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笑いの小金治。

桂小金治が亡くなった。88歳だった。

私が小金治師匠のことを知ったのは、当時は松本尚久と名乗っていた和田尚久氏の著書『芸と噺と―落語を考えるヒント』が一番初めだった。いきなりの余談で恐縮だが、本書よりも落語家の魅力を的確に記した本を私は他に知らない。無論、単なる無知の妄言でしかないのかもしれないが、まだ落語の世界の入口に立っていた私の手を引いてくれた恩のある一冊であることには違いない。いやいや、ことによると、落語という魔窟へと引きずり込んだ一冊といえるのかもしれないが……。

和田氏は師匠の落語について、次の様に記している。

 小金治さんの落語には、落語が社会の中で、ひとつの居場所を与えられていた時代の落ち着きと安息と秩序がある。余裕がある。そうして、噺の細部までが、社会の奥底としっかりと結びついている。ここでは数十年間のブランクがプラスに作用している。聡明な小金治は、映画界入りという形で、社会と落語とのやがてくる乖離を、あらかじめ回避していたとは言えないだろうか?
 私たちは桂小金治に<間に合っている>ことの幸運にもっと自覚的であるべきだろう。


この文章を読んで、私は小金治という落語家に興味を抱いた。そしてCDを聴いた。小金治の落語を収録したCDは、現時点で2種類しか手に入らない。83年に本多劇場で収録された『桂小金治(1)「三方一両損」「禁酒番屋」』と、04年に国立演芸場で収録された音源と06年に日本橋亭で収録された音源を二枚組にパッケージした『桂小金治名演集 1 粗忽の使者、蛇眼草、饅頭怖い、大工調べ』である。私はまだまだ若輩者であるが故に、その魅力を明確に理解しきれてはいないが、その整然とした語り口になんともいえない魅力を感じたものだ。なので、いうまでもなく、更なる作品のリリースを期待していたのだが、現時点に至るまでそういった話はついぞ耳にしない。落語マニアの痒いところに手を届かせてくれる素晴らしきCDレーベル・キントトレコードあたりが動いてくれないか、密かに期待していたのだが……。ちなみに、私が好きな演目は『蛇眼草』である。あまり夏の要素が無い演目なのに、なんだか夏の日常が見えてくるんだよなあ。

その後、師匠は2011年9月29日、国立演芸場で開催された『桂文我独演会』にゲストとして出演した際に、落語家としての引退を宣言する。これを機会にCD化の動きが見えてくるか……と思っていたが、見られず。今となっては、CD化を待たずにとっとと生の高座を観に行かんかいと思わなくもないが、全ては過ぎた話である。88年間、お疲れ様でした。ゆっくりとお休みください。

ところで、追悼盤の話は(←不謹慎)
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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