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「THE MANZAI」に思うコト

「THE MANZAI」という大会が開催されるらしい。

「THE MANZAI」といえば、かつて1980年代に漫才ブームを巻き起こしたセンセーショナルな番組として知られているが、これはそれとは別モノだそう。なんでも、最も面白い漫才師を決定するために行われる大会なのだという。審査委員長を務めるのは、当時の漫才ブームで注目を集めた島田紳助。大会は先に予選を行い、“認定漫才師”に選ばれた50組が全国5会場で行われる全国サーキットに登場、12月にテレビで生放送される決勝大会で優勝者を決めるという。

察しの良い人、或いはそれほど察しの良くない人でも、既に気付いているんじゃないかと思うが、これは要するに「M-1グランプリ」の後継に当たる企画の様だ。いや、考えてもみると、ルールは異なるが、全国規模の漫才大会でしかも審査委員長には島田紳助となると、誰だってそういう結論に至るだろう。ただ、現時点では、「THE MANZAI」がM-1を後継する大会だという発表はなされていない。まあ、そもそもの放送局が違うので(「M-1」は朝日放送、「THE MANZAI」はフジテレビ)、恐らく明確な発表が行われることはないだろう。

そして、この件を見ていて、ふとM-1グランプリの終了を発表した際の吉本興業による声明を思い出した。「この大会を通じて、漫才がすみずみまで広まった。10年の節目をもって発展的解消することが次につながる」。これは即ち、「THE MANZAI」が単なる「M-1グランプリ」の後継的大会ではなく、その次の段階へ向かうための大会だということを示唆しているのではないだろうか。

思えば「M-1グランプリ」は、斬新なフォーマットの漫才師を強く評価していた記憶がある。当時の僕はそれを単なる話題作りとして捉えていたが、もしかしたらあれは漫才という手法の幅広さを視聴者に知ってもらうためだったのではないだろうか。そして今、確かに僕らは漫才の多様な可能性を知っている。「THE MANZAI」は選抜された漫才師50組で全国5会場を回るというが、これはもしかしたら予選の体を成した漫才興行なのではないだろうか。即ち、テレビで漫才の多様性を知ってもらった次の段階として、今度はナマの漫才を楽しんでもらうための大規模なライブツアーの名目として、または宣伝として、この「THE MANZAI」が作られたのではないだろうか。

かつて、紳助は“漫才への恩返し”という意味合いで、「M-1グランプリ」を開催したと語っていた。そして、それはM-1の終了とともに達成されたものだと思われた。しかし、先の様に思案してみると、どうも彼の漫才への恩返しはまだ終わっていないように思える。これは漫才を日常へ返すための戦いなのだ。「漫才をもう一度!」というシュプレヒコールはまだ、止まりそうにない。
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No title

芸歴不問の漫才大会と聞いて思い浮かんだのはストリーク、シャンプーハットといった西の漫才師でした。この辺の漫才師の漫才はもっと全国に知られるべきだと思うのです。

No title

ちょっと前なら、そこにビッキーズの名前もありましたよねえ…。
関西の売れ損なった漫才師たち、これを機に奮起してもらいたいものです。
無論、関東の漫才師たちも!三拍子!流れ星!磁石!うほー!
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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