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「柳家小三治独演会」(岡山)

四月九日に岡山で柳家小三治が独演会をするというので、行ってきた。会場は、「岡山の落語会といえば?」でお馴染みの岡山市民文化ホール。今年は既にここで柳家喬太郎の落語を聴き、今後も立川志の輔・柳家花緑の落語を聴く予定だ。岡山市民でもないのに、利用率はけっこうな高さである。小三治師匠は先代柳家小さんの弟子で、現在は落語協会の会長を務めている。御年74歳。まだまだ元気だ。

前座を務めたのは柳家三之助。小三治師匠の弟子で、2010年に真打となった。「真打を前座にするとは、流石は小三治!」と、割としょうもないことを反射的に思う。こういうところがどうも下世話で宜しくない。演目は『替り目』。酔っ払って帰ってきた亭主が女房を邪険にするような言い方をするが、実はその本心は……。酔っ払った亭主に重きを置いて演じられることの多い演目だが、三之助の『替り目』は女房の姿もしっかりと描写していた……と、思う。思う、というのは途中で寝てしまったからだ。落語は面白かったのだが、マクラがありがちで、ついついまぶたが……。

続けて、主役の小三治師匠が登場。一席目は『やかんなめ』。二人の女中を連れて出かけていた店の女将さんが、そこで持病の癪を起こした。女将さんの癪はとても苦しく、それが収まるまでは如何ともし難い。女将さんの癪を収める唯一の方法、それはやかんを舐めること。しかし、女将さんも女中の二人も、やかんを持っていない。どうしたものかと考えている二人の目の前に、頭の禿げあがったお武家さんが従者を連れて通り掛かり……。

初めて聴いたネタだったが、とてつもなく面白かった。演目そのものも素晴らしい面白さ。苦しんでいる女将さんの緊張感に対し、それを解消するために「頭を舐めさせてもらいたい」とお願いをしなくてはならない、この下らなさ。また、そんなことを頼まれるとは思っていない武家人が、まったく的外れな勘違いを繰り返す様もイイ。なんだかドッキリに引っ掛かっている人を見るようだ。しかし、やはり小三治師匠の味わいある口演だからこそ、この面白さも感じることが出来るのだろうと思う。いつだったか、広瀬和生氏が小三治師匠の落語を「人間という存在のかわいさ」と評したが、なるほど。的を射た表現である。「頼んだら、頭を舐めさせてくれるかもしれない」と嘆願する女中も、その嘆願を勘違いし続ける武家人も、とてもかわいい。

仲入りを挟んで、二席目は『初天神』。初天神に出かける父親と、それについていく腕白息子。「何もおねだりしないなら連れて行ってやる」と約束していたので、最初は何もねだろうとはしなかった息子だったが、多種多様の出店を前にして、やがて我慢が出来なくなり……。もはや落語ファンにとってはお馴染みの前座噺だが、小三治師匠がやると、やはり違う。息子に振り回される父親、おねだりが止まらない息子、そんな二人に振り回される出店の人たちの姿が、なんとも楽しそうに描かれている。ここでも、また人間のかわいさがじんわりと……。

王道と変り種と滑稽噺を二席、大いにご堪能。次も行くぞ。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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