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井上涼の大胆かつ慎ましい世界


YouTubeで見つけた『YADOKARI』という動画が、頭から離れない。厳密に言うと、動画の中で流れている楽曲と歌詞が頭から離れない。どうしたもんか。明るくてポップなメロディラインに対し、ところどころひねりを加えた言葉選びで構築された歌詞のギャップがとにかくたまらない。それなのに、そこで主張していることは非常に共感できるから、また不思議な印象を与える。これはどうも、童話の異質さに近いように思う。桃太郎って、桃から誕生したり、持参するものがきびだんごだったり、仲間が動物だったり、なんかヘンテコなんだけれども、それらは全て勧善懲悪というベーシックな物語性に包括されているという……。
 
『YADOKARI』を作ったのは井上涼という人。ニコニコ動画でけっこう話題を集めたミュージカル短編アニメ『赤ずきんと健康』を手掛けた人でもある。



これもなかなかブッ飛んだ作品だ。『赤ずきん』という既存の作品をモチーフにしていて、シチュエーションも原典に沿っているのに、いきなりのメタ発言、そしてすぐさま完全に『赤ずきん』の世界を逸脱・超越・脱出してしまうスピード感は、もはや圧巻の一言である。そして、冠されたタイトルが、『赤ずきんと健康』……もっと他に適したタイトルがあるだろ! 例えば、ほら……なんかあるだろ! いや、これがピッタリなのか。もう、さっぱり分からない。でも、そこがイイ。

これらの他にも、HATOYAのCMで流れていた歌をリミックスした楽曲に合わせたアニメーション映像『HATOYA』や、旧尼崎警察署でのAMA展にて展示された抜け忍の物語『さようなら忍者A』などの作品をネット上で観ることが出来る。中には、『アイドルヶ丘』『魔女の歌』のように、ご本人がパフォーマーとして登場することも。

今年の12月に個展も開催したらしい。



行きたかったなあ。

井上涼のパフォーマンスを見ていると、『ピタゴラスイッチ』で知られる佐藤雅彦の著書『プチ哲学』に描かれたイラストと、そこに書かれたコラムを思い出す。そこに描かれているのは、五杯のコーヒーカップとミルク瓶と砂糖瓶だ。ミルク瓶が「ミルクいる人ー?」と聞くと、一杯コーヒーカップが「はーい」と手を挙げる。砂糖瓶が「さとういる人ー?」と聞くと、今度は三杯のコーヒーカップが「はーい」と手を挙げる。このコーヒーカップたちの姿について、佐藤氏は次の様に解説している。

彼らは、その日常をとても素直に、普通のこととして受け入れています。この世界で自分に生まれつき与えられた役目を何の疑問もなく、明るく果たしているのです。(略)私たちは当たり前のように、自分自身やとりまく環境に対して、さまざまな疑問を投げかけます。それは決して悪いことではありません。しかし、自分自身や環境を素直に受け入れることも大事だということを、このコーヒーカップたちは教えてくれてます。

『プチ哲学』より


井上涼の作品には、そんな無垢な連中の愛おしさが溢れている様な気がするのだ。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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