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アンガールズ『ナタリー』(04年8月)

笑ビ! アンガールズ ~ナタリー~ [DVD]笑ビ! アンガールズ ~ナタリー~ [DVD]
(2004/08/04)
アンガールズ

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最新のお笑いDVDについて言葉を並べる作業に疲れてしまったので、気を紛らわせるために昔のDVDを引っ張り出してみた。それらの大半は、私が学生だった時分に蒐集したもので、中には10年以上前に発表された作品もある。そういった作品には、そろそろ骨董品としての値打ちが見出されてもいいのではないかと思うが、市場価格を見た限りでは、まだまだ古典としての価値は得られていないようだ。まあ、価値が付こうと付くまいと、それらの作品が私にとって思い出深い品々であることには変わりがないのだが。傑作、佳作、凡作、駄作が並んでいる中から、今日はアンガールズ『ナタリー』を観ることにした。

『ナタリー』は、TDKコアのお笑い専用レーベル“笑ビ!”より、2004年8月にリリースされた。当時、アンガールズはまだまだ世間に認知されていないコンビで、「キモカワイイ」とも呼ばれていなかった。私が初めて彼らのネタを観た番組は2003年12月に放送された『爆笑オンエアバトル』で、オンエアされたネタは『空手』だった。田中扮する師範が山根に空手を教えるというシンプルなシチュエーションコントで、二人のやり取りが逐一面白くて大笑いしたことをはっきりと覚えている。あまりにも面白かったので、後日、同じ大学のサークルに所属する友人たちに、この放送回を録画したビデオを見せたのだが、彼らはアンガールズよりもパンクブーブーの漫才に大笑いしていた。パンクブーブーを否定するわけではないが、センスがないと思う。その後、二人はバラエティ番組『爆笑問題のバク天!』(2003年10月~2006年3月)でのネタ見せコーナーで人気を博し、注目を集めるように。そんな彼らが売れかけている状況下で、本作はリリースされた。

収録されているネタは、『空手』を含めたコントを五本とショートコントを二本。コントは収録用ライブでの模様が収められているが、ショートコントはスタジオでの撮影となっている。ショートコントはカメラアングル切り替え可能。『ショートコント1』は二人が手だけでショートコントを演じている映像に、『ショートコント2』はイラストに切り替えることができる。……なんだかよく分からない仕様だな。ちなみに、彼らの代表作『ファッションモデル』は未収録。

違反駐車を取り締まる警察官、先輩にバットの振り方を教わる高校球児、ゴロツキどもを待ち構えているテキサスの保安官と、『空手』と同様に特定のシチュエーションを演じているコントが主。いずれのコントも面白いが、やっぱり『空手』は突出して出来がいい。動きが多いし、流れがスムーズで分かりやすいし、ほどほどに想像をくすぐる演出にしているのもいい。個人的に一番好きなくだりをちょっと抜粋してみよう。真剣さが見えない山根に、田中が説教を始める場面より。

田中「お前、もっと真剣な目をしてみろ」
山根「オッス……!」
田中「もっと真剣に!」
山根「オッス……!」
田中「……あれ、お前黒目デカいなあ。黒目デカいとちょっと不利なんだよ、真剣な目をしても真剣に見えないから」
山根「え? でも犬は黒目デカいですけど真剣に見えますよ?」
田中「(ニヤニヤしながら)あ、ちょっと、犬の話されたらヤバいなって俺も言った瞬間思ったんだよ……(真面目な表情に戻り)戻って良し!」

(『空手』より)


「黒目デカい=真剣に見えない」という発想もさることながら、「黒目デカい=犬=真剣に見えるのでは?」という切り返しの上手さ。しかし、なにより笑えるのが、山根に反論された時の田中のリアクション! 自分が想定していた「追及されたくない部分」を見事に突かれたが故の照れ笑い、そして我に返るというスムーズな下らなさ! 黒目に着目するというセンスを感じさせる視点で始まっているのに、その先にあるのが照れ笑いというアンバランスさがなんともたまらない。そして、このアンバランスがあるからこそ、アンガールズが実は才気溢れる芸人だということが未だに世間にバレていないんだろうな。うむ。

個人的に大好きなのは、『カレー』というコント。カレーの食材を買いに行く田中に山根が同行するという、これといってストーリー性の無いネタなんだけれど、これがベラボーに面白い。いや、ただ面白いというわけではなくて、正しく表現するならばブッ飛んでいて面白い。先に書いたけれど、アンガールズのコントにはシチュエーションを重視したネタが多い。二人は二人のキャラクターのままで、シチュエーションだけが違っている……という。この『カレー』も同様のパターンではあるんだけれど、二人とも頭のネジがどっか緩んでいる。登場からして凄い。通常、アンガールズのコントは二人が整列して「あいあい」と挨拶してから始まるのだが、『カレー』は二人が何も繋いでいない犬の縄を引き摺りながら登場する。……説明だけだとピンと来ないかもしれないけれど、これが画で見ると結構に異質だ。そこからネタに入るわけだけれど、このコントの導入もけっこうなアレので、そこだけちょっと抜粋してみよう。

田中「おお、山根」
山根「おお、田中」
田中「なにやってんの?」
山根「え? なにもやってないよ?」
田中「あ、なんにもやってないんだ」
山根「うん」
田中「なんかやればいいのに」
山根「うん」
田中「うん」

(『カレー』より)


「これ本当にコントか?」と疑いたくなるような中身の無いやりとりである。文字情報だけで見ると、なんとなくほのぼのとしているように感じられるかもしれないが、実際はなかなかに不穏な空気が漂っている。この後は、「お前がマジメなところもコンタクト入れる時くらいしか見たことないよ!」「コンタクト外す時もマジメだよ! ちょっと先入観で話すのやめてもらえる?」などの様なアンガールズのコントらしいやりとりも見られるんだけれど、ところどころで飛び出す『アウト☆デラックス』的な言動のせいで、ずーっと不穏な空気が漂っている。でも、この不穏な空気の中で生み出される笑いが、なんかピリッとしていて面白いんだよなあ。「こくまろ」を奪った時の山根のしたり顔とか、たまんないんだよなあ。

特典映像には、『テキサスの保安官 広島死闘編』『にらめっこ』を収録。『テキサスの保安官 広島死闘編』は、本編に収録されているコント『テキサスの保安官』に二人が広島弁の吹き替えを入れて、そこへ更にヤクザに扮した二人の姿をVシネ風を追加するという、なんとも不思議な映像コント。真面目にヤクザの兄貴分を演じている田中がかなり面白いので、観た方がいいんじゃないかと思う。


■本編(43分)
「警察官」「くらしの相談」「高校球児」「くらしの相談」「テキサスの保安官」「くらしの相談」「カレー」「くらしの相談」「空手」「くらしの相談」「ショートコント1」「ショートコント2」

■特典映像
「テキサスの保安官 広島死闘編」「にらめっこ」
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非公開コメント

ナタリーはもちろんですが
88も持ってます。そっちの方が好きかな。
コントの設定が好きなんですよね
テキサスの保安官って
中々やらないでしょカッコイイけど。
蜂を駆除するのを設定にした時は目の付け所がいいなと
当時思いました。設楽さんがMCのNHKでやってた
笑顔センサーでの審査する大会での初代チャンピオン
やっぱりアンガールズさんのコントって好きだわ。

僕は『ナタリー』の方が好きなんですよねえ…。
とか言いつつ、『88』の内容をあんまり覚えてないんですがw
『88』も久しぶりに観ようかな。
『テキサスの保安官』はいい設定でした。
独創的でありながらも、なんとなくイメージできる程の良さ。
蜂の駆除…そんなんありましたねえ、そういえばw
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
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