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『キングオブコント2013』批評

キングオブコント2013 [DVD]キングオブコント2013 [DVD]
(2013/12/18)
うしろシティ、鬼ヶ島 他

商品詳細を見る

■放送日
2013年9月23日

■司会
ダウンタウン(浜田雅功・松本人志)

■アシスタント
小林悠(TBSアナウンサー)

■審査員
アームストロング、アイロンヘッド、アップダウン、イシクラノオノ、犬の心、インスタントジョンソン、インポッシブル、エネルギー、エレキコミック、かまいたち、巨匠、銀シャリ、クロスバー直撃、ザ・ギース、ザ・プラン9、ザブングル、GAG少年楽団、しずる、シソンヌ、シマッシュレコード、シャカ、ジャルジャル、ジャングルポケット、ジューシーズ、シロハタ、スパイク、スパローズ、ずん、ダブルブッキング、弾丸ジャッキー、たんぽぽ、チャーミング、ツィンテル、トップリード、ななめ45°、2700、ニッチェ、日本エレキテル連合、ねじ、パンサー、5GAP、本田兄妹、マヂカルラブリー、夜ふかしの会、ラバーガール、ラブレターズ、ロッチ、我が家、わらふぢなるお、ワルステルダム
 
【1stステージ】
■うしろシティ『上京』(773点)
とりあえず触れておかなくてはならないのは、彼らが1番手という賞レースにおいて最も厳しい順番だったということだ。1組ずつ採点結果が発表される賞レースにおいて、他のユニットとの比較が出来ない1番手はどうしても基準点として処理されてしまう。それ故に、1番手は高からず低からずな点数で落ち着いてしまいがちだ。そして、過去大会におけるトップバッターの例から推察するに、審査員である芸人たちは7点~8点あたりを基準と考えていると思われる。そのことを踏まえた上で、『上京』の話をする。『上京』は、ミュージシャンを目指して上京する阿諏訪をクラスメートの金子が見送りに来たかと思わせておいて、実は普段から「キツい」と思われていた阿諏訪が上京しても「キツい」ままでいられるのかを確認するためにやってきたという設定のコントだ。前半は阿諏訪(ないし全国各地にいるであろう「キツい」人たち)に対する金子の言及が、後半はそんな金子の言及などものともしない阿諏訪の振り切れた言動が主な笑いになっている。後半は、金子を放置して自分語りを展開する阿諏訪の間が重要になってくるのだが、緊張のせいか、それとも焦りのせいか、妙に間を詰めている印象を受けた。本来ならもっとウケても良かったと思う。オチは完全に失敗。阿諏訪のことを「キツい」と言っている金子に革ジャンを手渡したら、そりゃ放置していくに決まっている。それまで、言葉巧みに阿諏訪の「キツい」ところを面白く取り上げていたたけに、この誰もが予想出来る安直なオチの落差は悪目立ちした。このオチで、点数を1点下げた審査員は少なくなかったのではないだろうか。『オンバト+』や単独ライブで披露していた様な、更に一捻り加えたオチをそのまま演じていた方が良かったのではないかと思う。どうしてオチをイジったのか。理由は分からないが、失敗だ。

■鬼ヶ島『グリーングリーン』(904点)
音痴だから音楽の授業で声を出せない野田が、『グリーングリーン』の合唱で頑張って声を出そうとするのだが、どうしても単なる奇声にしか聞こえない。うしろシティに対し、こちらは点数が高過ぎるのではないかという話を聞く。どうだろう。高いといえば高いような気もするが、妥当といえば妥当な気もする。少なくとも、このコントは良く出来ている。一見すると、ただ単純にムチャクチャな要素をごちゃ混ぜにしているだけの様だが、一つ一つの展開は決して突飛ではなく、きちんと練り上げられた構成の上に成り立っている。それなのに、悪魔だのなんだのを持ち込んでくるところが、鬼ヶ島のいいところだ。前回の決勝戦で披露したコントを踏襲したエンディングになっているのもいい。前回より確実に進化を遂げていることが、分かりやすく伝わってくる。惜しむらくは、「顔が可愛いからだ!」があんまりウケなかったこと。あのタイミングで放り込むボケとしては、かなりバカバカしくて好きだったのだが……。

■かもめんたる『路上詩人』(923点)
路上で色紙に書いた“オリジナルの言葉”を売っている青年に、宝くじを当てて大金持ちになったという中年女性が話しかけ、色紙を全て購入しようとするのだが……。自分の才能を信じている青年が、路上で出会った女性によって徹底的に叩きのめされる、そのあまりのエゲツなさが笑いになっている。ただ、このエゲツない笑いは、観客が少しでも青年に対して共感を抱いてしまっては、成立しない。そのため、このネタには、さりげなく青年に対して嫌悪感を抱けるように仕組まれている。例えば、青年の底の浅さを表している、こんなやりとり。「こんな言葉に共感すんのね、人生経験の無い薄っぺらい若い女だけだろー?」という女性の発言に対して、「なんだよ、悪いかよ!」と答えてしまう、この情けなさ! ただ、なによりも素晴らしかったのは、終盤のひとひねり。アーティストぶったオチを予感させておいて、キチッと締める。あの美しいオチがあってこそ、この高得点だったといえるだろう。……最後に余談。このネタの本質は、他人が如何にも感動しそうなあざとい言葉を売っている青年が、中年女性の忌憚のない意見によって心を動かされる(=感動する)、そんな皮肉めいた部分にあったように思う。そういうのも含めて、実に素晴らしいコントだった。

■天竺鼠『寿司』(879点)
寿司オンステージ。こういうネタはあんまり語りたくないので、手短に。以前に2700が『キングオブコント』の決勝戦で披露していたコント『キリンスマッシュ』を彷彿とさせる。ただ、『キリンスマッシュ』が完全に独自の世界を築いていたのに対し、このネタは“小学生の寿司ネタの好み”というあるあるネタの要素が組み込まれているので、幾らか分かりやすくなっている。明らかに求められていないのに懸命にアピールするサバに対して、決して心を許そうとしないあたりが如何にも子どものリアクションらしくて良かった。あと、急に登場する職人。あのアクセントは利いたな……。個人的にはもう一展開あったらもっと評価されたような気もするが、あのまま終わらせてしまう美学は理解できる。

■アルコ&ピース『受精』(831点)
精子と卵子を擬人化し、その受精に至るまでの行程を描く。奇抜な設定に目が奪われそうになるが、内容は純然たるシチュエーション置き換え型コント。【生命の神秘である“受精”を業務的にこなしている精子と卵子】というギャップが笑いに昇華されている。そのギャップを最大限に活かすために、コントから“受精”の生々しさを徹底的に排除し、大人な態度で業務的な説明をこなしていく様を描く必要があったのだが、序盤の「入り口でビチャビチャに濡れちゃったんですよね」という生々しい表現で完全に失速。じわじわと世界に引き込むコントで、この失速は痛い。オチもキレが悪かった。アルコ&ピースのDVD『博愛』で同じネタ観たときは、確か平子が「着床!」と叫んでスパッと終わらせていた筈なのだが。賞レースに欲を見せて、イジってしまったのだろうか。個人的には、こういうあざとさの見える感動オチでも別に構わないとは思うが、それならせめて最後にニヤッとさせる一言があってほしかった。はっきり言ってしまうと、「以上、内閣府からのお知らせでした!」くらいのオチは欲しかった。それが出来ないのなら、従来のオチでいい。ここからは余談……苦情を誇りと思うのなら、別にそれでいいけど。でも、私は決勝戦で、熱気のこもった演技をブチかます平子が観たかったよ。

■TKO『ぬいぐるみ』(896点)
引っ越しの前日、親に捨てるように言われたぬいぐるみが、いきなり喋り始めて……。ディズニーアニメで目にするようなファンタジーな設定を、見た目が気色悪いぬいぐるみでやってみたコント。本来ならば美しい物語として捉えられる話が、見た目がグロテスクというだけで、これほどまでに印象が変わってしまうものなのか。このコントが興味深いのは、ぬいぐるみの言動におかしい部分が見受けられない点である。確かに、軽率な発言も見られるが、喋り慣れていないという前提がその理由として成立する。ぬいぐるみの言動の不気味な点は全て理由付けされていて、だからこそ、少年の理不尽だが仕方無い対応が逐一笑える。その関係性に隙を与えない木下の不気味な演技も素晴らしい。段ボール箱から這い出てきたときの、あの絶妙に不気味な速度!

■ジグザグジギー『満月』(825点)
先生の退院祝いの帰り道、満月を目にした先生の様子が……。一つのパターンを少しずつズラしていく、ジグザグジギーのコントではお馴染みの形式。個人的にも大好きなネタなのだが、賞レース仕様に短く切り詰められている感があって、従来の面白さを出し切れていない印象を受けた。例えば、教師が叫び続けて、ご近所に御迷惑をおかけする場面などは、もっと時間を置く必要があったように思う。そもそも、動き続ける宮澤の面白さを伝える時間を必要とするコントなので、時間制限のある賞レース向きですらないのだが……こればっかりは仕方ない。このネタで決勝戦に進出したんだから。それはそうとして、世間的にはまだ知られていない彼らが演じるネタとして、この『満月』を1本目に持ってくるという選択が正しかったのかどうかという疑念も残る。ジグザグジギーのクドいコントのベーシックなスタイルを1本目で提示し(『喫茶店のお会計』あたり)、それが認識された後で、この『満月』を披露した方が少なくとも世間的には効果的だったのではないだろうか。とにかく、時間が足りなかった。

■さらば青春の光『ROCK』(899点)
ライブの翌日、工場の休憩所にて。昨年大会で彼らが披露した『ぼったくりバー』『いたいのとんでけ』に見られた、ある部分を極端に描くことでナンセンスな笑いを生み出すという手法(『ぼったくりバー』における支払額、『いたいのとんでけ』における治癒速度)を、よりリアリティのある展開で描いているコント。正直、東京03やインパルスのコントと少し似ているようにも感じたが、お笑いにおいてネガティブに描かれがちな「若者の叫び」をポジティブに描くことで、上手く差別化できていたように思う(うしろシティ、かもめんたると、そういう形式のコントが続いていたし)。ただ、このコントで最もアピールすべき「ROCKが響いて、ライブを観に来た仕事仲間が次々に仕事を辞めて夢を追いかけ始める」というくだりを中盤に持ってきたため、何処か盛り上がりに欠けるエンディングを迎えることに。……はっきり言ってしまうと、練り込みが足りない。せっかくの面白い素材を活かし切れていない。惜しくも900点を超えなかった原因はそこにあるぞ。たぶん。

【2ndステージ】
■うしろシティ『娘さんをください』(814点)
「娘さんと結婚させてください!」とやってきた若者は、俳優志望のフリーター。貯金を切り崩しながら生活しているというが、その額はなんと100億円で……。100億円という非現実的な金額を提示された際における、人間の動揺を描いたコント。それ故に、このネタは父親を演じている金子の演技が重要になってくるのだが、妙にキャラ付けされているために、設定の面白さが伝わりにくくなってしまっている。もし、これがもっと自然に「動揺する父親」を演じられる芸人がやっていれば、例えば内村光良か大竹一樹あたりが演じていれば、その面白さは段違いだっただろう。正直、かなりベーシックな設定ではあったが、「600円くんない?」に彼らのセンスが見えた。ああいうのがもっと出せていれば、もうちょっと健闘出来たのでは。

■ジグザグジギー『逮捕』(819点)
ナイフを持っている殺人犯を逮捕しようとする刑事、しかし握力が強すぎて……。途中までは良かった。途中までは。1本目で満足に発揮できなかった、ジグザグジギー特有のパターンボケをしっかりと見せつけられていた。観客もちゃんと付いてきていた。それなのに、どうしていきなりミュージカルみたいなことを始めてしまったのか。自分たちのスタイルをまだきちんと提示できていない状態で、なんで『満月』以上に変則的なネタを持ってきてしまったのか。準決勝で披露した『満月』を演じたのは仕方がないにしても、このネタを2本目に持って来たのは失策としか言いようがない。というか、これはジグザグジギーの従来のネタが知られていないと、観客に伝わらないネタではないのか。そんなネタがキングオブコントの決勝でウケるわけがない。……それらの疑問を無視したとしても、どうせミュージカルを始めるのであれば、その状態で最後まで突っ切ってもらいたかった。2700の出現以後であることを考慮すると、そのくらいの攻めは通用しただろう。もとい、そうすべきだった。

■アルコ&ピース『ケータイショップ』(808点)
トイレに水没したケータイとのお別れをドラマチックに。1本目の『受精』と同様の、シチュエーション置き換え型コント。【水没したケータイを亡くなった恋人の様に扱う】というギャップが笑いに昇華されている。平子の熱のこもった演技と酒井の業務的な応対の差も効果的だ。シチュエーションの良さを活かし切っているという意味では、演技は完璧に近かったのではないだろうか。ただ、ネタの設定から作りから、あまりにもベーシック過ぎて、純粋に日本一のコントを決定する大会向けではなかった。はっきり言ってしまうと、発想が平凡なのだ。まあ、あえての直球を狙ったのかもしれないが……せめて、1本目の『受精』とは違ったアプローチのネタを選んでいれば、もうちょっと良い結果を得られたのではないかと。

■天竺鼠『交通事故』(946点)
交通事故を起こしてしまった運転手がトリッキー。前半は、オーソドックスなシチュエーションの中に放り込まれる、空気の読めないボケがとにかく素晴らしい。「事故関係ないでしょ!」「待ち受けだけ変えさせてください!」「本当にテヘペロです」の三点で、しっかりと観客の意識をコントの世界に取り込めている。先のアルコ&ピースが、かなりベーシックなコントであったことも、少なからず効果的に働いているのではないだろうか。基本的には親切な態度なのに、ふとした瞬間にいきなり失礼な言動を取ってしまう、この設定を逸脱しない絶妙なバランスもたまらない。……そして後半は、川原演じる運転手の自傷行為における効果音を駆使したバカコントへと発展。やっていること自体は非常に下らないのだが、前半の逸脱しない交通事故のくだりがあるため、その不条理さが強調されている。1本目とはまったく違った手法で、天竺鼠のスタイルを見事に表現しきった、完成度の高いコントだったように思う。ただ、暗転の最中にもう一回、ボケが欲しかったような気も……。そこは、やはり美学なのか。余談だが、ネタ以外の部分で最も結果を残していたのは、彼らだったと思う。「じゃあ、パンサー!」。

■TKO『新コーナー』(808点)
とある生放送のバラエティ番組の新コーナーは、簡単なクイズに答えると1万円が貰えるという視聴者参加型企画。早速、送られてきた葉書に書かれた番号に電話をかけてみるのだが……。生放送の賞レースで生放送のハプニングをモチーフとしたコントを披露するという、その着想は嫌いじゃない。ベテランならではのしっかりとした演技力に、安心して笑うことの出来る構成力は、流石の一言だ。ただ、生放送のハプニングをモチーフとしているにも関わらず、現実に起こり得るハプニングの域を超えない内容だったことが、非常に残念。彼らにとっては一番のパンチラインだったであろうとんでもない下ネタ(「知らないおじさんの上に……」ね)も観客に引かれてしまって、なんとも尻すぼみな結果に終わってしまった。……余談だが、「ほら、生放送でこんなスベっちゃった!」という木下の台詞は、コントそのものに対する自己批判だったと思うので、審査員はもっとしっかりと彼らに低得点を入れるべきだったのではないかと。……うん、どうでもいい。

■さらば青春の光『オカリナ』(847点)
絶対に契約を取ってこいと言われてきた営業マン。どうにか契約してもらおうと取引先の社長のセンスを持ち上げ始めるのだが、そんな彼の前に出されたものは……。オカリナが登場する前に、高いモノを褒めるときと安いモノを褒めるときの言葉が提示されているあたりが、実に丁寧だ。これがあるからこそ、オカリナの値段を提示された際の森田の動揺の原因が分かりやすくなる。8,000円という価格設定も見事。オカリナの値段として高いのか安いのか、実に分かりにくい。ここは、むしろオカリナというアイテムを選んだ、その発見に感心すべきかもしれない。そこから重さの話を経由して、穴の数の話へと展開する流れも自然だ。穴の数なんてどれも同じだろう……と冷静に判断させる隙を与えない。そんな折、オカリナの繊細な音が繊細過ぎて聴こえないという、1本目の批評でも書いた「ある部分を極端に描くことでナンセンスな笑いを生み出す」彼らお得意の手法を盛り込んだ展開に。恐らく、彼らは「繊細過ぎて聴こえないオカリナ」に大して、確固たる自信があったのだろう。でなければ、このボケを最後まで引っ張り続けようという選択を取らなかった筈だ。ところが、その目論みは見事に外れた。「繊細過ぎて聴こえないオカリナ」というボケにさほど衝撃を受けなかったのである。考えてもみれば当然だ。これまで、独創的なボケの数々を味わってきた観客と視聴者にとって、「繊細過ぎて聴こえないオカリナ」は単なるスカシボケ以外の何物でもない。その結果、観る側は彼らに更なる展開を求めることになる。だが、そんなモノは準備されていない。「繊細過ぎて聴こえないオカリナ」は、彼らにとって確実にヒットする鉄板の展開だったからだ。故に、このコントは竜頭蛇尾な、とてつもなく尻すぼみな結末を迎えてしまう。……ここまでセンス重視な展開になっていなければ、もうちょっと評価もされていたかもしれない。運が悪かった。

■鬼ヶ島『フィナーレ』(950点)
友達のおおかわらのおばあちゃんのエピソードを聞かされるたびに、笑い過ぎて気絶してしまう野田。気絶するたびに、彼はとてつもない快感を覚えるそうで(彼はそれを「フィナーレ」と呼んでいる)、何度も何度もおおかわらに同じおばあちゃんのエピソードを求め続けている。そんな野田に対して、おおかわらは嫌気が差していた……。1本目のネタと同様、非常に丁寧な作りのコント。まず初めに、野田がフィナーレに至るまでの流れを提示し、それを観客に認識させる。次に、野田のフィナーレに友人のおおかわらが必要だと訴えかけるも、それがすぐさま覆されるというギャグを展開する。形式を破壊することは、笑いの基本中の基本だ。それから、野田のフィナーレに必ずしも自分が必要ではないことが分かったおおかわらが、これまでフィナーレ目的に付き合わされていたことによって溜まった鬱憤をぶちまけるのだが、その内容が男女のセックスフレンドに置き換えられるという新しい視点の提示する。そして野田が反省の気持ちを叫ぶというオチに至る。こうして見ると、起承転結がはっきりしていることがよく分かる。しかし、笑い過ぎるとフィナーレを迎えるという野田の異常体質(性癖?)と、その度に絶叫する「ケペパーッ!!!」という叫びが、このコントに非凡な味付けを残している。あと、さりげなく第三者としての和田の存在が絶妙だ。要所要所で上手く状況を転換している。しかし、なにより素晴らしいのは、それら全ての出来事を包括する「神様ぁ~! 野田ですけどもぉ~!」というパンチラインだ。恐らくは外国人がショックを受けたときに口にする「オーマイゴッド!」を訳しただけなんだろうが、日本語にするとなんとも強烈だ。それまでの勢いを殺すことなく、それでいて破壊的な後味を残した、非常によく出来たコントだった。ただ叫んでるだけじゃないぞ!

■かもめんたる『白い靴下』(982点)
槙尾が残業をしていると、オフィスに見慣れない男がやってくる。話を聞いてみると、彼は槙尾の同僚である斉藤の家来で、千葉からわざわざ新宿まで白い靴下を持参して来たのだという。二人の関係に興味を抱いた槙尾は、更に男を追求するのだが……。ミステリー色の強いコント。初めに【どうして斉藤は白い靴下を持ってくるように言ったのか?】という複数の可能性が想定される一つ目の謎を提示、そこへ“斉藤の家来”という強烈なワードを放り込み、【彼が斉藤の家来になった理由は?】という二つ目の謎へと展開する。まさしくミステリーだ。観客ないし視聴者は、如何にしてそれら二つの謎が解き明かされるのか、気になって集中せざるを得ない。そうして観る者の意識を集めた上で、“斉藤の家来”に関する幾つものパンチラインをぶつけてくるのだから、ウケないわけがない。「先日も、京都に行ったときに、けっこう有名なお坊さんに腹を蹴られました」という一言には、腹を抱えて笑わせてもらった。色々と妄想を膨らませてくれる名台詞だ。……こうして、二つ目の謎である【彼が斉藤の家来になった理由は?】が解決される。観客は、残されたもう一つの謎に集中するだけだ。だが、その真実は……。個人的に感心したのは、オチの直前に投げ込まれた【奥多摩キャンプ】のくだりだ。あのくだりで“斉藤の家来”が放った「エアガンとかでガンガンに撃っちゃってください」というゆるめのボケが、観客をほのかに油断させた。だからこそ、あのオチが活きる。もし、【奥多摩キャンプ】のくだりが無かったら、少なくない数の観客がオチに気が付いたのではないだろうか。もっと細かいところまで触れていきたいが、今はこれが限界だ。とにかく素晴らしかった!

【総評】
放送直後の感想にも書いた様に、今年はとにかく観ていて疲れた。いくらお笑いが細分化しているとはいえ、まがりなりにもゴールデンタイムの三時間特番(一部地域では四時間特番)で、ここまでコアな笑いを繰り広げてもいいものなのか?と、お笑い批評ブログとは思えない疑問を抱いてしまった。まあ、ネタ番組・コント番組が激減している昨今、こうして若手芸人のコントが観られるだけでも良しとしようではないか、という平和的な観点で能天気に胡坐をかいてもいいのだが。しかし、お笑いというのはそもそも観客を相手にした商売であって、それをゴールデンタイムで放送する以上は、ある程度の大衆性を残した笑いにしておいてほしかったとは、やっぱり思うわけで。ド深夜で若手芸人たちがヤンヤヤンヤと盛り上がってる某ゴルフボールスッ転がし番組ならまだしも、そこはゴールデンタイムのテレビ番組としての了見を守ってもらいたかった。……ということを書くと、なんだかかもめんたるの優勝や鬼ヶ島・天竺鼠の上位食い込みに対して文句があるように思われそうだが、それはそれで別にいいのである。ただ、今後も同様の状態になるのではないか、という危惧から苦言を呈したいのだ。……準決勝審査員! お前らに言ってんだ、お前らに! 『エンタの神様』みたいになれとは言わないが、やたらマニアックに走り過ぎるなって言ってんだ! とどのつまり、「丁度いいヤツぁいねぇのかぁ!!!」(by東京03)と。

まあ、どのコントも面白かったから、別にいいんだけどね♪(平和的観点)
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Notitle

相変わらず、的得てますね。きのう、さらばの無料トークライブ見に行きましたが、おもしろく色々と考えさせられました。さらばの2人が菅家さんの地元に来て、夢の共演見てみたいですが、無理ですかねぇ。

No title

有難う御座います。…夢の共演って、どこが?w

Notitle

まぁ今、東京MX テレビで さらば青春の光ふぁいなるという日本全国どんな仕事依頼でも請け負うスタンスの番組をやっているので、ただ×2妄想しすぎただけですwwww。

No title

対面したとして、緊張で何も出来ないだけだと思いますw

No title

キングオブコントもザ・マンザイもR-1もトップバッターが基準点になってしまいフェアじゃないので、全ての大会のトップバッターはダイノジさん(なんとなく)とかにやってもらい基準点もしくはペースメーカーの役割をになってもらう仕組みが良いんじゃないかと思いました。

No title

そうなると、どうなるんでしょうね? 審査する側としては、やっぱり決勝進出者だからこそちゃんと審査しようという気持ちになるわけで、まったく大会と関係無い芸人のネタがちゃんとした審査の対象とされるのかどうか。空気を温める前座としてなら、効果はありそうですが。

一般とのバランス

管理人さんが総評で書かれた気持ちは、なんとなくわかります。
本来なら、「普通の人が見てわかるコントが何本かあっての、天竺鼠や鬼ヶ島」というのが理想だとは思います(そういう意味では、TKOが決勝メンバーに入ったのはわからなくもありませんでした)。
できればコントの日本一を決める大会なので、普段お笑いをあまり見ない人が見たときに「うわっ、今の若手芸人のコントってこんなに面白いんだ」と思ってもらえるのが一番なのですが、ちょっと傍流が主流になりすぎている感もある現在の状況。
それこそ、見かけはかなりキテレツですがネタ自体は意外とわかりやすいという意味では、日本エレキテル連合とかの方が一般の人には入ってくるかもしれない、なんてことも思いました。

No title

最後の3行に激しく同意します。
私はただただ、うしろシティが気の毒でなりません。優勝出来るネタではなかったのは確かです。ただ、1本目の773点の意図ががサッパリ解りません。1stトップと150点差もついてたの?かと。この審査方法だと来年からもトップバッターはしんどいです。どう考えても、一昔前のエンタの陣内ネタようなテレビ番組コントより点数が低い訳がないです。
こんなもんでいいだろう的な点数付けはとても危険な気がします。

※むたみやたらに最下位芸人を庇ってる訳ではありません。昨年の最下位はしょうがないと思っています。順番ではなく、純粋にネタ比較の大会にならないものかな・・・・と。


No title

どの大会でも決勝にあげる審査員と決勝の審査員が違うのでなんかしっくりこない…というように感じませんか? つい、責任とれや!! と思ってしまうのですが…。
特に今年のKOCは決勝に行った人たちがみんな他よりずば抜けていた!とも思いきれないので、バランスを考えることができていればもっと他にも決勝にあがっておかしくない人達はいたと思います。
かもめんたるの優勝と鬼ヶ島が鬼ヶ島を貫き通しきったのは見ててホクホクしましたが、全体的に少し残念な大会になってしまったようで去年のバイきんぐの優勝の時ほど高揚できませんでした。
決勝にあげる審査をする人は、本気で責任もって、自分の首くくるくらいの覚悟で選んで欲しいなぁ…です。

TKOの一本目、「トイストーリーやテッド〜」のような時代を限定した固有名詞や、「くだりが長いんだよ」のような芸人口調は、コント上のキャラクターにあまり似合わない台詞のためか瞬間的に盛り下がった感じがしました。
さらばのネタは2本とも本来10分弱のものを半分に縮めているので、そこがネックになったのかもしれません。完璧に作り上げたものを再編集するのはかなり大変そうですよね…。

No title

>もみあげ魔神さん
そうなんですよねえ。ただでさえネタを観る機会の少ない昨今、もうちょっとオーソドックスな路線にあるユニットを入れてほしかったと思うんですよねえ。まあ、そこが不甲斐なかったために、こういうメンツになってしまったという可能性も否定できませんが…。日本エレキテル連合は、今度出るDVDでネタを確認しようと思います。楽しみ楽しみ。

>通りすがりさん
エンタかどうかはともかくとして、陣内ネタはクオリティ高いですよ! 僕が初めて陣内智則のコントを観たのは2002年の『爆笑オンエアバトル』だったんですが、当時観た『羊が一匹…』は本当に面白くって、こんなに面白い芸人が世間に知られていない若手としてやっているのかと驚くと同時に、若手芸人の層の厚さをしみじみと…そういう話ではないですか。そもそも賞レースにおけるトップバッターというのは、どうしても不利な状況になってしまうものなので、ここはトップを引いてしまったうしろシティの運の無さに尽きるかと。むしろ、キングオブコントはどんなに一本目で評価されなくても、二本目を披露するチャンスが与えられるので、その意味では良心的だったり。…うしろは来年の倍返しに期待しております。

>長文ごめんなさいさん
個人的には、まあ、たまには…程度なら許容できるんですけどね。この傾向が来年以降も続くとなると、ちょっとシンドいなあと。ただ、彼らは準決勝でしっかりバカウケしていたというレポートを見かけたので、審査員だけを悪役にするのも違うかなーっという気もしています。今となっては。笑いの細分化が進むことで、むしろド直球なタイプが弱体化しているのかも…いや、安直な表現ではありますが。

>浴びる湯さん
「トイ・ストーリーやテッド~」のくだりは、確かにちょっと違和感がありましたね。あ、そんなはっきりとした固有名詞出しちゃうんだって。矛盾はしてないんですけど、ああいうの出るとちょっと気になりますよねえ。「くだりが長いんだよ!」は、個人的にはアリでした。少し頭に残るツッコミというか。さらばのネタ…完全版が観たいですねえ。DVD化されてほしいですねえ。

No title

>陣内ネタはクオリティ高いですよ!
>…そういう話ではないですか。
そういう話では全くないですね・・・・。当時のネタのクオリティの話は充分承知です。ただ、何年も前のどこかで見たような臭いのするコントを日本一を決めるコンテストでやっててどうなのか?と。やけに古臭いエンタでやってたみたいなネタだなぁ~と。だったら、うしろシティの方が断然いいじゃん・・・・と思った訳です。この考えは人それぞれでしょうが。

>ここはトップを引いてしまったうしろシティの運の無さに尽きるかと。
えぇ~~~~!「運の悪さに尽きる」んですか?
THE MANZAIのトップバッターの意味合いと、KOCのトップバッターの意味合いとは全く違いますよね。審査方法が違うわけですから。その違いの意味も含めての「審査員頼むよ!」と言いたいわけです。まぁ、作る側のスタッフさんに考えて貰わないと意味ないんでしょうが・・・・・。

このブログを読んで思った、この人純粋にお笑いが好きな人じゃないんだろうな~

酔ってるなぁ、自己陶酔が過ぎるなぁ

だってお笑い好きな人はオチは絶対こっちが良かったとネタは絶対こうあるべきとか、"絶対"なんて無い、お笑いに絶対的正解なんてないのに気づいてないから

もっとお笑いの楽しみ方知ってるし、芸人の心理なんて知り得ないのに知った口きいてる辺り、残念な気持ちになる

たぶんこのブログ書いてる人は、すげーお笑いわかってるってネット上で誉められたいだけなんだろうなぁ

だから、お笑い界全体とか未来とか歴史やら蘊蓄垂れて言いたい放題言った後、必ずフォロー入れてる

いや、その好感度上げいる?誰に誉められたいの?

だったらただただ好きな事アツく好き放題言えばいい、その方が気持ちがいいし、清々しい、いち意見として刺さる

偏った持論押し付けといて批判しといて、反発する意見を持たれるのが怖いし、この人お笑いわかってるって言われたいから最後にフォロー入れてポイント稼ぎにくる、そこで一気に冷める


お笑いに正解も不正解も無いし、芸人はみんな凄いし、ネタチョイスだって中身だって芸人だけで決められるわけでは無いのが現実、本当はやろうとしていたネタがあったが制作サイドの意向であのネタになったという事実もある、それを知らずに語ってたのなら勉強不足ですし


まぁでも、実際ちゃんと沢山観てるし、ちゃんと好きなのは伝わってくるが、もう少し目を冷まして欲しい、偏見があることに気づくべき

No title

>そういう話では全くないですね・・・・。
ああ、なるほど。陣内智則を含めた02年ごろに『爆笑オンエアバトル』に出場していた芸人さんたちには少なからず思い入れがあるので(これをきっかけにお笑い好きになったのです。どうでもいい話ですが)、思わず過剰反応してしまいました。

>えぇ~~~~!「運の悪さに尽きる」んですか?
トップバッターだったから、基準点扱いだったから、あの低い点数になってしまったとしか私は言えません。もしかしたら、ひょっとしたら、トップバッターじゃなければそこそこの点数だったかもしれませんし、逆にやっぱり低得点だったかもしれませんし。なんとも言えません。ただ、基本的に賞レースはトップバッターが不利だと言われていますし、それは間違っていないと思っています(過去の視聴経験上)。だったら、今回の結果はとにかく運が悪かった、来年こそ…と考えた方が健全だと考えたんですが、ちょっと押しつけがましかったですね。すいません。

うしろシティ

こんにちは。うしろシティの1本目、もっと点数出て欲しかったです。トップの難しさはありますが、東京03が優勝した時は1本目トップでしたよね?重い空気を打ち破るパワーが彼等に足りなかったのかもしれませんが、やはり芸人同士での審査というのに、どうしても疑いの目で見てしまうかも。伸び盛りの若手をつぶしたい?特に女性からの人気が高そうなコンビなんで、フェアに判断してもらえたのかなー?
ま、この審査方法ですと、今後も同じような思いは抱きそうです。

No Title

初めまして。いつもここの感想文楽しみにさせて頂いております。今回の感想文も見終わった後疲れたという総評の意見含め、概ね同意しつつ新しい視線に唸らされたりしています。
ただ、何点か気になる事は残りました。
鬼ヶ島の野田って結構面白い事言っているのに聞き取りづらいのが損してる気がするとかジグジギの2本目見ると目指さなくてもいいのに新境地目指そうとしているのかなとかジグジギの1本目とかTKOの2本目の点数見ると場の空気のハマり方と点数ってもろに影響するのかななどでした。
しかし一番気になったのは今年の天竺鼠や2011年の2700、2010年のジャルジャルのようなコントに対し、「やりきった勇気」みたいな物が評価されていると何か違うなと感じてしまいます。そういうのが高得点取る傾向となると、昔漫才師がM1用漫才作っていたように、コント師達がこぞってそういう狂気的コントを持ってくるようになって逆にワンパターンになりそうなのが心配でなりません。大丈夫なんですかね?


つい、長文になってしまいました。失礼します

No title

>タコスさん
貴方が言ってること、そのまんま御自身に返ってますよ? …ネタ?

>yuccalinaさん
うしろシティに関しては、もう「トップバッター」と「オチ」くらいしか言うことないです。ネタは面白かったですし、そう思っている人も少なくないみたいなので、来年に期待しましょう。個人的には、芸人さんがいらぬ考えで審査しているとは思わないし、思いたくもないです。そんなヤツは辞めちまえばいい!

>あいうえおさん
初めまして。「やりきった勇気」と言ってしまうとそれまでですが、それをネタとして成立させたクオリティが評価されているのではないかと思いますね。内容、演技、演出、全ての面で。それに、狂おうと思って狂えるものでもないですから。やっぱりね、慣れてないことをしようとしても、なかなか出来るものではないですよ。天竺鼠のネタも、実はダンスステップの差にこだわっているという話を聞きましたし(他人様の意見なので、ここでは書いていませんが) だから、心配なさらなくても大丈夫です。多分。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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