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『bananaman live TURQUOISE MANIA』

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(2012/12/19)
バナナマン

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『bananaman live TURQUOISE MANIA』を観る。

バナナマンは1993年に結成されたコントユニットだ。メンバーは、渡辺正行の運転手をしていた設楽統と、お笑いコンビ“陸上部”を解散したばかりだった日村勇紀。結成当初からダウナーなコントを作っていた彼らは、なかなかテレビのバラエティ番組で取り上げてもらう機会を得られなかったが、『内村プロデュース』への出演をきっかけに少しずつ露出を増やしていく。その結果、現在は数多くのレギュラー番組を持つ実力派として活躍、次世代を担うお笑いコンビとして注目が集まっている。かつてのアングラな雰囲気はどこへやら、今や押しも押されぬ売れっ子だ。

『TURQUOISE MANIA』には、バナナマンの二人が2012年8月2日から5日にかけて俳優座劇場で開催した単独ライブより、4日の模様が収録されている。タイトルに使われている“TURQUOISE(ターコイズ)”とは、トルコ石のこと。“第三のバナナマン”とも言われている、放送作家・オークラの誕生石から付けられたといわれている(オークラは12月10日生まれ)。ちなみに、2010年の単独ライブ『DIAMOND SNAP』は設楽の誕生石から(4月23日)、2011年の単独ライブ『emerald music』は日村の誕生石から(5月14日)、それぞれ付けられている。なんだかちょっとロマンティックですね。

本作に収録されているコントには、“異国”をイメージさせるものが多い。

例えば、旅行先でズレたガイドの案内に辟易した観光客が数々の事件に遭遇する『THEOMAN ISLAND』や、ハワイ行きの飛行機を待っている二人が「このやわらかいボールを顔にぶつけたら痛いか痛くないか?」を確認しようとしたりしなかったりする『Killing time』などは、そのまま異国旅行のシチュエーションを描いているし、喫茶店で別れ話を切り出している男女のドタバタ騒動を描いた『喫茶Turquoise』には、男に別れを告げられた女性を愛する情熱的な異国の人が登場する。そして、よくよく確認してみると、本作のオープニング曲のタイトルは『トルコのバナナマン』(星野源)。以前から、彼らは異国を舞台としたコントを何度か演じていたけれど、今回はその要素が特に強調して描かれていた様に思う。

バナナマンと異国といえば、テレ朝動画で配信されている『バナナTV』(2011年12月17日配信開始)のことを思い出さざるを得ない。『バナナTV』は、バナナマンの二人が世界をまたにかけて、各国のエンターテインメントに挑戦する旅番組だ。もしかしたら、番組を通じて世界旅行の楽しさを覚えた彼らの経験が、このライブに反映されているのではないだろうか……と読んでみたが、どうだろう。ちなみに、ライブのエンディング曲は、同じく星野源による『日常』。旅の終わりに日常へと帰るとは、なんともシャレている。

なお、コントの幕間には、実際にライブで使用された映像が収録されている。以前は大喜利テイストの強い映像も幾つか見られたが、今回はとにかく素の彼らにクローズアップ。日村が設楽に「明日の12時に俺が何か言うから、そしたら「車いす」と返してもらいたい」と注文されてから、実際に「車いす」と言うまでの模様をドキュメンタリータッチで描いた『日村は「車いす」と答えることができるか?』、雑談に興じている二人がふと発見した不思議なモノの正体とは?『何コレ?』など、いずれも二人の素の姿を楽しむことが出来る映像ばかりだ。……但し、『日村は炭酸水を2秒で飲めるか?』を除いて。タイトルそのまんまの挑戦をやっているだけなのだが、色んな意味で凄いことになっている。鑑賞の際は食事時を避けるように、お気を付け下さい。

あ、あと今回の赤えんぴつ、熱いよ。


■本編【104分】
「Excited」「オープニング曲『トルコのバナナマン』」「THEOMAN ISLAND」「絵描き歌」「喫茶Turquoise」「日村は「車いす」と答えることができるか?」「Killing time」「何コレ?」「赤えんぴつ」「日村は炭酸水を2秒で飲めるか?」「Where my wife is」「エンディング曲『日常』」

佐久間一行 全国コントツアー2012『元気でみるみる』

佐久間一行 全国コントツアー 2012 元気でみるみる [DVD]佐久間一行 全国コントツアー 2012 元気でみるみる [DVD]
(2012/12/24)
佐久間一行

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佐久間一行 全国コントツアー2012『元気でみるみる』を観る。

佐久間一行は茨城県水戸市出身のピン芸人だ。高校生の時に友達に誘われて芸人の道を目指し始め、1996年に東京NSC2期生となる(ちなみに、その友達は後に気変わりし、芸人になること自体をやめてしまったという)。同期には、ガリットチュウ、関暁夫、くまだまさし、増谷キートンなど。若手芸人の登竜門番組『爆笑オンエアバトル』において高い支持を得てはいたものの、なかなか売れるきっかけを掴めずにいたが、『R-1ぐらんぷり2011』において優勝を果たし、注目を集めるようになる。本作には、佐久間が2012年7月から10月にかけて敢行した全国ツアーから、東京公演の模様が収録されている。

佐久間一行のコントはいつも和やかなムードに包まれている。ファンタジー色の強い設定のコントを演じていることもその原因の一つだろうが、なによりも佐久間当人が醸し出している雰囲気によるところが大きい。はっきり言ってしまうと、佐久間はユルい。滑舌が悪いからしょっちゅう台詞を言い間違えているし、たまに茨城訛りが混じって、本当に何を言っているのかが分からないこともある。ネタ中に笑ってしまうこともしばしば。そしてなにより、「全体的についてこーい!」というギャグになってしまうほどに、観客に伝わらない状況説明の数々……。本当に笑わせようとしているのか、笑わせるつもりがあるのかを怪しんでしまうくらいのユルユルぶりだ。

そんな佐久間のコントだが、その内容をよくよく見てみると、実にきちんとした計算の元に笑いを生み出しているのだから、なんだか不思議だ。もしかしたら、演じている佐久間と作っている佐久間、そこに笑いを盛り込んでいる佐久間はまったく別人なのではないか……と疑いたくなる。三人の佐久間が自宅でネタを作っている姿を想像してみると……うーん、なんだか和む。……いや、流石に嘘だけど。でも、その和み要素と、きちんと計算された笑いが、不思議な感じに混ざり合って、ちゃんとネタとして成立しているんだから、凄い。

本作『元気でみるみる』には、そんな和みと計算の笑いがぎっちり詰め込まれている。村長の病気を治すために必要な薬草を取りに行く男の道中を描いた『ガケの薬草』、虫が人間から受けている仕打ちを人間に置き換えて考えてみたスケッチブック漫談『虫の気持ちになって』、のんびりとした南の島に隠されているという財宝を見つけるぞ!『南の島』、なかなか時間が過ぎない時もこの唄を歌えばきっと大丈夫『みるみる時間がすぎる~歌ネタ~』など、何処を切ってもユルくて、だけどきちんと笑えるネタばかりだ。中でも印象に残っているのは、『残業』というコント。残業しているサラリーマンのやる気が失われたとき、不意に発見される「頑張れ」のサプライズプレゼント! ……の数々! 次から次へと発見されるサプライズプレゼントと、気付けば仕事を放ったらかしにしておプレゼントを探し回っちゃうサラリーマンの残念さが、なんだかとってもコミカルなコントだった。欲望に素直ですこと!

また、特典映像には、佐久間の単独ではお馴染みの「佐久間一行が気持ちいいカタチで登場する」ために行われる『オープニング小芝居』、地方公演で披露された既出コントの焼き直し『リメイクコント』、『元気のうた』に合わせてライブでのハプニング映像を編集した『元気のうた~ハプニング編~』などを収録。とりあえず『こんなかんじの』という映像作品が、面白いとかなんとかいう領域を超越した作品になっているので、一度観てみればいいんじゃないか。いや、理解る。理解るんだけれど……なんじゃこりゃ。牧歌的とかいう言葉では片付けられない奇妙な食感、興味があるなら一口どうぞ。


■本編【63分】
「オープニング」「ガケの薬草」「虫の気持ちになって」「残業」「スカイツリー」「いろんな祭り」「滝の洞窟」「南の島」「みるみる時間がすぎる~歌ネタ~」「元気のうた~エンディング~」

■特典映像【63分】
「オープニング小芝居」「オープニングVTR~初日バージョン~」「こんなかんじの」「リメイクコント『放浪の旅』『ぬすみぎき』『チンピラ達の小旅行』『ピアノ教室』」「サプライズコント~佐藤君~」「元気のうた~ハプニング集~」

『わんわん明治維新』(押井守・西尾鉄也)

わんわん明治維新 (リュウコミックス)わんわん明治維新 (リュウコミックス)
(2011/12/13)
押井 守、西尾 鉄也 他

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日本アニメ史を語る上で欠かすことの出来ないジャンル“わんわんもの”を復活させるべく、ジャパニメーションの鬼才・押井守と、押井に引っ張り回されっぱなしのアニメーター・西尾鉄也が立ち上げた“わんわんもの”歴史マンガ。ペリー、坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、土方歳三など、幕末から明治にかけて活躍した人々の行動・思想をクローズアップ、それらが押井守フィルターに通して描かれている。

いわゆる、歴史をモチーフとしたフィクションにありがちなドラマティックな要素を一切排除し、徹底して史実に基づいて描かれているためか、いちいち人々に対する視線が冷ややか。しかし、それはつまり、歴史ドラマを持ち上げたがる歴史マニアのオヤジや歴女などに辟易している人には、ピッタリの一冊ということ。……実際、私には実によく馴染んだ(それはそれでどうかと思わなくもないけど)。そういうスタンスの本なので、歴史を取り扱った内容にも関わらず、歴史ドラマLOVEな人たちに対してまったく遠慮が無い。例えば、こんなことを言ってみせたり。

押井「キャラクターで歴史を語りたい日本人にはぴったりなキャラだったんだな、龍馬は。歴史やカクメイや戦争を「ロマン」で語ってもらっちゃあ困るんだ! この分野こそリアリズムってやるが必要なんで、陰謀史観と同じくらい弊害が多くて迷惑なんだよ、ホントの話が!

第三回「坂本龍馬」より


でも、すぐさま、

西尾(でも歴史好きならこんなこと常識だろうし、ミーハー気分な龍馬ファンだってエンタメとしての面白さを楽しんでいるだけなんだから、別にいいんじゃないのかなあ)

第三回「坂本龍馬」より


とフォローを入れる優しさ(?)も。

とはいえ、そこはやっぱり日本アニメ界最強のクセモノ・押井守が原作を担当しているだけあって、ところどころに「ならでは」の発言も。

「革命のテーマとは生き延びることである! スジを通して成就した革命なんてありゃしないんだ。亡命したり女に匿われたりしてでも生き延びる! 青臭い理想論よりも、現実の中で戦うべきなのだ」

第二回「武市半平太」より


「そうなんだよ、自分で出した企画ってロクなことにならないんだよね! 『○喰師列伝』なんか、いまだに関係者からグチられるしさ~~」

第五回「続・勝海舟」より


「何を隠そう、このワタシも「永遠のナンバー2」だもん! 東小金井の巨匠がナンバー1でいてくれるお陰でらくちんに好き放題に生きてきました! ホント大変だよな、映画のヒットは義務だし。品行方正で本屋でエロ本立ち読みもできないだろうし。本人はムチャクチャなのに」

第八回「土方歳三」より


……歴史に対する興味以上に、偏執的な押井のことを愛せる人向けの一冊なのかも。

谷井さんのステキなお仕事

YATSUI FESTIVAL!YATSUI FESTIVAL!
(2013/06/12)
DJやついいちろう(エレキコミック)

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エレキコミックのやついいちろうが手掛けるミックスCDの第五弾が出るという。うーん、凄いね。年に一度のペースだけれど、着実にリリースされている。今回のCDは、今年6月に開催される予定の「YATSUI FESTIVAL 2013」に出演するアーティストの楽曲を含む、かなりバリエーション豊富な音源を使用したアルバムになっているらしい……って、この辺のことはお笑いナタリーさんの記事を読めば分かるので、そちらを参考にしていただきたい。それにしても、売れないバカコント職人というイメージしかなかったやっつんが、こんなにも音楽方面で売れていて、今ではフェスなんかもやっているだなんて、本当に凄い。というか、どうすればDJってなれるものなんだろう?

ちなみに、過去のラインナップは以下の通り。

DJやついいちろうDJやついいちろう
(2009/06/26)
DJやついいちろう、喜納昌吉&チャンプルーズ 他

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ATARASHII YATSU!ATARASHII YATSU!
(2010/06/16)
DJやついいちろう(エレキコミック)

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ゴールデン・ヒッツゴールデン・ヒッツ
(2011/06/22)
DJやついいちろう(エレキコミック)

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PLATINUM DISCPLATINUM DISC
(2012/07/25)
DJやついいちろう(エレキコミック)

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2009年にリリースされた第一弾『DJやついいちろう1』が最もとっつきやすいので、まだ聴いたことのない人はそこから入るのがいいんじゃないかな。ただ、それ以外のアルバムは、正直言ってどっこいどっこい。もちろん、どれも素晴らしいリズムを楽しませてくれるけれど、それでも第一弾の衝撃はまだ超えられていない。第五弾となる今作はどうなんでしょうね。

『新潮落語倶楽部8 柳家さん喬』

新潮落語倶楽部 その8 柳家さん喬 「そば清」「締め込み」「ねずみ」新潮落語倶楽部 その8 柳家さん喬 「そば清」「締め込み」「ねずみ」
(2012/10/17)
柳家さん喬

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■『そば清』(01年3月23日/26分31秒)
そば屋の常連たちが、そばの食いっぷりがいい男に大食い勝負を持ちかけるのだが、どうにもこうにも歯が立たない。それもその筈、男はそばの大食いで有名な、通称“そば清”と呼ばれている人物だった……。他のネタには登場しない、そば清というキャラクターの描き方が絶妙。若旦那の様に軽やかで、それでいて、勝負師のしたたかさもある。後半に入る前に、オチをより分かりやすくするための例え話を持ってきているのは、ある意味では救いようのないオチを軽くするためだろうか。また、この例え話が、実にしっくりくる。こちらも絶妙。

■『締め込み』(03年5月9日/21分59秒)
とある家に忍びこんだ泥棒。タンスから風呂敷を引っ張り出して、その中に衣服をこれでもかと包み込んで、いざ逃げよう……というところで、その家の亭主が帰ってくる。慌てて床下に逃げ込む泥棒。一方の亭主はというと、目の前の風呂敷包みを見て考える。これは、もしかしたら、ウチの女房が……? 亭主に啖呵を切られた女房が語る二人の馴れ初めがとにかくヒドい。こういう亭主だからこそ、こういう勘違いをしてしまうんだろうなあ……と、思わず納得してしまう説得力。しっかしこの亭主、どうにか女房を持てたから良かったものの、時代が時代ならストーカーにでもなっていたんじゃないか? 先の“そば清”もそうだが、こういうちょっと軟派な男を描かせるとさん喬師匠は本当に上手い。結果的に泥棒が引っ張り出されるも……な展開が、なんとも落語的にアッケラカンとしていていいよねえ。

■『ねずみ』(08年1月7日/7分32秒)
ある旅人が子どもの客引きに連れて来られたのは、ねずみ屋という大変に小さな宿屋。その子どもが言うには、元々は向かいにある虎屋が自分たちのお店だったのだが、そこを悪い番頭に乗っ取られてしまったのだという。そこで旅人は、ねずみ屋のためにある行動に出る。人情噺の大ネタとして知られる一席を、さん喬師匠が8分足らずに編集。削れるところは削りまくっているが、地の語りに頼ろうとしないところに落語家としての意地を感じさせられる。とはいえ、結局は登場人物たちによる説明メインになってしまっているので、さして変わらない気もするが。今ではもっとカット出来るらしいので、そちらも一度聴いてみたい。ちなみに、さん喬師匠のちゃんとした(?)『ねずみ』は、『「柳家一門 名演集」その2』で聴くことが出来る(07年8月15日収録)。このネタの背景にある、更に悲痛でえげつない事情を深く噛み締めていただきたい。しっかし、ここまで削られると、なんだか落語を聴いているというより、『日本昔ばなし』を観ている気分になるな。それはそれで味がある。

『オンバト+』四月六日放送 感想文

■ボーイフレンド485kb/4,029票】※視聴者投票3位
三戦一勝。漫才『正しい洗顔』。正しい洗顔を韻踏んでラップで覚える。ラップを取り入れた漫才といえばオジンオズボーンを思い出すけれど、当時に比べて随分と本格的になってきたなあ。自作のソフトを土台にネタを展開するネタって、あんまり受け入れられない印象があったんだけど、これはテンポの良さと動きの多さでかなり分かりやすく出来ていた。「グッドスマイル♪」やりたさに細かいところを端折ってしまう感情が、また共感できるんだよなあ。途中でネタが飛んでなければ、もっと高得点獲れたのでは。あそこでキャラ矛盾しちゃったのがなあ……。

■トップリード【449kb/4,186票】※視聴者投票2位
九戦六勝。コント『遅刻の言い訳』。会社に遅刻して怒られるたびに男がこぼす言い訳が、もしも実現したら……? どんなに言い訳を実現させたところで、根本的なところが直らなければ何の意味もないという、人間の欲望の本質を描いたコント……って書くと、なんか偉そうに見えませんか(聞くな) 『キングオブコント2012』決勝で披露していたコントの改訂版といった内容で、かなり面白くはなっているんだけれど、相変わらずこじんまりとパッケージ化されてしまっている印象。で、それがまだ“作品”の域に達していない。悪い意味で「少し不思議」止まりになっているというか……とはいえ、その作品になりきれない不器用さこそ、彼らの魅力なのかもしれないが。

■ウエストランド【385kb/2,362票】
十戦七勝。漫才『喫茶店をやりたい』。芸人を引退してから喫茶店を始めたいから、喫茶店コントをやる。ただ、喫茶店コントの設定は殆ど頭に入ってこない。慣用句をイジった導入から、これまでの『オンバト+』での経験を取り入れたボケに。基本、こういう番組限定のボケってあんまり好きじゃないんだけれど、ここまでやられると笑わずにいられない。「なんなんだよ、今日のメンバー! 豪華過ぎるだろ!」って、絶対にネタで言っちゃダメなヤツだろう(笑) こういう芸風だと、口にしちゃいけないこととかもどんどんネタにしちゃって、笑いを取れそうだ。ネタって言っておけば、もしも真実でも笑いに変えられちゃうもんね。そういう意味では、芸能人になる前の芸人に戻って来たといえるのかもしれない。いいんだよ、アイツは芸人なんだから……と、笑いながら呟きたいね。

■夜ふかしの会【361kb/5,081票】※視聴者投票1位
初出場初オンエア。コント『時間割』。小学校の時間割を決めている様子を、実況・解説付きでユーストリーム配信。彼らのDVD『楽しい夜ふかし』に収録されていたネタ。根源の発想はなかなか面白いんだけど、練り込みが足りない。砂川先生の生徒アピールな部分とか、それに追いやられる原先生の構図が活かし切れてない。実況・解説をメインにするなら、ユーストリーム配信である意味が曖昧になる。それでも、細かいくすぐりがウケてはいたけれど、最後の最後に常識側にいた筈の解説がブッ壊れるというオチが……。それまでギリギリ整合性を保っていたのに、どうしてそこで壊してしまうのか! 惜しいなあ、惜しいんだよなあ。

■S×L【461kb/3,788票】
二戦全勝。漫才『熱血教師』。熱血教師のコントをやりたいんだけど、相方が上手くやってくれない。前回のオンエアでもそうだったけど、ここはやっぱり“俺のバカ”を思い出させるよなあ。俺のバカ、好きだったなあ。あの形式が今、まったく違うところで生まれるなんて、面白いことが起きるもんだなあ。コントをやりたいのに出来ないという本筋に、酒井の暴露話がいいアクセントとしてちょこちょこ挟み込まれるバランスも良い。多分、普通にネタをやっても面白いんだろうけど、そういうところできっちり自分を売ってるところが戦略的だよな。ある意味、ウエストランドとよく似てる。で、そのよく似てる二組が、ともに視聴者投票では不人気っていうのも、なんだか面白い。でも、実際に売れるのって、こういうコンビだったりするんだよねえ……。

■今回のオフエア
329kb:大村小町
301kb:ジューシーズ
297kb:かもめんたる
245kb:ツインクル
229kb:モンブランズ

前回は地元の秋田収録でオンエアを勝ち取った大村小町、今回は惜しくもオフエアに。とはいえ、キロバトルがガックリ落ちているわけでもないので、上手くハマればすぐに復帰するかも。無傷の連勝中だったジューシーズはこれが初黒星。場の空気に飲まれたか。かもめんたるは自身初の連敗。早々に復活してもらいたいところ。

■次回
アボカドランドリ
オテンキ
【初】カンフーガール
巨匠
グランジ
助走
ヒカリゴケ
ヒデヨシ
風藤松原
和牛

年間四勝を記録するも、第3回チャンピオン大会に惜しくも出場できなかったヒカリゴケと風藤松原が登場。とっとと勝ち星をあげて、上手く調整していきたい。その他、前期は三勝で立ち止まったオテンキ・ヒデヨシ、初出場でオーバー500を記録した助走、全開のオフエアからおよそ一年ぶりの出場となる和牛が登場する予定。混戦が予想される。

『運が良けりゃ』

あの頃映画 運が良けりゃ [DVD]あの頃映画 運が良けりゃ [DVD]
(2012/12/21)
ハナ肇、倍賞千恵子 他

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1966年作品。貧乏長屋で生活しているたくましい人々の姿を、古典落語の要素を取り入れて描いている時代劇。手がけているのは、『男はつらいよ』シリーズで知られる山田洋次監督。なんでも本作は、監督が手がけた初めての時代劇だそうな。また監修を、落語評論家として知られる安藤鶴夫氏が務めている。立川流家元のエッセイの影響で、どうもこの人にはあんまりいい印象がない。うむむ。

はっきりいって本作、映画ならではのカタルシスは弱い。主人公の熊五郎を中心に物語が進んではいるものの、基軸となるストーリーが存在しないので、映画特有の重厚な後味は得られない。一応、作中では、熊五郎の妹であるおせいと汲み取りの吾助の出会いから結婚までが描かれてはいるものの、それもストーリーとしては脆弱だ。ハナ肇演じる熊五郎、犬塚弘演じる八つぁん、砂塚秀夫演じる若旦那、花沢徳衛演じる大家など、キャラクターのクオリティが異常に高いだけに、なんとも惜しい(中でもハナ肇の熊は素晴らしい。ちょっと荒っぽいが、後半で『らくだ』が使われることを考慮すると納得)。これで、鑑賞後に素晴らしい余韻さえ残せていれば、『幕末太陽傳』レベルの傑作になっていたんじゃないだろうか。

本作で引用されている落語は、先に名前を挙げた『さんま火事』『らくだ』の他に、『突き落とし』『妾馬(八五郎出世)』『黄金餅』などなど。いずれも上手く映像化されているが、一方で、このネタをここに使う理由がよく分からないと感じることも。例えば、序盤で使われている『突き落とし』だが、どうしても女遊びをしたいというのであれば、後になって登場する若旦那を利用すればいいだけの話に思える。落語にはそういった内容の演目もあるし(『羽織の遊び』)、それに若旦那の存在だって一層際立つ。わざわざ『突き落とし』なんて、人気の無いネタを使った理由が分からない。確か、アンツル先生も嫌いなネタだと公言していたと思うが……などと文句ばかりをたらたら述べてはいるが、それなりには面白い。長屋の人たちのやりとりはドライでいかにも落語的だし、『黄金餅』の映像は目を見張るド迫力だ。落語ファンなら一見の価値ありといって間違いない。

ちなみに、『運が良けりゃ』は『男はつらいよ』以前の作品なのだが、八五郎とおせいの関係はまさしく寅さんとさくらの関係そのもの。おせいとさくらを演じているのは同じ倍賞千恵子だし、『運が良けりゃ』には渥美清もチョイ役で出演している。思うに、本作は『男はつらいよ』の基盤を作った作品といえるのではあるまいか……と、知ったかぶりを決めてみたり。いや、もしかしたら、山田洋次監督の作品は基本的にそういうモノなのかもしれないが……。

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……もうちょっと楽しい春の過ごし方があると思うんだけどね、俺は。
居酒屋で酔っ払ってケンカしてるようなノリの連中をいつまでも相手に出来んよ、こっちも。

シティボーイズミックス『動かない蟻』

シティボーイズミックスPRESENTS 動かない蟻 [DVD]シティボーイズミックスPRESENTS 動かない蟻 [DVD]
(2013/03/27)
大竹まこと、きたろう 他

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シティボーイズミックス『動かない蟻』を観る。

シティボーイズは1979年に結成された。メンバーは、同じ劇団に所属していた、大竹まこと、きたろう、斉木しげる。81年に数多くのお笑い芸人を輩出した『お笑いスター誕生』にてデビュー、10週勝ち抜きでグランプリに輝く。83年から単独ライブ「シティボーイズショー」を開始、宮沢章夫が作家として参加する。89年からは、これまで演出補佐として参加していた三木聡を演出に迎えて「シティボーイズライブ」を開始、そして01年にライブにゲストを迎える形式の「シティボーイズミックス」へと変化を遂げる。『動かない蟻』はシティボーイズミックスにとって11回目の公演にあたり、本作には2011年9月17日に世田谷パブリックシアターでの模様が収録されている。なお、ゲストとして、中村有志、荒川良々、辺見えみりが参加している。

シティボーイズミックスでは、これまで長らく演出を“男子はだまってなさいよ!”で知られる細川徹が担当していた(03年~10年)が、『動かない蟻』の演出には、新たに“バカドリル”天久聖一が迎えられている。舞台において演出家の存在は、とてつもなく大きい。事実、シティボーイズライブからシティボーイズミックスへと名前が変わると同時に、演出家が三木聡から坪田塁・細川徹へと変わった当時、そのライブの空気は明らかに一変していた。恐らく、今回の公演において、シティボーイズは舞台に新しい空気を入れる必要性を感じていたのだろう。ナンセンスという時代と隔絶しているようで直結しているスタイルを貫き続けている彼らにとって、停滞こそが恐怖なのである。とはいえ、既にやり方を理解している人間を下ろすことは、とてつもない失敗に繋がる可能性も否めない。伸るか反るかの大勝負、果たしてその結果は……。

大竹まこと、きたろう、斉木しげるの三人が、何者かによって呼び出されて集合するコントから始まる本作は、全体的に重厚なムードが漂っている。それはかつて、彼らが『ウルトラシオシオハイミナール』(演出・三木聡)が見せていた、アングラ的な空気に似ている。だが、違う。明らかに違う。あの、怪しげで魅力的な世界観の背景に見えた、ナンセンスに対する強い渇望が本作には見られない。ひとつひとつのコントは、確かにいつものシティボーイズが演じてきたような、ナンセンスな空気に包まれている。勝手に見知らぬ人間のお墓参りに行くことを趣味とする男、全ての動物が逃げてしまった動物園に残って本を読むオランウータン、失われたコタツの足を探して彷徨う男……。それは間違いなく、シティボーイズならではのナンセンスだ。しかし、その背景には、何かドス黒い感情が渦を巻いている。その原因は何か。公演が開催された時期を考えれば、自ずと分かってくる。

『動かない蟻』は、明らかに東日本大震災の影響を受けている。それも、福島第一原子力発電所で発生した事故のことを。本作では、それに伴う放射能汚染の脅威に対する不安、畏怖、苛立ちがコントに反映されている。降ってくる雨は人体に悪影響を及ぼし、生体濃縮を繰り返して突然変異を起こしたマグロ寿司を押し付けられ、巨大マゾヒストの肛門には大量の海水が注入される。そこには、まるで「俺たちがネタにしないで誰がやる?」とでも言いたげな、気概すら感じられる。

しかし、その一方で、あからさまな原発に対するメッセージを含んだコントを、シティボーイズが演る意味があるのかという疑問もある。もし、それを演るにしても、彼らならばもっと違ったカタチを選んだのではないか、と。また、露骨に下ネタへ逃げていたのも、気になった。深刻さを浄化するための下ネタだったのかもしれないが、あまりに能天気過ぎて、笑いに繋がっていないことが多かったように思う。それを演出家が変わったことによる弊害というべきなのか、それとも大いなる変化というべきなのかは、分からない。ただ、次の公演において、天久聖一が演出から外されていることを考慮すると、少なからずシティボーイズ自身は違和感を覚えていたのではないだろうか。まあ、あくまでも想像に過ぎないが。とりあえず、大竹まことが過去最もやけっぱちにハッスルしていたことだけは、確かである。

最後に、ゲストについて。辺見えみりは、正直言ってあまりシティボーイズの舞台に適していなかったような。彼女の美貌はコントに色を添えてくれたが、台詞がいちいち言わされているようで、違和感が強かった。どうしても、過去の女性ゲスト勢(ふせえり、犬山犬子、YOU、五月女ケイ子、銀粉蝶など)と比較してしまうからなあ……。一方の荒川良々は適材適所の活躍を見せていたと思うが、彼は細川徹演出の方が活き活きと活躍できたのではないかという疑念も残った。まあ、細かいことを言い始めると、キリがないのは分かっているが……。

ナンセンスの心地良さを捨て、そのシンプル過ぎる感情を露骨にメッセージ化している本作は、いわゆる傑作と呼べるような代物ではない。しかし、その後に残る不穏な空気は、観た者の心情を強く揺さぶる。それでも、我々は動かない蟻のままだ。目の前に脅威が迫っていても、動くことなく、そこにいる。


■本編(約111分)※一部タイトルは便宜上、こちらが勝手に付けたものです
「プロローグ」「オープニング」「墓参りの女」「暗記村」「おひまならきてよね」「夢の石松」「コタツ男」「森に住む」「何も考えない広場」「エピローグ」「エンディング」

有吉弘行、一発屋芸人について語る。

マツコ「これね、ウチの有吉、相当まだ抑えてますよ


『怒り新党』は、“幹事長”マツコ・デラックスと“政調会長”有吉弘行、そして“総裁秘書”夏目三久の三人が、“国民の皆さま”こと視聴者から寄せられたお怒りメールを元に、好き勝手に意見をするトークバラエティ番組である。歯に衣着せないマツコと、テーマと絶妙な距離を保つテクニシャン有吉のやりとりは、常に他のトーク番組ではあまり味わうことの出来ない独特の緊張感を生み出している。予定調和なお笑い番組が増えている現代において、なんとも希有な番組だといえるだろう。

しかし、この番組も2年目に突入したとあってか、このところは緊張感が緩んでいるように感じることも多くなった。そして気が付くと、マツコと有吉がワーキャーと騒いでいる姿を、ただ茫然と眺めているだけの時間を過ごす羽目に……。

そんな、ある日の放送回に、こんなお怒りメールが寄せられた。

「私は、毎年流行っては消え、流行っては消え、を繰り返す一発屋芸人さんたちに腹が立ちます。素人の私が言うのも失礼ですが、消えるとほぼ分かっているのに、なぜ一発屋芸人になろうと思うのでしょうか? バラエティ番組を拝見する限り、いくら芸が面白いとはいえ、トークが上手く出来なければ、全く相手にされず、芸能界から消えるハメになると思うのです」


夏目がメールを読み終えた途端、この男が口を開いた。

有吉「なんなの、コイツ……


もはや説明する必要もないと思うが、かつて有吉もまた一発屋として世間に持て囃された芸人の一人だった。テレビバラエティの企画で注目を集め、その人気に乗じてCDデビューを果たし、ミリオンセラーを記録したものの、あっという間に過去の人として扱われてしまう……このメールは、まさにそんな天国と地獄を体験した、有吉に照準を絞って送られてきたとしか思えない内容だった。

このメールが、スタッフによる創作なのか、或いは、実際に送られてきたメールだったのか、その真偽は定かではない。ただ、はっきりしているのは、スタッフがこのメールをトークテーマとして選出し、有吉に“一発屋芸人”について話してもらおうという意図があったということだ。そして有吉は、そんなスタッフの期待にはっきりと応えてみせた。

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最近気になる本

■『落語こてんパン』(柳家喬太郎)
落語こてんパン落語こてんパン
(2013/04/10)
柳家 喬太郎

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2009年にポプラ社から出版された単行本の文庫版。人気落語家・柳家喬太郎が、古典落語を足がかりに作品論やエピソードトークを展開している一冊とのこと。とはいえ、落語家としてのポテンシャルのバカ高さを利用して、我が道を突き進んだ新作落語を幾つも生み出しているキョンキョンなので、単なるエッセイでは終わっていないんじゃなかろうか。けっこうけっこう、楽しみ楽しみ。

■『マンガホニャララ ロワイヤル』(ブルボン小林)
マンガホニャララ ロワイヤルマンガホニャララ ロワイヤル
(2013/04/16)
ブルボン小林

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直木賞作家・長嶋有の別名義、ブルボン小林によるマンガコラム集第2弾。ただ読むだけでも面白いマンガを、更に面白おかしく楽しめる視点を提示している。前作もなかなかに面白かったので、今回も期待期待。ただ、個人的には、テレビゲームのコラムの方が面白いので、そっちの続刊こそ楽しみにしているのだが……。ちなみに、前作『マンガホニャララ』は文庫になる模様。目印はハットリくん!

■『モノローグジェネレーション』(小坂俊史)
モノローグジェネレーション (バンブーコミックス)モノローグジェネレーション (バンブーコミックス)
(2013/04/17)
小坂 俊史

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“4コマ王子”という、なんだかへんてこりんなあだ名で呼ばれているマンガ家、小坂俊史の人気シリーズ第3弾。マンガの登場人物たちが、その日常で思ったこと・感じたことが独白(モノローグ)で綴られていく、このシリーズ。今回のテーマは「世代」。様々な事物に対する各世代の思いを4コママンガに昇華しているという。純粋に日常を切り取っていた前二作とはまたちょっと違った作風の様で、楽しみやら不安やら。

■『なめくじ艦隊』(古今亭志ん生)
なめくじ艦隊―志ん生半生記 (ちくま文庫)なめくじ艦隊―志ん生半生記 (ちくま文庫)
(1991/12)
古今亭 志ん生

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昭和の大名人の代表格であると同時に、落語的な生き方を最期まで貫いたともいわれている、古今亭志ん生の半生記。かなり昔に書かれた本なので、きっと読みにくいんだろうなあ……と思っていたのだが、先日書店で立ち読みしたら、これが純粋に面白い。落語を演っているときの軽妙さが、そのまま文章に表れているかのよう。いつになるかは分からないけれど、いつか読むつもり。

■『吉笑年鑑2012〜From the beginning』(立川吉笑)
吉笑年鑑2012〜From the beginning吉笑年鑑2012〜From the beginning
(2013/04/10)
立川 吉笑

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立川談笑門下の落語家、立川吉笑の2012年の活動を記録した一冊。正直、吉笑さん(二ツ目)がどういう落語家さんなのか、僕はまったく存じ上げないんだけれど、特に後ろ盾があるわけでもなさそうな二ツ目の落語家が、自身の一年間の活動をまとめた本を出すというだけで、なにやら面白そうじゃないか! amazonと落語会でしか買えないらしいというのも、気になる理由のひとつ。値段も手ごろで、いいんじゃないかァー。

THE WHO『トミー』

トミートミー
(2010/11/24)
ザ・フー

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特定のテーマを掲げたCDアルバムが“コンセプトアルバム”と呼ばれていることは、それなりに知られている話だと思うんだけれど、コンセプトアルバムというカテゴリーの中に、更に“ロックオペラ”というジャンルがあることを知っている人は案外少ないのではないだろうか。ロックオペラとは、その名の通り「ロックミュージックに載せて展開するオペラ(歌劇)」のことで、多くの場合はアルバムをまるまる一枚使って演じられている。中には、CDアルバム二枚分の容量の作品もあるとか。僕はまだ聴いたことがないけれど、きっと凄いボリューム感なのだろうね。

『トミー』はイギリスのロックバンド、THE WHOが1969年に発表したアルバムで、ロックオペラのジャンルにおいて金字塔を打ち立てたと言われている作品だ。1975年には映画化、1993年にはブロードウェイでミュージカル化されている。聞いたところによると、『トミー』をリリースしてしばらくの間、THE WHOはライブでアルバムのほぼ全ての収録曲を演奏していたらしいから、当時はかなりの支持を集めていたのだろう。でも、そのストーリーは、(少なくとも日本においては)決して一般受けするような内容ではない。モンティ・パイソンを世に送り出した国だけあって、かなり捻くれている。

物語の主人公、トミーは目と耳と口が利かない“三重苦”を強いられている。幼い頃、鏡越しに父親が母親の間男を殺害した現場を目撃し、両親から「お前は何も見なかった、何も聞かなかった、このことを誰にも話さないように」と言い聞かせられたことがトラウマになっているからだ。そんなトミーをどうにかして治癒しようと、両親とともにカルト教団に出向いたり、怪しげなジプシーからドラッグを注入されたりするけれど、まるで効果はない。ところが、目と耳と口が利かないトミーは、その三重苦を逆に利用してピンボールの才能を開花させる。トミーは“ピンボールの魔術師”と呼ばれるスタープレイヤーとなって、その奇跡を称賛されるようになる。そんな折、トミーの三重苦を治せるかもしれないという医者が見つかって……。

この粗筋だけを見ると、典型的な成功譚にしか見えないかもしれない。実は、トミーを治療できるという医者が登場してからの展開こそ、この物語の衝撃的な部分に当たる。でも、ここには書かない。実際に聴いて、確認してもらいたい。どうしても知りたいというのであれば、ネット上で調べてみれば、すぐに答えは見つかるけれど、それはオススメしない。何故なら、『トミー』はあくまでもロックオペラであって、ストーリーだけをなぞれば楽しめるという性質の作品ではないからだ。事実、『トミー』の映画版は、原作のロックオペラと同様に、セリフらしいセリフを要しない、徹底したオペラとして構成されている。『トミー』の物語は、音楽無しには語れないのだ。純粋に音楽のアルバムとして素晴らしい作品なので、ご検討を。ストーリーとはそんなに関わりのない、サディスティックな従兄弟のケヴィンと、何も出来ないトミーにイタズラしようとするアレな性癖のアーニー叔父さんも聴き逃すな!(むしろこっちこそ『トミー』の本質なのかもしれない)

最後に、個人的に大好きなパートを紹介しよう。三重苦のトミーが迎えたクリスマスの日、たくさんの友達に囲まれているトミーを眺めている父親が、思わず声を張り上げる場面だ。

父親「トミーは知らない 今日がどんな日かを、
イエスが誰かも、祈りが何かをも
どうして彼は救われよう、この永遠の墓場から。
トミー、私の言うことが聞こえるかい!?
トミー、私の言うことが聞こえるかい!?
トミー、私の言うことが聞こえるかい!?
トミー、私の言うことが聞こえるかい!?
誰に彼は救われよう」

トミー「僕を見て、僕を感じて、僕にふれて、僕を治して……」


父親の必死な声とトミーの力無い声が交互に展開する様は、とても切なくて、それでいて熱い。

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エレキコミック第21回発表会『有様』

エレキコミック 第21回発表会『有様』 [DVD]エレキコミック 第21回発表会『有様』 [DVD]
(2013/04/03)
エレキコミック

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エレキコミック第21回発表会『有様』を観る。

エレキコミックは、同じ大学の落語研究会に在籍するやついいちろうと今立進によって、1997年に結成された。所属事務所はトゥインクル・コーポレーション。お笑いファンの間ではそのアドリブ性の高いコントに定評があったものの、なかなか売れるきっかけを掴めずにいた彼らだったが、2010年に『キングオブコント2010』決勝戦に進出する。過去の優勝者がいずれも職人タイプのコント師だったため、ライブを中心に活動していた彼らにも注目が集まったが、結果はまさかの最下位。しかし、その負けっぷりが、逆に話題となる。人呼んで「8位先輩」とは、彼らのことだ! 本作には、そんな二人が2012年7月12日から16日にかけて、銀座博品館劇場で行ったライブの模様が収録されている。

と、いうわけで、本作に収録されているライブが開催された2012年に、エレキコミックは結成15周年を迎えていたらしい。15周年。言葉の上では簡単に見えるが、実際に続けていくのは難しい。なにせ、生まれたての赤ん坊が、中学校を卒業しなくてはならない年数だ。ちょっとぼんやりしているうちに過ぎてしまうような、生易しい時間ではない。そんな、15年という長い歳月を経た彼らだが、そのスタンスは変わることなくバカ重視。シンプルで分かりやすいコントの数々は、「バカだなあw」と気軽に笑い飛ばすことが出来る。

まず、オープニングコント『アリ様』。これがいきなりバカバカしい。野球チームを結成するために旅に出るアリが主人公の漫画「アリ坊」の世界と、「アリ坊」を手掛ける漫画家の状況を交互に描いたコントなのだが、漫画家の(というか編集部の)都合に合わせ、どんどん「アリ坊」のストーリーがイジられていく様子がたまらなく面白い。読者アンケートで最下位になって打ち切られ、他の漫画家の穴埋めに復活させられ、また別の理由で打ち切られ……その度に、アリ坊の運命がご都合主義的にコロッコロと変わっていくムチャクチャさ! それでいて、読者の反応に一喜一憂せざるを得ない作家の辛さ哀しさも垣間見せているあたりが、なんともいえない味わいを生み出している。如何にも現代的なオチにも、思わず唸った。そうなんだよなあ、そういう風にして話題を得ることって、実際にけっこうあるんだよなあ……。サブカルに精通しているコンビだけあって、こういう視点のコントはお手の物だ。

これ以降のコントも、とにかくバカバカしい。奇抜な髪形をした薬局の店員がよからぬ薬品を今立に売りつけようとする『やっつんドラッグ』、やつい演じるポップでキュートなアーティスト“ヤリーぱこぱこ”がドイヒーな曲を熱唱する『ヤリー』、お馴染みやっつんだっつんが今回はスイカ割りに挑戦だ!『スイカ割り』など、おバカで下品なコントの揃い踏み。その中でも突出して下品だったのが、『ロウリュ』というコント。ロウリュとは、サウナ室内にアロマ水を含んだ蒸気を発生させ、それをタオルを使って熱風にして客に届ける入浴方法のこと。エレキコミックが、このロウリュを如何にしてコントに昇華しているのか……お食事以外のタイミングで、確認してもらいたい。ちなみに、彼らはこのコントを『キングオブコント2012』準決勝戦で披露したらしい。……バカだなあ。

個人的に印象に残っているのは、『願い』というコント。バカ過ぎて自身が経営する動物園が破産寸前まで追い込まれている園長を不憫に思った神様が、特別に動物園を救ってやろうと降臨するのだが……。この『願い』というコント、往年のエレキコミックを思わせる、やついの純粋無垢なバカバカしさがとても良かった。そうだよ、俺があの頃、大好きだったエレキコミックのコントはこういうコントなんだよ! そんなやついに対する今立のツッコミも冴えに冴えている。「テンポの恐ろしさよ……!」には、腹を抱えて笑った。こういうネタをまた作るようになったことは、彼らにとって大いなる第一歩……なのかもしれない。とにかく、今年の「キングオブコント」が楽しみだ。

そんな充実した内容になっている本作の唯一のマイナス点は、特典映像(ライブの幕間映像)が収録されていないということ。正直、ここ最近の単独DVDは、本編と同じくらいに特典映像の内容が秀逸だったので、それが収録されなかったのはかなーり残念。ライブのエンディング映像によると、どうやら某アスリートをモチーフとした映像コントなどがライブ中で放映されていたらしい。観たかったなあ、ア○ソック……。


■本編(78分)
「アリ様」「オープニング」「やっつんドラッグ」「願い」「ロウリュ」「ヤリー」「スイカ割り」「全開俳優」「いみしん」「エンディング」

アメリカの猫を右に

うしろシティ単独ライブ「アメリカンショートヘア」 [DVD]うしろシティ単独ライブ「アメリカンショートヘア」 [DVD]
(2013/07/03)
うしろシティ

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2013年1月に開催された、うしろシティの単独ライブ『アメリカンショートヘア』がDVD化されるとのこと。ふむ。様々な賞レースで結果を残していた彼らだから、当然といえば当然の結果といえる。むしろ遅過ぎだ。とはいえ、松竹芸能は単独ライブDVDを滅多にリリースしてくれないので(よゐこやTKOの様な人気・実力を兼ね備えた中堅は別)、むしろのむしろ、早過ぎと考えるべきなのかもしれない。ややっこしいな。まあいいや。とにかく、これで「単独ライブ→DVD化」という流れが作れたので、後は人気と実力を維持するだけだ! ……って、それが一番難しい。この春からレギュラー番組がドドンと増えるらしいけれど、それでもクオリティを保つことは出来るんだろうか? まあ、彼らが尊敬するバナナマンの様に、なんとかこなせーっ。

あ、ちなみに。以前このブログでもリリース情報を取り上げた『鳥居みゆき単独ライブ 狂宴封鎖的世界「方舟」』の注文受付、始まってます。サイトには“おわライター”ことラリー遠田氏のDVDレビューが添えられているので、それを参考に購入を検討するのもいいかもしれません。……個人的には、もうちょっと内容の情報が欲しいよなあと思いましたが、ネタバレを考慮するとこれくらいが丁度良いのかしら?

『華氏451』

華氏451 [DVD]華氏451 [DVD]
(2012/05/09)
オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ 他

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今から何週間か前に放送された『オデッサの階段』という番組で、この映画の映像が一瞬だけ流された。どういう理由でその映像が使われたのかは覚えていないけれど、作品の性質から察するに、表現云々に関する使われ方だったのだろう。この作品……もとい、これの原作にあたる『華氏451度』のことを、私は以前から知っていた。ドキュメンタリー映画の監督として知られているマイケル・ムーアの作品『華氏911』のタイトルの由来が、この作品だったからだ。しかし、これを原作とした映画が存在するということ、また、それがSF映画の類であるということを、私はまるで知らなかった。その番組で流されていた映像の雰囲気も良さそうだし、一度くらい観てみることにしようか……と、先日レンタルショップで借りてきて、鑑賞したのだが。これがもう、とてつもなく面白かった!

『華氏451』の舞台は、読書が禁じられている未来だ。本を読むことは人間に悪い影響を与えるので、良くないとされている。人々の娯楽はもっぱらテレビとドラッグ。司会者は視聴者に対して「いとこのみなさん」と語りかけ、また視聴者もテレビ出演者のことを「いとこの○○」という風に話している。ドラッグには様々な種類があって、たまにそれが原因で救急車が出動する。ちょっとした中毒症状なら、血を全て入れ替えてしまえば解決だ。物語の主人公・モンターグは、この世界で消防士の仕事に就いている。しかし、この世界における消防士は、私たちが知っている消防士とは違う。この世界の消防士は、火を消すのではなく、書物を焼き払う仕事として存在している。タレコミを元に現地へと駆け付け、家宅捜索の後に書物を全て燃やしてしまう。それがモンターグの仕事だ。そんな彼に、一人の女性が近付いてくる。彼女の名はクラリスといい、学校で教師の職に就いている。彼女と何度かの会話を交わしていくうちに、モンターグは少しずつ読書という行為に対して興味を抱くようになる。そしてある日、遂に……。

SF映画とはいえ、宇宙人や特殊な機械などは殆ど登場しない。それなりに頑張った特撮による“飛行警官”の存在が、唯一SFっぽい。とはいえ、作品全体に漂う「人間らしからぬ人間」の姿は、やっぱりどこか非現実的に見える。この雰囲気は、以前に観た『夢のチョコレート工場』を思い出させた。……ジョニー・デップじゃないヤツね。ちょっと上から目線な言い方になるが、非現実的な世界観を当時の演出でどうにかこうにか頑張ってみました的な映像の味わいというか。その頑張りが故の、人間臭くない人間の画というか。最近のCGとかじゃ出せないところを、演技で上手くカバーしました的な(『夢の~』は映像だけでもかなり頑張ってたけど)。そういう良さがある。……視点がマニアックだな。でも、なにより、この作品が素晴らしいのは、その世界観の広げかただ。「もしも読書が許されない世界があったら?」という大喜利に上手く答えている。読書が禁止される理由、読書の代わりに発展する娯楽、どのようにして禁止されているのか……それぞれの回答が実に上手い。「読書が禁じられている理由」が割ときちんとしているところとか、凄いよなあ。個人的に衝撃を受けたのは、読書家たちが法律に反することなく書物を楽しむ方法。暴力に訴えず、ただ自らの楽しみのためだけに困難に臨む人たちの姿は、狂気的であると同時に、とても慎ましく、そして美しい。良い映画でした。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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