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小林賢太郎ソロ公演『The SPOT』(1,200字)

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(2011/12/21)
小林賢太郎

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ラーメンズの片割れ、小林賢太郎が2010年から2011年にかけて開催したソロコント公演「The SPOT」の模様を収録した本作は、これまでに小林が表現してきた笑いの集大成ともいえる内容になっている。例えば、一坪の小さなスペースで建国を目論む王様が、アジアの某国をモチーフに独自の決めごとを作っていく様は、小林の活動母体であるラーメンズの代表作「日本語学校」を彷彿とさせる。壁を使ったタングラム(シルエットパズル)も、ソロ公演ではお馴染みの題材だ。この他にも、アナグラム(言葉の置き換え)をイラスト化してみたり、奇妙な壺を巡る二人のやりとりを落語で表現してみたり、映像と小林の手が美しき融合を見せてみたり、過去の公演で披露して来たパフォーマンスの総仕上げといわんがばかりに充実したラインナップである。何処に出しても恥ずかしくない、まさに集大成。

ところが、終盤に差し掛かったところで披露されるコント『うるうびと』によって、様子は一変する。「トランプには1から13までの数字があります」という他愛のない話から始まる『うるうびと』は、トランプにおける二枚のジョーカーのうちの一枚、つまり余分として紹介される。うるう年のうるう日である2月29日に行われた四年に一度のお誕生会にも出席できない余りもの、それが“うるうびと”だ。色々な事物から余り続ける人生を送ってきたうるうびとは、そんな運命に嫌気がさして、ある時、自分以外の誰かを陥れようと深い深い落とし穴を掘り進める。その結果、なんと逆に自らがそこから抜け出せなくなってしまう。しかし、うるうびとは落とし穴の底に居心地の良さを覚え、少しずつ自らにとって快適な空間へと作り変えていく……。

小林賢太郎の来歴を知らない人間にとって、『うるうびと』は純然たる寓話としてしか映らないだろう。だが、小林の歴史を知る人間なら、『うるうびと』のことを心穏やかに観ることは出来ないに違いない。何故ならば、孤独な余りものとして、自らの世界を深く広げていくうるうびとの姿は、お笑いブームに迎合することなく、ひたすらに自らの感覚を研ぎ澄ませてきた小林の活動スタイルに対する自己批判としても見ることが出来るからだ。近年、小林はNHKで自らの冠番組「小林賢太郎TV」を放送したが、そういった心境が反映されてのことだったのかもしれない。お笑いブームの陰で、孤高のパフォーマーとして走り続けてきたが故の、孤独と苦悩。しかし、それすらも小林が仕組んだ一つのギミックである可能性も否定できないから、実に恐ろしい。ちなみに、小林は後にKKP(小林賢太郎プロデュース)公演として、一人芝居「うるう」を敢行。タイトルから察するに、『うるうびと』を踏襲した内容になっているのだろうが、現時点でソフト化される予定は立っていない。『うるうびと』に衝撃を受けた人間としては、是非ともソフト化してもらいたいのだが……。


・本編(107分)
「スポット」「タングラムの壁」「アナグラムのあなぐら」「ひみつぼ」「ない」「怪獣のお医者さん」「線上の手男」「うるうびと」「大きなお土産」
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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