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『怪盗グルーと月泥棒』

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先日の日曜日、映画館へとフルCGアニメーション映画『怪盗グルーの月泥棒』を観に出掛けた。てっきりドリームワークスか20世紀フォックスによる映画だと思っていたのだが、制作はユニバーサル・ピクチャーズだという。ピクサースタジオ以外の制作会社が手掛けるアニメーション映画は、どうも似たりよったりでいけない。無論、こちらが勘違いしていたことが、そもそも良くなかったのだが。

『怪盗グルーの月泥棒』のストーリーをおおまかに説明すると、こうだ。ある日、エジプトのピラミッドが何者かの手によって盗まれてしまう。世間ではこれを「世紀の大犯罪」として、大きな話題となった。それを面白くないと感じていたのが、これまでに様々なモノを盗んできた怪盗グルーである。だが、グルーには、密かに進行している壮大な作戦があった。その作戦とは、月を盗むことだ。夜空に輝く月を盗めば、世界中の人が困惑し、政府から多額の金を巻き上げることが出来るだろう。早速、グルーは計画を実行しようとするが……。

『怪盗グルーの月泥棒』というタイトルを見た人の多くは、この作品を怪盗モノと思っているのではないだろうかと思う。しかし、それは大きな間違いだ。この作品で描かれていることはおおまかに二点。一つは、グルーがとある作戦のために孤児院から連れてきた三姉妹とコミュニケーションを取ることで、少しずつ人としての心を取り戻していくヒューマンドラマ。もう一つは、とある一件がきっかけでグルーの邪魔をするようになった怪盗ベクターとの攻防戦。つまり、この作品では怪盗としてのグルーの姿は、そんなに注目されていない。一度、ベクター邸に、ある物を盗むために侵入している程度だ。ストーリーの展開だけを見るなら、別に怪盗じゃなくても良かったような気がする。……まあ、この辺りのことは、それほど重要なことではない。考えてもみれば、どんな作品だってそういう一面を持っているものだ。

それよりも問題なのは、この作品の全体的な浅さだ。いや、浅いこと自体は、それほど問題ではない。ただ残念なのは、その浅さをあえて露呈してしまうような表現が、幾つか見られた点だ。例えば、グルーが悪の銀行員バーキンス氏から突き放されて、かつて母親に突き放されていた自身の記憶を呼び覚ましてしまうシーンがある。こんなシーンを見せられたら、普通の観客ならば「あ、今後そういう母親に認めてもらえるシーンがあるんだな」と考えるだろう。確かに、そういうシーンはある。あるにはあるが、はっきり言って必要無い。というのも、そのシーンが出るより前に、グルーが母親とごく当たり前に会話しているシーンがあったからだ。別に母親と距離があるわけでもない男を、「かつて母親に突き放されていた過去が……」という風に盛り上げられても困るというものだ。また、ベクターがバーキンス氏ととある関係にあるというシーンも出てくるのだが、これに至っては回収すらされていない。その関係を描くのであれば、あのラストシーンでベクターが大変なことになっている状況を受けて、バーキンス氏が何かしらかの行動に出ていることを示すシーンが必要な筈だ。なのに、それが無い。

これらの不必要な要素を省いて、ただ「月泥棒計画実行への道」「三姉妹との打ち解け」をストレートに描いた作品にしていれば、この映画は間違いなく傑作になっていたことだろう。なのに、それが出来なかった。鑑賞中に色々と引っ掛かる要素を掛け合わせて、無理やり奥の深い映画に仕立て上げようとしたようだが、はっきり言って逆効果だ。むしろ、作品としての質を落としてしまったのではないだろうか。

ただ、それらの至らない点を除けば、それなりに面白い映画だったのではないかと思う。あえて“怪盗”という古典的なテーマを掲げている点には好感が持てるし、キャラクターたちはいずれも魅力的だ。相手を氷づけにしてしまう銃や近未来的な飛行機などの小道具も良かった。特に、砲弾を改造して、三姉妹を寝かせるためのベッドにしてしまったのは笑えた。そういう遊び心に富んだ作品だったことは間違いない。ただ、やっぱり細かいところの配慮が足りない。ピクサーだったら同じテーマでもっと……ぶつぶつ。

最後に、誰もが気にしているだろう日本語版声優について。多くのメディアで報道されていたから知っている人も多いと思うが、今作の主人公であるグルーを演じているのは、あの笑福亭鶴瓶氏だ。あの個性的な声は、果たしてアニメーションのキャラクターに合うのか……いや、合うわけがない。当人はそれなりに気を使っていたのかもしれないが、鶴瓶の声はどう足掻いたところで鶴瓶である。中年体型だがシュッとしている、一見すると紳士に見えなくもないグルーには、とてもじゃないが合わない。もっと渋くて、ちょっと色気のある声の人が良かったのではないかと、個人的には思うのだが。某ライオンキングの某スカーの声やっていた人とか。鶴瓶師匠以外の声優は特に問題無し。かつてのこども店長ばりにプッシュされている芦田愛菜も、非常に無難ないい仕事をしていた。

いわゆる子ども向けのエンターテイメント映画としてはそれなりに面白かったが、ところどころで余計な仕事をしてしまっていた点が引っ掛かる、そんな映画だった。ただ、観るのであれば、DVDになってから観るよりも、映画館で観ることをお薦めしたい。僕が座っていた席が良かったのか、3Dがとてつもなく浮き出ていて楽しかったからだ。あれは観ておいた方がいいかもしれない。
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No title

トイ・ストーリー3は見ましたか。こっちも感想聞きたいですね。

No title

観ましたです。
世間的な評価は高い作品ですけど、僕の中ではそんな…なんですよね。
シリーズ好きとしては、大半のキャラを処分しちゃったのがどうにもこうにも!
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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