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『バカリズム THE MOVIE』

バカリズム THE MOVIE [DVD]バカリズム THE MOVIE [DVD]
(2012/11/21)
升野英知(バカリズム)

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2012年1月から3月にかけて、TOKYO MX系列で「バカリズム THE MOVIE」という番組が放送されていた。“バカリズム THE MOVIE”。考えてみると、妙なタイトルである。通常、なにかしらかの言葉に“THE MOVIE”という言葉が付加される場合、それは既存の作品が映画化されたことを意味している。特に、『踊る大捜査線 THE MOVIE』『アンフェア THE MOVIE』『荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE』など、人気を博したドラマ作品が映画化される際に使われることが多い。しかし、“バカリズム”は作品の名前ではない。芸人として活動している升野英知のユニット名である。そこにはどんな深い意味が込められているのか……いや、きっとそこに深い意味など存在しない。バカリズムと映画。この二つの点を繋げただけに過ぎないのだろう。

「バカリズム THE MOVIE」は、バカリズムが映画を完成させるまでの経緯を追ったドキュメンタリー……という設定のフェイクドキュメンタリー番組である。一応、番組はバカリズムが映画を撮影することを前提に進行しているし、実際に映画を撮影するために必要なプロセスを踏んではいるのだが、その内容はというと、やれ「映画に使用するカチンコを木材からチェックする」だの、やれ「スタッフが食べる弁当を監督自らが選別する」だの、あまり映画とは関係のなさそうなことばかりやっている。それはもはや、単なる悪フザケとしか言いようがない代物であった。……というわけで、一応「バカリズムが映画を撮る!」と銘打ってはいたものの、当時の私はそれを半信半疑の気持ちで見ていた。どうせ、映画を撮影するだのなんだのいうのもフェイクなんだろう、と。

ところが同年5月、バカリズムが手掛けた“ほぼ初監督”映画『バカリズム THE MOVIE』は本当に完成され、東京・シネマアート六本木にて限定上映されたのである。まさか本当に映画が制作されているとは思ってもみなかったので、それが本当だと知った時は随分と驚いたものだ。映画は好評を博し、その後も大阪・福岡などで上映された。しかし、流石に全国上映とはいかなかったようで、上映されたという事実だけを目前に叩きつけられた田舎者(=私)は、ただただその評判を指をくわえて見ていることしかできなかったのである。泣くしかないっ。

そんな折、吉報が飛び込んできた。なんと、『バカリズム THE MOVIE』がDVD化されるのだという。それも、単なるDVD化ではない。映画本編を収録したディスクに、テレビで放送されていた「バカリズム THE MOVIE」の完全版を収録したディスク(※なんとバカリズム“ほぼ監督”のコメンタリー付!)と、映画で披露されている音楽(※東京03の単独公演テーマソングの編曲担当でもお馴染み、カンケが担当)を収録したオリジナルサウンドトラックCDを加えた、豪華三枚組仕様になっているのだという。値段は少々お高いが、それだけの価値があると確信した私は、薄っぺらな財布の奥底に眠る一万円札を握り締め、近隣のDVDショップを目指したのであった。……いや、本当はamazonだけど(←地元に金を流さない極悪人)。

『バカリズム THE MOVIE』は五つの短編で構成された、いわゆるオムニバス映画だ。それら全ての作品に、バカリズムは“ほぼ 主演・脚本・監督”として関わっている。それ故に、まったく違ったジャンルの作品を取り扱っているにも関わらず、いずれの作品にもバカリズムのエッセンスがたっぷりと染み込まれている。ただ、『トツギーノ』などのコントに見られるシュールさは、本作では控えめだ。バカリズムは本作のブックレットにおいて、【メッセージ性はなにもありません。たくさん笑って終わりです】と語っている。それはまさしく、かつての大衆映画が持っていた、エンターテインメント性にのみこだわるスタイルと同じであるように思える。『バカリズム THE MOVIE』は、シュールと呼ばれ続けてきた芸人が世に堂々と見せつけた“大衆映画”なのである。

鑑賞後は、一緒に「バカリズム THE MOVIE音頭」を踊りたくなること、間違いなし!

以下、各作品のレビュー(出来る限りネタバレ含まず)。
 
■『(株)ロック』
【他社で営業をしていたサラリーマン・矢吹が中途採用で入社した株式会社 突張商事は、暴力で支配された会社だった!】ヤンキー漫画でよく見かけるシーンやストーリーを、会社を舞台に再現した作品。セオリー通りの展開を中年男たちが繰り広げる様は、違和感がありすぎて笑いが止まらない。主人公の矢吹を演じる津田寛治も適役。オチは読めるが、役者の演技力でぐいぐいと惹きつけられる良作である。ちなみに、本作は『バカリズム THE MOVIE』で唯一、バカリズム主演ではない作品である。一本目にあえて自身が目立たない作品を持ってきたところに、本作への自信が感じられる。

■『メンコバトラー M』
【メンコバトルで名を馳せる少年、升野ことメンコバトラーMの元に送りつけられたのは「世界メンコバトルトーナメント」の招待状。世界各国のメンコ猛者を相手に、升野は勝ち上がることは出来るのか!?】『バカリズム THE MOVIE』唯一のアニメーション作品。熱血系少年マンガのセオリーを踏んでいるという意味では、先の『(株)ロック』に似ている。但し、表現方法をアニメーションにしているため、常軌を逸したボケの数が格段に多い。気がつくと、何度も「なんでだよ!」とツッコミを入れること間違いなし。しかし、本作の最大のツッコミどころは、使用されている絵の全てをニイルセン(※お笑いライブの小道具作りで有名。通称“天才ニイルセン”)が手掛けているという点。ご苦労さんです、としか言いようがない。

■『トップアイドルと交際することへの考察』
【喫茶店でケンカしているカップルを眺めながら、男女の関係について考え込んでいる一人の男。(どうして、こんな争いが起こるのだろう?) 考えているうちに、気付けば男は(トップアイドルに告白されても断るだろう)という結論に至る】大半がバカリズムのモノローグで構成された作品。男女の関係を理論的に解説しようとする様は、小林賢太郎(ラーメンズ)が手掛けたショートフィルム『机上の空論』を彷彿とさせる。個人的にはあまりはまらなかったのだが、上映会でのアンケートでは女性人気の高かったらしい。女性が共感を覚える部分が多いのだろうか。

■『魔スノが来たりて口笛を吹く』
【転校生の魔スノ少年は、弱気で大人しい性格をしていたために、クラスのいじめっ子に目をつけられてしまった。しかし、彼にはもう一つの顔があった。耳をすませば、あの口笛の音が……!】藤子不二雄Aの某作品に対するオマージュまみれの作品。基本的な展開もまったく同じなのだが……これ以上書くとネタバレになるので、自粛。原作のマンガがあるという設定なので、ここぞという場面になると、そのマンガのワンシーンが挿入されている。実に芸が細かい。マンガを手掛けているのは、言うまでもなくニイルセンである。働き者だ。テーマソングを歌っているのは、バカリズムライブでお馴染み奥村愛子。ある種、最もバカリズムらしい作品といえるのかもしれない。

■『帰ってきたバカリズムマン』
【御存知バカリズムマンが帰ってきた! 今度の敵もやっぱり怪人ボーズ……と思いきや、なんと今度は二人が協力……?】テレビ東京で放送されていた特撮パロディドラマ『バカリズムマン対怪人ボーズ』の新作。但し、あくまでも特撮ドラマとしての本分を全うしていた『バカリズムマン対~』に対し、本作は分かりやすいツッコミどころが格段に増えており、かなりコメディ色を強めた内容になっている。とはいえ、特撮パロディとしての本分は忘れておらず、特撮あるあるなシーンもてんこ盛り。「なんでこの人出ちゃってんの?」でお馴染み、Bose(スチャダラパー)の名演にも注目だ!
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今更

今更ながらずっと見たかった映画で、やっとDVDでレンタル出来たので嬉しくて書き込みます…

全体的に良作ですね。バカリズムのナンセンスワールドが炸裂してます。
1番良かったのは、ハマらないと言ってた「トップアイドルと付き合う上での考察」ですね。
とにかく想像上の話なのに、考え過ぎてる感じが出て好きです。
逆に残念だったのが「魔スノが来たりて笛を吹く」ですかね…
面白いんですけど、途中でだれてしまって巻き返すと思ったらオチが唐突で…
でもやっぱり面白いですね。
とりあえずバカリズム監督、ニイルセン先生、お疲れ様です。

ニイルセンは本当に大変だったと思いますw
そろそろ記憶が薄れてきたので、もっかい観てもいいかもしれない。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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https://twitter.com/Sugaya03

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