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『新作落語傑作読本1』

新作落語傑作読本(1) (落語ファン倶楽部新書3)新作落語傑作読本(1) (落語ファン倶楽部新書3)
(2011/11/28)
落語ファン倶楽部

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“落語ファン倶楽部新書”というシリーズがある。

その名の通り、白夜書房から発売されている演芸雑誌「落語ファン倶楽部」が制作している新書シリーズだ。これまでに『落語を聴くなら 古今亭志ん朝を聴こう』『落語を聴くなら 春風亭昇太を聴こう』(2010年3月)を刊行し、それなりに評価を集めているらしい。……いや、実のところは分からないが。少なくとも、僕の中では好評である。

ただ、この二冊以降、しばらく同シリーズから本が出版されることは無かった。なので、てっきり“アフタヌーン新書”や“2ちゃんねる新書”の様にひっとりと息を引き取ってしまったのだと思っていたのだが……2011年12月、およそ1年と9ヶ月ぶりに、落語ファン倶楽部新書から新刊が発売された。以前に出された二冊は、特定の落語家に焦点を定めた内容になっていたが、今回は“新作落語”に着目している。

新作落語とは何か。Wikipediaによると“古典落語に対して森いられるカテゴリー。主に大正時代以後に創作された落語を指す”とある。個人的には、現在進行形で活動している落語家が自ら手掛けた落語はすべからく新作落語である、という印象を抱いている。……まあ、根本的には殆ど同じ意味のことをいっているんだが、感覚としてはちょっと違う。僕の中では、その演目を書いた当人が歴史となった瞬間に、それは古典になってしまうと思うからだ。……うん、実をいうと、そこまで真剣に定義について考えたことは無かったので、なんともいえないわけだけれども。でもまあ、そういう感覚はある。

本書には、今まさに現役で活動している落語家たちによる新作落語11席が、テキスト化して掲載されている。演目についての解説は最低限に留めてあり、あくまでも一つの読み物として楽しめるように配慮してある。おかげで、既に聴いたことのある演目は勿論、まだ聴いたことのない演目も純粋に楽しめた。ただ、その一方で、やはり演者自身が口演するからこそ、面白さが伝わってくる演目もあった。例えば、三遊亭圓丈『肥辰一代記』における終盤のやりとりなどは、やはり圓丈師匠の騒がしい口調でなければ楽しみにくいだろう。実際の口演は「うん、汲める!」の一言だけで、物凄く面白いから。

個人的にグッときたのは、特別寄稿として掲載されている人間国宝・桂米朝の作『一文笛』。腕の良いスリが可哀想な子供のために“仕事”をしたことで、ある事件が巻き起こる様子が描れている。これが、とにかく素晴らしい。新作ならではの前フリの上手さと、古典ならではのズッシリとした重厚感が共存している。単なる人情噺に見えて、最後にはカラッとドライなオチが待ち構えているところも、落語ならではの粋を感じさせられた。新作落語史に残る一つの指標として、重要な一作といえるだろう。

ところで、本書のタイトルには、ナンバリングが振られている。それはつまり、本書の続刊が今後も出版されていく予定である、ということを意味している。次は一体、誰のどんな新作が掲載されるのだろう。楽しみで仕方がない。とりあえず、春風亭昇太『宴会の花道』とか、立川談笑『猿の夢』とか、柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』とか、その辺りのネタが入っていると、個人的には嬉しいのだが。

……と、期待して待っていたら、次に出版される“落語ファン倶楽部新書”のタイトルは柳亭市馬の懐メロ人生50年とのこと。……どうして急にイロモノ臭が漂うテーマを持って来たんだ! ……い、いや、読む前からそういう風に決め付けるのは良くない。読んでみたら、意外と面白い……のかも……。(※ちなみに、柳亭市馬は落語協会副会長。美声としても知られており、日本歌手協会に属するプロ歌手でもある。勿論、落語家としても凄腕)
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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