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『下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え』(ハマカーン)

下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え下衆と女子の極み 強くなりたきゃパンを食え
(2013/06/29)
ハマカーン

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「爆笑オンエアバトル」で初めてハマカーンの漫才を観たときのことを、僕はまったく覚えていない。どういう漫才を演じていたのかも、どのくらいウケていたのかも、まったく覚えていない。ただ、ハマカーンというコンビの存在だけは、妙に頭に残っていた。それは彼らにとって二度目の出場で、初出場の時に413キロバトルというそこそこの結果を残していたことが原因なのだろう。当時、ハマカーンは2ちゃんねるでバカみたいに批判されていた。オンエアされる度に「つまらない」と罵られていた。僕も当時はボールの数ほどは面白くはないように思っていたけれど(※それからしばらくして、彼らが香川収録で披露した漫才コント『大統領とSP』で大笑い、考えを改める)、「つまらない」などと断言されるほど酷くはないとも思っていたので、それらの意見にけっこうな苛立ちを覚えたものである。しかし、それらの批判に挫けることなく、ハマカーンは番組でオンエアされ続けた。チャンピオン大会にも出場し、あと一歩のところで優勝を逃してしまったこともあった。流れ星、キャン×キャンとともに、『エンタの味方!!』というネタ番組にレギュラー出演していたこともあった(※同番組は後にDVD化。高いクオリティなので要チェックを!)。しかし、ハマカーンがいわゆる「売れっ子」になることはなかった。やがて『爆笑オンエアバトル』も卒業し、地方民には彼らの活動を確認するのは困難となってしまった。……それ故に、彼らが「下衆の極み!」と絶叫する漫才を目にしたときは、心の底から驚いた。「ハマカーンにこんなのびしろがあったのか!」と。

『下衆と女子の極み』は、ハマカーンが大学の柔道部で出会ってから「THE MANZAI 2012」で優勝するまでの出来事を振り返った回顧録だ。往々にして、こういった本にはその芸人が大成するまでに体験した様々なドラマが綴られているものだが、本書にはそのようなドラマチックな展開は皆無といっても過言ではない。はっきり言ってしまうと、ユルい。まず、芸人になった経緯からして、かなりユルい。簡単に説明すると、「学生時代、爆笑オンエアバトルでオンエアされた漫才を見て、衝動的に芸人になりたいと思った神田が、浜谷に「漫才の台本を書いたから覚えてきてよ」と一方的に告知して、なし崩しにコンビ結成」ということらしい。……なんだそりゃ。でも、今時のお笑い志望者って、そういう人が少なくないのかもしれない。師匠の元に弟子入りしなくちゃならなかった時代も過去の話、今では芸能学校もあるし、事務所非所属のインディーズのライブだって存在する。これこそが、今時の若手芸人ライフなのかもしれない。……とはいえ、彼らが漫才師として、芸人として、気持ちをユルませていたわけではない。本書には、彼らが時に戦略的に、時に計算高く、漫才師としての自らを試した経験が語られている。

それは「M-1グランプリ2008」敗者復活戦でのこと。

■浜谷
 この時の我々のネタは、急遽作ったものだった。準決勝から敗者復活戦までの2週間で、新たなネタを作ったのだ。準決勝でのネタをまたやっても、絶対に勝てないと思ったからである。我々のキャラが出ていないし、よく見る形の漫才コントで、決勝に行ける要素がまるでない。当時はここまで分析していたわけではないが、漠然と「このままじゃ、決勝には絶対行けない」という確信があった。それならば敗者復活戦で、どうなってもいいから新しいスタイルの漫才を試してみようと思ったのだ。所詮、現時点での我々は決勝に行く力がない。それならば、予選の最高峰であるこの敗者復活戦で、何かウケるためのヒントを得ておきたい。事務所のライブには、ありがたいことだが我々を好きな人が来てくれるので、どんなネタをやろうが基本的に笑ってもらえる。そこではわからないことが、敗者復活ではわかるような気がしたのだ。


■神田
 2008年の準決勝が終わって敗退が決まり、敗者復活へ臨むことになった僕らは、2人で「ネタを変えよう」とどちらからともなく切り出しました。普通なら「準決勝のネタを練り直そう」となるんだろうけれど、この時期の僕らにとってはそれが自然な流れでした。以前から感覚的に、漫才コントには限界を感じていたし。浜谷も同じような感触があったみたいで、2人で「しゃべくり漫才を1週間で作るか!」と盛り上がりました。この時から僕らは、大会で一度やって負けたネタで再挑戦することをやめたのです。


かくして「下衆の極み!」は誕生した。こういう戦い方が出来る二人だからこそ、「THE MANZAI 2012」での優勝があったのだろうなあとしみじみ思い知らされる(※勿論、「THE MANZAI 2012」に向けて、彼らが何をしていたのかも本書に記録されている)。真っ直ぐに突き進むだけじゃダメなのだ、そこで何を得るか、そこからどう活かせるかが重要なのである……って、これは芸人さんに限らない話だけれど。

ハマカーンが好きな人には勿論、現在の若手芸人の視点を感じたい人にもオススメしたい一冊である。個人的には、もうちょっとオンバトの話が知りたかったけれど。
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下衆の極みの向こう側

ご無沙汰してます。私はオンバト時代の彼等を知りませんでした。後になって「エンタの味方」のDVDで、昔のネタを見ました。2011年に「下衆の極み」で玉砕されて(浜谷談?)、翌年にその向こう側まで来たんだなーと思うと感慨深いものがありますね。

No title

そうですねえ。初オンエアから知っている人間としては(勿論、もっと以前から見てらっしゃる方もいるのでしょうが)、非常に感慨深かったです。あそこまで極端な変遷を遂げた芸人さんって、そうそういないんじゃないでしょうかね。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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