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「桂文珍47都道府県全国独演会ツアー vol.3」in 高知(11月3日)

桂文珍の独演会を見るために、高知へと赴く。

高知といえば、なんといっても桂浜である。龍馬の銅像があることで知られている場所だが、純粋に浜としての風景が美しいので、僕は大好きだ。むしろ、銅像などは、どうでも宜しい。なんだったら、浜から少し離れた場所に立っているので、銅像は無関係といってしまってもいい。重要なのは桂浜の美しい風景である。瀬戸内海の様に、小さな島がそこかしこに点在している様なせせこましさのない、実に広大な風景である。だが、今回は時間の都合で、桂浜に立ち寄るのは断念した。まあ、いつでも来ようと思えば来られる場所である。またの機会ということにしよう。

今回、桂文珍の独演会……改め、「桂文珍47都道府県全国独演会ツアー vol.3」の会場となったのは、高知の中心地から少し外れた場所にある「高知市文化プラザ かるぽーと」の大ホールである。見た目は非常に高層だが、駐車料金も30分150円と少し高めである。春風亭小朝独演会の時にもボヤいたが、どうして施設での催し物を観に来た客が高額の駐車料金を支払わなくてはならないのか。払えない値段ではないので、特に苦情を申しつけるようこともないのだが、やっぱり不満が残る。が、いちいち深く考えても仕方がない。

開演30分前、会場の前は沢山の人で混み合っている。大半が老人で、続いて中年、ちょろちょろと若い人がいるといったところか。男女の比は大差ない。ある一定の層に高い人気を博している、ということなのだろう。しばらく時間を潰してから、再び会場の前を通ると、随分と人の数が減っている。沢山いたかに見えた人たちが、あっという間にホールへと吸い込まれていってしまったようだ。悠々と会場に入ると、すぐに物販コーナーが見えてくる。CDとDVDが売られている。せっかくなので、『地獄八景亡者戯』を収録したCDを購入する。米朝師匠の音源と聴き比べてみようと思う、意地悪な僕である。席に座ると、真正面の最前列だったので驚いた。……というのは、事前にチケットを確認していなかったからである。目が合ったりイジられたりしないだろうか……と、少しばかり不安になる。

午後1時、開演。

前座は桂楽珍。前座にしては風格があると思ったのだが、なんでも文珍師の一番弟子だという。一番弟子というと聞こえはいいが、文珍師の弟子は二人しかいない(※落語ファン倶楽部調べ)ので、それほどのものでもない……ということもない。息子がホストから相撲取りになったというマクラ(もしかしたら逆かもしれない)から、古典落語『半分垢』へ。関取になって帰ってきた夫の話を若い衆へと大袈裟に話してみせた妻が、それをたしなめられて、極端に反省してしまう噺である。流石に芸歴が長いとあって、口調はなかなか上手い。ただ、やたらと面白かったマクラと比べると、ちょっと弱かったような気もする。

楽珍さんが引っ込んだところで、主役の桂文珍師が登場。高年層にウケそうなマクラを振ってから、新作落語『憧れの養老院』へ。養老院に入るためのお金を手に入れようと、銀行強盗を試みる老夫婦の姿を描いたネタだ。その背景はなかなかに切ないが、二人のやり取りがいちいちコミカルでついつい笑ってしまう。個人的には、包丁を取り出すくだりで大笑いしてしまった。

ネタが終わると仲入り……かと思いきや、次の芸人さんが登場。幕には内海英華との御案内。着物姿の似合う、如何にも芸人といった雰囲気が漂う女性だ。彼女が三味線を片手に、小唄や漫談を語っていく。後で調べてみたところ、女道楽というジャンルの芸らしい(高座でもそう言っていたような気もするが、ちょっとボンヤリしていたので聞き逃してしまった模様)。こういう演芸は、流れに乗って楽しむに限る……と、凛とした芸をふわふわと堪能しているうちに終演となった。いい心地である。

さあ、今度こそ仲入り……と思わせておいて、再び文珍師のご登場。立て続けに四本も観るのはちと苦しい。高知まで車を転がしてきた疲れも相成って、ウトウトし始める。しかし、ここは最前列。眠ってしまうのは客としてのプライドが許さない。必死に眠気をこらえて、高座を見つめる。ネタは『風呂敷』。知り合いの若い衆を家に招き入れた奥さんの元へ、嫉妬深い夫が予定よりも早く帰ってきた。ひとまず若い衆を押し入れに詰めるも、夫がその前で酒を飲み出して逃がすことが出来ない。どうしたものか……というネタである。恐らくは、面白かったんじゃないかなあ……と思う。なにせ眠気が大変なことになっていて、そちらばかりが気になってしまったので……ああ、勿体無い。

ここでようやく仲入り。小用を済ませにトイレへ向かうと、途中でコインロッカーを発見。使用後にコインが戻ってくるシステムのヤツだ。先程、物販で購入したCDがどうもジャマだったので、嬉々として利用する。

仲入り後、いきなり文珍師が登場。有難いことに、この時点で何故か眠気はすっかり無くなっていた。……僕の身体はどういうバイオリズムなんだろう? ネタは『らくだ』。暴れん坊として周囲から嫌われていた“らくだ”が亡くなった。その第一発見者であり兄貴分の男は、らくだの葬儀をあげるために近くを歩いていたくず屋を捕まえて、長屋の連中から銭を巻き上げる算段を始める……というもの。元は上方落語で、後に東京へも伝わっていったネタだという。原本がそうなっているのか、文珍師匠が語るらくだの動向がなかなかに極悪で笑えない。祝儀を立て替えてもらって払わない、勝手に長屋に住み着く、漬物屋に置いてあった桶に手を突っ込んでたくあんを引っ張り出し「こんなところにたくあんが落ちてらァ」とのたまう……完全なるろくでなしである。誰もが、そんならくだに銭なんか使いたくないのに、無理矢理ひったくられてしまう。なんたる理不尽。しかし、この理不尽さがあるからこそ、終盤の驚くべき展開に胸がスーッとなる。近年の『らくだ』は、この驚くべき展開の場面でオチとされることが多いのだが、文珍師はきちんと最後まで演じ切っていた。実に満足である。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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