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『柳家三三独演会 三三三九四七 ~柳家三三ありがとう!四十七都道府県~』(高松)

『柳家三三独演会 三三三九四七 ~柳家三三ありがとう!四十七都道府県~』を観に行く。

柳家三三は落語協会に所属する落語家である。1974年7月に神奈川県小田原市で生まれた。88年12月、中学生の時に鈴本演芸場で十代目柳家小三治の『山崎屋』に衝撃を受け、落語家を志す。93年3月、18歳で小三治に入門。前座名は“小多け”。96年5月、21歳で二つ目昇進。この時、名前を現在の“三三”に改めた。それからおよそ10年後の06年3月、31歳で真打昇進。現在、古典落語のホープとして、他方面より注目を集めている。

私が三三師匠の落語を聴きに行くのは、これが三回目である。

一回目は高松のサンポートホール高松という会場で鑑賞した。そこまで広くない会場だったにも関わらず、随分と空席が目立っていたことが、妙に印象に残っている。演目は『真田小僧』『転宅』『井戸の茶碗』。当時、既に三三師匠は若手の注目株として話題になっていた(だからこそ、CDでもDVDでも触れたことがなかった私が、思い切って聴きに行こうと決意を固められたのである)のだが、これがまったくハマらなかった。鑑賞時、寝不足だったことも影響しているのかもしれない(むしろ私は、私が寝不足じゃない時を知りたい)が……とにかく、私の三三師匠に対する印象は、あまり芳しいものではなかった。

二回目は岡山のさん太ホールという会場で鑑賞した。個人的には、東京03がよく単独ライブを開催している会場という印象の強い場所である。劇場というよりもシアターという表現が似合いそうな、こじゃれた雰囲気が素敵な会場だ。この時は、さほど空席は無かったように思う。岡山は落語家が頻繁に訪れている県なので、香川よりも落語に馴染みがあるのかもしれない。演目は『権助提灯』『締め込み』『五貫裁き』。落語仲間に「行った方がいい!」と強引に薦められ、半ば仕方なしに観に行ったのだが、これが驚くほどに面白かった。とにかく人間がイキイキとしていて、やたらめったら楽しかったのである。前回は、47都道府県を47日間かけて巡るという弾丸ライブツアーだったため、その疲労から三三師匠も本来の実力を発揮できていなかったのかもしれない。この独演会を観て、私は三三師匠に対する考えを改めた。なるほど、確かに古典のホープである、と。

そして今回、会場となったのは高松市にある高松オリーブホールという場所であった。過去、高松で開催された落語会には何度か足を運んでいる私だが、高松オリーブホールなどという場所は聞いたことがなかった。どういう場所なんだろう。オリーブっていうくらいだから、速水もこみちが経営しているのかしらん。

DSC_0486(1).jpg

そんなことを考えながら、実際に会場に行ってみると、これがいわゆるところのライブハウス。入口でチケットを渡すと、ワンドリンク代を要求された。寄席では飲食が当たり前だが、落語会でワンドリンクとは、実に変わっている。入口の脇にあるカウンターでジンジャーエールを頼み、それを持って会場に入る。すると、そこには緞帳がないため、剥き出しになった状態のステージが。その両端にはアンプが山の様にドッと積み重ねられていて、真ん中にちょこんと高座が置かれている。なんとも不似合いでおかしい。こういうところでも落語会が開かれるものなのか。初めての経験に、開演前から思わず胸が躍ってしまった。余談だが、高松オリーブホールは建物の3階にあり、会場入りするためには階段かエレベーターを利用するしかないのだが、階段の途中に「ダイブ禁止!」という張り紙がされていたのが、なんだかとても面白かった。落語中にダイブする観客……見てみたい気がしないでもない。自由席なので、空いている席に適当に座った。客席は8割~9割ほど埋まっていたように思う。

14時開演。

過去二回の独演会と同様、前座はなし。いきなり主役の三三師匠が現れる。高座に上がって、最初に触れたのは今回の会場のこと。なんと、数々の高座を経験してきただろう師匠でも、ライブハウスで落語会をするのは初めての経験だったらしい。「私の前にやったのが、ゲスの極み(乙女。)……」の一言で、会場がどっと盛り上がる。マクラはそのまま、これまでに落語をやってきた場所の話、落語を聴かせてきた観客の話などを経て、『看板のピン』へ。かつて博打の世界に身を置いていたご隠居が若い連中の博打遊びに参加するのだが、壺に入れて振ったサイコロが外に転がり出していることに気付かず……という話だ。人生の重みを感じさせるご隠居、そのご隠居の真似をしたお調子者の演じ分けのメリハリが非常に良かった。それっぽく喋っているのに、ちゃんとお調子者が真似をしている口調になるんだよなあ。

落ちの後、また少しマクラを挟んで、次の落語へ。今度は『お菊の皿』だ。皿屋敷の階段で知られる美しいお菊の幽霊を興味本位で見に行った若い連中の噂が広まり、幽霊見たさに人が集まるようになって……という話である。お菊の所以についてご隠居が説明するくだりで少しウトウトっときてしまったが、肝心の若い連中がお菊の幽霊を観に行くくだりからはしっかり起きていた。落語会では必ずといっていいほど寝てしまう私にしては珍しい(おい)最初の若い連中の一人が古参ファンの様に語り始めるくだりに、なんだかニヤニヤ。ただ終盤、お菊が皿を数え始めるくだりは、もうちょっと真に迫った感じが欲しかったような気もした。あそこをシリアスに演じるからこそ、その後の展開が活きてくるというか……。

ここで仲入り。トイレに立つ人、多数。

後半戦。マクラは『アナと雪の女王』の話。ちょっと触れる程度かと思いきや、「アナが私は苦手です!」と宣言したかと思うと、そのまま粗筋をズラーッと説明し始め、「いい子なんです! いい子なんですけど……私は苦手です!」と再度宣言するという熱の入りっぷりにニヤニヤが止まらず。『アナと雪の女王』をまだ観たことがないが、きっと私も苦手なタイプなのだろう。ちなみに、会場の落語ファンのうち、『アナと雪の女王』を観たという人は一割にも満たなかった。恥ずかしくて手を上げなかったのか、世間から背を向けているひねくれ者ばかりなのか、なんとなく苦手なオーラを察知して避けているのか。謎だ。そこから「粗忽な人」の話を経て、『粗忽の釘』へ。

『粗忽の釘』は、長屋に引っ越してきた粗忽者の大工が箒をかけるための釘をうっかり壁に打ち抜いてしまったので、隣に謝罪に行くのだが……という話である。まず、大工の夫婦が引っ越すくだりが、原典とまったく違っていることにビックリした。そもそも、そのくだりはカットされている(釘を打つくだりから噺が始まっている)のだが、そこで説明される経緯がまったく違うのである。本来、大工はタンスを背負ったまま、引っ越し先が分からずにあっちこっちを転々としていたのだが、三三バージョンは……ネタバレになるから書かない。が、確かに、どうせカットしてしまうのであれば、オリジナルの要素を盛り込んでしまってもいいのかもしれない。だが、この後の展開で、更にオリジナル要素がドンドコドンドン放り込まれるからたまらない。絶妙な間とテンションでもって繰り広げられる、粗忽大工の波乱爆笑。大変に結構でした。

16時閉演。

DSC_0483(1).jpg


建物の外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。厳密にいうと、商店街のアーケードの外はすっかり暗くなっていた。アーケードの中だと、雨が降っていても何不自由なく過ごせるから有難い。その足で私はタワーレコードに向かい、12月にリリースされる東京03のDVD(タワレコ限定仕様)を予約したのであった。思えば今年も残り1ヶ月だというのに、年末の実感が未だに湧いてこないのは何故だろう……。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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https://twitter.com/Sugaya03

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