スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『華氏451』

華氏451 [DVD]華氏451 [DVD]
(2012/05/09)
オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ 他

商品詳細を見る

今から何週間か前に放送された『オデッサの階段』という番組で、この映画の映像が一瞬だけ流された。どういう理由でその映像が使われたのかは覚えていないけれど、作品の性質から察するに、表現云々に関する使われ方だったのだろう。この作品……もとい、これの原作にあたる『華氏451度』のことを、私は以前から知っていた。ドキュメンタリー映画の監督として知られているマイケル・ムーアの作品『華氏911』のタイトルの由来が、この作品だったからだ。しかし、これを原作とした映画が存在するということ、また、それがSF映画の類であるということを、私はまるで知らなかった。その番組で流されていた映像の雰囲気も良さそうだし、一度くらい観てみることにしようか……と、先日レンタルショップで借りてきて、鑑賞したのだが。これがもう、とてつもなく面白かった!

『華氏451』の舞台は、読書が禁じられている未来だ。本を読むことは人間に悪い影響を与えるので、良くないとされている。人々の娯楽はもっぱらテレビとドラッグ。司会者は視聴者に対して「いとこのみなさん」と語りかけ、また視聴者もテレビ出演者のことを「いとこの○○」という風に話している。ドラッグには様々な種類があって、たまにそれが原因で救急車が出動する。ちょっとした中毒症状なら、血を全て入れ替えてしまえば解決だ。物語の主人公・モンターグは、この世界で消防士の仕事に就いている。しかし、この世界における消防士は、私たちが知っている消防士とは違う。この世界の消防士は、火を消すのではなく、書物を焼き払う仕事として存在している。タレコミを元に現地へと駆け付け、家宅捜索の後に書物を全て燃やしてしまう。それがモンターグの仕事だ。そんな彼に、一人の女性が近付いてくる。彼女の名はクラリスといい、学校で教師の職に就いている。彼女と何度かの会話を交わしていくうちに、モンターグは少しずつ読書という行為に対して興味を抱くようになる。そしてある日、遂に……。

SF映画とはいえ、宇宙人や特殊な機械などは殆ど登場しない。それなりに頑張った特撮による“飛行警官”の存在が、唯一SFっぽい。とはいえ、作品全体に漂う「人間らしからぬ人間」の姿は、やっぱりどこか非現実的に見える。この雰囲気は、以前に観た『夢のチョコレート工場』を思い出させた。……ジョニー・デップじゃないヤツね。ちょっと上から目線な言い方になるが、非現実的な世界観を当時の演出でどうにかこうにか頑張ってみました的な映像の味わいというか。その頑張りが故の、人間臭くない人間の画というか。最近のCGとかじゃ出せないところを、演技で上手くカバーしました的な(『夢の~』は映像だけでもかなり頑張ってたけど)。そういう良さがある。……視点がマニアックだな。でも、なにより、この作品が素晴らしいのは、その世界観の広げかただ。「もしも読書が許されない世界があったら?」という大喜利に上手く答えている。読書が禁止される理由、読書の代わりに発展する娯楽、どのようにして禁止されているのか……それぞれの回答が実に上手い。「読書が禁じられている理由」が割ときちんとしているところとか、凄いよなあ。個人的に衝撃を受けたのは、読書家たちが法律に反することなく書物を楽しむ方法。暴力に訴えず、ただ自らの楽しみのためだけに困難に臨む人たちの姿は、狂気的であると同時に、とても慎ましく、そして美しい。良い映画でした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。