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「柳家喬太郎独演会」(岡山)

「柳家喬太郎独演会」を観に行く。

20140217ポスター

以前、「僕が初めて目撃した落語家は桂ざこばである」と語ったことがあるが、柳家喬太郎は僕に話芸の魅力を教えてくれた最初の落語家といってもいいだろう。僕が初めて喬太郎師匠の落語を聴いたのは、春風亭昇太を目的に鑑賞した『SWAのDVD』だった。かねてより、落語家としてとてつもないポテンシャルを秘めていると伝え聞いていた昇太師匠の落語は、確かに素晴らしいものだった。その落語は、子どもじみているという点で洗練されていて、とても自由で明るい笑いに満ち溢れていた。だが、それと同等に、喬太郎師匠の話芸にも惹かれた。僕がそれまでに聴いたことがあった立川志の輔や快楽亭ブラックとは明らかに一線を画した、落語家の系譜をはっきりと意識させる重厚で濃密な喬太郎師匠の語り口は、落語家個人の魅力に留まることなく、落語そのものの魅力を明確に伝えてくれているようにすら感じられた。大袈裟ではなく。

今回の独演会は、「岡山市民文化ホール」で開催された。場所は岡山駅からそれなりに離れていて利便性には些か欠ける(とはいえ、市電の駅が近いのが有難い)が、ホールの広さが演者にとって好都合なのか、岡山で開催される独演会の多くはこの場所を会場としている印象が強い。過去には、柳家小三治、立川志の輔、立川志らく、柳家花緑らの独演会をここで鑑賞した。……そういえば、しばらく志らく師匠の独演会が開かれていない。かつて『疝気の虫』『鼠穴』『鉄拐』を鑑賞して大いにコーフンした身としては、なにやら寂しい。

18時ジャストに開場。ロビーでの物販は無し。サイン入りCDを購入できるかと期待していたのだが、当てが外れた。全席指定で、僕は前から6列目・中央寄りの席に座れた。大好きな落語家の独演会だからと張り切った結果だが、いざ座ってみると、ややステージからの距離が近すぎるように感じた。もう少し離れていても良かったかもしれない。開演5分前、会場内はほぼ満席の様相を呈していた。2階席の様子は確認できなかったが、きっと満席だったことだろう。

18時30分開演。
 
緞帳が上がると、メクリ(高座の脇にある、落語家の名前が書かれているアレ)に“柳家喬太郎”の文字が。通常、独演会の開口一番を務めるのは、前座か二つ目の役割なのだが。もしかして……と思っていたら、本日の主役が呑気にご登場。前座噺に定評のある師匠、独演会ではこういう遊びをすることもあると聞いてはいたが……まさか、地方の落語会でも観ることが出来るとは。素直に嬉しい。演目は『家見舞』。兄貴分の引っ越し祝いに瓶を買いに出かけた二人の若い男たちが、予算不足を理由に古道具屋で見つけた怪しい瓶を持っていく滑稽噺だ。CDで聴いたことのある演目ではあったが、やはり目の前で演じている姿を直に体感すると迫力が違う。後半、二人が兄貴分のところで一杯頂戴するくだりが、たまらなく面白かった!

新潮落語倶楽部その1 柳家喬太郎新潮落語倶楽部その1 柳家喬太郎
(2011/10/19)
柳家喬太郎

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主役による前座が終わると、今度はホンモノの前座が登場。喬太郎の弟弟子、柳家喬之助である。今回の独演会でのポジションは前座だが、れっきとした真打だ。主役なのに前座を務めた喬太郎に皮肉をこぼしつつ、始めた演目は『そば清』。そばの食いっぷりが見事な男に、そば屋にたむろする若者たちがそばの大食い勝負を持ちかける滑稽噺だ。喬之助の声にはちょっとだけクセがあって、そこに僕は魅力を感じた。今はまだ、その声が魅力に直結しきれていないように思えたが、いずれ適した年齢に達した時、それは喬之助師匠にとって大きな武器となるだろう。その時は、是非にCDをリリースしてもらいたい。今回の『そば清』に関しては……まだまだ、これからこれから。

追記。この時、ネタを披露していたのは、柳家喬之助師匠(真打)ではなく柳家喬之進さん(二つ目)でした。まあ、名前が似てるから、しょうがないよな!(どんな開き直りだよ) ただ、あの落ち着いた語り口と全身から発せられる安心感は、完全に真打のそれでした! 名前は間違えてしまったけれど、当ブログは喬之進さんを応援し続けていきます! 落語に飽きるまで!(待てコラ)

新潮落語倶楽部 その8 柳家さん喬 「そば清」「締め込み」「ねずみ」新潮落語倶楽部 その8 柳家さん喬 「そば清」「締め込み」「ねずみ」
(2012/10/17)
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↑喬之進の師匠、柳家さん喬による『そば清』を収録

続けて、仲入りを挟むことなく、喬太郎師匠が再度登場。最初はご当地話や最近の天候についての話などを展開していたが、やがて居酒屋、飲み会の話となり、新作落語『夜の慣用句』へ。若手社員たちの飲み会にクセの強い上司が参加して場の空気をかき回す噺で、師匠の代表作ともいえる一席だ。……流石に『諜報員メアリー』ではなかったか(居酒屋のあたりでちょっと期待していた)。傍若無人な中年男性の振り切れたテンションが、うざったくも愛らしい。……股間に水割りをこぼして「拭いて♪」と迫る姿は、いいかげんヒドかったが。「古典にしておけば良かった!」というメタ発言も飛び出す、なんとも破壊的な一席だった。これは個人的な意見だが、地方の落語会で新作落語を観られると非常に嬉しい。

柳家喬太郎落語秘宝館5柳家喬太郎落語秘宝館5
(2009/02/25)
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19時半、仲入りで15分休憩。

仲入り明け、三度目の喬太郎。残り時間はおよそ1時間、果たしてどんなネタを演じるのだろうと待ち構えていたら、娘の結婚相手について心配する大店の主人が現れ……長尺の人情噺『おせつ徳三郎』の幕開けである。ある大店の娘、おせつ。年頃ということで、様々な結婚相手が紹介されるのだが、まるで首を縦に振ろうとしない。その背景には、店の奉公人である徳三郎が関係しているらしいのだが……。その長さが故に、前半と後半とで分けて演じられることの多い演目だが、喬太郎は最後まできっちりと演じきる。前半『花見小僧』は最高の滑稽噺。娘のことが心配で仕方がない主人と、花見の日の出来事を口外しないように言われていた小僧のやりとりは、まるでしゃべくり漫才のように面白かった。小僧の無責任なポジションがたまらなくイイんだよなあ。しかし、このバカバカしい空気が、おせつから引き離された徳三郎が逆上する後半の『刀屋』で一変する……筈なのだが、今回は変わり切れず。シリアスなトーンで展開する筈の場面が、前半の余韻が残っているためか、妙に浮ついた空気になっていて、恐らくは意図していない笑いが起こる事態に。従来型ではないオチが師匠らしくて良かっただけに、あの空気は実に惜しかった。

柳家さん喬6 朝日名人会ライヴシリーズ63 おせつ徳三郎(通し)柳家さん喬6 朝日名人会ライヴシリーズ63 おせつ徳三郎(通し)
(2010/08/18)
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↑喬太郎の師匠、さん喬の『おせつ徳三郎』を収録。

20時40分、終演。人混みに飲まれながら会場の外に出ると、日はどっぷりと暮れていた。岡山市民ホールの近隣には目立った建物が無いので、夜になるとあたりはかなり暗い。すぐ近くには広々とした川が流れていて、それがなんだか『刀屋』の夜を彷彿とさせた。まあ、水かさはかなり浅いので、飛び込んだところで死ぬことはないだろうが。

20140217番組表

……また来てくれますように。

■関連:「林家たい平 柳家喬太郎 二人会」(3月6日・岡山)
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岡山の方が…

翌々日の広島公演はあっさりメニューだったので、岡山公演が羨ましいです。

岡山の方がお客のレベル高いもんなぁ…

広島は入りもイマイチだし。

ところで、喬之助さんでしたか?
広島は喬之進さんでした。

No title

広島の香盤も拝見しましたが、確かにあっさりしてますねえ。
『饅頭こわい』『午後の保健室』『うどんや』か…。
あ、喬之助さんじゃなくて喬之進さんだ!
指摘されるまで、ずーっと勘違いしていました!
落ち着きもあったので、若手の真打さんだと勘違いしておりました。
要修正。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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https://twitter.com/Sugaya03

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