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『ムーンライズ・キングダム』

ムーンライズ・キングダム [Blu-ray]ムーンライズ・キングダム [Blu-ray]
(2013/08/02)
ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン 他

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物語の舞台は1960年代のニューイングランド島。ある朝、ボーイスカウトに所属する12歳の少年、サム・シャカスキーがキャンプから脱走してしまう。ウォード隊長はすぐさま島に滞在するシャープ警部に連絡し、彼の捜索に乗り出す。そんな折、島の少女スージー・ビショップも同様に行方不明になっていることが分かる。実は、二人は一年前に出会い、それから何度も文通を重ねていき、この日、駆け落ちすることを決意していたのだ。彼らは何処へ向かったのか。そして、彼らの恋の結末は?

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『ファンタスティック Mr.FOX』などの作品を手掛けてきた、ウェス・アンダーソン監督による作品である。私は彼の作品が大好きで、新作が公開されるたびに、地元での上映やソフト化を期待している。が、本作は迂闊にも劇場での鑑賞を逃してしまい、初見をレンタルで済ませてしまうという結果に至ってしまった(購入を見送っているのは、廉価版のリリースを待っているためである……と考えている時点で、実はさしてファンであるとはいえないのかもしれない)。本作の鑑賞後、私は劇場でこれを観なかったことを深く後悔した。もっと、しっかりと画面に集中して、その世界観に浸るべき作品だったからだ。実に、実に素晴らしい作品だった。

ウェス・アンダーソン監督の作品には、一つの共通するテーマが見られる。それは「家族」だ。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は妻や子と離れて暮らしていた父親が家族の絆を取り戻そうとする話だったし、『ダージリン急行』は三人の兄弟たちが父の死をきっかけにインド旅行へと向かう話だ。唯一のアニメーション作品である『ファンタスティック Mr.FOX』も、人間からの泥棒行為を働くことで父親としての尊厳を取り戻そうとするMr.FOXの姿が描かれている。そこには常に父親の姿があって、母親の姿があって、親たちを意識する子どもたちがいたのである。だが、本作には珍しく、親の姿が見えてこない。シャカスキーは幼い頃に両親を亡くし、複雑な性格が故に里親からも突き放されている。スージーの母親は他所の男と浮気しているし、父親は彼女を力で抑えつけようとする。親としての意識が表面的で、希薄だ。だからこそ、彼らは逃げ出したのだろう。心を寄せる親を持たない彼らは、親を必要とせずに生きるために、二人での逃避行を決断したのである。

だが、幼い二人の行く先は、とてもじゃないが現実的ではない。どんなに二人で生きるための道を進もうとしても、それは所詮、子どもの浅知恵である。だが、先が見えないからこそ、彼らは何処までも進んでいこうとする。その姿は、まるで一昔前のメロドラマの様に美しくて儚い。もし、ところどころに散りばめられた笑いの要素が無ければ、本作はとても切ない話になっていたかもしれない。その意味では、本作の落とし所は無難だが非常に納得のいくものになっているといえるだろう。だが、この結末に、私は迂闊にも涙してしまった。思うに、「そうであってほしい」という気持ちが、無意識のうちに高まっていたのだろう。彼らが絶望を知るにはあまりにも若すぎる。

とどのつまり、いい作品だった。泣いた。楽しかった。観ろ!
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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