スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『SWAのCD 2006-夏休み-』『SWAのCD 2007-明日の朝焼け-』

SWAのCD 2006 -夏休み-SWAのCD 2006 -夏休み-
(2010/09/22)
SWA(林家彦いち 三遊亭白鳥 春風亭昇太 柳家喬太郎)、三遊亭白鳥 他

商品詳細を見る

SWAのCD 2007 -明日の朝焼け-SWAのCD 2007 -明日の朝焼け-
(2010/09/22)
SWA(林家彦いち 三遊亭白鳥 春風亭昇太 柳家喬太郎)

商品詳細を見る

落語といえば、江戸時代が舞台の古めかしい話というイメージがあるが、何もそういった話ばかりではない。中には、現代の日本を舞台とした、今を感じさせられる落語も存在する。創作落語というヤツだ。古い時代から存在している古典落語とは違い、創作落語は現代を生きる落語家によって作られている。だから、古くない。常に、新しい。自然な言葉で綴られる創作落語は、落語に対する固定概念を覆す程の刺激と新鮮味に満ちている。

そんな「創作落語」というジャンルにこだわり続けている集団が、SWA(創作話芸アソシエーション)である。林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎の四人によって構成されているこのユニットは、常に落語の新しい楽しさ・面白さを追求し続けている。その活動は時折、形として残っている。2006年1月には、小説家・夢枕漠を席亭として迎えた創作落語本「楽語・すばる寄席」を出版(2010年3月に文庫化)。また、2009年4月には、SWAによる落語会の様子を収録したDVD「SWAのDVD」をリリース。彼らの活動はとてもゆっくりと、しかし確実に評価されていった。

そして2010年9月、彼らの活動が遂にCDとなった。DVDではなくCDとしてリリースされたことに不満を覚える人もいるかもしれないが、客の想像力を多分に要求される落語においては、どちらがより優れているということはない。今回CD化されたのは、2006年8月に行われた落語会と、2008年9月に行われた落語会の模様。なんと、二作同時リリースである。前者では全員が「夏休み」をテーマにそれぞれ創作落語を持ち寄り、後者では一人の男性の半生が四本の創作落語で演じられている。後者の様に、演者全員の噺が一つのストーリーを紡いでいる構成を、彼らは“ブレンドストーリー”と呼んでいる。こういう構成の落語会を行うところも、また新しい。

まずは前者「SWAのCD 2006-夏休み-」から。夏休みを堪能しそびれた中学生の苦悶を演じた昇太『罪な夏』。国際的に活動している怪盗が古典落語の世界観に迷い込む白鳥『明日に向かって開け』。タイ人のムアンチャイがボクシングのトレーナーを目指す彦いち『掛け声指南』。おじいちゃんの家を訪れる少年が大人の世界に触れる喬太郎『八月下旬』。全員が同じ「夏休み」というテーマを提示されていながら、それぞれまったく違った世界観の噺を展開している。中でも白鳥『明日に向かって開け』は、殆どテーマを無視したような内容で色々とブッ飛んでいた。正直、「SWAのDVD」で初めて白鳥師匠の落語を観たときはそれほど上手くないと感じていたのだが、今回のCDの中では最も印象に残る噺を演じていた様に思う。この後、白鳥師の落語は何本か聴いてみたが、どれも似たような世界観だった。実に好み。

続いて後者「SWAのCD 2007-明日の朝焼け-」。たかし少年が社会人となり、リストラ候補となり、還暦を迎えるまでの行程が落語で演じられている。少年時代のたかしを演じたのは白鳥。ヘビ女と呼ばれる親戚のおばさんに恋の相談をする『恋するヘビ女』で、懐かしさ漂う田舎臭さとバカバカしさが混在する噺を展開した。社会人のたかしを演じたのは昇太。新商品のお酒につけるキャッチコピーを考えるために、冷え切った夫婦の関係をあえて築いてみることに挑戦する愚直なたかしを描いた。それで演目が『夫婦に乾杯』というのも、なにやら皮肉が利いている。リストラ候補に挙がったたかしを演じたのは彦いち。我を押し通すことの出来ないひ弱な中年が、奇妙な世界へと吸い込まれてしまうファンタジー落語『臼親父』を味わい深く見せた。そしてトリ、還暦のたかしを演じたのは喬太郎。家を飛び出して友人と会社酒場で盛り上がる姿を、哀愁を匂わせつつ演じ切った。『明日に架ける橋』という名の通り、希望を感じさせるエンディングだ。

「SWAのCD」二作を通して鑑賞して思ったのは、柳家喬太郎師匠が異常に大人しいということ。大人しいというより、無茶していないというべきだろうか。面白いのだけれど、なんだか物足りない。喬太郎師といえば、女に翻弄される男の哀愁を描いた噺から、徹底的にバカバカしくて下らない噺まで、実に多種多様な噺を生み出せる技巧派。落語家としての能力も高く、その技術は恐らくSWAで一番……だが、それ故に、彼ならではの面白さが技術に隠れてしまった様な気もする。自分の言葉で笑わせる昇太師匠や、技術力はそんなでもないけれど自己の世界を構築している白鳥師匠は、面白かったしね。彦いち師匠は……まだちょっと、分からない。硬派な感覚は掴めているんだけれど、もうちょっと時間が必要か。『臼親父』、好きだけどね。

そして、来たる2011年3月9日。「SWAのDVD2」のリリースが決定した。前作は「明日の朝焼け」と同様にブレンドストーリーの構成を取っていたが、今度は“古典アフター”と称し、有名な古典落語のその後のストーリーを演じるのだという。彼らの落語に対する挑戦は、まだまだ終わらない。
スポンサーサイト

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

-

管理人の承認後に表示されます

コメントの投稿

非公開コメント

SWAのキョン師匠

SWAでの喬太郎師匠が大人しく感じられる理由は、
「まだ噺がこなれてないから」だと思います。

キョン師は、新作を作る時、細かく台本は書かないそうです。
設定・内容・荒筋をおおまかにきめて、何度も口座にかけて噺をつくっていくそうです。
(なので、他人が書いた脚本で演る場合は、つまらなくなる確率、UP)

つまり、まだこなれてないネタがCDになってる、と。

片や、白鳥師や昇太師は新作ネタおろしでも充分爆発力を発揮されます。

てな具合でいかがでしょう?

No title

おーっ、なるほどなるほど。
確かにネタ下ろしという解説はありました。
そこんところを無視しちゃいけませんでしたね。
ただ、それを踏まえても、ちょっと大人過ぎる気はしますね。普段の噺と比べると。
…あ、これはフォーマットの部分についての話ですよ。基盤の部分。
とはいえ、その理由でひとまずガッテンさせていただきます。

あ、ちなみに喬太郎師の「アナザーサイド」(他人が書いた話をアレンジした落語集)は好きだったりします。ほほい。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。