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『芸談・食談・粋談』(五代目柳家小さん×興津要)

芸談・食談・粋談 (中公文庫)芸談・食談・粋談 (中公文庫)
(2013/05/23)
柳家 小さん、興津 要 他

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落語家では初の人間国宝に選ばれたことでも知られる五代目柳家小さんと『古典落語』『古典落語(続)』の著者である興津要の対談本。小さん夫婦がお互いのことを綴ったエッセイに始まり、小さんの出生、入門、芸談などが対話形式で展開している。まだまだ落語を聴き始めて日が浅い私には興味深い話も幾つかあったのだが、読了後には殆ど覚えていないという体たらく。私は対談本が好きな人間で、実際にそういう類いの本をよく読むのだが、いつもこういう調子である。読んでいるときは楽しいのに、読み終わったら何も覚えていない。テンポのいい会話が展開されている様子、それだけを楽しんでしまっているきらいがある。まあ、それも楽しみ方の一つとして、自分で自分に納得してしまうしかない。ただ、“花より団子”なタチもあってか、終盤で繰り広げられる食い物屋の話はやけに頭に残っている。欲望に忠実だね、どうも。幾つか抜粋してみる。

小さん「上野・浅草辺でうなぎというと、むかしから食ってるせいか、どうしても伊豆栄にいっちまう」
興津「場所も池の端だし、戦災をうけなかった家だから、建てものにも情緒があるしね」
小さん「かば焼きも、白焼きも、どっちもいいもんだ」
興津「おやじさんが能書きいうだけのことはある(笑) でも、師匠といくと、白焼きで、かなり飲んで、そのあと、がっちりとうどんをやるから、腹が張っちまって(笑)」
小さん「どうして、ああ食えるのかねえ(笑)」
興津「いや、あきれたもんだ、おたがいに(笑)」


小さん「最近流行の炉ばた焼きでは、あづまをわすれちゃいけない」
興津「焼きとり、生鮭、生いか、鯛の粕漬、さつま揚げなんてんで、大衆的で、種類も多いし、第一、値だんが安いのが魅力」
小さん「だから、よけいにうまい(笑)」
興津「おでん、じゃがいもの煮付けなんてものもなかなかいける」
小さん「ここの名物ぞう煮をわすれちゃいけない」
興津「これを英訳して、エレファントボイルド(象煮)(笑) 通称エレファント」
小さん「エレファントっていうと、おやじがすましてぞう煮を持ってくる(笑)」


興津「新橋の烏森のつるやの焼きとりはもつ焼きの根だんでちゃんとした鳥で、安いし気はきいてるし、いいもんだ」
小さん「銀座には目もくれずに、烏森まで飛んでくるところがいいね(笑)」
興津「目はくれたいんだけど、予算の都合で、銀座はオミット(笑)」
小さん「いつもいっぱいなのは、客も味と値だんを心得てるからだ。皮をポン酢で食うのもうまい」
興津「つくねも、すなぎもも一流だ。それに、ここの酒は、一流の銘柄の酒を二、三種混ぜて、独特の味をだすそうだけど……」
小さん「そりゃあ売れるからできることだ」
興津「ここの店は、店の連中も客もジャイアンツファンだから注意しなくっちゃあ……以前、タイガースが勝ったラジオを聞いて志ん馬(※八代目。本書では“六代目”と表記)が拍手して、ひとりシラけたことがある(笑)」
小さん「まぬけだね、あいつは(笑)」


1975年出版の本なので、既に閉店している店もあるようだが、幾つかの店は残っているらしい。東京観光の際には、是非とも伺ってみたいと思う。

基本的には「昔は良かった」という印象の話を展開することが多くて、そういう論調が苦手な私はたびたび苦笑いを浮かべたが、しかし、年を取れば多くの人がそういう思考に到達してしまうのだと思うと、まあそれも一つの考えだなと納得し、気付けば二人の楽しそうな会話を傍で聞かせてもらっている丁稚の気分になっていた。「あ、師匠、そろそろお時間でございます……」。とどのつまり、押しつけがましくない、いい本だ。
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『富士山さんは思春期 1』(オジロマコト)

富士山さんは思春期(1) (アクションコミックス)富士山さんは思春期(1) (アクションコミックス)
(2013/05/28)
オジロ マコト

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弱小男子バレー部に所属する中学二年生・上場は、クラスメートで女子バレー部のキャプテンを務める青田さんの着替えを覗こうとして、見事に失敗する。その代わりに彼が目にしたのは、身長181cmの長身を理由に、同級生の男子からは異質な存在として扱われているバレー部のエース・富士山牧央の裸体だった。上場も富士山のことを女子として意識しない男子の一人だったのだが、それからというもの、彼女の存在がどうしても気になってしまう。それからすぐに、ひょんなことから富士山と一緒に下校していた上場は、そこで彼女がとった“ある行動”に心を奪われて衝動的に告白、二人は付き合い始めることに。

“長身女子との恋愛”をテーマにした作品だが、本作で描かれているのは主に、中学生ならではの性に疎い女子のあどけないエロティシズムだ。体育館倉庫で背中に湿布を貼っている姿だとか、制服の中にセミの抜け殻を入れられて慌てて脱ぎ捨てる(下はスクール水着)姿だとか、金魚すくいに集中している時にチラリと胸元を覗かせる姿だとか、そういった日常的なエロスを匂わせるシーンが各エピソードごとにしっかりと描写されている。……ええ、大好物ですが何か?

しかし、それらのエロス描写は、決してあざとく描かれていない。それは、あくまでも二人の幼い恋愛の過程におけるちょっとしたスパイスの様なもので、作品全体に漂っているのは、むしろ青春特有のセンチメンタルな空気だ。距離が近付きそうで近付かない、しかし確実に惹かれあっている二人の姿は、なにやら見ていてやきもきしてしまう。でも、こういう男女の関係が、なんだか恥ずかしかった時期があったことを思い出して、気付けば「この二人はどうなっていくんだろう?」とついつい保護者の目線で読んでいる自分に気が付いてしまったり。未婚なのに。個人的に好きだったのが、上場と会話するために親に買ってもらったケータイが“お守りケータイ(両親以外とは会話もメールも出来ない仕様のケータイ)”だということを知って、意気消沈する富士山さんが膝に顎を置いて消沈しているところ。大きい人が小さくなってる! 大きい人が小さくなってる!(はしゃぐな)

まだまだ第一巻ということで、今後の展開がどうなっていくのかは見当もつかないけれど(※たまに富士山さんが自身の長身にコンプレックスを抱いているように思われるシーンが見受けられたので、今後はそこを掘り下げていく展開になっていくのかも?)、この空気感を壊すことなく、上手くやってくれれば嬉しい。なお、二巻が八月末に出版予定

ジグザグジギー『2008-2012 BEST』

2008-2012 BEST [DVD]2008-2012 BEST [DVD]
(2013/05/22)
ジグザグジギー

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ワタナベコメディスクール出身の宮澤聡と池田勝によって2008年に結成されたお笑いコンビ、ジグザグジギーの代表作を収録したベスト盤。60分の収録時間に、全16本のコントがぎっちりと収録されている。幕間映像は無し。特典映像には、同じ日にDVDをリリースするマセキ芸能社の芸人仲間“ツィンテル”をMCに迎え、今回のDVD収録の模様やお気に入りのネタに関するトークが収録されている。ちなみに、ネタは全てスタジオにて撮影されており、観客は入っていない。個人的に、無観客状態で芸人がネタを演じている姿を観るのはあまり好きではないのだが、本作に関してはさほど違和感を覚えなかった。コントの完成度が故だろうか。

ジグザグジギーのコントには、ある特定のパターンが存在する。それは、宮澤が同じ傾向の言動を延々と繰り返し、それに対して、池田が様々な言葉を用いてツッコミ続けるというものだ。注目すべきは、宮澤の言動そのものがボケに直結しているとは限らないという点である。その言動一つ一つを抽出したところで、さほど可笑しさを感じはしない。しかし、何度も何度も繰り返していくことによって、その言動が持っている本来の意味を超越した、ある種の狂気へと変貌を遂げるのである。それはまるで、元来の意図から逸脱した事態に発展し、勝手に不可解な行動を取り続けるバグッたテレビゲームのキャラクターの様だ。その脅威的な状況に気付いた瞬間の常人・池田の表情は、実にスリリングかつコミカルである。

ここで一つ、例として本作にも収録されているコント『喫茶店』を紹介しよう。『喫茶店』は、池田扮するウェイターが務める喫茶店に、宮澤演じる一人の客がケータイで話しながら来店する場面から始まる。電話越しの会話を続けながらもスマートに注文を済ませて、席に着く宮澤。会話の相手に自分が喫茶店に来ていることを伝えようとするのだが、向こう側の周辺が騒がしいようで、なかなか “喫茶店”という単語が伝わらない。声が届かない苛立ちもあって、少しずつ宮澤の声は大きくなっていく。

宮澤「(電話の相手に)喫茶店! ……喫茶店!! ……喫茶店!!!」
池田「(袖から飛び出しながら)何事でしょうか~? お客様~?」
宮澤「喫茶店!」
池田「ちょっと、雄叫びが凄い……」
宮澤「喫茶店!」
池田「凄いヒート……」
宮澤「(池田に気付き)あっ、電話を……」
池田「すいません、お一人様だけですけどお客様いらっしゃいますので……」
宮澤「ごめんなさいね、申し訳ない」
池田「すいません、はい(袖にはける)」
宮澤「(電話の相手に)だからさ、前にクラス会の帰りに寄った店あるじゃない。……そうそうそうそう、商店街の裏手の。そうそう、スーパーの向かいの。そう! パチンコ屋の隣の。そう! そこの喫茶店! ……喫茶店!! ……喫茶店!!!」
池田「(袖から飛び出しながら)またでしょうか~?」


この『喫茶店』が上手いのは、宮澤が意図的に大声を張り上げているわけではないことが丁寧に説明されている点にある。もし、これが意図的な行為であったとすれば、それは単なる悪質な嫌がらせとして観客に処理されてしまう。しかし、この『喫茶店』では、観客がそう考える余地を与えないように、導入から事態が発生するまでの行程を、非常に慎重に描いている。このコントにおいて重要なのは、大声を出されて困惑しているウェイターの姿を笑い者にすることではなく、この不条理な事態そのものを浮き彫りにすることであると彼ら自身が理解している証左といえるだろう。

そんなジグザグジギーのコントは、一見するとジャルジャルのコントに類似している。ジャルジャルもまた、ある特定の言動をしつこく繰り返すスタイルのコントに執着しているコンビである。「キングオブコント2011」決勝戦で披露された『おばはん絡み』の衝撃を、今でも覚えている人は少なくないのではないだろうか。しかし、ジグザグジギーとジャルジャルには、明確な違いが存在する。ジャルジャルのコントは不条理な事態をじわりじわりと観客に理解させているのに対し、ジグザグジギーのコントは池田のツッコミによってより分かりやすく笑いを引き出している部分が大きいのである。

ここでもう一つ、例としてまたも本作に収録されているコント『ジャムトースト』を紹介しよう。『ジャムトースト』の舞台は、これまた喫茶店。宮澤扮する接客を担当する店長に、池田扮する勤務初日の新人が厨房を任されるやりとりから始まる。不安で仕方がない新人に対して、「大丈夫だよ。多分、今日、混まないから」という店長。そそくさと接客に向かう。すると、すぐさまオーダーが。「ジャムトースト、ワンでーす!」。トーストを作るために、奥からジャムを取ってくる新人。ところが、このジャムの蓋がまったく開かない。ちなみに、このコントの間、宮澤はホールで接客をしていることになっているので、舞台上にはジャムの蓋を開けようとし続ける池田だけである。

宮澤(声)「ジャムトースト、ワンでーす!」
池田「はーい」
宮澤(声)「いらっしゃいませー!オーダー!ジャムトースト、ツーでーす!」
池田「はーい」
宮澤(声)「オーダー!ジャムトースト、ワンでーす!」
池田「はーい」
宮澤(声)「ジャムトースト、ツーでーす! ……ジャムトースト、ワンでーす!」
池田「混みましたねぇ!」
宮澤(声)「オーダー!ジャムトースト、ワンでーす!」
池田「波乱の幕開けですー!」
宮澤(声)「どうぞ、こちらのお席とこちらのお席とこちらのお席、お座りください!」
池田「すいません! ビンの蓋が開かないんで待っていただけませんか!?」
宮澤(声)「オーダー!ジャムトーストツー!ジャムトーストスリー!ジャムトーストツーでーす!」
池田「この街とジャムの間に何が!?」
宮澤(声)「オーダー!ジャムトースト、ワンでーす!」
池田「なんなんですか!? この空前のジャムブームは!?」


ツッコミで笑わせる芸人といえば、近年では「なんて日だっ!!!」で知られるバイきんぐ小峠が印象的だ。池田のツッコミはまだその領域には達していないように思うが、いずれは名作と呼ぶに相応しいツッコミを編み出してくれるのではないかと、個人的には期待している。とりあえず、今年のキングオブコントでなんらかの結果を残してもらいたいのだが、果たしてどうなることやら(過去に二度の準決勝進出を果たしているので、不可能ではない!)。

話が彼らのネタに偏り過ぎたので、ここからは本作について。全16本のコントが幕間映像無しに収録されているといっても、一つ一つのネタが短いので、鑑賞後にさほど疲労は感じない。ただ、ネタの質はまちまち。つまらないわけではないのだが、名作コントの劣化版と思わせるようなネタが幾つか見られ、これをわざわざ収録する理由はあったのかと、少し疑問に思うことも。とはいえ、『オークション』を含む彼らの代表作といえるネタは殆ど抑えられているので、チェックしておいて損はないだろう。

……ただ、なあ。『満月』が収録されていないんだよなあ。満月を見て、狼男になりそうでならない宮澤に戸惑い続ける池田の構図がたまらなかった、『満月』が収録されていないんだよなあ。「オンバト+」で自身初のオーバー500を記録したネタだけに、入れてもらいたかったよなあ(もしかしてDVD収録後に作られたネタなんだろうか?)。


■本編(60分)
「出欠」「喫茶店」「人違い」「オークション」「班決め」「泥棒―!!」「お会計」「キャバクラ」「ダイイングメッセージ」「オーディション」「自己陶酔」「クイズ番組」「バスガイド」「ジャムトースト」「かるた」「椅子取りゲーム」

■特典映像(14分)
「収録を終えて」(MC:ツィンテル)

「オンバト+」七月二十日放送感想文

■ニッチェ【425kb/4,635票】※投票1位
九戦七勝、今期二勝目。コント『ミュージカル』。大学に落ちたクミコの元にやって来たのは、ミュージカル学校の試験に合格した友だちのケイコ。落ち込んでいるクミコを慰めに来たのかと思いきや、どう見ても合格したことに浮かれていて……。類い稀なる体型と高い歌唱力を見せつけるだけのコント、という印象。江上演じるキャラクターは相変わらず面白いが、今回はそれに頼り過ぎていた。後半は感動路線からのスカシという王道パターンで、オチとしては悪くないが、そのオチで終わらせるのならば、それまでの行程でもっと強めのボケを放り込んでもらいたかったなあ、と思う。……というか、「ミュージカルの学校」じゃなくて「宝塚歌劇団」じゃダメだったんだろうか。あっちの方がイジり甲斐があるぞ。「ク~、ク~、ク~、ク~ミ~コ~♪」。

■パーマ大佐473kb/2,971票】
初挑戦初オンエア。漫談『英語をローマ字読み』。英語をローマ字読みしたら、どんな世界が見えてくるのかを紹介する。前半では、英語を強引にローマ字読みするという前提の元、もはや言葉として形成されていない音を発することによるバカバカしさを見せつけていた。一見するとムチャクチャな行動も、きちんと理由が提示されていれば笑えるのである。……今年の「R-1ぐらんぷり」でプラスマイナス岩橋はこれをやれば良かったんじゃないか? しかし後半では、英語をローマ字読みすることで新しい意味を見い出すという、割と無難な展開に。前半の無茶苦茶さがあったからか、やけに凄味は強調されていたが、内容はより中学生のノリに近付いていたような。「bus shine!」

■ジェラードン【441kb/3,124票】※投票3位
初挑戦初オンエア。コント『合唱部』。転校して一週間、まだ部活に所属していない海野の前に、奇妙な二人組が現れる。実は二人の正体は合唱部で、海野に活動内容を紹介しようというのだが。観客を突き放しているようで突き放していない、一定の距離を保ちながら繰り出されるボケがたまらなく面白い。リアルタイムでの鑑賞中に「ロバートの後継」と言っていたフォロワーさんがいたが、まさしくそうだろう。ただ、秋山・馬場ほど二人のキャラクターが立っていないためか、ロバートよりも狂気性が高められていた様に思う。オチのキレも最高だったなあ。あそこで終わらせるのが許される笑いなんだよ、これは。次の挑戦に期待。「バーニャカウダーッ!!!」

■メンソールライト【465kb/3,133票】※投票2位
十戦八勝、今期初オンエア。立ち飲み漫談。子どもが生まれたことをきっかけに、子どもに関する漫談を展開。相変わらず流暢な喋りが素晴らしいが、ボケを聞き逃してしまいそうになるのも相変わらず。この感想文を書くために、今回の放送を三度チェックしたのだが、三度目のチェックで初めて気付いたネタがあったほど。……単純にチェックが甘いだけなんだが。しかし今回は、オチの切れ味が良かったなあ。あのオチを言うときの顔をするためだけに、このネタを作ったんじゃないかっていうくらい。「げんきですこ!」

■や団【409kb/1,599票】
八戦五勝、今期二勝目。コント『強盗計画』。闇サイトを通じて集まった三人の男たち。それぞれ、名前も職業も知らない人間同士で結託し、強盗を働こうと目論んでいた。ところが、そのうちの一人の言動が、明らかにある職業を示唆していて……。お互いのことは知らないように……と言っている傍から、どんどん自身に関するヒントをこぼしていく様が非常に面白かった。ただ、あそこはヘタにツッコミを入れずに、むしろ泳がしておいた方が面白かったかも。実際、前半はけっこうウケてたのに、コントが展開するごとにウケが少なくなっていったし。あと、ちょっと演技が気になった。序盤のマジメな演技は慣れてないから仕方ないにしても、ボケとツッコミのやりとりが始まってからも、なんとなく調子が狂っていたような。「濃厚……?」

■今回のオフエア
397kb:巨匠
393kb:西村ヒロチョ
389kb:ムートン
297kb:ケチン・ダ・コチン
157kb:ひよしなかよし

前回が初オンエアだった巨匠と西村ヒロチョが仲良くオフエア。とはいえ、キロバトルが極端に下がっているわけではないので、オンエア戦線への復帰も遠くはなさそう。ムートンは飛び石状態を継続中。坂コロジンクスという通称も今となっては死語だろうか。ケチン・ダ・コチンも最近は飛び石気味。ちょっとずつスタイルに変化を加え始めたようだが、なかなか上手くいっていないのか?

■次回
阿佐ヶ谷姉妹(1)
かたつむり(1)
コンパス(1)
ダブルブッキング
ツィンテル(1)
【初】日本エレキテル連合
ヒカリゴケ(1)
藤崎マーケット
ブロッケン
夜ふかしの会(1)

二勝目狙いが六組という激戦が予想される回。しかし、メンツを確認すると、コンパスとか、ツィンテルとか、ヒカリゴケとか、妙に味わい深い顔ぶれで、緊張感はあまり感じられない。むしろ和む。それよりも注目すべきは、ダブルブッキングと藤崎マーケットの再登板! ダブルブッキングはおよそ三年ぶり、藤崎マーケットは二年四ヶ月ぶりの出場。どういう気まぐれ? 初出場の日本エレキテル連合はタイタン所属の女性コンビ。濃いです。

2013年8月のリリース予定

■レビュー予定
07『バナナマン×東京03『handmade works live』
14『ハマカーン ネタベストDVD 2013 KIWAMI(Loppi・HMV独占)』
21『8号線八差路(ハチハチ)』(ハライチ)
21『博愛』(アルコ&ピース)
21『ニッチェ第2回単独ライブ「アイスキャンデー」

■テレビ関係
14『リンカーンDVD 10
14『リンカーンDVD 11
21『東野・岡村の旅猿3 プライベートでごめんなさい… 瀬戸内海・島巡りの旅 ワクワク編 プレミアム完全版
28『パワー☆プリン DVD vol.3
28『ダウンタウンの前説 VOL.3
28『トゥルルさまぁ~ず~ゲロロロ方面は恥ずかしいんだよ!~[初回版]
28『トゥルルさまぁ~ず~トゥルルでケガしたら一番バカらしいよー~[初回版]
29『東京03角田&ゆってぃのぶらり作曲の旅DVD 九州編2
30『バナナ塾 VOL.1
30『バナナ塾 VOL.2

■その他のリリース予定
07『ニワトリの資格 vol.2』(遠藤章造、井本貴史など)
14『グッドコマーシャル』(西野亮廣、石田明など)
30『古今亭菊之丞 落語集 景清/酢豆腐

例年ならば、ボーナスを見込んだお笑いDVDリリースラッシュが見られる八月。しかし、お笑いブームが終わってしまったからなのか、今年はなんだかうら寂しい。……蒐集家としては、予算がかからないので有り難くもあるのだが(おい) それでも、その有様はなんだか冬の時代の訪れを思わせて、妙に感傷的な気持ちになってしまう。とはいえ、作品一つ一つはとっても魅力的。結成20周年のバナナマンと結成10周年の東京03による豪華合同ライブの模様を収めたDVDを初めとして、「THE MANZAI 2012」チャンピオンとなったハマカーンのネタベストDVD、更にハライチアルコ&ピースニッチェと今注目の面々が勢揃い。過ぎたブームは懐かしいけれど、次のブームを予感させるステキなラインナップになっているといえるのでは。

あ、あと、邪道という名の王道を突き進む漫才コンビ、流れ星が2011年に開催した単独ライブ「乱れ星」と、2012年に開催した単独ライブ「大喧嘩」の模様を収めたDVDが、浅井企画のホームページで購入できるようになったらしいので、興味のある方は是非。

山崎まさよしのベストアルバムの話。

先月、山崎まさよしのベストアルバムがリリースされた。

The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
(2013/06/26)
山崎まさよし

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これまでブログではあまり触れなかったが、私にとって山崎まさよしの音楽は青春時代を思い返す上で決して欠かすことの出来ないアイテムの一つである。当時、時代はストリートミュージシャン全盛期。ゆず、19、コブクロの音楽に自身を重ねていた人たちが多かった中で、私は山崎まさよしに傾倒していた。その理由は単純明快、デュオを組む相手がいなかったのである。……念のために言っておくが、決して友達がいなかったわけではない。ただ、一緒に歌ったり、オリジナル曲を作ったり、ギターを弾いたりするような仲間がいなかっただけだ。……話を戻す。とどのつまり、一人で歌える楽曲を獲得するために、山崎を選んだわけである。

そんな利己的な理由で聴き始めた山崎の音楽だったが、幾つかの楽曲を聴いていくうちに、その不思議な世界観にだんだんと惹かれていった。時に日常的に、時に幻想的に展開する山崎の楽曲には、押しつけがましくない優しさがあった。激情に身を任せがちな思春期という時代を、私は山崎の音楽で穏やかに過ごすことが出来たのである。……そんな山崎まさよしのベストアルバムがリリースされるとなると、無視するわけにはいかない。早速、どういう曲が収録されているのかをチェックしてみると……そのアンバランスな選曲に、ちょっと驚いた。

01.『One more time.One more chance』(Sg:97/01/22)
02.『セロリ』(Sg:96/09/01)
03.『僕はここにいる』(Sg:98/11/11)
04.『振り向かない』(Sg:97/10/22)
05.『全部、君だった。』(Sg:03/03/19)
06.『パンを焼く』(Al:96/04/01:from『アレルギーの特効薬』)
07.『Fat Mama』(Al:97/05/21:from『HOME』)
08.『根無し草ラプソディー』(Al:96/04/01:from『アレルギーの特効薬』)
09.『ツバメ』(Al:96/11/24:from『ステレオ』)
10.『お家へ帰ろう』(SgB:98/11/11:from『僕はここにいる』)


聞いたところによると、このアルバムは10代・20代リスナーを対象とした選曲になっているという。それ故に、収録されている楽曲は、全体的に一般受けしやすいモノが選ばれている……というのは分かる。ただ、それにしても、ちょっと古い曲に偏り過ぎではないかと思う。95年のメジャーデビュー以後、コンスタントにシングル・アルバムをリリースし続けているというのに、全10曲中9曲が90年代に発表された曲というのは、どうにも解せない。せめて、デビューシングル『月明かりに照らされて』は入れとけよ!と。限定ライブシングルで話題になった『心拍数』を入れとけよ!と。他にも、『明日の風』とか、『アンジェラ』とか、『真夜中のBoom Boom』とか……売れた曲は幾らもあるのに。なんというか、あまりにも売れセンを意識し過ぎていて、アルバムとしての魅力を感じない。実際売れてないらしいし。うーん……。

ちなみに、山崎のベストアルバムはこれだけではない。同時発売でもう一枚リリースされている。

The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]
(2013/06/26)
山崎まさよし

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01.『One more time, One more chance ~弾き語りVer.~』(Sg:97/01/22)※原曲
02.『セロリ(prototype)』(Al:96/11/24:from『ステレオ』)
03.『Rough Rock'n Roll Boogie』(SgB:95/09/25:from『月明かりに照らされて』)
04.『関係ない』(Al:96/04/01:from『アレルギーの特効薬』)
05.『ただ ただ…』(Al:96/11/24:from『ステレオ』)
06.『ベンジャミン』(Al:97/05/21:from『HOME』)
07.『名前のない鳥』(Al:97/05/21:from『HOME』)
08.『8月のクリスマス(Acoustic Guitar Version)』(Al:06/06/28:from『ADDRESS』)
09.『最後の海』(Al:03/06/25:from『アトリエ』)
10.『コイン』(Al:96/11/24:from『ステレオ』)


こちらはアコースティック・ギターでの弾き語りをメインとした楽曲から選曲されている……のだが、やっぱり偏っている。山崎が全楽曲を作詞・作曲・編曲している『ステレオ』からの収録曲が多いのは分かるが、なら同コンセプトの『ステレオ2』や『SHEEP』からの収録曲がどうして皆無なのか! 『あじさい』とか、『星に願いを』とか、『6月の手紙』とか、『やわらかい月』とか、色々あるじゃん! というか、なんでこっちにも『One more time, One more chance』『セロリ』が入ってるんだよ! そこまで購買欲のそそられる楽曲じゃないよ! 名曲だけど! ……ただ、自分が選曲するとしても、似たような楽曲を選んでしまうだろうなあという気も。そもそも18年近い活動を20曲でまとめようというのが無理な話で……え? 似たような前例がある?

読んで楽しい新作落語、聴いて楽しい新作落語

新作落語傑作読本(3) (落語ファン倶楽部新書7)新作落語傑作読本(3) (落語ファン倶楽部新書7)
(2013/07/25)
落語ファン倶楽部

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新作落語をテキスト化する『新作落語傑作読本』シリーズ、待望の第三弾。基本的に落語は実際に口演を視聴するのがベストと考えている僕だが、なんだかんだでこのシリーズは楽しみにしている。まだ、しばらくはソフト化されそうにない演目も取り上げられているので、未知の落語家の演目に触れることが出来るからだ。例えば、前回の古今亭駒次さんなんか、かなーり良かったなあ。今回も色々な落語家の新作が取り上げられているが、その中でも注目すべきは立川談笑師匠の『猿の夢』。これ、実はCD化されている。物凄く面白いネタなので、本書で読んでももらいたいんだけれど、その前に是非とも聴いていただきたい。凄いから。もう凄いから。

薄型テレビ70%off薄型テレビ70%off
(2008/01/30)
立川談笑

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なお、今回の特別寄稿は川柳川柳師匠の『大ガーコン』。これも凄いネタなんだよなあ……。

『オンバト+』七月十三日放送感想文

■スーパーマラドーナ537kb/3,295票】※投票2位
六戦四勝、今期二勝目。漫才『エレベーターの気まずい時間』。マンションに住んでいる武智が「エレベーターで知らない人と一緒になると気まずい」というので、そういう状況で相手と仲良くなれる練習をする。なんだか見覚えのあるシチュエーションだと思ったら、『爆笑オンエアバトル』時代に披露していた。とどのつまりはネタの使い回しなわけだが、それでもやっぱり面白い。前半はヒネりを加えたボケでしっかりと笑わせて、後半はスピード感のあるやりとりでグイッと客を引き込んでいた。あと、オチが微妙に上手かったのも、高評価に繋がった要因なんじゃないかと。地方でウケる漫才の手本みたいなネタだったな。「先乗ってたわ」

■あばれる君【505kb/3,217票】※投票3位
六戦四勝、今期初オンエア。コント『そばの出前』。出前を届けにやってきた場所は団地、しかし何号室の人が注文してくれたのかが分からない。理不尽な上司によって厳しい状況に陥った人間が奮闘する流れは、以前に披露していたグラタンのコントを彷彿。但し、舞台がレストランから団地(の駐車場)になったことで、そのシチュエーションがよりバカバカしいものに。駐車場にそばを置き去りにしようとしたり、ポストにそばを一本ずつ入れ始めたりしたくだりには、あまりのバカバカしさに腹を抱えて笑った。ただ、オチはちょっとあっさりしすぎていて、物足りず。ただ、それまでの笑いの爆発を思うと、最後はこれくらいが丁度良いのかもしれない。「ダメだ!あそこの小学生、絶対このそば狙ってる!」

■THE GEESE537kb3,811票】※投票1位
十二戦全勝、今期初オンエア。コント『アダモくん』。外国からやってきたアダモくん、仕事の休憩中に日本語の勉強をしているのだが、その方法は国語辞典を「あ」から暗記するというもので……。片言の日本語しか喋れない外国人労働者を主人公としたコントといえば、コンビ時代のバカリズムが演っていたコント『ジョン君』を思い出す。『ジョン君』は日本文化をモチーフとしたコントだったが、『アダモくん』はそれとはまったく違うアプローチのコントだ。“辞書を「あ」から暗記しているので、「あ」が頭文字の言葉ばかり喋る”という設定がとにかく凄い。また、ちょっと日常的には使わない言葉が主にチョイスされるので、外国人という設定とのギャップがたまらなく面白かった。この勢いが続くなら、冗談抜きに今年こそキングオブコントの決勝に残れるんじゃないか。いや、いいネタだった。「阿佐ヶ谷姉妹、あいつら侮れない」

■ジャッカス【405kb/1,055票】
初出場初オンエア。コント『保護シール』。スマートフォンの保護シールが緊張して貼れない吉田を見て、「俺が代わりに貼ってやるよ」と名乗りを上げた大島、しかし失敗して空気が入ってしまい……。まず、スマートフォンの保護シールという現代的な素材がいい。観客が共感しやすい。貼るのに失敗して……という事件も日常的で、これも観客が共感しやすい。個人的には、名乗り出たところをぶり返すあたりに、ちょっとだけ東京03の雰囲気を感じ取った。元人力舎のコンビらしいので、多少は影響を受けているのかもしれない(現在はソーレアリア所属)。次、どういうネタを持ってくるのか、ちょっと気になる。「空気が入っていいことなんてないよなーっ!!!」

■囲碁将棋【405kb/1,482票】
四戦二勝、今期初オンエア。漫才『叶えたい夢』。二人がお互いの夢をコントで叶えていくのだが、職業を挙げていく根建に対して、文田の夢には危険な雰囲気が……。とにかく文田の夢が気持ち悪い。引かない程度ではあるんだけれど、その限界値ギリギリラインの気持ち悪さ。他にも笑いどころは幾つかあったんだけど、文田の気持ち悪い夢で全部持って行かれてしまった。ただ、放送当時にTwitterで当人がボヤキともグチとも捉えられるツイートをしていたので、どうやら割と不本意な編集をされてしまったらしい。実際はどういうネタだったのか、いずれ目にする機会があればいいんだけれど。六組オンエアだとこういうことがあるから大変だ。

■ピーマンズスタンダード【413kb/1,442票】
二戦一勝、今期初オンエア。漫才『レコーディング』。CDが売れない時代にいわくつきのCDを売り出して話題にしてしまおうと、テキトーな歌をレコーディングするのだが……。以前に観た彼らの漫才は吉田がボケで南川がツッコミだったのだが、今回は両ボケ両ツッコミという笑い飯スタイルの漫才でオンエア。悪くはない。ただ、南川がボケに慣れていない感が漂っていて、全体的にちょっと不自然さが見えた。スタイルが馴染んできたら、もっと見られるものになるのでは。また、二人が和気あいあいとしながらネタを妙な方向へと転がしていく展開は、おぎやはぎを彷彿と。方向性を模索しているというよりも、クレバーな戦い方を考え始めたといえるのかもしれない。「オーマイガットベイベー、ヒトデ踏んじゃったー♪」

■今回のオフエア
401kb:アボカドランドリ
365kb:風藤松原
301kb:タイムボム
237kb:トラッシュスター

出場回数の少ないユニットの名前が並ぶ中、風藤松原のオフエアがそれなりに衝撃的。この一年は400キロバトル台をキープしていたのに、何がどうしたのか。地方収録の影響か、はたまた純粋にネタが理解されなかったのか。前回、それなりの高キロバトルを叩き出し、相応のネタを披露していただけに、なんとも残念。

■次回
巨匠(1)
ケチン・ダ・コチン(1)
【初】ジェラードン
西村ヒロチョ(1)
ニッチェ(1)
【初】パーマ大佐
ひよしなかよし
ムートン
メンソールライト
や団(1)

次回は久しぶりの東京収録。常連と新参がいい塩梅に混ざり合っていて、面白い結果が期待できそうな匂いがプンプンしている。中でも、前回の出場でオーバー500を記録しているニッチェには、今回も高キロバトルに期待が集まる。一方、会場結果はイマイチだったが、視聴者投票では1位に輝いたピン芸人、西村ヒロチョの結果も気になるところ。投票結果が現実にも繋がるか。注目は大田プロの漫談家、メンソールライト。前回の出場では子どもが生まれた話をしてギリギリオンエアとなったが、今回はどんな手段に出るのか。

『下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え』(ハマカーン)

下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え
(2013/06/29)
ハマカーン

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「爆笑オンエアバトル」で初めてハマカーンの漫才を観たときのことを、僕はまったく覚えていない。どういう漫才を演じていたのかも、どのくらいウケていたのかも、まったく覚えていない。ただ、ハマカーンというコンビの存在だけは、妙に頭に残っていた。それは彼らにとって二度目の出場で、初出場の時に413キロバトルというそこそこの結果を残していたことが原因なのだろう。当時、ハマカーンは2ちゃんねるでバカみたいに批判されていた。オンエアされる度に「つまらない」と罵られていた。僕も当時はボールの数ほどは面白くはないように思っていたけれど(※それからしばらくして、彼らが香川収録で披露した漫才コント『大統領とSP』で大笑い、考えを改める)、「つまらない」などと断言されるほど酷くはないとも思っていたので、それらの意見にけっこうな苛立ちを覚えたものである。しかし、それらの批判に挫けることなく、ハマカーンは番組でオンエアされ続けた。チャンピオン大会にも出場し、あと一歩のところで優勝を逃してしまったこともあった。流れ星、キャン×キャンとともに、『エンタの味方!!』というネタ番組にレギュラー出演していたこともあった(※同番組は後にDVD化。高いクオリティなので要チェックを!)。しかし、ハマカーンがいわゆる「売れっ子」になることはなかった。やがて『爆笑オンエアバトル』も卒業し、地方民には彼らの活動を確認するのは困難となってしまった。……それ故に、彼らが「下衆の極み!」と絶叫する漫才を目にしたときは、心の底から驚いた。「ハマカーンにこんなのびしろがあったのか!」と。

『下衆と女子の極み』は、ハマカーンが大学の柔道部で出会ってから「THE MANZAI 2012」で優勝するまでの出来事を振り返った回顧録だ。往々にして、こういった本にはその芸人が大成するまでに体験した様々なドラマが綴られているものだが、本書にはそのようなドラマチックな展開は皆無といっても過言ではない。はっきり言ってしまうと、ユルい。まず、芸人になった経緯からして、かなりユルい。簡単に説明すると、「学生時代、爆笑オンエアバトルでオンエアされた漫才を見て、衝動的に芸人になりたいと思った神田が、浜谷に「漫才の台本を書いたから覚えてきてよ」と一方的に告知して、なし崩しにコンビ結成」ということらしい。……なんだそりゃ。でも、今時のお笑い志望者って、そういう人が少なくないのかもしれない。師匠の元に弟子入りしなくちゃならなかった時代も過去の話、今では芸能学校もあるし、事務所非所属のインディーズのライブだって存在する。これこそが、今時の若手芸人ライフなのかもしれない。……とはいえ、彼らが漫才師として、芸人として、気持ちをユルませていたわけではない。本書には、彼らが時に戦略的に、時に計算高く、漫才師としての自らを試した経験が語られている。

それは「M-1グランプリ2008」敗者復活戦でのこと。

■浜谷
 この時の我々のネタは、急遽作ったものだった。準決勝から敗者復活戦までの2週間で、新たなネタを作ったのだ。準決勝でのネタをまたやっても、絶対に勝てないと思ったからである。我々のキャラが出ていないし、よく見る形の漫才コントで、決勝に行ける要素がまるでない。当時はここまで分析していたわけではないが、漠然と「このままじゃ、決勝には絶対行けない」という確信があった。それならば敗者復活戦で、どうなってもいいから新しいスタイルの漫才を試してみようと思ったのだ。所詮、現時点での我々は決勝に行く力がない。それならば、予選の最高峰であるこの敗者復活戦で、何かウケるためのヒントを得ておきたい。事務所のライブには、ありがたいことだが我々を好きな人が来てくれるので、どんなネタをやろうが基本的に笑ってもらえる。そこではわからないことが、敗者復活ではわかるような気がしたのだ。


■神田
 2008年の準決勝が終わって敗退が決まり、敗者復活へ臨むことになった僕らは、2人で「ネタを変えよう」とどちらからともなく切り出しました。普通なら「準決勝のネタを練り直そう」となるんだろうけれど、この時期の僕らにとってはそれが自然な流れでした。以前から感覚的に、漫才コントには限界を感じていたし。浜谷も同じような感触があったみたいで、2人で「しゃべくり漫才を1週間で作るか!」と盛り上がりました。この時から僕らは、大会で一度やって負けたネタで再挑戦することをやめたのです。


かくして「下衆の極み!」は誕生した。こういう戦い方が出来る二人だからこそ、「THE MANZAI 2012」での優勝があったのだろうなあとしみじみ思い知らされる(※勿論、「THE MANZAI 2012」に向けて、彼らが何をしていたのかも本書に記録されている)。真っ直ぐに突き進むだけじゃダメなのだ、そこで何を得るか、そこからどう活かせるかが重要なのである……って、これは芸人さんに限らない話だけれど。

ハマカーンが好きな人には勿論、現在の若手芸人の視点を感じたい人にもオススメしたい一冊である。個人的には、もうちょっとオンバトの話が知りたかったけれど。

『映画 けいおん!』

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(2012/07/18)
不明

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ある日、ある時、無性にアニメ映画が観たくなった。

賢明なる読者諸君に同意を得られるかどうかは分からないが、私にとって夏という季節はアニメ映画を観なくてはならない時季である。夏の熱気が、幼い頃に目にした、夏休みに入った児童をターゲットとしたアニメ映画やテレビアニメの数々を、感覚的に思い起こさせるためだろう。

とはいえ、ここで安直に昔馴染みの傑作を鑑賞するというのも、なにやら保守的で面白くない。それでは、まるで青春時代に流行した楽曲をカラオケで熱唱するような、現実を見過ぎて疲れ切っているサラリーマンだ。私はそんな視線でアニメ映画を観たくはない。あくまでも、純粋無垢にアニメ映画の世界へと飛び込みたいのである。と、そんな私の偏執的なポリシーを遂行するために、Twitterでフォロワーの方々からオススメのアニメ映画を募ったところ、幾つかの作品を薦めていただいた。持つべきものは友である。そこで薦められた作品の中に、この『映画 けいおん!』の名前もあった。

実をいうと、この『けいおん!』という作品には、以前から興味を抱いていた。もう少し詳細に書くと、『けいおん!』の様な話題作はいずれ観なくてはならないだろうという宿命の様なものを感じていた。しかし、それはあくまでも個人的な問題であって、絶対的に定められたものではない。そのため、この曖昧模糊とした問題は、実行されない可能性も大いに孕んでいたのである。そんな私が今、この作品が薦められたということは、何か一つの運命の様にも感じられた。……いや、流石にそれは嘘だけど。とにかく、私は思い切って、これまでに一度も通常放送を観たことのない『けいおん!』の映画を鑑賞しようと心に決めたのであった(ちなみに、原作の四コマ漫画はネットカフェで既読済)。

『けいおん!』は、市立桜ヶ丘女子高等学校の軽音部に所属する、四人の部員たち(途中から新入生が加わり五人となる)の三年間を描いた作品である。そして『映画 けいおん!』は、五人が卒業旅行にロンドンへと出向き、てんやわんやあって現地でライブを行ったり、教室で卒業ライブを敢行したり、卒業後に残された一人の部員に新曲をプレゼントしたりする姿が描かれている。

海外への卒業旅行に卒業ライブと、かなり大きめなイベントが展開されているにも関わらず、不思議と映画特有の高揚感は沸き上がってこない。それは私が通常放送を観ていないことも大きいのだろうが、それよりなにより、作中における彼女たちの描写があまりにも日常的であるためだろう。海外旅行はそれだけで十二分に特別なイベントだが、アニメ映画においてのそれは事件を予感させるトリガーとして取り扱われることが多いにも関わらず、本作の海外旅行は徹底的に旅行以外の何物でもない。無論、旅行特有のハプニングも幾つか見受けられるが、それらも実に現実的だ。彼女たちのテンションも日常とさして変わらない。状況は非日常であるにも関わらず、何処までも不変的な日常のトーンで描かれているのである。だから正直、ちょっと退屈にも感じた。なにせ、まるで金太郎アメの様に、何処まで行っても同じままだから。

しかし終盤、卒業式を終えた彼女たちが、学校の屋上を駆けていくシーンを見て、深く涙が流れそうになった。それはまさしく感動であった。では、どうして急に感動を覚えたのか。それは恐らく、これまで延々と描かれてきた日常が、いずれは絶対的な終焉を迎えざるを得ない刹那な青春の時間であることをはっきりと突きつけられたからだ。その行動には、はっきり言って何の意味もない。だから、あの四人が屋上を駆けることは、彼女らの人生において今後恐らく二度とない。それ故に、その姿はただひたすら青く、切なく、愛おしいほどに、刹那だった。本作の鑑賞後、幾つかの既出レビューを読んでみたところ、本作に「あの頃の青春」を重ねた人も多く見受けられたようだが、私はむしろ「あの子らの青春」に思いを馳せてしまった。空想の世界に生きていた彼女たちは、これからどんな時間を過ごしていくのだろう。この青春の果てに、何を見るのだろう。

今後、本作は青春映画の試金石として輝き続けるだろう。言い過ぎか、いや。

談志が愛した不精の女房

立川談志『新釈落語噺 その2』を読む。

新釈落語噺〈その2〉 (中公文庫)新釈落語噺〈その2〉 (中公文庫)
(2002/05)
立川 談志

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『新釈落語噺』とは、落語界の風雲児・立川談志が古典落語を独自の視点と分析によって解説した“落語論”である。タイトルの由来となっているのは太宰治『新釈諸国噺』だが、師曰く「内容的には『お伽草紙』に近い」とのこと。私はそのどちらも読んだことがないので両者の違いは分からないが、“栴檀は双葉より芳し”という言葉の通り、家元(※談志は立川流家元のため、師をこう呼ぶ人が多い)が幼い時分に読んで感動したというのだからきっと傑作なのだろう。現在、両方の作品を収めた文庫本が、気軽に手に出来る値段で売られている。いつかは読んでみようと思っているような、いないような。

お伽草紙 (新潮文庫)お伽草紙 (新潮文庫)
(2009/03)
太宰 治

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話を戻す。この『新釈落語噺』シリーズは、古典落語を解説している本ではあるのだが、その内容が時に家元自身の経験談へと脱線してしまうことも少なくない。落語について真剣に学ぼうという人間にしてみれば迷惑な話かもしれないが……そもそもそんな輩がいるのかどうか……そんな私的な話が本筋と同様に、或いはそれ以上に面白いこともあるので、読んでいる方としては気にならない。そんな脱線話の中でも、私が特に興味深く読んだのが『不精床』だ。

『不精床』とは、その名の通り不精な床屋が登場する落語である。ふらりと入った床屋の主人がトンデモナイ不精者だったために、やっぱりトンデモナイ目に合わされてしまう男の姿が描かれている。となると、当然の如く、話の方も不精者に関するエピソードに脱線することになるのだが……ここで家元は、実の女房について語っているのである。これは個人的な印象に過ぎないが、家元がご存命の折に、私は師がいわゆる“所帯持ち”だということにまったく気付かなかった。妙な話になるが、子どもがいるということを知ってはいたが、女房の存在にまるで興味を持てなかったのである。しかし、考えてみると、これほど興味深い存在もない。落語の世界のみならず、芸人の世界にまで広く影響を与えてきた“芸人の巨星”と日常を共にしようとした女性……それは一体、どのような人物だったのか。

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『新潮落語倶楽部9 古今亭寿輔』

新潮落語倶楽部 その9 古今亭寿輔 「英会話」「猫と金魚」「地獄巡り」新潮落語倶楽部 その9 古今亭寿輔 「英会話」「猫と金魚」「地獄巡り」
(2012/10/17)
古今亭寿輔

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■『英会話』(01年2月20日/15分14秒)
隣の家の子は母親のことをママと呼ぶらしい。これからの子どもは英語が使えるようにならないといけない、丁度我が子が家に帰って来たから英語で呼んでみよう……。テキトーな英語が次から次へと流れるように繰り出される珍妙な新作落語。「優雅な洋服をドレッシング」「ワンピース、ツーピース、ロングピース」「人間にはマンがつくというなら、酒屋さんはキッコーマン?」など、実にバカバカしいボケが飛び交っている。そのシチュエーションやネタのセンスから、戦後に作られた演目であることは想像に難くないが、それでも笑ってしまうのは寿輔師匠の手腕が故か。ただ、ネタそのものよりも、マクラのインパクトの方が衝撃的。ねっとりとした口調で語られる自虐ネタは、しかし絶妙な軽さがあって、なんともいえない面白味を帯びていた。

■『猫と金魚』(03年3月30日/16分44秒)
「のらくろ」の作者として知られる田河水泡が手掛けた新作落語。隣の家の猫に金魚を食べられてしまった。新しく金魚を買ってきたはいいが、また食べられないようにしなくては……。「殆どの人は努力なんてしてもしなくても同じなんですよぅ~!」というマクラがなんとも凄い。こういう的を射た皮肉がグサッと胸に突き刺さりながらも、なんだか妙に笑えるから不思議だ。そういう空気を作り出してしまえる力量があるということか。肝心のネタも軽いリズムで面白いが、ところどころに冷ややかな要素も含有。「(金魚が)死んでも眺めることは出来るでしょ?」なんて、なかなか凄味があっていい毒であった。

■『地獄巡り』(02年9月30日/15分01秒)
桂米朝が演じる上方落語の大ネタ『地獄八景亡者戯』を演出し直した一席。亡者たちが初めてやって来た地獄で得る様々な発見を、小ネタ時事ネタ流行ネタを散りばめて展開している。地獄のホテル、地獄の有名人ショップ、地獄の歌舞伎に落語などと、地獄ネタならなんでもござれ。先の二席の様に、寿輔師匠ならではの軽さと毒舌は楽しめないが(その両方の要素がネタの根源に植えられているネタなので、入る余地が無かったのかもしれない)、原点である『地獄八景亡者戯』の空気をしっかりと残した一品に仕上がっている。ただ、個人的には、もうちょっと欲しかった気も。せめて、あと5分。

毎日新聞落語会シリーズ第3弾。

毎日新聞落語会 林家彦いち毎日新聞落語会 林家彦いち
(2013/08/28)
林家彦いち

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毎日新聞落語会 入船亭扇辰毎日新聞落語会 入船亭扇辰
(2013/08/28)
入船亭扇辰

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人気を集めている若手落語家の音源をリーズナブルな価格で提供してくれる“毎日新聞落語会”より、第3弾となる新作がリリースされることが分かった。嬉しいネ。過去、桃月庵白酒、橘家文左衛門、三遊亭白鳥、立川生志、春風亭一之輔が取り上げられてきた同シリーズだが、今回は林家木久扇一門より林家彦いち、入船亭扇橋一門より入船亭扇辰の2人をピックアップ。彦いち師匠は新作も古典もこなせる両刀使いで、不条理な笑いを得意とする武闘派。今回は新作の『長島の満月』と古典の『青菜』を収録。一方、扇辰師匠はバリバリの古典派で、軽妙で味わいのある喋りが実にたまらない落語家である。今回は師匠・扇橋の十八番ネタ『ねずみ』『茄子娘』を収録。発売が楽しみ……っと、その前に前作のレビューがまだ終わっていないんだけども……むむっ。

『第14回 東京03単独公演「後手中の後手」』

第14回 東京03単独公演「後手中の後手」 [DVD]第14回 東京03単独公演「後手中の後手」 [DVD]
(2013/03/27)
東京03

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プロダクション人力舎に所属するコントユニット・東京03が、2012年6月から9月にかけて全国ツアーを展開した単独公演『後手中の後手』より東京最終日の模様を収録。ライブで披露されたコントや幕間映像は勿論のこと、キャスト紹介で流される大竹マネージャーによるピアノ演奏や、オープニング・エンディングを飾る“ミュージシャン”角田晃広の熱唱も余すことなく収められている。また特典映像には、追加公演でのみ披露された特別悪ふざけ公演『ナンセンスな反乱』を収録。おぎやはぎ、浜野謙太、Gentle Forest Jazz Bandをゲストに迎えた、バカバカしくも華やかなステージを楽しむことが出来る。

『後手中の後手』というライブタイトルが表しているように、今回のテーマは「後手」。あらゆる状況で後手に回ってしまう人々の生き様が、ほのかに哀愁を漂わせながらも、しっかりと笑えるネタとして昇華されている。友人の自分に対する行動に違和感を覚えるも、それをすぐさま注意できずにぐずぐずしている男の姿を描いた『後手』を始めとして、営業中に大失敗して落ち込んでしまった後輩がふとしたきっかけで余裕を取り戻す『余裕』、喫茶店で恋人とのトラブルについて友人に話していると隣の席の男が気になってきて……『隣席』、会社の屋上で同僚の女性に告白した男がひたすら返事を待たされる『この時間』などなど……日常的なテーマに基づいていて、否が応でも共感させられるコントばかりだ。“第三のバナナマン”ことオークラが手掛けている長尺コント『家庭訪問は三つ巴』も上々の出来。一人の女性を巡って対立する三人の構造が絶妙、ただ、それよりなによりそれぞれのキャラクターが見事に合致している点が素晴らしい。特に角田のスパークぶりは必見だ。ちなみに、副音声解説によると、オークラはこのコントを作っている段階で「東京03のトリネタの作り方はなんとなく分かった」と言い張っていたとか。その発言も納得の出来である。

これらの中でも、強く印象に残っているのは『東京の両親』『謙遜』の二本だ。

『東京の両親』は、ミュージシャンを目指して上京した若者(飯塚)が遂に夢を諦めて就職、日頃から実の両親の様に慕っている老夫婦(角田・豊本)が営んでいる定食屋でその思いの丈を打ち明けるコントである。二人のことを「東京の両親の様に思っている」と言う若者と、彼のことを陰ながら応援していた老夫婦のやりとりは、まるで人情ドラマの様に愛おしい。明るくてポジティブな老妻を演じる豊本、頑固そうだが人情に厚そうな老夫を演じる角田の配役も最適だ。ところが、ちょっとした言葉のアヤをきっかけに、二人が夫婦喧嘩を始めてしまう。とうとう掴み合いに発展しそうになったので、慌てて若者が間に入ったところ……。

若者「お父さんもお母さんも落ち着いて! ねっ! 息子が見てますから、ほら! 息子が!」
老夫「……誰が息子だよ!」
老妻「……赤の他人でしょ!」
若者「ええっ!?」


この瞬間、先の人情ドラマの様なシチュエーションは、全て老夫婦によって作られたものだったことが分かる。そして、ここから彼らの“後手”が始まる。数年に渡って、若者に一方的に東京の両親として慕われるという先手を打たれ続けていた彼らの逆襲が、ここに始まるのである。豊本さんのアドリブがまた面白いんだよなあ……。東京03とミュージシャンといえば、以前に『バンドマン』(from第五回単独ライブ 傘買って雨上がる)というコントを演じていた記憶が蘇る。あれも格好付けたミュージシャンの浅墓さを皮肉ったネタだったが、これも同傾向にあるといえるだろう。

一方の『謙遜』は、ある劇団に所属している役者たち(角田・飯塚)が、撮影前から話題になっている映画の重要な役のオーディションに合格した豊本を迎えて、居酒屋でお祝いをする場面から始まるコントである。豊本をひたすら褒め称える二人に対して、彼は延々と謙遜し続ける。「凄いな!」といえば「凄くないよ、たまたまだよ」と返し、「ホントおめでとう!」といえば「ホントやめてください! 僕なんか全然ですから!」と返す。そんなやりとりの果てに、とうとう飯塚の感情が爆発。豊本に掴みかかろうとするのだが、角田に抑えられる。そして角田は、飯塚をなだめた後に、豊本にとうとうと語りかけるのである。

角田「……お前が悪い」
豊本「……えっ?」
角田「お前が悪いぞ。そりゃ、こうなるよ。あんな、豊本。謙遜ってね、使い方間違えると、人を傷つけるぞ? お前は、オーディションに合格したんだよ。そりゃ凄いことだって言ってんの。才能あるんじゃないかって言ってんの。なのに、受かったお前に、「全然凄くない」とか、「全然才能無い」とか言われちゃうと、落ちた俺たちは……どうなるのかなあ? その辺のこと、もっとよく考えろ!」


この後、コント的な急展開を迎えることで、この「謙遜」についての話はウヤムヤになってしまう。流石の東京03でも、これを掘り下げていくことは出来なかったのか。それとも、最初からそっちの方向へと掘り下げていく予定ではなかったのか。勝ち上がれなかった人間の悲哀をモチーフにした笑い、是非とも拝見したかったのだが……。ちなみに、副音声解説によると、豊本の謙遜の演技は「キングオブコント」優勝直後のキングオブコメディ高橋をモデルにしているとのこと。……凄く想像できるなあ。

もっと他に方法がある筈、もっといい伝え方がある筈……そんな考えが働いてしまったがために起きてしまう悲劇のシチュエーション“後手”。それをテーマにしているが故か、本作は全体的に重たい空気に包まれている。無論、それを凌駕するほどの笑いは保証できるが、曇天に差し込む一筋の光の様な笑いは見受けられなかったように思う。ただ、そんなウェットな質感の笑いこそ、東京03には相応しいと言えるのかもしれない。人間が人間である限り、東京03のネタの種は尽きない。以前にも書いたが、「東京03は日本人の鏡」だ。そこに映し出されているのは、いつだって我々日本人なのである。


・本編(124分)
「キャスト紹介「ピアノ曲 GOTE」」「後手」「オープニング曲「後手後手ループる」」「余裕」「後手ゲーム」「隣席」「国際後手協会「後手ゲーム」ルール要項」「東京の両親」「東京の思い出」「謙遜」「後手っちゃん」「この時間」「ただ愛しただけだから…」「家庭訪問は三つ巴」「エンディング曲「先の自分に全てをたくし…」」

・特典映像(67分)
「ナンセンスな反乱」「千秋楽 舞台挨拶」

東京03第15回単独公演「露骨中の露骨」(岡山)

午前10時起床。これから出掛けるという母に起こされる。「あんた、今日出掛けるんやろ?」と言われたので、「ん、んー」と答える。ぼんやりしたノーミソをぐわんぐわんと揺らしながら、朝食だか昼食だか分からない素麺を食べる。それから顔を洗って、髭を剃って、服を着替えて、午前11時を過ぎた頃に出発。途中、キャップ付きのボトルコーヒーを購入する。飲もうとして蓋を開けたら、何故か中身が噴き出した。珈琲風情が炭酸ぶるんじゃない! 宇多津駅から高松行きの予讃線に乗り、坂出で乗り換え、快速マリンライナーで岡山に到着したのは午後2時を回ったころだった。

岡山駅から紀伊国屋書店、タワーレコードへの大移動を展開し、午後3時ごろにTwitterで知り合った落語ファンの“がんま氏”と合流、二人で「山富士」というラーメン屋でねぎらーめんを食べる。噛み合っているのかいないのかも曖昧なフリートークを繰り広げられそうで繰り広げられないまま解散、午後4時にこれまたTwitterで知り合った“資本主義氏”と合流、コーヒーとスウィーツを嗜みながらさん太ホール前の喫茶店でぐだぐだと話をする。発信する側ではなく受信する側であり続けることへの違和感や、地方在住のお笑いファンならではの悲喜こもごもについて話し合っているうちに開場時刻の午後5時を迎える。別れを惜しみつつ解散。さん太ホールへと飛び込む。


↑ロビーにはまたコレが。

チケットをもぎってもらってロビーに侵入すると、物販コーナーへと繋がる長ーい行列が。目的のグッズ(CDとパンフレット)が売り切れてしまうことを恐れて、自分も並ぶ。しかし、物販を担当しているスタッフさんが実に丁寧に商品をさばいていたため、まったく進まない(※スタッフさんは何も悪くないですよ、念のため)。迫る開演時刻。「大丈夫かな?」と思っていると、物販コーナーとはまた別の場所にいた会場スタッフさんによる「もうすぐ開演時刻ですので、席に移動してくださーい!」という呼びかけが開始。席に移動すべきか。とはいえ、もうちょっと粘っていれば、自分の番が回ってきそう。移動せざるべきか。ぐずぐずしているうちに自分の番が回って来たが、この時点で既に開演1分前。パンフレットと劇中歌CD、あとデザインがやたら素敵なタオルが目に入った(赤・白・青で構成されたモッズデザイン!)ので、それも購入。お金を払って、すぐさま自分の席へと移動した。席に着いてすぐに、物販コーナーで袋を貰えなかったことに気付く。ありゃ。結果、私は宇多津に戻ってくるまで、それらのグッズを丸出しにして抱えたままの常態を余儀なくされる。うーむ、次はエコバッグを持ってこなくては。

午後5時半、『東京03第15回単独公演「露骨中の露骨」』開演。

前回の公演「後手中の後手」は、色々な理由で後手に回ってしまう人たちをテーマにしていたこともあって、なんだか悲哀が強い内容だったけれど、今回の「露骨中の露骨」はただただシンプルに笑えた。相変わらず、こちらが共感せざるを得ないシチュエーションを提示してくれてはいるんだけれど、そこまでディープにえぐってはいない。内容が軽くなっているとも言えるのかもしれないが、それがむしろ演者としての三人のポテンシャルを引き出していて、これまでとはまた少し違った面白さを生んでいたように思う。特に飯塚さんの演技はとてつもなかった。ツッコミは鋭いし、ボケはとことんフザケているし。誇張ではなく、三村マサカズか内村光良の再来なんじゃないかとすら。あと、いつもならちょっと引っ掛かることも少なくない、オークラが手掛ける長尺コントも面白かった! オチがキレイだったなあ……。

終演後は恒例のグッズ購入者を対象とした握手会。いつもはじっくりと話す時間が設けられているんだけれど、今回は何故か急ピッチで進行。そのせいで、豊本さんに「(某コント)の豊本さんが面白かったです!」と言おうとしたのに、そのコントの名前が出てこないという事態に。その結果、「面白かったです! えーっと……あの……面白かったです!」という情けない言葉を残してしまった。ああ、悔い。ちなみに、飯塚さんには「○○のコント、面白かったです! 内村さんかと思いました!」、角田さんには「本当に(劇中歌の)ベスト盤を出して下さい!」と言った。……今にして思うに、飯塚さんへのコメントは褒め言葉ではないような気がしないでもなく(「光栄です!」と言ってはいただけたけれど……)、角田さんへのコメントはもっと他に何かあったんじゃないかという気がしないでもない(「そういう案も出ているということで……」とはぐらかしていたので、ちょっと厳しいのかもしれない)。

ライブ終演後、Twitterで知り合った“庵野ほのか氏”と合流、ライブの感想を言いながら電車へ。ライブの感想を言い合ったり、彼女の首に蚊が這っているという話で盛り上がったり(?)、お笑い遍歴についての話をしたりしながら、瀬戸内海線で児島まで移動、マリンライナーに乗り換えて坂出、予讃線に乗り換えて宇多津へと。……勿論、何もしませんでしたよ! だって、だって大人だもん! 大人だもん! 大人だもん!(しつこい)



午後11時、帰宅。各々方お疲れ様でした。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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