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「THE MANZAI 2011」批評

■概要
“1980年代に漫才ブームを巻き起こしたバラエティ番組「THE MANZAI」を復活する”というテーマの元に開催される。当初は「M-1グランプリ(2001~2010)」を企画した島田紳助(当時の「THE MANZAI」に“紳助・竜介”として出演)が審査委員長を務める予定だったが、自身の不祥事による引退のため、計画は白紙化。その後、大会最高顧問の座にビートたけし(当時の「THE MANZAI」に“ツービート”として出演)が就任し、予定通りの日程で開催されるに至った。

■予選内容
2011年5月30日~7月2日まで、全国六地区(東京・札幌・大阪・名古屋・広島・福岡)にて一回戦を行い、7月5日~12日まで大阪・東京にて二回戦が行われた。二回戦の予選参加者から、10月2日~11月27日までに行われる全五回の本戦サーキットに出場できる50組の“認定漫才師”を選抜する。本戦サーキットは五人の審査員による採点方式で審査され、そこでつけられた順位がポイントに反映される。認定漫才師はこの本戦サーキットに二度出場し、審査を受ける。その結果、選ばれた上位15組が決勝戦に進出する。また、16位以下の10組によるワイルドカード決定戦で、残る16番目の枠を決める。

■開催期間
2011年5月30日(予選1回戦)~2011年12月17日(決勝戦)

■司会
ナインティナイン
高島彩(フリーアナウンサー)
佐野瑞樹(フジテレビアナウンサー)

■審査員
西川きよし
秋元康
テリー伊藤
関根勤
大竹一樹(さまぁ~ず)
渡辺正行(コント赤信号)
木村祐一
天野ひろゆき(キャイ~ン)
高須光聖
+ワラテン(視聴者投票)

■ゲスト
爆笑問題(ビートたけしの代行として)

■ワラテンテストプレイヤー
ダイノジ(本戦サーキット30位)
 
【グループA】
■囲碁将棋(04年結成/予選15位)
『ネタ合わせをサボった理由』。ネタ合わせを一回サボったら罰金一万円という約束事を決めている二人だが、先週の水曜、文田が無断でサボってしまった。根建が罰金を請求すると、「FAXしたけど?」。続けて「今、口頭で理由いうわ」という。どうしてネタ合わせをサボったのか、その理由は……「毎週水曜日、CHAGEなんだよね」。相手の言い分が嘘であることを証明できない、いわゆる【悪魔の証明】をモチーフにした漫才。言い訳の浅さがネタの個性になっているし、散りばめられているボケも面白かったが、ややモチーフに溺れてしまった感も否めず。トップバッターとしての役割を立派に務めたという点だけでも、褒められるべきなんだろうが、噂に聞いていた“笑い飯を彷彿とするWボケ”が見られなかったのは、些か残念。

■チキチキジョニー(02年結成/予選11位)
『もしも生まれ変わったら?』。見た目が女性らしくない岩見だが、夜はガールズバーで働いている。それを全力で否定する石原。「あんたが生まれ変わっても無理やと思うで!」……という話題から、「もしも自分が有名人に生まれ変われたら、誰に生まれ変わりたい?」という話へ。岩見は生まれ変わったら上戸彩になりたいという。それに納得がいかない石原は、「どうせ目指すならもっと上を目指そうぜ!」といい、数々の女性芸能人たちを話の俎上に載せていく。石原が自身の容姿を棚に上げて、次から次へと女性芸能人たちを切り裂いていく様が清々しい。中にはシャレにならなさそうな批判もあったが、話術がしっかりしているので、さほど気にはならない。ただ、既存の芸能人を次から次へとターゲットとしている様から、なんとなく変ホ長調を彷彿とした。勿論、漫才師としての実力の差は明らか(もとい、目指している場所が違う)だが……。あわよくば、この後に登場するナイツに噛みついてやろうという気迫が伺える、名演であった。……どうでもいいけど、岩見って名前を見ると別の漫才師を思い出すな。

■ナイツ(01年結成/予選6位)
『歌が好き』。歌が凄い好きだという塙。よく、一人でカンオケに入っている。「カラオケだよ。趣味が悪過ぎますけども」。最近はついていけない曲もある。エルサイズって凄い人気があるらしい。「エグザイルだろ。服の寸法は別に聞いてないよ」……。ナイツといえば、塙がひたすらに言い間違いを続ける“ヤホー漫才”システムが印象的だが、今回はそれに加えて、布袋寅泰のモノマネやTRFのメロディにつられてしまう展開などが盛り込まれており、なにやらシングルベストを聴いているかのようなボリューム感を覚えた。なんという充実さか。一方、言い間違いボケも絶好調。アムラーの説明をする際の「渋谷にアラーと呼ばれるヤツらがね……」「カリスマ超えちゃってんだろうが」というやり取りは、今大会のベストショットといっても過言ではない。なお、来年『ナイツ独演会 其の二』リリース予定。

■磁石(00年結成/予選2位)
『反抗期の息子』。中学時代は楽しかった、という佐々木。「色々な行事があったじゃないですか」。一方の永沢、「何が楽しいの?っていう行事ありませんでした?合唱コンクールなんて、何が楽しかったんですかねえ、皆でこうやって(手を合わせる)」。佐々木「その合掌じゃねえよ!」……という話題から、中学時代は反抗期だったんじゃないか、という話へ。予測の斜め上から飛び込んでくる永沢のボケは、ピンポイントで面白い。「反抗期で尾崎豊の歌みたいなことをやった」というフリから、「きしむベッドの上で優しさを持ちより」は、意外と読めない展開じゃないか。また、「目覚まし時計組み立て部」「総書記系男子」など、ワードセンスも高い。それら、一つ一つのやり取りから生まれるボケは面白いし印象にも残るのだが、如何せん漫才の構成が脆弱だ。ナイツの直後ということもあって、それが余計に強く感じられてしまった。今後の彼らのテーマといえるかもしれない。なお、来年『磁石 単独ライブ 「プレミア」』リリース予定。

◆結果
ワラテン結果はナイツ。審査員は、秋元とテリーが磁石、残り全員がナイツに投票した。ナイツが最終決戦に進出。

【グループB】
■Hi-Hi(98年結成/予選14位)
『引越しがしたい』。漫才が始まると同時に「最近どう、みんなパスタ巻いてる?」と上田が陽気に御挨拶。続けて「しょうがないだろ、オレ思いついたテキトーなことなんでも言っちゃうビョーキなんだ!」。その宣言通り、テキトーなことを言い続ける上田を相手に、岩崎は「引越しがしたいな、と……」と漫才を切り出してみるが……。展開に多少の浮き沈みは生じているが、それらを全て上田のテキトーなノリが包み込んで、一つにまとめてしまう。実に力強いボケだ。ちょっと変な間が空いても、すぐさま取り返してしまう。このチャンスをモノにしようという気迫がプラスに働いているのも大きい。終盤まで『引越しがしたい』というテーマを捨てなかったのも、ネタの芯を強くするという意味で効果的だった。やや、岩崎のツッコミに物足りなさもあったが、それは今後の展開次第でどうにかなりそうである。……ところで、あんまりウケてなかったけれど、「小鳥がチューチューチュー」のくだりが地味に好きだ(あのポーズも含めて)。

■テンダラー(94年結成/予選7位)
『ロマンチックな出会い/必殺仕事人』。そこそこええ年なのに、未だに独身の二人。なかなか出会いがないという。白川の「どうせ出会うんやったら、ロマンチックな出会いしたいな」という流れから、男女が映画の様に出会うショートコントを幾つか。そこから浜本が「映画なんか出たらモテるんとちゃいますか?」という話題へと発展させ、映画『必殺仕事人』を演じてみることに……。はっきりと前半と後半に分かれている漫才。個人的に、こういう構成はあまり好きではない。だが、このネタに関しては、ゆったりとした前半があるからこそハイテンポな後半が活きてくる必然的な構成なので、まったく不満を感じなかった。そして、その問題の後半部分、即ち『必殺仕事人』パートだが……素晴らしいの一言だ。『必殺仕事人』のテーマに載せて繰り返されるベタなボケが、テンダラーの漫才師としての確かな手腕によって次々と笑いに昇華されていく。漫才の完成度という意味では、彼らがトップだったのでは。現在、『$10 LIVE~ベストコントヒッツ!?』好評発売中。

■スリムクラブ(05年結成/予選4位)
『面接』。開口一番、真栄田が客席に挨拶を。「今日は皆さん、観に来ていただいて……あざっす」。それから淡々と客席と演者の関係性について語り始める。その姿に苦笑いを浮かべながら、内間「真栄田さん、漫才しましょう」。それを受けて、真栄田「そんなわけでね、就職氷河期らしいですぞ」……そして就職面接コントへ。M-1グランプリ最後の年にキラ星の如く登場したスリムクラブは、既にスタイルが明らかになっている分、他の漫才師に比べて不利な立場にあったわけだが、冒頭の一言でいきなり観客の心を鷲掴みにしたのには驚いた。まだまだ彼らの本質的な部分は、テレビに消費されていないらしい。その後は、ギリギリまで切り詰められた言葉を、じっくりとした間で会場中に浸透させていく、お馴染みのスタイルによる漫才を最後まで演じていた。欲をいうと、もうちょっと面接の場面が欲しかったかもしれない。

■ハマカーン(00年結成/予選3位)
『ラーメン』。出てきて早々「ラーメンって凄い美味しいなーっと思うんですけどね」と話題を切り出す神田。同調する浜谷。そんなラーメンにおいて、美味しいところはどこか。神田はスープが命と主張するが、浜谷は麺が大事だと考える。そんな浜谷の意見を無視して、更にスープの存在感を主張する神田に対し、浜谷の態度が急変。低い声で「てめぇ、いいかげんにしろよ」とつぶやいたかと思うと……。お馴染み「下衆の極み」漫才。神田の言い分に対していちいち激昂し、その理由を妙な説得力で解説する浜谷の姿がやたらと面白い。ラーメンに浮いているレンゲの姿を模した場面などは、あまりのバカバカしさに腹を抱えて笑った。ボケがツッコミを凌駕して話を別方向に進めていくという形式は、その内容は違えど、先のHi-Hiの漫才と似ている気もする。惜しむらくは、神田のツッコミが邪魔に感じられる場面が少なくなかったこと。こういうスタイルで挑むなら、ツッコミは必要最低限に留めた方がいい。現在、『ハマカーンネタベスト「カードボード、ウォレット&スリー・ボクサーパンツ」』好評発売中。

◆結果
ワラテン結果はHi-Hi。審査員は、関根・天野がHi-Hi、西川・木村・高須がテンダラー、秋元・伊藤・大竹がスリムクラブ、渡辺がハマカーンに投票した。三組が同着となったが、ワラテンで支持を集めたことを理由に、Hi-Hiが最終決戦に進出。

【グループC】
■学天即(05年結成/予選9位)
『辻道連之進』。有名になったら大河ドラマの主役をやってみたいという四条。それを受けて、奥田は四条のやりたい役が大体想像できると返す。「坂本龍馬、これやろ?」。しかし、首を振る四条。四条がやりたい役、それは「辻道連之進」「……え?誰?」。 実在しない人物について説明するという、今大会では珍しい完全創作スタイルの漫才。こういうネタは、とにかくその人物がどういう姿をしているのか・どういう人物なのかを、具体的に観客に想像させる必要がある。しかし、今回のネタでは、そのような説明が一切省かれ、漠然とどういうことをやったのか、どうして歴史に名前が残っているのか、その事象についてだけが取り上げられてしまった。それ故に露呈する、設定の底の浅さ。ただ、どんなに客がついていけなくなっても、それを少なからず取り返していたツッコミの力量は、無視できないものがあった。今後に期待。

■博多華丸・大吉(90年結成/予選13位)
『乾杯の音頭』。大吉に相談があるという華丸。最近、乾杯の音頭を頼まれることが多いのだが、いい乾杯の音頭はないだろうか。「ごめん、題材が渋すぎない?」。なにはともあれ、華丸のスピーチを聞いてみることに。「スピーチとスカートは短い方がいい!」。ファイナリストの中で最もコンビ歴が長い博多華丸・大吉だが、今回はその逆境をむしろ逆手にとって漫才を演じていたきらいがある。それはテーマが「乾杯の音頭」という年相応の題材(=彼らにしか出来ない題材)であるところや、大吉が裏にいる若手たちに向けて「みんなこうなるからなーっ!」と叫ぶところに表れている。肝心の漫才は、華丸の異常に中年臭いスピーチが持つ面白さ……もとい、愛らしさを全面に押し出した内容で、笑えるというより微笑ましい。これをツッコミの大吉が書いているのかと思うと、実に和む。漠然とした言い回しになるが、漫才というよりコメディに近い様な。大会に優勝できるタイプの漫才ではないが、これまであまり明かされてこなかった彼らの本質が表現された、素敵な漫才だった様に思う。このノリであと20分くらい欲しかった……漫才ライブDVD出してくれないかな……。

■アルコ&ピース(06年結成/予選10位)
『スーパーマリオの歌詞』。「綾部と又吉でアルコ&ピースと申しまーす」と、今をときめくコンビに似たコンビ名であることをイジりながら開始。そして、いきなり平子「たけちゃんが見てると思うとねー、緊張しますよねー」と挑戦的な姿勢を見せつける。と、話題は打って変わって、昔のテレビゲームの話へ。スーパーマリオが好きだったという平子。酒井がマリオを始めようとすると、横でマリオのメロディを口ずさみ始める。「パラッパ、パラッパ、パ♪二人出会ったあの日を覚えているかい……」。紹介VTRで「この大会をかき回す、マドラーの様な存在になります」とコメントしていたが、ネタ自体は意外とオーソドックス。テレビゲームのテーマソングならではのポップなメロディに、湿っぽい大人の恋愛を描いた歌詞を載せるというギャップがしっかりと面白い。ただ、先の宣言の割には、あまりにも安牌。これなら、M-1グランプリ2001のおぎやはぎの方が、よほど挑戦的だったが。元来、ナンセンスなコントを得意としている彼らなので、ここは勝負を捨てて、とにかく印象に残ることだけを意識したのかもしれない。……ただ、それなら最後は「俺たち、まだ始まってもいないよ!」だろうに……。現在、『アルコ&ピース「東京スケッチ」』好評発売中。

■パンクブーブー(01年結成/予選1位)
『怖い話』。何の話をしようか悩んでいる佐藤。「どっちがいい?本当にあったコワ~い話と、適当に作ったナガ~い話と」。当然、怖い話を選ぶ黒瀬。「それいったら「ハナタレ!」で終わりますから」。そして、佐藤のコワ~い話が始まる、筈だったのだが……。黒瀬を含めた全員が予測していた話の流れを、ことごとく覆していく展開がとにかく凄まじい。覆し方も絶妙。最初は、単なる意識のズレによって覆っていたものが、どんどんバカバカしい方向へと転がっていく。「鳴り響くナースコール→ナース!ナース!」「肩に血がべっとり→このままじゃダサい!」は、ベタベタながら大笑いした。構成もきちんと練られており、終盤で自然に前半の伏線が回収されていく様は、圧巻の一言。M-1チャンプということで、相当に高いハードルが設けられていたと思うが、ここまで易々とそれを越えてくるとは。……ただ、オチがああいうことになるのであれば、最後の黒瀬のツッコミは「ハナタレ!」じゃないのかなーとも。そういう意味では、ちょっと惜しい。現在、『爆笑オンエアバトル パンクブーブー』好評発売中。

◆結果
ワラテン結果はパンクブーブー。審査員は、関根のみ博多華丸・大吉、残り全員がパンクブーブーに投票した。パンクブーブーが最終決戦に進出。

【グループD】
■エルシャラカーニ(97年結成/予選12位)
『なごり雪』。いきなり客席に「みなさーん!なんですかー!」と呼びかける山本。特に意味はない。とりあえず漫才を始めようとするが、くっちゃくちゃ。その姿をひとしきり見せたところで、再び山本が客席に「面白い?」セイワ「聞いたらあかん!」。ここからいきなり、山本の頭の中で流れているメロディが『なごり雪』だという話へ……。エルシャラカーニの漫才は“脱線漫才”といわれている。確かに、進むべき道筋はちゃんと見えているのに、まったく先へ進まない。その姿に、最初は思わず呆気に取られてしまうが、慣れてくると妙に可笑しくなってくるから不思議だ。そして、何度目かの脱線で、大きな爆発が……なんだか単なる列車の事故について書いているみたいになってきたが、要するに、“下手な鉄砲数撃ちゃ当たる”を意図的に実践しているわけだ。しかし、そのあまりの脱線ぶりに、ついつい笑ってしまう。途中から見ても、きっと笑えるんじゃないかと思う。ある意味、とってもテレビ向け。正攻法の漫才ではないので、どんなに頑張っても優勝は難しいだろうが、多くの人に愛される漫才ではあるだろう。現在、『エルシャラカーニ 穴を掘る人』好評発売中。

■千鳥(00年結成/予選5位)
『旅館の予約』。家族サービスしてやりたい大悟、温泉に連れて行ってやりたいが、旅館の取り方が分からないという。ノブ「誰でも出来るやんか、お前」……ということで、旅館の予約を取るコントへ。大悟演じる“旅館の女将、白平”のキャラクターが不条理を通り越して、ひたすら不気味なのがいい。どんなに予約しても智弁和歌山高校と勘違いされるというベタなボケを散りばめながら、ゲゲゲ的不可思議な世界が構築されていく様子がたまらない。特に終盤、白平がサッカーをやっていたというくだり以降の展開は、秀逸。“ホラーとお笑いは紙一重”という話を聞いたことがあるが、この千鳥の漫才はまさにそういう類いの笑いで構成されていた。もしも、この漫才の世界が、例えば金田一耕助が登場する様な、そういう映像にされたとしたら、なかなかにディープで末恐ろしいことになっていたのではないかと。……いつか、鳥居みゆきと共演しないかな。ただ、ノブのツッコミも相当面白かったのに、あまりウケていなかったのは残念。「なんでそうなった!?」「急に何!?」。現在、『千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶDVD』好評発売中。

■ウーマンラッシュアワー(08年結成/予選8位)
『居酒屋のバイトリーダー』。急に話を始める村本。「バイト先にはバイトリーダーというものがありまして、アルバイトを束ねるリーダー的なアルバイトがいるんですけども」。そんなバイトリーダーは仕事が出来てカッコイイ、という村本。疑ってかかる中川に、村本「ちょっとやらしてもらっていい?」。そしてコントへ。島田紳助に早くから目をかけてもらっていたコンビとして知られているウーマンラッシュアワー。高速でまくしたてるスタイルのボケが強烈な彼らの漫才は、今大会においても健在だった。仕事が出来ない女性アルバイトのピンチをイキりながら救おうとするバイトリーダーの姿はそれだけで面白いが、やはり、現場へ駆けつけるたびに口にするフレーズの数々に目(耳?)を奪われる。「ここは時給はアルバイトだがモチベーションは正社員の俺が行くしかないな!」「俺が世の中に虎視眈々と企んでいること、それは世界征服でもなく大統領暗殺でもない、バイト仲間みんなで行くボウリング大会!」……超高速の早口なのに違和感無く聞きとれ、すぐさま理解できる点も素晴らしい。構成の上手さも言わずもがな。現在、『ウーマンラッシュアワード2010』好評発売中。

※ここでワイルドカード(敗者復活戦の勝者)が発表。敗者復活戦に参加したのは「スーパーマラドーナ」「マヂカルラブリー」「南海キャンディーズ」「2700」「スパローズ」「さらば青春の光」「東京ダイナマイト」「トレンディエンジェル」「夕凪ロマネコンティ」の十組。その中から銀シャリが選出され、グループDの最後の一枠に飛び込んだ。ただ、個人的な見解をいうと、ワイルドカードはもっと早くから発表しておくべきだったのではないか、と思う。ワイルドカードが誰なのかが気になり過ぎて、発表の時点でボルテージが上がりきってしまった様に感じたからだ。M-1グランプリにおけるワイルドカードを意識しての、このタイミングでの発表だったのだろうが、これは改善されるべきである。

■銀シャリ(05年結成/予選24位)
『犬のおまわりさん』。甥っ子に『犬のおまわりさん』を歌ってあげたという鰻。なのに、何故かバカにされてしまった。橋本「音痴やからちゃうの?」ということで、歌ってみることに。すると、なにやら歌詞の内容が……。鰻の自由奔放なボケに対して、的確に入る橋本のツッコミが活きるスタイルの漫才。ボケではなくツッコミで笑わせている、という点はおぎやはぎのそれを彷彿とさせる。それにしても、橋本のツッコミはバリエーションが豊富だ。鰻のボケ(というかフリ?)に対して、どんどん言葉がこぼれていく。序盤、めちゃくちゃに喋りまくった後で、自分を指差しながら「喋り過ぎ喋り過ぎ!」といったのには笑った。コントロール抜群のエースツッコミだ。ただ、ここで絶頂が来てしまった感も否めない。また、ネタに歌詞を取り入れているという点で、エルシャラカーニと被ってしまったことも、マイナスに働いてしまった気がする。違うネタだったら、或いは……。現在、『ギンギラ銀にシャリげなく』好評発売中。

◆結果
ワラテン結果は千鳥。審査員は秋元と伊藤がウーマンラッシュアワー、残りの全員が千鳥に投票した。千鳥が最終決戦に進出する。

【最終決戦】
■Hi-Hi(グループB通過)
『ギターソロに憧れる』。ギターソロに憧れているという岩崎。ギターが弾ける上田に、弾き方を教えてもらおうとするが……。一本目の漫才よりも上田のテキトーぶりが強調されている。それ自体は決して悪くは無いのだが、それ故に、肝心の「ギターに憧れる」という本筋がおざなりになってしまった。それでも面白さを見出せる人には良いのかもしれないが、個人的には、なんとも味気ない終わり方をしているように思えた。また、ネタの中で、上田が岩崎に「お前の18年間放り込んでこい!」というアドリブをしたことが後に話題となったが、これが比較的序盤に出て盛り上がったことで、その後が尻すぼみになってしまった感も否めず。まあ、そのマイナス分をフォローできるくらいのインパクトは与えたか。……あと、「ちゃんと教えてほしいのです!」は面白かった。

■ナイツ(グループA通過)
『ドラマが好き』。塙はドラマが凄く好き。中でも、フジテレビのドラマが大好き。土屋「ちょっと媚びる気持ちが出過ぎちゃってる!」。そこから、フジテレビのドラマの話へ。『北の国から』『101回目のプロポーズ』『のだめカンタービレ』『ひとつ屋根の下』など、フジテレビのドラマを次々に言い間違えていくセンスは、一本目と同様、非常に高い。ただ、一本目に比べて、テーマの対象が狭まっているためか、イマイチ盛り上がりに欠けていた……ところで、まさかの「のりピー」ネタをブッ込んでくるという攻撃姿勢! 更に「ドラマのヘロイン」とくるとは! 恐れを知らない演芸場育ちぶりを発揮した言い間違いを畳みかけたところでオチを迎えるという、流れも良い。ただ、全体的に見ると、盛り上がりに欠けていたことは否定できない。後になって、ナイツの漫才が優勝できなかったのはのりピーネタのせいだといっているバカがいたが、むしろ、彼らはのりピーネタのおかげで盛り返すことが出来たと見るべきだろう。最後に余談だが、生放送で危険な時事ネタを口にしたら喜ぶ輩は、快楽亭ブラックの落語を観ればいいのにと思う。……テレビでやるから面白いのか? テレビ依存症め。

■パンクブーブー(グループC通過)
『新聞の勧誘』。新聞が好きだという佐藤。佐藤「小っちゃい頃に買ってもらった一つの新聞を未だに何度も何度も…」、黒瀬「そういうことじゃないけどね」。新聞が大好きで、もっと皆に読んでもらいたいから、新聞の勧誘をやりたい……ということで、新聞の勧誘員コントへ。一本目のネタと同様、佐藤が予測をどんどん外していく漫才。ただ、しゃべくり漫才から漫才コントへとスタイルを替えた分、目新しさが残る。それでも中盤、ちょっとダレ始めるが、その丁度のタイミングに「新聞の勧誘を始めた理由」を挟むことで、見事に盛り返す。まさかパンクブーブーから下ネタが飛び出すとは……。正直、いつぞやのM-1決勝で披露していた漫才を彷彿とする始まりに不安を覚えていたのだが、ここまで冷静に自らのネタを改良してくるとは……。岡村の「お客さん、みんな元気やったんですねえ」というコメントが、全てを物語っている。

■千鳥(グループD通過)
『通販のオペレーター』。夜の通販番組を見ていると、なかなか良い商品が紹介されている。ノブ「ゴルフ初めてな、ちょっとゴルフクラブが欲しいなーって思ってんねんなー」……ということで、通販商品を購入する電話をかける練習を。シチュエーションだけを見ると一本目の漫才に似ているが、キーワードが“智弁和歌山高校”よりも想像しやすい“蒸しアナゴ”になっているだけ、観客が世界に入りやすくなっている差が地味に大きい。また、電話の相手が“旅館”から“オペレーター”へと現代的になっていることで、猟奇性が薄れて面白味が強まった感。それでも、漫才が進むごとに狂気性が強まっていく様が、実にたまらない。「蒸しアナゴ→雛人形」の流れも最高。一本目の漫才を絡めたボケには賛否両論あると思うが、個人的には流れに沿っていて、なかなか上手く盛り込んでいたかと。あと、これは完全に余談だけれど、蒸しアナゴが無性に食べたくなったのは僕だけか。

◆結果
ワラテン結果はナイツ。審査員は、関根・大竹がナイツ、西川・秋元・伊藤・渡辺・天野がパンクブーブー、木村・高須が千鳥に投票した。よって、パンクブーブーが「THE MANZAI 2011」優勝者に決定!

■総評
番組としては分からないけれど、漫才番組としては面白かった。それでいい。
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THE MANZAI


「スピーチとスカートは短い方がいい」は本当にはまるフレーズですねー

好きです!


でもよしもとってDVD作成用の単独ライブの撮影で、決してベストライブDVDではないからな~


芸人によっては何ヶ月か(何年?)録り貯めたベストライブDVDの方が良いと思うんだよなー


ま、経費は莫大になってしまうだろうけど(^_^;)

No title

理想としては、長尺の漫才ライブとかやってくれたらなあ、と。
矢野・兵動のDVDくらいの長さで、がっつりとあのやりとりを堪能したい!
華丸・大吉も若手ではないので、そのくらいの扱いはされてもいいじゃん!
…とか、そういうことを思ったりしてます。む。

華大ファン

華丸大吉ファンです。
THE MANZAIでの評価をファンの人ではなく客観的にどうだったのかなーと
思い、ちょっとドキドキしながら読みました。
「中年の愛らしさ」。そこが私にとっても華丸大吉最大の魅力です。
今回発揮されたようで満足でした。

ほかの漫才師さんたちのそれぞれの良さも読んでいて分かりました。
この続きを楽しみにしています!

にわかですが…

私は、にわかなんで分かりませんが…ワラテンって 納得いかなかったです!。どうせなら、フツーにオンバトみたいな感じの視聴者投票をして欲しかったし、審査員の秋元さんの表情が全てを物語っていて…見終わった後、来年爆笑や吉本だったら中川家やブラマヨフットあたりエントリーしないと 本当に2回目以降ヤバいんじゃないか?と思います!。ホント!にわかですいませんm(_ _)m。

No title

>りょうこさん
どうでしょう、客観的評価が出来たかどうか微妙ですけれども。
なにせ、華丸さんの可愛らしさにほだされてますので…。
続きはもうしばらくかかりますが、なんとか終わらせますので…。

>宇宙デコポンさん
うーん、そうですか。
Twitterでは、割とワラテンに納得している人が多かったみたいですけどね。
まあ、どうしても納得できない人というのは出てくるものでしょうけどね。
M-1チャンプの出場は、おかっち~で大吉さんが煽ってたみたいですが。
どうなりますかね。チュートかサンドあたりなら、出そうな気も…。

No title

一本目と決勝の間、Dブロックの敗者復活までの間がちょっと空きすぎな感が否めなかったです。番組をもう一時間、いや三十分短縮しても良かったと思うのですが。それだと決勝の爆発力は生まれなかったのでしょうか…

No title

国民ワラテン=笑いの全体量の平均
ボケが少ないけど決定力が大きいスリムクラブとかは不利な気が・・・

上手さよりバカバカしさのほうがポイントが高くなるのはいいと思いますけどね。

THE MANZAI素直に面白かった

一時「蒸し穴子」の検索数がめっちゃのびたらしい(^-^)


Hi-Hi真偽の程はわかりませんが、オファー50件だ100件だあるそう。


売れて欲しいけど‥

M-1後漫才以外の仕事ばかりで本業をやらなくなり漫才が下手になった漫才師の例もあるので、早い段階で見れるだけHi-Hiを生で見ておこうと思います。


漫才師売れる→本業以外の仕事多忙→漫才師から芸人枠のTVタレントへ



仕方ないのはわかっているんだ~~!!!


でも喪失感がハンパねーんだ~~
(´Д`)うぉー

No title

>のめすぽさん
Dブロックは色々と問題が残りましたねえ。
あそこは来年、もうちょっと改善してもらいたい…。

>笑いクラゲさん
でもスリムクラブ、他のコンビに比べてそんなに点差無かったり。
それだけ一発一発が大ウケしてたってことですかね。
…正直、あの点数の基準がピンとこない…

>ゆうきさん
売れたらネタが見れなくなる。
でも、芸人さんは売れないと、辞めちゃうこともある。
ファンとしては複雑ですよねえ…。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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