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『落語の聴き方楽しみ方』(松本尚久)

落語の聴き方 楽しみ方 (ちくまプリマー新書)落語の聴き方 楽しみ方 (ちくまプリマー新書)
(2010/12/08)
松本 尚久

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放送作家・松本尚久による、落語の特殊性について多角的視点から考察した本。タイトルが純然たる落語の手引きっぽい雰囲気を醸し出しているので、間違えて買っている人が多いのではないかと思う。確かに、面白い本ではあるのだが、落語初心者向けではない。漠然と「落語って、こういう感じ?」というイメージがつかめているくらいじゃないと、なかなか楽しみにくいのではないかと推察する。なんという釣りタイトル。とはいえ、「では君ならどんなタイトルにするのか?」と問われたとしても、なかなかいい回答が思い浮かばないのだが。

最初にも書いたが、本書は“落語の特殊性”について記した本である。例えば、「落語の主役は引き立て役」「落語にはどうして無名の登場人物が多い」「落語家は小説家に似ている?」「どうして落語家はマクラをふるのか」などの諸々について、他分野の創作物(歌舞伎、人形浄瑠璃、漫画など)と比較して話を展開している。個人的には、なるほどなぁと納得できる部分もあれば、なんだかなぁと首を傾げる部分もあったかな。著者自身、本書の意見を“補助線”としてもらいたいとあとがきで語ってるので、そういう読み方で間違えていないのだろう。

納得できるというか、興味深いなあと思いながら読んだのは、江戸と上方の違いに関するくだり。著者によると、江戸落語には頻繁に登場する“与太郎(愚か者)”に相当するキャラクターが、上方落語には殆ど登場しないという。これには、江戸と上方の「家」に対する考えの違いが大きいのではないかと、著者は分析している。

上方の社会では「家」や「世間」の問題が大きく存在するのでしょう。べつの言い方をすれば、上方の社会制度はとても「ちゃんとしている」のです。そして、堅牢な家制度によって引き起こされた悲劇を浮き立たせるために助太郎や盆太という「あほ」が必要とされ(「敵討襤褸錦」「近江源氏先陣館」)、家制度の歪みを明らかにするために「あほ」の告発が用意された(藤山寛美の芝居)のです。推論になりますが、上方のフィクションにおいて「あほ」な振る舞いをするキャラクターはおそらく悲劇の引き立て役なのです。(本文135頁より)


落語に限らず、あらゆる“物語”について考えさせられる一冊。ちょっと文章は慣れていない雰囲気があるけれど(同著者の他の作品を読んだときには違和感を覚えなかったので、単にですます調に慣れていないだけだろうか)、読み応えは保障できます。でも、その前に、落語を一服聴きなんし。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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