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『海砂利水魚単独LIVE「アントニオ」』(99年10月→07年4月)

海砂利水魚 単独LIVE 「アントニオ」 [DVD]海砂利水魚 単独LIVE 「アントニオ」 [DVD]
(2007/04/25)
海砂利水魚

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上田晋也と有田哲平によるお笑いコンビ“くりぃむしちゅー”が、以前は“海砂利水魚”という名前で活動していたということを、今の十代は知っているのだろうか。知っていたところで何がどうというわけではないのだが、ふと気になった。調べてみると、彼らが番組の企画でコンビ名を解明したのは2001年だという。今から、およそ十年前。ということは、少なくともそれ以降に生まれた人間は、わざわざ調べようとしない限りはその事実を知ることはないということだ。今後、“くりぃむしちゅー”は知っているけれど“海砂利水魚”は知らないという人間は、どんどん増えていくのだろう。まあ、名前が変わったからといって、その本質が変わるわけではない。何の問題もない。ただ、“くりぃむしちゅー”が“海砂利水魚”だった頃、舞台上でどういうネタを演じていたのかは、もうちょっと知られてもいいように思う。

『海砂利水魚単独LIVE「アントニオ」』は、1999年8月に行われたライブ「海砂利水魚 ~Best Album~」の模様を収録したVHS作品のDVD版だ。ライブ「海砂利水魚 ~Best Album~」はVHS版が発売された当時、本作と『海砂利水魚単独LIVE「ジャイアント」』の二本に分けて収録されていたが、これもまた同様の形態を取っている。つぶやきシロー・アリtoキリギリスのVHS版がDVD化された際には、二本の作品を一本にまとめてリリースされていたことを考慮すると、些かイヤらしい売り方の様な気がしないでもない。しかし、いざ本作を観てみると、二本に分けられていることに納得せざるを得ない。あまりにも濃厚で、立て続けに鑑賞すると精神が疲弊してしまうからだ。

本作に収録されているネタは全六本。そのうち三本は幕間映像なので、実質三本のネタが収録されている。映像コントのクオリティも高いが、今回は舞台コントのみ解説する。

一本目のネタは『MANZAI』。“漫才をしている”設定のコントなどではない、純然たる漫才を演じている二人の姿を見ることが出来る。ネタは『タクシー』。これといってストーリーもなく、タクシードライバーと客のシチュエーションだけで展開しているにも関わらず、コンスタントに笑えるのが実に凄い。ふわっとした設定を言語センスの高さで補っているためだろう。中でも、個人的にグッときたのが、有田の傍若無人なボケに対して上田が放った「お前の家族を遺族にするぞ!」というツッコミ。ストレートだと攻撃的過ぎる言葉をちょっと捻ることで、マイルドかつコミカルに表現している。

続く二本目のネタは『待ち合わせ』。“上田と待ち合わせの約束をする有田が、その予定をスケジュール帳に書きこむ”という短いシチュエーションを、様々な性格の有田で演じていくショートコントだ。ラーメンズが「爆笑オンエアバトル」で似たようなネタ(『日替わりラーメンズ』)を演じていたが、ラーメンズが様々なキャラクターに変身していたのに対し、海砂利水魚は有田の性格を変えることで成立させている。その各性格ごとのシチュエーションの掘り下げが、もう半端じゃない。「ここまでいけば十分だろう」と思わせるところから、更に深いところまで掘り下げている。中には、どういう性格に変化しているのか分かりにくいものもあったが、中盤で必ず上田が有田の性格を言語化するという親切設計になっている。各性格のキャラクターで笑わせているように見せかけて、実は脚本の上手さが光ったネタである。

三本目のネタは『合コンにて』。王様ゲームの命令で「外で30分間フリータイム!」といわれてしまった初対面の男たちが、外で雑談を交わしながら時間を潰し続けるだけのコントである。驚くことに、このコントは初対面ならではの絶妙な距離感だけで構成されている。様々な雑談でどうにかして距離を縮めようと試みるのだが、ただただ噛み合わない。気まずい空気が漂うだけで、距離は一向に縮まらない。その生々しさが、たまらなく面白い。誰も悪くないのに、どうしてこんな空気になってしまったのか! 海砂利水魚のコント職人としての手腕が垣間見える、傑作といえるだろう。

『海砂利水魚単独LIVE「ジャイアント」』については、いずれ。


・本編(60分)
「MANZAI」「事件」「待ち合わせ」「海砂利水魚のネタが出来るまで」「合コンにて」「スター密着レポート24時」
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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