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「小枝のらくご」(松山・8月28日)

愛媛県松山市で行われた「小枝のらくご」を観に行ってきた。

今回の会場となったビビットホールは、テレビ愛媛が化しているホールだ。だから、なんとなく、さん太ホール(岡山での東京03単独公演が行われた会場。高級感溢れる雰囲気が特徴的)の様な場所を想像していたんだけれど、実際は小さなライブハウスに似ていた。客席もごく当たり前の椅子を並列させているだけで、なんだか文化祭のライブステージを彷彿とさせた。それはなんだか、とてもチープにも感じられたのだけれど、一方で、演者の動きや言葉をより近くに感じることが出来る空間作りにもなっていた。

最初に登場したのは、来年に桂文枝を襲名する桂三枝師匠の12番目の弟子に当たるという桂三四郎さん。2004年に入門、落語家としてはまだまだ芸歴が浅いという話だったけれども、べしゃりが達者で面白かった。フットボールアワーの後藤さんとピースの綾部さんを足して二で割った様な顔をしていて、なかなか華もある。いずれテレビに出てきて、活躍しそうな気が。演じたネタは『時うどん』。時を尋ねるふりをして精算を誤魔化す『時そば』の原型となったネタだ。兄貴と弟分のやり取りが少しばかりサディスティックで、上方落語ならではの朗らかな感じが薄まってしまっているのがちと寂しい。まだまだ発展途上、今後の展開に期待したい。

続いて登場したのは、同じく三枝師匠の弟子である桂三金さん。非常にボリュームある方で、見た目のインパクトがなかなか。ご自身では「船場吉兆の女将さん似」と言っていたが、個人的には松村邦洋か笑福亭鶴瓶かといった印象。ネタは新作落語『デブのお肉に恋してる』。デブネタを用いたギャグの連続で面白かったが、似たようなやり取りが繰り返されるところに物足りなさも。新作落語の更なる追求を!

そして三人目、本公演の主役である桂小枝師匠が遂に登場。「桂小枝でございます。実は私……落語家だったんでございます!」というマクラから、『悋気の独楽』へ。なかなか家に帰ってこない旦那が実は妾の家に入り浸っているを知り、嫉妬する女将さんの姿を描いたネタだ。このネタは春風亭昇太師匠が演じているバージョンを聴いたことがあるけれど、主に描いている場面がまったく違っていて驚いた。昇太師匠は「妾の家に行く旦那に付き添う無邪気な小僧」を主に描いているのに対し、小枝師匠は「旦那の不貞に怒りながら使用人に愚痴る女将さん」を主に描いていた。調べてみると、どうも小枝師匠のやり方が一般的らしい。個人的には昇太師匠の方が場面転換が多くて好きだったり。

中入りを挟んで、ゲストのレイザーラモンRGが登場。冒頭でちょっと上手いことを言ったかと思うと、いつもの『歌舞伎あるある』、そして愛媛県出身ということで御当地ネタ『宇和島あるある』を披露(テーマは観客から募集)。更に口三味線(?)で『F1のテーマ』と女子十二楽坊のアレを演奏。満足げな表情を浮かべながら、出番を終えていた。落語会というアウェーの空間でありながら、自らの世界を存分に発揮していたRG。流石の一言である。

RG終演後、何事もなかったかのように小枝師匠が再び登場する。ネタは『小倉船』。その内容は、船で移動している最中、うっかり運んでいる大金を川の中へ落っことしてしまい、慌てて水中に潜って金を取りに行く……というもの。SFのようなファンタジーのような不思議な展開が非常に魅力的ではあったのだけれど、ちょっと状況が分かりにくかった。特に終盤、河豚腸長安とのやり取りのくだりが、どうも分からなかった。まあ、芝居がかった落語を目の当たりにしたのはこれが初めてだったので(音源で耳にしたことがある)、単にそういう動きの見せかたに慣れていなかっただけなのかもしれないけれど。それにしても、小枝師匠の落語が思っていた以上にきちんとしていたので、ちょっと驚いてしまった。というのも、以前に読んだ吉川潮氏の著書『突飛な芸人伝』には、小枝師匠の落語は非常にイロモノとしての趣が強かったと書かれていたからだ。しかし今回、小枝師匠が披露したネタは、いずれもきちんとした古典落語。それはそれで別に問題はないんだけれど、しかしあまりにも堅過ぎた気もする。もっと小枝師匠らしい、壊れた感じのネタを一本くらいやっても良かったんじゃないかなあ……と。

とはいえ、滅多に見られない上方落語を堪能出来て、実に満足のいく公演だった。次も行こう。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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