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『映画 けいおん!』

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(2012/07/18)
不明

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ある日、ある時、無性にアニメ映画が観たくなった。

賢明なる読者諸君に同意を得られるかどうかは分からないが、私にとって夏という季節はアニメ映画を観なくてはならない時季である。夏の熱気が、幼い頃に目にした、夏休みに入った児童をターゲットとしたアニメ映画やテレビアニメの数々を、感覚的に思い起こさせるためだろう。

とはいえ、ここで安直に昔馴染みの傑作を鑑賞するというのも、なにやら保守的で面白くない。それでは、まるで青春時代に流行した楽曲をカラオケで熱唱するような、現実を見過ぎて疲れ切っているサラリーマンだ。私はそんな視線でアニメ映画を観たくはない。あくまでも、純粋無垢にアニメ映画の世界へと飛び込みたいのである。と、そんな私の偏執的なポリシーを遂行するために、Twitterでフォロワーの方々からオススメのアニメ映画を募ったところ、幾つかの作品を薦めていただいた。持つべきものは友である。そこで薦められた作品の中に、この『映画 けいおん!』の名前もあった。

実をいうと、この『けいおん!』という作品には、以前から興味を抱いていた。もう少し詳細に書くと、『けいおん!』の様な話題作はいずれ観なくてはならないだろうという宿命の様なものを感じていた。しかし、それはあくまでも個人的な問題であって、絶対的に定められたものではない。そのため、この曖昧模糊とした問題は、実行されない可能性も大いに孕んでいたのである。そんな私が今、この作品が薦められたということは、何か一つの運命の様にも感じられた。……いや、流石にそれは嘘だけど。とにかく、私は思い切って、これまでに一度も通常放送を観たことのない『けいおん!』の映画を鑑賞しようと心に決めたのであった(ちなみに、原作の四コマ漫画はネットカフェで既読済)。

『けいおん!』は、市立桜ヶ丘女子高等学校の軽音部に所属する、四人の部員たち(途中から新入生が加わり五人となる)の三年間を描いた作品である。そして『映画 けいおん!』は、五人が卒業旅行にロンドンへと出向き、てんやわんやあって現地でライブを行ったり、教室で卒業ライブを敢行したり、卒業後に残された一人の部員に新曲をプレゼントしたりする姿が描かれている。

海外への卒業旅行に卒業ライブと、かなり大きめなイベントが展開されているにも関わらず、不思議と映画特有の高揚感は沸き上がってこない。それは私が通常放送を観ていないことも大きいのだろうが、それよりなにより、作中における彼女たちの描写があまりにも日常的であるためだろう。海外旅行はそれだけで十二分に特別なイベントだが、アニメ映画においてのそれは事件を予感させるトリガーとして取り扱われることが多いにも関わらず、本作の海外旅行は徹底的に旅行以外の何物でもない。無論、旅行特有のハプニングも幾つか見受けられるが、それらも実に現実的だ。彼女たちのテンションも日常とさして変わらない。状況は非日常であるにも関わらず、何処までも不変的な日常のトーンで描かれているのである。だから正直、ちょっと退屈にも感じた。なにせ、まるで金太郎アメの様に、何処まで行っても同じままだから。

しかし終盤、卒業式を終えた彼女たちが、学校の屋上を駆けていくシーンを見て、深く涙が流れそうになった。それはまさしく感動であった。では、どうして急に感動を覚えたのか。それは恐らく、これまで延々と描かれてきた日常が、いずれは絶対的な終焉を迎えざるを得ない刹那な青春の時間であることをはっきりと突きつけられたからだ。その行動には、はっきり言って何の意味もない。だから、あの四人が屋上を駆けることは、彼女らの人生において今後恐らく二度とない。それ故に、その姿はただひたすら青く、切なく、愛おしいほどに、刹那だった。本作の鑑賞後、幾つかの既出レビューを読んでみたところ、本作に「あの頃の青春」を重ねた人も多く見受けられたようだが、私はむしろ「あの子らの青春」に思いを馳せてしまった。空想の世界に生きていた彼女たちは、これからどんな時間を過ごしていくのだろう。この青春の果てに、何を見るのだろう。

今後、本作は青春映画の試金石として輝き続けるだろう。言い過ぎか、いや。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
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