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チョップリン『ティッシュ』と“共通認識”

時々、説教されることがある。

30歳を目前にして他人から説教されるというのは、一見するとちょっと情けない話の様な気もするが、逆に言えば、まだ人として伸びしろがあるということだ。少なくとも、その見込みがあると思っているからこそ、その御仁は私に説教してくれるのである(まあ、立川談志曰く、「小言は己の不快感の解消である」とのことだが。それについてはひとまず置いておけ)。なんとも有難い話ではないか……と思うのだけれども、その一方で、説教されて困ってしまうこともある。

例えば、その人がどうして私を説教しているのか、分からないときがある。とにかく私に何かを伝えようとしているのだという意思だけは伝わってくるのだが、何を言っているのかがよく理解できないのだ。言語は通じているのに、同じ世界で生きているのに、どうしてこんなに伝わってこないのか。理解できないのなら、理解できないことについて質問すればいいじゃないかと思われるかもしれないが、そうすることによって、更なる迷宮に飲み込まれてしまうことが多いから、実になんとも立ち往生である。自分の読解力が悪いのか、相手の表現力が悪いのか。アレやコレやと考えてみて、これはむしろ、どちらが悪いという話ではなく、根本的に共通認識を持てていないからではないかという仮説を導き出してみた。

かつて、山崎まさよしが『セロリ』という曲の中で、“育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ”と歌っていたが、同じ場所で出会った人同士であっても、それまでに過ごしてきた半生はまったく違っている。親の教育方針、学校・近所の環境、所属していた部活動、受けてきた授業のレベル、交際した男女の数、それぞれまったく違うし、違って当たり前なのである。だからこそ、共通認識を確認することは、とても大切だ。自分が良しと考えていることを、相手は悪しと考えているかもしれない。それら一つ一つの共通認識を確認した上で、話は進められなくてはならないのだ。なのに、そこを怠るから、話が分からなくなってしまうのである。私に説教する人は、そこのところをどうか気を付けていただきたい……って、なんで説教される側の私が偉そうにしているんだか。まったく。

そんなこんなを考えていて、ふと、チョップリンの『ティッシュ』を思い出した。

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神谷明、 他

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チョップリンは松竹芸能に所属するコント師だ。兵庫県芦屋市出身の小林幸太郎と西野恭之介によって、1999年に結成された。全国的な知名度は低いが、「ABCお笑い新人グランプリ 最優秀新人賞」「上方漫才大賞 優秀新人賞」「上方お笑い大賞 新人賞」「NHK上方漫才コンテスト 最優秀賞」など、関西方面の賞レースでは高い評価を得ている。そろそろ「キングオブコント」でも注目されてもらいたいのだが……。『ティッシュ』は、そんなチョップリンの代表作として知られている。

『ティッシュ』は、新人のバイト(西野)が先輩(小林)から仕事内容の説明を受けるコントだ。西野が任された仕事は商品の検品。二人の前には机があり、その上には青いバケツとピンクのバケツとティッシュが一箱。大丈夫なヤツを青いバケツに入れて、大丈夫じゃないヤツをピンクのバケツに入れるように西野に説明し、小林が手本を見せようとするのだが……。

 小林、箱からティッシュを一枚引き抜く。
小林「えっとな、まずな、これが大丈夫なヤツね」
西野「これが大丈夫なヤツ」
小林「うん、これが大丈夫なヤツ」
 小林、引き抜いたティッシュを青いバケツに入れる。
 続けて、もう一枚箱からティッシュを引き抜く。
小林「これも大丈夫なヤツな」
西野「これも大丈夫なヤツ、はい」
 小林、引き抜いたティッシュを青いバケツに入れる。
 更に続けて、もう一枚箱からティッシュを引き抜く。
小林「あ、これは大丈夫じゃないヤツ」
西野「これは大丈夫じゃないヤツ……」
 小林、引き抜いたティッシュをピンクのバケツに入れる。
小林「大丈夫?」
西野「大丈夫です!」
小林「出来る?」
西野「(首を傾げながら)……大丈夫です!」


どっからどう見ても、大丈夫ではない。

結果、西野は上手く検品することが出来ず、小林の手を大いに焼かせてしまう。初めに、ティッシュの「大丈夫なヤツ」と「大丈夫じゃないヤツ」の違いを明確にしていない、共通認識を確認できていないためである。ただ、ちゃんと質問していない西野にも、落ち度はあるのだが。むしろ、ちゃんとバイト内容を理解していないのに、ニュアンスでどんどん処理していこうとする西野こそ、このコントにおけるボケといえるのかもしれない。ただ、後の展開で、更に状況が複雑化するのだが。

小林「この空いた箱に、この大丈夫なヤツを詰めてって」
西野「詰め直すんすか!?」


世界中の諸先輩方には、どうか相手の認識具合を察して、「大丈夫な説教」と「大丈夫じゃない説教」を上手く使い分けてもらいたいものである。って、だからなんで説教される側である私が偉そうなんだ。そんなだから説教されるんだろうが。『アオイホノオ』第70章の最後の名文を百回読み返せ。まったく。
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「柳家花緑 独演会」(岡山)

18時開場、18時30分開演。会場は毎度お馴染み岡山市民文化ホール。物販コーナーには、手ぬぐい、書籍、CD・DVDなどが売られていた。朝日名人会シリーズの『柳家花緑1』を持っていなかったので、購入しようと思っていたのだが、そもそも売られておらず。『柳家花緑2』はあったが、持っているのでスルー。席は5列目の真ん中あたり。まあまあ良い席ではないかと思う。

前座は柳家緑太さん。演目は『桃太郎』。父親が話す桃太郎に子どもがケチをつける噺だ。前座噺の定番らしいのだが、あまり聴いたことのないネタだったので真面目に聴こうとしたが、やや単調な語り口と「昔の子に比べて最近の子は……」という言い回しに反感を覚え(恐らくはそういうマクラのネタなので、この件に関しては別に緑太さんが悪いわけではない)、気が付くとグッスリ眠っていた。というか最近、本当に落語会で寝過ぎじゃないか、自分。しっかり体調管理しないと。ちなみに緑太さん、もうすぐ二つ目になられるらしい。皆さん、応援してあげてください(←どのツラ下げて)

続いて、メインの花緑師匠が登場。岡山で落語会をすること、兄弟子・柳家小三治師匠が人間国宝になったことについてのマクラを軽く振って、『つる』へ。八五郎がご隠居に“つる”という鳥の名前の由来について教わる噺で、古典落語ではド定番中のド定番だ。で、正直なところ、「あっ、『つる』か……」と思った途端に、またもグッスリときてしまった。独演会に行く金でネットカフェのフラット席で寝てた方が良いんじゃないかって話だが、なんとか終盤で目が覚める。八五郎が付け焼刃で覚えた“つる”の由来を仲間に説明しようと躍起になっているくだりで、まさかのあの議員のあの会見パロディが披露され、寝起きにも関わらず大爆笑! 「あっ、寝ている場合じゃなかった!」と反省し、完全に覚醒した。

『つる』が終わっても幕は下りず。続けて、「居酒屋のお通しは落語でいう○○なのではないか」(ネタバレになるので伏せ字)という興味深い説を唱えた後、その説とは何の関係も無く『宮戸川』へ。門限を過ぎてしまって締め出された半七が、隣町の叔父さんの家に泊まらせてもらいに行くのだが、その後を同様に外に締め出された隣に住む女性・お花がついてきて……という、ちょっと色っぽい滑稽噺だ。音源では聴いたことのある演目で、そっちはあんまり面白いと感じなかったのだが、ナマで観るとこれがとてつもなく面白い! 半七とお花のハイテンポに繰り広げられるナンセンスなやりとりに加えて、師匠の端正な見た目からは想像もつかないダイナミックな動きで強引に笑いを取りに行く様は凄味の一言。そして、その時「そうか、花緑師匠は動きで観る落語家なんだな」と気が付いた。そこを意識して観れば、もっと面白く感じられるに違いない。というわけで、師匠を映像でちゃんと観てみようと思い、仲入り中に物販でDVDを購入。さっき見逃した『つる』が収録されているらしいので、チェックしておこう。

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(2013/01/25)
柳家花緑

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仲入り後はマクラもそこそこに『井戸の茶碗』。正直者のクズ屋が浪人と侍の意地の間で右往左往させられる人情噺で、これまたド定番中のド定番だ。で、またも正直なところ、「あっ、『井戸の茶碗』か……」と思ったのだが、今度は流石に眠らない。人情噺ということもあってかアクションは控え目だったが、ネタの出来はなかなか良かった。序盤の退屈な下地部分をスパスパッと編集し、「侍がクズ屋を探している」と話題になるあたりからじっくりと聴かせる流れになっていて、飽きさせないように工夫が施されていた。ちょっと地語りで強引に編集していたが、このくらいが丁度良いような気がする。奇声がやたら多かったのは少し気になったけど。ヘンチキリンな声で叫ぶのが好きだよなあ、ホント。それを愛嬌と見ようか、どうしようか。

終演後は、ロビーで物販購入者を対象としたサイン会。通常、終演後のサイン会は演者の準備時間を多少要するモノなのだが、花緑師匠は終演直後にロビーにいた。なんというプロ根性、なんというファンサービス。一人一人への対応もしっかりとしていて、中には顔をちゃんと覚えられている人まで。改めて、プロフェッショナルだなあと感心。自分の番、きっと私の寝顔を覚えているであろう緑太さんに「ゴメンネ」と小さい声で言いながら、DVDを渡す。緑太さんの手から、花緑師匠の手へ。DVDの盤面は狭いので、パッケージにサインを書いてもらった。わざわざビニール表紙の中から紙だけを取り出して、そこにサインをしてくれた。なんとマメな人だろう。「しばらく乾かしてから、また戻してください」と言われ、そして握手。熱くも冷たくもない、握り心地の優しい手だった。

『白酒ひとり壺中の天 火焔太鼓に夢見酒』(桃月庵白酒)

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(2013/09/25)
桃月庵 白酒

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『噺家が闇夜にコソコソ』にレギュラー出演中の落語家、桃月庵白酒の自伝。落語家の自伝本といえば、落語とのセンセーショナルな出会いから師匠に入門するまでの流れを経て、それからの奮闘ぶりを中心に描いている印象が強い。しかし、本書はいきなり、白酒が早稲田大学の落語研究会に所属し、ユルーい学生生活を送っていた頃の話で幕を開ける。なんだよ、落語家としての厳しい修業時代とかの話を書いて、俺たちサディストの性感帯を刺激しろよ、などと思ったり思わなかったり。ただ、この頃の話が、やたらめったら楽しい。自分のアパートの部屋よりも部室にいる時間の方が長かったとか、そういうバカ学生にありがちな話ばっかり。

ところが四年生になって、そんなバカ学生にも“卒業”という現実が迫ってくる。周りの仲間たちは就職の道筋を決めているのに、ただ一人だけ取り残されていく。そんな時に、ふっと頭に「落語家になろうかな」という意識が芽生えてくる。でも、芸人として、果たして食っていけるのか。この葛藤が実に生々しい。そして遂に、五街道雲助の門を叩く……もとい、玄関のインターホンを押す瞬間! 芸人への第一歩を踏み出した、その瞬間に本書はピークを迎える。その後の修業時代や大学以前のエピソードも面白いけれど、もうここが凄かった。全ての芸人志望者は、本書を読んで大いに共感すべし。で、芸人になったら、雲助の自伝『雲助、悪名一代』を読めばいいんじゃないかなあ。

2014年8月のリリース予定

■購入予定
20「トータルテンボス全国漫才ライブ2013 わらおう
27「2014千原ジュニア40歳LIVE「千原ジュニア×□」
27「腹腹電気」(日本エレキテル連合)

■テレビ関係
06「人志松本のゾッとする話 上
06「人志松本のゾッとする話 下
13「リンカーンDVD 14
13「リンカーンDVD 15
20「タカトシの涙が止まらナイト
20「逃走中30 ~ハンター消滅~
22「もっとたりないふたり ─山里亮太と若林正恭─ 5枚組(本編4枚+特典1枚)
27「竹山ロックンロール 5
27「世界の果てまでイッテQ! Vol.1
27「世界の果てまでイッテQ! Vol.2
27「世界の果てまでイッテQ! Vol.3
29「バナナ塾 VOL.3
29「バナナ塾 VOL.4

■その他
20「柳沢慎吾祭り!! DVD-BOX 蔵出し映像付き!!
27「必笑! ~お笑いファンが選んだネタベスト~

ビバ! ボーナス! な八月だけど、バラエティDVD的にはそんなに盛り上がっていない。何故だ。色々と消費しきって、予算の余りが見え始める九月こそがねらい目なのか。実際、兵動大樹とか、ザ・ギースとか、バイきんぐとか、ラバーガールとか、あれこれ出るぞ。とはいえ、八月のセレクションも決して悪くない。年に一度のDVDリリースが当たり前になっているトータルテンボス、人気急上昇中の日本エレキテル連合(なんで単独ライブDVDじゃないんだっ!)、千原ジュニアの40歳記念スペシャルライブとなかなかに充実している。……そういえば、ジュニアのDVDは収録時間どうなるんだろう。ゲストの数の多さから、ボリュームたっぷりなんじゃないかって勝手に想像しているんだけれど。情報出てないなー……。

『流れ星ベストネタライブ「回帰」』

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(2014/07/02)
流れ星

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『流れ星ベストネタライブ「回帰」』を観る。

流れ星は浅井企画に所属する漫才師だ。同じ高校の同級生だったちゅうえい(中島仲英)と瀧上伸一郎によって、2000年に結成された。そのクセの強い世界観と強烈なギャグが入り混じった漫才には定評があり、『爆笑オンエアバトル』では無傷の20連勝という前人未到の記録を達成している。2013年には『THE MANZAI 2013』決勝戦にワイルドカードとして進出、惜しくも予選敗退となったが、その舞台で披露された「肘祭り」は視聴者に大きな衝撃を与えた。本作には、そんな彼らが2013年7月12日に開催した、ベストネタライブの模様が収められている。

『爆笑オンエアバトル』で流れ星の漫才を観ていた私は当時、彼らがどうして『M-1グランプリ』の決勝戦に上がれないのかが不思議でならなかった。確かに、流れ星の漫才は、技術で魅了するタイプではない。オーソドックスなしゃべくり漫才、ストレートな漫才コントとは一線を画した、イロモノともいえるスタイルだ。しかし、彼らの漫才には、他に類を見ないバカバカしさがあった。また、そのバカバカしさに、確固たる自信が見えた。ますだおかだ、タカアンドトシですら成し得なかった“『爆笑オンエアバトル』無傷の20連勝”という記録は、決して伊達じゃなかった。それなのに、彼らは勝てなかった。2013年、あの瞬間を迎えるまで、彼らが日の目を浴びることを許されなかったのである。……何が言いたいのかというと、『THE MANZAI 2013』決勝戦のステージに上がるよりもずっと以前に、流れ星の漫才は完成されていたということだ。

『流れ星ベストネタライブ「回帰」』には、そんな『爆笑オンエアバトル』時代の流れ星の漫才が数多く収録されている。聞いたところによると、過去の単独ライブDVDには収録されていなかった漫才を中心に構成されているのだとか。つまり、過去のアルバムには収録されていなかったシングルを一挙に集めた、ファン待望のシングルベストと言っても過言ではない作品なのである。事実、どの漫才でも、これまでDVDに収められていなかったことが不思議なくらい、流れ星の魅力が存分に発揮されている。老人のゲートボール離れを危惧したちゅうえいが様々な対策を提案する『ゲートボール』、ツンデレな女性が好きな瀧上のためにちゅうえいがツンデレ少女になろうとする『ツンデレ』、戦国時代にも漫才はあったのか?秀吉と信長に扮した二人が戦国時代の漫才を想起する『戦国漫才』など、その設定からして珍奇で異色。それでいて、決して状況の面白さだけに頼らず、更にひねりを加えたボケをかましてくるのだから、なんともたまらない。

個人的に印象に残っているのは、ちゅうえいが日本一怖いおばけ屋敷を考案する『おばけ屋敷』。自由度の高さが故に暴走しかねない危険性を孕んだ設定を、きちんと「おばけ屋敷」としてのニュアンスを残した上でボケ倒していて、とても面白かった。ご陽気なサンバのリズムが始まっても、決して世界観が崩れない絶妙なバランス感覚が素晴らしい。また、あの「肘祭り」が繰り広げられる『じいちゃん子』も、ライブならではのロングバージョンでがっつり収録。ちゅうえいの一発ギャグ密度も高く、ファンではない人にもオススメできる作品といえるだろう。

ただ一点だけ惜しいのは、一つ一つの漫才の時間が比較的短めなために、流れ星の漫才に浸り切る前にネタが終わってしまうところ。なにせ56分の収録時間に12本の漫才が凝縮されているのだから、そりゃ物足りなさも感じるというものだ。とはいえ、本作があくまでも“ベストネタライブ”であることを考慮するなら、この物足りなさも当然といえるのかもしれない。つまり、「これで物足りないというのなら、単独ライブもご覧になられてはいかがでしょうか?」ということなのである。そして今、流れ星は自身初の全国ツアーを予定しているとかなんとか。ああっ、なんという商売上手。きっとDVD化もされるんだろうなぁ。楽しみだなぁ。


■本編【56分】
「ゲートボール」「オレオレ詐欺」「おばけ屋敷」「ツンデレ」「献血」「昔話」「戦国漫才」「自衛隊」「じいちゃん子(肘祭りロングver.)」「越後屋」「セレクトショップ」「友達」

■特典映像【40分】
「ちゅうえい 一発ギャグ検定」「単独ライブ反省会」「ちゅうえいギャグベスト3」「流れ星のギャグチャレンジ!」

『宮地大介第二回単独公演「人生リハーサル」vol.和田ラヂヲ』

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(2013/09/25)
宮地大介

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ウエストランド、瞬間メタル、日本エレキテル連合など、個性豊かな芸人たちが所属していることで知られる芸能事務所タイタン。そこに、ひっそりと咲いている月見草の様な芸人がいる。俳優としても活動しているピン芸人、宮地大介だ。恐らく、宮地はテレビでは評価されにくい芸人だろう。その慎ましく、穏やかで、静かに広がっていく彼のコントが、バラエティの喧騒に負けてしまうことは想像に難くない。だからこそ、その舞台には価値がある。本作には、宮地大介が作・演出に和田ラヂヲを迎え、2013年2月に開催した第二回単独公演の模様が収められている。

宮地大介のコントは笑いどころが少ない。ザリガニの脱走について熱弁する男、お墓を専門に取り扱っている店の販売風景、刑務所内で流れているラジオ番組のDJブースなどなど、一風変わったシチュエーションを淡々と演じてみせる。それはまるで、彼らにとってはごくごく日常的な風景が、そのまま切り取られているかのように。やがて、それぞれのコントで彩られていた複数の風景が、一つのパノラマを作り上げていく。“一人芝居”という孤独な手法だからこそ表現することの出来る想像力豊かなドラマが、そこに生み出される。いわゆる爆笑を求めている人には不向きだろう。華やかなパフォーマンスに期待している人向けでもないだろう。だが、ここには、この舞台には、この舞台にしかない魅力がある。一見の価値、十二分に有り。


■本編【78分】
「ザリガニ」「墓王」「ラジオ JAILWAVE」「痴漢都市」「社会人」「の星」「ラジオ お昼のヘヴィ・メタル」「樹海」「ラジオ 夜の手芸教室」「人生リハーサル」

■特典映像【20分】
「宮地大介第一回単独公演「ディスクジョッキーを黙らせろ」vol.深作健太」ダイジェストバージョン

『中川家×サンドウィッチマン×ナイツ「漫才サミット~実力派漫才師・ 笑いの頂上会談~」』

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(2013/05/29)
中川家、サンドウィッチマン 他

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突然だが、サミットってなんだろう。辞書で調べてみると、サミットとは主要国首脳会議という意味なんだとか。うーん。つまり、漫才サミットとは、主要漫才師首脳会議の意であると考えていいのかな。なんだか字面が凄いぞ。メンバーには、発起人である中川家・礼二によって、ナイツとサンドウィッチマンが選ばれている。とはいえ、これから更に追加される可能性もあるとか、ないとか。せっかくサミットって銘打っているんだから、もうちょっと増えた方が盛り上がって楽しそうだけど、増えすぎるとフットワークが重くなりそうな気も。難しいところやね。本作には、そんな漫才サミットが2012年5月6日にルミネtheよしもとで開催した、第1回公演の模様が収録されている。

漫才の出来は言わずもがな。剛の復帰直後とあって少し不調だれども底力を見せる中川家、盤石のネタ運びで着実に引き寄せるナイツ、斜め上を行く展開の漫才コントで笑いの世界へと引きずり込むサンドウィッチマン、三者三様の魅力がギュッと凝縮されている。しかし、これらの素晴らしい漫才以上に見ものなのが、ネタ後のトークコーナー。それぞれの漫才観や芸人観がぶつかり合う、非常に高尚で有意義な会談が展開……されることなく、ボヤキといちゃもんが交錯する愉快でドイヒーなトークが繰り広げられている。というか、塙は毒舌トークで暴走し過ぎだっ(しかしそこが良い)。

漫才師三組の笑うしかない悦楽のステージ、鉄板でございます。


■本編【80分】
「漫才~中川家~」「漫才~ナイツ~」「漫才~サンドウィッチマン~」
「漫才トークコーナー」

■特典映像【31分】
2013年1月13日(福岡)、2月9日(宮城)より「漫才トークコーナー&爆笑!楽屋裏映像」

『トータルテンボス 全国漫才ツアー2012 BANZAI TOUR』

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トータルテンボス

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2012年8月から2013年2月にかけて全15か所を巡った漫才ツアーより、12月1日に東京・ルミネtheよしもとで開催されたライブの模様を収録。漫才はもちろん、大村が藤田にドッキリを仕掛ける幕間映像『今日のいたずら』もたっぷりと詰め込まれている。特典映像には、最終公演を行ったスペイン・バルセロナで撮影された映像を収録。チュートリアルのDVD特典映像でも思ったことだが、せっかく海外で撮影したのだからという理由で収録されているとしか思えないレベルなのはどうにかならんのか。なんかみみっちいぞ。

漫才の出来は可もなく不可もなく。悪徳セールスマンに扮した大村が妙な商品を売りつけようとする『セールスマン』、不動産屋の大村が扱う物件にはヘンな設備がいっぱい『不動産屋』、バーを切り盛りするマスターならぬ“ウスター”の落ち着かない接客に踊らされる『バー』など、ありがちなシチュエーションをそつなく笑わせている。中でも印象に残っているのは『スポーツジム』。あの名作漫才を思わせるボケに思わずニヤっと。ちゃんとジムならではの要素を盛り込んでいるところも上手い。結成15周年を迎え、その漫才にも落ち着きが見えてきたかな……と、そんなことを思っていたら、終盤で予想外のハプニング!ネタの内容が落ち着いてきても、肝心の喋りが落ち着かないことには意味がないぞ。緊張だっ、緊張っ。

ちなみに、「今日のいたずら」は『骨折ダッシュ』が良かった。苦笑する藤田の顔を括目せよ。


■本編【120分】
「セールスマン」「メントスコーラ」「野球のスカウト」「温泉服隠し」「不動産屋」「ケータイ接着」「スポーツジム」「生ケツ ドンッ!」「酪農高校」「目覚まし地獄」「お見合い」「骨折ダッシュ」「バー」

■特典映像【7分】
「バルセロナで聞きました! 日本のお笑い芸人知っていますか?」
「海外ではスリが多いと気にする大村」
「なぜかスペインの人達に馴染もうとする藤田」

創作『未来世紀ジュゲム』

2014年7月10日、こんなものを書いてみた。

深夜のノリで書いたものなので、あまり真剣に読まないでください。

書いた当人は知恵熱出して倒れたけど(まさかの39.2度を記録)

……むしろ、熱で頭がいかれて、こんなものを書いてしまったのか?

まあ、せっかく書いたので、良かったら。

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『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』(横田増生)

評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 (朝日文庫)評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 (朝日文庫)
(2014/06/06)
横田増生

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さて、『評伝 ナンシー関』である。

ナンシー関と聞くと、どうしても思い出してしまう不愉快な記憶がある。何年か前に、某掲示板で私の文章のことを、「ナンシー関から影響を受けているのが見え見え」と評した輩がいたのだ。無論、実際に私がナンシー関の文章から影響を受けていたのであれば、多少の不快感で済んだかもしれない。だが、そもそも当時の私はナンシー関の文章を殆ど読んだことがなかった(むしろ、知人から「町田康とナンシー関の文体は影響を受けやすいから気を付けなさい」と忠告を受けていたので、読まないようにしていた)ので、「影響もへったくれもあるか!」と余計に激怒したのである。しかし、この件をきっかけに、私はナンシー関のことを意識せざるを得なくなり、彼女の著作をつまみ食いするようになってしまった。だから、もしも私の文章から、ナンシー関の影響を少しでも感じたとしたなら、全てそいつのせいである。ざまあみろ。何が。

『評伝 ナンシー関』は、2002年に39歳で急逝した消しゴム版画家・ナンシー関の人生と実績を、当人の著作や肉親・知人・関係者への取材を元に辿った一冊である。単行本は2012年に発行され、本書は2014年に文庫化された。単行本が発売された当時、何度か書店で本書を見かけたことがあったのだが、「ナンシー関の本をそこまで読んでもいない私が、評伝を先に読むというのも気が引けるなあ……」という理由で、購入を躊躇していた。が、文庫版が発売されていることを知るや否や、当時とさほど読書量が変わっていないにも関わらず、そそくさと購入してしまったあたり、そのポリシーの無さに涙が出そうである。ていうか、単なるケチだ。まったく。

さて、この本。ナンシー関の評伝として読むのも面白いが、ナンシーの著作を熟読していない私には、むしろ随所で引用抜粋されているナンシーの文章に興味を持った。ありきたりな表現になってしまうが、とにかく文章が瑞々しい。何も言わずに今の時代にひっぱり出してきても、遜色無く楽しめるのではないかと思う。本書で取り上げられている文章の多くが現役として活動している人たちだから、というのもあるかもしれないが。挿絵の様に、2ページに一回のペースでナンシーの消しゴム版画が押されているのも、嬉しい要素だ。ライトノベルで育った私には、非常に有難い仕様である。

一番感心したのは、小倉智昭のくだり。小倉が自身の出演番組のショッピングコーナーで見せている、その商品への薀蓄の深さにツッコミを入れ、「いろんなモノに関して『造詣が深い』感じを出している。本当にそうなのか。嘘なら嘘と言って。本当なら何者?」(本文61頁より)と書いたところ、なんと小倉サイドが接触してきたというのである。正直、連絡をする小倉が無粋に見えて仕方ないが、とはいえ、下手に切り返すとナンシーが痛手を負う可能性も否めない。この状況において、ナンシーは小倉の申し出をさらりと断り、次の様に書いている。

「ありがたい事ではあるが、当然連絡はしなかった私である。本当の理由など知りたかないのだ。私は小倉に『何故?』と問いかけたかっただけなのである。いや、本人の目に留まることすら望んではいない。私はただ『私は小倉に「何故?」と問いかける者である』ことを明らかにしておきたいだけなのだ」(本文61~62頁)


「私はただ『私は小倉に「何故?」と問いかける者である』ことを明らかにしておきたいだけなのだ」というくだりに「おおーっ」と感心してしまったのは、私だけではあるまい。多分。ちなみに、この件について話を聞くために、筆者は小倉の事務所へ取材を依頼したのだが、返答は無かったとのこと。しょっぱい。

巻末には、マツコ・デラックスへのインタビューを掲載。ナンシーと一度だけ面識があり、その体格と論調から“第2のナンシー関”との呼び声高いマツコの、ナンシーに対する厚い感情が溢れ出している。「多くの人は、もうテレビ評に関して、高いレベルの作品を求めてないのかなって」以降の発言には、あえて批評をしていないというてれびのスキマ氏のことを思い出してみたり……。媚びじゃないぞ。

知っている人はもちろん知らなかった人にも楽しめるであろう一冊だ、と思う。〆っ。

超どうでもいい話。その2。

田舎者なので、移動には基本的に自動車を利用している。そのため、何処かで軽くご飯を食べようと思った場合、どうしてもファーストフードのドライブスルーに入らざるを得ない。どうしてもってこともないけど。ファーストフード自体は好きなので問題は無いのだが、何かキャンペーンをしている時期に店を訪れた時に、店員が「ただいま、○○のキャンペーン中なんですけど、いかがでしょうかー?」と聞いてきた場合が困る。どうして困るのかというと、私はキャンペーンのメニューを選ばないからである。どうしてキャンペーンのメニューを選ばないのかというと、高いからだ。期間を限定しているんだから、薄利多売の精神を掲げていてもいいはずなのに、どういうわけか通常のメニューよりも期間限定メニューの方が高い。なんなんだアレは。そんなわけで断るわけだが、その断りが面倒臭い。どうしてメシを注文しに来ただけなのに、向こうが押し付けてくるメニューを断らなくてはならないのか。何か注文した上で「ポテトもご一緒に……」と聞かれるのはまだ分からなくもないが、何も頼んでいない状態からのアピールはご遠慮してもらえないものかと思う、今日この頃である。本当にどうでもいい。

『鳥居みゆき 狂宴封鎖的世界「方舟」』

鳥居みゆき「方舟」

『鳥居みゆき 狂宴封鎖的世界「方舟」』を観る。

鳥居みゆきはサンミュージックプロダクションに所属するピン芸人である。お笑い芸人には似つかわしくない端正な顔立ちとアングラ色の強いコントで、ゼロ年代末に注目を集めた。その観る人を選ぶ芸風から“カルト芸人”との呼び声も高いが、日本一のピン芸を決定する『R-1ぐらんぷり』には二度の決勝進出を果たしている。本作には、そんな鳥居が2012年9月に開催したライブの模様が収められている。

タイトルにつけられている“狂宴封鎖的世界”とは、要するに“単独ライブ”のことである。ラーメンズや東京03が“単独公演”、エレキコミックが“発表会”と単独ライブを表して他の芸人との違いをアピールしているが、何か色々とこじらせている感じが出ているという意味では、この名称が圧倒的だといえるだろう。……などと茶化してみたが、この「方舟」、かなりとんでもない作品だった。テレビでは絶対に放送できない。当初はDVD化も危ぶまれたという話だが(異例の通販限定)、実に合点のいく話である。

「もう終わりなの? 私の人生。捕まったらどうなるの?」


物語は、鳥居扮するデリヘル嬢が、ラブホテルのベッドの上で男の腹をメッタ刺しにしているシーンで幕を開ける。直後、我に返った鳥居は、男の死体をバスルームで切り刻み、トランクケースに詰め込んでホテルを脱出する。途中、死体をバラバラにしている現場を目撃した掃除のおばちゃんの頸動脈を刺して殺害、更にホテルの出口で出くわした同僚のデリヘル嬢を刺してこれも殺害、三人を殺めた連続殺人鬼として追われる身となってしまう。同時期、宇宙から落ちてきた隕石が話題に。それに乗じて、新興宗教“アーク真言教”が地球の終末を訴え、布教活動を行っていた。その教団に鳥居は入信、追手の目から逃れようとする……。

概要を書き出してみると、とてもお笑い芸人の単独ライブとは思えないハードなストーリーに改めて驚かされるが、これをちゃんと笑えるコントに仕立て上げているのだから、なんとも凄い。トランクに入りきらない頭部をどうにか詰め込もうとする様子をパズルで解説したり(観客に「一緒に考えていこう!」と呼びかける姿がまた可笑しい)、鳥居のこれまでの不幸な男性遍歴が明らかに芸能人のゴシップネタを盛り込んだモノだったり、教団内の通貨がペリカというどっかで聞いたような単位だったり、事あるごとに小ネタをブチ込んでくる。凄惨なシチュエーションで繰り広げられる俗っぽいボケの数々が、大きな笑いを巻き起こしていく様は壮絶といっていいだろう。

「絶望しかないのに、どうして人は生きているんだろう? 生きるってなんだろう?」


しかし、物語の本質は、その後半に見え始める。

“方舟”と呼ばれる閉鎖された空間で生活を送っている信者たち。彼らは我々の社会では生きて行けなくなった、いわば堕落した人々だ。とはいえ、その日常は我々と大して変わらない。ご飯を食べて、仕事をして、セックスに興じている。そこには、我々の社会をそのまま小さくしただけの、ミニチュア化された社会がある。当初、その生活は(理不尽さを含みながらも)平穏なものだった。ところが、ある事件をきっかけに、状況は悪化し始める。彼らはその小さな日常が永遠ではなかったことを突き付けられ、パニックに陥る。肝心の導師は保身ばかりを考え、まるで頼りにならない。

「なんだよ! この数値! 習ったことないよ!」


さて、そこには、どんな結末が描かれているのか。

一般的に、鳥居みゆきはカルト芸人としての側面しか認識されていない。純白のパジャマに身を包み、マラカスと手負いのテディベアを振り回していた、あのサイコホラーの様な鳥居が今でも世間のイメージだ。しかし、鳥居は単なるカルト芸人ではない。世間を冷静に見つめる眼と、その思考を作品化するテクニック、そして、その渦巻いた闇を笑いへと転換させる大衆性を兼ね備えた、不世出の奇才だ。一連の作品でも、その才能のおぞましさは伝わっていたが、本作では芸人としての凄味がより分かりやすく表現されていた。

不謹慎で俗な笑いの向こうに見える、鳥居みゆきの人間論。括目して、見よ。


■本編【110分】
こちらのサイトで購入可能。

『ゲームセンターCX 有野の挑戦 in 武道館』

ゲームセンターCX 有野の挑戦 in 武道館 [DVD]ゲームセンターCX 有野の挑戦 in 武道館 [DVD]
(2014/07/02)
有野晋哉

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有野晋哉(よゐこ)がテレビゲームの攻略に挑戦する“有野の挑戦”をメインに構成されたバラエティ番組『ゲームセンターCX』。当ブログでは、あまり『ゲームセンターCX』関連の作品を取り上げていないが、この番組のDVD-BOXはリリースされるたびに欠かさずチェックしている。なんなら、購入した当日に必ず鑑賞しているくらいだ。もしかすると、普通のネタDVDよりも楽しんで観ているかもしれない。

この番組の魅力は、なんといっても有野晋哉のおちょくり芸が存分に発揮されている点にある。プレイしているゲームの内容をおちょくり、手助けにやってきたADの仕草や性格をおちょくり、時にはロケ企画に映り込む一般の人たちのことまでおちょくる。通常、こういう芸人はあまり好かれない傾向にあるが、ワードセンスの高さと柔軟な姿勢がおちょくりのもたらす印象を緩和している。有野がダメゲーマーである点も大きいだろう。プレイミスにコンティニューミス、果ては操作方法を忘れてしまうほどのダメさ加減が、視聴者の優越感を上手にくすぐり、それでも真剣にクリアを目指す姿勢が、優越感を親近感へと転化させるのである。……多分な!(八割方テキトー)

本作には、そんな『ゲームセンターCX』が放送開始10周年を迎えた記念として、2013年11月5日に武道館で開催した“有野の挑戦”の模様が収められている。とはいえ、観客を入れた上での挑戦なので、いつものように完全攻略するわけではなく、番組が提示した五つの課題に有野が挑戦する形式を取っている。作業服を着たおっさんがゲームをプレイしている様子を7,000人が見守るという、なんともシュールな画が楽しめるぞ。番組ではお馴染みのスタッフも登場し、何処にも出せない究極の内輪ネタを堪能することが出来る。ていうか、個人的に見たことのないスタッフも出てきたのだが、あの人は誰だったんだろう……。

挑戦しているゲームは、「パンチアウト」「魔界村」「スーパーマリオブラザーズ」「ベスト競馬 ダービースタリオン」「ストリートファイターⅡ」。「パンチアウト」と「ベスト競馬 ダービースタリオン」はこれまでDVD未収録だったが、「ベスト競馬 ダービースタリオン」の挑戦回は本作に収録されている。……それなら、「パンチアウト」の挑戦回も収録した方が、バランスが取れていたのではないかと思うのだが。どうも、その辺の詰めが甘い。とりあえずイノコMAXが悪いことにしておこう。

ここから感想。武道館での挑戦ということで、それなりに期待値が上がっていたのだが、はっきり言ってそこまでの内容ではなかった。先述の通り、客前での収録で時間が限られていたために、挑戦内容を番組側が提示する形式になってしまったことが原因だろう。ナマで観ていると臨場感も味わえたのかもしれないが、テレビ画面ではどうしても物足りなさを感じてしまった。一本のゲームを24時間かけてひたすらプレイする『ゲームセンターCX 24 ~課長はレミングスを救う 2009夏~』という先駆者的企画の存在も大きかったのかもしれない。まあ、10年を経て、元来の“有野の挑戦”に戻ってきたともいえるが(※元々、“有野の挑戦”はゲーム完全攻略が目的ではなく、ゲームの隠し要素を有野が実際にプレイして発見するための企画だった)。まあ、それにしたって、「戦え!課長ファイター 合いの手講座」と「戦え!課長ファイター カーディガンズVer.」は不必要だったと思うが。そんなモン要れる余裕があるなら、『パンチアウト』を(以下略)

ボリュームもイメージしていたよりちょっと短め。武道館ライブが収められているDISC1の収録時間が172分と書かれていたから、これはけっこう楽しめるのかなと思っていたけれど、蓋を開けてみると武道館ライブは2時間くらいで、残り時間はほぼ大反省会に使われている。そんな1時間近く反省しなくても。あと「戦え!課長ファイター 合いの手講座」と「戦え!課長ファイター カーディガンズVer.」もDISC1に収録。だから、そんなモ(以下略) 一つのドキュメンタリーとして観るのではなく、こういうイベントがあったんだという記録作品として観た方がいいのかもしれない。この反省を踏まえて、2023年のさいたまスーパーアリーナでのイベントの時には、ちゃんとした内容にしておいてほしいものである。いや、ホントに。

ちなみに、ある意味では武道館ライブよりも悪ふざけな『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』は、9月2日にリリースされる予定とのこと(ブルーレイ同時発売)。私は劇場で鑑賞しましたが……オススメは……うーん……。


■DISC1【172分】
「有野の挑戦 in 武道館 スペシャルエディション」
特典「有野の挑戦 in 武道館 大反省会」
特典「戦え!課長ファイター 合いの手講座」
特典「MV 戦え!課長ファイター カーディガンズVer.」

■DISC2【115分】
「武道館ドキュメント ディレクターズカット版」(オーディオコメンタリー有)
有野の挑戦「ベスト競馬 ダービースタリオン」

CMのくせになまいきだ。

東京ガスのCMが話題になっている。


就職活動中の女性が母親の優しさに涙する。良くも悪くもありがちなお涙頂戴だが、どうしてこのCMが話題になっているのか。なんでも、このCMは今年2月から放送され始めたらしいのだが、「リアルにできていて心が痛む」などのクレームが寄せられたために、早々に打ち切られたのだという。しかし、最近になって映像を見た人たちが、「どうしてこれが打ち切りに?」と疑問の声をあげ、話題として注目を集めたわけだ。何がきっかけなのかは知らないが、およそ半年前に打ち切られたCMで盛り上がるというのは、なんとも呑気な話である(←人のことはいえない)

一般的に、打ち切りになってしまうCMというのは、その内容に明らかな問題が生じている映像だと認識されている。例えば、性的にイヤらしい、映像が汚らしい、出演者が下半身を露出している、表からだと鏡張りに見えるトラックが映っている、土から頭だけを出している人の口に食べ物が次から次へと詰め込まれていく、などなど。テレビという大衆に娯楽を無料で配信するご都合ビックリドッキリメカに適した、清く正しく美しい映像こそがCMに相応しいのである。ぽぽぽぽーん。でも、この東京ガスのCMは、そういった類の映像ではない。それなのに、どうして打ち切られたのか。

思うに、これがCMだったから、打ち切られたのではないだろうか。テレビやラジオに慣れ親しんでいる人間にとって、CMはとても日常的なモノだ。その内容に、思わず笑ってしまうこともあるだろうし、逆に感動して泣いてしまうこともあるだろうけれど、それらの感情は日常とともにフラットになっていく。当たり前の風景として処理されるようになる。CMとは、そうなるべくして、そうなってしまうものなのである。しかし、その意味において、この東京ガスのCMは感情に立ち入り過ぎている。

就職活動は艱難辛苦の連続だ。正解の見えない行程を、何度も何度も何度も何度も踏みしめていかなくてはならない。そんな状況下にある人が、このCMを日常的に見せつけられていたとしたら、どうだろうか。自主的に無視することの出来る番組とは違い、CMは突発的に放送される。提供元を確認すれば避けることも出来るだろうが、そこまでしなくてはならない義理は無い。

日常的に流れるCM、それを日常的に見させられる就活生とその家族、これらを踏まえた上で、「リアルにできていて心が痛む」というクレームに目を通せば、なんとなく打ち切られたのも分からなくもないという気になるのではないだろうか。

個人的には、後継のCMの方が好きだ。


私も今年は里帰りしようかしら……(←実家暮らし)

笑いはドラマを超えたのか?

五街道雲助9「朝日名人会」ライヴシリーズ98「お初徳兵衛」「舟徳」五街道雲助9「朝日名人会」ライヴシリーズ98「お初徳兵衛」「舟徳」
(2014/08/27)
五街道雲助

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朝日名人会シリーズより、五街道雲助師匠の新しいCDがリリースされるとのこと。雲助師匠といえば、生前の立川談志をして「江戸の風が吹いている」と言わしめた実力者。個人的には、『五街道雲助 蔵出し1』に収録されている『妾馬(完演)』の素晴らしさが、強く印象に残っている。ただ喋っているだけなのに、頭の中に画が広がっていく快感は言葉では言い表せない。そんな雲助師匠の新作に収められている演目は、『お初徳兵衛』と『舟徳』だ。落語に詳しくない人にはピンとこないかもしれないが、この『お初徳兵衛』と『舟徳』は切っても切れない関係にある。というのも、この『舟徳』という滑稽噺は、『お初徳兵衛』という人情噺を元に新しく生み出された演目だからだ。その両方を一度に楽しめるなんて、なんと面白い企画だろう! ……なんとなく、この面白さが伝わっていない気がする。まあいいか。

ちなみに、朝日名人会シリーズからリリースされた、雲助師匠の過去のCDは以下の通り。

五街道雲助1「淀五郎」「名人長二-仏壇叩き」』(03年7月)
五街道雲助2「中村仲蔵」「電話の遊び」』(08年5月)
五街道雲助3「真景累ヶ淵」-「豊志賀の死」』(08年9月)
五街道雲助4「替り目」「お直し」』(10年8月)
五街道雲助5「火事息子」「佃祭」』(11年9月)
五街道雲助6「文違い」「二番煎じ」』(11年9月)
五街道雲助7「臆病源兵衛」「芝浜」』(12年6月)
五街道雲助8「文七元結」』(13年9月)


ちなみに同日、『柳家花緑3「朝日名人会」ライヴシリーズ97「竹の水仙」「二階ぞめき」』もリリースされるとのこと。『竹の水仙』は凄腕の職人“左甚五郎”が活躍する物語として、今でも多くの落語家たちが演じている名作である。それよりも注目なのは、『二階ぞめき』だ。吉原通いが大好きな若旦那が、自宅の二階で吉原遊郭を再現してしまうという大胆な噺なのだが、遊郭が失われて久しい今では演じ手が少なくなっている。そのネタを、“永遠の若旦那”花緑師匠が挑戦するというのは、なかなか面白い試みではないかと。こちらも楽しみ。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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https://twitter.com/Sugaya03

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