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「my 5th elements」

何年か前に、Twitter上で「my 5th elements」という言葉が話題になった。現在の自らを形成する5つのルーツを挙げて、それらについて語ろうというのである(詳しくは、相沢さんの「恋愛」、てれびのスキマさんの「ラテラ」をご参考)。当時、私もその話題に乗った記憶が漠然と残っているのだが、どんな言葉を挙げて、どんな話についてツイートしたのか、まったく覚えていない。そこで今回、改めて自らのルーツについて語ってみるのはどうだろう、と考えた次第である。……正直なところ、とてつもなく個人的な話なので、誰がこんな記事を読みたいのかと思わなくもなかったが、所詮は個人ブログだからいいじゃないかと開き直ることにした。興味があれば読んでみて。
 
■水木しげる
河童の三平 (ちくま文庫)河童の三平 (ちくま文庫)
(1988/06)
水木 しげる

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物心がついた瞬間から、私は水木しげるが大好きな少年だった。つまり、物心がつくより以前から、水木しげるに対して興味を抱いていたということである。理性ではなく感性で刺激を受けていたのだろう……と書くと、なにやら仰々しい印象を与えなくもないが、今にして思い返してみるに、私はただ単純に、異質な存在に対して強い関心を抱いている子どもだったのである。だが、水木作品以外の妖怪漫画に対して、幼き日の私が興味を抱くことはなかった。表面的な異質だけではなく、水木作品特有の呑気さ、大らかさ、不可解さにも惹かれていたのかもしれない。よく読んでいたのは、一般的に知られている水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』だったが、最も衝撃を受けたのは『河童の三平』だ。ハッピーエンドじゃない少年漫画を読んだのは、これが初めてだったように思う。

■松本零士
聖凡人伝 (1) (小学館文庫)聖凡人伝 (1) (小学館文庫)
(1996/05)
松本 零士

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中学生になってからは、松本零士の漫画をよく読んでいた。ただ、私がよく読んでいたのは、『宇宙戦艦ヤマト』や『キャプテンハーロック』、或いは『銀河鉄道999』の様なSF超大作ではなく、『男おいどん』『聖凡人伝』『元祖大四畳半大物語』の様な狭くて汚い四畳半を舞台とした作品だった。実家がそこそこに裕福だったからなのか、当時の私には貧乏な環境に対する憧れがあったのではないかと思う。貧乏な人にしてみればろくでもない話である。中でも、『聖凡人伝』はよく読んだ。『男おいどん』『元祖大四畳半大物語』に比べて、『聖凡人伝』はあまりにも狂っていた。主人公が住んでいるアパートは当然ながら四畳半だが、毎日といっていいほどに首吊り自殺が行われているし、隣の部屋にはセックスコンサルタントが住んでいるし、アパートの隣には超高層マンションが建っているのだが、そこの管理人と主人公はことあるごとにセックスを楽しんでいる。正気の沙汰ではない。だが、そんな狂気に憧れていた時代があった。

■村上春樹
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)
(2004/09/15)
村上 春樹

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高校の夏、何年生の夏だったかは覚えていないが、とにかく高校生だったことは間違いない。宿題として渡された国語の問題集の中に、やたらとスマートな文章が抜粋されていたのである。それまでにも小説の類いは何冊か読んだことはあったが、こんなにも魅力的で、滑らかに読める文章はそれまで見たことがなかった。その文章を扱った問題を解き終ってからも、何度も何度もその短い文章を読み返して、その度に感動していた。傍から見れば、なかなかに気色悪い高校生である。この時、問題集で引用されていたのが、村上春樹の『風の歌を聴け』だった。以後、次から次へと村上作品に手を出し、その度に文章の美しさに感動していた。こんな文章を書いてみたいと心底思った。実際、そういう文章を書いてみようとしたこともあったが、いつも途中で恥ずかしくなってやめてしまった。結局のところ、村上春樹の文章と私の気質はまったく異なっていたのである。そのうちに「彼はきっと、呼吸するようにこんな美しい文章を書けるのだろう」と考えて、私は美しい文章を諦めてしまった。なお、当時にしても、今にしても、私は村上春樹の小説に込められた意味なるものについて、理解できたことはない。でも、その文章には、今でも憧れている。

■ラーメンズ
Rahmens 0001 select [DVD]Rahmens 0001 select [DVD]
(2002/08/21)
ラーメンズ

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大学に入ってすぐのことだ。地元では見たことのなかった大きなCDショップで、私は一枚のDVDを発見したのである。それは、ラーメンズのベストDVD『Rahmens 0001 select』だった。当時の私は、『爆笑オンエアバトル』を毎回チェックする程度のお笑い好き。その頃、既にラーメンズはテレビへの露出を控えていたが、彼らが『爆笑オンエアバトル』に出場していたことを私は知識として知っていたので、このDVDに対して強い興味を抱いていた。そして、殆どネタを認識していなかった彼らのDVDを、衝動買いしたのである。で、ハマった。思いっきりハマった。こんなにも面白いコントが世の中に存在したのかと、とてつもない衝撃を受けた。それは、ラーメンズが語られる際に注目されがちな「発想」「独自性」「表現」以前の、「空気」によって与えられたものだった。テレビのバラエティ番組では決して観ることの出来ない、舞台特有の張り詰めた空気。そこで繰り広げられる、洗練されたコントの数々。これをきっかけに、私はラーメンズを中心として、他のお笑い芸人のDVDもコレクションするようになっていく。現在、ラーメンズは「自称お笑い通のマイナーな笑い」として(未だに)揶揄されることも少なくないが、お笑いをアーティスティックに表現する先駆者として現在も定期的に作品を発表している点は評価されるべきではないかと思う。かっこつけてるけど。うん。

■立川談志
談志 最後の落語論談志 最後の落語論
(2009/11/17)
立川談志

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ルーツと呼ぶには恐縮するが、近年最も私が影響を受けている人物は、立川談志以外にないという結論に至った。というのは……そもそも他の人物ないし作品によるインプットが少ないというのもあるのだが……とにかく立川談志なる人物の言葉は、キレがいい。それでいて的を射ている。素人時代のみうらじゅんがボブ・ディランにしてくれと言って糸井重里の事務所を訪れたという逸話があるが、それと同じ様に、高田文夫事務所に乗り込んで行って立川談志にしてくれと言いたくなるくらい、惹かれる。また、その芸論の向こうに見える人生論が、実にしっくりとくるんだな。“常識”なんてありふれた言葉にしても、非常に納得のいく解説をしてくれる。落語家に対してもそうで、昭和の名人たちに対する解説文などは非常に合点がいくものばかり。なんという思考、なんという知識。が、談志の最たる素晴らしい点は、それを否定する余白を残しているところだろう。納得いかなければ、「談志のヤロー、また下らないこと言いやがって」と言える、言わせてもらえる有難さよ。無論、実の弟子であれば、或いは身近な人間であれば、そう簡単には言えないのだろうが……私は言っちゃうのである。口には出さないけど。でも、言う機会は限りなく少ない。大抵、納得してしまう。20代も後半に差し掛かった時分に、ここまで衝撃を受ける言葉の数々をぶつけてくれる人物を知ることが出来るとは。いや、もっと早く知っていれば良かった。もっと若い頃に知っていれば……もっと偏屈なヤツになっていただろうなあ(笑) ただ、ここで談志をルーツにすると、一つ問題が。というのは、実は落語家としての談志師について、私はまだまだ不勉強なのである。ルーツと呼ぶには、まだまだ浅い浅い……。

■総評
振り返ってみると、それぞれのルーツが見事にばらけている。共通性を感じさせない。高校生になってから急にオシャレ色が強まっている気もするが、これも別に自意識過剰などの理由ではなく、純粋な感動によるものだ。当時、私は世間にアンテナを張らない(張れない)人間だったことが、多分に影響しているのではないかと思われる。しかし今、私はむしろTwitterなどの媒体を通じて情報を得ることによって、当時の様に純粋な感動を覚える機会を自ら減らしてしまっている気がする。いや、でも情報を手に入れる機会に恵まれているともいえるのか。どっちがいいのかは分からないが、出来る限り周囲に流されることなく、自分のルーツを淡々とこしらえていきたいものですね。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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