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2015年1月のリリース予定

■レビュー予定
14「bananaman live Love is Gold
28「しずるベストコント
28「二人対談」(ナイツ)
30「エレ片コントライブ ~コントの人8~

■テレビ関係
14「いろはに千鳥(い)
14「いろはに千鳥(い)【よしもと限定特典付き】
14「いろはに千鳥(ろ)
14「いろはに千鳥(ろ)【よしもと限定特典付き】
14「いろはに千鳥(は)
14「いろはに千鳥(は)【よしもと限定特典付き】
14「いろはに千鳥(い)(ろ)(は)*3巻セット*【よしもと限定特典付き】
21「竹山ロックンロール 10
21「ネリさまぁ~ず Vol.1
21「ネリさまぁ~ず Vol.1【オリジナル・ステッカー付】
21「ネリさまぁ~ず Vol.2
21「ネリさまぁ~ず Vol.2【オリジナル・ステッカー付】
21「ネリさまぁ~ず Vol.3
21「ネリさまぁ~ず Vol.3【オリジナル・ステッカー付】

■その他のリリース
21「チハラトーク#10
28「欽ちゃん奮闘公演 THE LAST ほめんな ほれんな とめんな

ブログ読者の皆様、今年も一年間お付き合いいただきまして、まことにありがとうございました。結局、今年もあまりブログを更新できませんでしたが、来年はもうちょっと更新できるように対応するつもりですので、飽きずに懲りずにお付き合い願えればと思います。……と、そういうこと言っていると、どういうわけか逆の事態に発展してしまうのが、私という人間なのですが……。まあ、なんとかなるんじゃないかと思いますけど、ねえ。どーなることやら。とりあえず、バナナマン、しずる、ナイツ、エレ片という手堅い布陣が嬉しいですネ。しずるに至ってはベストと新作の二枚組ですからねえ。バランスが素晴らしい。

あと、ブログではあんまり宣伝していませんでしたが、コンテンツリーグが配布しているフリーペーパー「SHOW COM」に相変わらずコラムを書かせていただいております。何故か、お笑いナタリーの告知記事では、私の名前だけがカットされていますが、書いてます!(最初はちゃんと私の連載のタイトル「神宮前四丁目視聴覚室」が入っていたのに、どうして途中から“など”で処理されるようになってしまったのか……) 過去のレビューはこちらで読むことが出来ますので、正月三が日のヒマ潰しに読んでいただけると嬉しいです。
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歳末の広島・最終日

午前8時起床。

お腹の調子が良くない。下痢ではないのだが、短い周期で便意が襲い掛かってくる。昨夜、呑み過ぎたせいだろうか。常時持ち歩いている胃腸薬を飲み、無理やりに落ち着かせる。しかし、おかげで食欲がない。昨夜、朝食に食べようと、コンビニで買った菓子パンの存在が疎ましい。これでは単なる荷物である。随分と寝汗をかいていたので、風呂に入ろうかと考えるも、その元気もない。絵に描いたようなグロッキーだ。

午前10時、ホテルを出る。本来なら、昼食にお好み焼きを食べる予定だったのだが、とてもじゃないが無理だ。パンめ……。とりあえず広島バスセンター方面に移動していると、途中で丸善に遭遇したので、覗く。昨日のジュンク堂に引き続き、都会の本屋をこれでもかと堪能する。「香川では入荷が遅れるかもしれない」という判断の元、『富士山さんは思春期』(オジロマコト)の新刊と『タイニーマイティボーイ』(大石まさる)を購入。大石まさる作品を買うのは、今回が初めて。流れで、とらのあな、ヴィレッジ・ヴァンガードを覗くが、これといって収穫無し。

富士山さんは思春期(5) (アクションコミックス)富士山さんは思春期(5) (アクションコミックス)
(2014/12/27)
オジロ マコト

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タイニーマイティボーイ (ヤングキングコミックス)タイニーマイティボーイ (ヤングキングコミックス)
(2014/12/26)
大石まさる

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正午。広島バスセンターがある「そごう 広島店」へ。お土産を買ったり、パンを食べたり、以前から買おうかどうか躊躇していた『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』(宮沢章夫)を購入したり、あれやこれやで時間を潰す。午後1時15分、高速バスに乗り込む。隣の席の青年がオードリー若林氏に似ていた。

NHK ニッポン戦後サブカルチャー史NHK ニッポン戦後サブカルチャー史
(2014/10/09)
宮沢 章夫、NHK「ニッポン戦後サブカルチャー史」制作班 他

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午後4時、坂出の高速バスターミナルに到着。夕立が降っていた。自車に乗り込み、高松へと移動。タワーレコードで予約していた東京03の単独公演DVDと、以前から気になっていたシュガー・ベイブのデビューアルバムを購入する。

第16回東京03単独公演「あるがままの君でいないで」 [DVD]第16回東京03単独公演「あるがままの君でいないで」 [DVD]
(2014/12/24)
東京03

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(2005/12/07)
シュガー・ベイブ

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お疲れ様でした。

歳末の広島・二日目

午前7時起床。座敷のおかげで寝心地は悪くなかったが、やはり慣れない環境ということもあって、しっかりとは寝付けなかった。残り3時間で二度寝を決め込むほど腹は据わっていないので、その時間を使ってブログを更新する。旅行関連の記事は、とにかく気持ちの鮮度が重要だ。本やDVDの様に何度も確認できないし、なにより自分の気持ちが盛り上がらない。この間、シャワーを浴びるかどうかも考えたが、キャリーバッグを移動させることを面倒に感じ、後回しにする。幸い、季節は冬で汗もさほどかいていない。

この時、今日はビジネスホテルに泊まろうと決意する。それなりに年齢を重ねた今、ネットカフェでの宿泊はやはりちょっと厳しい。幸い、「ホテルヴィアイン広島 銀山町」が当日宿泊にも関わらず安かった(4,500円!)ので、そこをネット予約する。この年の瀬、この値段の宿をシングルで確保できることに、ちょっと驚いた。

午前10時出発。近くの松屋で遅めの朝食をとる。牛丼(大盛)と豚汁のセット。牛丼に引けを取らない豚汁の量に驚く。牛丼のどんぶりと同じくらいの大きさの茶碗に注ぎ込まれている。二つの意味で器が大きい。食後、パルコ内のタワーレコードに向かう。学生時代によく訪れていた店だが、棚の配置が大きく変わっていて、少し迷った。落語CDのコーナーを覗くと、先日リリースされたキントトレコードの『談志 30歳』を発見。タワーレコードでも取り扱っていたのか。何か面白いCDでもあれば買おうと思ったのだが、これといって心惹かれるアイテムは見つからず。そのまま、島村楽器へ流れ、陳列されているギターを眺める。都会の楽器店は品揃えがいい。蛇味線とウクレレの合いの子なんてあるのか……。

午前11時。パルコを出て、ブックオフへと移動する。年末だというのに、朝からブックオフにはたくさんの人が押しかけていた。この忙しない年の瀬に文化的ゆとりを得ようなどとは、随分と余裕のあることではないか……と、自分のことを棚に上げて、しみじみ思う。CD・DVDのコーナーをウロウロしていると、冨田勲氏と初音ミクが共演したライブのブルーレイが売られているのを見つける。冨田氏の演奏に興味があったので、購入する。パッケージの『COBRA』を彷彿とさせるデザインの初音ミクが、なんともいえず面白い(実際に描いたのは空山基という方らしい)

冨田勲イーハトーヴ交響曲 ISAO TOMITA SYMPHONY IHATOV [Blu-ray]冨田勲イーハトーヴ交響曲 ISAO TOMITA SYMPHONY IHATOV [Blu-ray]
(2014/03/19)
初音ミク、河合尚市 他

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ブックオフを出て、アストラムライン(モノレール的なヤツ)に乗り込み、下祗園へ。学生時代に私が生活していた地域である。とりあえず、当時よく通っていたラーメン屋「げんこつらーめん 祇園店」へ。これまた当時よく食べていた魚系とんこつラーメンの焼豚飯セットを注文する。時刻は正午を回ったところ。牛丼がまだ消化し切れていなかったが(スケジュール管理が出来ていない!)、食べきる。相変わらず美味い。とんこつと魚系の混ざり合った独特の臭みが、実に堪らない。これにサービスの生にんにくを加えると、更に堪らないことになるのだが、忘年会のことを考えて、遠慮する。食後、近くの大型スーパー・ゆめタウンへ移動し、シャツを購入。冬場だからと着替えも持たずにやってきたが、流石に無理と判断した。ついでにスーパー・フレスタ(当時から不思議だったのだが、何故に大型スーパーのすぐ隣にスーパーが建っているのだろう?)にも立ち寄り、缶コーヒーを買う。祇園線経由で広島駅へと向かう。

午後2時前、広島駅に到着。ジュンク堂書店をブラブラする。地元にはない大手書店の規模にコーフンしながらも、荷物になるので余計な買い物は出来ないというジレンマに苛まれるも、以前お世話になった和田尚久氏が連載を持っているというフリースタイルを購入。特集は「このマンガを読め!」。そういえば、高野文子『ドミトリーともきんす』が1位に選ばれていることにケチをつけている人がいたっけ。しかし、実際に読んでみたら分かると思うが、物凄い作品である。高野文子という才能の時代を超越する圧倒的なマイペースが評価されたのだ、と認識する。

ドミトリーともきんすドミトリーともきんす
(2014/09/24)
高野 文子

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午後3時、市電で銀山町へ移動し、ホテルにチェックイン。なかなか立派な佇まいに少し物怖じするが、ちゃんと4,500円で入れたことに一安心。部屋はオーソドックスな広さ。ベッドにテレビ、小さい冷蔵庫がある。ドライヤーとケトルもあったように見えたが、利用していないので、ひょっとすると違うモノなのかもしれない。ユニットバスで、湯船も便器も小さい。お風呂はギリギリ浸かれるかどうかの広さだし、便座に腰かけると腕が壁に当たる。……単純に私が太っているだけなのかもしれない。とりあえず身体を洗う。二日分の垢を落とし、さっぱりする。そうこうしているうちに午後4時。集合の時刻までの3時間は眠ることにしていたのだが、寝付けず。久しぶりに顔を合わせるサークル仲間たちに、少し緊張しているのかもしれない。

午後6時半、出発。午後6時55分、パルコ横の広場・アリスガーデンに集合。そのまま店へ移動。午後7時から呑み始め、午後8時から学生時代に撮影した自主制作映画の鑑賞会が始まり(映画研究部だったのである)、あーだこーだと言っているうちに午後11時ごろ、お開き。無論、そのまま解散とはならず、近くのイタリアンのお店で二次会が始まる。『アイカツ!』にハマっているという友人に『アドベンチャー・タイム』の話をしようとするが、当然のようにまったく噛み合わず。このバカバカしさがまた楽しい。午前1時ごろ、二次会が終了。それからしばらく、三次会に行くか解散するかの話し合いが続く。次の店が何処になるかで判断しようと思っていた私は、その様子をぼんやり眺めていた。12月の終わり、外は寒空。アルコールで温まった身体がどんどん冷えていく。候補の店は三か所あるという幹事の言い分を受けて、とりあえず移動することになったが、この時既に午前2時を回っており(どんだけ悩んでいたんだ!)、ラストオーダーが終わっている店もちらほら。

ようやく鍋焼きラーメンの店へ入るも、10人近くいたはずのメンバーが何故か4人に。あれ? どうやら全員が入ることは難しいという判断の元、残りのメンバーは別の店へと移動したらしい。意味が分からない。実質、それは解散じゃないのか。とりあえず鍋焼きラーメンをすする。美味いといえば美味いが、特別美味いわけではない。具沢山ではあるが、麺はインスタントみたいだし、スープは普通だし。幹事よ、本当にこの店がオススメの店なのか? 店を出て、残りの6人が入ったというラーメン屋を覗くも、誰もおらず。なにやら釈然としない終焉を迎えてしまった。

午前4時、ホテルに戻る。軽く湯船に浸かり、就寝。

歳末の広島・初日

この年の瀬に、広島に来ている。

私は広島の大学を卒業しているのだが、同期の友人から「同窓会めいた忘年会をするから来ないか」と誘われ、のこのこと馳せ参じた次第だ。卒業してしばらくは三ヶ月に一度のペースで広島を訪れていた私だが、この一年くらいはまったく行こうとすらも考えていなかったので(長期休暇の時期には大阪か東京へ向かうのが、ここ数年の私の志向となっていたからだ)、久しぶりにいい機会だと思い、即刻了解の返事を出した。広島での忘年会に参加するのは、何年ぶりのことだろうか。思い出せないが、確か当時、帰宅する予定だった大晦日に吹雪が起こって、予約していた高速バスが運行停止になってしまい、大いに慌てたことだけははっきりと覚えている。あの時は結局、新幹線で帰った。倍ほどの金額を取られ、なにやら釈然としない気持ちになったものだ。

今回も高速バスを利用した。香川県から広島県まで、バスで三時間ほどかかる。往復料金で7,000円は安い部類だ。午後4時過ぎに自宅を出て、坂出にある高速バスターミナルから出発した。時刻は午後6時を回ったところ。予定よりも10分ほど遅れての出発だったので、到着も予定より10分ほど遅れた。降車駅は広島バスターミナル。広島市内には降車駅が二ヶ所あって、もう一ヶ所は広島駅前である。さほど距離に差はないが、広島バスターミナルは繁華街のド真ん中にあるので、すぐさま何処かへ行きたいという時には非常に便利だ。午後9時到着。バスを出ると、冬の寒さを否が応でも感じさせられた。キンと肌を締める感覚。香川県の湿気混じりな寒さとは訳が違う。……まあ、あくまで印象論だけど。

広島バスセンターはそごう広島店の中にある。そこを出たら、近くのアーケードへと向かう。本通りだ。午後9時を回っているというのに、まだまだ人でごった返している。大阪はなんばの商店街を見た後だとさして驚かないが、地元の商店街しか知らなかった頃には「夜なのに商店街に人がいる!」と驚いたものである。いや、厳密に書くと、地元の商店街は昼間ですら人の姿が殆ど見受けられなかったのだが。ていうか、今ではアーケード自体がブチ壊されて、その辺り一体が更地に……うーむ、なんだか意図せずして切ない気持ちになってしまった。

夕飯がまだだったので、とある有名なカキ小屋の敷居をまたぐが、入れず。予約していなかったので、まあダメだろうと踏んだ上での入店不可だったので、特に問題はない。その足で、私が愛してやまないラーメン屋「とりの助 新天地店」へ。鶏ガラスープをベースとしたラーメン・つけめんが売りの店で、なかなか美味しい。漬物を自由に取れるサービスも嬉しい要素の一つだ。新天地店はカウンターとテーブルが二脚と少し狭い。まあ、繁華街の中という立地なので、仕方がない。狭い店内には三人の従業員がいたが、注文は食券である。二人が調理場を切り盛りし、残った一人が接客と片付けを担当しているようだった。調理場担当のうち一人は女性で、口調から察するに中国・韓国あたりから来た留学生と見受けられた。カタコトな喋りがなんとも可愛いが、知能指数は間違いなく私より圧倒的に上だろう。スープまでしっかりと味わいつもりだったので、ラーメンを注文するつもりだったのだが、気がつくとつけめんを頼んでいた。これが旅行のテンションというヤツだろうか。正直、やや量は少なかったが、しかし美味かった。

食後、本日の宿である「メディアカフェ ポパイ えびす通り店」へ。ネットカフェでの宿泊は久しぶりだ。大学を卒業してしばらくは、広島を訪れるたびに利用していたが、ここ数年は安いビジネスホテルを利用することのほうが多くなっていた。まあ、間もなく30歳になる身空で、ネットカフェで宿泊というのも……いや、決してダメというわけではないのだが……。入り口はエレベーターになっているので、それに乗り込み三階へ。上に着くと、更に階段がある。余談だが、その階段の向こうの壁に「駐輪禁止」と書かれていたのだが、この壁は何処からやってきたのだろう? 短い階段を上がりきると、ようやく店の入り口に辿り着いた。時刻は午後10時前。私以外の客の姿はあまり見受けられなかった。カウンターは、髪の色を茶色に染めた青年が一人で担当していた。座敷室、ナイトパック12時間コースを選ぶ。二畳ほどの空間にデスクトップのパソコンが一台とテレビが一台。その上には四桁の数字を入力するタイプのセキュリティーBOX(貴重品入れ)もある。不思議だったのは、室内に飲食物を持ち込んではならないというルールだ。これを明記しているネットカフェに入ったのは初めてだ。室内からインターホーンで料理を注文できるような店もあるというのに……。

だらりだらりと動画サイトを覗き、午前2時半就寝。風呂は明日にした。

シティボーイズミックス PRESENTS 『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』

シティボーイズミックス PRESENTS 『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』 [DVD]シティボーイズミックス PRESENTS 『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』 [DVD]
(2014/04/30)
大竹まこと、きたろう 他

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2013年4月20日。

この日、私は大阪にいた。行ってもらいたいと頼まれたわけではない。自分の意志で大阪へとやってきたのである。我が香川県から“笑いの聖地”大阪へと向かう手段は様々だ。ある者は新幹線を使い、またある者はフェリーを使うだろう。ある猛者は二本の脚で向かおうぞと豪語するやもしれないし、あるブルジョアジーはあえて飛行機で向かおうと葉巻なんぞを咥えながら優雅に語るかもしれない。私の交通手段は高速バスである。決して優雅とはいえないが、体力を必要としないし、なにより予算がそれなりなのが好都合だ。ちなみに、宿泊施設は常にカプセルホテルである。欲情でおっさんたちのヌードを堪能できるところが実にイイ(別に発情したゲイではない)

では、どうしてこの日、私は大阪にいたのか。それは、敬意と畏怖の念を持って“笑いの殿堂”と称されているなんばグランド花月の敷居を跨ぐためでもなければ、落語CDが充実していると噂に聞いた中古CD店・大十(※現在は閉店)で予算の限りショッピングを楽しむためでもなく、落語専門の定席として知られている天満天神繁昌亭で上方落語を堪能するためでもなければ、某ファッションヘルスで軟体を駆使し(以下略)に会いに行くためでもない。シティボーイズの公演をナマで鑑賞するために、大阪を訪れたのである。

シティボーイズは、大竹まこと、きたろう、斉木しげるによって1979年に結成されたコントユニットだ。結成以来、ステージでのコントにこだわり続けている彼らの笑いは、ナンセンスと称されることが多い。ナンセンス。即ち、意味を持たない。無意味な笑い。事実、ライブが終わるたび、まるで確認するかのように、大竹まことはある言葉を口にする。「後には何も残らない。何も残さない」。それが彼らの笑いの心情であり、唯一のルールなのだ。

私が初めてシティボーイズのコントを目にしたのは、大学生の頃だった。近所のレンタルショップに、シティボーイズのライブビデオが置いてあるのを見つけ、なんとなしに借りたのである。当時、既にラーメンズやバナナマンのコントを知っていた私は、様々なコントに対して興味津々だった。だからこそ、大竹まこと、きたろう、斉木しげるという、何処かで名前を目にしたことのある面々のコントにも、素直に興味を持つことが出来たのだろう。その時、私が借りたのは『シティボーイズミックスpresents ラ ハッスル きのこショー(2001年)』。それまでシティボーイズの舞台演出を手掛けていた三木聡が降板、これまでとは違う新しい笑いの世界を目指さんとする意欲作だった。ゲストは中村有志といとうせいこう。当時は知らなかったが、シティボーイズの舞台ではお馴染みのゴールドメンバーである。その、時の流れを超越した普遍性の高いコントに、私は激しく感動した。

あの日から、およそ10年。思えば長かった。今でこそ、お笑いの舞台を鑑賞するという行為を平然と実行できる私だが、当時はそんなことを考えもしなかった。お笑い芸人のネタはテレビで観るもので、わざわざ劇場や会館などに出向いて、ナマのステージを観ようという発想が無かったのである。ましてや、県境を越えて、それなりの交通費を支払って、宿にまで泊まって、お笑いのステージを観ようなどという考えに思い至るわけがない。……思えば遠くへ来たもんだ。物理的にも、精神的にも。

場所は大阪、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。公演タイトルは『シティボーイズミックスPRESENTS 西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』。2013年4月から5月にかけて、東京、大阪、名古屋、北九州を巡る全国ツアーのうちの、とある一日のことであった。

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いともたやすく行われるえげつない行事

さて、クリスマスイブである。

クリスマスがどういう行事であるかは存じている。私も子どもの頃はサンタクロースなる赤き衣を身にまとった老人から欲望にまみれた感情を正当化してくれるプレゼントを頂戴することに期待していた人間だった。無論、サンタクロースなる存在が、一体ドコのナニガシなのかは知っていたが、それでもプレゼントを貰えることには違いないので、ちゃんと楽しみにしていた。とはいえ、はっきりと両親に「○○が欲しい!」と言い、両親も「分かった!」と答える、なんともドライなやり取りを交わしていたが。有難いことに、私の両親はのび太のパパみたいに小学生の息子に百科事典を贈る様な人間ではなかったのである。余談だが、のび太のパパが普段は和服なのに息子にパパと呼ばせているところに、違和感を覚えてしまうのは私だけだろうか。

しかし、ある年齢を超えると、クリスマスには別の意味が含まれるようになる。サンタクロースからプレゼントを貰える日ではなく、恋人と過ごさなくてはならない日へ。考えてみると意味が分からない。恋人同士なのだから、普段から会っているだろうに。それを、どうしてわざわざ、人通りが多いだろう街の中へと飛び出して、どこぞのおっさんが何日も前から準備していただろうイルミネーションに心を躍らせ、値段とボリュームが見合わないディナーに舌鼓を打ったり打たなかったりしながら、なし崩し的にホテルでなんぞするという、これらの過程を背負わされているクリスマスの身にもなってもらいたいものだ。ホワイトクリスマスが別の意味になってしまうぞ。曲がりなりにも“聖夜”だというのに、聖なる夜を過ごしている人たちがどれだけ存在するのか。恋人同士は勿論のこと、あえてこの日はレンタルショップでアレなナニをいっぱい借りまくって、俺だってホワイトクリスマスの仲間入りだってなことをつぶやきながら、モニターの薄明りに包まれながらなんかしらかをしている独身男性だっているのだろう。いないか。私もしない。

堀井憲一郎『若者殺しの時代』によると、恋人同士でクリスマスを過ごす風習を広めたのは、1983年の12月にクリスマス特集を打って出た『an・an』なのだそうだ。下らないことにも徹底してデータ収集して臨むことで知られている堀井氏が言うのだから、きっとその通りなのだろう。

若者殺しの時代 (講談社現代新書)若者殺しの時代 (講談社現代新書)
(2006/04/19)
堀井 憲一郎

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堀井氏は語る。

 クリスマスが恋人たちのものになったのは1983年からだ。
 そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動き出す時期でもある。「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうするべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである。若い人たちにとって、大きな曲がり角が1983年にあった。女子が先に曲がった。それを追いかけて、僕たち男子も曲がっていった。いまおもうと、曲がるべきではなかった気もするが、当時はどうしようもなかったのだ。


つまり、クリスマスに恋人同士で過ごしている人たちは、知らず知らずのうちに資本社会から金を巻き上げられているのである。そして、クリスマスを孤独に過ごしている人こそ、そういった私利私欲の枠から解き放たれた確固たる志向の持ち主なのである。見よ、あのクリスマスに集う恋人たちの群れを! なんと愚かで醜い群れだ! あの様な群衆に身を置くことは、即ち敗北である! 叫べ! 今こそ勝利の雄たけびをあげ、蝋燭の火を消し、ホワイトクリスマスを血で染めるのだ!!!(※これは比喩的表現であり、テロ行為を推奨するモノではありません)


 
というわけで、今年も私は靴下をぶら下げてオヤジを待っているのであった。ちゃんちゃん。

『THE MANZAI 2014』感想文(全組終了)

■概要
“1980年代に漫才ブームを巻き起こしたバラエティ番組「THE MANZAI」を復活する”というテーマの元に開催された、年間最強漫才師決定トーナメント大会。今回は、「THE MANZAI 2011」「THE MANZAI 2012」「THE MANZAI 2013」に続く、第四回大会である。

■予選内容
2014年6月16日~8月6日まで全国五か所(東京・大阪・愛知・北海道・福岡)にて一回戦を行い、8月18日~30日まで大阪・東京にて二回戦を行う。二回戦の予選参加者から、10月12日~11月23日までに大阪・東京・京都にて行われる本戦サーキット(全5回)に出場できる50組の“認定漫才師”を選抜する。本戦サーキットは五人の審査員による100点満点方式で審査、その順位がポイントに反映される。認定漫才師はこの本戦サーキットに二度出場して、審査を受けなくてはならない。その結果、選ばれた上位11組が決勝戦に進出、12位以下の10組によるワイルドカード決定戦で、残る12組目の決勝進出者を決定する。

■開催期間
2014年6月16日(予選一回戦)~12月14日(決勝戦)

■司会
岡村隆史(ナインティナイン)
矢部浩之(ナインティナイン)
高島彩(フリーアナウンサー)
佐野瑞樹(フジテレビアナウンサー)

■決勝進出者紹介用プロジェクションマッピング
制作:村松亮太郎(株式会社ネイキッド 代表)
出演:三田友梨佳(フジテレビアナウンサー)

■ロサンゼルス中継
テンダラー

■スペシャルサポーター
指原莉乃(HKT48)
ビートきよし

■審査員
西川きよし
志村けん
テリー伊藤
オール巨人
春風亭小朝
大竹まこと
渡辺正行
関根勤
ヒロミ
+国民ワラテン【視聴者投票】

■最高顧問
ビートたけし

■歴代大会
「THE MANZAI 2011」批評
「THE MANZAI 2012」感想文
『THE MANZAI 2013』感想文

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死ぬほどコントを愛してる。

年明けからコントDVDがいっぱいリリースされるようなので、まとめておこうと思う。

bananaman live Love is Gold [DVD]bananaman live Love is Gold [DVD]
(2015/01/14)
バナナマン

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年明け直後の1月14日には、2014年の夏に開催されたバナナマンの単独ライブを収めたDVDがリリースされる。かつてはアングラを突き進んでいたバナナマンも、今ではすっかりゴールデンタイムが似合う風格に。それでも年に一度はきちんとコントライブを開催してくれるんだから、ファンには有難いよね。楽しげな二人がなんともいえないパッケージも気持ちいい。

しずるベストコント [DVD]しずるベストコント [DVD]
(2015/01/28)
しずる

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その二週間後にあたる1月28日には、『キングオブコント』決勝戦の常連コンビ、しずるのベストライブDVDと単独ライブDVDを合わせてパッケージした二枚組DVDがリリースされる。新作とベストが一緒になっているというのは、ご新規さんにも昔からのファンにも有難い仕様だね。『青春コント』『冥土の土産』『シナリオ』『田沼さん』『能力者』『びっくり先生』など、懐かしいネタがズラリ揃った永久保存版だ。

エレ片コントライブ ~コントの人8~ [DVD]エレ片コントライブ ~コントの人8~ [DVD]
(2015/01/30)
片桐仁(ラーメンズ)、やついいちろう(エレキコミック) 他

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1月30日には、エレキコミックと片桐仁(ラーメンズ)によるユニット“エレ片”が2014年1月から3月にかけて、全国ツアーを展開したコントライブを収めたDVDがリリースされる。かつてはスペシャル感の漂っていたこのユニットも、今となってはすっかり当たり前の存在に。そろそろ「キングオブコント」に出場しそうな勢いだけれど、いっそ本当に出てくれないだろうか。ダメかな。ラーメンズの活動もすっかり鳴りを潜めているし、ここらで一つ。うーん。

ロザンの14ベスト [DVD]ロザンの14ベスト [DVD]
(2015/02/25)
ロザン

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2月25日には高学歴コンビとして知られているロザンのコントDVDがリリースされる。ロザンのコントライブがソフト化されるのは、なんと約6年ぶり。一般的には漫才師としてのイメージが強い彼らだが、ここでは渾身のコントが披露されているに違いない……いやいや、クイズ解答のイメージしかないって、そんなこと言わないで! きっと面白いから。本編には2014年9月にNGKで開催されたライブを収録。ちなみに、前作もレビューしております。

CONTS(仮) [DVD]CONTS(仮) [DVD]
(2015/03/04)
次長課長・河本、フットボールアワー・岩尾 他

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3月4日には次長課長・河本、フットボールアワー・岩尾、NON STYLE・井上の三人によるユニットコントライブの模様を収録したDVDがリリースされる。同じ言い回しを何度も続けていると、そろそろ飽きてくるぞ。フォーマットから立て直した方がいいんじゃないか。しかし、ことによると2015年はコントの時代がやってくるのかもしれないな。嬉しいような、忙しいような。ちなみに、コントの脚本は河本が手掛けているらしい。どういうことになっているのやら。というか、次長課長名義では出さないのに、こういうのはけっこう出すのってどういう心理なんだろうか。別にいいけど。

チョコレートプラネット [DVD]チョコレートプラネット [DVD]
(2015/03/25)
チョコレートプラネット

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シソンヌライブtrois(仮) [DVD]シソンヌライブtrois(仮) [DVD]
(2015/03/31)
シソンヌ

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面倒臭いから、最後は合わせて紹介しよう。3月25日には『キングオブコント2014』2位のコンビ、ポテトチップスのコントで注目を集めたチョコレートプラネットが2015年1月24日に開催する予定のベストネタライブの模様を収めたDVDがリリースされる。……まだ開催されていないじゃないか! というわけで、詳細も明らかにされていないのけれど、恐らく懐かしい『ローマ帝国』は観られるだろう。今の彼らがどんなローマ帝国を見せてくれるのか楽しみだなあ。31日には『キングオブコント2014』チャンピオンのコンビ、シソンヌが1月から2月にかけて開催する「シソンヌライブ」の模様を収録する予定のDVDがリリースされる。従来の単独ライブとは少し違ったライブだという「シソンヌライブ」。どんな内容なのか、今からとっても楽しみだ(なんでも、“第三のバナナマン”ことオークラが監修を務めているらしいぞ!)。なお、特典映像には、過去に開催されたシソンヌライブからの傑作選が収められるという。充実してるなあ。

ジューシーズ エキゾチックゾンビのクルクルパジャマ [DVD]ジューシーズ エキゾチックゾンビのクルクルパジャマ [DVD]
(2015/04/29)
ジューシーズ

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ジューシーズもいるよ!

鶴瓶と落語の夜の夢。

ある夏の夜のことだ。

部屋のテレビをつけっぱなしにした状態でパソコンに向かっていると、いきなり怒鳴り声が聞こえてきた。何事かと驚きながら、テレビの画面に目を向けると、そこには半裸で有名タレントたちに怒鳴り散らしている笑福亭鶴瓶の姿があった。少しばかり酒をひっかけているらしく、些か呂律が怪しい。数年前、テレビの生放送中に酔っ払った鶴瓶が下半身を露出してしまった事件は、今でも多くの芸人たちによって語り継がれている。思うに、この時の番組は、あの事件の再来を演出しようとしていたのだろう。

だが、その光景を目にして、私はまったく別のことを考えていた。酔っ払った鶴瓶の怒鳴り声に、彼の師匠である笑福亭松鶴の喉を感じたからだ。

六世松鶴極つき十三夜六世松鶴極つき十三夜
(2010/11/03)
笑福亭松鶴(六代目)、笑福亭仁鶴 他

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六代目笑福亭松鶴。三代目桂米朝、三代目桂春團治、五代目桂文枝とともに上方落語の復興に貢献した“上方落語四天王”の一人である。酒好き、女好き、借金まみれという古き良き時代の芸人としての人生を全うし、その人気は未だに衰えていない。「2012年に桂文枝を襲名した桂三枝が【六代 桂文枝】を名乗っているのは、上方では“六代目”といえば六代目松鶴を指すから」というエピソードが、その存在の大きさを物語っている。十八番は『らくだ』。酒に関する噺がとても上手かった。

鶴瓶が初めて六代目松鶴の元を訪れたのは1972年のこと。一人で行くのは恐かったので、友達と一緒に自宅を訪問したという。実は、その一年前には既に弟子入りを決意していて、とある会場の楽屋口までは行けたのだが、そこで大勢の弟子たちが松鶴に「お疲れ様でした」と言っている姿を目にして、物怖じしてしまったのである。家の中に上げてくれた松鶴に「親の承諾が要る」と言われた鶴瓶は、芸人嫌いの父親を無理矢理に騙して同道し(※後で物凄く怒られた)、なんとか弟子入りを許される。

ところが、松鶴は鶴瓶に殆ど落語を稽古しなかった。そういう方針を取っていたわけではない。原因は、ちょっとしたしくじりだった。その当時のことを、鶴瓶本人が落語作家・小佐田定雄氏の編集による『青春の上方落語』で語っている。

青春の上方落語 (NHK出版新書 422)青春の上方落語 (NHK出版新書 422)
(2013/12/06)
笑福亭 鶴瓶、桂 南光 他

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 稽古してもろてるある日の朝、おやっさん(※松鶴)がブラックコーヒー、あーちゃん(※松鶴夫人)がミルクティを飲まはるんで、ぼくがこしらえたんです。ぼくの実の親父はコーヒー好きで、毎日、インスタントやなしに、豆からコーヒーをたてて飲んでました。そのときに、ミルクを流すようにスーッと入れてたんが格好よくてねえ、「ええなあ」と思うてたんです。
 そこで、あーちゃんのミルクティをこしらえるときも、紅茶にミルクをスーッと流すように入れて表面をミルクで覆うようにしたんです。そしたら、あーちゃんが紅茶が入ってないと早トチリしはって「わて、ミルクて言うてないがな!」て、えらい怒らはった。うちのおやっさんもそれにかぶせて、
「だいたいおまえは、人の話聞いてへん。なんや、これ?」
 よっぽど「かきまぜてもろたらミルクティです」と言おかと思うたんですけど、恥かかすように思えたんで、素直に「すんません」とあやまった。おやっさんも虫の居所が悪かったんか、えらい怒らはって、それからぼくの稽古がなくなったんですよ。


あらぬ誤解から師匠に落語を教えてもらえないという憂き目にあった鶴瓶だったが、マスコミにはすぐさま気に入られることになる。兄弟子・手遊(おもちゃ)が小学生の落語家として注目されていた頃、そのお供としてあっちこっちへついていくと、大学中退でもじゃもじゃ頭の男が小学生に「兄さん」と敬語を使っている姿が「面白い」と気に入られ、そこから少しずつ鶴瓶個人へと注目が集まるようになったのである。その一方で、若手の勉強会【つばす会】に参加し、落語家としての活動も続けていた。月に一度あるかないか程度ではあったが、これがあったからこそ、後に落語に戻ってこられたのだと鶴瓶は述懐する。

ところで、松鶴は本当に鶴瓶に何も教えなかったのか。

調べてみると、『師匠噺』(浜美雪)に興味深い証言を発見した(「発見した」といっても、ここで抜粋している言葉は全て鶴瓶本人によるものなのだが)。入門から一年後の1973年のある朝。松鶴は鶴瓶にあることをやらせた。それは、自身の落語会の様子を録音した落語三十五席分のテープ起こしだった。同じ大阪とはいえ、住んでいる場所によってはニュアンスに多少のズレが生じることがある。だが、松鶴と鶴瓶は同じ大阪のド真ん中出身だったため、このテープ起こしを命じられたのだろう、と鶴瓶は考える。

師匠噺師匠噺
(2007/04)
浜 美雪

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 でもいまになって思いますよね、それが、師匠なりの”稽古”だったんだと気づいたんです。
 面と向かっての稽古はつけないが、自分のテープを聴いて、文字に起こしながら学べ、いうことですね。
 そら、何度も何度もテープ聴き返しながら、文字に起こしていくわけですから、染み込んでいきますよ、師匠の口調だとか間だとかが。
 すごい配慮だと思いますよね。


今現在、上方落語協会の副会長として、落語界全体を盛り上げていくことに苦心している鶴瓶。かつて、師匠から落語を教えてもらえなかった落語家は、今や落語界には欠かせない存在となった。浜氏は、そんな鶴瓶こそ、松鶴の芸や夢を一番忠実に引き継いでいると考える。

鶴瓶は語る。

 芸人って死んだら終わりなんですよ。落語家同士は知ってるけど、「松鶴」なんて言っても世間一般の人は知らないですよ。「伝説」になるためにはその人の弟子が、生きている間にその人に近いことをやって、「あんな弟子を育てたんや」ということをいかに示すかが大事なんです。名前を継承することも大事かもしれんけど、その人は死んだら終わりなんですよ。ですから死んだらあかんのです。死ぬまで一生懸命がんばらなあかんのです。


テレビには、頑張っている鶴瓶がまだ映っていた。出演者全員が笑っていた。

『猿王』(仲能健児)

猿王猿王
(2005/03)
仲能 健児

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猿。猿だ。その姿は確かに猿のそれだった。だが、おかしい。あの顔。尖った耳。大きくて丸い瞳。顔面の半分以上に切れ上がった口。あらゆるものを食べ尽す歯。人の頭すらも。猿か。猿なのか。猿の姿をした別の何かなのか。インドを旅する日本人の夢の中に、その猿が現れた。猿は言った。「おまえはオレから逃げられない」。続けて言った。「オレは神になる者だ」。

『月刊コミックビーム』誌上に、時たま奇妙な漫画が掲載される。舞台はインドか、そこに近いアジアの何処かだ。物語の主人公は旅行者で、彼は悠久の地で様々な神秘的体験を得る。とはいえ、それはあくまでも旅行中の出来事に過ぎず、彼の旅が終わることはない。初見時には「また妙な漫画家が現れたものだ」と思った。作者の名前は仲能健児。聞いたことのない名前だった。幾つかの短編を読んでいるうちに、私は彼の作品世界に興味を持つようになっていった。試しに、その名前についてネットで調べてみると、彼名義の作品が二冊ほど出版されていることを知った。一つは単行本で、もう一つは文庫本だった。文庫本には中古しかなかったようだったので、私は単行本を購入した。1,300円(税抜)という価格は決して安くはなかったが、それを手に取った時、私は確信した。名作である、と。

仲能健児『猿王』は、インドに滞在している日本人旅行者が、夢の中で遭遇した“猿”の姿をした奇妙な存在に追い回される姿を描いた作品だ。逃げる旅行者と、追う猿。その道中には、彼の事情を知らないインド人たちとの衝突や、猿の存在を認知しているサドゥー(ヒンズー教の行者)たちとの会話なども描かれているが、基本的に話は一本道である。逃げる旅行者と、追う猿。それだけだ。彼に助言するサドゥーたちは次々に頭をかじられ、猿の手下である虎や鮫に噛み殺される。それを背にして、ひたすら逃げる。逃げる。逃げる。しかし、猿が旅行者の男を必要としていると知っている一部のサドゥーたちによって、今度は彼の命が狙われる。すると、今度は猿が彼を助けようとする。敵なのか、味方なのか。正も誤も定かではない逃走劇に、果たしてどんな結末が待っているのか。

『猿王』は1994年に週刊モーニング誌上で連載されていた。猿に追われるという珍奇なストーリーも然ることながら、リアルに描かれたインドの風景が、実に味わい深い。そのリアリティが、この異常な物語をより一層引き立てる。まるで、眼球を通じて、脳がインドの風に包まれているかのようだ。巻末には呉智英による解説を掲載。本作が発表された時代と背景について書かれており、より一層、この作品の深みを感じられるように思う。

『アンタッチャブル山崎のゆる~い関係』

アンタッチャブル山崎のゆる~い関係 [DVD]アンタッチャブル山崎のゆる~い関係 [DVD]
(2013/12/18)
山崎弘也(アンタッチャブル)

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気が付けば12月である。

まだクリスマスというビッグイベントが控えているとはいえ、そろそろ各家庭でも年末を意識し始めているのではないかと思われる。今年も色々なことがあったよなあ……と、この一年を振り返り始めている人も少なくないはずだ。かく言う私はというと、この文章を書きながら、ナントカ細胞やナントカ作曲家やナントカ号泣会見などのことを思い出し、面白そうな話題が多すぎて爆笑問題が漫才作りに困っているのではないか、などと余計な心配をしている。彼らがどうやってもろもろの事件を笑いに変えてくれるのか、今から正月特番が楽しみだなあ……と、呑気に構えている場合ではない。この一年を振り返る上で、私にはどうしても考えなくてはならないことがあった。いや、厳密にいうと、なかった。それがなかったという事実が、私にとって非常に大きな問題なのである。

今から20年前の1994年。ある漫才師が産声を上げた。テキトーなことを喋り続けるボケと、そんなボケにしっかりと食らいつくツッコミ。二人はめきめきと腕を上げ、若手芸人の登竜門『爆笑オンエアバトル』の常連となる。ハイテンションなしゃべくりで観客を笑わせていく様から、番組では“笑いの絨毯爆撃”と紹介されたこともあった。そして、結成10年目を迎えた2004年に、彼らは漫才師日本一を決定する『M-1グランプリ』のチャンピオンに君臨する。その漫才師の名は、アンタッチャブル。山崎弘也と柴田英嗣によって結成された、関東随一の実力派だ。しかし、2010年に柴田が突然の休業状態となり、山崎はピンでの活動を強いられることとなる。その後、しばらくして柴田は芸能活動に復帰するが、コンビで活動している姿はまだ何処にも披露されていない。一説によれば、事務所の社長が復帰への道筋を立てていたが、その最中に急逝してしまったため、復活の糸口がつかめないままになっているのだという。

だからこそ、今年だった。アンタッチャブル結成20周年にして、『M-1グランプリ』優勝から10年目という記念すべき年である2014年に、彼らは復活しなくてはならなかった。ところが、何の音沙汰もないまま、2014年はゆっくりと終わろうとしている。いや、もしかしたら、この12月中に、彼らの復活に関する情報を得ることは出来るかもしれない……と、微かな期待を抱くのは、きっと愚かなことなのだろう。だが、それならば、果たして、いつ? この状況に加えて、芸人仲間たちが彼らについて殆ど触れていない(触れるとしても、芸能活動を復帰した柴田の方にのみ)ことが、なんとも不穏な空気を漂わせている。本当に復活するのか。それとも……。

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『スパローズ ビジネスクズ』

スパローズ ビジネスクズ DVD (<DVD>)スパローズ ビジネスクズ DVD ()
(2013/11/06)
不明

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“真面目系クズ”という言葉を見かけ、目を疑った。

真面目なのにクズとはどういうことか。私のイメージでいえば、真面目というのは図書館に定期的に通うようなメガネ女子のことであり、クズというのはパチンコ屋の駐車場に我が子を置き去りにするろくでなしヤンママのことである。つまり、真面目系クズという人は、図書館で借りた本を駐車場に置き去りにする人ということか。いやいや、そんなわけがない。それは単なるドジっ子だ。ていうか、どうして想定される人物がどちらも女性なのだ。こんな時にスケベ心を出してどうする。

具体的な答えが思い浮かばなかったので、困ったときのグーグル先生に助けを求めたところ、すぐさま回答を発見した。なんでも、真面目系クズというのは、一見すると真面目に見えるけれど、ただ楽な方向へと流れているだけで、何の主体性も持たない人のことを示した言葉らしい。……なんじゃそりゃ。そんな人なんて何処にでもいるではないか。そこにも、ここにも、あそこにも。誰しもがいちいち物事に対して熱狂しないし、集中しないし、埋没しない。主張もしないし、意見も持たないし、我先にと食いつかない。誰だって、そういった一面は持っている。クズでもなんでもない。そんな程度のダメさでクズを名乗るとは、まったくもって言語道断である。一刻も早く、スパローズの単独ライブを収録した『ビジネスクズ』を鑑賞して、本当のクズというものを真面目に勉強した方がいい。

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松本人志の隠し“芸”

「松本」の「遺書」 (朝日文庫)「松本」の「遺書」 (朝日文庫)
(1997/07)
松本 人志

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かつての松本人志がどれほどの影響力を持っていたのかを理解する上で、彼の著書である『遺書』は欠かすことの出来ない最大の参考資料といえるだろう。放送作家の藤本義一を名指しで批判し、観客の質が悪いから『笑っていいとも!』を降りたと告白し、ダウンタウンを否定した横山やすしを「殴っといたらよかった」と言い切ってしまう危なっかしさは、出版から10年以上が経過した今読んでいても冷汗モノだ。

そんな『遺書』の中でも、特に強い印象を残すのが、松本自身の芸について書かれたコラムである。当時、「ある人物が「ダウンタウンには芸がない!」と言っていた」と書かれたハガキを受け取ったという松本。一読し「ムッ」ときたが、思い直し、確かにそうかもしれないと気持ちを落ち着けたのだという。その理由について、松本は彼自身も大好きだという喜劇役者・藤山寛美を例に挙げて、次の様に書いていた。

 オレは確かに、この人に比べたら芸はない。開き直ってるわけではない。オレたちにとって笑いとは発想なのである。おもしろい人を演じることでは負けていたとしても、おもしろい人では絶対負けない。芸で人を笑わすより、自分自身で人を笑わしたいのだ。
 芸があるということは、スゴク有利なことだと思う。発想だけで人を笑わすのは非常に怖いことだ。“何度見ても笑える”とはなりにくいし、四十、五十までその発想を持続できるとは限らない。したがって、どうか古い人たちよ、芸がないことをまるで卑怯のように言うのはやめていただきたい。芸がないぶん、ほかで補っているのだから。


この文章に影響を受けた芸人も少なくないだろう。

ところが、そんな松本人志……もとい、ダウンタウンについて、ある人物が芸を見出している。その人物とは、落語界の異端児・立川談志である。

談志百選談志百選
(2000/03/06)
立川 談志、山藤 章二 他

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立川談志といえば、かつてはビートたけしや太田光を称賛し、晩年にもテツandトモやおぎやはぎなどを評価していた、いわゆる関東芸人派としてのイメージが強い。事実、当初は「関心がなかった」「小汚え、小生意気な、やり方が、「東京という大田舎に集っている低能の若者に受けているのだろうから」と見向きもしなかった」と告白している。しかし、「見損なっていた」と考えを改め、以下の様に評している。

 で、松本人志相棒に何かいう。その“何か”とは、非常に抽象的な文句であり、その言葉はアドリブなのだろうが、問題提起になり得る文句でもある。
 それをいきなりぶっつけられた浜田は正常人と同じレベルで疑問を返す。「ワからねえよ……」
 この会話のキャッチボールに使う「間」、ふと天外(渋谷)と寛美(藤山)の間を思ったっけ。
 この“待ちの間”。現代、これが出来る奴にぶつかるとは思わなかった。見事なまでの漫才の間なのだ。いつごろからこの二人に、この間が出来上がったのかしら……。


なんと、かつて松本が自著で突き放した藤山寛美の芸が、ダウンタウンの漫才には見られると指摘しているのである。私自身は藤山寛美の笑いについて、また渋谷天外とのコンビ芸について、正確に認識してはいないが、落語以外の芸にも精通していた談志がいうのであれば、きっとそうだったのだろう。いや、まあ、『遺書』発表後の原稿なので、ことによると合わせたのかもしれないが……。

一方、ダウンタウンの漫才に、藤山寛美以外の芸人を想起させたという人物もいる。その人の名は西条昇。日本の芸能史に精通し、江戸川大学で教鞭をとる、モノホンの「お笑い評論家」である。

ニッポンの爆笑王100―エノケンから爆笑問題までニッポンを笑いころがした面々ニッポンの爆笑王100―エノケンから爆笑問題までニッポンを笑いころがした面々
(2003/09)
西条 昇

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西条氏は指摘する。

 そうした彼らの仕事を眺めているうちに、コンビのバランスや各々の資質がダウンタウンにとって吉本興業の大先輩に当たるエンタツ・アチャコと酷似していることに気がついた。


エンタツ・アチャコとは、横山エンタツ・花菱アチャコのことである。横山エンタツ・花菱アチャコは1930年から34年にかけて活動していた漫才師だ。ただの漫才師ではない。芸能史上、初めて“しゃべくり漫才”を演じた漫才師である。背広姿の二人組が何の小道具も持たずにしゃべりだけで場を持たせる……いわゆる漫才の仕組みは、彼らによって生み出された。そんな漫才史上最大の重要コンビとダウンタウンには、どんな共通点が見られたのか。

 二組の類似点を一言で言うならば、ボケ役の松本とエンタツは<深さの人>であり、ツッコミ役の浜田とアチャコは<広さの人>であるということになるだろう。
 ともに天才型の芸人と言える松本とエンタツの作り出す笑いは、鋭角的で深い。その笑いを浜田とアチャコが大衆に分からせ、広める役割を担う。<深さの人>と<広さの人>が揃っていれば、漫才コンビとして、これほど強いことはない。


芸を捨て、発想だけで勝負していると公言していた松本人志。しかし、意図してか意図せずしてか、その背景には、確かに日本演芸の血脈が繋がっていたのである。

『THE MANZAI 2014』決勝進出者決定!

【決勝進出】
1位:学天即(大阪:1位・京都:1位)
2位:囲碁将棋(東京第2回:1位)
3位:馬鹿よ貴方は(東京第1回:1位)
4位:磁石(東京第3回:1位)
5位:ダイアン(京都2位)
6位:博多華丸・大吉
7位:アキナ
8位:和牛
9位:エレファントジョン(東京第2回:2位)
10位:2丁拳銃
11位:トレンディエンジェル

【ワイルドカード決定戦】
12位:三拍子
13位:レイザーラモン(東京第3回:2位)
14位:コマンダンテ(大阪:2位)
15位:ムニムニヤエバ
16位:流れ星
17位:三四郎(東京第1回:2位)
18位:POISON GIRL BAND
19位:チーモンチョーチュウ
20位:三日月マンハッタン


サーキット1位になった漫才師は軒並み上位に。まあ、ここが落ちるには、サーキットで相当スベらないと厳しいみたいなので、むしろ当然の結果といえるのかもしれない。とはいえ、一般的には殆ど知られていないだろう「馬鹿よ貴方は」が、絶対的に高い安定性を誇る「磁石」よりも上位に入っているのには、ちょっと驚いた。この他、「アキナ」「和牛」など、関西を中心に活動しているコンビが上位に。ここは大阪・京都のサーキットに参戦しているので、関西代表として出ていると捉えたらいいのかな。しかし、なにより驚いたのは、「2丁拳銃」の決勝進出! 何故に今。

ワイルドカードも見てみよう。個人的に嬉しいのは、やっぱり「三拍子」が12位だったってところだねえ。『爆笑オンエアバトル』時代から応援したりしなかったりしていたコンビが、ここにきてようやく賞レースに引っ掛かるポジションに飛び込んできた嬉しさったら。頑張ってもらいたいところ。でも、「POISON GIRL BAND」も気になるんだよな。かなり面白いと聞いています。意外だったのは「流れ星」の存在。去年、あれだけ決勝で結果を残しておきながら、またワイルドカードからやり直しって。ていうか、去年15位で今年16位って、点数的にあんまり動いてないぞ! もはや、そこが定位置なのか? あと、サーキットで2位になった「レイザーラモン」「コマンダンテ」「三四郎」がいずれもワイルドカード行きというのも、なんだか意外。特に「レイザーラモン」は、安定して明るく面白いってイメージがあったんだけども。もう片方のサーキットでミスったのか……?

千鳥とウーマンラッシュアワー亡き後(殺すな)の『THE MANZAI』を誰が背負っていくのか、今から年末が楽しみ……って、今年の決勝戦って12月14日(日曜日)にあるの!? しかも17時半スタートって、すっごく中途半端な時間で!? ……あ、そうか。選挙特番との被りを防ぐためか。放送延期云々になるよりは、その方がいいもんな。というわけで、皆さんお見逃しなく!
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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