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落語の視点で読む『ドラえもん』 ~らくだ~

『ドラえもん』に【ホンワカキャップ】というエピソードがある。

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イヤ~なことがあったのび太。家に帰ると、パパと友達がビールを飲み交わしている。……昼間から何やってんだろうね、この大人たちは。「いやなことはみんな忘れて、楽しくやろうじゃないの」と口にするパパ。その様子を見ていたのび太は、ドラえもんにポロリと愚痴をこぼす。

のび太「おとなはいいよな。お酒のんでいい気持ちになれて」
のび太「不公平だ!!」


涙ながらにそう訴えるのび太を見て、ドラえもんは「お酒を飲まなくても、いい気持ちになれるよ」と“ホンワカキャップ”という道具を出してあげる。ドラえもん曰く、このキャップを通して注がれる飲み物はホンワカ放射能を帯びて、飲むとホンワカとした気分になれるのだという。……放射能って聞くとドキッとするのは私だけかしらん。

早速、ホンワカキャップを着けたジュースを飲んでみるのび太。すると……。

のび太「ただのジュースとかわらない」
 ホワ~
のび太「なんだかいい気持ちになってきた」
のび太「♪月が~でたで~た~月がで~たヨイヨイ」


完全なる酔っ払い、ここに誕生。

これをしずかちゃんに飲ませてあげたいというのび太。ドラえもんと一緒にしずかちゃんの家へと向かう。ここで出されたのが、ホームサイズのコーラ。次から次へと注がれるホンワカ放射能を帯びたコーラを飲んで、いい感じにホンワカとした三人は飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。いい気持ちになりながら、のび太とドラえもんはしずかちゃんの家を出る。

その帰り道、不機嫌そうな顔をしたジャイアンに遭遇。

のび太「あ、ジャイアンだ」
ドラえもん「黒い顔で暗~い顔してら、アハハ


何気に毒舌なドラえもん!

ホンワカとしているドラえもんは、「お~いジャイアン、いいものやるぞ!!」とジャイアンにホンワカキャップを渡してしまう。後に、酔いが冷めて後悔する二人。「あれ高いんだぞ!!」「自分がやったくせに!!」と喧嘩しながら、帰路につくのであった。

一方、ホンワカキャップを貰ったジャイアン。早速、家で宴会をしようと、スネ夫を誘う。しかし、これから塾へ行かなくてはならないスネ夫は、乗り気じゃない。実は、この話の冒頭で、スネ夫はジャイアンに切手のコレクションを奪われている。そりゃあ、乗り気じゃないのも当然というものだ。しかし、ジャイアンはそんなことお構いなしに、「おれとじゃのめねえってのか!?」とスネ夫を強引に家へと連れていく。

スネ夫「じゃ、かる~く一ぱい……」
ジャイアン「せこいこといわねえで、ガバガバやれ!」


最初は乗り気ではなかったスネ夫だが、ホンワカ放射能を帯びたコーラを飲んでいくうちに、だんだんと気分がホンワカとしていく。一方のジャイアンもまた同様。こちらもやっぱり、飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。ジャイアンに至っては、家のラジカセを使って一人カラオケ大会を始める始末。

……すると、スネ夫の態度に少しずつ変化が……。

スネ夫「フー……ケッ! やめろやめろ、へたくそ
ジャイアン「いまなんといった!?」
スネ夫「(ジャイアンの顔にコーラをぶっかけて)へたくそをへたくそといってなにが悪い、へたくそ!!!


なんと、スネ夫は絡み酒だったのである。

青筋を立ててジャイアンに突っかかるスネ夫。一方のジャイアンはというと、そんなスネ夫の覇気に押されて何も言えない。まさしく“窮鼠猫を噛む”状況だ。そして状況は、更なる加速を見せていく。

ジャイアン「そろそろ塾へいかなくていいの?」
スネ夫「るせえ!! もっとつげ!!」
ジャイアン「ないよ、もう」
スネ夫「(ジャイアンに空き瓶をぶつけながら)買ってこい!」

 
この【ホンワカキャップ】とまるで同じ展開を迎える落語がある。『らくだ』だ。

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“らくだ”というあだ名の男が、河豚を食らって毒に当たって死んでしまった。死体の発見者は、兄貴分だという丁の目の半次なる男。早速、葬式をしようと考え、通りすがりの屑屋を呼びとめ、らくだの遺品から買い取れそうな代物を聞いてみるが、どれもこれも粗末でとてもじゃないが買い取れないという。そこで半次は、商売道具を取り上げた上で屑屋に、月番のところへ行って長屋の連中から香典を貰ってこい、大家のところへ行って酒とつまみを届けさせろ、漬物屋から棺桶替わりの桶を貰ってこい……などと言い始める。なかなかのろくでなしだ。ところが、このらくだという男、生前は半次以上にろくでなしのとんでもない暴れん坊で……。

それでも、どうにかこうにかして、半次から持ってくるようにいわれたものを揃えられた屑屋。そろそろ商売に戻らなくてはと道具を返すように願い出るが、その前に、お前も疲れただろうから酒の相手をしていけよなどと言われ、渋々呑むことに。ところが、実はこの屑屋、酒癖の悪さから失敗を繰り返して、今の仕事に就いているというような人物。そんな男が酒を飲めば、どうなることになるのか……。

かの立川談志は、生前「酒が人間を駄目にするのではない、人間は元々駄目だということを教えてくれるものだ」と語っている。酒を取り扱った落語は数多く存在するが、中でも『らくだ』は、人間元来の駄目さをなによりも見事に物語化した一席といえるだろう。しかし、その駄目さを晒した状態では生きていけないのが、この社会というもの。『らくだ』の屑屋はオチまで酔っ払い続けるが……。

ドラえもん「さめたあとが思いやられるなァ

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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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