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『氷菓』

氷菓 限定版 第1巻 [DVD]氷菓 限定版 第1巻 [DVD]
(2012/06/29)
中村悠一、佐藤聡美 他

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米澤穂信原作の青春ミステリー小説をアニメ化した作品。神山高校古典部に所属する面々が、日常で起こった謎を推理で紐解いていく。ミステリー作品といえば、謎めいた殺人事件だとか、失われた重要書類を発見するだとか、謎の怪人と対峙するだとか、そういった違法的な出来事を解決するイメージしかなかったので、この作品の日常の中にふっと湧いた謎を解決するスタイルは非常に新鮮で面白かった(後で知ったことだが、このようなスタイルのミステリーは“日常の謎”というジャンルとして確立されているらしい)。事件の規模があくまでも日常から逸脱していないのに、物語としては非常に重厚で後味がほろ苦いのも魅力的だ。なんとなく手に取った私は、その世界観にすっかりのめりこんでしまって、一気に最後まで鑑賞してしまった。元来、ミステリー映画が好きな人間ではあったのだが、よもやここまでハマってしまうとは……。

物語は、古典部の文集“氷菓”に秘められた謎を追う【氷菓】編、文化祭に向けて2年F組が制作していた未完成のミステリー映画の結末を推理する【愚者のエンドロール】編、文化祭の最中に起きた連続盗難事件の犯人を追う【クドリャフカの順番】編という三つの長編と、いくつかの短編作によって構成されている。当然のことながら、長編作品はいずれもしっかりと面白いのだが、個人的にはむしろ、その日常性に特化している短編にこそ魅力を感じた。例えば、第6話『大罪を犯す』では、授業の進行状況を勘違いしていた数学教師が、どうしてそのような間違いを犯したのかを推理する。言葉にすると、本当にどうでもいいことのように思えるが、これがなかなかスリリングで面白いのだ。幾つかの数少ない素材から、おおよその答えへと辿り着く行程が非常に気持ちいい。スリリング性と素材の少なさでいえば、第19話『心あたりのある者は』が秀逸だ。生徒を呼び出す校内放送のちょっとした内容から、その意図を推理する。少ないきっかけでここまでしっかりと推理できるものなのか!と、凡人たる私はひたすら感動するばかりであった。

無論、アニメーション作品としても、よく出来ている。多感な古典部の面々は感情豊かに表情を変えていて、とても魅力的に見えるし、そんな彼らを包み込むリアルな背景も世界観をしっかりと構築している。目立たない程度に流れているBGMも効果的だ。盛り上がる場面ではしっかりと盛り上げてくれるし、不穏な場面ではじんわりと不安を煽り、不必要な時には流れない。わきまえている。演出面においては、初期の段階では少々やりすぎている感が否めないこともあったが(主に、古典部に謎を持ち込んでくるヒロイン・千反田えるが「私、気になります!」とお決まりの台詞を口にするシーン)、回を重ねるごとに落ち着いてきた。

とにかく面白かった。いい作品だった。いつか、また続編が作られると大変に嬉しい。
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2013年10月のリリース予定

■レビュー予定
16『エレキコミック第22回発表会『と、或る人が云っていた。』
23『シリアル電気』(日本エレキテル連合)
23『漫才商店街』(ウエストランド)
23『兵動大樹のおしゃべり大好き。 7

■テレビ関係
02『FNS27時間テレビ「ビートたけし中継」presents 火薬田ドン物語(仮)
02『NHK DVD 小林賢太郎テレビ 4・5
02『NHK VIDEO 小林賢太郎テレビ 4・5 [Blu-ray]
16『戦闘中 第四陣 ~欲望と戦場の絆~
23『さまぁ~ず×さまぁ~ず DVD BOX[1819+特典DISC]
23『さまぁ~ず×さまぁ~ず Blu-ray BOX[1819+特典DISC]
23『さまぁ~ず×さまぁ~ず 18
23『さまぁ~ず×さまぁ~ず 19
23『東野・岡村の旅猿3 プライベートでごめんなさい… 築地で海外ドラマ観まくりの旅 プレミアム完全版
25『玉瀧光 VOL.1 笑いの神 降臨!?
30『ロケみつ ザ・ワールド 桜 稲垣早希のヨーロッパ横断ブログ旅34 ドイツ編その(1)
30『バナナTV ~グアム編~(完全版)
30『バナナTV ~LA編~(完全版)

■その他
02『キャイ~ン LIVE 2013 in Japan (2枚組)
02『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM “完成"【豪華5枚組『寸止め海峡(仮題)』よりコント3本を追加収録】 [Blu-ray]
16『漫才のDENDO 喋(しゃべる)編
16『漫才のDENDO 聴(きく)編
23『語り直して 三遊亭圓朝作 怪談 真景累ヶ淵 第四話 勘蔵の死
23『語り直して 三遊亭圓朝作 怪談 真景累ヶ淵 第五話 お累の自害
25『三遊亭兼好 落語集 木乃伊取り/粗忽の使者/応挙の幽霊

テレビバラエティ系が元気な10月。とりあえず、火薬田ドンのDVDがどれくらい売れるのか、売れたとしてもどれくらい鑑賞してもらえるのかが気になるところだが、ひとまずそれは置いといて(そういえば、火薬田ドンのDVDにも、オフィス北野のあの荘厳なロゴは表示されるのだろうか)。『戦闘中』『さまぁ~ず×さまぁ~ず』『旅猿』と、お馴染みの人気番組がズラッと並んでいるが、個人的にはやっぱり『小林賢太郎テレビ』が気になるところ。無論、ブルーレイを予約済である。お笑い芸人のDVDとしては、これまた個人的に大好きな兵動大樹のトークライブDVDが出るのが非常に嬉しい。今年2枚目のリリースとなるエレキコミックの単独ライブDVDも地味に嬉しい。前作『有様』がなかなか良かったので、今回も期待したい。タイタンの若手二組はどうだろう。日本エレキテル連合に関しては、殆ど詳細が分かっていないんだけれど。秋の夜長にゆったりと、時間を費やそうかね。

『キングオブコント2013』終了直後の感想

『キングオブコント2013』が終わりました。

今回は、全体的にコントの作品性が求められていた大会だったように思います。大衆ウケを狙った、ただ分かりやすいだけではなく、コントの完成度というか、独自の世界観というか、唯一無二のスタイルというか……まあ、そういうのをひっくるめた作品性が。元々、そういう傾向の強い大会ではありましたが、今回はそれが煮詰まり過ぎたかと。だからこそ、割と大衆寄りなコント師が下位に落ち込んで、一般ウケというよりも猛烈な個性が強いコント師が上位に浮かび上がってきたのではないかと。無論、結果そのものには文句はありませんが、しかし観ている側としては、なんとも疲れる大会でした。お笑いを観ながら疲れる。それでいいのか、どうなのか。お笑いの賞レースとはそういうものなのか。ならば、ゴールデンタイムでの賞レースの盛り上がりのために、笑いの本質は無視されてもいいのか……。“大衆芸能”としてのコントについて、一度考え直す必要があるのではないかという気もした、そんな大会でした。

どうも最近、気持ちが老けてきたように思います。まだ早い、まだ早い……。

『オンバト+』九月十四日放送感想文2(大阪)

■スマイル517kb3,060票】※投票1位
五戦四勝、今期二勝目。漫才『友達がいない』。高校の同窓会を楽しみにしているよしたか。ところが、同じ高校に通っていた瀬戸によると、実は既に同窓会は開催されていたという。もしかして、よしたかには友達がいないのか……? 瀬戸のフォローを受けても、徹底的に考えがネガティブな方向へと向かっていくよしたかの姿が新鮮。それでいて、最後はしっかりと毒舌を吐き出して、従来のスタイルもきちんと踏襲している。面白かった。ネタ後のトークによると、この漫才はよしたかの実体験をモチーフとしているらしい。これをきっかけにネタの方向性も変わっていくのだろうか。だとすれば、今回は新鮮味があったことも評価の対象になっていると思うので、次が勝負どころである。次回の挑戦ではどうなっているんだろう? 「どうもーっ! ATMですーっ!」

■ジグザグジギー【501kb/1,903票】※投票3位
十一戦七勝、今期初オンエア。コント『超高性能家政婦ロボット』。高価な家政婦ロボットを購入した池田。早速、その機能を試そうとするが、ロボットが発する作動音が大きすぎて……。私は藤子・F・不二雄の漫画を読んで育った人間なので、こういう未来的な設定のコントには無条件で好感を抱いてしまう。実際、面白かった。ロボットの作動音に着目するという発想もさることながら、それによって生じる細かい悩み、打開策に至るまでの流れがスムーズで美しい。惜しむらくはオチ。音を使ったボケという意味で、それまでの流れを意識した展開ではあったけれど、ちょっとどっちらけな印象を受けた。せめて、バグリ音を使ったボケが、もう一つくらいあればなあ……と。「これ何の音なの!?」

■ロシアンモンキー【505kb/2,041票】※投票2位
初挑戦初オンエア。漫才『童話を話す』。由紀さおりと安田祥子の姉妹が童謡を歌って、全国を回って荒稼ぎをしているというすーなか。それを見習って、我々漫才師が童話や昔話を面白おかしく喋れることが出来れば、全国を回れるのではないかと提案する。試しにやってみることに……。とどのつまりは、色んなスタイルで『桃太郎』を朗読するという漫才である。一つ一つのボケに繋がりは無く、非常に散漫的ではあるのだが、そのベテラン然とした佇まいと味の沁み込んだ語り口に否応無く引き込まれる。その内容を振り返ってみると、天使と悪魔、古畑任三郎、ダウンタウンブギウギバンドと実に古臭いが、それらが全て味として昇華されてしまう。『オンバト+』ではなく、『笑点』の演芸コーナーあたりで拝見したいところ。「ビッグピーチ登場♪」

■こぶし【377kb/987票】
六戦三勝、今期初オンエア。コント『伝説の闇医者』。普通の病院では見てもらえない理由で怪我を負った男が、“伝説の闇医者”と呼ばれる医者の元へと赴き、治療してもらおうとする……のだが。闇医者だと思っていた人物が呪術的な治療を始めるというギャップの笑いからは、ひたすら不可思議な動きと言葉で観客を翻弄し続けるムチャクチャなコント。無論、彼らなりに笑いを生み出す方式を編み込んでいるのだが、それを凌駕するほどにムチャクチャ。あまりに強引、力技過ぎて、ついつい笑ってしまった。たまにはこういう粗いのもいい。「シュール過ぎるって!分からんて!」

■レモンティー【377kb/1,519票】
二戦全勝、今期二勝目。漫才『合いの手』。博多のカラオケでテレビ局の偉い人の歌に合いの手を入れて盛り上げようとしたら、あまりにも下手過ぎて「帰れ!」と言われてしまったヤマドゥ。どんな合いの手をしたのか、舞台の上で再現してみせる。……とりあえず、合いの手を入れるネタのために彼らが選んだ曲が、西城秀樹の『走れ正直者』だということに驚いた。どうして、またそんな古い曲を選んだのか。しかも、さほど売れていないのに。アニメのエンディングテーマだったから、それなりに知名度はあったんだろうが、それにしたって古い。ネタの内容は至って無難。前回のオンエアではかなり無茶苦茶な漫才を演じていただけに、なんだか残念である。ただ、ヤマドゥが合いの手の中でだらだら喋るくだりは、博多華丸を彷彿させる味わいがあって良かった。「ちなみにウチの隣はネパール人夫婦……」

■今回のオフエア
361kb:チョップリン
313kb:ジャッカス
293kb:あばれる君
225kb:ウメ
145kb:ザ・ツイスターズ

前回、初出場で初オンエアを果たしたチョップリン、連勝ならず。THE GEESEやラバーガールのように、ナンセンス一派として連勝街道に入ってもらいたかったところだが……残念。前回、オーバー500を記録したあばれる君も、連勝ならず。彼のパッションは大阪に届かなかったのか。ウメはこれで三連敗。最近はずっとコントに挑戦しているようだが、もう紙コントはやらないのだろうか……。

■次回
アイデンティティ
オキシジェン
学天即(1)
かもめんたる
334
ジャングルボーボー
ムートン
横澤夏子
ラバーガール
ロビンソンズ

次回は北海道登別収録。『キングオブコント2013』決勝進出が決まっているかもめんたる、『オンバト+』第3回チャンピオン大会ファイナリストのラバーガールの二組が目立つ。ラバーガールは12連勝中。チャンピオン大会を目指して、更に連勝を伸ばすのか。前回はオフエアだったアイデンティティ、オキシジェン、ムートンらのリベンジも気になるところ。注目は、前回の出場で高キロバトルを叩き出した学天即。関西圏の外でもしっかりと評価されてもらいたいところ。

『ムーンライズ・キングダム』

ムーンライズ・キングダム [Blu-ray]ムーンライズ・キングダム [Blu-ray]
(2013/08/02)
ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン 他

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物語の舞台は1960年代のニューイングランド島。ある朝、ボーイスカウトに所属する12歳の少年、サム・シャカスキーがキャンプから脱走してしまう。ウォード隊長はすぐさま島に滞在するシャープ警部に連絡し、彼の捜索に乗り出す。そんな折、島の少女スージー・ビショップも同様に行方不明になっていることが分かる。実は、二人は一年前に出会い、それから何度も文通を重ねていき、この日、駆け落ちすることを決意していたのだ。彼らは何処へ向かったのか。そして、彼らの恋の結末は?

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『ファンタスティック Mr.FOX』などの作品を手掛けてきた、ウェス・アンダーソン監督による作品である。私は彼の作品が大好きで、新作が公開されるたびに、地元での上映やソフト化を期待している。が、本作は迂闊にも劇場での鑑賞を逃してしまい、初見をレンタルで済ませてしまうという結果に至ってしまった(購入を見送っているのは、廉価版のリリースを待っているためである……と考えている時点で、実はさしてファンであるとはいえないのかもしれない)。本作の鑑賞後、私は劇場でこれを観なかったことを深く後悔した。もっと、しっかりと画面に集中して、その世界観に浸るべき作品だったからだ。実に、実に素晴らしい作品だった。

ウェス・アンダーソン監督の作品には、一つの共通するテーマが見られる。それは「家族」だ。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は妻や子と離れて暮らしていた父親が家族の絆を取り戻そうとする話だったし、『ダージリン急行』は三人の兄弟たちが父の死をきっかけにインド旅行へと向かう話だ。唯一のアニメーション作品である『ファンタスティック Mr.FOX』も、人間からの泥棒行為を働くことで父親としての尊厳を取り戻そうとするMr.FOXの姿が描かれている。そこには常に父親の姿があって、母親の姿があって、親たちを意識する子どもたちがいたのである。だが、本作には珍しく、親の姿が見えてこない。シャカスキーは幼い頃に両親を亡くし、複雑な性格が故に里親からも突き放されている。スージーの母親は他所の男と浮気しているし、父親は彼女を力で抑えつけようとする。親としての意識が表面的で、希薄だ。だからこそ、彼らは逃げ出したのだろう。心を寄せる親を持たない彼らは、親を必要とせずに生きるために、二人での逃避行を決断したのである。

だが、幼い二人の行く先は、とてもじゃないが現実的ではない。どんなに二人で生きるための道を進もうとしても、それは所詮、子どもの浅知恵である。だが、先が見えないからこそ、彼らは何処までも進んでいこうとする。その姿は、まるで一昔前のメロドラマの様に美しくて儚い。もし、ところどころに散りばめられた笑いの要素が無ければ、本作はとても切ない話になっていたかもしれない。その意味では、本作の落とし所は無難だが非常に納得のいくものになっているといえるだろう。だが、この結末に、私は迂闊にも涙してしまった。思うに、「そうであってほしい」という気持ちが、無意識のうちに高まっていたのだろう。彼らが絶望を知るにはあまりにも若すぎる。

とどのつまり、いい作品だった。泣いた。楽しかった。観ろ!

『オンバト+』九月十四日放送感想文1(大阪)

■ザンゼンジ529kb/3,212票】※投票2位
二戦一勝、今期初オンエア。コント『問題の指名』。授業中、問題の回答を指名した生徒から「体育の授業中に先生の車のフロントガラスを割ってしまった」と告白された数学教師が、その報復として、分からないというその問題を同じ生徒に当て続ける。数学教師が生徒を追い込むために、強引に理由を付けて指名し続ける理不尽さが笑いどころ。その一方で、「復習ぐらいはしっかりしないとなぁ~!」などの、たまに挟み込まれる状況に即した上手い台詞がいいアクセントになっている。更に、終盤で観客を感心させる仕掛けもあって、高キロバトルも納得の出来……なのだが、個人的にはまったくハマらなかった。あまりにも丁寧に作り込まれているが故に、そのネタの構造が丸見えで、その流れを崩した自己主張が見受けられなかったことが原因ではないかと思われる。そういう状態で見せつけられる感心系のオチは、ちょっと厳しかった。次のオンエアに期待。「いや武田、割っちゃダメなんだよ!」。

■チキチキジョニー【453kb/1,646票】
四戦三勝、今期二勝目。漫才『喜怒哀楽』。ゆくゆくは女優になろうと考えている石原が、本当に演技力があるところを見せつけるために喜怒哀楽を演じ分けてみせる……のだが。「喜怒哀楽を演じ分ける」という前提から、どうしてもネタが四コマ漫画的に展開してしまうために、全体の構成がまる見えになっている。その上で、大きな笑いを起こすことが出来れば良かったのだが、如何せん「米騒動!米騒動!」がそこまでウケなかったため、大きな笑いには至らず。こういうボケがウケるには、もうちょっとベテランの味を身につける必要があるような。「「まくれまくれ!」」

■アイロンヘッド【425kb/1,984票】※投票3位
二戦一勝、今期初オンエア。コント『ふざけてマネするヤツ』。辻井のやることなすこと全てをマネする毛利。野球の試合を始めるくだりに「おおっ!」と思わず感動しそうになったが、その後はただただバカバカしさの応酬。その意味では、ちょっと期待外れではあったけれども、それはそれで良かった。こういうバカなノリは嫌いじゃない。惜しむらくは、ネタが短すぎたところ。もうちょっと見ていたかった。「な~んやお前~」

■ブランケット【461kb/1,430票】
二戦全勝、今期二勝目。漫才『ホスピタル合コン』。最近、変わった合コンが増えているというたくちゃが新しく提案するのは、病院の患者同士による“ホスピタル合コン”。試しにやってみるが……。テーマがなかなか面白かっただけに、もうちょっと病院と合コンを掛け合わせたボケが欲しかった。定番ボケのボイスパーカッションをどうしても入れたかった気持ちは分かるけれど、あそこで切り上げてしまうと、ちょっと病院である必然性が足りない。途中から、合コンの相手がおばあちゃんだけになっているから、余計にそう感じさせられた。発想は面白いので、もうちょっとセンスを色濃く反映すると面白くなるのではないか。「よく呼吸が止まるのでトメ子」

■アルコ&ピース【481kb/4,297票】※投票1位
十二戦九勝、今期二勝目。コント『逆銀行強盗』。銀行員を人質に取っている強盗。二人にピストルを向けている警察に対して、「銃を下ろせ!」と訴えかけるのだが、まったく下ろす気配を見せない。やがて、強盗よりも人質が警察に苛立ちを見せ始め……。とにかく平子のパワフルな演技がたまらない。コント自体は古いネタで、彼らのDVDでも鑑賞したことがあるのだが、その頃よりも格段に迫力が増している。全体の流れは簡単に想定できるのに、それを凌駕するパワーがあった。『THE MANZAI 2012』ファイナル進出は、彼らにとってとてつもない分岐点だったんだとしみじみ思う。「支店長ごめんなさーい」

■今回のオフエア
389kb:ぼーなすとらっく
353kb:マザー
257kb:響
241kb:フリータイム
137kb:千葉チューセッツ

前回の出場でオーバー500を記録した響の連勝がストップ。若者向けのチャラい世界観が大阪の気風には合わなかったか。広島吉本の星、フリータイムはここで初黒星。少しずつキロバトルが上がっていただけに、ここでの連勝ストップは手痛い。他の三組は未勝利組。千葉チューセッツは二回連続で最下位という厳しい結果となった。

徒然なるままに『失踪日記』の話

吾妻ひでお『失踪日記』の2巻が出るという。

失踪日記失踪日記
(2005/03/01)
吾妻 ひでお

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吾妻ひでおといえば、一昔前の漫画フリークにとっては「ロリータ漫画の先駆け」的な存在なのだろうが、85年生まれの私にとっての氏は『失踪日記』の人以外の何者でもない。それほどに、この作品はよく売れたし、話題にもなった。関連書も数多く出版され、そのうちの幾つかを私も購入した。中には便乗本以上の価値を見出せない作品もあったが、純粋に漫画として面白く読ませていただいたものも少なくなかった。例えば、『うつうつひでお日記』がそれに当たる。

うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)
(2008/08/23)
吾妻 ひでお

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『うつうつひでお日記』は、2004年7月7日から2005年2月16日にかけて、作者が送った日常を漫画化した作品である。これが非常に面白かった。といっても、これといって刺激的な事件が起きているわけではないし、何処か非現実的な生活が描かれているわけでもない。基本的には、メシを食ったり漫画や小説を読んだりお笑いの話をしたり、しているだけの漫画である。それでも、なんだか面白い。多分、恐らく、いけないことなのだろうが、こういう日常に憧れを抱いているのだろう。その意味では、私はどうも漫画家をナメているきらいがある。ろくでもない。この『うつうつひでお日記』が、それなりに好評を得たのか、類似系統の作品が二冊ばかり出版されている。

うつうつひでお日記 その後 (単行本コミックス)うつうつひでお日記 その後 (単行本コミックス)
(2008/09/30)
吾妻 ひでお

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ぶらぶらひでお絵日記 (単行本コミックス)ぶらぶらひでお絵日記 (単行本コミックス)
(2012/02/25)
吾妻 ひでお

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但し、この二冊は『うつうつひでお日記』の様に、漫画の形式を取っていない。氏が書いた文章にイラストが添えられているだけだ。個人的に、淡々としているだけに見える氏の文章の中に含まれている独特の味わいがたまらなく好きなので、この形式でも気にすることはなかったのだが。あくまでも漫画を求めている人は注意すべきだろう。そういえば、この二冊は未だに文庫化されていないようだが、売れなかったのだろう。『うつうつひでお日記 その後』よりも後に出版されている、氏の青春時代の出来事をフィクションに満ちた世界観で展開した『地を這う魚』は文庫化されているし。

地を這う魚 ひでおの青春日記 (角川文庫 あ 9-3)地を這う魚 ひでおの青春日記 (角川文庫 あ 9-3)
(2011/05/25)
吾妻 ひでお

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個人的な話をすると、『失踪日記』よりも『地を這う魚』の方が好きである。華やかさも美しさもない青春時代の物語をフィクションで味付けすることで、異世界の日常を垣間見ている様な気分になれるのが実にいい。アニメ映画化に向いている作品だと思うのだが……集客は望めなさそうだ。

失踪日記2 アル中病棟失踪日記2 アル中病棟
(2013/10/06)
吾妻ひでお

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なにはともあれ第2巻の出版、ひとまずめでたいっ。

『つり球』

つり球 6【通常版】 [DVD]つり球 6【通常版】 [DVD]
(2012/11/21)
逢坂良太、入野自由 他

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江の島へと引っ越してきた男子高校生・真田ユキは、他人とコミュニケーションを取ることが苦手で、これまでに親しい友人を持ったことがなかった。ところが、同じ日に転校してきた自称・宇宙人のハルに強引に釣りをするように言われ、“釣り王子”という恥ずかしい異名を持つクラスメートの宇佐美夏樹からの指導を受けることに。当初は嫌がっていたユキだったが、少しずつ釣りに対して興味を抱くようになり、気が付けばどっぷりとハマってしまう。また、釣りを通じてハルや宇佐美と交流を深めていくうちに、三人の間に熱い友情のようなモノが芽生え始める。そんなある日、江の島に不思議な現象が巻き起こる。その原因は……?


“青春”と“SF”に“釣り”の要素を盛り込んだ作品である。一見すると上手く絡み合わない様にも見えるこれらの三要素が、不思議としっくり……どころか、反発し合うことなく一つの作品の中でしっかりと混ざり合わさっている。しかも、それらの要素は決しておつま程度の扱いではなく、完全なるド直球で取り入れられているから恐ろしい。主要人物たちは紆余曲折を経て着実に友情を深めていくし、宇宙からの生命体によって地球が侵略の危機に晒されるし、釣りのハウツーも手を抜くことなくきちんと描かれている。そんな緻密な台本の上で、個性豊かな登場人物たちが動き回るのだから、面白くならないわけがない。繊細で緊張すると般若の様な顔になってしまう主人公の真田ユキ、自称宇宙人で不可思議な言動ばかり取り続けるハル、母親を亡くして家族と少しギクシャクしている“釣り王子”の宇佐美夏樹、そんな三人のことを観察している謎の高校生(25歳)アキラ・アガルカール・山田。この、シリアスとコミカルのごった煮にしたような面々によって、話は更に面白味を増していく。何処に出しても恥ずかしくない傑作といえるだろう。

ただ、難点として、全体的に女性ウケを狙っている感が強く出過ぎている。主要人物たちはいずれも線が細く、いわゆる草食系男子の雰囲気が強い。彼らはいずれも不器用で、その思想の違いからぶつかり合うたび、過剰に距離を縮めている(肉体的な意味でも、精神的な意味でも)。女性たちは、そんな彼らと一線を引いていて、そこにはあくまでも男の世界が広がっている。……はっきり言ってしまうと、ボーイズラブ臭が強いのである。特にユキとハルの距離感は尋常じゃない。最終回間際の二人のやりとりは、まるですれ違いによって離れ離れになりかけた恋人たちの様だ!

その点さえ気にならなければ、一見の価値あり。

馬鹿だなあ原田君

家族それはヘンテコなもの (角川文庫)家族それはヘンテコなもの (角川文庫)
(1998/10)
原田 宗典

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原田宗典が逮捕された。アリャリャコリャコリャアリャリャコリャなニュースである。原田宗典といえば、私が中学生時代に書店でエッセイを立ち読みしてなんじゃこりゃーっとばかりに強いショーゲキを受け、吸い込まれるように読みまくっていた作家じゃないか。その原田が逮捕、それも覚せい剤と大麻を所持していたというのであるから、真に遺憾な話である。最近の著作には目を通していなかったが、いちファンとしては実に許し難い、許し難いぞハラダくん! ドンッ、バチャ(ちゃぶ台を叩いてお茶をこぼした音)

私が初めて目にした原田宗典のエッセイは、『家族それはヘンテコなもの』といういかにもヘンテコな作品であった。近所の書店になんとなく立ち寄って、なんとなく手に取って、なんとなく開いてみたら面白かったので買っちゃったというシロモノだが、当時の私はこれで夏休みの読書感想文まで書いてしまったのだから、余程のカンメーを受けたのではないかと思う。ちなみに、私が読書感想文のテーマとして取り上げたのは、「さようなら、まあちゃん」というエピソードだった。基本的にコッケイな話ばかりが収められている本書において、原田家で飼っている猫のまあちゃんが急死してしまうこのエピソードは突出して悲しく、読書感想文で教師から良い反応を貰うのに最適だと思ったからである。……打算的でイヤらしいと思われるかもしれないが、そうでもしないと本書の感想文を提出できない、そうまでして本書の感想文を書きたかったのだという当時の私の心境を汲み取っていただきたい。いや、汲み取ったところで、やっぱりイヤらしいものはイヤらしいんだけれど。

しかし馬鹿だなあ原田君。ホントに馬鹿だなあ原田君。テッテ的に反省して帰ってこいよ。

『キングオブコント2013』決勝戦のネタ順決定!

『キングオブコント2013』決勝戦のネタ順が発表された。

1.うしろシティ
2.鬼ヶ島
3.かもめんたる
4.天竺鼠
5.アルコ&ピース
6.TKO
7.ジグザグジギー
8.さらば青春の光


『キングオブコント』において、一本目のネタ順は非常に重要である。何故ならば、これまで一本目のネタがあまり評価されなかったものの、二本目のネタで上手く巻き返して優勝したという例が皆無だからだ。基本的に、一本目のネタが高く評価されたユニットが、そのまま二本目でも高評価を得て優勝を果たしている。このパターンから外れているのは、『キングオブコント2009』で優勝した東京03のみ。しかし、これもサンドウィッチマンに次ぐ2位という好位置にいたことを考えると、優勝したすべてのユニットが一本目で結果を残していたと断言していいだろう。

ただ、『キングオブコント』において、ネタ順そのものは実はさほど重要ではない。賞レースでは不利な位置とされている、一番手から優勝をもぎ取った東京03の例もある。むしろ、『キングオブコント』において重要なのは、前に誰がネタを演じていたかという点だ。過去の決勝戦の採点を見ると、前の演者と圧倒的な点差がついている状況が少なくないことに気付かされる。以下、例を挙げると、

09年大会:東京03(835点)→ジャルジャル(734点)
10年大会:ジャルジャル(829点)→エレキコミック(727点)
11年大会:TKO(757点)→ロバート(942点)
12年大会:さらば青春の光(862点)→銀シャリ(754点)
12年大会:夜ふかしの会(778点)→バイきんぐ(967点)


等がそうだ。どうして、このような事態が生じるのか。その理由は、決勝戦の審査が準決勝戦で惜しくも敗れた100人のコント師たちによる、1人10点満点形式によって採点されているためだ。前のユニットとの差が明確に表れていれば、彼ら1人1人は1点ないし2点だけ低い点数を入れることになる。しかし、それら全てが最終的に合わさって、100点ないし200点の点差を生み出してしまうのである。だからこそ、ネタ順よりも誰の前後にネタを演じていたかが重要になってくる。

ここで、改めて決勝戦のメンバーとネタ順を見てみると、それぞれが実に個性的であることが分かる。ポップな見た目で堅実なコントを生み出すうしろシティ、恐怖と表裏一体の笑いで場の空気を染める鬼ヶ島、日常的な状況にじんわりと不気味な世界を浸透させていくかもめんたる、不条理な笑いで観る者全てを翻弄する天竺鼠、シュールなコントで裏をかくアウトロースタイルのアルコ&ピース、王道のキャラクターコントに定評があるTKO、しつこさとくどさで惹きつけるジグザグジギー、バカバカしくってナンセンスな世界観が魅力のさらば青春の光……やたらと個性的なメンツが揃っているので、とにかく結果が読めない。ただ、それは逆に言えば、大きな爆発を起こせられれば、チャンスは誰にでもあるということでもある。東京03・キングオブコメディの様な爆発的決め手、ロバート・バイきんぐの様な圧倒的力量を示すことが出来るのは、果たしてどのユニットなのか。今はただただ待ち遠しい。

マキタスポーツ『推定無罪』

推定無罪推定無罪
(2013/08/21)
マキタスポーツ

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マキタスポーツ? マキタスポーツっていうと、あの“作詞作曲ものまね”とかいって、他のミュージシャンの楽曲を中途半端にパクった曲をものまねって言い張ってるピン芸人? もしくは、カノンだかなんだか知んねーけど、とにかくそういうヒット曲の法則みたいなのを使って『十年目のプロポーズ』っていう面白くもなんともないCDをリリースした自称音楽研究家だろ? そのマキタスポーツがどうしたんだよ。え? アルバム出したの? 出せたの? しかも二枚組? タイトルは……『推定無罪』? 遂に訴えられたの? そういうわけじゃないのか。えっ、なに、今持ってんの? 貸してみろよ。……なんだよ、このパッケージ。ふざけてんなー。この絵、誰が描いてんの? 天久聖一? 『バカドリル』の? いや、詳しくは知んないけど。

何が入ってんの? あっ、さっき言ってた“作詞作曲ものまね”入ってんじゃん。『コーヒー★ギューニュー』っていうのは、多分奥田民生の『イージュー★ライダー』のもじりだよな。『サンボマスターはお湯に語りかける~美しき日本の銭湯~』は……まんまじゃんwww名前出ちゃってんじゃんwwwちょっと濁せよwwwそれから『みそ汁(独唱)』……っていうのは、森山直太朗の『さくら(独唱)』だな。……『袋とじ』ってなんだ? 分かんねえな。ま、別にいいけど。おっ、『十年目のプロポーズ』も入ってんだ。……なんだ、二枚組のうち一枚は『十年目のプロポーズ』だけしか入ってねーんじゃん、ぼったくりかよ。……えっwwwスチャダラパー参加しちゃってんじゃんwwwなにやってんだよスチャダラパーwwwお前、これ聴いたの? もう聴いたの? どれが良かった? ん? なに? 『はたらくおじさん』? 演奏が渋い? ……歌どしたよwww歌のアルバムだろwwwまずは歌を評価してやれよwwwそれと、『Oh!ジーザス』? タイトルが「おじさん」とかかってて面白い? ……ダジャレじゃんwww単なるダジャレじゃんwwwそれでいいのかお前はwwwイチオシは『1995 J-POP』って曲なの? うん。95年の曲名が入ってて、なんだか懐かしい気持ちになるのか。……お前は何歳の設定なんだよwww別にいいけどさwwwそれを言ったら俺も何歳設定なんだって話だけどwww……これ借りていい? いいの? おっ、サンキュ。

(帰宅、自室で再生)


歌うめええええええwww

東京へ行く。最終日。

午前9時起床。昨夜、狂乱のオフ会を終えてホテルに戻ってくる時間がかなり遅かったので、もう少しゆっくりと眠っていたかったのだが、午前10時チェックアウトだから仕方が無い。両手で頬を打ち、強引に覚醒する。書籍、落語CD、洗濯物など、室内に放り出してあった荷物を無理やりトランクに詰め込んで、午前10時にホテルを退出する。

この日は午後から立川流寄席を鑑賞する予定だったので、広小路亭のある上野へと山手線で移動する。駅のコインロッカーにトランクを収めて、ひとまず朝食を取ることに。駅からすぐのところにある富士そばへ行く。東京に居る間、朝食はずっと富士そばを食べていた。地元ではあまり食べられない立ち食い蕎麦を堪能したかったからだ。四日間、ひたすら蕎麦を食べ続けてきたが、個人的にはそこまで好きにはなれなかった。が、また東京に来た際には、食べに来ようと思う。きっと、こういう味のことを、飽きない良さというのだろう。

食後、喫茶室ルノアールで一息つく。モーニングセットがあることに気付き、悔やむ。

午前11時半、お江戸上野広小路亭にて「立川流広小路寄席」を鑑賞する。名前だけは見聞きしたことがあったものの、音源も映像も未知な落語家さんの口演を御堪能。下手だと聞いていた立川キウイ師匠、土橋亭里う馬師匠も割といい印象が持てたのだが、もしや波長が合っただけだろうか。立川雲水師匠、立川談幸師匠はけっこうハマった。いつかCDを出してくれないものか。

午後5時、吉原を覗く。

なんやかんやで午後8時、東京駅に到着する。何故かは分からないが、高速バスの出発時刻まであと1時間しかない。まったくもって不測の事態だが、とりあえずお土産を探すため、コインロッカーにトランクを預ける。不条理な時間不足に伴い、とにかくお土産の類いを駆け足で探し回るも、うっかり地下のテレビ番組グッズの売店に迷い込む。そのまま各局を探訪。『相棒』の紅茶キャンディだの、『ピカルの定理』のローズキャンディだの、ふなっしーのクッキーだの(何故に日テレフロアに……?)、あれこれ見ているうちに「お時間です」。

午後9時前、乗り込んだ高速バスが出発する。お疲れさん。

『THE MANZAI 2013』認定漫才師マトメ

『THE MANZAI 2013』認定漫才師が発表された。

……忙しいよなあ、ホント。ついこの前、『キングオブコント2013』決勝進出者が発表されたばかりなのに、もう『THE MANZAI 2013』の話題を持ち出さなくちゃならないんだよなあ。開催時期を考えると仕方がないこととはいえ、市井のお笑いファンは一喜一憂の繰り返しで精神的に疲労困憊だろう。……私はその辺、どっちかというと冷めているので、そこまで落ち込まないけれど。同情はするのよ。

とはいえ、今回の結果にはなかなか驚かされた。過去の結果をあまり反芻していないので、例年もこんなものなのかもしれないけれど、「ここが落ちるのか!」という衝撃はけっこう強かった。その辺りの状況がややこしいので、今回も昨年と同様に認定漫才師のマトメ表を作ってみることにした。良かったら、何かの参考にして。

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『ザ旬芸人グランプリ ニコジャッジ』(2013年8月31日放送)

【司会】
設楽統

【特別審査員】
関根勤
ホラン千秋
高橋真麻

【審査方法】
笑顔認証システムを用いたポイント制

【予選】(ネタ時間1分)
・Aブロック
★バイきんぐ『バット』
プラスマイナス『ものまね』
パンクブーブー『カメラマン』

※コント中にバイきんぐ西村が負傷、プラスマイナスが繰り上げ進出

・Bブロック
ずん『居酒屋』
アルコ&ピース『フェルナンデス兄弟』
★うしろシティ『この一球』

・Cブロック
ロッチ『アンケート』
クマムシ『もしもアイドルになったら歌う曲』
★トレンディエンジェル『モデル』

【最終決戦】(ネタ時間4分)
プラスマイナス『野球』
うしろシティ『チュートリアル』
★トレンディエンジェル『引退』

それぞれのネタは当然面白かったが、なによりバイきんぐのドクターストップに笑ってしまった。特に派手な動きをしていたわけでもないのにコント中の事故で全治六週間って……いくらなんでも突然の出来事だったし、なにより怪我があまりにも重すぎたことが……! 不謹慎を承知で、ついつい笑ってしまった。それを置いても、最近は岩橋のクセばかりがクローズアップされていたプラスマイナスのちゃんとした漫才が観れたこと、うしろシティが先の単独で披露したという新作コントが観れたこと、やっぱりトレンディエンジェルの漫才を見ていると「漫才って楽しいなーっ!」と思えることを再認識できたことなど、色々と有意義な時間を楽しませてもらえた。司会が人イジりに定評のある設楽さん、審査員の一人が若手に優しい関根さんだったことも、かなり番組にとっていい作用を働かせていたと思う。いやー、素敵な番組だったなー。

アルコ&ピース『博愛』

博愛 [DVD]博愛 [DVD]
(2013/08/21)
平子 祐希(アルコ&ピース)、酒井 健太(アルコ&ピース) 他

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漫才は嘘で出来ている。

漫才の冒頭で「○○な人を見かけた」という話を持ちかけてコントに突入することがあるが、そんな人は実際に存在しない。「○○になりたい」と話し始めることもあるが、芸人として売れたいと思っている彼らがそんな夢を抱くわけがない。そもそも、その場で思いついたように話を進めていくこと自体、まったくの嘘である。漫才の多くは、そのやりとりに台本があり、舞台にかけられるまで何度も練習を積み重ね、きちんと完成した形のモノが披露されている。それらは全て虚構、作り話だ。

念のために言っておくが、漫才が嘘だということを批判したいわけではない。それは、手品が嘘だということ、漫画が嘘だということ、映画が嘘だということを批判するくらいにバカげた行為である。だが、それが作られた嘘である以上、どうしても現実との差異による違和感が生じてしまうのも事実だ(この違和感を逆手に取って、冒頭から「結婚詐欺師になりたい」と堂々と言ってのけたおぎやはぎは実に戦略的である)。

ただ、漫才で演じられていることの全てが、完全に嘘だとは限らない。例えば、『M-1グランプリ2005』チャンピオン、ブラックマヨネーズの漫才は極度の心配性だという吉田敬の性格を色濃く反映している。『M-1グランプリ2008』での活躍が今でも思い出されるオードリーの漫才も、それまでツッコミを担当していた春日俊彰のズレたところに着目してイチから再構築されたものだ。それらのネタには、作られた漫才の面白さを超越した、圧倒的な説得力が根底にある。

かつて、放送作家の高田文夫は、ツービート(もといビートたけし)の登場によって漫才がドキュメントになったと語ったことがあった。彼らが登場する以前の漫才は、漫才作家と呼ばれる人たちがネタを書き、それを漫才師が演じていた。ところが、たけしは舞台に上がる前にやっていた雑談を、そのまま漫才として披露していたのだという。その瞬間から、漫才師は自分自身の言葉で、漫才を語るようになったのだ。演者が面白ければ台本は必要無い、と高田は語る。ブラックマヨネーズやオードリーの登場は、そんな漫才のノンフィクション性の一つの進化(深化?)といえるのかもしれない。

アルコ&ピースの『忍者』も、そんな流れの中で生じた漫才である。

アルコ&ピースの『忍者』は、『THE MANZAI 2012』決勝戦のステージで披露された。その内容は、「忍者になって巻物を獲りに行きたい」と漫才をセオリーの通りに始めようとする酒井健太に対して、それを真に受けた平子祐希が「じゃあ、お笑い辞めろよ……」と真面目に説教を始める……というものだ。

一見すると、それは普通の漫才を始めようとしている酒井(ないし普通の漫才が始まるだろうと思っていた観客)と、漫才を始めるための嘘の提案を真に受けた平子のズレた認識を描いている漫才に見える。だが、ここで重要なのは、勘違いした上で発せられる平子の発言だ。「今、俺ら、どういう時期だよ?」「後輩たちがどんどん先に売れて、俺らその背中見ながら「チクショウ、次こそは自分たちが!」って、そういう気持ちで毎日臨んでんだよ!」「みんな本気で勝ちに来てんだよ!」……これらの言葉に、嘘は感じられない。何故なら、平子の言っていることは全て、彼ら自身の状況と正しく合致しているからだ。そして、平子の言葉が真剣になればなるほど両者のズレがどんどん広がっていき、それに比例して漫才もどんどん面白味を増していく。

ブラックマヨネーズやオードリーが自身の気質を漫才に反映していたのに対し、アルコ&ピースの『忍者』は「売れない若手芸人の叫び」ともいうべき真摯なメッセージを上手く工夫してネタの中に練り込んでいる。結果、その叫びが説得力となり、笑いへと昇華されているわけだ。実によく考えられている。

とはいえ、彼らの場合、そう見られることを前提にしてネタを作っていた可能性も否めない。若手芸人である自らの状況を客観的に捉え、観客が無意識に望んでいる「売れない若手芸人の叫び」を意識的に組み込んだのではないだろうか。前作『東京スケッチ』でも、自身のネタに対して自己言及を行うという視点を見せていた彼らである。その可能性は十二分に考えられる。だとすると……アルコ&ピースというコンビはとてつもなくシニカルな視点を持ったコンビであると言えるだろう。

この『忍者』を含めた、アルコ&ピースの代表的なネタを収録したDVD『博愛』が、先日リリースされた。平子の恋人が欲しがっている“ドルチェ&ガッバーナ”が何なのか分からない二人がひたすら妄想を繰り広げる『サプライズプレゼント』、怪しげな雰囲気の呼び込みに誘われて酒井が入ったお店の正体は……『呼び込み』、体内に入った精子が卵子の元へ向かう様子を人間に置き換えて描いた『受精』など、収録されているネタの多くは(シチュエーションのクセはあれど)ネタとして実にシンプルな内容になっている。しかし中には、彼らのお笑いに対する様々な思惑を匂わせるネタも幾つか。とりわけ、無知でおバカな酒井に平子があることを一生懸命に教えようとする『円弧』は、アルコ&ピースのあることに対する気持ちが大いに反映されているようで、色んな意味で面白かった。彼らと同様に、あることに対して独特の感情を抱いているジャルジャルがこのネタを観たら、けっこう本気で悔しがるのではないだろうか。

今、アルコ&ピースは売れかけている。『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0』ではパーソナリティを担当、『笑っていいとも』に週替わりではあるもののレギュラーとして出演、最近では念願の『キングオブコント2013』決勝進出が決定した。今後、彼らの状況は、大きく変化していくだろう。それに伴って、コントの傾向も大きく変わっていくことが予想される。それでも、いつまでもこのシャープな視点を失うことなく、彼らにはコントを作り続けてもらいたい。そのシニカルな目で生み出されたコントで、いつまでも意地悪な我々を楽しませてもらいたい。そんなことを、意地悪く願う。


■本編(59分)
「忍者」「OB」「サプライズプレゼント」「円弧」「呼び込み」「虫の声」「受精」「天使と悪魔」「タイムマシン」「じいちゃん」

■特典映像(21分)
「情欲大陸」
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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