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ツッコミ高の時代を象徴する二組の漫才師

『一億総ツッコミ時代』という本が人気を集めている。

一億総ツッコミ時代 (星海社新書)一億総ツッコミ時代 (星海社新書)
(2012/09/26)
槙田 雄司

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著者の槙田雄司氏は、芸人“マキタスポーツ”として知られている人物。そのこともあって、お笑いクラスタ界隈では、特に読まれているらしい。で、好評であると聞いている。そこで早急に購入し、早々に読み始めてみたのだが……これが遅々として進まない。ただ、これは決して本書が不出来だからではなく、単純に私が評価されているものをなかなか受け入れられないザ・天の邪鬼であるが故のことだ。なんとも、どうしようもない。ただ、最初の方をザッと読んでみたり、既に購読された方々の感想に目を通してみたりしたところによると、どうやら本書は世にはびこるツッコミたちに警鐘を鳴らしている本のようだ。

自分はツッコまれないように、つまりボケをやらないように気をつけながら、ツッコミを入れるわけです。ツッコミだけを入れていれば、安全な場所から他人を攻撃できます。そのことで自分の価値を高めようと考えている。(略)私は「ツッコミ高ボケ低」の気圧配置は居心地が悪いと感じています。失敗に対して容赦なく非難を浴びせる。ツッコんでいれば楽だけれど、何も生まれない。空気は悪くなる一方なのです。

『一億総ツッコミ時代』より


これを読んだ数週間後、私はふと思い立ち、ツッコミについて考えていた。







参考:アインシュタイン 稲田のブログ「恐レテミ~ヨ」




そして、私の思考はオードリーの“ズレ漫才”へと辿り着く。

オードリー DVDオードリー DVD
(2009/07/22)
オードリー(春日)、オードリー(若林) 他

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オードリーのズレ漫才が誕生したのは、まだ若林がボケで春日がツッコミだった頃、春日があまりにもポンコツでズレたツッコミばかりしていたのを受けて、そのツッコミのズレにツッコミを入れるという逆転の発想に辿り着いたからだといわれている。つまり、オードリーの漫才は、そもそもヘタクソなツッコミをボケへと転換し、そこへ更にツッコミを入れることで成立しているのである。そんなオードリーの漫才は、見方によっては、世の中にはびこっている、簡単だと思って安易に放たれるどうしようもないツッコミたちに対する批判とも受け取れないだろうか。つまり、ツッコミを入れるという立場を獲得するためだけに放たれた、安直で面白味の欠片もないツッコミたち、それらを春日という存在に置き換えて、若林のプロフェッショナルなツッコミで批判しているとも……恐らくは偶然も偶然、言ってしまえば単なるコジツケでしかないんだろうが、こう考えてみると、なかなかに興味深い。

……このテキストがボケなのかツッコミなのか、決めるのはあなた次第だす。
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2012年12月のリリース予定

19『磁石 単独ライブ「レインボー」
19『bananaman live TURQUOISE MANIA
19『桃月庵白酒 落語集 笠碁/化物使い
19『キングオブコント2012
19『U-1グランプリ CASE 04 『宇宙船』
21『立川生志 らくごLIVE 柳田格之進/反対車
21『コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談 <弐>
24『佐久間一行 全国コントツアー 2012 元気でみるみる
26『ベンビー&こきざみインディアン 『なんまいにく。』
26『バイきんぐ「King」
26『夜ふかしの会コントセレクション「楽しい夜ふかし」

お笑いブームが終わったといわれて久しい昨今、お笑い系ソフトのリリース数も減少の一途を辿っていた筈なのだが……。ここにきて、なんなんだろうか。この年末戦線は。ボーナスを狙っているのか、予算を一気に使い切ろうという魂胆なのかは知らないが、幾らなんでも多過ぎる。幾つか、来月に回せば良かったのに……キングオブコント関連だけでも三作品あるよ! どれも面白そうだから困るよ!

また、この他にも、あの面々に鳥居みゆきが参戦!『東北魂TV 2 -THE TOHOKU SPIRIT -』、若手芸人たちのハッスルコント番組DVD第二弾!『パワー☆プリンDVD vol.2』、たりない男たちのたりない夏がやってきた!『たりふた SUMMER JAM'12』、今日もまた当たり前のことを当たり前のように振り付きで披露する『COWCOW あたりまえ体操 ゴールド(DVD+CD)』、今や芸人というよりも一人のアーティストみたいになっている鉄拳の集大成『鉄拳パラパラ漫画作品集 第一集』、お馴染み有野課長がゲーム三昧『ゲームセンターCX DVD-BOX9』などの作品がリリースされる予定。

……っていうか、こきざみインディアン懐かしいな。昔、ちょっとオンバト出てたっけ。

追記。『ウレロ☆未完成少女』のDVD・ブルーレイボックスが19日にリリースされる予定。HMV・ローソン・テレビ東京限定販売なので注意。

『金環日食の恋』(立川談笑)

金環日食の愛 [DVD]金環日食の愛 [DVD]
(2012/09/05)
立川談笑

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立川志の輔、立川志らく、立川談春とともに“立川流四天王”と並び称される立川談笑の初DVD作品。にわか和尚が禅問答を挑まれる『こんにゃく問答』の舞台をアラブに置き換えた『シシカバブ問答』、紺屋の職人が手の届かない花魁に恋焦がれるお江戸のラブストーリー『紺屋高尾』をジーンズ工場の工員が人気アイドルに恋をする現代劇にした『ジーンズ屋ようこたん』、壷を安く手に入れるために店主を上手く騙してみせる『壷算』を薄型テレビに置き換えた『薄型テレビ算』などなど、従来の古典落語を現代風に置き換える“改作落語”スタイルが知られる談笑師匠だが、本作ではいわゆる古典落語がそのまま披露されている。しかし、そこは談笑師匠、やはり一筋縄ではいかないようで……。

■『松曳き』(12年5月21日・国立演芸場/23分03秒)
粗忽者の殿様“赤井御門守”と、それに輪をかけて粗忽者の家老“田中三太夫”の二人が繰り広げるやり取りを描いた古典落語。但し、談笑師匠の『松曳き』は従来のモノとは違い、殿様は実はしっかりとしており、三太夫の粗忽を引き出すためにわざと粗忽であるように見せていた……という解釈の元、構成され直してある。それ故に、殿と三太夫のやり取りは単なる粗忽者同士のぶつかり合いに終わらず、どことなく底意地の悪い展開を見せてゆく。その姿はまるで、年末の特番でとことんイジられ倒されるジミー大西の様相。そして終盤、とうとう精神を崩壊してしまう三太夫……! 放送コードには引っ掛からないだろうけど、テレビでは絶対に放送することが出来ないだろうスリリングな口演。こんな『松曳き』、観たことも聴いたこともない!

■『おせつ徳三郎』(12年4月18日・国立演芸場/40分51秒)
ある大店の娘“おせつ”が、どうも奉公人の“徳三郎”と親密な関係になっているらしい……という噂を耳にした主人。今年の花見に二人が出掛けたというので、同行した定吉に話を聞いてみると、どうやら噂は真実らしい。身分の違う二人を一緒にするわけにはいかない、徳三郎にはすぐさま暇を出し、おせつには男を添わせようとするのだが……。あまりにも長い内容のため、前半を『花見小僧』、後半を『刀屋』と区分して、別々のネタとして演じられることの多い演目『おせつ徳三郎』だが、本作では全編がっつりと演じられている。前半の『花見小僧』のくだりは、ちょいとばかりアダルトに。花見で起こった出来事を官能小説じみた口調で語る小僧の早熟ぶりに、将来を心配せずにはいられない。後半の『刀屋』のくだりでは、徳三郎の若さゆえの熱い気持ちを重視。別の落語のキャラクターなんかも登場したりして、原典よりも合点の行く展開に仕上がっている。惜しむらくは、終盤のぐずぐず感。あそこをもっとスマートに進められていれば、とんでもない名作となっていたかもしれない……が、もしかしたら、あれは談笑師匠の照れだったのかも……?

■ボーナスマクラ(12年3月15日・国立演芸場/10分41秒)
談志に認められて、二つ目になった夜のエピソードを収録。

『春風亭一之輔 真打昇進記念』

春風亭一之輔 真打昇進記念春風亭一之輔 真打昇進記念
(2012/10/17)
春風亭一之輔

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2012年3月に真打となった落語家、春風亭一之輔の記念盤。

春風亭一之輔は2001年5月に五代目春風亭柳朝の総領弟子・春風亭一朝に入門、同年7月に“朝佐久”の名で前座となる。2004年11月には二つ目に昇進、名前を“一之輔”に改める。NHK新人演芸大賞落語部門大賞、文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞を受賞するなどの目覚ましい活躍ぶりから、実力のある二つ目として注目を集める。今回の真打昇進は、まさしく満を持してといったところだろう。

■「千秋楽口上」(2012年5月20日・国立演芸場)
鈴本演芸場、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場を股にかけて行われた50日間の真打披露興行の千秋楽での口上を収録。口上を述べているのは、春風亭勢朝(一門代表)、柳亭市馬(落語協会・副会長)、林家木久扇(落語協会・相談役)、春風亭一朝(師匠)の四名。単なる口上と侮るなかれ、それぞれの個性が滲み出ていて、実に面白い。中でも、こういう状況でも確実に笑いを獲ってやろうという、林家“ラーメン”木久扇師匠の芸人スピリット溢れる口上は必聴。

■『五人廻し』(2011年4月29日・築地本願寺ブディストホール)
花魁に待たされている五人の個性豊かな客らを、店の若い衆の視点で描いた廓噺。いわゆる大ネタとして知られており、実際、聴いた後の充実感はたまらないものがある。待たされている客の視点から若い衆の視点へと変わる瞬間などは、まるで映画のカットを観ているかのようだ。一之輔の『五人廻し』は、待たされている客をかなりバカバカしく強調して演じている。それはなんだか赤塚不二夫の『天才バカボン』に登場する、どっからどう見てもアタマがイカれている人たちを彷彿とする。ギャグ漫画的、とでもいうのだろうか。しかし、それでいて、基本からは決して外れない。噺の世界を絶妙なバランス感で保っている……が故に、そのバランスが崩れたときもまたたまらない。官吏のくだりなどは、大声で笑わせてもらった。サゲは“盲の小せん(初代柳家小せん)”が手掛けたもので、あまり他では聞いたことがない形式になっている。従来のものも好きだが、これはこれで味があってイイ。

■『あくび指南』(2011年8月3日・国立演芸場)
“あくび指南”の先生にあくびを教わりに行くマヌケと、それの付き添いを頼まれるマヌケの噺。“落語の中の落語”と称されることもあるネタ。……そうかなあ。そこまでのものかなあ。一之輔の『あくび指南』は、導入とサゲを従来とは違う形式にするという、なんとも意欲的なアレンジが加えられている。ただ、導入部分に関しては、一之輔オリジナルではないという。彼の著書によると、柳家喜多八から習ったらしい。この形式は初めて聴いたが、なるほど的を射ている。気が短い江戸っ子があくびを習いに行くなんて、このくらいの理由があった方がガッテンガッテンできるというものだ。ただ、サゲは宜しくない。これまた当人が著書で触れているように、オリジナルのオチありきのアレンジというのは良くない。とはいえ、あえてサゲを変えた理由も、分からなくもない。課題だなあ……。

■『百川』(2011年11月29日・国立演芸場)
老舗の懐石料理屋に方向へとやってきた田舎者の百兵衛の訛りに、イキのいい魚河岸の連中が翻弄される噺。先の『五人廻し』『あくび指南』に比べてアレンジの色合いが弱く、かなり原本に近い内容になっている。それなのに、これがべらぼうに面白い。まず、百兵衛のタダナラヌ田舎者っぷりがキョーレツだし、その百兵衛の発する耳慣れない訛りに慌てふためく面々のリアクションもたまらない。一之輔自身も解説で「おはなしとしてとてもよく出来た噺」と書いているが、本当に。まるでアンジャッシュのコントを見ているかのような、とてつもない“すれ違い”ぶりを展開している。やや分かりにくい名称もマクラで解説してくれているので、初心者でも安心して楽しめるだろう。ただ、行程がここまで面白いと、従来のサゲではなんだかつまらない。もっと現代的なサゲが必要なのではないかと思うのだが……師匠、どうですか?

「オンバト+」十一月十日放送感想文

■バイきんぐ521kb3,405票】※会場審査1位・視聴者投票1位
九戦六勝、今期初オンエア。キングオブコントの王者になっても、コントのバカバカしさは相変わらず。今回のネタは『交通量調査』。前半ではバイトをサボってバイトをしているという状況を中心に、後半は交通量調査というバイトそのものを中心に展開する、二部構成のコントとなっていた。やや繋がりに違和感も覚えたが、しかし勢いで見事に押し切っていた。小峠のツッコミワードセンスの高さもさることながら、ボケとツッコミが曖昧になる終盤がとにかく下らない。あと、あのスローモーションの無意味さ。たまんないね。惜しむらくは、“ショパン”がさほど効果的ではなかった点。最後の「ショパンの復活だ!」は、個人的にけっこうグッときたんだけどなあ。

■トレンディエンジェル【453kb/2,155票】※視聴者投票2位
三戦二勝、今期二勝目。簡単に売れるため、オネエ系タレントを目指してみる漫才。自らのスタイルを見出そうと切磋琢磨している漫才師たちを尻目に、何処までもポップで軽快な漫才を演じている彼ら。芸能人の名前もギャグもどんどん引用しちゃう、アイデンティティの薄さがむしろ強みになっているといえるだろう。自身のハゲた頭をネタにしつつも決してネガティブにはならないところが、実に素晴らしい。とにかく明るい。軽くて薄くて明るい。なるほど、ビジュアル通りの芸風だ!(コラ) あと、さりげなく終盤の畳み掛けが凄い! 「どんだけ~!」からの「まぼろし~!」。

■ジグザグジギー【505kb/1,259票】
七戦四勝、今期二勝目。病気で入院していた先生との帰り道、ベンチで休んでいると空に満月。途端に、先生の様子が……。ホラー映画的な緊張感溢れるシチュエーションの中でただただ冷静に繰り出されるツッコミが、とにかく面白い。ただ、このツッコミの面白さが強過ぎるためか、彼らのコントの特性ともいえる“クドさ”が感じられなかったのは些か残念でもある。「ペロペロ」からオチまでの流れが少し弱いのも惜しい。とはいえ、持ち味を損なってはいるものの、きちんと自らの個性を活かして成長していることが見て取れるコントだった。これからは、こういう奇抜なシチュエーションもどんどん取り入れて行くのだろうか。

■リンシャンカイホウ【469kb/1,324票】※視聴者投票3位
四戦三勝、今期三勝目。いつ見ても凄いなで肩! 店にやってきたクレーマーを上手く対処する……という、そこそこオーソドックスなシチュエーションを取り入れた漫才。ボケの一つ一つはそこまで独創的ではないが(クレームに店員の所持品で対応しようとするくだりには笑ったが)、軽快さとメリハリの良さでグイグイ観客を惹き込む力量が素晴らしい。特に小谷の表現力はなかなか高いようで、様々なボケを実にテンポ良く演じていた。今後の活躍に期待できる。あとは、何処に個性を見出すか……っていうのは、前も書いたっけ?

■スカイラブハリケーン【413kb/852票】
三戦一勝、今期初オンエア。「爆笑オンエアバトル」時代から挑戦し続けていたコンビが、五年の月日を経てようやく初オンエア。ホリプロコム所属とのこと。ネタは漫才で、スーパーマリオのBGMに算数の要素を取り入れていく、というもの。……算数って別に暗記するとかそういう科目じゃないから、マリオのBGMで覚えるっていう前提がそもそもオカしい。悪い意味で。九九とかならまだ理解できるのだが。ひょっとしたら、「仕事と恋愛♪ 割り切れない♪」を言いたかっただけなんじゃないか? ここ以外のボケは、めっちゃくちゃベタだったし。せめて、もうちょっと煮詰めてくれたら……。

■今回のオフエア
405kb:アルコ&ピース
397kb:ホシカワ
381kb:かもめんたる
293kb:プリマ旦那
281kb:ドリーマーズ

「THE MANZAI 2011」ファイナリストのアルコ&ピース、「キングオブコント2012」ファイナリストのかもめんたるがオフエア。ちなみに、アルコ&ピースのオフエアネタは、全て漫才らしい。……ファイナリストなのになあ。ポップな漫才師・プリマ旦那もオフエア。なかなか連勝出来ない。

■次回
あきげん
クレオパトラ
【初】334
【初】シロハタ
【初】馬鹿よ貴方は
ハチクミ
ヒデヨシ
風藤松原
や団
吉田たち

なんとなく地味な顔ぶれな回。まあ、常連と呼べるのは風藤松原くらいで、それ以外はまだまだこれからという印象の強い芸人ばかりなので、仕方がないか。芸風をシフトチェンジしたあきげん、当たれば大きいや団、双子であることを上手く漫才に取り入れている吉田たちあたりが注目どころ。

「オンバト+」十一月三日放送感想文

■スパイク【477kb/1,469票】
四戦全勝、今期三勝目。セーラームーンに代表される美少女戦士をやってみる漫才。女の子同士のゆるーいトーンの会話の中に、さらっと放り込まれるサディスティックな言葉がじんわりと面白い。自身の必殺技を解説する松浦に「こいつイッた……!」と痛烈な一言を浴びせる小川の女王様資質よ。そして、「人体が賽の目状に……」のエグ~いボケが、まさかのオチに再利用。マゾな男性ファンが黄色い悲鳴を上げてること間違いなしだぜ!

■ニッチェ【505kb/2,455票】※視聴者投票1位
六戦四勝、今期三勝目。東京から帰ってきたおばさんにフルテンションの姪っ子コント。江上演じる姪っ子のキャラクターも素晴らしいが、近藤のザ・おばさんといった風体も素晴らしいものがあった。コント自体に新しさは見受けられないが、全身を百パーセント活用したパワフルな演技で、こちらをまったく飽きさせない。あと、さりげなく口にしていた「キラキラした目」っていう台詞、何気にコントの世界観を構築する絶妙なフレーズだったと思う。あの台詞を自然に言えるところが演技力。それと余談だけど、「お・ば・さん!」の言い方が完全に引越しおばさんだったなあ……。

■S×L517kb/2,289票】※会場審査1位・視聴者投票2位
初挑戦初オンエア。漫才『プロポーズ』。「人力舎というところからやってきたS×Lと言いまーす!」という導入に、まず反応。人力舎所属の漫才師で、こういう口調でネタを始める人って何気にこれまで存在していなかった気がする。それだけ事務所のネームバリューが上がったということか。ネタは、愚鈍なボケにこなれたツッコミが振り回されるというオーソドックスなスタイルだが、そこにメタな視点が盛り込まれていて、既存の漫才とはまた違った味わいを含んでいる。終盤で放り込まれる「俺、矢作さんに覚えられてる」の凄さ! 今後、どのように展開するのか、気になるコンビ。

■勝又【457kb/1,417票】
九戦六勝、今期初オンエア。朝ならではのドタバタあるある・失敗あるあるは、実は全て謎の存在“朝”の仕業だった……というコント。全身黒タイツの“朝”を見ているとチョップリンの『影』を思い出すが、ネタの内容はニブンノゴ!の『効果音職人』を彷彿とする。が、やっぱり“朝”のインパクトは凄い。なんだよ、“朝”って。見せ方次第ではもっとウケたような気もするが、この雑な感じが彼らの良さという気もする。そういう意味では、彼ららしくないコントといえるのかも。それはそうとして、おしっこ漏らした後のズボンがとっても気になった。そのまんま会社行くの? そのまんま会社行っちゃうの?

■メンソールライト【453kb/2,048票】※視聴者投票3位
八戦六勝、今期三勝目。お馴染み立ち飲み屋漫談。教科書イジりに始まり、電車で聞いたギャルの会話を経て、会社に遅刻した理由を山手線の駅になぞらえる、良く言えばバリエーション豊富な内容。ただ、悪く言うと、統一感がない。まあ、メンソールライトの漫談に統一感がないのは、いつものことなのだが。その分、一つ一つのボリュームで攻めていた感はあったが、どうも小手先感が強くて……。山手線からオチまでの流れは見事。往年のダンディ坂野かと思った。

■今回のオフエア
397kb:さらば青春の光
345kb:チャーミング
297kb:笑撃戦隊
209kb:クロスバー直撃
201kb:ぽ~くちょっぷ

「キングオブコント2012」決勝での活躍が話題となったさらば青春の光が、まさかのオフエア。まあ、時勢に配慮しないところが、オンバトのいいところなのだが。個人的に気になっているクロスバー直撃のオフエアは残念。

■次回
アルコ&ピース
かもめんたる
ジグザグジギー
スカイラブハリケーン
ドリーマーズ
トレンディエンジェル
バイきんぐ
プリマ旦那
ホシカワ
リンシャンカイホウ

既に放送済なので、解説は割愛。

『世間はやかん』(立川談志)

世間はやかん世間はやかん
(2010/05/20)
立川談志

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今は亡き立川談志の『やかん』で大半が構成された一冊。

『やかん』とは、物知りなことで知られる“長屋のご隠居”のところへ、職人気質で荒っぽい“長屋の八五郎”がやってきてアレコレと質問を投げかけるのだが、返って来るのは出鱈目なことばっかり……という、古典落語である。ほぼ全てのやり取りが「質問(フリ)→回答(ボケ)→疑問(ツッコミ)→念押し(ボケ)」で構成されているので、落語というよりも漫才的な印象を与える一席である。

談志の『やかん』は、従来の『やかん』とは一味も二味も違う。従来の『やかん』はとても素朴で、何処となくのほほんとしている。例えば、名前の由来を尋ねるくだりにおける、「鯒はこっちで泳いでくるからコチ」「向こうに泳いでいる時は?」「そういう時は向こうに回ればいいんだっ」などは、実にほのぼのとしていて良い。しかし、談志の『やかん』は、そこに談志のエッセンスがギュギュッと凝縮されている。もっと明確に言うと、立川談志という芸人の人生哲学、芸人理念、ジョークが詰め込まれている。それを更に煮詰めたのが、本書だ。

他の著作にもそれが表れているが、談志の言葉は時にとてつもないパワーを持つことがある。こちらが思ってもみなかった言葉で、ある種のカルチャーショックを与える。それが正しいか正しくないかの問題ではない。ただ、そういう視点があるのか、そういうモノの見方が出来るのかという意味で、とても衝撃的なのである。こんな考え方を教えてくれる人が、もっと若い頃に、身近にいてくれれば、色々と私のアイデンティティも変わったかもしれない。いや、今の時点でグラグラッとしているから、今からでも変われるかもしれないが……。

例えば、こういうようなやりとりがある。

八五郎「莫迦って何ですか」
ご隠居「状況判断が出来ない人間のこと。状況に対する判断が出来ていないから、当然の結果として処理を間違える」
八「低能ってのは」
ご「知識の少ない、考えのない奴」
八「努力って」
ご「莫迦に恵(あた)えた夢」
八「悋気(やきもち)やきってのは」
ご「自分の懐に入ってくると思ってたものが他にいっちゃって、負けたくせにそれを認めずグズグズいうこと」
八「怒りって」
ご「共同価値観の崩壊」
八「冒険家ってのは」
ご「危険に対する恐怖心の薄い奴」
八「未来って何なんでしょうね」
ご「修正できると思っている過去」
八「若者に未来はありますか」
ご「無い。時間があるだけ。ハンバーガーみてェな文明的な残飯喰ってて、長生きするはずがない。それが証拠に、若い奴で長生きしている奴ぁ一人もいないだろ」


畳み掛けるように吐き出される言葉の一つ一つが、実に重厚かつ強烈だ。

談志の落語というと、実に数々の名演が遺されている。『芝浜』『らくだ』『黄金餅』あたりを筆頭に、『鼠穴』『源平盛衰記』『疝気の虫』『金玉医者』……などなど。しかし、あまり落語に詳しくない一般の人が、立川談志という落語家の凄いトコロを知るには、この『やかん』が最も適切であると、私は思う。不愉快な“常識”で塗り固められた現代人よ、談志の『やかん』で“非常識”のカルチャーショックを受けろッ!

関連記事:人生論を読む前に談志の『やかん』を聴いてみよ

行く道、行く日々

始まりがあれば終わりがあるという。形あるものは必ず崩れるという。

誰が言った言葉なのかは知らないが、なるほどその通りだ。と、考えているうちに、どうせ終わってしまうのであれば、どうせ崩れてしまうのであれば、とっとと終わらせてしまっても良いのではないか、という一つの結論に辿り着く。しかし……不思議なことに、とっとと終わらせてしまうための行為を実行するのは、なにやら憚られる。

思うに、そこには“未練”という壁がある。

生きていれば何か楽しいことがあるかもしれない、生きていれば素晴らしい出会いを経験するかもしれない、そんな“期待”に対する“未練”がある。だから、そう簡単には終わらせられない。

これは逆もまた然り。

予期せぬ事故や病気に見舞われ、何の前触れもなく亡くなってしまった人を前にして、私たちは彼らが体験したかもしれない“期待”への“未練”を覚える。そして、代わりに悔やむ。どうして、どうして……と。

その時、私たちはどうすべきか。

まず、弔いをしなくてはならないだろう。死者の身体を清め、一夜を共にし、周囲の人たちや生前の友人、恩師と呼べる人たちを招き、その別れをしめやかに執り行うだろう。それから火葬場へと移動し、巨大なオーブンを思わせる炉に死者の身体を入れ、そこで肉体との別れを惜しむだろう。数日後には、香典をかき集め、集計し、どんなお返しをしようかと考えているうちに、何かが空しくなるだろう。それから、どうすべきか。

告げよう。「さらば、生かねばならぬ」と。

プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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