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「R-1ぐらんぷり2011」決勝感想文

■一回戦第一試合
キャプテン渡辺
「漫談をするよ!」という宣言の元、友達から金を借りるクズあるあるを披露する。金を借りることだけに集中するという、本来ならば別のところに向けられるべき努力の様子が実に情けなくてバカバカしい。とはいえ、そこには金が絡んでいるだけの悲喜こもごもも、決して無いわけではない筈だ。それをキャプテン渡辺は、その堂々たる態度と張った声で見事に掻き消す。行動のバカバカしさだけを拾い上げて、その情けなさと、行動の不条理さを前面に押し出していた。途中、クズである自分にお金を借りに来た猛者がいた、という方向に転換したのも上手い。

COWCOW山田興志
フジテレビアナウンス学院で早口言葉。山田は過去に三度の決勝進出を果たしている、今大会唯一の決勝進出経験者だ。過去の決勝戦で彼が披露したネタは、いずれもスケッチブックネタである。それらは全て山田ならではのほのぼのとしたセンスと芸能・テレビネタに彩られており、はっきり言って斬新とはいえない。そんな彼のネタが最も評価されている点は、フォーマットの斬新さだ。スケッチブック芸という完成されたフォーマットに山田は改良を加え、これまでに見たことのない手法を見せ続けてきた。今回、山田はスケッチブックを五分割し、そこに早口言葉の情景を描き込んだ。そして、それらのイラストを縦に並べ、上から順に“早口言葉の難易度の高さ・低さ”と称した。言ってみれば、言葉の語呂を用いた五コマ漫画を、スケッチブックで表現したのである。……もはや、スケッチブックの範疇を越えている気もするが。内容に関しては、例年通りの山田興志である。だが、常に同じ程度のセンスを盛り続けられる安定感は、もうちょっと評価されても良いような気もする。

■一回戦第二試合
AMEMIYA
「冷やし中華はじめました」。中華料理屋で見かける“冷やし中華はじめました”の張り紙から、店の親父の背景を勝手に想像して一曲歌い上げる。親父の妙に生々しいドラマチックな人生の一場面を歌うも、最終的に「冷やし中華はじめました」というフレーズに落とし込むという強引さがたまらない。また、オチの手前で、メッセージ性の強いタイプの歌手が歌いそうな歌詞を放り込むことで、ちょっと不条理な笑いを生み出していたのも効果的だった。ネタのフォーマット自体は、バカリズムの『トツギーノ』に似ている。

バッファロー吾郎 木村
「輝け!全日本ベストセレクション大賞」。日本レコード大賞などの大きめの賞の表彰式を彷彿とさせる舞台で、様々なモノに賞を与える。進行役の机やモニターなど、やたらと気合の入った舞台美術に少し引いてしまう。R-1に限らず、こういったお笑い系の賞レースで、明らかに本人以外の人間が手を加えたようなガッチリとした小道具は、どうも賞レースの範疇を越えてしまっている様に見えるからだ。……とはいえ、木村が披露したネタは、徹底的にリアリティを追求しているからこそ面白いネタなので、仕方が無いような気もする。ネタ自体は、木村のエッセンスが殆ど感じられないスカシネタ。ただ、流行語大賞のくだりで候補として挙がっていた言葉から、木村のエッセンスが垣間見えた気もする。

■一回戦第三試合
ナオユキ
「夜道を一人、歩いて帰る」。帰り道で見かけた物を見て、ふと思い出したことを語る。漫談ということなのだろうが、コント的であるような気もする。去年、一昨年とサバイバルステージで観たネタに比べて、ちょっとテンポが速い。去年、ゆったりとしたスピードでネタを披露した結果、サバイバルステージ出場者中最下位になってしまったことを考慮しているのだろう。ネタの内容はオーソドックス、むしろ古典的と言ってもいい。表面的な言葉の裏をかく、非常に捻くれたスタイル。そこに新しさは無いが、骨太で充実した芸を観たという心地良さが残った。

スリムクラブ真栄田
コント「世紀末」。世紀末に、どうにかして人からガソリンを分けてもらおうとする男の姿を演じる。“世紀末”という想定外のシチュエーションに、何を考えているのか分からない危ういキャラクターが、美しく噛み合っている。言動の不条理さもたまらない。非常に面白かった……のだが、M-1グランプリ2010でコンビ“スリムクラブ”として披露していたネタの面白さが強く印象に残っているせいか、もっと面白いネタが出来たのではないかという疑念も残る。正直、今大会の視聴直後、僕が唯一不満を抱いたのは、ナオユキではなく彼が二回戦に勝ち上がったことだった。今思うと、納得できないこともない。

■一回戦第四試合
佐久間一行
「井戸のお化け」。重苦しいナレーションとBGMによって紹介される、中からお化けが出てくるという井戸。ところが、その井戸の中から出てきたのは……。井戸からお化けが出てくるのではなく井戸自体がお化けだというスカシの後は、ただひたすらに不条理で無意味な世界が繰り広げられる。これだけブッ飛んだネタなのに、きちんと観客を引き込んでいることの凄さ。「システム♪」「オレっさ♪」など、やけに頭から離れない言葉も飛び出し、これまでの流れを変えてみせた。ナオユキ、スリムクラブ真栄田と、少しスローテンポで静かな芸風のネタが続いた後だったことも、大きい。

ヒューマン中村
「しょぼくしていこう」。最初に提示される言葉から想定される状況を、三段階に分けてしょぼく(スケールダウン)していく。基本軸となっているのは“あるあるネタ”なのだが、単なるあるあるネタとは一味違う。最初のあるあるネタは、ドラマチックなフィクション要素の強いあるある。二本目のあるあるネタは、日常におけるちょっと刺激的なあるある。最後のあるあるネタは、完全に日常のあるある。この三種類のあるあるネタを、きちんとした構成で披露することによって、あるあるネタ特有の散漫とした印象を見事に打ち消している。対戦相手が佐久間でなければ、二回戦に勝ち上がっていたのではないかと。ところで、彼のネタを観ていて、ふと中山功太を彷彿としたのは僕だけだろうか。
 
■二回戦第一試合
COWCOW山田興志
富良野アナウンサー学院で早口言葉。一回戦で披露したネタに、更に山田の十八番である『北の国から』ネタを被せる。フォーマットもプロセスも一回戦と殆ど変わらないが、一回戦のネタを使った天丼(忘れた頃にもう一度先のネタを利用する手法)を用いるという、技術を見せる。……いや、技術というよりも、苦し紛れというべきかもしれない。もしも決勝戦に進出していたとしたら、彼はどんなネタを披露していたのだろうか。ちょっとだけ、気になる。

AMEMIYA
「Tokyo Walkerに載りました!」。洋食屋の前に貼ってある“Tokyo Walkerに載りました!”という貼り紙から、店主の人生を想像して歌にする。基本的な流れは一回戦と同じだが、途中で歌詞を英語にしてみせていたり、先程は強引に落とし込むだけの存在でしかなかった貼り紙が歌詞の内容に関わってきたり、貼り紙とは無関係なオチが急に飛び出してきたりと、明らかに一回戦よりも密度の高いネタになっていた。ともに一回戦と同じフォーマットのネタを披露しながら、先のネタをフリにしたネタを披露した山田興志と、先のネタよりもクオリティの高いネタを演じたAMEMIYA、それぞれ明暗が分かれる結果となった。

■二回戦第一試合
スリムクラブ真栄田
コント「電車で向かいの席に座られたら困る男」。一回戦と同様、不条理なキャラクターで勝負に出ているが、シチュエーションがありきたりで世界に入り込みにくい。まったくのフィクションであれば、まだ笑えるのだが。先のネタに比べ、ツッコミ役の不在が明らかにマイナスとなっていることが分かるネタ。失礼な言い方になるが、この時点で佐久間の勝利は確信してしまった。

佐久間一行
「こんなことあるよね」。原始人を思わせる衣装に身を包んだ男が、スケッチブック片手に「こんなことあるよね」とあるあるネタを異国語で披露する。某有名猫型ロボットが出てくるくだりを除けば、ほぼ全てのネタがベタ。だからこそ、骨太で笑える芸として仕上がっている。あえてのベタではなく、ベタの面白さをきちんと理解しているからこそ出来るベタだ。スリムクラブ真栄田が不条理なセンスを振り撒いた後という状況も、少なからずプラスに働いたのでは。順番って大事だ。

■決勝戦
AMEMIYA
「この売り場から一等がでました!」。宝くじ売り場の店頭に貼ってある“この売り場から一等がでました!”という言葉から、売り場のおばちゃんの人生を想像して歌にする。基本的なフォーマットは一回戦・二回戦と同様。歌っている最中に感極まって泣いてしまうという演出を取っていたが、歌詞の内容が重すぎて逆効果に。「ダメ元でパンティを売りに行く」「ウサギの耳をつけて夜の店に出る」などのフレーズも、いよいよ某金融漫画を読んでいるような転落ぶりを想像させ、上手く笑いに繋がっていなかったような。なにより、宝くじ売り場と殆ど関係無い歌詞になっていたことが、良くなかったように思う。先の二本との差別化を図ろうとしたのだろうが……。

佐久間一行
コント「中学校の休み時間」。休み時間に幼虫の気持ち悪さを力説する。「爆笑オンエアバトル」で観ていた佐久間のコントに近いスタイルのネタで、鑑賞中は妙に懐かしい気分になった。あっちこっちに話題が飛んでいる様に見せかけて、“幼虫の腹の部分は気持ち悪い”という主軸からは一貫してブレていないところが素晴らしい。……妙な主軸だね、どうも。笑いの量でいうと前二本の方が圧倒的に多いのだが、形作られたフォーマットから解き放たれ、本当に自分のやりたいことをやっているという爽快感が尋常ではなく、それがよりネタを輝かせていた様な印象。ダウナーなネタを見せたAMEMIYAの後での、この爽快感は効果的。納得の優勝といえるだろう。

■総評
例年、面白いピン芸人たちを集めておきながら、今一つ盛り上がりに欠けていたR-1ぐらんぷり。これまで、審査員が良くないのではないか、審査方式に問題があるのではないか、などの様々な議論を醸してきた。しかし今回は、きちんと笑えたという点も含めて、非常に合点のいく大会となったのではないだろうか。未知なる若手との遭遇、実力者たちの意外な側面、常連の更なる進化、そして無冠の王の誕生。ゴールデンタイムの放送に相応しいドラマ性とエンターテイメント性が、芸人たちの職人としての気質と上手く融合した大会だったと断言してもいいだろう。……流石に誉めすぎか。しかしまあ、いい大会だった。

あえて語るとするなら、今大会で導入されたトーナメント制度だろうか。他の芸人たちと一対一の真剣勝負を繰り広げるという、観ている側としては非常に熱くなれた今回の制度だが、一方で最高三本のネタを披露しなくてはならないという芸人側の負担も気にかかった。特にAMEMIYAを見ていて、そう思った。もし、今回の大会で、披露しなくてはならないネタが二本だったとしたら、優勝者は違っていたのかもしれない。芸人の負担を考えるならば、キングオブコント2008の様なルールにしたほうが良いのかもしれないが、そうなると盛り上がりに欠けるような気もする。この辺りの塩梅が、実に難しい。

何にせよ、来年もこれくらい盛り上がる大会になればいいね。うん。
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非公開コメント

No title

なんで板尾さんはちょっと怒ってたんですかね

twitter見ました~
例のブログの女性にもっと言ってやって下さい!あの人、イタ過ぎますよね笑
たぶん更年期なのかな?頭悪いしレベル低いから大嫌いです笑
みんな菅谷さんの味方なのでバッサバッサ斬って下さい。応援してます!

あと特典映像の粒に納得でした!
ノンスタの特典はほんとレベル高いですよね~。
他のDVDはわからないですけど見てみたいです!

No title

>18時台の名無しさん
板尾さん怒ってましたっけ?
ちょっとそれは気付きませんでしたねえ。

>19時台の名無しさん
やめて!なんか色んな意味でこわいから!
ノンスタは良いです。

コメ返しありがとうございます。
あんな頭のおかしい女、気にすることないですよ、嫌われてるんですから~笑

あんな悪口ばっかり言う人、ほんと最低ですよね。
菅谷さんはそんなことないし見る目あるから応援してます笑

あと自分は悪口書くのに批判的な意見は嫌がるのとか、公平じゃないですよね。
前にあの女が的外れな悪口ばっかり書いてたから意見したらコメ削除されたことがあります
そういうブロガーは程度が低いな~っと思います。
ついつい熱くなってしまいました笑がこれからもがんばって下さい。

No title

スリムクラブ真栄田に「お誕生日会でやってください」みたいなことを真顔でいってたので

No title

コメント初めて失礼させて頂きます。
審査方法がトーナメント方式になると聞いて、最初は「決勝のメンツのレベルが上がって良いかも」と思っていましたが(少なくともいつかのキャプテン☆ボンバーのような人選は無くなるとw)実際見てみると最終決戦にいくに連れてネタが薄まっていくのを感じ、番組の盛り上がり的にどうなんだろうと思いました。なんか来年も審査システム変わってそうな気がしますw

あとヒューマン中村≒中山功太説は各所で目にしましたよ。

No title

僕も中山功太を思い出しました!

○○ちゃう?などの関西弁も含め、雰囲気も似てたからです。

No title

>名無しさん
まあ、そこスルーさせてもらいますけども。

>18時台の名無しさん
板尾さんって、そういうネタをする人ですからねえ。
でも、少なからず的を射たコメントだったのでは、と。

>aries7さん
何かしらかの改良は必要でしょうね。
もうちょっと芸人さんの負担を軽くしないと…。
あと、やっぱり似ていると思った人、いるんですねえ。
今後どのような変化が生じるが、楽しみです。

>オンバト大好きさん
関西弁だったのは大きいですよね。

えっなんで無視するんですか?
味方なのに…

コメしてから気付きました。同意するとあの女が粘着してくるからできないんですね笑
お気持ちはわかります。困らせてしまってごめんなさい。がんばって下さい!

No title

トーナメントで1対1、審査員がつけるのは3点の振り分けだけっていうルールは文句は出づらいものだなと思いました。今回いつものR-1や賞レースに比べると圧倒的に結果への批判が少ない感じします。

ただ3本となるとどうしても色々なタイプのネタをやってる人が有利っていうのはありましたね。去年のルールならAMEMIYAが優勝してたように思いますし。
その辺来年毎年おなじみのてこ入れですねw

私は佐久間を応援してたので素直に嬉しいです。今日見た「いいとも」では若干すべってたけど(笑)

でもやっぱりネタ三回は芸人達が大変そうですね。正直決勝が一番面白くなかったなぁ…

AMEMIYAが泣き出した時、放送事故かと思いました(笑)

No title

>toshiaki080808さん
確かに、審査員に苦情の出辛いシステムかもですね。
逆に言うと、審査員の印象が残りにくいシステムとも言えますがw
来年もルールを変えるとなると、もういよいよ賞レースとして威厳が無い感じに…。

>ぢょあんさん
「いいとも」だとスベりそうですねえ。
最近ちょっとあの番組、空気が妙ですし。
AMEMIYAが泣き始めたところは、ちょっと無理がありましたね。
ネタ自体のクオリティが高ければ、或いは…。

No title

今回のR-1は、勝敗がかなり決め易かったように感じますね。
もし、去年のシステムだったのなら、
佐久間の「こんなことあるよね」と、AMEMIYAの「東京ウォーカーに載りました」を比べないといけませんし・・・。私はこの2つはほぼ互角に戦えると思えますね。
本当に、AMEMIYAの2本目と佐久間の2本目がぶつかったらどうなってたんでしょうね。。。

No title

ああ、その二本で比較すると厳しい!
どっちも優勝に相応しいクオリティだったと思うので、
それだとどういう結果になったとしても、物議を醸していたかもしれませんね。
そういうのを妄想するのも、また一興といったところですが。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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