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『運が良けりゃ』

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(2012/12/21)
ハナ肇、倍賞千恵子 他

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1966年作品。貧乏長屋で生活しているたくましい人々の姿を、古典落語の要素を取り入れて描いている時代劇。手がけているのは、『男はつらいよ』シリーズで知られる山田洋次監督。なんでも本作は、監督が手がけた初めての時代劇だそうな。また監修を、落語評論家として知られる安藤鶴夫氏が務めている。立川流家元のエッセイの影響で、どうもこの人にはあんまりいい印象がない。うむむ。

はっきりいって本作、映画ならではのカタルシスは弱い。主人公の熊五郎を中心に物語が進んではいるものの、基軸となるストーリーが存在しないので、映画特有の重厚な後味は得られない。一応、作中では、熊五郎の妹であるおせいと汲み取りの吾助の出会いから結婚までが描かれてはいるものの、それもストーリーとしては脆弱だ。ハナ肇演じる熊五郎、犬塚弘演じる八つぁん、砂塚秀夫演じる若旦那、花沢徳衛演じる大家など、キャラクターのクオリティが異常に高いだけに、なんとも惜しい(中でもハナ肇の熊は素晴らしい。ちょっと荒っぽいが、後半で『らくだ』が使われることを考慮すると納得)。これで、鑑賞後に素晴らしい余韻さえ残せていれば、『幕末太陽傳』レベルの傑作になっていたんじゃないだろうか。

本作で引用されている落語は、先に名前を挙げた『さんま火事』『らくだ』の他に、『突き落とし』『妾馬(八五郎出世)』『黄金餅』などなど。いずれも上手く映像化されているが、一方で、このネタをここに使う理由がよく分からないと感じることも。例えば、序盤で使われている『突き落とし』だが、どうしても女遊びをしたいというのであれば、後になって登場する若旦那を利用すればいいだけの話に思える。落語にはそういった内容の演目もあるし(『羽織の遊び』)、それに若旦那の存在だって一層際立つ。わざわざ『突き落とし』なんて、人気の無いネタを使った理由が分からない。確か、アンツル先生も嫌いなネタだと公言していたと思うが……などと文句ばかりをたらたら述べてはいるが、それなりには面白い。長屋の人たちのやりとりはドライでいかにも落語的だし、『黄金餅』の映像は目を見張るド迫力だ。落語ファンなら一見の価値ありといって間違いない。

ちなみに、『運が良けりゃ』は『男はつらいよ』以前の作品なのだが、八五郎とおせいの関係はまさしく寅さんとさくらの関係そのもの。おせいとさくらを演じているのは同じ倍賞千恵子だし、『運が良けりゃ』には渥美清もチョイ役で出演している。思うに、本作は『男はつらいよ』の基盤を作った作品といえるのではあるまいか……と、知ったかぶりを決めてみたり。いや、もしかしたら、山田洋次監督の作品は基本的にそういうモノなのかもしれないが……。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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