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夏のおすすめ文庫本10選

『死んだ目でダブルピース』さんが、自身のブログで“夏のおすすめ文庫本100選”という企画を行っている。文字通り、彼が個人的に好きだという文庫本をただただ紹介するという、とてもシンプルな企画だ。これが正直言って面白そうなので、真似することにした。というか、某所で「マネしようかな」とつぶやいたところ、当人に「期待しています!」と書かれてしまったので、やらざるを得なくなってしまったのだが。もはや、やるしかないのである。あの時、迂闊に呟かなければ……。

さて。とにもかくにも“夏のおすすめ文庫本100選”を真似た企画をやらなくてはならないわけだが、流石に100冊の本を紹介する気力は自分にはない。こういう時間と根気が必要な企画は、どうしても途中でダレてしまう気質なのである。そこで、僕の場合は“夏のおすすめ文庫本10選”と題し、個人的に愛して止まない文庫本十冊を紹介することで妥協することにした。否、これは妥協ではなく、あくまでも『死んだ目でダブルピース』さんの企画との差別化を図るものである。……嘘じゃないよ。

というわけで、部屋にある文庫本をあれやこれやと探ってみたところ、どうにかこうにか十冊の文庫本を“発掘”することに成功した。いずれもここ数年、かなり熱を入れて読み込んだ本ばかりなのだが、驚いたことに一冊も小説本が含まれていない。思い返してみると、学生を卒業して以降はすっかり小説を読まなくなってしまっていたことに気が付いた。小説として描かれる虚構を受け入れられる余裕が無くなってしまったのか、単に小説に飽きてしまったのか、理由は分からない。ただ、ここ数年は小説を読むことが面倒になってしまっていたことは確かだ。

前置きが長くなってきた。そろそろ、本来の目的である紹介文に入りたいと思う。これが、僕の“夏のおすすめ文庫本10選”だ。……別に夏じゃなくてもいいな。
 
「日本フォーク私的大全」(ちくま文庫)
日本フォーク私的大全 (ちくま文庫)日本フォーク私的大全 (ちくま文庫)
(1999/01)
なぎら 健壱

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かつてフォークシンガーとして第一線に立っていたなぎら健壱が、歌手としてデビューする前から見つめ続けてきたフォークソングの流れを綴った私的歴史書。勿論、実際にその世界の中にいたなぎらの視点で描かれているため、たまに不必要じゃないかと思われるフォークシンガーたちの描写もあったりするのだが、それもまた面白い。個人的には、三上寛が高田渡にドーランを塗ってあげるシーンがあまりにも和やかで笑えた。ボリュームが物凄いため、夏休みのうちに読み終わりたいという人には不向き。腰を据えてじっくりと読んでもらいたい。

「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」(講談社文庫)
『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。 (講談社文庫)『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。 (講談社文庫)
(2003/05)
堀井 憲一郎

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誰もがそのタイトルだけは知っている『巨人の星』。だが、その内容について知っているのは、リアルタイムで連載やテレビ放送を見ている人たちを除くと、ごく僅かなのではないだろうか。本書はスポ根漫画として知られている『巨人の星』の変なところを取り上げた検証本である。否、むしろこれはツッコミ本というべきかもしれない。『巨人の星』に散りばめられたボケに対し、丁寧だがテンポのいいツッコミを入れている。それにしても、『巨人の星』のボケの多さは異常だ。本書では“花形満は小学生でスポーツカーを運転していた!”という比較的ツッコミやすいボケから、“オズマはどうしてカタカナで喋るのか?”というどうでもいいボケまで、拾えるところはほぼ全て拾っている。もはやペンペン草も生えない。中でも強烈なのは、主人公の星飛雄馬を引退へと追い込んだのは“肉離れ”だったのではないか、という仮説である。どんな野球選手だよ。著者である堀井の軽妙な文体も手伝って、ポンポン読み進められる一冊。

「毎月新聞」(中公文庫)
毎月新聞 (中公文庫)毎月新聞 (中公文庫)
(2009/09)
佐藤 雅彦

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結局のところ、人間は孤独である。一人では生きていけないという言葉もあるが、実際のところ一人で生きている人間は決して少なくない(ここでいう一人というのは、スーパーやコンビニなどの施設を含まない。念の為)。しかし、それでも人間の根本的な性質は、決して失われることはない。本書は『ピタゴラスイッチ』『0655/2355』などの番組を手掛けている佐藤雅彦が綴った、人間なら誰しもが持っているだろう性質に触れたコラム本だ。「じゃないですか」を使って個人の欲望を見せないようにする若者、広告の音ではない騒がしさ、なんでもかんでも使われるデジタルの持つ危険性など、シンプルで分かりやすいコラムの数々に首肯が止まらない。

「笑うふたり 語る名人、聞く達人」(中公文庫)
笑うふたり―語る名人、聞く達人 高田文夫対談集 (中公文庫)笑うふたり―語る名人、聞く達人 高田文夫対談集 (中公文庫)
(2001/09)
高田 文夫

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関東の演芸界では一目置かれている存在らしい放送作家、高田文夫の対談集。伊東四朗、立川談志、萩本欽一、三木のり平、青島幸男、谷啓……などなど、日本のテレビ演芸史における最重要人物たちが、それぞれの出自を語っている。資料としても素晴らしいが、彼らが話すエピソードがいちいち笑えて純粋に楽しい。演舞場へ忍び込む学生時代の伊東四朗、ハト小屋から町の人々を観察していた少年時代の谷啓……うん、実にいい。

「本棚探偵の冒険」(双葉文庫)
本棚探偵の冒険 (双葉文庫)本棚探偵の冒険 (双葉文庫)
(2005/01)
喜国 雅彦

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本棚探偵……と書くと、なにやら大層な推理小説であるように見えるが、その正体はギャグ漫画家・喜国雅彦が趣味である古書集めについて書いたエッセイ本である。ただ、その内容は単なるエッセイに収まらない。時に乱歩邸に突入してその貴重な古書の数々に思わず本の餓鬼となり、時にデパートの古本市でキチ×イの目となり、時に既に持っている文庫本の“表紙違い”を探して古書店を駆け抜ける姿は、まさにマニアの鑑である。同郷で同様にコレクターをやっている者としては、とても他人事とは思えない。そのうち、僕の部屋もDVDで足の踏み場が無くなってしまうのではないか……。

「封印作品の謎」(だいわ文庫)
封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)
(2007/05)
安藤 健二

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とある事情によって世に出すことが出来なくなってしまった作品、いわゆる“封印作品”の実情を追ったルポルタージュ。ただ、その内容は“封印作品”の周辺をただ辿るものではなく、どちらかといえば、それらを取材する安藤健二自身を主人公とした一つのドラマであるといえる。そんな安藤氏自身もとある封印作品に関わっており、本書ではその封印作品にも切り込んでいる。このところ世に出回っている、ただただ封印作品を取り上げているだけのカタログ本とは明らかに一線を画した、骨太な一冊だ。

「煮ても焼いてもうまい人」(文庫)
煮ても焼いてもうまい人 (エイ文庫)煮ても焼いてもうまい人 (エイ文庫)
(2004/05)
立川 談四楼

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落語家、立川談志には様々な弟子がいる。特に有名なところでいうと、「ためしてガッテン」の司会者として知られる立川志の輔、「赤めだか」を出版した立川談春、シネマ落語で注目されている立川志らくあたり。そんな面々の中に小説家が紛れ込んでいることは、あまり知られていない。本書は、小説家としても活動している立川談四楼によるコラム本だ。たった二ページの中に綴られるそれらのコラムは、シンプルだが深みがあって読みごたえ十分。断片的に語られる落語家ならではのエピソードには、時にニヤニヤ、時にハラハラさせられた。

「男気万字固め」(幻冬舎文庫)
男気万字固め (幻冬舎文庫)男気万字固め (幻冬舎文庫)
(2007/02)
吉田 豪

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タイトルから思わず「男とはなんぞや?」ということを訴えているかのような印象を与えられるが、決してそういう内容の本ではない。本書はプロインタビュアーである吉田豪が、自身が愛してやまない男たちのエピソードを徹底的に掘り下げたインタビュー本だ。あくまでも対談本ではない。その対談の相手は山城新伍、ガッツ石松、張本勲、小林亜星、さいとうたかを、本宮ひろ志、乙武洋匡と著名人ばかりだが、各々かなりブッちゃけている。テンションも高いし密度も高い!

「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ」(ちくま文庫)
ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (ちくま文庫)ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (ちくま文庫)
(2009/09/09)
ブルボン小林

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コラムニストであり実は小説家でもあるブルボン小林が、これまでに様々な場所で綴ってきたテレビゲームに関するコラムをまとめた本。ゲームのコラムというと専門的でマニアックな話ばかりが飛び出すんじゃないか、などと思われるかもしれないが、その内容は決して難解ではなく、むしろ分かりやすい。例えば、本書においてブルボンは「かつてゲームは観光だった」と推測している。これは、幼いころの自分がシューティングゲームに熱中していたのは、その先にある光景を目にしたかった(=観光したかった)からだという認識によるものだ。そんな視点でゲームを語った本が、過去に存在していただろうか!テレビゲームに対して多角的な見方が出来るようになる一冊だ。

・「完本・突飛な芸人伝」(河出文庫)
完本・突飛な芸人伝 (河出文庫)完本・突飛な芸人伝 (河出文庫)
(2006/03/04)
吉川 潮

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芸人からイメージされるものは人それぞれに違っている。僕などはネタを特に重視しているため、芸人といえばとにかくネタなのだが、世間にはその生き方に芸人としての姿を見る人も少なくないようだ。本書では、演芸小説家として知られている吉川潮が、様々な芸人の芸人ならではの生きざまをまとめている。取りあげられている芸人は、林家木久蔵(現・木久扇)、ヨネスケ、石倉三郎、正司敏江、桂小枝、林家正楽、坂田利夫など、テレビでもたまに見かけることのある芸人たちが主だ。表面的に芸人としての側面だけを見ていると決して見えてこないだろう彼らの深淵の部分は、ちょっと濃厚で面白い。個人的には、「探偵ナイトスクープ」の探偵としてお馴染みの桂小枝の前衛的な芸風に衝撃を受けた。一度でいいから、観てみたい。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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