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『U字工事の北関東オンリーワン』

U字工事の北関東オンリーワン [DVD]U字工事の北関東オンリーワン [DVD]
(2011/04/22)
U字工事

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“キャラ芸人”と呼ばれている人たちがいる。独自のキャラクターに扮し、ネタを披露する芸人たちのことだ。彼らはそれぞれ、そのキャラクターに適した独特のスタイルを築いてきたスキマ産業的な芸人であり、その笑いは他に類を見ない。……そう考えると、彼らはもうちょっと評価されるべき対象の様な気もするのだが、どうも“キャラ芸人”という言葉は、あまりポジティブな意味で使われていない。

その原因は、彼らの芸人としての脆弱さにある。彼らは自らのキャラクターのために作られたスタイルの中では無敵と言っても過言ではないが、一度そこから追い出されると、まるで借りてきた猫の様に大人しくなってしまう。というのも、彼らのキャラクターは基本的に彼ら自身によって作られた台本の上でのみ成立するもので、突然のアドリブなどに上手く対応するための策が練られていないことが多いからだ。キャラクターを超越した変人である春日俊彰(オードリー)や、強烈過ぎて他者をも世界観に巻き込んでいく鳥居みゆきの様な例は、実に稀であるといえるだろう。

で、U字工事だ。彼らは栃木県出身の漫才師である。以前は、その栃木訛りを利用して、田舎を舞台とした漫才コントを主に演じていたが、益子扮する“栃木に対して異常な愛情を持つ男”が中心となったしゃべくり漫才が評価されてからは、栃木愛に満ちたコンビとして知られるようになっていった。2008年にはM-1グランプリの決勝戦へと進出を果たし、総合で9組中5位というまずまずの結果を残した。どっからどう見ても純然たる漫才師であるU字工事だが、栃木という枠の中で輝いている彼らもまた、 “キャラ芸人”としての側面を兼ね備えている。いずれ、その枠から脱却しなくてはならない日も来るだろうが、それは果たしていつのことなのか?

本作『U字工事の北関東オンリーワン』のトリを飾っている漫才『栃木愛』では、彼ら自身がそのことについて言及している。

福田「これからもね、40年50年と、栃木ネタで、漫才を続けていきたいなあって思うべ」
益子「ちょっと待てよ。いや、40年50年は分かるよ? 栃木ネタは続かねえぜ、40年50年も」
福田「どういうことだ?」
益子「10年ちょっとで息切れしてんのに、もうネタねえべ!」
福田「息切れとか言うな、単独ライブで!」
【略】
益子「あーあ、ビジネス栃木を演じるのはもう疲れた~」


ちなみにこの後、実は益子は福田の栃木愛を確認するために、栃木のことをくさしていたという流れになる。要するに、いつもと同じ流れなのだが……これが相変わらず面白い。益子の顔を栃木に例えてみたり、正月にはハワイに行きたいという福田の言葉を受けて「都会ンフルエンザ」などという造語を持ち出したり、ワイキキビーチは空想上の世界だと断言したり。……これらのネタは、もしかしたら彼らが栃木ネタを決して捨てないということの表明なのかもしれない。

もう一つ、キャラ芸人と呼ばれている人たちがあまり評価されていない理由に、そのキャラクターが徹底していないという点が挙げられる。先にも書いた様に、彼らのキャラクターは脆弱だ。他者がその世界観に介入すると、それだけで世界観が崩壊してしまうことも少なくない。それでも、自らの世界観を守り続け、ネタを深化し続ける芸人はいる。U字工事にとっての栃木もまた、その路線を進むことが出来るのだろうか? なかなかに修羅の道だと思うのだが……。

ところで本作だが、前作と同様に単独ライブDVDとしては些か弱い。漫才のクオリティは高いのだが、単独用に作られただろうコントがあまりにも弱すぎる。とはいえ、光明は見えた。「アメトーーク」でも話題となった町工場芸人であることに注目したコント『喫茶ファクトリー』や、演芸場でネタを披露していそうな中年夫婦漫才師を演じたコント『ゆう子こう次』などは、今後の展開に期待が持てそうなネタだったように思う。ただ、普通のコントをやると、本当に……うん。


・本編(73分)
「オープニングナレーション」「オープニングコント」「オープニングVTR」「漫才(東京生活)」「喫茶ファクトリー」「ゆう子こう次」「ストロベリー泥棒」「とちぎテレビ漫才」「花嫁の父の計画」「漫才(栃木愛)」「エンドロール」

・特典映像(62分)
「MEN’S NO-GYO」「MEN’S KO-GYO」「福田薫の漫画道場」「ミニドキュメント“ごめんね~ごめんね~”の生みの親、バイトの後輩・植木くんに会いに行こう in町工場」
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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