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「立川談春独演会」(1月21日・松山)

午前九時、起床。八時に携帯電話の目覚まし機能をセットしていたのだが、念のため、九時にも合わせておいて本当に良かった。もし、九時にもセットしていなければ、寝過ごしていたかもしれない。今年最初の落語会、いきなり逃してしまうなんて、縁起の悪いことこの上ない。顔を洗い、ヒゲを剃り、財布の中身と上演会場を確認して、出掛ける準備が全て整ったのは、午前十時を回ったころ。あれこれと準備が必要な女性に比べて、男は手間がかからなくて実に宜しい、と改めて思う。その安心感から、寝過ごしたりしてしまうのだが。

午前十時過ぎ、家を出る。愛する軽自動車で国道を進み、高速道路へ突入する。自宅から松山まで、一時間半ばかりのドライブ。車内に流れているのは、この日のために、聴かずにとっておいた『にっかん飛切落語会 よりぬき名人名演集3』。先代の三遊亭圓楽一門のネタがピックアップされている。ニヤニヤしながら、松山自動車道を走り抜ける。

松山インターチェンジを下りて、国道33号線を北上すると、松山南環状線に繋がる十字路に辿り着く。そこを更に真っ直ぐ進むと、大街道交番前という交差点。これを左に曲がると、右手に有料駐車場が見えてくるので、そこに駐車する。30分100円という値段は、ちょっと高い気がするのだが、一般的にはどうなんだろうか。

有料駐車場に車を停めて、まず向かったのは松山市駅前にある高島屋。ここの7階に紀伊国屋書店があるのだが、以前に松山を訪れた際、そこで見つけた『志ん朝初出し』という古今亭志ん朝師匠のCDボックス(五割引)を買うためである。落語のCDにはCDボックスが多いのだが、とにかく高くて手を出しにくい。それが五割引、つまり半額で売られている! 見つけた当時は持ち合わせがなかったのでスルーしたのだが、今回はきちんと財布に銭を突っ込んで、満を持して購入してやろうと思い至ったのである。それなのに、置いてない。代わりに、昨年お亡くなりになられた立川談志師匠のCDが、これでもかと置かれている。……談志よ、何故死んだ!(不純) 肩を落としながら、いつものように津田演奏堂(演歌のCDを専門に取り扱っているお店。落語のCD・DVDも多数置かれている)に立ち寄り、三遊亭圓歌師匠のCDを購入する。さよなら志ん朝、こんにちは圓歌。高齢化社会を乗り切るぞ。

津田演奏堂を出て、次なる目的地であるシネマサンシャイン大街道に向かう。2月に放映される『幕末太陽傳』の前売り券を購入するためだ。シネマサンシャイン大街道は商店街の中にある映画館で、とてもこじんまりとしているが、清潔感があって雰囲気もいい。個人的に、かなり気に入っている。それ故に、いつも客入りの少なさが気になってしょうがない。潰れない様に頑張ってもらいたいものだ。ここは滞りなく、無事に購入することが出来た。まあ、特典のポストカードの存在を、完全に忘れられていたけれど。しっかりしてくれよ……。それから、ネットで事前調査していたつけめん屋「媛乃屋製麺所」に行く。地図でチェックした場所に行ってみると、店が見つからない。近辺をうろうろしていると、アパートの入口にしか見えない、小さな入り口を発見。よくよく見ると、そこがお店だった。まさに隠れ家的名店の様相を呈している。店舗は建物の二階にあって、店内からは道端を見下ろすことができる。なんだかオシャレだ。つけめんの大盛りを注文する。なかなか美味かった。

媛乃屋製麺所のつけめん※つけ汁はぐつぐつと煮立ってます。無料でスープ割も。

食後、車を有料駐車場から出して、落語会の会場であるキャメリアホールへと向かう。大街道の駐車場からキャメリアホールまでは一直線なので、道に迷う心配はない……と思っていたのだが、会場の駐車場が満車、周辺駐車場も満車という緊急事態。既に時刻は開演一時間前なので、急いで駐車場を見つけなくては。近辺をぐるぐるぐるぐる回っているうちに、松山駅前の駐車場に辿り着いたので、ここに停めることに。会場までは徒歩移動。……けっこう遠い。

どうにかこうにか、歩いてホール入り口へ。既に開場されているにも関わらず、入り口には沢山の人が見受けられる。当日券も売られていたが、まだ空席が残っているのだろうか。チケットをもぎってもらい、中へ。通路には物販コーナー、見ると、CD・手ぬぐい・ハンカチ・クリアファイル・著書が売られている。せっかくなのでと、手ぬぐい(1,000円)を購入する。客席に入ると、既に沢山の人たち。空席は目立たない。立川談春、メディア露出は殆どしていないが、人気はあるようだ。流石、立川流。或いは、談志師匠の訃報が影響しているのだろうか。着席して数分、客席が暗転。幕が上がった。
まずは前座から。現れたのは、談春一門の最若手である立川春松。演目は『一目上がり』。初めて耳にするネタだ。お馴染みの八五郎が御隠居の家に行き、そこにかけてある掛け軸を褒めようとして失敗、正しい褒め方を教わって実践しようとする噺。同じく、何かを褒める落語『牛ほめ』もそうだけれど、言い回しに分からないところがあって、ちょっと世界観に入り込みにくかった。まあ、前座はきちんとネタを演じ切ることが役割なので、何の問題もないのだが。今後の奮闘に期待したいところ。

前座のネタが終わって、いよいよ真打ちである立川談春が登場。座布団に座ろうとする……と思ったら、座らない。「すいませんね、ウチのバカな弟子が……」といいながら、座布団の向きを直している。前座はネタが終わった後で座布団をひっくり返すのだが、その際に向きを間違えてしまったらしい。後で説教されるんだろうなあ、と思いながら様子を伺う。座布団に座って、始めたのは先程の春松さんの話。なんでも、彼は愛媛県の出身で、愛媛大学を中退して談春師匠に入門したのだという。「私は中卒ですからね」といいながら、苦笑。こちらも思わず、苦笑。「私が親だったら、刺してますよ」。ネタは、談春師匠の数少ないCD化された演目、『明烏』。本ばかり読んでいる息子を心配に思った大店の旦那が、近所の職人衆に頼んで、どうにか息子を騙して吉原へと連れて行ってほしい……と頼み、それを決行する噺。CDに収録されているバージョンよりもくすぐりが多く、笑いどころを意図的に増やしてきた感を覚えた。とはいえ、決してナンセンスに走ることもなく、『明烏』というネタの本質を崩さず、それでいて面白さを増幅されていた、といったところか。……偉そうだね、どうも。シンプルに書こう。面白かった!

『明烏』終演後、すぐに時計を確認すると、開演から一時間以上が経過している。そんなに長いネタではない筈なのに。マクラでじっくりと前フリをしていたからだろうか。正直、かなり長かった。ただ、必要な長さではあった。おかげで、ネタに奥行きが出ていたと思う。でも、長かった。その結果が、一時間超。うむ。仲入り中、トイレへ。

仲入り後、再び談春師匠が登場。「落語家が一番嫌いなのは正月」という話。正月になると、初笑いを目的に寄席へやってくる人がやってくるので、やたらと忙しくなるから嫌いだという落語家が多いのだそうだ。ただ、立川流は寄席に出ないので、忙しくはない。立川流の正月は、家元・立川談志の家に集まって挨拶をし、最後は「散れ!」の一言で解散するのだという。しかし昨年、談志が亡くなり、正月に集まる必要が無くなってしまった。正月なのに退屈で、自宅でテレビを見ている。その時になって、本当に談志が死んだのだと実感した……と。このマクラにグッと目頭が熱くなる。そして落語『人情八百屋』へ。

『人情八百屋』は、文字通り人情に厚い八百屋の噺だ。野菜を歩き売りしている男が、ふと昨年にあったとある出来事を思い出し、そのことを妻に話す。男は以前、とある貧乏で悲惨な生活を送っている一家に、野菜と弁当、そして銭を渡してきたことがあった。あの一家は、今頃どうしているのか。確認に行くと、その家には貸し家の貼り紙が。どうしたのかと、近所の人に話を伺ってみると……。ド直球の人情噺を、じっくりと。決して悪いネタではないのだが、事実は小説よりも奇なり、先のマクラがツボに入り過ぎて、こちらでは目頭が熱くならず。まあ、そもそも、「人情噺=泣ける噺」と安直に考えることが、間違っているような気もする。美しく繊細な世界に浸れた、それだけでいいのかもしれない。終演、17時前。二時間半の長丁場、とても満足できた。

談春独演会・香板表※田舎者の了見丸出しで撮影

終演後、Twitterで知り合ったガンマ氏と遭遇、一緒に夕飯を食べる。インターネットを通じて知り合った人と直に顔を合わせるのは、これが初めてだ。どう接すればいいのか分からず、とにかく探り探りな雰囲気が続いたが、死んだ目でダブルピースこと中山涙氏の話で急に盛り上がる。どうも、お互いに陰口で盛り上がる性分らしい(ろくでもないね)。いや、別に悪口をいっていたわけではないが……。

午後七時前、「散れ!」。もとい、解散。

帰りの車中。津田演奏堂で購入した三遊亭圓歌師匠のCDを聴きながら、高速道路を走り抜ける。演目は『宮戸川』。後半の展開が重たいので、前半だけが演じられることの多いい一席だが、ここに収録されているのは完演版。笑いどころの多い前半から、グーッと芝居の度合いが大きくなる後半。悪くいえばギャップが激しい、良くいえば一粒で二度美味しい。圓歌師匠の口演は後者にあたる。そして、つくづく思う。

落語って、面白いな。
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羨まし~

談春行きましたか、うらやましいですねー。

こちらは最近忙しくなってきてブログも間隔空き気味ですが、ときどき更新は続けていくつもりですので、今年もよろしくお願いします。

ご存知かもしれませんが、「人情八百屋」といえば談志が講談から移して作った噺のひとつです。そういう意味もこめての、マクラ&ネタチョイスなんでしょうね。CDで聞いた談志のバージョンも佳演で、僕も気に入っているひとつです。

「唐茄子屋政談」の後日談のような噺でもあります。こちらはライバル志ん朝の録音が良かったなぁ。

No title

今年もお願いします。
あ、そうなんですか!<談志が講談から移して作った
なんだか変わった演目とは思いましたが、近年の作品なんですねえ。
なるほど…談春師匠の気持ちを思うと、今また目頭が…。
いや、流石に嘘ですが。

「唐茄子屋政談」は僕も思いました。似てますよね。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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