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『8号線八差路(ハチハチ)』(ハライチ)

8号線八差路(ハチハチ) [DVD]8号線八差路(ハチハチ) [DVD]
(2013/08/21)
岩井 勇気、澤部 佑 他

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ハライチといえば、どうしても思い出さずにはいられないのが、『THE MANZAI 2014』ファイナリスト発表時での彼らの扱いである。バラエティ的にはイジられて美味しいという風にも言われていたが、その事実を初めて知ったときには、ちょっとばかり不快感を覚えた。既にテレビバラエティの現場で安定したポジションについているハライチが『THE MANZAI』の様な演芸の賞レースに出てくるということは、漫才師として出るべきだという確固たる意志があったからに違いない。それをバラエティのノリで軽率にイジくることは、正直言って、あまり気持ちのいいものではない。ただ、そういうノリでイジっても大丈夫だろうと思われていること、それもまたハライチの強みではあるのだから難しい。“ノリツッコミ”という既存の手法を元に新しい漫才スタイルを開拓し、完全に自らの手中に収めてしまっているハライチは、本来ならば天才と称されても可笑しくないのだ。しかし、軽くて、浅くて、青い存在感によって、彼らは未だに大衆を油断させている。スゴいのに、そのスゴさが伝わらない。ある意味、最強なんじゃないだろうか。


『8号線八差路(ハチハチ)』は、そんなハライチの四枚目となる漫才DVDだ。リリースは2013年と少し前だが、2015年1月時点での最新作である。過去の作品と同様、真っ白な背景をバックにしたスタジオでの収録(但し、パッケージにも写し出されている“8号線八差路”の交通表示が、彼らの後ろにデーンと構えている。……これ要るか?) 収録されている漫才は全部で11本。そのうち5本が、岩井のボケをきっかけに澤部がノリ続ける“ノリボケ漫才”の手法を取っている。……先ほど、絶賛した後でこんなことを書くのはアレなのだが、正直なところ、5本もノリボケ漫才を観させられると流石に飽きる。そもそも、ノリボケ漫才という手法は、当初のテーマから少しずつ逸脱していく展開になっているので、テーマごとの違いに大きな差が見えにくい。だから余計に飽きる。困ったもんだ。勿論、岩井のボケも、澤部のノリも、細かい所では違いがあるのだろうが……。

その一方で、ノリボケのスタイルを取っていない、いわゆるボケとツッコミによって成立するオーソドックススタイルの漫才には、なかなか興味深いネタが多かった。ノリボケ漫才では、どうしても澤部のノリが注目を集めてしまうために、岩井のボケが単なるフリとして処理されてしまうことが多い。ところが、オーソドックススタイル漫才だと、岩井のボケの個性がちゃんと目立つのだ……って、考えてみれば当たり前の話なのだが。これまで、あまりにも澤部が目立っていたために、その当たり前のことにちょっと驚きを覚えてしまった。岩井が出題する「究極の選択」に澤部が苦悶する『究極の選択』、岩井が拾ってきたラブレターのフリーダムな内容に澤部が困惑する『ラブレター』、一人暮らしを始めようと考えている岩井が住む予定の場所がダサすぎて澤部の苦笑が止まらない『一人暮し』なども非常に面白かったが、とりわけ印象に残っているのは『ももたろう』と『ヒーローマン』。

『ももたろう』は、そのタイトルの通り、昔話の「桃太郎」を主題とした漫才だ。その内容は、「桃太郎」がうろ覚えになってしまったという岩井が、そのストーリーを澤部に話し、正しいかどうかを確認してもらう……というもの。ありがちなテーマにありがちなやり取り、更にありがちなボケが展開しているにも関わらず、ありがちな漫才にはなっていない。ここが凄い。よくあるパターンの漫才だと思わせておいて、まったく違った、「桃太郎」のダークサイドとでもいうような物語を紡ぎ始めるのである。それまでの流れがあまりにも自然で、気が付けば引き込まれていた。長い時間を要するためにテレビ向けではないとは思うが、いいネタだった。

一方の『ヒーローマン』は、岩井が創作したという動物の特徴を捉えたヒーローたちを、ヒーロー登場シーンのナレーション風に紹介していく漫才だ。一つ一つのボケに澤部がしっかりと対応していくスタイルは、ノリボケ漫才のそれを思わせる。しかし、対する岩井のボケが、単なるフリ以上の存在感を放っているため、澤部の一人舞台では終わらせない。ブラックな要素を盛り込んできたかと思えば、まったく関係のないものを紹介し始め、最終的にはヒーローとは無関係な境地へ到達してしまうバカバカしさがたまらない。こちらも長い時間を要するためにテレビ向けではないだろうが……どこかで披露してもらいたい。ハムスターマンとアリクイマンのくだりがたまんないんだよなあ……。

特典映像は、澤部が地元・原市の魅力的な場所を岩井(原市在住)に案内したり、岩井が澤部を自宅(澤部の)でもてなしたりする様子を撮影した長編ロケ「相方をもてなそう!」と、本作のパッケージイラストを担当した漫画家・稲葉そーへーとのスペシャルトークを収録。二人の地元を巡るロケは第一作『ハライチ』(2010年2月リリース)でも行われているが、当時出会った人が少し出演していて、なにやら懐かしい気持ちになった。その他、二人の思い出の場所に出向いたり、ハライチ結成のきっかけを作った元メンバーが登場したりと、ハライチの原点を感じられる映像となっている。基本的には和やかだが、二人がナベプロの養成所を選んだ理由がちょっとアレで笑ってしまった。まあ、高校生の頃というと、そういうものか。

『THE MANZAI 2015』の時は是非、決勝の舞台に。


■本編【79分】
「教師になりたい」「料理」「オリジナルクイズ」「究極の選択」「ロボット」「ラブレター」「ももたろう」「神」「ヒーローマン」「一人暮し」「キャッチフレーズ」

■特典映像【57分】
「相方をもてなそう」「ハライチ×稲葉そーへー スペシャルトーク」
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10年目なのに浮つき。

どうも菅家です。

どうでもいい話ではございますが、

私がブログを始めて、本日で10年目を迎えることとなりました。

……おい菅家、と。

このブログの最古の記事は「2008年6月」じゃねえか、と。

そのように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実を申しますと、

このブログは三代目でございまして、

それよりもずっと以前にブログは始めていたのです。

最初のブログは「NOT FOUND~見つかりません」(05年1月~06年12月)。

二代目のブログは「NOT FOUND」(06年6月~08年6月)。

そして今のブログ「逢魔時の視聴覚室」(08年6月~)。

バカみたいに盛り上がったこともあれば、

バカみたいに怒髪天を衝いたこともありました。

今では私もすっかり大人になりまして、

ブログではなくTwitterでバカみたいに荒れております(変わってねーな)。

当時、19歳の私が、今の29歳の私を見たら、どう思うのか。

……落ち込むんじゃないかしらん(自分に自信が無い)

そんなこんなで10年目。

今後とも懲りずにお付き合い願えればと。

どうぞよろしくお願い致します。

……これ、あと何年続くのかな?


菅家志乃歩

2015年2月のリリース予定

■レビュー予定
04「テンダラー BEST MANZAI HITS!? ~THIS IS TEN DOLLAR~
04「サンドウィッチマンライブツアー2014
18「タカアンドトシ ライブ 2014
25「ロザンの14ベスト

■テレビ関係
04「人志松本のすべらない話 10周年Anniversary完全版 【初回限定パッケージ】
18「ごぶごぶ BOX13
18「ごぶごぶ 浜田雅功セレクション13
18「ごぶごぶ 田村淳セレクション13
25「竹山ロックンロール 11
25「中川家礼二の鉄学の時間 1
25「中川家礼二の鉄学の時間 2
25「中川家礼二の鉄学の時間 3
25「中川家礼二の鉄学の時間 4
25「中川家礼二の鉄学の時間 5
25「中川家礼二の鉄学の時間 6
25「モヤモヤさまぁ~ず2 DVD-BOX(VOL.22、VOL.23)
25「松本人志のコント MHK 通常版 (『動かない時計』ジャケット仕様)
25「松本人志のコント MHK 初回限定版 【特別仕様『動く時計』ジャケット(チェンジングスリーブケース)仕様、封入特典『秘蔵資料ポストカード』7枚つづり入り】

■その他のリリース
04「LICENSE vol.TALK∞04

お久しぶりが多い2月。まずはテンダラー。なんと約6年半ぶりのリリースとのこと。前作はコントベスト『$10 LIVE~ベストコントヒッツ!?』。タイトルを見ても分かるように、当時はまだ“$10”で活動しておりました。続いてタカアンドトシ。こちらは約5年半ぶりのリリース。前作はM-1グランプリを模した『タカアンドトシ単独ライブ in 日本青年館 勝手に!M-1グランプリ』。漫才の賞レースをパロった単独ライブを開催したのは、彼らくらいのものではないでしょうか。今回のテーマは“オリンピック”らしいが、果たして? 最後にロザン。彼らは昨年、トークライブDVDをリリースしているが、コントライブをソフト化するのは約6年ぶりのこと。前作は『ロザンの08ベスト+』。今も昔も漫才のイメージが強いコンビなのだが……今回はどんな感じなんだろう。

あ、あと、これは興味の無い人は本当に興味無いと思うけど、ひょっとしたら大好きな人が読者の中にいるかもしれないので、念のために触れておくけれど、かつてNHKで深夜帯に放送されていたイギリス産のSFコメディドラマの未放送回が『宇宙船レッド・ドワーフ号 シリーズ9 & 10 DVD-BOX』として2月3日にソフト化されます。いえーい! ハッピデースデートゥーユー! ハッピデースデートゥーユー! 『宇宙船レッド・ドワーフ号』を知らない人は『宇宙船レッド・ドワーフ号 DVD-BOX[日本版]』を見よ! モンティ・パイソン系のブラックジョークが好きなら、間違いなくハマります。

追記。25日に松本人志によるコント番組『MHK』のDVDがリリースされるとのこと。……発売一ヶ月前の発表とは、また急な話。年度末だから、色々とバタバタしているのだろうか。それはそうとして、ブルーレイ版が無いことが納得できない。DVD二枚組でまとまるボリュームなら、高画質・高音質のブルーレイ版を出しても……。

『兵動大樹のおしゃべり大好き。7』+『兵動大樹のおしゃべり大好き。8』

「すべらない話をしてよ!」

いつだったか、そんなことを飲みの席で言われた。思うに、誰とも交流を深めようとせずに、一人でひっそりとお酒を呑んでいる私に気を使ってイジってくれたのだろうが、それにしたって、もうちょっとなんとかならなかったものか。あまりにもフリが乱暴である。そもそも「すべらない話」というタイトルは、芸人たちのエピソードトークに高いハードルを設けるため、意図的につけられたものだった筈だ。それを一介のお笑い好きでしかない私に向けられても、そのハードルの下をくぐることしか出来ない。実際、私はくぐった。それはもう、有野課長(fromゲームセンターCX)がプレイしているスーパーマリオワールドの様にくぐった。場は白けたが、どうすることも出来なかったのだ。

とはいえ、私としても、咄嗟に面白いエピソードトークを引き出せなかったことについて、少しだけ後悔している。実のところ、ちょっと笑いが取れそうなエピソードが、皆無というわけではないのだ。ただ、いざそういったトークが必要な場面になると、それをまったく思い出せなくなってしまう。根本的に記憶力が脆弱なのである。運良く、面白いエピソードを思い出せたとしても、今度はそれを上手くトークへと昇華するパフォーマンス能力も圧倒的に低いという問題が露呈する。そこへ更に緊張する場面に弱い気質が加わるのだから、どうにもならない。なんという八方塞がり。いっそ私は貝になりたい。面白いエピソードトークを求められることなく、ひっとりと余生を過ごしたい。神様、どうせだからアワビとかにしてくれませんか。ダメか。

だからなのかは知らないが、私は兵動大樹が大好きだ。

普段は、相方の矢野勝也とともに漫才師“矢野・兵動”として活動している兵動だが、そのエピソードトークは諸芸の領域を超越している。兵動は様々な人々・様々な事物を徹底的に咀嚼して状況を解体、客観的な視点から解釈を加えて再構築することで、その面白さを確実に引き出してみせる。加えて、漫才師として磨き上げてきた表現力が、その笑いを何倍にも膨らませていく。更に、普通なら体験できない日常に遭遇する引き運の強さもあるのだから、実に恐ろしい。まさにエピソードトークを語るために生まれてきたような芸人、それが兵動大樹なのである。

「兵動大樹のおしゃべり大好き。」は、そんな兵動がたった一人でエピソードトークを展開するライブだ。

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『2700 NEW ALBUM 「ラストツネミチ ~ヘ長調~」』

2700 NEW ALBUM 「ラストツネミチ ~ヘ長調~」 [DVD]2700 NEW ALBUM 「ラストツネミチ ~ヘ長調~」 [DVD]
(2013/05/15)
2700(八十島弘行・ツネ)

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「彼らは歌ネタだから……」という理由で放任し続けた結果、そこに生み出されてしまった混沌に、誰が責任を取ってくれるというのだろう。『右ひじ左ひじ交互に見て』『キリンスマッシュ』などの名曲を収録した傑作選『2700 BEST ALBUM 「SINGLES」』からおよそ1年3か月後にリリースされた本作は、2700の“歌ネタ”というカテゴリーに収まっているが故に自由すぎる世界観が暴発した、なんともアヴァンギャルドな作品になっている。


とにかく意味が分からない。ツネを色んな角度から紹介し続ける『ツネミチヒロシ』が熱唱されたかと思えば、続けざまにまあまあ嬉しい時にだけやるという『オリジナルガッツポーズ』をゆるやかに連発。そして、修行で行き詰まって寿司職人になることを諦めた弟子に、親方が『足だけチアガール』でエールを送り、八十島が週末に見かけた『スマート最強高校生』のことをラップで紹介し、『アイアムリズムナンバーワン』を自称するタマネギ先生はパンチばかりを繰り出し続ける。……何を言っているのか、自分でもよく分からない。何も分からない。分かりたくもない。演っている当人たちも分かってもらえているのか不安だったようで、ネタ中に八十島が思わず「付いてきていますか?」と観客に語りかける場面も。しかし、この意味の分からないパフォーマンスの数々が、どれもこれも非常に面白い。意味の分からなさを構造のシンプルさが上手くフォローしているおかげだろうか。いや、むしろ、構造がシンプルであるからこそ、この意味の分からない世界を笑いへと昇華できているというべきか。

個人的には『お風呂の入り方』が印象的。八十島が『お風呂の入り方』を熱唱し、その後で歌詞の内容の通りにツネが動いてみせるというネタで、少しずつテーマからかけ離れていく様が非常に面白かった。ツネがただのツネじゃなくて外国人に扮しているツネだったことも、その可笑しさに繋がっていたように思う(単にカタコト日本語が私のツボというだけなのかもしれない)。特典映像に収録されているMilkey Bunny(益若つばさ)とのスペシャルセッションも、2700のネタとは違う意味で混沌の様相を呈しており、非常に充実した作品になっているといえるだろう。どういう人選だ、しかし。

ただ、ライブ映像の幕間に収められている、制作ドキュメンタリーの長さには不満が残った。少しくらいなら許容できるが、本編の収録時間のうち、半分がライブ映像で半分がドキュメンタリーというのは、流石にちょっと長すぎる。前作『SINGLES』でもドキュメンタリーが幕間に収録されていたが、あれはライブで披露されている歌の曲数(全24曲!)が多いから、まだ受け入れることが出来た。しかし今回は新曲が10曲のみ。それも一曲ごとに挟み込まれる。流石に多い。多いし長い。長い割には面白くない。いいとこ無しだ。おかげで、せっかく2700の混沌とした楽曲に打ちのめされていても、すぐさま正気に戻ってしまう。最初から最後まで彼らの音楽に狂わせておくれよ! ……まあ、チャプター画面から、本編ネタだけ観られるように設定出来るんだけど。そういうことじゃないような。


■本編【121分】
「ツネミチヒロシ」「オリジナルガッツポーズ」「秘密」「足だけチアガール」「強く咲く花」「スマート最強高校生」「お風呂の入り方」「アイアムリズムナンバーワン」「心の声」「ラストツネミチ~ヘ長調~」

■特典映像【33分】
「2700×Milkey Bunny(益若つばさ)スペシャルセッション」
「ツネのこれがやりたかってん」
「2700 JAPAN TOUR「THIS IS 2700」横浜公演ライブダイジェスト」

『bananaman live Cutie funny』+『bananaman live Love is Gold』

私が初めてバナナマンのコントを目にしたのは、2002年3月のことだった。

彼らが演じていたネタは『スライドボーイズ』。謎の音楽グループ・スライドボーイズに扮した二人が様々なパフォーマンスを繰り広げる……というコントで、『爆笑オンエアバトル』第4回チャンピオン大会セミファイナルで披露された。だが、当時の私はバナナマンというコンビを認識していなかったので、“お笑いコンビが架空のグループに扮する”ことのおかしみを、正しく理解することが出来なかった。その後、『ロープすりぬけ術』『合コン』などのコントを観たが、私がバナナマンに惹かれることはなかった。『爆笑オンエアバトル』のスペシャル番組で『張り込み』がオンエアされた時も「どうして、こんな何も起こらないコントがわざわざ選ばれたんだ?」と疑問に感じた。

そんな私がバナナマンの単独ライブに興味を抱くようになったのは、『爆笑オンエアバトル』の公式本で、彼らがこう紹介されていたからだった。

【コントの完成度は都内随一。日村のキャラはキャラづけを要される芸人たちの憧れの的。そして、設楽の頭脳から生まれるネタの数々を見ようと、彼らの単独ライブには芸人たちが多く訪れている。】


その頃、『爆笑オンエアバトル』をきっかけに若手芸人のネタに興味を抱くようになり、ラーメンズと運命的ともいえるような出会いを果たしていた私は、更なるコントの世界を求めていた。この一文は、そんな私の背中をそっと押してくれたのである。そうして鑑賞したのが、バナナマンの単独ライブを収録した『激ミルク』。なんとなく躊躇させられるタイトルだった。理由はない。ただ、生理的に、そこはかとない不快感を覚えたように記憶している。ラーメンズのシャープな雰囲気とは違った、ちょっと生臭いニュアンスのタイトルに物怖じしたのかもしれない。

BANANAMAN LIVE 激ミルク [DVD]BANANAMAN LIVE 激ミルク [DVD]
(2002/02/21)
バナナマン

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しかし、本編を再生してみると、その笑いの世界にすぐさま魅了された。動物園で飼育員をしている叔父さんに講演会でカバの話をしてもらうようにお願いするコントだ。どうでもいいようなやりとりが続いているだけなのに、とてつもなく面白かった。日常的で生活感の漂う会話の随所に含まれる無駄さ、無意味さ、下らなさ。それらをバナナマンは舞台上で再現し、尚且つ笑いへと昇華していた。『激ミルク』には、あの『張り込み』のロングバージョンも収録されていた。腹を抱えて笑った。何が面白いのか分からなかったコントが、一転、大好きなコントになった。直後、誘拐を描いたコントにまた魅了された。お笑い芸人のライブとは思えない、冗談抜きの緊張感。日常も、非日常も、ひっくるめて自分たちの世界にしてしまうバナナマン。彼らの世界に感動した私は、その後もライブDVDをチェックし続けていくことを決めた。

あれから12年。バナナマンの状況は一変した。シニカルな視点から切り込んだコントを多く演じていた彼らは、いわゆるアングラ色の強いコンビだった。だから、テレビには合わない。そう思われていた。盟友おぎやはぎが「バナナマンが面白い」とテレビ関係者に言っても、「面白いんだけどねえ……」と相手にされなかったという話が、その事実を裏付けている。ところが、蓋を開けてみたら……世の中、何がどうしてどうなるかなんて考えたところで何の意味もないんだなと、しみじみ考えさせられた。予想だにしていなかった事態へと発展してしまうのが、現実なのだ。

2015年現在、バナナマンは時代の最先端を悠々と歩んでいる売れっ子芸人の一組である。

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最近観た映画の感想。

愛のむきだし [DVD]愛のむきだし [DVD]
(2009/07/24)
西島隆弘、満島ひかり 他

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09年作品。とある理由によって、毎日懺悔を強要するようになった神父の父親・テツに対し、“股間の盗撮”という罪を重ねることでその繋がりを保とうとした少年・ユウ。その行為は狂気的な聖職者たるテツに手を上げさせるほどの激昂を誘い、その暴力にユウは父親の愛を感じていた。そんな日々の中でも、かつて亡き母親に「いつかマリア様のような人を見つけなさい」と言われたことを忘れていなかったユウ。ある日、そのマリア様のような女性と、遂に出会った。たくさんの不良少年たちをボッコボコに叩きのめしていた女子高生、ヨーコである。しかしヨーコは、父親の影響で全ての男性に対して不信感を抱いていた。そんな二人の間に、新興宗教団体「ゼロ教会」信者のコイケも加わり、事態はとんでもない方向へとなだれ込んでいく。園子温監督の映画を観たのはこれが初めてだったが、非常に面白かった。4時間という長大な作品なのに、センセーショナルな映像とシンプルで肉厚的なストーリーでまったく飽きない。また役者の演技も素晴らしい。ユウを演じる西島隆弘の純朴さ、ヨーコを演じる満島ひかりの美しさ、コイケを演じる安藤サクラの狂気、それぞれが思う存分スパークしている。中でも安藤サクラは凄かった。いわゆる美人とはいえないけれど物凄く魅力的で、だけど絶対にお近付きになりたくない。テツが崩壊するきっかけを作った女を演じていた渡辺真起子も凄かったなあ。安藤は火薬庫みたいなキャラクターだったけど、渡辺は完全に爆発していた。板尾創路、岩松了、吹越満など、存在感がキョーレツな役者がところどころで顔を出しているのも、アクセントになっていて良かった。盗撮、勃起、自慰行為など、ちょっと性的な表現が激しいので、そこに嫌悪感を抱かなければ間違いなく楽しめると思う。あ、グロ表現はそこまで激しくないのでご安心を。

もらとりあむタマ子 [DVD]もらとりあむタマ子 [DVD]
(2014/06/25)
前田敦子、康すおん 他

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13年作品。東京の大学を卒業し、父親が一人で暮らしている甲府の実家へと戻ってきたタマ子は、外へ働きにも行かず、家の手伝いもせず、何もしない毎日を過ごしていた。そんなある日、父に再婚の話が持ち上がり……。『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』『苦役列車』などの作品を手掛けてきた、山下敦弘監督による作品。ストーリーを必要最低限に控え、タマ子を演じている前田敦子の気怠い魅力を映し出すことに専念している印象。とはいえ、いわゆるプロモーションビデオの様な、あざとさや不安定さは感じられない。淡々と過ぎゆく日々の中で、淡々と日々を貪り続けているタマ子のみっともない一年を、しっかりと映画監督の矜持でもって丁寧に撮影している。とはいえ、その圧倒的な日常性が故に、時たま前田の肉体にエロティシズムを感じることも。なるほど、考えてもみれば、エロスというのは常に日常に潜んでいる。

ベイマックス [Blu-ray]ベイマックス [Blu-ray]
()
不明

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14年作品。サンフランソウキョウに暮らす14歳の少年ヒロ・ヤマダは、その科学的な才能を持て余し、学校にも行かずに自作のロボット同士で競い合うロボット・ファイトに熱を入れていた。そんなヒロのことを心配する兄のタダシは、彼を自らが所属している工科大学へと連れていく。そこでタダシが開発した介護用ロボット“ベイマックス”や彼の友人たちの研究を目にしたヒロは、この大学に入りたいと願うようになる。ヒロが大学に飛び入りするためには、大学の研究発表会でロボット工学の第一人者であるロバート・キャラハン教授に認められるような発表をして、入学の許可を貰うしかない。そして見事、ヒロは結果を収め、大学への入学を許されるのだが、その研究発表会の会場で火災事故が発生し、タダシとキャラハン教授が亡くなってしまう。大切な人を同時に二人も失ってしまったヒロは意気消沈し、家でふさぎ込むようになるのだが、ふとしたことからベイマックスが起動し……。普通の人間がスーパーヒーローへと変貌を遂げる過程を描いたヒーローアクション映画。『スパイダーマン』『アイアンマン』と重なる場面も多い。調べてみると、なるほど原作はマーベルコミックスとのこと。王道のストーリーを個性豊かなキャラクターや洗練された映像で描いており、とっても魅力的な作品だ。ベイマックスとヒロが空を飛ぶシーンは、サンフランソウキョウという街の広さと良い意味での猥雑さが楽しめて、とても魅了された。広告内容が偏っているということで話題になった作品でもあるが、いわゆるヒーローものとして宣伝されたら、ここまでウケなかったのではないかと思う。何も知らずに、ちょっとした興味だけで鑑賞するのが一番……って、この感想文を根底から覆しているけど、まあ、うん。

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(2014/08/02)
クリス・プラット、ウィル・フェレル 他

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14年作品。何もかもがレゴブロックで出来た街、ブロック・シティで暮らしているエメットはごく普通の建設作業員。決まった時間に決まったことをする、マニュアルで定められた暮らしに何の不満も抱いていなかったエメットだったが、ある日、建設現場に出来た大きな穴に落っこちてしまい、そこでうっかり“奇跡のパーツ”を手に入れてしまう。その瞬間、単なる平凡な作業員でしかなかったエメットは、世界を救うことが出来る「選ばれし者」になってしまったのであった。“レゴブロックで出来た世界”であることを最大限に利用した映像が、とにかく魅力的。海をレゴブロックで表現しているシーンでは、その美しさに思わず感動してしまった。それに加え、何かを壊して新しい何かを作り出してしまう自由さが、とてもクリエイティブで楽しい。それはレゴブロックの楽しさそのものと通じている、ともいえる。様々な映画の名物キャラクターやパロディも随所に散りばめられていて(あの二人の老人を同じ画面に入れてはいけない!)、その意味でも自由さを感じられる作品だった。しかし、本当に自由だったのは、終盤の展開である。そうか、そうくるか! 楽しくて、バカバカしくて、あらゆる創作を肯定する、全てのクリエイティブに捧げる傑作。素晴らしい!

最近。

「心を亡くす」と書いて「忙しい」とはよく言ったもので、仕事の忙しさに比例して、カルチャー的なものを受信するアンテナがとてつもなく鈍っている。事実、この三連休、『愛のむきだし』『ベイマックス』『もらとりあむタマ子』などの語り甲斐がありそうな映画を立て続けに鑑賞したにもかかわらず、今の私の心は砂漠の様になっている。まったく突き動かされないのである。それなのに、何かを書きたいという意欲が残っているから、どうにもこうにも厄介だ。気持ちはあるけど言葉が出てこない。結果、蓄積されていくストレスで、また心の砂漠に乾いた風が吹き抜ける。ああ、私の身体はまるで、死へと誘われているビーチワールドだ。何処かに風の谷は無いものかしらン。

あ、『愛のむきだし』も『ベイマックス』も『もらとりあむタマ子』も、どれも面白かったです。満島ひかりの美貌が凄い、安藤サクラの迫力が凄い、ベイマックスのストーリーが王道で超グッとくる、前田敦子のだらしなさがエロい。

『初笑い東西寄席2015』(2015年1月3日)

日本エレキテル連合『ナニワの男と女』
アイロンヘッド『宇宙人のしょぼい襲来』
春風亭朝也『鈴ヶ森』

【鈴本演芸場】
レポーター:春風亭一之輔
三増紋之助『曲独楽』
すず風にゃん子・金魚『結婚を呼び込む家』
柳亭市馬『一目上り』


学天即『クイズ番組』
酒井くにお・とおる『身体の衰え』
ザ・ぼんち『メッシ』

【なんばグランド花月】
レポーター:銀シャリ
ティーアップ『漫才作家になりたい』
中田カウス・ボタン『漫才(健康、薄型、ビルの名字)』
桂文珍『深夜タクシー』


【日大芸術学部コーナー】
ケーシー高峰『医学漫談』
立川志らく『やかん』

【道頓堀角座】
レポーター:増田英彦、キンタロー。
暁照雄・光雄『三味線漫才』
チキチキジョニー『ウキウキエブリデイ』
シンデレラエキスプレス『演歌発表会の司会』
海原はるか・かなた『カラオケ大会』


ウエストランド『相方に弟子入り』
アメリカザリガニ『かっこつけたい』
三遊亭円楽『初天神』

【新宿末広亭】
レポーター:ナイツ
宮田陽・昇『わかんねえんだよ』
鏡味味千代『太神楽』
三遊亭小遊三『ん廻し』


中川家『タクシー』
爆笑問題『時事漫才(有名人カーナビ・秘密の質問)』
オール阪神巨人『お金が無かった時代』
青空球児・好児『「君の名は」をさかさまに』


『爆笑ヒットパレード』は録画しなかったけれど、こちらはしっかりチェック。劇場中継が好きなんだよなあ。いわゆるバラエティ番組でも目にするタレントの姿は少なく、全体的に演芸の趣が強いメンバーが揃っている印象。落語家がいるからだろうな。チキチキジョニーやアメリカザリガニの漫才が観れたのは嬉しかった。……って、この前の『ドリーム東西ネタ合戦』でのますだおかだもそうだけど、松竹芸能はもうちょっと自社の漫才師がネタをする場所をテレビで見つけてあげてほしいよな。その時その時の売れっ子だけをクローズアップしたって、後が続かないんじゃどうにもこうにも……。あと、欲を言えば、レポーター役だった芸人たちにもネタをやってもらいたかった。一之輔師匠、銀シャリ、ますだおかだ、キンタロー。、ナイツ……惜しいなあ。とはいえ、ティーアップやシンデレラエキスプレスの漫才が観られたので、満足。ケーシー高峰・志らく師匠の日大芸術学部コンビの悪辣さも良かった。いつか、この並びで、同じく日大芸術学部出身の一之輔師匠が落語を演る姿を観たいものです。

悪意を込めてハマダーを『水曜日のダウンタウン』

多くの人々の目にとまるプライムタイムで放送されているにも関わらず、常にマニアックで挑発的な企画を通し続けているバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』。「芸能人・有名人たちが自説をプレゼンし、その説が正しいかどうかをVTRで検証する」というアーティスティックかつインテリジェンスなシステムを採用しているにも関わらず、その内容は【引退後の力士の髪型が総じておかしいのはマゲで後ろに毛穴が持っていかれているから説】【勝俣州和 ファン0人説】【売れている芸人が連れてる後輩 ほぼほぼポンコツ説】など、激しい悪意と偏見に満ちている。だが、その実直な底意地の悪さがウケており、視聴率はなかなか悪くないらしい。

番組の演出を務めているのは、過去に『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』『Kiss My Fake』などを手掛けてきた藤井健太郎。彼の番組はいずれも清く正しく悪趣味で、テレビ東京の佐久間“ゴッドタン”宣行、テレビ朝日の加地“ロンドンハーツ”倫三と並び称する声も、あるとかないとか。その良くも悪くも振り切れた手腕が故か、氏の番組スタッフを“地獄の軍団”、番組のことを“クソ番組”と呼ぶ声もある。……どんなバラエティ番組だよ。

1月7日放送の『水曜日のダウンタウン』。

新年一発目の放送ながら、【天龍源一郎以上のハスキーいない説】【バレーボールマシン バラエティでしか使っていない説】【「ざます」をマジで使っている金持ちなどいない説】など、とても大衆向けとは思えないニッチな企画揃いだった、この回。その中でも、特に目を引いたのが、この企画だった。

【ハマダー生存説】

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私はお正月と心中したい。

お正月は息苦しい。毎年、いつもと同じことをやって、いつもと同じように過ごすという、お馴染みの行程を踏まなくてはならないからだ。例えば、これが夏休みだった場合、選択肢は無限に広がっている。海に行こうと、山に行こうと、東京や大阪に行こうと、近所の図書館で見聞を広めようと、何をしても構わない。自由だ。しかし、こと正月となると、いつも通りの過ごし方しか出来ないようになってしまう。何処へ行くにも人が溢れているし、休業中のお店も少なくないし。否、革命は不可能ではない。今年の正月は思い切って、ハワイ旅行にでも繰り出そう……と発案することだって出来る筈だ。だが、出来ない。少なくとも私には出来ない。私の中には年月とともに積み重ねられてきた経験により、確固たる理想としてのお正月があるからだ。そこを抜け出した途端、それは「いつもと違うお正月」にしかならない。極端な話、精神の隅々までお正月に浸食されてしまっているのである。

その結果、今年もお正月を演芸関連の特別番組を鑑賞することに費やし、惰眠と蜜柑と御節を貪り、人工的な温もりを生み出す暖房器具に取り囲まれた日々を過ごしてしまった。ああ、そうだ。これはこれで幸せだ。だが、この幸せはあまりにも短くて儚い。一瞬の煌めきに過ぎない。そして、その肥大した幸せは、終焉とともに絶望によって隠されてしまう。あとは後悔するしかない。あの日、あの時、あの瞬間、他にもっと為すべきことがあったのではないか、と。社会人にとって本当に貴重な連休を、お正月という惚けた行事に現を抜かして過ごすことはなかったのではないか、と。ああ、そんなことは分かっていた筈なのに、どうしてもお正月の息苦しさから抜け出せない。呼吸出来ない快感をマゾヒストの様に愉しんでいるのではあるまいか。

そういう気分で、この健やかで惨めなお正月の愚鈍を懐かしがりながら、これからの一年を噛み締めていく所存である。ああ、出来ることならば、何もせずに布団に潜って、そのまま死ぬまで寝ていたい。いやいや、それはもう、本当に死んでしまうぞ。しっかりしなくては。いや、いやいや、しかしながら、この息苦しさから、未だになかなか抜け出せない。火照った頭を冷気で覚ませ、身体の筋よ伸びるところまで伸びよ、神経の各々方、今日から仕事始めですぞーっ。



とはいえ、まだまだまだまだまだまだまだまだ眠りたくない……。

「ドリーム東西ネタ合戦」(2015年1月1日)

ナイツ『ヤホー漫才「SMAP」』
陣内智則『一人カラオケ』
日本エレキテル連合『朱美ちゃん3号』
ウーマンラッシュアワー『誘導尋問(THE MANZAI優勝ネタ)』
どぶろっく『もしかしてだけど』
千鳥『タクシー』
オードリー『生放送に遅刻』
笑い飯『鳥人』
流れ星『実家に帰る(肘神様)』
友近『アシカショー』
バイきんぐ『卒業生』
ますだおかだ『ミュージシャンみたいな漫才・結婚の挨拶』

■東西おすすめショートプログラム
【今ちょうどいい芸人】
髭男爵『ディナーに舌鼓を打った後シェフを褒めてあげる』
ヒロシ『ヒロシです…』
アンガールズ『ショートコント』
はるな愛『松浦亜弥あてぶり』
【ちょっと見てほしい芸人】
ハンバーグ師匠『アツアツの鉄板ジョーク』
すち子&真也『浪速のギター借金取り』
ウエスP『テーブルクロス引き』
もりやすバンバンビガロ『食べながらジャグリング』
【師匠のあのネタもう一度】
コント赤信号『裏切り者』
ザ・ぼんち『二人は高校の同級生』


ロバート『節』
ロッチ『催眠術師』
ハマカーン『クリケット』
博多華丸・大吉『いい乾杯の音頭』
シソンヌ『ラーメン屋』
麒麟『野球選手の緊張感』
東京03『コンビニ強盗』
中川家『ものまね(ソウルの焼肉屋、西川きよし師匠シリーズ)』
サンドウィッチマン『ハンバーガー屋』
パンクブーブー『コンビニで万引き犯を目撃』


三時間超の長丁場、それぞれじっくりネタを披露する時間を与えられているのは良かったけれど、ベストネタを披露するというコンセプトのために、観たことのあるネタばっかりになっていたことが少し残念。とはいえ、正月の特番としては、このくらい無難なチョイスになっている方がいいのだろう。個人的には、ますだおかだと麒麟の漫才を久しぶりに観られたのが嬉しかった。最近はピンでの活動が多かったからなあ。ツボだったのは中川家のものまね。礼二のものまねによる西川きよし師匠のドキュメンタリー、大変面白ぅございました。

「評価している人が悪い」問題

最近、「作品を批判するために、その作品を評価している人たちを糾弾する」テキストを、よく見かける。どうも、まだあまり有名ではない制作者自身を批判するのは可哀想だから、という理由が主らしい。気持ちは分からなくもない。実際問題、どんな作品であろうとも、それを評価する人が存在しなければ、単なるゴミだ。そのゴミ同然となるべき作品が世に出回っているということは、つまり世間の愚鈍な眼を持った連中が評価しているからなわけで、だから彼らを批判する……非常に筋は通っている。通っているとは思うけれど、個人的にはなんていうかこの手法、とっても嫌悪感を覚える。

というのも、この手法で作品を批判している人たちは、「あの作品が評価されているのは、評価している人間が間違っているからだ!」という時点で、まるで戦後の頑固オヤジの様に思考停止しているように感じられるからだ。何故、その作品が評価されているのか、その作品が多くの人に見られているのか、それについての推察が表面的なところに留まっている。一部とはいえ、何かしらかの評価を受けている時点で、そこに見るべき点はあるのだ。その見るべき点を見ずに、見るべき点を評価している人たちを糾弾するというのは、些か乱暴に感じる。少なくとも、多少は歩み寄る必要性はあるだろう。完全に否定してしまっては、それも叶わない。評価されるべきじゃない作品が評価されている、評価している人たちが間違っているのだ、鈍感なのだ、などと仲間内に嘆きをぶつけることに何の生産性があるというのか。

それと、もう一つ気になっているのは、制作者を可哀想だと感じている謎の優しさである。個人的には、オリジナル作品を生み出すことも、既存の事物に対して批判することも、同様にクリエイティブな作業だと思っているのだが、どうも同じクリエイターに対して甘っちょろいというか、いっそ下に見ているようにすら感じられる。そもそも、この手法であっても、普通に作品を批判した場合と同様に、その制作者の作品を脊椎反射的に嫌う人が増えるのは間違いないのだから、何の優しさにもなってはいないと思うのだが。むしろ、優しさを見せている私を見てほしいと言っているようにすら感じられ、それを意図していないにしても、とてもみっともない。

……などということを、具体的に誰が言っていたことに対する批判なのかを書いていない時点で、私も新年早々実にみっともないのだが。まあ、私がそういう手法を嫌っているというだけの話なので、どこぞの皆さんは気にせず、そういう手法の批判を繰り広げればいいのではないかと存じます。ただ、私は嫌いです。はい。

「爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り」(2014年12月26日)

オードリー『ビデオレター』
シソンヌ『ヘビ』
ナイツ『インタビュアー(小が付く)』
日本エレキテル連合『実のスイカ』
サンドウィッチマン『不動産屋』
オリエンタルラジオ『武勇伝+カリスマ+オリジナルソング』
アンジャッシュ『怪談師』
東京03『終業後(不倫を目撃)』
東×土田×児嶋『懐かしショートコント』
友近『涼風凛(山下清展)』
爆笑問題『漫才』


実力派芸人たちによる鉄板のネタが披露される中、まだそのネタの危険性が浸透していない日本エレキテル連合の存在が非常に大きかった。女性の下ネタはウケないという定説があった時代が信じられないほど、アグレッシブなのに面白い。いや、むしろアグレッシブだからこそ、こちらも笑わずにはいられないのかもしれない。あと、印象に残っているのは、久しぶりに『武勇伝』を披露していたオリエンタルラジオ。完成度が高かったし、ちゃんと現代性が反映されていた。2013年末の新ネタ『カリスマ』を盛り込んでいたのも良かったなあ。終盤のカオス展開も楽しかったけれど、最後までそのまま観たかった気もする。個人的にツボだったのは、シソンヌの『ヘビ』。泊まりに来た友達の部屋にヘビがいっぱい……ああバカバカしい。

『ぐるナイ「おもしろ荘 元旦特別編」』

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

【大阪フレッシュルーム】
8.6秒バズーカー『ラッスンゴレライ』
てんしとあくま『チューリップ』
シュークリーマーズ『ケンカ』
ダブルアート『自己紹介』(第2位)

【東京フレッシュルーム】
クマムシ『なんだし』(第3位)
トンツカタン『カタコト塾』
しゃもじ『プロポーズ』
高橋ちゃん(スクールJCA)『ロボット漫談』
ブッダマリア(NSC東京)『天才ゴリラ花子』

【なでしこルーム】
尼神インター『ナンパ』
ばーん『売れたい…』
おかずクラブ『下着泥棒』(優勝)
小杉まりも『オトモダチ紹介』

【エキシビション】
日本エレキテル連合『木茂井一物とゆみちゃん』


面白かったのは、『チューリップ』のメロディをマイナー調にすることで、ちょっと違和感はあるけれど妙に惹きつけられる曲にしてしまったてんしとあくま、帰国子女があえて流暢な発音をカタコト調に矯正させるための場所「カタコト塾」のコントで日本人の英語コンプレックスをくすぐったトンツカタン、天才ゴリラが我が子と王将の置物を間違えるという設定がとにかくバカバカしかったブッダマリア、自分のことを軽くない女だと言っておきながらコントが始まるとあっさり男に身を任せてしまうベタなボケとヤンキー口調のキレッキレなツッコミが素晴らしい尼神インター、警察官にセクハラまがいの質問をされて憤る下着泥棒の被害を受けたブスたちの姿を描くことで大衆の美醜観について鋭いメスで切り込んだおかずクラブなど。特に尼神インターはフリートークもしっかりと立ち回っていて、非常に面白かった。売れてほしい。

しかし、昨年の同特番をきっかけに大ブレイクした日本エレキテル連合は、それらを見事に圧倒していた。ネタは『日本エレキテル連合単独公演「エレキテルプラネット」』(個人的には未見)に収録されている『木茂井一物とゆみちゃん』。気持ち悪い小説家が使用人の女性に延々とセクハラし続けるコントで、普通ならばただただドン引きされるだけのシチュエーションを、クセの強い演技とキャラクターで見事に笑いへと昇華している。かつて、友近が男性のボッキ表現に対抗して「濡れている」という表現を多用していたが(今でもやっているのかもしれない)、私は日エ連の芸風に対して、友近のそれに似たようなプライドを感じている。女性芸人がいよいよ面白くなってきたなあ。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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