
ラーメンズ
北陽
バカリズム
OverDrive
アンタッチャブル
号泣
底ぬけAIR-LINE


先に書いてしまうと、私はこの答えをはっきりと定められていない。そこまで真剣に調べてもいないので、もしかしたら談志自身がどこかで答えを提示している可能性もある(情報求む)。なので、何もかもが分かっていない現状としては、とりあえず数少ない状況証拠から候補となり得るだろう芸人の名前を挙げてみるだけのことしかできない。今回、私は私なりの考えで、その候補を挙げてみた。宜しければ、皆さんもご一緒に、頭をひねっていただきたい。松本人志、太田光と同様に、芸人としてだけではなく評者としても類い稀なる才気を放っていた立川談志が「いい」と評価したのは、一体誰なのか?

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「オンバト+」六月十六日放送感想文(石川)

■ヒューマン中村【517kb/3,950票】※会場審査1位・視聴者投票1位
初出場初オンエア。「R-1ぐらんぷり2011」および「R-1ぐらんぷり2012」ファイナリスト、オンバトのステージに降臨す。ネタはやっぱりフリップ漫談で、『しりとりで言い返そう』。色んな傷つく言葉にしりとりで返していく。“しりとり”という制限が、言い返しの面白さを更に増幅させる効果になっている。実に上手い。勿論、言い返しの面白さが前提にあるんだけれども、それにしても上手い。ただ、なんとなく「R-1ぐらんぷり2012」でいなだなおきがやっていたネタを彷彿としなくも……まあ、細かいことは置いておこう。面白かった!

■スパイク【497kb/1,467票】※視聴者投票2位
三戦全勝、今期二勝目。女性漫才コンビとして、着実にその存在感を番組内に浸透させている彼女たち。「オンバト+」史上初の女性コンビでチャンピオン大会進出なるか。今回のネタのテーマは『嫁・姑問題』。嫁をいびる姑のショートコントを展開する。ボケの当たり外れが激しく、面白いところは面白いのだが、面白くないところはただただ置いていかれる。そのバランスの悪さもまた若手の良さといえるのかもしれないが、なんとも惜しい。バズーカのくだりはもうちょっと面白くなったんじゃないかあー。

■ツインクル【417kb/917票】
初出場初オンエア。ツインカムでもなければツィンテルでもないし、ツインズでもなければツートンカラーでもない。ツインクルである。ややこしいコンビ名だ。「爆笑オンエアバトル」には2003年から出場、2005年12月を最後に出場していなかったが、まさかの六年半ぶりの出場で初オンエアである。長い戦いだったんだなあ。ネタは、ボケの田中が奥さんにプロポーズをしていないという話から、『プロポーズ』をする漫才コント。無個性とまではいわない程度のベタな漫才を、しっかりと鍛え上げられた腕でグッと見せつけたような印象。こなれている感じから、ほのかに漂う哀愁はたまらないものがあったが……。

■ランチランチ【437kb/1,191票】
六戦二勝、今期初オンエア。「爆笑オンエアバトル」では連勝街道をひた走っていた印象の強い彼らだが、「オンバト+」になってからは大失速。前回は193kbというトンデモない結果になってしまった。個人的には、面白いときはたまらなく面白いコンビだと思うので、応援しているのだが……。ネタは、売れたら出てみたい『CM』を考えてみる。こちらもベタベタなボケが多いが、ケンジ(現在は“ラリゴ”に改名。……なんだよ“ラリゴ”って!)の空気を無視した振り切れっぷりが良いアクセントに。うみちゃんがボケに挑戦するくだりは、些か唐突過ぎた気もしたが、全体的には決して悪くはなかった。……悪くはなかった!(念押し)

■こぶし【397kb/1,428票】※視聴者投票3位
三戦一勝、今期初オンエア。前回は地元の三重県大会に出場するも、329kbでオフエアという残念な結果に終わっていた彼ら。今回はそのリベンジとなった。ネタはコントで『だ~れだ?』。待ち合わせに遅刻している彼女を待っている男に「だ~れだ?」を仕掛けてきた女が、何処の誰だか分からない……という、ややナンセンスの度合いが強いコント。最後まで「だ~れだ?」を引っ張り続けられるバリエーションの豊富さに感心するも、終盤のバカ展開に思わず戸惑ってしまった。面白かったけれど、そのオチはちょっと勿体無い……!

・今回のオフエア
393kb:サイクロンZ
345kb:ラブレターズ
317kb:ツィンテル
269kb:プリンセス金魚
265kb:ザンゼンジ

ヒューマン中村と同様、「R-1ぐらんぷり2012」ファイナリストのサイクロンZがオフエアという結果に。こちらはR-1で披露したネタを持って来たらしいのだが……地方の広い会場ではちょっとハマらなかったか。「キングオブコント2011」ファイナリストのラブレターズも、今回はオフエア。アッシュ&ディーの新参として、もうちょっと頑張ってもらいたいところ。松竹の新参者漫才師プリンセス金魚、なかなか連勝できない!

・次回
ウエストランド
【初】じゅんいちダビッドソン
ソーセージ
【初】ソフトアタッチメント
チョコレートプラネット
ニッチェ

ぽ~くちょっぷ
マシンガンズ
恋愛小説家

一昔前の漫才師を思わせるウエストランド、第2回チャンピオン大会でその実力を如何なく見せつけたソーセージ、濃いキャラクターが魅力のニッチェ・響、ダブルボヤキフルスロットル漫才マシンガンズ、その他個性豊かなメンバーが揃う。なお、次回の放送予定は七月十五日(十四日深夜)となる模様。あと、「オンバト+」二代目チャンピオンのタイムマシーン3号が出演する「笑神降臨」が七月十四日(十三日深夜)に放送予定。どちらも見逃さぬよう……。

東京03の手引き

テレビはつまらなくなった、という論調がある。

それが事実なのかどうかは知ったこっちゃないのだが、そういう論調は確固として存在している。で、テレビとともに思春期を過ごしたものの、テレビっ子というほどにテレビに固執していない私としては、それを聞いて「あ、そうですか」なんて常識的なリアクションを取ることしかできない、というか大抵の人はそうだろうが、テレビなんてそこまで必死になって見るものではないというのが私の考えであり、若手芸人のネタ番組などは地方在住ということもあって、それなりにチェックを入れておこうと思って録画、あっという間にHDDをパンパンに膨らませてしまってはいるものの、一般のバラエティ番組、健康番組、テレビドラマ、音楽番組などに過度の期待を寄せるということはない。テレビなど、所詮は流れゆくメディアである。だからこそテレビは刹那的で美しい、ともいえるのだが。

とはいえ、「テレビはつまらなくなったよ」などと格好付けた顔で、またどういうわけか上から目線で語っている人たちが、それなら彼らは何を楽しみに、何を娯楽に、何を生活の糧として日常という曖昧模糊たる時間を貪っているのか、という疑念が生じるわけで、だからといって、彼ら一人一人に質問を投げかけるのもアホらしく、バカバカしく、そんな時間があるのであれば近隣住民たちが訳も無く飼育している犬の散歩でも一挙に引き受けた方が、世のため人のため清く正しい近所付き合いのために良いと思えるので、これは決してやらないのだが、気になる次第である。まあ、豊かなる現代社会、食物も書物も風俗も満ち足りている昨今において、誰が何を主たる喜びに感じているのか、いちいち調べずとも「それぞれである」という結論に至るのだが。

そんな時代の最中にあって、「有難いことに……」と私がしゃしゃり出ることではないと思うのだが、「東京03を生活の糧にしてやらんこともないでげす、てへっ」と照れ臭そうに笑ってくれる人が増えているのだという。理由を調べてみると、これがテレビにある。昨年、深夜帯にこっそりと放送されていたコント番組「ウレロ☆未確認少女」において、彼らが劇団ひとり・バカリズム・早見あかりらとともにレギュラー出演しているのを見て、改めてキングオブコント優勝者の手腕を確認し、彼ら自身に興味を抱く……という流れがあるらしいのだ。こうなると、「テレビはつまらなくなったよ」などと冷笑を浮かべているバカを相手にしている場合じゃない。東京03ファンとまではいわないにしても、東京03のコント師としての実力、スタミナ、バイタリティを評価している一個人としては、黙っていられない状況である。テレビのおかげで彼らに興味を持つ人が増える、その中の何人かは単独公演の客になる、テレビのおかげでライブの客が増える、これまさに金の卵ではないか!

と、いうわけで、東京03を評価してくれる人を「倍率ドン!更に倍!」と増やすべく、東京03の手引きなるものを書き上げてみた。何が必要な情報で何が不必要な情報なのか分からないので、とりあえずザッとした内容になっている。大した文章ではないが、それでも、僅かでも、彼らに対して興味を抱いていただければ、これ幸いである。

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東京03単独公演のエンディングテーマがガチで名曲な件。

第13回東京03単独公演「図星中の図星」 [DVD]第13回東京03単独公演「図星中の図星」 [DVD]
(2012/06/20)
東京03

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東京03といえば、コント職人。そういうイメージが強いのではないかと思う。事実、彼らはテレビタレントとしては、さほど活躍を見せていない。しかし、彼らの新作コントを堪能できる単独公演では毎度全国ツアーを展開し、聞いたところによると“黒字”を出しているらしい。そういう背景を考慮すると、彼らはやっぱりコント職人である。ただ、彼らのネタには、いわゆるコント職人にありがちな「分かるヤツにだけ分かればいい」という、閉鎖的な傾向が見られない。人間関係の歪みから生じるズレを広げていく東京03のコントは、前知識を必要とせず、純然たるすっぴん状態で存分に楽しめる、まさしくエンターテインメントとしての様相を呈しているのである。

ただ、東京03の本質は、コントのみに非ず。そのことは、彼らの単独公演を一度でも観れば分かることだ。例えば、コントとコントの間に流されている、いわゆる“幕間映像”の下らなさ! 町中に隠れている豊本の姿を探させたり、角田がピエロの格好をしてカップルを見守ったり、ヒーローの格好をしてグッズ販売の宣伝をしたり……とにかく、バカバカしい。綿密に考え込まれたシチュエーション、適度に過剰な味付けが施されたキャラクター、これらが絡み合うことによって誕生する極上のコント……とは、また違った面白さがここにある。そして、気付かされる。「あれ? 東京03って、実はバカなんじゃない?」と。そう、彼らの本質は、計算されたコントの根っこにひっそりを埋まっている、限りないバカバカしさなのである。

そのバカバカしさは、単独公演の度に創作される主題歌・エンディングテーマでも確認することが出来る。「マジ歌」でもお馴染みの角田晃広が熱唱するそれらの曲は、どっかで聴いたことがあるような気がしないでもない、でも何なのか思い出せない、パロディソング……もとい、パクリソングだ。その聞き覚えのあるメロディに載せて歌われる歌詞が、もうとにかくバカバカしい。ある単独では、MJの名曲に幽霊退治映画のテーマソングを掛け合わせて、沢山の選択肢から一つを選び出せずにグズグズしている男の曲が歌われていた。豪華なんだか、なんなんだか。

それなのに、第13回単独公演『図星中の図星』で披露されたエンディングテーマを聴いて、私はうっかり泣いてしまった。笑い過ぎて泣いてしまったというのなら容易に理解もしていただけるだろうが、これがいわゆるガチ泣きである。なんの冗談だと思われるかもしれないが、考えてもみれば納得のいく話なのだ。東京03の単独公演で披露されているテーマソングの歌詞は、その多くが男の矮小な一面を歌ったものである。女にモテたい、チヤホヤされたい、周りの皆にホメられたい……それはいわば、人間の欲望そのものだ。それを微塵も隠そうとせずに、ただただ真っ直ぐにぶつけてくる。だから、彼らの単独公演のテーマソングは、骨太に笑える。ところが、『図星中の図星』のエンディングテーマにおける、その包み隠さない真っ直ぐな欲望まみれの気持ちが、うっかり私の心に突き刺さってしまったのである。

現在、東京03は第14回単独公演『後手中の後手』で、全国を回る準備をしている。そして、第13回単独公演『図星中の図星』の模様を収録したDVDが、間も無くリリースされる予定である。その宣伝の意味で、私の心に突き刺さったエンディングテーマの歌詞の前半部分だけを、ここに掲載する所存である。もし、この一部の歌詞に、何か引っ掛かるモノを感じたのであれば、是非とも、その全容をDVDで確認して頂きたく思う。曲名は、「言葉の奥に潜むもの」

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「オンバト+」六月九日放送感想文(石川)

クロスバー直撃【461kb/1,852票】
四戦二勝、今期初オンエア。どういうわけか、四回中三回の挑戦が地方収録な彼ら。そういう特別枠でも存在しているのだろうか? ネタはコント『プラネタリウム』。設定としてはなかなか面白いところを突いているが、やっていることはなんだか陣内智則っぽい。終盤、二人で月と地球を演じるくだりは、コントの流れを考えると蛇足だった。序盤の星を紹介するように見せかけて物販紹介するくだりが良かっただけに、ちょっと残念。

アイデンティティ【493kb/1,083票】※会場審査1位
八戦四勝、今期初オンエア。当たり外れが大きい漫才師として、もはやお馴染みの存在になりつつあるコンビである。それ故に、「爆笑オンエアバトル」時代からコンスタントに出場し続けているにも関わらず、未だに常連という印象を与えない。ネタは漫才『誕生日のサプライズ』。相変わらず発想には目を見張るものがあるが、客を惹きつける丁寧さに欠けている。もっと大きな爆笑を巻き起こせる手腕のあるコンビだと思うのだが……。終盤の畳み掛けが上手く結果に結びついた感。

さらば青春の光【493kb/2,077票】※会場審査1位・視聴者投票1位
五戦三勝、今期初オンエア。松竹芸能の若手注目株として、今期こそチャンピオン大会出場と成るか。コント『休憩室』。店長が休憩に入ったアルバイトの詳細を当てようとするも、まったく当たらない……という、ただそれだけのコントである。ただ当たらない。それなのに、物凄く面白い。ちりも積もれば山になるが如く、当たらな過ぎる状況がどんどん面白くなっていく。当たらなさ加減も絶妙で、最後まで飽きさせなかった。オチも見事!

ウメ【437kb/1,896票】※視聴者投票2位
二戦一勝、今期初オンエア。ウメといえばスケッチブックコントのイメージが強いのだが、「オンバト+」では一人コントのみを披露している。スケッチブックネタに限界を感じたのか、なんなのか。いずれにせよ、何も持たずにひょろひょろと一人コントを繰り広げる彼女の姿は、それだけでなんだか面白い。今回のネタは『正義の味方』。細かいボケでがっちり笑いを取っていく姿に、ふと鳥居みゆきを思い出す。何かで共演しないかな。

THE GEESE【437kb/1,878票】※視聴者投票3位
八戦全勝、今期初オンエア。不可思議なナンセンスコントを得意としている彼らだが、その割にキロバトルは安定しており、「オンバト+」になってからはなんと負け無し。この連勝は何処まで伸びるのか。今回のネタも、もちろんコント。待ち合わせした相手が、相手の気持ちになって考えたことを口にしてしまう営業マン……って、なんだこりゃ。最初は相手の気持ちを勝手に代弁してしまうというキャラクターのコミカルさが面白かったが、だんだんと「勝手に代弁」のところがクローズアップされていき、最終的にはちょっと不気味な雰囲気に。笑いの中にエグ味のようなものも感じさせる、なかなか味わい深いコントだった。

・今回のオフエア
425kb:西村深村
345kb:LLR
333kb:閃光花火
245kb:TAIGA
217kb:チェルシー

満を持して登場した不可思議コンビ、西村深村が高得点をマークするも無念のオフエア。ボール三個差か。「爆笑オンエアバトル」時代にはトップ合格も経験したLLRだが、「オンバト+」ではオフエアスタート。安定した漫才師というイメージがあったので、やや意外な結果となった。前回、トレンディドラマ風のコントでオンエアを決めたTAIGA、今回は敗退。あの妙な質感をもう一度……。

・次回
こぶし
サイクロンZ
【初】ザンゼンジ
スパイク
【初】ツインクル
ツィンテル
【初】ヒューマン中村
プリンセス金魚
ラブレターズ
ランチランチ

なんとなく“新しい風”という雰囲気を漂わせている、新鮮味に満ちた回。R-1ぐらんぷり2012ファイナリストの「サイクロンZ」「ヒューマン中村」に、キングオブコント2011ファイナリストの「ラブレターズ」、オンバト+の次世代として注目されている「スパイク」「ツィンテル」「プリンセス金魚」などなど、とってもフレッシュ。そんな中、負けが込んできているランチランチには、爆笑オンエアバトル・チャンピオン大会出場経験者としての意地を見せてもらいたいところ。

五街道雲助『お直し』に衝撃を受ける。

五街道雲助4 朝日名人会ライヴシリーズ64 替り目/お直し五街道雲助4 朝日名人会ライヴシリーズ64 替り目/お直し
(2010/08/18)
五街道雲助

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五街道雲助『お直し』を聴く。

『お直し』とは、ある夫婦の姿を描いた古典落語の一席だ。トウが立って売れなくなってしまった女郎と、そんな彼女のことをなぐさめていた若い衆が、当然のように深い仲となる。いわば“商品”とそれを扱う“店員”がそういう関係になるのは、いうまでもなく御法度だ。そのことはいずれ店の主人に知られることとなる。しかし、その仲を尊重した主人は、二人を夫婦にし、店の働き手として通わせ始める。最初は二人とも懸命に働いたが、お金が貯まるにつれて、だんだんと夫の方が博打に手を出し始める。家からどんどん金を持って行く。お金が無くなると、今度は家財道具を持ち出し、換金して使ってしまう。やがて夫婦はどちらも暇を出され……つまり店をクビになる。と、ここまでがプロローグだ。ここから先が本題である。

店をクビになった夫婦は、やむなく蹴転という仕事に着手する。蹴転とは女郎屋の一種で、二畳ほどの部屋に客を入れていわゆる遊びをするという、最下層の商売だ。この商売には決まりがあり、客を入れるたび線香を使って時間を計り、既定の時間が過ぎるたびに客に「お直し」(時間延長)するかどうかを尋ねることになっている。亭主が呼び込みをし、女房が女郎をする。ここに夫婦の蹴転が誕生したわけだ。ろくでもない女ばかりが揃っている蹴転の中で、まがりなりにもちゃんとした廓で女郎をやっていただけのことはあって、店を開くとすぐに客を捕まえた。あるコトないコトを口にして、とにかく客のことを持ち上げる女房。そんな女房の姿を見て、嫉妬に駆られる亭主。思わず二人のジャマをしようと、線香の火も燃え尽きぬうちに「お直し!」「お直しだよ!」「お直ししてもらいな!」。ここが、この『お直し』の最大の見せ場だ。やがて客は帰り、夫婦は再び二人きりに……。

実をいうと、私はこの『お直し』というネタが、あまり好きではなかった。理由は二つある。一つは、あまりにも暗いところ。一度はまともな仕事に就けた夫婦が、自業自得とはいえ、女房を女郎にした商売を始めなくちゃならないというのは、些か陰鬱過ぎる。もう一つは、亭主のどうしようもなさ。自分で自分の身を落とした揚句、女房を女郎として店に出そうという了見が、もうどうしようもない。女房も女房で、どうしてこんな亭主についていってしまうのか。身体にフェミニストなフランス国民の血が流れている私としては(注:流れてません)、どうしてもそこんとこが引っ掛かってしょうがなかったのである。

ところが、雲助師匠の『お直し』を聴いて、私の『お直し』に対して抱いていた不快感は消し飛んでしまった。雲助師匠は『お直し』というネタを従来通りに演じてみせた後、夫婦が愛を確かめ合うくだりを印象的に演じ、そして最後のオチとなる一言を冷たく言い放つのである。

『お直し』は“どん底での夫婦愛”を描いた落語として知られている。事実、二人はどん底にある。しかし、先にも書いた様に、それは亭主が自ら落っこちてしまったどん底だ。客観的に見れば、この亭主がどうしようもないのははっきりしている。なのに、女房は亭主のことを愛しているものだから、仕方なく蹴転へと身を落とす。ダメ亭主と、そんなダメ亭主を愛して止まないダメ女房。そんな二人がどんなに愛を語ったところで、第三者にしてみれば、女郎と客のやり取りのように上っ面だけのように見える……などという意図をもって演じたのかどうかは知らないが、私はそういう風に受け取った。もしかしたら、単なる勘違いなのかもしれない。だが、この陰鬱な夫婦愛を描いた物語に、ほんのちょっとでも水を差せることがが分かっただけでも、ひとつの収穫だ。

ちなみに、五街道雲助師匠は、『お直し』で芸術祭賞を受賞した“五代目古今亭志ん生”の孫弟子である。脈々と受け継がれる『お直し』の系譜、一度体感してみるべし。同時収録されている『替り目』も良いぞ。

「水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタルツアー」(松山)

人生かぞえ歌人生かぞえ歌
(2012/05/16)
水谷千重子

「水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタルツアー」を鑑賞した。

念のために説明しておくと、“水谷千重子”というのは実在の人物ではない。女性ピン芸人・友近が演じるキャラクターの一人である。ただ、彼女が演じる他のキャラクターに比べて、その知名度は格段に高いと思われる。何故ならば、“水谷千重子”は友近ではなく水谷千重子本人として、数々のバラエティ番組に出演していたからだ。友近が熱心に出場し続けている「R-1ぐらんぷり」2012大会にも、彼女は本人として姿を現していた。今回のツアーは、そんな水谷千重子というキャラクターの一つの集大成といえるだろう。

今回、私が訪れた会場は、松山市道後にある「ひめぎんホール」。松山は友近の生まれ故郷であり、六都市を回る全国ツアーの最終地でもある。私が会場前に辿り着いたのは丁度開場時刻(開演30分前)のことだったのだが、既に客は行列を成していた。全席指定なのだから、そんなに慌てて並ぶ必要はない筈なのだが。一刻も早く水谷千重子の世界に浸りたい、という強固な思いがあったのだろうか。私はそこまで強い思いが無かったので、行列が途切れるまで近辺を適当にブラブラして回って、時間を潰した。よく見ると、あちらこちらの壁に、よしもと芸人の公演を伝えるポスターが貼られている。しずる、トータルテンボス、ジャルジャル、そして愛媛住みます芸人のモストデンジャラストリオのトークライブ……客が入ればいいのだが(ちなみに、ジャルジャルのライブには行く予定)。

開演10分前に会場入り。会場ロビーには沢山のグッズが売られていた。後で確認したら、パンフレット、千社札シール、ハンドタオル、ポスター、あぶら取り紙、うちわ、手鏡、千重子の彩(白だし)が売られていたそうだ。また、実際に“水谷千重子”名義でリリースされたCD『人生かぞえ歌』と、9月に発売が予定されているDVDの予約用紙が置かれていた。私はパンフレットだけを購入。CDも気になったのだが、最終的に買わなかった。だが、買っても良かったかもしれないと、今となっては少し後悔している。公演中に収録曲を歌っている姿を見せつけられたのだが、なかなか良い曲だったからである。そこはガチ。

午後3時、開演。DVD化が予定されているために細かい説明は省くが、公演は三部構成になっていた。

第一部は、水谷千重子による歌唱、即興による作詞作曲コーナー、ゲスト歌手(という設定の芸人仲間)とのトーク&歌唱が披露された。松山公演のゲストは“倉たけし”……もとい、ロバート秋山竜次。地方でCMソングを歌って生計を立てている、千重子の同期として出演していた。この辺りの様子は、どれだけ収録されるのだろう? 全体的に友近色の強い本公演だったが、ここだけは秋山の世界に満ちていた。ところどころでご当地CMネタも披露されたらしいが、香川県民の私には何が何だか分からず。ちょっと残念。

第一部終了後は、15分の休憩。休憩時間中、これまた友近の名物キャラクターとして知られる“西尾一男”が、途切れることなく延々とアナウンスし続けるという演出に大笑い。この休憩時間はDVD化されるのだろうか? かなり面白い話をしていたので、是非とも残してもらいたいところなのだが。

第二部は千重子一座特別公演「ゲノゲの女房」。水谷千重子、中村繁之、山田まりや、倉たけし、ゲストの女性芸人(この日は渡辺直美)らによる、ちょこざいな時代劇が披露された。……本当にちょこざいである。また、住みます芸人として、モストデンジャラストリオもしれっと出演。噂にだけ聞いたことのある彼らの姿を確認することが出来て、ちょっとだけ嬉しく思う。第二部終了後、舞台に巨大モニターが設置され、そこに有名人たちからのコメント映像が映し出された。演歌界の面々が登場する中、ビートたけしの登場にビックリ。映像ではなく静止画像だったが、いかにもそれらしいコメントでニヤニヤさせられた(これはそのままパンフレットにも掲載)。ちなみに、“ツービート ビートたけし”名義だった。

第三部はゲスト歌手とのトーク&歌唱コーナー。今度のゲストはガチの歌手である。ここでのゲストはピーター。場馴れしたピーターのトークに対し、“水谷千重子”というキャラクターでがっちりとかじりついていく友近。ガチとフェイクのガチンコ対決といっても過言ではなかった。コーナーの最後には、ピーターが名曲『夜と朝のあいだに』を熱唱。その素晴らしい歌唱力に、心底感動させられた。やはりプロは凄い。

ライブの最後には、豆腐を真っ二つに割ることでお馴染み「越後前舞踏」……の、スペシャルバージョンを披露! ただでさえバカバカしい越後前舞踏が、更にバカバカしいことに! これは是非とも映像に残してもらいたいところだが、果たして……!

こうして、2時間半にも及ぶリサイタルは終了。「R-1ぐらんぷり2012」で披露していた水谷千重子のコントを、その濃度を高めた上で2時間半に引き伸ばしたかのような公演だった。全体的に見ると、大笑いをするというよりも、終始ニヤニヤさせられていたように思う。いわゆる芸人の単独ライブとは大分違っていたけれども、実に下らなく、実に面白いライブであった。50周年記念リサイタルツアーはやるのだろうか。やるとしたら、是非ともまた参加したい。それだけの価値はあった。DVDも楽しみだなあ……。

【報告】本が出ました。

落語を聴かなくても人生は生きられる (ちくま文庫 ま 44-1)落語を聴かなくても人生は生きられる (ちくま文庫 ま 44-1)
(2012/06/06)
松本 尚久

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放送作家・松本尚久氏が編集した落語アンソロジー本『落語を聴かなくても人生は生きられる』に、私のTwitterでのつぶやきが掲載されています。掲載されているのは、10月28日から29日(春風亭小朝独演会を鑑賞した日)にかけてのつぶやきです。よもや、こういう事態になるとは思ってもみなかったので、まったく意識していない自然体のつぶやきになっております。……こんなことなら、もうちょっと丁寧なつぶやきを心掛けておけばよかったよ! 後悔先に立たず。

ちなみに、私以外に文章を掲載している人は、小林信彦、長井好弘、都筑道夫、池内紀、戸井田道三、三國一朗、景山民夫、小谷野敦、森卓也などなど(敬称略)……いよいよ、どうして私のTwitterが掲載されているのか、理解に苦しみますな!(大量の汗を流しながら) 聞いたところによると、本書を買えば一応私のところにも印税が振り込まれるらしいので、まあ、良かったら買ってみてくださいね。

『横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN』

横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN [DVD]横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN [DVD]
(2012/06/01)
横須賀歌麻呂、のい 他

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横須賀歌麻呂。一言でいえばバカである。「芸人なんて仕事をやってるヤツぁ、全員バカだ!」という有識者の意見もあるだろうが、横須賀のバカさは他の芸人の追随を許さない。例えば、ラーメンズだとか、バナナマンだとか、バカリズムだとか、そういう才能溢れるコント職人とは決して同列に出来ない。完全なるバカである。でも、ここでいうバカとは、決して侮蔑の意味を含んではいない。むしろ、称賛の意味をもたせている。なんなら、“漢”の字にルビで“バカ”と入れていると思ってもらっても宜しい。横須賀は、そういうタイプの芸人だ。

でも、だからといって、DVDを出す必要があったのか。いや、出すなとは言わないし、なんならこのDVDで彼のことを知ったのだから、存在意義はあるのだろう。だが、しかし、それにしたってどうなんだ。売れるのか。売れているのか。売れると見込んで販売に及んだのか。全ては謎である。

横須賀歌麻呂のネタは、基本的に一人コントである。絶対にテレビで見ることは出来ないだろう、一人コントである。もし、テレビで放送するとしたら、モザイクとピー音まみれで何をヤっているのかイっているのかワケが分からないことになってしまうだろう。とにもかくにも、酷い。下ネタしかない。こちらが画面から目を放した隙に、腰を振っている。前後にユッサユッサしている。なんなら、目を離していない時にも、腰を振っている。全盛期のHGよりも振っているかもしれない。腰を振っていない時は、股を開いている。無論、力士の様に開脚しているのではない。女性になりきって、股を開いている。で、揺れている。こちらも前後にユッサユッサしている。その状態で口にする言葉も凄い。「挿れて」「出して」などの匂わせる程度の言葉はいうまでもなく、生殖器の名称もバンバン飛び出す。その姿はまさに、青春真っ盛りの中学生のよう。

ただ、横須賀歌麻呂のネタは、中学生の下ネタとは一線を画している。一般的に、下ネタは安直に笑いを取るために使われやすいが、横須賀のネタはそれをきちんと笑いの方程式に組み込んでいる。笑いのツボを心得た上での下ネタなのである。そうして見ると、実は横須賀がお笑い芸人としてテクニシャンであることが分かる。ただスゴい女とセックスをしたというだけの話を、例えを用いながら説明する『昼休み』の言語センスには恐れ入った。また、コントの内容でも横須賀は魅せる。『カマキリの雄が雌に交尾中に食べられてしまうように人間の男が女にセックスの最中に食べられてしまう世界のコント』は、タイトルの安直さに対し、童貞が命がけでAV女優とセックスしようとする迫力が凄まじい名作であった。

横須賀歌麻呂の魅力をグッと詰め込んでいる本作は、「鳥居みゆきが売れたんだから、横須賀歌麻呂が売れる可能性もゼロじゃないんじゃないか?」などということを、一瞬でも思わせてくれる。いや、騙されたと思って、一回観てみろって!


・本編(120分)
「不動産屋」「お昼休み」「カマキリの雄が雌に交尾中に食べられてしまうように人間の男が女にセックスの最中に食べられてしまう世界のコント」「10秒に1度ボケをかまさないと死んでしまう男」「ダークネス・エンジェル」「セックス屋」

・Special Extra Contents「テロ対策特別捜査官 横須賀歌麻呂」
「3:00 p.m. and 4:00 a.m.」
「4:00 p.m. and 5:00 a.m.」

「オンバト+」六月二日放送感想文

アインシュタイン505kb/1,795票)※会場審査1位・視聴者投票3位
二戦一勝、今期初オンエア。R-1ぐらんぷり2012ファイナリスト、いなだなおきがボケを務める漫才コンビが遂に初オンエアを獲得。ネタは『友達に犬を逃がしたことを謝りに行く』シチュエーション漫才だ。ただでさえ強烈な印象を与えるいなだのビジュアルが、漫才の“しれっと卑怯者”キャラをグッと引き立てている。また、その流れから、「君は神にでもなったつもりか?」とトリッキーな言葉が出てくるところも凄い。まだまだ荒削りなところも見えたが、十分にその将来性を見せつけてくれたと思う。まずは「THE MANZAI」からか。

アームストロング(497kb/2,728票)※視聴者投票1位
六戦全勝、今期二勝目。漫才もコントもこなせる器用な彼ら。前回は漫才師としての新機軸を見せつけていたが、今回はコント師としての新機軸を見せつけていた。そのネタは『寿司屋』。寿司屋の大将がボケ倒す客に翻弄されるネタで、飽きそうで飽きさせないバランスがとにかく素晴らしい。ボケの個性ではなく、ボケによって生み出される不思議な空気を楽しんでいるからなのかもしれない。そういう意味では、これまでのアームストロングと同じといえるのだろうか……って、なにやら一人で勝手に迷路に入り込んでしまった感。とにかく面白かった。

メンソールライト(445kb/1,731票)
六戦四勝、今期初オンエア。以前から落語家のような口調で漫談を披露していた彼だが、前回は遂にオンバトのステージに高座を持ち込んでいた。今後もそういうスタイルでネタを演じていくのかと思ったが、今回は以前と同様の立ち飲みスタイルでオンエア。なんとなーく違和感を覚えたのは、前髪を下ろしているからだろうか。このスタイルだと、上げている方がしっくりくるような気がする。理由は無いが。相変わらず喋りは達者である。達者はいいが、おかげでこちらが落ち着く間が無い。面白いネタを話しているのだから、もうちょっとゆっくりでもいいのではないか……と思うが、「オンバト+」ではこのくらいネタを詰め込まないと厳しいのだろうか? もうちょっと、ゆっくりじっくり見せるメンソールライトが見たい。なに、ライブに行け? ……そこまででもないのよねえ……。

ラバーガール(489kb/2,384票)※視聴者投票2位
九戦全勝、今期初オンエア。昨年度のチャンピオン大会では、二回戦に勝ち進んだもののタイムマシーン3号に惜しくも破れてしまった彼ら。改めてチャンピオン大会を目指そうという魂胆なのだろうが、そろそろ東京03みたいにライブ中心でやっていってもいいのではないかと思う。……まあ、その前に、キングオブコントで結果を出さないとなあ。今回のネタは、バイトの後輩からのプレゼントが、盗聴された自分の声を編集して完成させた『饅頭こわい』……って、なんだよこの設定! とてつもなく不気味なシチュエーションなのに、それがどうでも良くなるほどにナンセンス。後輩からプレゼントを貰う男もどっかヘンテコなので、相殺されている部分もあるんだろうけど。高キロバトルも納得の面白さ……なんだけど、なんかズルいなあ(笑)

あばれる君(345kb/1,498票)
二戦一勝、今期初オンエア。高キロバトルが連発される中、地味に低キロバトルで初オンエアを獲得したピン芸人、あばれる君。……どうでもいいけど、凄い名前である。逆に思い付かないタイプの名前だと思う。……まあ、どうでもいいけれど。今回のネタは『戦隊ヒーローのグリーンがニート』。その正義に燃える気持ちとは裏腹にまったく動きたがらないという、そのギャップだけで成立させているコント。設定自体は目新しくないが、演技力と現代的な言葉選びで上手く乗り切っていた様に思う。あとはオチさえ、もうちょっとしっくりくる感じになっていたらなあ……と。とにかく面白かったので、再挑戦に期待したい。あばれる君、実にいい。

・今回のオフエア
321kb:そんぐば~ど
317kb:湘南デストラーデ
245kb:カオポイント
205kb:たいよう
173kb:世界少年

「オンバト+」ではオンエア経験のない芸人たちが、軒並みオフエア。まだまだこれからの人たちなので、今後とも負けずに奮闘してもらいたいが……一部で有名なカオポイントの勝てなさぶりが、そろそろ心配になってきた。漫才協会に所属して、奮闘はしているのだろうが……。

・次回
アイデンティティ
ウメ
【初】LLR
クロスバー直撃
THE GEESE
さらば青春の光
閃光花火
TAIGA
【初】チェルシー
【初】西村深村

じわっと知名度が高い芸人たちの名前が連なる回。当たれば大きいアイデンティティ、ナンセンスコントで全勝中のTHE GEESE、前回珍妙なネタで初オンエアを記録したTAIGAあたりが注目か。また、「爆笑オンエアバトル」時代にはトップ通過を果たしたLLR、「爆笑レッドカーペット」で不可思議な質感のコントを演じていた西村深村あたりの動向も気になるところ。

『海砂利水魚単独LIVE「アントニオ」』(99年10月→07年4月)

海砂利水魚 単独LIVE 「アントニオ」 [DVD]海砂利水魚 単独LIVE 「アントニオ」 [DVD]
(2007/04/25)
海砂利水魚

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上田晋也と有田哲平によるお笑いコンビ“くりぃむしちゅー”が、以前は“海砂利水魚”という名前で活動していたということを、今の十代は知っているのだろうか。知っていたところで何がどうというわけではないのだが、ふと気になった。調べてみると、彼らが番組の企画でコンビ名を解明したのは2001年だという。今から、およそ十年前。ということは、少なくともそれ以降に生まれた人間は、わざわざ調べようとしない限りはその事実を知ることはないということだ。今後、“くりぃむしちゅー”は知っているけれど“海砂利水魚”は知らないという人間は、どんどん増えていくのだろう。まあ、名前が変わったからといって、その本質が変わるわけではない。何の問題もない。ただ、“くりぃむしちゅー”が“海砂利水魚”だった頃、舞台上でどういうネタを演じていたのかは、もうちょっと知られてもいいように思う。

『海砂利水魚単独LIVE「アントニオ」』は、1999年8月に行われたライブ「海砂利水魚 ~Best Album~」の模様を収録したVHS作品のDVD版だ。ライブ「海砂利水魚 ~Best Album~」はVHS版が発売された当時、本作と『海砂利水魚単独LIVE「ジャイアント」』の二本に分けて収録されていたが、これもまた同様の形態を取っている。つぶやきシロー・アリtoキリギリスのVHS版がDVD化された際には、二本の作品を一本にまとめてリリースされていたことを考慮すると、些かイヤらしい売り方の様な気がしないでもない。しかし、いざ本作を観てみると、二本に分けられていることに納得せざるを得ない。あまりにも濃厚で、立て続けに鑑賞すると精神が疲弊してしまうからだ。

本作に収録されているネタは全六本。そのうち三本は幕間映像なので、実質三本のネタが収録されている。映像コントのクオリティも高いが、今回は舞台コントのみ解説する。

一本目のネタは『MANZAI』。“漫才をしている”設定のコントなどではない、純然たる漫才を演じている二人の姿を見ることが出来る。ネタは『タクシー』。これといってストーリーもなく、タクシードライバーと客のシチュエーションだけで展開しているにも関わらず、コンスタントに笑えるのが実に凄い。ふわっとした設定を言語センスの高さで補っているためだろう。中でも、個人的にグッときたのが、有田の傍若無人なボケに対して上田が放った「お前の家族を遺族にするぞ!」というツッコミ。ストレートだと攻撃的過ぎる言葉をちょっと捻ることで、マイルドかつコミカルに表現している。

続く二本目のネタは『待ち合わせ』。“上田と待ち合わせの約束をする有田が、その予定をスケジュール帳に書きこむ”という短いシチュエーションを、様々な性格の有田で演じていくショートコントだ。ラーメンズが「爆笑オンエアバトル」で似たようなネタ(『日替わりラーメンズ』)を演じていたが、ラーメンズが様々なキャラクターに変身していたのに対し、海砂利水魚は有田の性格を変えることで成立させている。その各性格ごとのシチュエーションの掘り下げが、もう半端じゃない。「ここまでいけば十分だろう」と思わせるところから、更に深いところまで掘り下げている。中には、どういう性格に変化しているのか分かりにくいものもあったが、中盤で必ず上田が有田の性格を言語化するという親切設計になっている。各性格のキャラクターで笑わせているように見せかけて、実は脚本の上手さが光ったネタである。

三本目のネタは『合コンにて』。王様ゲームの命令で「外で30分間フリータイム!」といわれてしまった初対面の男たちが、外で雑談を交わしながら時間を潰し続けるだけのコントである。驚くことに、このコントは初対面ならではの絶妙な距離感だけで構成されている。様々な雑談でどうにかして距離を縮めようと試みるのだが、ただただ噛み合わない。気まずい空気が漂うだけで、距離は一向に縮まらない。その生々しさが、たまらなく面白い。誰も悪くないのに、どうしてこんな空気になってしまったのか! 海砂利水魚のコント職人としての手腕が垣間見える、傑作といえるだろう。

『海砂利水魚単独LIVE「ジャイアント」』については、いずれ。


・本編(60分)
「MANZAI」「事件」「待ち合わせ」「海砂利水魚のネタが出来るまで」「合コンにて」「スター密着レポート24時」

ラバーガールソロライブ『ジェイコブ』

ラバーガール ソロライブ「ジェイコブ」 [DVD]ラバーガール ソロライブ「ジェイコブ」 [DVD]
(2012/05/23)
ラバーガール

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現在、結成十年目を堪能中のお笑いコンビ、ラバーガール。売れそうで売れない状況のまま迎えた十周年だが、コント師としての実力はメキメキと向上しているように思う。その成長過程がこうして毎回DVD化されている現状は、ライブに赴くことの出来ない地方組の一人である私には非常に有難い。彼らの所属事務所である人力舎もまた、彼らには多大なる期待を寄せているのだろう。それにしても、そろそろラバーガール以降の芸人にも台頭してきてもらいたいところなのだが。最近、注目を集め始めているエレファントジョンや鬼ヶ島も、芸歴でいえば彼らの先輩にあたるし……。

話を戻そう。とにかく今、ラバーガールのコントは着実に成熟へと向かっている。『報道スペシャル2012』の様に彼らお得意のシステマティックなコントは勿論のこと、オーソドックスなシチュエーションコントを特殊なお店を舞台に繰り広げる『Tattoo』、ツッコミ無用の世界観で二人がボケまくる『ホスト物語 ~キョウヤと雅~』など、それは様々なスタイルの中で如実に表れている。また、DVD化されることを逆手にとったかのようなコント『宇宙大戦争』のように、遊びの要素が加わったコントも実に上手くなった。かつてはキングオブコメディのフォロワーという批判もあった彼らだが、今や立派にラバーガールの世界を完成させている。大きくなったなあ(父親の様な温かい目で)

そして今、ラバーガールは新しいステップへと踏み出そうとしている。いや、これを新しいステップと呼べるのかどうかは、まだ分からない。ただ、私はこのコントに、これまでのラバーガールのコントには感じられなかった凄味を感じた。もしかしたら、これが一つの突破口になるかもしれない。そう、思えた。その突破口とは、本編の最後に収録されているコント『ラジオ』である。『ラジオ』は、深夜ラジオのDJ(飛永)と彼の出待ちをするハガキ職人(大水)の関係性を描いたコントだ。当初、二人の関係は良好に思えたが、放送の回を増すごとに大水の態度に変化が現れていく。そして事件が……。以前から、ラバーガールのコントでは、大水が異常に不気味な人物を演じることは少なくなかった。が、その中でも彼は、トップクラスの危うさを持っていた様に思う。そして、そのオチから感じられる、業の露呈……。ラバーガールがこういうタイプのコントを作ることが出来るようになったことは、大いなる前進だ。

なお、特典映像には、彼らが2005年に開催した初単独ライブ「パットミベラルーシ」の模様が収録されている。そこに映し出されているのは、今のようにきちっと笑いを掴み取る姿からは程遠い、しかしがむしゃらに笑いを取ろうと奮闘する若き二人の姿だ。そのコントははっきりいって、酷い。だが、ここから彼らが現在地まで這い上がってきたのだと考えると、実に感慨深い。当時を懐かしんでいる現在の二人の副音声と合わせて、楽しんでいただきたい。


・本編(84分)
「ヘアサロン「JACOB」」「オープニング」「報道スペシャル2012」「振り込め詐欺」「Tattoo」「街角にゃんダフル」「宇宙大戦争」「寿司屋」「マネージャーからの呼び出し」「ホスト」「2人で成し遂げよう」「ホスト物語 ~キョウヤと雅~」「ラジオ」「エンディング」

・特典映像:2005年初単独ライブ「パットミベラルーシ」(56分)
「空手部」「オープニング」「マー君」「ピザ屋」「ロボットコンテスト」「ライフセーバー」「エンディング」

・副音声
ラバーガールによるコメンタリー
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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