スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「落語 昭和の名人 決定版 桂三木助」

CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(26) 三代目 桂三木助CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(26) 三代目 桂三木助
(2009/12/22)
不明

商品詳細を見る

三代目桂三木助。通称“芝浜の三木助”。

『芝浜』とは古典落語の一席で、いわゆる人情噺の傑作として知られている。演じ手も多く、近年のものでは古今亭志ん朝、立川談志、三遊亭圓楽、柳家小三治、林家たい平などによる口演がソフト化されている。演じ手が多いということは、それだけ競争率も高いということになるのだが、それらの『芝浜』を差し置いて“芝浜の三木助”と呼ばれたというのだから、なにやら凄い。マガジンに目を通してみると、そもそも『芝浜』という落語を傑作と呼ばれるものに引き上げたのが、この三代目三木助なのだという。なるほど、それなら“芝浜の三木助”と呼ばれるのも納得というものだ。

本作に収録されているのは、その『芝浜』『へっつい幽霊』

『芝浜』は、十日ばかり仕事を休んで飲んだくれていた魚屋が、ある朝女房に説得されて、しぶしぶ芝の魚川岸へ向かう。ところが、魚川岸はまだ開いていない。女房が時間を間違えたのである。しょうがないので、一服しようと芝の浜へと下りてみると、小汚い財布が落ちているを見つける。開けてみると、中には大金が。慌てて家へ戻って、女房に財布のことを話し、「これでもう働かなくても大丈夫だ!」と昨夜の酒を飲んでゴロリと横に。翌朝、女房の声で起こされる。女房が言うには、芝の浜で財布を拾ったのは、全て夢での出来事だった……。三木助師匠の『芝浜』が凄いのは、その風景描写であるといわれている。なんでも、師の友人でもある作家・安藤鶴夫が協力して、その描写を完成させたらしい。で、確かに悪くない。でも、そんなに絶賛するほどでもないんじゃないかなあ、とも思う。恐らく、“今の『芝浜』”を知っているからだろう。先にも書いたが、これ以前の『芝浜』は、そこまで語り草になる落語ではなかったという。それを傑作にした三木助の『芝浜』は、いわば現代のありとあらゆる『芝浜』の基本形なのだろう……推測で凄いこと書くね、我ながら。

むしろ衝撃を受けたのは、もう一本の『へっつい幽霊』。“へっつい”というのは台所道具の名称で、今でいうコンロみたいなものだ。とある道具屋がこのへっついを売ったのだが、買い手がその日のうちに返しにやってくる。事情を聞くと、夜になるとこのへっついから幽霊が出てきて、銭を出せとせがむのだそうな。そんなことが何度も起こって、気付けばこのことが噂になって道具屋に客が入らなくなってしまった。しょうがない、このへっついに1円をつけて誰かに引き取ってもらおう。……と、その話をこっそり聞いていたのが、遊び人の熊さん。たまたま近くを通りかかった勘当された若旦那を引き込んで、そのへっついを預かることに……。この『へっつい幽霊』が、もうバカみたいに面白い。まず、登場するキャラクターの愛らしさが凄い。慌ててへっついを返しに来たせいで何度も何度も「道具屋」と繰り返す上方言葉の男、へっついのぶつけたところから転がってきた白い包みを見て「熊さん!幽霊の卵!」と驚いちゃう若旦那、熊さんの迫力に押されてなかなか出てこずに考え込んでしまう幽霊……どいつもこいつも愛らしい。これに加え、必要最低限な言葉で切ってしまうところが、気持ちいい。これを“鯔背”な藝というのかな。


・収録音源
『芝浜』(昭和29年12月29日・NHK「落語」にて放送/36分19秒)
『へっつい幽霊』(昭和35年8月22日・NHK「ラジオ芸能ホール」にて放送/28分8秒)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。